(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出部材は、前記コントロールケーブルが前記取付対象物によって所定の形態で保持された状態で、前記コントロールケーブルの軸方向に沿った荷重を前記コントロールケーブルに負荷させたときに、前記保持状態を解除可能な
請求項1に記載のコントロールケーブル。
請求項1から請求項4のいずれかに記載のコントロールケーブルと、前記コントロールケーブルが取り付けられる取付対象物とを備えたコントロールケーブルの取付構造であって、
前記インナーケーブルの両端部に固定部を有し、
前記固定部の一方である一方側固定部が前記取付対象物に固定され、
前記インナーケーブルの他方の端部に有する前記突出部材が、前記固定部の他方である他方側固定部が、前記取付対象物に固定される固定箇所とは異なる位置に設けられた係止可能箇所に、係止解除可能に係止されて、前記コントロールケーブルが前記取付対象物に一時的に保持された、コントロールケーブルの取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のコントロールケーブルおよびコントロールケーブルの取付構造を説明する。なお、以下に示す実施形態では、車両に取り付けられる車両用のコントロールケーブルを例にあげて説明するが、本発明のコントロールケーブルおよびコントロールケーブルの取付構造は、コントロールケーブルの一端から他端に操作力を伝達する、車両以外の他の構造に適用することができ、その用途は特に限定されるものではない。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態のコントロールケーブル1の取付構造Sは、コントロールケーブル1と、コントロールケーブル1が取り付けられる取付対象物B(例えば
図4参照)とを備えている。ここで、「取付対象物」とは、コントロールケーブル1の少なくとも一端が取り付けられる対象をいう。取付対象物の種類や構造は特に限定されず、例えば、コントロールケーブル1が取り付けられる装置や機構の、筐体、枠体、および、これらに設けられた部品等とすることができる。本実施形態では、車両の車体が取付対象物B(以下、取付対象物Bを車体Bと呼ぶ場合がある)として示されている。本実施形態では、
図1に示されるように、コントロールケーブル1の一端は、取付対象物Bの一部である操作部B1に連結され、コントロールケーブル1の他端は、取付対象物Bの一部である被操作部B2に連結される。なお、取付対象物Bは、一部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよく、例えば、ある取付対象物にコントロールケーブル1の一端が取り付けられ、他の取付対象物にコントロールケーブル1の他端が取り付けられてもよい。
【0013】
コントロールケーブル1は、その両端のいずれか一方側に加えられた操作力を他方側に伝達する。コントロールケーブル1は、例えば、
図1に示されるように、操作部B1および被操作部B2との間の所定の配索経路に沿って配索され、操作部B1側において加わった操作力を、コントロールケーブル1を介して被操作部B2側に伝達する。なお、本実施形態では、操作部B1側を車体Bの運転席に設けられたシフトレバー側とし、被操作部B2側を車体Bのエンジンルーム内に設けられたトランスミッション側として説明する。しかし、操作部B1および被操作部B2は、車両の他の部位であってもよいし、車両以外の他の取付対象物の一部としてもよい。
【0014】
本実施形態のコントロールケーブル1は、
図1に示されるように、アウターケーシング2と、インナーケーブル3と、インナーケーブル3の端部に設けられた、取付対象物Bに固定される固定部4(
図2参照)とを有している。また、本実施形態では、
図1に示されるように、コントロールケーブル1は、アウターケーシング2の中間部に、車体Bの室内側と室外側との間に設けられ、室内側への水の浸入を防止するグロメット5をさらに備えている。なお、グロメット5は、本発明においては任意であり、必ずしも設ける必要はない。
【0015】
アウターケーシング2は、両端に開口部と、開口部を連通させる中空部とを有し、インナーケーブル3を摺動可能に収容する部材である。アウターケーシング2の両端には、アウターケーシング2の一端および他端を取付対象物B(例えば、車体Bに設けられたブラケット等)に固定する一端側端末固定部材21および他端側端末固定部材22が設けられている。一端側端末固定部材21および他端側端末固定部材22の構造は、アウターケーシング2の両端を固定することができれば、特に限定されず、公知の構造を用いることができるため、詳細な説明は省略する。なお、本明細書において、「アウターケーシング」は、アウターケーシング2の本体だけでなく、その端部に一体的に設けられる他の部材、例えば上記の端末固定部材21、22などを含む。
【0016】
インナーケーブル3は、アウターケーシング2の中空部に摺動可能に挿通されている。インナーケーブル3は一端31および他端32が、取付対象物B(特に操作部B1および被操作部B2)にそれぞれ接続され、インナーケーブル3の一端31および他端32の少なくとも一方が操作されることにより、アウターケーシング2内を摺動し、他方側へ操作力を伝達する。なお、本明細書において、「インナーケーブル」は、ワイヤ状の部分だけでなく、インナーケーブル3の端部側に設けられた固定部4など、インナーケーブル3のワイヤ状の部分とともに、インナーケーブル3のアウターケーシング2に対する相対移動に伴って移動する他の部材も含む。
【0017】
インナーケーブル3の一端31および他端32を取付対象物Bに連結するために、アウターケーシング2の先端から延出したインナーケーブル3の端部には、固定部4が設けられている。本実施形態では、
図1に示されるように、コントロールケーブル1は、インナーケーブル3の両端部に固定部4を有し、固定部4の一方である一方側固定部41と、固定部4の他方である他方側固定部42とを有している。より具体的には、本実施形態では、インナーケーブル3の一端31側に設けられた一方側固定部41は、取付対象物Bの操作部B1側に、インナーケーブル3の他端32側に設けられた他方側固定部42は被操作部B2側に、それぞれ公知の固定手段により固定される。これにより、例えば、インナーケーブル3の一端31側が引き操作(または押し引き操作)されると、インナーケーブル3の他端32側が操作される。より具体的には、本実施形態では、操作部B1(例えばシフトレバー)が操作されることにより、インナーケーブル3の一端31側が引き操作され、その引き操作がインナーケーブル3の他端32側に伝達されて被操作部B2(例えばトランスミッション)が操作される。
【0018】
固定部4は、インナーケーブル3の端部を取付対象物Bに固定する部位である。固定部4の材料は、インナーケーブル3の端部を固定することができる所定の剛性を有していれば、特にその材料は限定されず、例えば、金属や樹脂を材料とすることができる。また、固定部4の形状は、インナーケーブル3の端部を取付対象物Bに固定することができれば、その形状は特に限定されない。本実施形態では、
図1および
図2に示されるように、ロッド状の固定ロッドが用いられている。より具体的には、
図2に示されるように、固定部4となる固定ロッドは、一端側にインナーケーブル3のワイヤ状の部分の端末3Eが固定される細長いロッド部4aと、ロッド部4aの他端側に形成され、ロッド部4aの軸方向に対して交差する方向に、ロッド部4aに対して拡幅する拡幅部4bとを有している。拡幅部4bには、固定部4を取付対象物Bに固定するために、ボルト等の固定部材(図示せず)が挿入される固定孔4cが形成されている。固定部4の端末3Eへの取り付けは、例えば、アウターケーシング2にインナーケーブル3のワイヤ状の部分を挿通した後、アウターケーシング3の開口部から露出した端末3Eをロッド部4aに形成された挿通穴に挿入し、ロッド部4aの外周を加締めることで行われる。
【0019】
また、本実施形態のコントロールケーブル1は、
図1および
図2に示されるように、アウターケーシング2から延出したインナーケーブル3を覆うブーツ6を備えている。ブーツ6の形状は、インナーケーブル3を内部に収容できるように、
図2に示されるように、中空の略筒状に形成され、ブーツ6の内部に収容されたインナーケーブル3を、例えば外部の埃や水分などから保護している。なお、本実施形態では、ブーツ6はインナーケーブル3の他端32側のみに設けられているが、インナーケーブル3の両端に設けられていてもよい。
【0020】
ブーツ6は、
図2に示されるように、ブーツ6の一方の端部に設けられ、開口A1を有する取付部61と、他方の端部に設けられ、開口A2を有する開口端部62と、ブーツ6の両端部の間に設けられ、伸縮可能な蛇腹部Beと両開口A1、A2に連通する連通路Cとを有する中間部63とを有している。ブーツ6の取り付けは、例えば、上述した固定部4の端末3Eへの取り付けにおいて、端末3Eをロッド部4aに形成された挿通穴に挿入する前に、ブーツ6を端末3E側に挿通しておけばよい。
【0021】
取付部61は、インナーケーブル3が連通路Cに挿通された状態で、アウターケーシング2に直接または間接的に取付けられている。本実施形態では、取付部61は、
図1に示されるように、略筒状に形成され、他端側端末固定部材22のガイドパイプGに固定されている。なお、取付部61の形状や固定方法は、ブーツ6をアウターケーシング2に取り付け可能であれば、特に限定されない。
【0022】
また、開口端部62は、ブーツ6をインナーケーブル3に直接または間接的に取り付ける部位である。本実施形態では、
図2に示されるように開口端部62の形状は、略筒状に形成されている。開口端部62は、インナーケーブル3の端部に設けられた固定部4(他方側固定部42のロッド部4a)に取り付けられている。本実施形態では、
図2に示されるように、開口端部62の外径は、ブーツ6の中間部63の外径、および後述する突出部材7の、インナーケーブル3の軸X(
図2参照)方向に対して垂直な方向(
図2中、上下方向)への突出量よりも小さくなるように形成されている。そのため、中間部63の突出部材7側の端部と、突出部材7のブーツ6側の端面7aとの間に、軸X方向に沿って凹部Rが形成される。なお、開口端部62の形状や固定方法は、ブーツ6をインナーケーブル3に直接または間接的に取り付けることができれば、特に限定されない。
【0023】
中間部63は、
図1および
図2に示されるように、取付部61と開口端部62との間に位置し、蛇腹部Beを有している。蛇腹部Beは、
図2に示されるように、径方向外側に凸となる山部Mと、径方向内側に凸となる谷部Vとが軸X方向に交互に形成され、インナーケーブル3の軸X方向への移動に伴い、軸X方向に伸縮する部位である。蛇腹部Beの材料は特に限定されないが、伸縮を容易にするために、例えば、弾性変形可能な、ゴムや合成樹脂により形成されることが好ましい。なお、本実施形態では、取付部61および開口端部62は、蛇腹部Be(中間部63)と一体に形成され、ブーツ6全体がゴム材料により形成されている。取付部61および開口端部62は、蛇腹部Beとは別体に形成されたり、蛇腹部Beとは異なる材料により形成されたりしてもよい。
【0024】
また、本実施形態のコントロールケーブル1は、
図1および
図2に示されるように、インナーケーブル3の固定部4が設けられた端部(他端32。以下、単に端部32ともいう)に、インナーケーブル3の軸X方向に対して非平行に突出する突出部材7を有している。突出部材7は、詳細は後述するが、インナーケーブル3の固定部4が設けられた端部32を、取付対象物Bに、より具体的には
図4に示されるように、固定部4が取付対象物Bに固定される固定箇所(たとえば、被操作部B2)とは異なる位置に設けられた係止可能箇所Eに係止されることで、インナーケーブル3を取付対象物Bに一時的に保持する。なお、本明細書において「係止可能箇所」とは、コントロールケーブル1が取付対象物Bに組み付けられたときに固定部4が最終的に固定される固定箇所以外の、突出部材7が係止可能な取付対象物Bの任意の部位をいう。つまり、取付対象物Bは、固定部4が固定される固定箇所と、コントロールケーブル1を一時的に保持するために突出部材7を係止可能な係止可能箇所Eとを有する。係止可能箇所Eとしては、例えば、車体等の取付対象物Bに形成された、肉抜孔等の孔部や、他部材が取り付けられる凹部、凸部、段部、壁部等があげられる。係止可能箇所Eは、これらの中でも、固定部4側に設けられた突出部材7の挿入が可能であり、端縁に突出部材7を引っ掛けることが可能な孔部であることが好ましい。
【0025】
突出部材7が設けられる位置は、突出部材7が取付対象物Bの係止可能箇所Eに係止可能であり、インナーケーブル3の固定部4が設けられた端部側であれば特に限定されない。また、突出部材7は、本実施形態では、インナーケーブル3の他端32側のみに設けられているが、インナーケーブル3の一端31側にも設けても良い。また、突出部材7の形状は、インナーケーブル3の軸X方向に対して非平行に突出し、取付対象物Bの係止可能箇所Eに係止可能であれば特に限定されない。例えば、突出部材7の形状は、インナーケーブル3の軸X方向に対して非平行に突出する、円形、半円形または多角形状の板状体に形成してもよいし、1つまたは複数の棒状体としてもよい。ここで、「軸X方向に非平行に突出する」とは、突出部材7が軸X方向に対して交差する方向に突出することを意味し、突出部材7の突出方向の軸X方向に対する角度は特に限定されない。したがって、例えば、本実施形態に示すように、突出部材7が軸X方向に対して略垂直方向に突出するものだけでなく、係止可能箇所Eに係止可能な程度に、突出部材7が
図2に示す突出方向から傾斜したものであってもよい。なお、本実施形態では、突出部材7は、
図3に示されるように、インナーケーブル3(固定部4のロッド部4a)が挿通される挿通穴7bを軸中心に有する円板状形状を有している。この場合、突出部材7は、インナーケーブル3に挿通穴7bを介して挿入される。例えば、上述した固定部4の端末3Eへの取付において、端末3Eをロッド部4aに形成された挿通穴に挿入する前に、ロッド部4aに挿通穴7bを介して挿通しておけばよい。このように、突出部材7が挿通穴7bを有することで、突出部材7を容易にインナーケーブル3に取り付けることができ、製造性が良好となる。
【0026】
また、本実施形態では、突出部材7は、インナーケーブル3の軸X方向に移動可能に遊嵌され、
図1および
図2に示されるように、固定部4と係合可能な係合部7cを有している。この場合、係合部7cと固定部4との係合により突出部材7のインナーケーブル3からの離別が防止される。より具体的には、本実施形態では、
図2に示されるように、突出部材7の拡幅部4b側の端面が係合部7cとなり、突出部材7が軸X方向の固定部4側(
図2中左側)へ移動しようとしても、突出部材7の端面が固定部4の拡幅部4bの端部と係合する。これにより、コントロールケーブル1を係止可能箇所Eに係止している際や搬送時に、突出部材7がインナーケーブル3から抜けることを防止している。突出部材7を設ける位置を、係合部7cが固定部4と係合する位置としてコントロールケーブル1を設計すれば、突出部材7の軸X方向の位置が容易に定まるため、コントロールケーブル1の製造が容易となる。
【0027】
また、本実施形態のように、コントロールケーブル1が、上述したブーツ6を備える場合、ブーツ6の開口端部62が、突出部材7がインナーケーブル3の軸X方向のブーツ6側への移動(
図2中、右側への移動)を規制する。すなわち、開口端部62は、ロッド部4aに固定されているため、軸X方向の移動が規制されている。そのため、開口端部62は、突出部材7がインナーケーブル3の軸X方向のブーツ6側への移動を規制する当止めとして機能する。例えば、コントロールケーブル1の搬送時や、取付対象物Bへの組み付け作業時などに、インナーケーブル3の軸X方向に沿って突出部材7に力が加わり、突出部材7が軸X方向のブーツ6側に移動しようとしたとしても、開口端部62が突出部材7が軸X方向のブーツ6側への移動を規制する。また、ブーツ6が所定の自然長を有することから、コントロールケーブル1を、ブーツ6が突出部材7を固定部4に弾性的に押圧し、ブーツ6と固定部4とによって突出部材7を挟持する構成とすることで、突出部材7の軸X方向の位置が容易に定まるために、突出部材7の位置を固定する部材を特別に設ける必要がない。
【0028】
また、本実施形態の突出部材7は、取付対象物Bに係止した際にコントロールケーブル1の重量を支えることができ、且つその重量に相当する荷重を越える大きさの荷重を掛けた際に、係止の解除がされる変形が可能な弾性を有している。すなわち、突出部材7は、取付対象物Bに係止した際に、コントロールケーブル1以外から力を受けていない場合には、突出部材7と取付対象物Bとの間の係止が解除されず、突出部材7が係止された状態から、コントロールケーブル1の重量を超える所定の荷重(以下、単に所定の荷重という)を加えた場合には、係止が解除される弾性(以下、所定の弾性という)を有している。突出部材7の材料は、このような所定の弾性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ゴムまたは軟質樹脂を用いることができる。また、突出部材7の軸X方向の厚さや、硬度などは、用いられるコントロールケーブル1の重量や所定の荷重等に応じて適宜設定することが可能である。
【0029】
つぎに、本実施形態の突出部材7を有するコントロールケーブル1の作用効果について、
図4〜
図6を用いて説明する。
【0030】
上述したように、本実施形態のコントロールケーブル1は、突出部材7がインナーケーブル3の端部32において軸X方向に対して非平行に突出し、所定の弾性を有している。したがって、
図4〜
図6に示されるように、本実施形態のコントロールケーブル1は、突出部材7を取付対象物Bに係止することにより、取付対象物Bによって保持された保持状態とすることが可能に構成されている。より具体的には、軸X方向に対して非平行に突出した突出部材7が、取付対象物Bの係止可能箇所Eに係止されることにより、コントロールケーブル1の移動が規制され、インナーケーブル3の端部32の保持された状態が維持される。なお、以下では、このインナーケーブル3の端部32が係止可能箇所Eに係止されて保持された状態をコントロールケーブル1またはインナーケーブル3の仮保持状態と呼ぶ。
【0031】
また、本実施形態の突出部材7の係止可能箇所Eへの係止は、一時的にコントロールケーブル1の端部を仮保持するものであるため、突出部材7の係止解除を容易にする必要がある。本実施形態のコントロールケーブル1は、突出部材7が弾性を有するため、係止解除する際に、係止可能箇所Eと突出部材7とが接触して弾性変形することで容易に係止解除が可能となる。特に、本実施形態では、突出部材7は、コントロールケーブル1が取付対象物Bによって所定の形態で保持された状態で、コントロールケーブル1の軸X方向に沿った所定の荷重をコントロールケーブル1に負荷させたときに、突出部材7が弾性変形することで突出部材7の係止可能箇所Eへの係止が解除されるので、仮保持状態を容易に解除可能である。具体的には、仮保持状態にあるコントロールケーブル1を軸X方向に沿って引くだけで所定の荷重をコントロールケーブル1に負荷できるので、コントロールケーブル1の係止解除が可能となる。したがって、コントロールケーブル1の仮保持状態からコントロールケーブル1を取り外すことが容易であり、作業性が向上し、作業時間を短縮することができる。また、コントロールケーブル1の係止および係止解除の際に、取付対象物Bと主に接触するのは、弾性を有する突出部材7であるため、突出部材7が係止および係止解除時に、取付対象物Bを傷つけにくい。
【0032】
つぎに、
図4〜
図7を用いて、車体Bにコントロールケーブル1を固定する製造ラインにおけるコントロールケーブル1の取付構造Sを例にあげて、さらに具体的に仮保持状態とその解除について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0033】
図4は、車体Bの一部を示しており、コントロールケーブル1の他端32が仮保持状態で保持された状態を示している。コントロールケーブル1は両端部に固定部4を有し、固定部4の一方である一方側固定部41は、車体Bの操作部B1となるシフトレバー側に固定されている(
図4に二点鎖線で示す)。一方、
図5に示されるように、インナーケーブル3の他方の端部32に有する突出部材7は、他方側固定部42が取付対象物Bに固定される固定箇所とは異なる位置に設けられた係止可能箇所Eに、係止解除可能に係止されて、コントロールケーブル1が取付対象物Bに一時的に保持されている。他方側固定部42が固定される固定箇所となるエンジンのトランスミッションは、
図4に示す状態ではまだ車体Bに組み付けられておらず、図示されていない。トランスミッションは、他方側固定部42が係止可能箇所Eに仮保持された後、製造ラインに沿って車体Bが移動されて、その後車体Bに組み付けられる。
【0034】
本実施例においては、
図4および
図5に示されるように、コントロールケーブル1の他端32が係止可能箇所Eとなる、車体Bのエンジンルームに肉抜孔として形成された係止孔(以下、係止可能箇所Eを係止孔Eとも呼ぶ)Eに他方側固定部42が挿入されている。他方側固定部42が係止孔Eに挿入されると、突出部材7が係止孔Eの端縁に係止されて、車体Bに仮保持状態で保持される。
【0035】
この仮保持状態において、
図5および
図6に示されるように、突出部材7の一方の端面7aが係止孔Eの端縁に係止されてコントロールケーブル1の脱落が規制される。より具体的には、本実施例では、突出部材7とブーツ6の蛇腹部Beとの間の開口端部62の周囲に形成される凹部R(
図2参照)に、係止孔Eの端縁が入り込む。このとき、コントロールケーブル1は、その重量により、係止孔Eとインナーケーブル3の他端32との間の係止部位から
図6中、斜め下方に垂れ下がっている。そして、インナーケーブル3の他端32は、重力により下方向へ移動しようとするが、下方向には係止孔Eの端縁が存在するため下方向への移動が規制される。そのため、インナーケーブル3の他端32の移動方向が係止孔Eの端縁により変換されて、インナーケーブル3の他端32は右斜め下方に移動しようとする。このとき、突出部材7の一方の端面7aが係止孔Eの端縁に当接することで、インナーケーブル3の他端32の右斜め下方への移動が規制される。したがって、インナーケーブル3の他端32が落下することが抑制され、コントロールケーブル1を仮保持状態とすることができる。
【0036】
本実施例では、コントロールケーブル1(アウターケーシング2)は湾曲した状態で仮保持されている。このような場合、コントロールケーブル1には、湾曲した状態から直線状に戻ろうとする反発力F(
図6に矢印で示す)が働く。この反発力Fは、係止部位において、矢印で示すように、コントロールケーブル1の軸線方向に対して垂直となる成分の力を有し、係止孔Eの係止部位に対してコントロールケーブル1の他端32が離脱する方向(
図6中、上向きの方向)とは反対方向の力が作用する。そのため、コントロールケーブル1は、係止孔Eに係止した状態で保持されて、コントロールケーブル1を
図4に示す仮保持状態で維持することができる。また、このとき、コントロールケーブル1の反発力Fにより、弾性を有する突出部材7に、係止孔Eの端縁が食い込みうる。突出部材7の係止孔Eへの係止については、製造ラインに沿って車体Bが移動する際などに振動が生じても、インナーケーブル3の他端32が上下方向に移動しにくい。また、突出部材7は、係止孔Eに係止可能であればよく、弾性を有することから、係止孔Eの端部に傷がつくおそれもすくないので、作業が容易である。
【0037】
このように、コントロールケーブル1の端部が車体Bのエンジンルーム内の係止孔Eに仮保持状態で維持され、コントロールケーブル1の端部が車体Bに保持されずに垂れ下がるといった状態の発生が防止される。そのため、製造ラインに沿った車体Bの移動時などに、コントロールケーブル1の端部が保持されずにふらつくことで、車体Bなどに接触して傷をつけることを抑制することができる。また、仮保持状態にあるコントロールケーブル1は、
図4に示されるように、エンジンルーム内で端に寄せることができ、エンジンルーム内のスペースを広く取ることができる。そのため、製造ラインにおいて、被操作部B2となるトランスミッションがエンジンルーム内に下方から上がってくる際や、他部材を組み付ける際に、他端32が固定される前のコントロールケーブル1が邪魔になることがなく、作業性が向上する。
【0038】
その後、製造ラインにおいて、図示しないトランスミッションがエンジンルーム内に下方から上がってくると、被操作部B2となるトランスミッションに、インナーケーブル3の他端32側に設けられた他方側固定部42を取り付ける。この際に、仮保持状態にあるインナーケーブル3の他端32は、コントロールケーブル1をその軸線方向に沿って引っ張ることにより、コントロールケーブル1に、コントロールケーブル1の軸X方向に沿ってコントロールケーブル1の重量に相当する荷重を越える大きさの荷重が負荷される。これにより、突出部材7が
図7に示されるように弾性変形して撓むことにより、取付対象物Bと突出部材7の端面7aとの成す角度が大きくなっていく。そして、そのままさらに引っ張ることにより、コントロールケーブル1の軸X方向に沿って負荷される荷重が増加し、取付対象物Bと突出部材7の端面7aとの成す角度が大きくなっていく。これに伴って、突出部材7は、コントロールケーブル1の重量に相当する荷重を越える大きさの荷重を支持できなくなるので、インナーケーブル3の他端32が右斜め下方に移動して、コントロールケーブル1が係止孔Eから取り外される。このとき、突出部材7は係止孔Eの周縁に対する緩衝部材として機能する。そのため、車体Bの係止孔E周辺が傷つくことを抑制することができる。また、コントロールケーブル1が軸線方向に引っ張られると、
図7に示されるように突出部材7が弾性変形して、他方側固定部42の先端側へと倒れ込んで、突出部材7の端面7aは、コントロールケーブル1の軸線方向に対して略垂直な方向に対して傾斜した傾斜面を形成する。この突出部材7の端面7aの傾斜面により、コントロールケーブル1を軸線方向へ引っ張った際に、インナーケーブル3の他端32がより抜けやすくなる。
【0039】
このようにしてインナーケーブル3の端部32が係止孔Eから取り外された後、他方側固定部42を被操作部B2であるトランスミッションに固定して、コントロールケーブル1の組み付けが完了する。このように、弾性を有する突出部材7により、仮保持状態および仮保持状態の解除が容易かつ短時間に可能となる。製造ラインにおいて、このように短時間での作業が可能となるので、製造ラインにおける作業性が大幅に向上する。しかも、車体Bを傷つけることなく作業ができるので、製品の品質の向上に寄与する。