(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360015
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】映像認識を用いた高度シートベルトインターロック
(51)【国際特許分類】
B60R 22/48 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
B60R22/48 101
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-158779(P2015-158779)
(22)【出願日】2015年8月11日
(65)【公開番号】特開2016-41575(P2016-41575A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2018年3月27日
(31)【優先権主張番号】14/461,423
(32)【優先日】2014年8月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】エメリー チャールズ グラッシュ
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−269496(JP,A)
【文献】
特開2010−195139(JP,A)
【文献】
特開2000−168500(JP,A)
【文献】
特開2004−161087(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0137411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物のためのコンピューティング装置であって、
当該コンピューティング装置の操作を制御するための1又は複数のプロセッサと、
該1又は複数のプロセッサによって使用されるデータ及びプログラム指令を記憶するためのメモリと、を具備し、前記1又は複数のプロセッサは、前記メモリに記憶された指令を実行して、
前記乗り物の乗員及び該乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員位置及びシートベルト位置を識別し、
少なくとも部分的に、前記乗員位置と、前記シートベルト位置と、シートベルトを正しい方法で及び間違った方法で着用した1又は複数の骨格モデルを含む参照モデルと、に基づいて前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断し、且つ、
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックするように構成された、コンピューティング装置。
【請求項2】
前記乗員及び前記シートベルトに関する前記情報が、前記乗り物に関連付けられた1又は複数の光センサから受信される、請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項3】
前記1又は複数のプロセッサが、更に、前記乗員位置と前記シートベルト位置とを示す三次元モデルを描画するように構成された、請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項4】
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断することが、少なくとも部分的に、前記三次元モデルと前記参照モデルとの比較に基づく、請求項3に記載のコンピューティング装置。
【請求項5】
前記三次元モデル及び前記参照モデルの少なくとも一方が、骨格関節の関係の情報を有する、請求項3に記載のコンピューティング装置。
【請求項6】
前記参照モデルが、遠隔送信元から当該コンピューティング装置によって受信される、請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項7】
前記1又は複数の乗り物の操作が、イグニッション操作及びギヤシフト操作の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項8】
乗り物のためのコンピューティング装置であって、
当該コンピューティング装置の操作を制御するための1又は複数のプロセッサと、
該1又は複数のプロセッサによって使用されるデータ及びプログラム指令を記憶するためのメモリと、を具備し、前記1又は複数のプロセッサは、前記メモリに記憶された指令を実行して、
前記乗り物の乗員及び該乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員位置及びシートベルト位置を識別し、
少なくとも部分的に、前記乗員位置と、前記シートベルト位置と、参照モデルであって、1又は複数の骨格モデル、1又は複数のシートベルトモデル、並びに、シートベルトを正しい方法で及び間違った方法で着用した1又は複数の骨格モデルのうちの少なくとも1つを含む参照モデルと、に基づいて前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断し、且つ、
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックするように構成され、前記1又は複数の乗り物の操作が自律運転操作を含む、コンピューティング装置。
【請求項9】
乗り物のためのコンピューティング装置であって、
当該コンピューティング装置の操作を制御するための1又は複数のプロセッサと、
該1又は複数のプロセッサによって使用されるデータ及びプログラム指令を記憶するためのメモリと、を具備し、前記1又は複数のプロセッサは、前記メモリに記憶された指令を実行して、
前記乗り物の乗員及び該乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員位置及びシートベルト位置を識別し、
少なくとも部分的に、前記乗員位置と、前記シートベルト位置と、参照モデルであって、1又は複数の骨格モデル、1又は複数のシートベルトモデル、並びに、シートベルトを正しい方法で及び間違った方法で着用した1又は複数の骨格モデルのうちの少なくとも1つを含む参照モデルと、に基づいて前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断し、
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックし、且つ、
1又は複数の乗り物のシステムに対して1又は複数の命令を出し、前記乗り物を安全な場所へと自律的に回避させるように構成された、コンピューティング装置。
【請求項10】
前記1又は複数のプロセッサが、更に、前記1又は複数の乗り物の操作をロックする前に、警告を出すように構成された、請求項1に記載のコンピューティング装置。
【請求項11】
乗り物のためのコンピュータにより実施される方法であって、
前記乗り物の乗員及び前記乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員位置及びシートベルト位置を識別することと、
少なくとも部分的に、前記乗員位置と、前記シートベルト位置と、シートベルトを正しい方法で及び間違った方法で着用した1又は複数の骨格モデルを含む参照モデルに基づいて、前記乗員が前記シートベルトを正しく着用しているかどうかを判断することと、
前記乗員が前記シートベルトを正しく着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックすることと、を含む方法。
【請求項12】
前記乗員位置及び前記シートベルト位置を示す三次元モデルを描画することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断することが、少なくとも部分的に、前記三次元モデルと前記参照モデルとの比較に基づく、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記三次元モデル及び前記参照モデルの少なくとも一方が、骨格関節の関係の情報を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1又は複数の乗り物の操作が、イグニッション操作、ギヤシフト操作及び自律運転操作の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両又は乗り物に関し、より詳細には、シートベルトの位置を判断する装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者に安全ベルトの着用を促すため、自動車は通常、安全ベルトが締められていない場合に運転者の注意を喚起する警告音を有する。実際、米運輸省高速道路交通安全局が普及させる米連邦自動車安全基準でも、このような警告が義務づけられている。しかし、たとえシートベルトが締められていないことを車両が運転者に警告しても、運転者は常にこの警告を無視する選択が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
運転者がこれらの安全機能を回避できてしまうのは、多くの場合、シートベルトの状態を示すのが、シートベルトのバックルの内部に配置されたシートベルトがラッチ又は係合されているかを検知するセンサのみであることに起因する。ところが、シートベルトがラッチされているだけでは、シートベルトが意図された用途を適切に充足しているとみなすことはできない。例えば、シートベルトがラッチされていても、運転者はシートベルトのショルダーハーネスを背中の後ろに外すことができる。運転者が警告機能を恒久的に無効にしたい場合、運転者は(シートベルトの「タング」と呼ばれる)金属板部を切り離し、あるいは実物のタングの形状と合致するデザインの市販のタングを、バックルに差し込んだままにし、警告機能を完全に回避するかもしれない。意図的に回避しなくとも、運転者には問題が示されない、又は、運転者の知らないところで、意図せずシートベルトがねじれたり、位置がずれたりするかもしれない。同様に、運転者が前かがみになった場合、シートベルトのハーネスが運転者の上半身に正しく配置されないことがある。また、運転者が非平均的な体格又は体形の場合(例えば、運転者が妊婦、あるいは、著しく大きいまたは小さい場合)、シートベルトは最適位置にはないかもしれない。これら全ての場合において、シートベルトは技術的には「締められて」いるため、運転者には警告がされないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、自動車又は乗り物の乗員(運転者など)がシートベルトを適切な位置で着用していない際に(乗員がシートベルトを全く着用していない場合を含む)、車両又は乗り物の操作をロックする装置、システム、及び、方法を開示する。1つの実施例において、光センサは乗員上のシートベルトの位置を決定するために用いられる。1つの実施例において、光センサは深度検知カメラである。別の実施例では、乗り物の乗員がシートベルトを正しい位置で着用していない場合に、乗り物のイグニッションシーケンスの作動が妨げられる。
【0005】
乗り物の操作をロックするコンピューティング装置の一例は、コンピューティング装置の操作を制御する一つ以上のプロセッサと、一つ以上のプロセッサによって用いられるデータとプログラム指令とを記憶するメモリと、を含み、一つ以上のプロセッサはメモリに記憶された指令を実施することで、乗り物の乗員と乗員に関連付けられたシートベルトに関することに基づいて乗員の位置とシートベルトの位置とを識別し、乗員の位置、シートベルトの位置及び参照モデルに少なくとも部分的に基づいて乗員がシートベルトを正しく着用しているかを判断し、乗員がシートベルトを正しく着用していない場合に一つ以上の乗り物の操作をロックするよう構成される。
【0006】
乗り物の操作をロックする方法の一例は、乗り物の乗員と乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員の位置とシートベルトの位置とを識別することと、乗員の位置、シートベルトの位置及び参照モデルに少なくとも部分的に基づいて乗員がシートベルトを正しく着用しているかを判断することと、乗員がシートベルトを正しく着用していない場合に一つ以上の乗り物の操作をロックすることとを含む。
【0007】
乗り物の操作をロックするシステムの一例は、乗り物と関連する一つ以上の光センサと、一つ以上の光センサと通信するコンピューティング装置と、を含み、コンピューティング装置は、コンピューティング装置の操作を制御する一つ以上のプロセッサと、一つ以上のプロセッサによって用いられるデータとプログラム指令とを記憶するメモリと、を含み、一つ以上のプロセッサはメモリに記憶された指令を実施することで、一つ以上の光センサから受信した乗り物の乗員と乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて、乗員の位置とシートベルトの位置とを識別し、乗員の位置、シートベルトの位置及び参照モデルに少なくとも部分的に基づいて乗員がシートベルトを正しく着用しているかを判断し、乗員がシートベルトを正しく着用していない場合に一つ以上の乗り物の操作をロックするよう構成される。
【0008】
本明細書の説明は添付図面を参照してなされ、幾つかの図面に亘って同様の参照数字は同様の部分を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】シートベルトの状態に基づいて乗り物の操作をロックするコンピューティング装置の概略的ブロック図である。
【
図2】
図1のコンピューティング装置が用いる光センサを含む乗り物を図示したものである。
【
図3A】例示的実施形態による深度検知カメラの斜視図である。
【
図3B】例示的実施形態による、深度を判断するために深度検知カメラによって用いられる光パターンを図解したものである。
【
図5】例示的実施形態による、検知可能な、シートベルトを着用している乗り物の乗員、及び、骨格関節の関係を図示したものである。
【
図6】
図1のコンピューティング装置を用いて実施される工程例の論理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、車両又は乗り物の乗員(運転者など)が適切な位置でシートベルトを着用していない場合に(乗員がシートベルトを全く着用していない場合を含む)、車両又は乗り物の操作をロックする装置、システム、及び、方法を説明する。光センサは乗員上のシートベルトの位置を決定するために用いることができ、1つの実施例では、光センサは深度検知カメラである。別の例示的実施形態において、乗員とシートベルトを示す三次元モデルが描画される(rendered)。更に別の実施形態において、乗員がシートベルトを正しく着用しているかを決定するのに参照モデルが用いられる。更に別の実施形態において、乗り物の乗員がシートベルトを正しい位置で着用していない場合に、乗り物のイグニッションシーケンスの作動が妨げられる。別の例では、乗り物の乗員がシートベルトを正しい位置で着用していない場合に、自律走行する乗り物は自動的に道の端に寄せて停めることができる。別の例では、乗り物の操作のインターロックが有効にされる前に、乗り物は警告音を発する。
【0011】
図1は、シートベルトの嵌合及び位置に基づいて乗り物をインターロックする、コンピューティング装置100の概略的ブロック図である。コンピューティング装置100は乗り物搭載型、携帯型、デスクトップ型、その他のいかなる形式の単体のコンピューティング装置でもよく、又は、多数のコンピューティング装置から構成されてもよい。コンピューティング装置の処理ユニット102は、情報を操作又は処理可能な従来の中央演算装置(CPU)、又は、その他のいかなる形式の単体装置、或いは、多数の装置でもよい。コンピューティング装置のメモリ104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は、その他の適切な形式の記憶装置でもよい。メモリ104には、CPU102によってバス108を用いてアクセスされるデータ106を含めることができる。
【0012】
メモリ104には、オペレーションシステム110とインストール済みアプリケーション112も含めることができ、インストール済みアプリケーション112は、以下に記載するように、CPU102による乗り物の操作のインターロックの実施を可能にするプログラムを含む。また、コンピューティング装置100には、例えば、メモリカード、フラッシュドライブ、その他の形式のコンピュータ判読可能な媒体といった、セカンダリ、追加、又は、外部ストレージ114を含めることができる。1つの実施例において、インストール済みアプリケーション112の全体又は一部が外部ストレージ114に記憶され、処理の必要に応じてメモリ104にロードされてもよい。
【0013】
コンピューティング装置100は、運転者が乗り物を制御するのを可能にする一つ以上の乗り物のインタフェース又は車両インタフェース116と直接又は間接的に通信できる。乗り物のインタフェース116の例としては、ステアリングホイール117、シフトレバー(gear shift)118、イグニッションスイッチ119、ペダル120、その他の乗り物のインタフェース116があげられる。乗り物のインタフェース116は、例えば、運転者が乗り物に命令を出すことを可能にする対話型ディスプレイ121、又は、運転者の命令を受信するように構成された音声認識システム(図示せず)があげられる。コンピューティング装置100は、遠隔の装置またはサーバにデータを送受信できるように、通信インタフェース122を含んでいてもよい。
【0014】
コンピューティング装置100は、一つ以上のセンサ124と直接又は間接的に通信でき、一つ以上のセンサ124はカメラなどの光センサ126でもよい。これら光センサ126は、Shottonらに付与された米国特許第8,638,985号及びLattaらに付与された米国特許第8,487,938号に記載されたMicrosoft Kinect(登録商標)などの消費者製品に搭載されているような深度検知機能を含み、その内容は参照により本出願に完全に援用される。光センサ126は、画像データを撮像でき、画像データはバス108を介してコンピューティング装置100に送信されるか、又は、メモリ104又は外部ストレージ114に記憶され、コンピューティング装置100によって後から取り出されてもよい。
【0015】
図2は、
図1のコンピューティング装置が用いる光センサ126を含む乗り物200を図示したものである。コンピューティング装置100は、乗り物200内に配置されるか、乗り物200から遠隔にある別の場所に配置されてもよい。コンピューティング装置100は、乗り物200から遠隔にある場合、通信インタフェース122を用いて乗り物200と通信できる。1つの実施例によれば、一つ以上の光センサ126が、乗り物の乗員が光センサ126の視野に入るように、乗り物200の車室に配置される。
【0016】
1つの実施例において、乗員は乗り物200の運転者である。光センサ126は、運転者のコンソール又はダッシュボードの中央領域に配置されてもよく、概して運転者の頭上の視野を提供することができる。あるいは、又は、それに加えて、運転者及び/又は他の乗員についてより多面的な視界を提供するため、光センサ126は乗り物200の片方又は両方のAピラーに配置されてもよい。1つの実施例において、正面図ではシートベルトが乗員の体又は服によって不明瞭な場合でもシートベルトが視野内に入るように、一つ以上の光センサ126が例えば天井に埋め込まれるなど、乗員に対して高い地点に配置されてもよい。
【0017】
1つの実施例において、
図2に図解されるように、助手席又は後部座席に座る乗員を含むその他の乗客も監視するため、多数の光センサ126が乗り物200中の至る所に配置されてもよい。つまり、運転者又はその他の乗員がシートベルトを適切に着用してない場合に、乗り物の操作をロックすることができる。したがって、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、開示された実施例は乗り物200内の一人以上のいずれの人に対して採用されてもよく、対象者は運転者又は乗り物の他の乗員でもよい。よって、「乗員」及び「運転者」という用語は、本出願内で置き換え可能に使用される。
【0018】
光センサ126は、(RGBデータを撮像する)従来の写真カメラ、深度検知カメラ、又は、その両方の組み合わせでもよい。光センサ126を多数採用することで、コンピューティング装置100が一人以上の乗員を監視できるよう、より広い視野を提供できる。例えば、
図2は、乗り物200内の一人一人の乗員を監視するため、各座席の列に多数の光センサ126を有する乗り物200を示す。当然のことながら、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、使用する光センサ126の数を増減可能である。
【0019】
図3Aは、1つの実施例において、一つ以上の光センサ126として用いることができる深度検知カメラ300の斜視図である。深度検知カメラ300の例として、Microsoft Kinect(登録商標)などの製品があげられる。1つの実施例において、各深度検知カメラ300には、赤外線プロジェクタ302及び光検出器304を含めることができる。深度検知カメラ300には、また、RGBデータを撮像するための写真カメラ306も含めることができる。
【0020】
コンピューティング装置100に対して提供できるデータは、コンピューティング装置100が乗員及びシートベルトの三次元モデルを構築することを可能とし得るため、深度検知カメラ300は、乗員のシートベルトの使用を監視することが可能となる。つまり、深度検知カメラ300によって提供されたデータによって、弱光下でも、又、色や質感に関係なく、場面を正確に三次元描写することが可能になる。したがって、乗員が例えば、シートベルト、座席、又は、背景の他の部分と似たような色と質感のシャツを着ている場合でも、或いは、乗り物200の内部の照明が弱い場合でも、以下に詳細を記載するように、コンピューティング装置100は乗員とシートベルトの位置を決定できる。深度データがないRGBデータのみによる従来のパターン分析技術では、そのような場合に、乗員とシートベルトの境界を区別する、又は確かめるには充分ではない可能性がある。
【0021】
図3Bは、1つの実施例において、深度検知カメラ300によって深度を決定するのに用いられる光パターンを図解したものである。この例では、赤外線プロジェクタ302が、場面に亘り(across the scene)予め設定された焦点距離で、つまり、深度検知カメラ300の視野内に、所定の光パターン308を出力する。光パターン308は、場面内の物体に当たって反射し後方に散乱し、後方に散乱した光は光検知器304によって検知できる。コンピューティング装置100、又は深度検知カメラ300と関連する別のプロセッサは、この後方に散乱した光と赤外線プロジェクタ302によって出力された既知の当初の光パターン308とを比較できる。光パターン308は遠い距離を進むほど歪められるため、コンピューティング装置100又は深度検知カメラ300と関連する別のプロセッサは、光パターン308の後方散乱中に検知された歪み度合いに基づいて、視野の各部分までの距離を計算できる。これによって、三次元空間内の物体を明らかにできる。
【0022】
例えば、近くの物体310は、より遠くの物体316が反射する後方散乱314よりも歪みの少ない後方散乱312を反射する。同様に、ある物体についての光パターン308の歪みの変化で、赤外線プロジェクタ302からの相対距離に基づいて、この物体の輪郭が明らかになる。以下に詳細を記載するように、これら物体は深度検知カメラ300の視野内で視認できる人物の手足に相当し得る。上記操作が、コンピューティング装置100そのものによってではなく、深度検知カメラ300に関連した別のプロセッサによって実施される場合、結果として作成される三次元描画は、例えば、バス108又は通信インタフェース122を介して、コンピューティング装置100に送られてもよい。いずれの場合も、深度検知カメラ300によって提供される深度データによって、コンピューティング装置100は場面の三次元描画を取得または描画できる。
【0023】
多数の光センサ126が乗り物200の異なる箇所にある場合、写真カメラ306(
図3A)が深度を検知するのにも用いられてもよい。写真カメラ306を用いた深度の検知は、視差画像分析によって実現可能であり、これによって、コンピューティング装置100は多数の光センサ126から受信した立体入力に基づいて、場面内の物体の位置を三角測量することができる。このようにして、コンピューティング装置100は、場面の物体(乗員やシートベルトなど)を含んだ、場面の三次元描画を作成することができる。
【0024】
コンピューティング装置100が場面の三次元描画を取得すると、コンピューティング装置100は場面内の乗員とシートベルトとを識別することが可能になる。1つの実施例において、人の体の位置や動きの骨格モデルを格納した一つ以上のデータベースを参照することで、これが達成されうる。これらデータベースは、メモリ104内又は外部ストレージ114内に記憶されるか、又は、通信インタフェース122を用いて遠隔位置からアクセスされてもよい。
【0025】
図4は、骨格関節の関係を描写した骨格モデル400の例を図示したものである。1つの実装例において、骨格モデル400は三次元物体でもよい。データベースは、座位、特に乗り物の座席での座位、の骨格モデルを多数含んでいてもよい。データベースは、各種形式のシートベルトのモデル(図示せず)、及び、シートベルトを正しくそして間違った方法で着用した各種形式の骨格モデルを含んでいてもよい。最適なシートベルトの位置は各種体格及び体形などの要素に依存するため、一つ以上のデータベースに格納された骨格モデルは、各種体格及び体形を反映していてもよい。例えば、乗員が妊娠している場合(これは、場面の三次元描画に基づいて検知できるであろう)、シートベルトの正しい位置は異なることがある。骨格モデル400は、データベースに含まれうる骨格モデルの一例である。
【0026】
1つの実施例において、乗員の体格はコンピューティング装置100が乗り物の操作のインターロックを実行するかのファクターになることがある。例えば、コンピューティング装置100が乗員の体の寸法から、乗員が子供であることを検知した場合、このような乗員がシートベルトを正しく着用していない場合を想定して、コンピューティング装置100は乗り物の操作をロックしてもよい。一方、乗員が大人の場合、コンピューティング装置100は間違ったシートベルトの位置であっても無視し得る。
【0027】
図5は、シートベルト502を着用する乗り物の乗員500を図示したものである。場面の三次元描画と各種骨格モデルとの比較に基づいて、コンピューティング装置100は高い信頼性で(例えば、統計または確立分析を用いて)場面内の乗員500の関節や四肢(例えば、腕、肩、胸、胴など)を推定することができる。このように、コンピューティング装置100は、乗員500の骨格関節の関係を含んだ、乗員500の位置を決定することができる。同様に、データベースを参照して、コンピューティング装置100はシートベルト502を識別し、シートベルト502の位置、つまり、乗員500がどのようにシートベルト502を着用しているか、或いは、乗員500がシートベルト502を全く着用していないかを判断することができる。
【0028】
シートベルト502は、幾つかの構成要素を含むことがあり、各構成要素はコンピューティング装置100によって(上述した一つ以上のデータベースのシートベルトモデルを参照するなどして)識別できる。構成要素は、ショルダーハーネス504、ラップベルト506、タング508、及びバックル510を含むことができる。バックル510は、タング508がバックル510に差し込まれているかを検知するバックルセンサ512を含んでいてもよい。
【0029】
乗員500及びシートベルト502の位置と、シートベルトを正しくそして間違った位置に着用した参照骨格モデルとを比較することで、コンピューティング装置100は乗り物の操作がロックされるべきか否かを決定できる。例えば、間違ったシートベルトの位置には、推奨されるように乗員500の鎖骨中央の胸を横切るのではなく、乗員500の首やより低い位置で中央部を横切るショルダーハーネス504を含むことができる。また、間違ったシートベルトの位置には、乗員500の腕の下、又は乗員500の背中に配置されたショルダーハーネス504も含むことができる。
【0030】
コンピューティング装置100は、ラップベルト506又はショルダーハーネス504がねじれた場合、或いは、位置がずれた場合でも検知することができる。当然のことながら、シートベルト502が乗り物の側面から延長されていないことをコンピューティング装置100が検知した場合(乗員がシートベルト502を全く着用していないなど)にも、コンピューティング装置100は乗り物の操作をロックできる。したがって、1つの実施例において、シートベルト502が全くラッチされていないかどうかを判断するため、バックルセンサ512に問い合わせてもよい。その場合、コンピューティング装置100は光センサ126を用いることなく乗り物の操作をロックすることができ、コンピューティングリソースを節約できる。
【0031】
コンピューティング装置100がリアルタイムで位置情報を処理し、乗員500とシートベルト502の動きを追跡できるように、光センサ126は、映像ストリームによって一秒間に何回も(例えば、1秒間に60画像まで)コンピューティング装置100に画像情報を送信することができる。リアルタイムで動きを追跡することで、乗員500の体又はシートベルト502の一部が動作の間に不明瞭になっても、コンピューティング装置100は、乗員500及び/又はシートベルト502の最後の既知の位置に基づいて、乗員500及び/又はシートベルト502の確からしい位置を推定することもできる。これは、データベース内に骨格モデルの一部として動作情報を含むことで更に容易にされる。
【0032】
上述したように、コンピューティング装置100が乗員500(運転者又は他の乗員)がシートベルト502を正しく着用していないと判断した場合、乗り物の操作のインターロックを有効にでき、これによって、選択された乗り物の操作がロックされる。例えば、運転者がイグニッションスイッチ119を用いてエンジンのイグニッションシーケンスを開始するのを妨げたり、シフトレバー118を用いてパーキングギヤからドライブギヤに嵌合するのを妨げたりする。更に、乗り物の操作のインターロックを有効にするために、コンピューティング装置100によって一つ以上の確認動作を行うことができる。例えば、本発明の装置、システム、方法は、自律駆動の乗り物のシステムにも応用でき、自律駆動の乗り物のシステムは運転操作を制御して、運転者による能動的なハンドル操作及び/又は能動的制御なしでも乗り物200が自律走行することを可能にする。1つの実施例において、例えば、自律駆動機能を維持するために、運転者(乗員500として)はシートベルト502を締めた状態で座ったままでいることが求められるかもしれない。したがって、運転者が乗り物の操作中にシートベルト502のバックルをはずした場合、又は、シートベルト502の位置をずらした場合、乗り物200は運転者に対して、シートベルト502を再度掛けるよう聴覚又は視覚警告を伝えることができる。運転者が従わない場合、コンピューティング装置100は乗り物200を自動的に道の端に寄せて停車させ、運転者が乗り物200をそれ以上操作するのを妨げることができる。あるいは、コンピューティング装置100はオートマチック走行モードを無効にし、及び/又は、乗り物200をマニュアルモードに切り替えることができる。
【0033】
乗員500がシートベルト502を正しく着用していない際にロックされうるその他の乗り物の操作は、乗り物のマルチメディアシステム、又はその他の適切な乗り物のシステムを含んでもよい。更に、上述したように、乗り物の操作のインターロックは、運転者のみでなくほかの乗り物の乗員も扱うよう拡張されてもよい。つまり、上記実施例において、一人以上の乗客がそれぞれのシートベルトを正しく着用していない場合にも、運転者は選択した乗り物の操作に取り掛かれないようにしてもよい。
【0034】
図6は、実施例において、コンピューティング装置100によって実施される、シートベルトの位置に基づいた乗り物のインターロックの工程600の論理フローチャートの例である。ステップ602で、コンピューティング装置100は乗員500及びシートベルト502の位置を検知する。例えば、乗員500は乗り物の運転者又は乗客であってもよい。コンピューティング装置100は光センサ126から受信したデータに基づいて位置を検知するよう構成されてもよく、受信データとしては、上記詳述したように、写真又は映像データ、深度データ、三次元描画、或いは、これらの組み合わせがあげられる。更に、上記において詳述したように、コンピューティング装置100は、このステップにおいて、シートベルト502の位置を検知するためにバックルセンサ512から入力を受信してもよい(すなわち、シートベルト502が外されていることをバックルセンサ512が示した場合、シートベルト502が乗員500に配置されていないことが明らかとなる)。ステップ604で、コンピューティング装置100はシートベルト502が乗員500上に正しく位置しているかを判断する。正しく位置している場合、ステップ606で、選択された乗り物の操作が許可される。正しく位置していない場合、ステップ608で、選択された乗り物の操作がロックされる。
【0035】
1つの実施例において、工程600は、コンピューティング装置100が命令を受信することによって促される。例えば、運転者がイグニッションスイッチ119を用いてエンジンのイグニッションシーケンスの開始を試みると(又は、上述したように他の例)、その場合、工程600がトリガーされ、コンピューティング装置100がステップ602及び604に従ってシートベルト502の状態を検知する。別の実施例において、乗り物の操作のどこかで乗員500がシートベルト502の位置をずらした又はシートベルト502をはずした場合、コンピューティング装置100が選択された乗り物の操作をロックする是正措置をとれるよう、コンピューティング装置100はステップ602及びステップ604に従ってシートベルト502の状態を継続的に監視する。これら是正措置は、例としてのみあげると、乗り物を道の端まで自動的に走行させる、ギヤを外す、乗り物を駐停車させる、エンジンを止める、これらの組み合わせ、又は、選択した乗り物の操作をロックするその他の形式のいかなる動作を含んでいてもよい。加えて、上述したように、乗り物の操作のインターロックをせずに乗員500(又は、乗員500でない場合運転者)にシートベルト502の位置を直す機会を与えるために、コンピューティング装置100は、誤った位置にあるシートベルト502を検知した際に、是正的に乗り物の操作をロックする前に、聴覚又は視覚警告を出力してもよい。
【0036】
上述の説明は、現時点で最も現実的な実施形態及び実施例と考慮されるものに関する。しかしながら、本開示はこれら実施形態と実施例のみに限られるべきではなく、付属の請求項の精神と範囲に含まれる各種変形例及び等価配置を網羅するよう意図することが理解される。例えば、上述した実施形態及び実施例では、乗り物200は概して自動車として説明されている。しかしながら、乗り物200は自動車に限られず、説明したシステム及び方法は、例えば、航空機、船舶、電車など、運転者又は操作者によっておおよそ制御される他の乗り物においても実現され得る。したがって、該当法の元でこれら変形例や等価構成が認められるよう、本請求項の範囲には最も広い解釈が与えられる。
本開示は以下を含む。
構成1
乗り物のためのコンピューティング装置であって、
当該コンピューティング装置の操作を制御するための1又は複数のプロセッサと、
該1又は複数のプロセッサによって使用されるデータ及びプログラム指令を記憶するためのメモリと、を具備し、前記1又は複数のプロセッサは、前記メモリに記憶された指令を実行して、
前記乗り物の乗員及び該乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員の位置及びシートベルトの位置を識別し、
少なくとも部分的に、前記乗員の位置、前記シートベルトの位置及び参照モデルに基づいて前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断し、且つ、
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックするように構成された、コンピューティング装置。
構成2
前記乗員及び前記シートベルトに関する前記情報が、前記乗り物に関連付けられた1又は複数の光センサから受信される、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成3
前記1又は複数の光センサがカメラである、構成2に記載のコンピューティング装置。
構成4
前記1又は複数の光センサが深度検知カメラである、構成2に記載のコンピューティング装置。
構成5
前記1又は複数のプロセッサが、更に、前記乗員の位置と前記シートベルトの位置とを示す三次元モデルを描画するように構成された、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成6
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断することが、少なくとも部分的に、前記三次元モデルと前記参照モデルとの比較に基づく、構成5に記載のコンピューティング装置。
構成7
前記三次元モデル及び前記参照モデルの少なくとも一方が、骨格関節の関係の情報を有する、構成5に記載のコンピューティング装置。
構成8
前記参照モデルが、遠隔送信元から当該コンピューティング装置によって受信される、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成9
前記1又は複数の乗り物の操作が、イグニッション操作及びギヤシフト操作の少なくとも一方を含む、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成10
前記1又は複数の乗り物の操作が自律運転操作を含む、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成11
前記1又は複数のプロセッサが、更に、1又は複数の乗り物のシステムに対して1又は複数の命令を出し、前記乗り物を自律的に安全な場所へと回避させるように構成された、構成10に記載のコンピューティング装置。
構成12
前記1又は複数のプロセッサが、更に、前記1又は複数の乗り物の操作をロックする前に、警告を出すように構成された、構成1に記載のコンピューティング装置。
構成13
乗り物のためのコンピュータにより実施される方法であって、
前記乗り物の乗員及び前記乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員の位置及びシートベルトの位置を識別することと、
少なくとも部分的に、前記乗員の位置、前記シートベルトの位置及び参照モデルに基づいて、前記乗員が前記シートベルトを正しく着用しているかどうかを判断することと、
前記乗員が前記シートベルトを正しく着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックすることと、を含む方法。
構成14
前記乗員及び前記シートベルトに関する前記情報が、前記乗り物に関連付けられた1又は複数の光センサから受信される、構成13に記載の方法。
構成15
前記1又は複数の光センサが深度検知カメラである、構成14に記載の方法。
構成16
前記乗員の位置及び前記シートベルトの位置を示す三次元モデルを描画することを更に含む、構成13に記載の方法。
構成17
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断することが、少なくとも部分的に、前記三次元モデルと前記参照モデルとの比較に基づく、構成16に記載の方法。
構成18
前記三次元モデル及び前記参照モデルの少なくとも一方が、骨格関節の関係の情報を有する、構成16に記載の方法。
構成19
前記1又は複数の乗り物の操作が、イグニッション操作、ギヤシフト操作及び自律運転操作の少なくとも1つを含む、構成13に記載の方法。
構成20
システムであって、
乗り物に関連付けられた1又は複数の光センサと、
該1又は複数の光センサと通信するコンピューティング装置であって当該コンピューティング装置の操作を制御するための1又は複数のプロセッサと該1又は複数のプロセッサによって使用されるデータ及びプログラム指令を記憶するためのメモリとを有するコンピューティング装置と、具備し、前記1又は複数のプロセッサが、前記メモリに記憶された指令を実行して、
前記1又は複数の光センサから受信された、前記乗り物の乗員及び該乗員に関連付けられたシートベルトに関する情報に基づいて乗員の位置及びシートベルトの位置を識別し、
少なくとも部分的に、前記乗員の位置、前記シートベルトの位置及び参照モデルに基づいて、前記乗員が正しく前記シートベルトを着用しているかどうかを判断し、
前記乗員が正しく前記シートベルトを着用していない場合には1又は複数の乗り物の操作をロックするように構成された、システム。