特許第6360023号(P6360023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360023
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】板体取付用補助具
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20180709BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H02B3/00 C
   H05K5/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-205640(P2015-205640)
(22)【出願日】2015年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-79516(P2017-79516A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷崎 一也
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−161600(JP,A)
【文献】 特開2012−167706(JP,A)
【文献】 実公昭40−1626(JP,Y2)
【文献】 実開昭49−114671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 〜 1/38
H02B 1/46 〜 7/08
H05K 5/00 〜 5/06
B65G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板体の取り付けに用いられる補助具であって、
前記板体は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有する平板状であり、前記第1面から前記第2面まで前記板体を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されており、
前記第1面に面接触可能な第1の押え板と、
前記第2面に面接触可能な第2の押え板と、
前記第1の押え板に対して相対移動不能に設けられ、前記貫通孔を貫通可能な棒状の貫通部材と、
前記第1の押え板および前記貫通部材に対する前記第2の押え板の相対位置を変更可能な位置変更部とを備える、板体取付用補助具。
【請求項2】
前記位置変更部は、作業員が把持する把持部を有し、
前記把持部を作業員が把持することにより、前記第1の押え板および前記貫通部材に対する前記第2の押え板の相対位置が変更される、請求項1に記載の板体取付用補助具。
【請求項3】
前記把持部を作業員が把持することにより、前記第1の押え板および前記貫通部材が、前記第2の押え板から離れる方向に移動する、請求項2に記載の板体取付用補助具。
【請求項4】
前記第2の押え板には、前記第2の押え板を厚み方向に貫通する押え板貫通孔が形成されており、
前記貫通部材は、前記押え板貫通孔を貫通して、前記貫通部材の先端が前記第2の押え板から突出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の板体取付用補助具。
【請求項5】
前記第1の押え板を前記第2の押え板に接近する方向に付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の板体取付用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板体取付用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空遮断器の正面カバーの台車への取り付けに関し、取手を正面カバーに固定して、取手の取付部を台車に設けた穴に挿通して正面カバーの位置決めと保持を行なう技術が提案されている(たとえば、特開2013−161600号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−161600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御盤の筐体を組み付ける際、従来は、1人の作業員が筐体のカバーを保持してフレームに対するカバーの位置決めをし、カバーを位置決めした状態で他の1人の作業員がボルトを用いてカバーのフレームへの固定を行なっていた。カバー自体は1人の作業員が取り扱える程度の重量および寸法を有している場合にも、フレームへカバーを取り付ける作業には2人の作業員が必要であり、工数が増加する問題があった。
【0005】
上記の特許文献1に記載の技術は、組立後の製品に取手を設ける場合には有用であるが、制御盤のカバーには取手が設けられないため、制御盤のフレームにカバーを取り付ける作業には特許文献1に記載の技術を適用できない。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、板体を他の部材に取り付ける作業を容易にできる、板体取付用補助具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る板体取付用補助具は、板体の取り付けに用いられる補助具である。板体は、第1面と、第1面と反対側の第2面と、を有する平板状である。板体には、第1面から第2面まで板体を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。板体取付用補助具は、第1の押え板と、第2の押え板と、貫通部材と、位置変更部とを備えている。第1の押え板は、板体の第1面に面接触可能である。第2の押え板は、板体の第2面に面接触可能である。貫通部材は、棒状に形成されている。貫通部材は、第1の押え板に対して相対移動不能に設けられている。貫通部材は、板体の貫通孔を貫通可能である。位置変更部は、第1の押え板および貫通部材に対する第2の押え板の相対位置を変更可能である。
【0008】
上記板体取付用補助具において好ましくは、位置変更部は、作業員が把持する把持部を有している。把持部を作業員が把持することにより、第1の押え板および貫通部材に対する第2の押え板の相対位置が変更される。
【0009】
上記板体取付用補助具において好ましくは、把持部を作業員が把持することにより、第1の押え板および貫通部材が、第2の押え板から離れる方向に移動する。
【0010】
上記板体取付用補助具において好ましくは、第2の押え板には、第2の押え板を厚み方向に貫通する押え板貫通孔が形成されている。貫通部材は、押え板貫通孔を貫通して、貫通部材の先端が第2の押え板から突出する。
【0011】
上記板体取付用補助具は、好ましくは、第1の押え板を第2の押え板に接近する方向に付勢する付勢部材をさらに備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、板体を他の部材に取り付ける作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態の板体取付用補助具の構成の概略を示す模式図である。
図2図1に示す板体取付用補助具の、押え板を相対移動させた状態を示す模式図である。
図3】2つの押え板の間にカバーを配置した状態を示す模式図である。
図4図3を異なる角度から見た状態を示す模式図である。
図5】2つの押え板によりカバーを挟持した状態を示す模式図である。
図6図5を異なる角度から見た状態を示す模式図である。
図7】板体取付用補助具で保持したカバーを制御盤に取り付ける状態を示す模式図である。
図8】板体取付用補助具で保持したカバーを制御盤に取り付ける状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、本実施の形態の板体取付用補助具1の構成の概略を示す模式図である。図1に示すように、板体取付用補助具1は、柄部2を備えている。柄部2は、湾曲した棒状の形状を有している。柄部2の湾曲の外側が、板体取付用補助具1の外表面の一部を構成している。柄部2は、板体取付用補助具1を取り扱う作業員が片手で把持可能な形状および寸法を有している。
【0016】
柄部2の両端に、一対のレール部9が取り付けられている。レール部9は、柄部2の湾曲の内側に取り付けられている。レール部9,9は、互いに平行に配置されている。レール部9は、たとえばCチャンネル状の形状を有している。レール部9,9は、Cチャンネル形状の溝部分が互いに向き合うように配置されている。レール部9の一端部は、柄部2に固定されている。
【0017】
レール部9,9の他端に、押え板6が固定されている。押え板6は、平板状の形状を有しており、図1中の上下方向、および図1中の紙面垂直方向に延在している。柄部2、レール部9,9および押え板6は、一体の枠状の形状を形成しており、板体取付用補助具1の外郭を形成している。押え板6には、厚み方向に押え板6を貫通する貫通孔6hが形成されている。本実施の形態の押え板6には、2つの貫通孔6hが形成されている。
【0018】
レール部9,9の溝部内に、レバー5が嵌め入れられている。レバー5は、矩形枠状の形状を有している。レバー5は、矩形枠の長辺を構成する一対の長辺部と、矩形枠の短辺を構成する一対の短辺部とを有している。レバー5の短辺部は、レバー5の端部5eを構成している。レバー5の両方の端部5eは、レール部9の内部に配置されている。レバー5は、レール部9の延びる方向に沿って、レール部9に対してスライド移動可能に設けられている。レバー5には、中央部分に、中空空間5aが形成されている。中空空間5aは、一対の長辺部および一対の短辺部によって周囲を取り囲まれている。
【0019】
レバー5の長辺部の一方は、柄部2に向いている。レバー5の長辺部の他方は、押え板6に向いている。レバー5の長辺部の他方の、押え板6に向く面に、2つの連結部4aと、連結部8aとが固定されている。2つの連結部4aと連結部8aとは、押え板6に対向するレバー5の表面から、押え板6に向かって突き出している。
【0020】
連結部4aには、貫通部材4が固定されている。貫通部材4は、棒状の形状を有している。貫通部材4は、連結部4aに対してレバー5から離れる方向に突き出るように、連結部4aに固定されている。2つの連結部4a,4aに固定された貫通部材4,4は、互いに平行に設けられている。貫通部材4は、押え板6の延びる方向に直交する方向に延びている。貫通部材4の延在方向は、レール部9に対して平行に延びている。図1に示す配置において、貫通部材4は、押え板6に形成された貫通孔6hを貫通している。棒状の貫通部材4は、連結部4aに固定された基端と、基端と反対側の先端4tとを有している。貫通部材4の先端4tは、押え板6から突出している。
【0021】
連結部8aには、押え板8が固定されている。押え板8は、平板状の形状を有しており、図1中の上下方向、および図1中の紙面垂直方向に延在している。押え板8は、押え板6と平行に配置されている。押え板6と押え板8とは、間隔を空けて配置されている。貫通部材4と押え板8とは、レバー5、連結部4aおよび連結部8aを介して、一体の構造物を形成している。貫通部材4は、押え板8に対して相対移動不能に設けられている。
【0022】
レール部9の溝部内にはまた、ばね部材7が配置されている。ばね部材7の一端は、押え板6に固定されている。ばね部材7の他端は、レバー5の端部5eに固定されている。ばね部材7は、押え板6とレバー5との間に配置されている。ばね部材7は、レール部9の延在方向に沿って配置されている。図1に示すばね部材7は、自然長を有している。
【0023】
図2は、図1に示す板体取付用補助具1の、押え板8を押え板6に対して相対移動させた状態を示す模式図である。板体取付用補助具1を取り扱う作業員は、指先をレバー5の中空空間5aに挿し入れて、柄部2とレバー5との両方を握り込む。この動作によって、レバー5が、レール部9に沿って、柄部2に近づき押え板6から離れる方向に、移動する。レバー5の移動に伴って、レバー5、貫通部材4および押え板8が一体となった構造物が、柄部2に近づき押え板6から離れる方向に、移動する。作業員がレバー5を把持する動作によって、押え板8および貫通部材4に対する押え板6の相対位置が、変更されている。
【0024】
貫通部材4は、図1では押え板6に形成された貫通孔6hを貫通して配置されているが、レバー5の操作によって移動することにより、図2では貫通孔6hから抜き出されている。図2に示す配置において、貫通部材4の先端4tは、押え板6の、柄部2側に向く面と、対向している。押え板6の柄部2側に向く面と、貫通部材4の先端4tとの間には、隙間が形成されている。
【0025】
ばね部材7は、レバー5に固定された端部がレバー5の移動に伴って移動する一方、押え板8に固定された端部は移動しない。そのため、図2に示すばね部材7は、図1に示す自然長の状態と比較して、その長さが増大している。図2中の左右方向に伸長するように変形したばね部材7が自然長に復元しようとする弾性力によって、レバー5は、押え板6に接近する方向に付勢される。ばね部材7は、レバー5に固定された押え板8を、押え板6に接近する方向に、付勢する。
【0026】
図3は、押え板6と押え板8との間にカバー10を配置した状態を示す模式図である。図4は、図3を異なる角度から見た状態を示す模式図である。カバー10は、本実施の形態の板体取付用補助具1を用いて取り付けられる板体の一例である。
【0027】
カバー10は、制御盤の筐体の前面または側面を構成する金属製の板材である。カバー10は、制御盤のフレームを構成する矩形枠体に、ボルトで締結されることによって、固定される。カバー10は、平板状の形状を有している。カバー10は、第1面12と、第1面12と反対側の第2面13とを有している。カバー10は、第1面12が押え板8側に向き、第2面13が押え板6側に向くように、配置されている。
【0028】
図2を参照して説明したレバー5の移動によって、上述したように、貫通部材4の先端4tと押え板6との間に中空の空間が形成される。この空間に、後述する制御盤20の壁面を成すカバー10を配置することにより、図3,4に示すような板体取付用補助具1に対するカバー10の配置が実現される。
【0029】
図2に示すようにレバー5を移動させた状態で、押え板8と、レール部9と、押え板6とは、図4に示すように角張ったC字状の形状を構成している。押え板8とレール部9と押え板6とによって三方が囲まれた空間内に、角張ったC字状の開口からカバー10を当該空間内に挿し入れることで、図3,4に示すような板体取付用補助具1に対するカバー10の配置が実現される。
【0030】
カバー10には、第1面12から第2面13までカバー10を厚み方向に貫通する複数の貫通孔11が形成されている。貫通孔11は、カバー10に形成された貫通孔のうち、板体取付用補助具1へのカバー10の取り付けに伴って貫通部材4が貫通する貫通孔を示す。貫通孔11は、貫通部材4と同数形成されている。本実施の形態では、カバー10には2つの貫通孔11が形成されている。カバー10は、貫通孔11が押え板6の貫通孔6hと重なるように、押え板6に対して位置決めされている。
【0031】
図5は、押え板6と押え板8によりカバー10を挟持した状態を示す模式図である。図6は、図5を異なる角度から見た状態を示す模式図である。
【0032】
図3,4に示す状態において、作業員がレバー5から手を放すと、ばね部材7がレバー5を付勢する弾性力の作用により、レバー5と、レバー5に固定された貫通部材4および押え板8とが、押え板6に近づく方向に移動する。押え板8の移動によって、カバー10の第1面12に押え板8が面接触する。押え板8がカバー10の第1面12を押圧することにより、カバー10もまた、押え板6に近づく方向に移動する。カバー10の移動によって、カバー10の第2面13に押え板6が面接触する。このようにして、図5,6に示す、押え板6および押え板8によってカバー10が両面から挟持された構成が実現される。
【0033】
このとき貫通部材4は、カバー10に形成された貫通孔11と、押え板6に形成された貫通孔6hとの、両方を貫通して配置されている。貫通部材4の、連結部4aに固定された基端は、カバー10と押え板6との積層構造に対して、レバー5により近い側に配置されている。貫通部材4の基端は、カバー10と押え板6との積層構造に対して、柄部2により近い側に配置されている。
【0034】
貫通部材4の、基端と反対側の先端4tは、カバー10と押え板6との積層構造に対して、レバー5から離れる側に配置されている。貫通部材4の先端4tは、カバー10と押え板6との積層構造に対して、柄部2から離れる側に配置されている。貫通部材4の先端4tは、押え板6から突出している。貫通部材4の先端4tと、レバー5との間に、カバー10および押え板6が介在している。
【0035】
貫通部材4がカバー10の貫通孔11を貫通した状態で、カバー10は板体取付用補助具1によって保持されている。2つの貫通部材4が、カバー10の2つの貫通孔11をそれぞれ貫通していることにより、カバー10は、板体取付用補助具1に対して位置決めされている。カバー10の厚み方向に見て、貫通孔11と、貫通部材4の先端4tとは、同じ位置に配置されている。
【0036】
図7は、板体取付用補助具1で保持したカバー10を制御盤20に取り付ける状態を示す模式図である。制御盤20には、複数のボルト穴21が形成されている。ボルト穴21の内周面には、めねじ形状が形成されている。図示しないボルトがカバー10に形成された貫通孔を貫通して、当該ボルトのねじ部がボルト穴21に締結されることにより、カバー10は制御盤20に取り付けられる。
【0037】
上述したように、カバー10が板体取付用補助具1に取り付けられた状態で、貫通部材4の先端4tは、押え板6から突出している。貫通部材4は、ボルト穴21に形成されためねじ形状の内径よりも、小さい外径を有している。貫通部材4は、ボルト穴21内に挿し入れることが可能な寸法および形状を有している。
【0038】
図7に示す、貫通部材4の先端4tをボルト穴21に挿し入れた状態で、カバー10の厚み方向に見て、貫通部材4の先端4tと、ボルト穴21とは、同じ位置に配置されている。カバー10の厚み方向に見て、カバー10に形成された貫通孔11と、制御盤20に形成されたボルト穴21とは、同じ位置に配置されている。カバー10は、貫通孔11の位置がボルト穴21の位置に合わせられるように、制御盤20に対して位置決めされている。
【0039】
図8は、図7と同様に、板体取付用補助具1で保持したカバー10を制御盤20に取り付ける状態を示す模式図である。図8に示すカバー10は、図7を参照して説明したように、板体取付用補助具1によって保持されており、制御盤20に対して位置決めされている。
【0040】
図8に示す貫通孔14は、カバー10に形成された貫通孔のうち、板体取付用補助具1の貫通部材4が貫通していない貫通孔を示す。板体取付用補助具1を用いてカバー10を制御盤20に対して位置決めすることにより、貫通孔14は、カバー10の厚み方向に見て、図8中には図示しない制御盤20のボルト穴21と同じ位置に配置されている。カバー10は、貫通孔14の位置がボルト穴21の位置に合わせられるように、制御盤20に対して位置決めされている。
【0041】
図示しないボルトがカバー10に形成された貫通孔14を貫通して、当該ボルトのねじ部がボルト穴21に締結されることにより、カバー10は制御盤20に取り付けられる。複数の貫通孔14においてカバー10を制御盤20にボルトを用いて締結した後に、作業員は、図2,3に示すように、再度レバー5を把持して押え板6に対して押え板8および貫通部材4を相対移動する。これにより、カバー10の貫通孔11から貫通部材4が抜き出されるととともに、カバー10が2枚の押え板6,8によって挟持されていない状態になる。この状態で、カバー10と制御盤20との間の隙間から押え板8を抜き取るように板体取付用補助具1を移動することにより、板体取付用補助具1のカバー10に対する係合が完全に外れる。
【0042】
その後、露出した貫通孔11にボルトを貫通させて当該ボルトをボルト穴21に締結することにより、カバー10は、貫通孔11の形成されている位置と貫通孔14の形成されている位置との全てにおいて、制御盤20に取り付けられる。このようにして、制御盤20に対するカバー10の固定が完了する。
【0043】
一方、カバー10を制御盤20から取り外すときにも、板体取付用補助具1を使用可能である。この場合は、貫通孔11からボルトを取り外して、貫通孔11の形成されている位置においてカバー10と制御盤20との間に隙間を形成する。この隙間に、作業員がレバー5を把持した状態で、押え板6を差し入れる。レバー5の把持を解除して、貫通部材4を、カバー10の貫通孔11と押え板6の貫通孔6hとの両方を貫通させる。この状態で作業員は、柄部2を把持しながら貫通孔14からボルトを取り外す。ボルトが全て取り外されると、板体取付用補助具1によって保持された状態のカバー10が、制御盤20から取り外された状態になる。
【0044】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
【0045】
本実施の形態の板体取付用補助具1は、制御盤20のカバー10に代表される板体を他の部材に取り付ける際に用いられる補助具である。図3に示すように、カバー10は、第1面12と、第1面12と反対側の第2面13とを有する平板状である。カバー10には、第1面12から第2面13までカバー10を厚み方向に貫通する貫通孔11が形成されている。板体取付用補助具1は、図1に示すように、押え板8と、押え板6とを備えている。図5に示すように、押え板8は、カバー10の第1面12に面接触可能である。押え板6は、カバー10の第2面13に面接触可能である。
【0046】
板体取付用補助具1はまた、図1に示すように、棒状の貫通部材4を備えている。貫通部材4は、押え板8に対して相対移動不能に設けられている。図5に示すように、貫通部材4は、カバー10に形成された貫通孔11を貫通可能である。板体取付用補助具1はまた、レバー5を備えている。レバー5は、図1,2に示すように、押え板8および貫通部材4に対する押え板6の相対位置を変更可能な位置変更部として機能している。
【0047】
押え板8および貫通部材4を、図1に示す配置から、押え板6に対する相対位置を変更した図2に示す配置にすることにより、図3,4に示すように、貫通部材4の先端4tと押え板6との間に、カバー10を配置できる。その後、押え板8および貫通部材4を元の位置に戻すことにより、図5,6に示すように、押え板6と押え板8との間にカバー10が挟持されるとともに、カバー10の貫通孔11を貫通部材4が貫通した状態になる。
【0048】
これにより、カバー10が板体取付用補助具1によって保持されるので、作業員は、板体取付用補助具1の柄部2を片手で把持しながら、カバー10を制御盤20に取り付けることができる。したがって、カバー10を制御盤20に取り付ける作業を容易に行なうことができる。一人の作業員がカバー10の保持および位置決めと取り付け作業との両方を同時に行なうことができるので、カバー10を制御盤20に取り付ける作業に要する工数を低減することができる。
【0049】
また図1に示すように、レバー5は、作業員が把持する把持部として機能している。図1,2に示すように、レバー5の中空空間5aに作業員が指を差し入れてレバー5と柄部2とを把持することにより、レバー5が移動する。押え板8および貫通部材4はレバー5に固定されているので、レバー5の移動に伴って、押え板8および貫通部材4に対する押え板6の相対位置が変更される。このようにすれば、作業員がレバー5を把持する簡単な操作によって、押え板8および貫通部材4に対する押え板6の相対位置を、容易に変更することができる。
【0050】
また図1,2に示すように、レバー5の中空空間5aに作業員が指を差し入れてレバー5と柄部2とを把持することにより、レバー5が押え板6から離れる方向に移動する。押え板8および貫通部材4はレバー5に固定されているので、レバー5の移動に伴って、押え板8および貫通部材4が、押え板6から離れる方向に移動する。このようにすれば、作業員がレバー5を把持する簡単な操作によって、押え板8および貫通部材4が押え板6から離れた図2に示す配置、すなわち、図3,4に示す貫通部材4の先端4tと押え板6との間にカバー10を配置可能な配置を、容易に実現することができる。
【0051】
また図1に示すように、押え板6には、押え板6を厚み方向に貫通する貫通孔6hが形成されている。図1,5に示すように、貫通部材4は、貫通孔6hを貫通しており、貫通部材4の先端4tが押え板6から突出している。このようにすれば、図7に示すように、貫通部材4の先端4tを制御盤20のボルト穴21に挿し入れることによって、制御盤20に対するカバー10の位置決めが行なわれる。これにより、カバー10に形成された貫通孔11と、制御盤20のボルト穴21との位置を、簡単に合わせることができる。このように位置決めされた状態で、貫通孔11を貫通してボルトをボルト穴21に締結することで、カバー10を制御盤20に取り付ける作業を容易に行なうことができる。
【0052】
また図1,2に示すように、板体取付用補助具1は、ばね部材7をさらに備えている。ばね部材7は、押え板8を押え板6に接近する方向に付勢する付勢部材としての機能を有している。このようにすれば、作業員がレバー5に力を作用することで押え板8を押え板6から離れる方向に移動させ、図3に示すように押え板6と押え板8との間にカバー10を配置することができ、作業員がレバー5に力を作用しなくなるとばね部材7の弾性力によって押え板8が押え板6に接近する方向に移動して、押え板8と押え板6との間にカバー10が挟持される。カバー10を板体取付用補助具1に取り付けた状態を維持するための力を作業員が作用する必要がない。したがって作業員は、板体取付用補助具1の柄部2を片手で把持しながら、カバー10を制御盤20に取り付ける作業を容易に行なうことができる。
【0053】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 板体取付用補助具、2 柄部、4 貫通部材、4a,8a 連結部、4t 先端、5 レバー、5a 中空空間、5e 端部、6,8 押え板、6h,11,14 貫通孔、7 ばね部材、9 レール部、10 カバー、12 第1面、13 第2面、20 制御盤、21 ボルト穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8