(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360036
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】薬瓶投薬システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/178 20060101AFI20180709BHJP
A61M 5/162 20060101ALI20180709BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20180709BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
A61M5/178 500
A61M5/162 500D
A61M5/142 508
A61M39/24
【請求項の数】28
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-505839(P2015-505839)
(86)(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公表番号】特表2015-512751(P2015-512751A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013035666
(87)【国際公開番号】WO2013155012
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年3月31日
(31)【優先権主張番号】61/686,610
(32)【優先日】2012年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ベイツ
(72)【発明者】
【氏名】ダグ ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ローゼン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート バニク
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第01367008(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0286613(US,A1)
【文献】
米国特許第05067948(US,A)
【文献】
欧州特許第00937471(EP,B1)
【文献】
国際公開第2012/008285(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0107481(US,A1)
【文献】
特表2008−515594(JP,A)
【文献】
特表2002−525247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/178
A61M 5/142
A61M 5/162
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬瓶に結合できる接続本体と、
この接続本体に基端が結合されるカニューレ挿入プランジャーと、
このカニューレ挿入プランジャーの末端を滑動可能に収容する投与チャンバーであって、薬剤をこの投与チャンバーの末端を通して押し出すようになっている投与チャンバーと、
前記カニューレ挿入プランジャーに結合されたプランジャー尖端逆止め弁であって、流体が前記カニューレ挿入プランジャーからこのプランジャー尖端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと流れるようになっているプランジャー尖端逆止め弁と
を具え、前記カニューレ挿入プランジャーは前記接続本体によって実質的に収容され、
前記接続本体は前記薬瓶によって少なくとも部分的に収容されていることを特徴とする薬瓶投薬器具。
【請求項2】
前記投与チャンバーが前記カニューレ挿入プランジャーに対して末端側に変位した場合、流体が前記カニューレ挿入プランジャーから前記プランジャー尖端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと流れることを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項3】
つぶれた形状において、
前記プランジャー尖端逆止め弁は前記投与チャンバーの末端に隣接して位置し、
前記カニューレ挿入プランジャーの大部分が前記投与チャンバー内に位置することを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項4】
前記接続本体がスナップ接続本体であることを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項5】
前記プランジャー尖端逆止め弁が低デュロメーターの逆止め弁であることを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項6】
前記プランジャー尖端逆止め弁がダックビル形状の逆止め弁であることを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項7】
前記投与チャンバーの末端に配される投与チャンバー隔壁と、
前記投与チャンバーに結合される針アダプターと
をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項8】
前記針アダプターがペン針に結合できることを特徴とする請求項7に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項9】
請求項8に記載の薬瓶投薬器具と、
前記針アダプターに結合されるペン針であって、その基端が前記投与チャンバー隔壁を穿刺するペン針と
を具えたことを特徴とする組み合わせ。
【請求項10】
薬剤が前記投与チャンバーから前記ペン針を通って流れることを特徴とする請求項9に記載の組み合わせ。
【請求項11】
前記接続本体に結合される通気逆止め弁をさらに具え、前記接続本体は、
流体針であって、この流体針の基端が薬瓶隔壁を穿刺し、当該流体針を通って前記カニューレ挿入プランジャーへと流体を流すようになっている流体針と、
通気針であって、この通気針の基端が前記薬瓶隔壁を穿刺し、前記通気逆止め弁および当該通気針を通って空気を流すようになっている通気針と
をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項12】
請求項11に記載の薬瓶投薬器具と、
医療用薬瓶であって、前記通気針がこの医療用薬瓶へと空気を流すようになっている医療用薬瓶と
を具えたことを特徴とする組み合わせ。
【請求項13】
前記投与チャンバーが前記カニューレ挿入プランジャーに対して末端側に変位した場合、前記通気針は前記通気逆止め弁および前記通気針を通って前記医療用薬瓶へと空気を流すようになっていることを特徴とする請求項12に記載の組み合わせ。
【請求項14】
前記接続本体に結合され、前記接続本体の少なくとも一部を通って空気を流すようになっている通気逆止め弁をさらに具えたことを特徴とする請求項1に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項15】
前記通気逆止め弁が圧入逆止め弁であることを特徴とする請求項14に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項16】
前記通気逆止め弁を通して空気を送り込むようになっているポンプをさらに具えたことを特徴とする請求項14に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項17】
前記ポンプが前記薬瓶に結合できることを特徴とする請求項16に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項18】
前記ポンプは、
ブラダーと、
このブラダーに結合される通路であって、この通路を通って前記ブラダーから空気を流すようになっている通路と、
この通路に結合されるポンプ逆止め弁であって、このポンプ逆止め弁を通って前記通路から空気を流すようになっているポンプ逆止め弁と
を具えたことを特徴とする請求項16に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項19】
前記ブラダーが実質的に弾性を有することを特徴とする請求項18に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項20】
前記ブラダーの内側に連続気泡発泡体をさらに具え、前記ブラダーに弾力性を与えていることを特徴とする請求項18に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項21】
前記ポンプ逆止め弁が成形ダックビル逆止め弁であることを特徴とする請求項18に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項22】
前記成形ダックビル逆止め弁がポリウレタンを具えていることを特徴とする請求項21に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項23】
前記ポンプ逆止め弁が前記通気逆止め弁に結合されると共に前記ポンプ逆止め弁および前記通気逆止め弁を通って空気を流すようになっていることを特徴とする請求項18に記載の薬瓶投薬器具。
【請求項24】
請求項1に記載の薬瓶投薬器具と
医療用薬瓶と
を具えたことを特徴とする組み合わせ。
【請求項25】
医療用薬瓶へとそこに接続本体が結合されることを特徴とする請求項24に記載の組み合わせ。
【請求項26】
前記薬瓶投薬器具は前記接続本体に結合される通気逆止め弁をさらに具え、
この通気逆止め弁は前記接続本体の少なくとも一部を通して前記医療用薬瓶へと空気を流すようになっていることを特徴とする請求項24に記載の組み合わせ。
【請求項27】
薬瓶投薬器具と、
薬瓶と
を具えた組み合わせであって、前記薬瓶投薬器具は、
前記薬瓶に結合される接続本体と、
基端が前記接続本体に結合されるカニューレ挿入プランジャーと、
このカニューレ挿入プランジャーの末端を滑動可能に収容する投与チャンバーであって、薬剤をこの投与チャンバーの末端を通して押し出すようになっている投与チャンバーと、
前記カニューレ挿入プランジャーに結合されたプランジャー尖端逆止め弁であって、流体を前記カニューレ挿入プランジャーからこのプランジャー尖端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと流すようになっているプランジャー尖端逆止め弁と
を具え、前記カニューレ挿入プランジャーが前記接続本体によって実質的に収容され、
前記接続本体は前記薬瓶によって少なくとも部分的に収容されていることを特徴とする組み合わせ。
【請求項28】
つぶれた形状において、
前記プランジャー尖端逆止め弁は前記投与チャンバーの末端に隣接して位置し、
前記カニューレ挿入プランジャーの大部分が前記投与チャンバー内に位置することを特徴とする請求項27に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に関する相互参照〕
【0002】
この出願は、2012年4月9日に米国特許商標庁に提出した米国仮特許出願第61/686610号の利益を請求し、その開示は、その全体を参照することによってここに組み入れられる。
【0003】
本発明は、薬瓶投薬システムおよび方法に概ね関する。より詳細には、本発明は薬瓶に装着してこの薬瓶から薬剤を直接取り出す薬瓶投薬器具に関する。
【背景技術】
【0004】
ある特定の状況において、薬を人の組織に直接注入することが望まれる。最新の技術において、使用者が注射器の針を用いて薬瓶から液体の薬剤を取り出し、次いでこの薬剤を同じ注射器の針を使って組織層へと注入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最新の技術は、注入が必要な都度、使用者が薬瓶および独立した注射器にアクセスすることを必要とする。従って、使用者は薬瓶および1つ以上の注射器を彼または彼女の体に常時身に付けていなければならない。
【0006】
また、使用者は、注入が必要な都度、薬瓶から望ましい薬剤投与量を注射器の針で取り出し、次いで注射器の針を用いて組織層に薬剤を注入するといううんざりする処置を繰り返さなければならない。それぞれの注入に際して新たな注射器の針を使用する代わりに、使用者が同じ注射器の針を用いて薬瓶の隔壁を繰り返し穿刺する場合、注射器の針は鋭利性が急速に低下する可能性がある。
【0007】
加えて、最新の医療用薬瓶は、薬剤を取り出すあらゆる注射器に対して障害のないアクセスを概ね与えている。薬剤は、多くの濃度の異なる医療用薬瓶にてしばしば提供される。より低濃度型の薬剤を薬瓶から取り出すため、より高濃度の特定な薬剤のために設計した目盛りを持つ注射器を誤って用いるか、あるいはその逆の場合、医学上の送出問題を生ずる可能性がある。より詳細には、これは不適切な投与量が患者に投与されてしまうという可能性がある。
【0008】
従って、薬瓶に対し固定状態で装着された薬瓶投薬器具に対する要求がある。このような器具は、使用者が個別の注射器を持ち運ぶ必要性を排除することができ、特定濃度の薬剤を含む薬瓶を不適当な目盛りの注射器と組み合わせて使用することに対して保護することも可能である。
【0009】
また、痛みのより少ない注入を促進させるため、最適な鋭利性および長さを持つ使い捨て注入針を組み入れた薬瓶投薬器具に対する要求が存在する。
【0010】
同様に、輸送するのによりかさばらず、しかも個別の注射器よりも低コストにて作り出すことができる薬瓶投薬器具に対する要求が存在する。
【0011】
本発明の実施形態の一形態は、上記および他の問題に実質的に取り組み、使用者が個別の注射器を持ち運ぶ必要性を排除すると共に注射器と障害のない薬瓶との間での誤った結合に対して保護するため、薬瓶に固定状態で装着される薬瓶投薬器具を提供することである。
【0012】
本発明の実施形態の他の形態は、痛みのより少ない注入を促進させるため、最適な鋭利性および長さを持つ使い捨て注入針を組み入れた薬瓶投薬器具を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態の他の形態は、輸送するのによりかさばらず、しかも個別の注射器よりも低コストにて作り出すことができる薬瓶投薬器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前述および/または他の形態は、薬瓶に結合できる接続本体と、この接続本体に基端が結合されるカニューレ挿入プランジャーと、このカニューレ挿入プランジャーの末端を滑動可能に収容する投与チャンバーであって、薬剤をこの投与チャンバーの末端を通して押し出すようになっている投与チャンバーと、前記カニューレ挿入プランジャーに結合されたプランジャー先端逆止め弁であって、流体が前記カニューレ挿入プランジャーからこのプランジャー先端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと流れるようになっているプランジャー先端逆止め弁とを含む薬瓶投薬器具を提供することによって達成される。
【0015】
また、本発明の前述および/または他の形態は、薬瓶投薬器具と薬瓶とを含む組み合わせを提供することによっても達成される。この薬瓶投薬器具は、前記薬瓶に結合される接続本体と、基端が前記接続本体に結合されるカニューレ挿入プランジャーと、このカニューレ挿入プランジャーの末端を滑動可能に収容する投与チャンバーであって、薬剤をこの投与チャンバーの末端を通して押し出すようになっている投与チャンバーと、前記カニューレ挿入プランジャーに結合されたプランジャー先端逆止め弁であって、流体を前記カニューレ挿入プランジャーからこのプランジャー先端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと流すようになっているプランジャー先端逆止め弁とを含む。前記カニューレ挿入プランジャーは前記接続本体に実質的に収容される。前記接続本体は前記薬瓶に少なくとも部分的に収容される。
【0016】
また、本発明の前述および/または他の形態は、接続本体を薬剤が収容される医療用薬瓶に結合するステップと、カニューレ挿入プランジャーを前記投与チャンバーに対して基端側に変位させ、一回分の薬剤を前記医療用薬瓶から前記カニューレ挿入プランジャーに結合されたプランジャー先端逆止め弁を通って前記投与チャンバーへと取り出すステップとを含む薬瓶投薬器具の使用方法を提供することによっても達成される。前記カニューレ挿入プランジャーの基端は前記接続本体に結合される。前記カニューレ挿入プランジャーの末端は前記投与チャンバーに滑動可能に収容される。
【0017】
本発明の追加および/または他の形態ならびに利点は、次に続く説明に述べられているか、この説明から明らかになるか、あるいは本発明の実施によって習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の実施形態による薬瓶投薬器具の立体投影図である。
【
図2A】
図1の薬瓶投薬器具の操作を例示している。
【
図2B】
図1の薬瓶投薬器具の操作を例示している。
【
図2C】
図1の薬瓶投薬器具の操作を例示している。
【
図3】
図1の薬瓶投薬器具および薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による手動ポンプの立体投影図である。
【
図4A】本発明の他の実施形態による手動ポンプの例示した一実施形態の図である。
【
図4B】本発明の他の実施形態による手動ポンプの例示した一実施形態の図である。
【
図4C】本発明の他の実施形態による手動ポンプの例示した一実施形態の図である。
【
図5A】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【
図5B】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【
図5C】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【
図5D】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【
図5E】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【
図5F】薬瓶と針とを組み合わせた本発明の他の実施形態による埋設形薬瓶投薬器具を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の例示実施形態の種々の目的および利点ならびに新奇な特徴は、次の詳細な説明を添付した図面と関連付けて把握することによって、より容易に認識されよう。
【0020】
当業者が認識するように、ここで開示した本発明の実施形態による薬瓶投薬器具の実例および改良ならびに翻案を行う多数の方法がある。図面および以下の記述にて描かれた例示実施形態に対して参照がなされるけれども、ここで開示した実施形態は、開示した発明により包含される他の種々の設計および実施形態を網羅していることを意味していない。
【0021】
種々の人々(限定しないが、例えば患者または医療従事者)が本発明の例示実施形態を操作するか、または使うことができるけれども、簡潔さのために作業者または使用者を以下では「使用者」として呼称しよう。
【0022】
ここに記述した本発明の例示実施形態において、「末端」方向が注入部位に向かう方向を参照し、「基端」方向が注入部位から離れる方向を参照するけれども、このような方向は限定ではない。
【0023】
本発明による例示実施形態が
図1〜
図5に描かれている。一実施形態によると、薬瓶投薬器具は薬瓶に結合され、この分野で知られている任意の針と共に用いることができ、これらの針は標準ペン針または両端ペン針の如き標準の使い捨て注射針を含むが、これに限定されない。このような針は、液体の薬剤を組織層または他の注入部位へと注入することができる。両端ペン針は、これらがより鋭い尖端およびより少ない痛みの注入をもたらすことができるので好ましい。薬瓶はこの分野で知られている任意の薬瓶であってよく、医療用薬瓶を含むが、これに限定されない。
【0024】
図1および
図2A〜
図2Cは、薬瓶50および針55と組み合わせた薬瓶投薬器具10の例示実施形態を描いている。この薬瓶投薬器具10は、針アダプター15と、投与チャンバー隔壁20と、投与チャンバー25と、プランジャー先端逆止め弁30と、このプランジャー先端逆止め弁30が配されたカニューレ挿入プランジャー35と、通気逆止め弁40と、結合本体45とを含む。針アダプター15は、この分野で知られている任意の針アダプターを含み、ねじ付きのペン針アダプターを含むが、これに限定されない。プランジャー先端逆止め弁30は、この分野で知られている任意の逆止め弁を含むことができ、低デュロメーター逆止め弁またはダックビル形状逆止め弁を含むが、これらに限定されない。通気逆止め弁40は、この分野で知られている任意の逆止め弁を含むことができ、圧入逆止め弁を含むが、これに限定されない。接続本体45は、この分野で知られている任意の接続本体を含むことができ、薬瓶50のフランジ54にスナップ嵌合するようになっているスナップ接続本体を含むが、これに限定されない。
【0025】
引き続き、より詳細に論じられるように、接続本体45は薬瓶50に結合される。通気逆止め弁40は接続本体45に結合され、空気が薬瓶50の外から通気逆止め弁40を通り、そして接続本体45の少なくとも一部を通り、薬瓶50へと流れることができるようになっている。カニューレ挿入プランジャー35の基端は接続本体45に結合され、流体が薬瓶50から接続本体45を通って流れるようになっている。投与チャンバー25は、カニューレ挿入プランジャー35の末端を滑動可能に収容する。投与チャンバー25は、薬剤をこの投与チャンバー25の末端を通ってさらに押し出すようになっている。プランジャー先端逆止め弁30はカニューレ挿入プランジャー35に結合され、流体がカニューレ挿入プランジャー35からプランジャー先端逆止め弁30を通って投与チャンバー25へと流れるようになっている。針アダプター15は投与チャンバー25に結合されると共に針55に結合可能である。
図1に示すように、針55が両端ペン針55であることが好ましい。しかしながら、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の針を用いることができることを理解しよう。投与チャンバー隔壁20は投与チャンバー25の末端に配されている。
【0026】
従って、従来の器具および注射器と比較すると、本発明の一実施形態は、輸送するのにそれほどかさばらず、製造するのに出費をより少なくしく、しかもより環境に優しい薬瓶投薬器具を提供する。例えば、針および再利用可能な薬瓶投薬器具の大量在庫を続けることは、より効率的に収納空間を利用することができ、使い捨て注射器の大量在庫を続けるよりもさらに優れた費用効果がある。
【0027】
さらにまた、一実施形態によると、接続本体45は特定の薬瓶にのみ接続し、これによって望ましくない薬瓶を使用する可能性を減じている。例えば、この接続本体45は望ましくない薬瓶の開口にスナップ嵌合することができないか、あるいは結合することができないものであってよい。例えば、このような接続本体45は投与チャンバー25の表示に対応していない薬剤濃度を持った薬瓶の使用を阻止することができる。
【0028】
この薬瓶投薬器具10は、
図2Aに例示するような縮めた形態にて初めに包装されることが好ましい。この状態において、プランジャー先端逆止弁30は投与チャンバー25の末端近傍に配され、プランジャー35の大部分が投与チャンバー25内に配される。一実施形態によると、この縮めた形態において、プランジャー先端逆止め弁30は投与チャンバー隔壁20に隣接して位置する。
【0029】
操作中、使用者は薬瓶投薬器具10を薬瓶50に結合する。例えば、使用者は薬瓶50から薬瓶キャップを取り外して薬瓶隔壁52を露出させた後、使用者は薬瓶50のフランジ54を覆って接続本体45を基端側にスナップ嵌合することにより、薬瓶投薬器具10を薬瓶50に結合し、薬瓶投薬器具10を薬瓶50の首部に適切に固定する。当業者は、嵌合またはねじ山の如き薬瓶50を接続本体45と結合する他の方法を、本発明の範囲から逸脱することなく、用いることができることを理解しよう。
【0030】
接続本体45は、中空の流体針75と中空の通気針80とを含む。流体針75の基端は薬瓶隔壁52を突き刺して薬瓶50からプランジャー35へと至る液体通路を作り出す。通気針80の基端は薬瓶隔壁52を突き刺して薬瓶50に通気孔を形成する。通気針80は通気逆止め弁40と共に空気を流すようになっており、通気逆止め弁40を通り、通気針80を通り、そして薬瓶50へと流れる空気通路を作り出す。一実施形態によると、この空気通路は、望ましくないバクテリアおよびウイルスおよび他の微生物が通気孔を通って薬瓶50に入るのを阻止するバクテリアフィルターまたは蛇行通路を含むことができる。
【0031】
操作中、薬瓶投薬器具10が薬瓶50に結合されると、使用者は投与チャンバー25を引っ張り、
図2Bに例示するように、これを薬瓶50から遠ざけてカニューレ挿入プランジャー35に対し末端側に変位させ、適切な投与量の薬剤または他の流体を薬瓶50から引き出す。他の流体を用いることができるけれども、以下では薬瓶50内の液体を「薬剤」と呼称しよう。使用者は、投与チャンバー25の側壁にある目盛り表示によって表された投与量の値を読み取ることによって、望ましい投与量の薬剤を取り出す。
【0032】
より詳細には、使用者が投与チャンバー25を引っ張り、これを薬瓶50から遠ざけてカニューレ挿入プランジャー35に対し末端側に変位させると、空気が通気逆止め弁40を通って薬瓶50へと引き込まれ、この相対的な末端側への変位によって、薬剤を薬瓶からプランジャー先端逆止め弁30を通って投与チャンバー25へと引き込む真空を投与チャンバー25内に作り出すことができる。
【0033】
引き出された薬剤を組織層または他の注入部位に注入する前に、使用者は例えばペン針55を薬瓶投薬器具10の針アダプター15にねじ込むことにより、一般的な中空針ペン針アセンブリー55を薬瓶投薬器具10に結合する。針55の基端が投与チャンバー隔壁20を突き刺し、流体が投与チャンバー25から針55を通って流れる流体通路を作り出す。
【0034】
一実施形態によると、使用者は、好ましくは薬瓶50を上方に向け、結合された薬瓶投薬器具10と共に針55を保持し、薬剤を注入する前にあらゆる余分な空気を追い出すか、または薬剤の投与量を調整するため、投与チャンバー25をカニューレ挿入プランジャー35に対して基端側に変位させることによって、薬瓶投薬器具10を準備する。
【0035】
使用者は、針55の末端で組織層または他の注入部位を穿刺し、次に組織層または他の注入部位に向けて薬瓶50および/またはプランジャー35を投与チャンバー25に対して末端側に押圧することによって、引き出された薬剤を注入し、投与量の薬剤が投与チャンバー25から針55を通って組織層または他の注入部位へと吐出される。
【0036】
薬瓶投薬器具10は、薬瓶50内の薬剤を使い果たすまで、次の注入のために薬瓶50に結合されたままであってよい。
【0037】
図3は、手動ポンプ60を有し、薬瓶および針と組み合わせた本発明の一実施形態による薬瓶投薬器具10を例示している。希望するのであれば、この分野で知られている任意のポンプを開示した手動ポンプの代わりに用いることができる。
【0038】
図4A〜
図4Cは、本発明の一実施形態による手動ポンプ60を示している。この手動ポンプ60は薄膜手動ポンプであることが好ましい。
【0039】
手動ポンプ60は、通路62と、ブラダー65と、ポンプ逆止め弁70とを含む。通路62は、この分野で知られている任意の通路を含むことができ、真空成型空気通路を含むが、これに限定されない。ポンプ逆止め弁70は、この分野で知られている任意の逆止め弁を含むことができ、ポリウレタン成形ダックビル逆止め弁70を含むが、これに限定されない。ポンプ逆止め弁70は、この分野で知られている任意の結合手段を用いて通路に結合することができ、この結合手段は超音波または高周波(RF)溶接を含むが、これに限定されない。
【0040】
一実施形態によると、通路62は、ブラダー65とポンプ逆止め弁70とに結合され、空気をブラダー65から通路62に通し、またポンプ逆止め弁70に通して流す。
【0041】
ブラダーは弾性体であることが好ましい。例えば、ブラダー65内の連続気泡発泡体はブラダーに弾力性を与えたことよる戻りとして機能させることができる。
【0042】
手動ポンプ60をこの分野で知られている任意の結合手段によって薬瓶50に結合することができ、この結合手段は薬瓶50に接着する感圧粘着剤72を含むが、これに限定されない。
【0043】
手動ポンプ60のポンプ逆止め弁70を通気逆止め弁40に溶接するか、さもなければ結合することができる。手動ポンプ60を薬瓶50に接着するか、さもなければ結合することができる。使用者は、手動ポンプ60の空気ブラダー65を押圧することによって空気を薬瓶50へと送り込むことができる。手動ポンプ60を介して薬瓶50へと手動で空気を送り込むことは、薬瓶50からの薬剤の取り出し中に作り出される真空のために空気が薬瓶50に与えられる他の例示実施形態よりも、薬瓶の内部と大気との間にさらに大きな圧力差を作り出すことができる。
【0044】
図5A〜
図5Fは、薬瓶150および中空針ペン針アセンブリー155と共に組み合わせた本発明の一実施形態による埋設形薬瓶投薬器具110を示している。この埋設形薬瓶投薬器具110は、針アダプター115と、投与チャンバー隔壁120と、投与チャンバー125と、プランジャー先端逆止め弁130と、プランジャー135と、接続本体145とを含む。針アダプター115は、この分野で知られている任意の針アダプターを含むことができ、ねじ付きのペン針アダプターを含むが、これに限定されない。プランジャー先端逆止め弁130は、この分野で知られている任意の逆止め弁を含むことができ、低デュロメーターまたはダックビル形状の逆止め弁を含むが、これらに限定されない。接続本体145は、この分野で知られている任意の接続本体を含むことができ、スナップ接続本体を含むが、これに限定されない。
【0045】
本発明の例示した一実施形態において、接続本体145は薬瓶150に結合可能であり、カニューレ挿入プランジャー135はこの接続本体145に実質的に収容される。カニューレ挿入プランジャー135および接続本体145の少なくとも一部が薬瓶150に収容されている。
【0046】
薬瓶投薬器具110が埋設されているので、一般的な器具および注射器と比較すると、輸送するのにそれほどかさばらず、製造するのに出費がより少なく、しかもより環境に優しい。例えば、針および再利用可能な薬瓶投薬器具の大量在庫を続けることは、より効率的に収納空間を利用することができ、使い捨て注射器の大量在庫を続けるよりもさらに優れた費用効果がある。
【0047】
さらにまた、接続本体145は特定の薬瓶にのみ接続するようにでき、それによって、例えば投与チャンバー125の表示に対応していない薬剤濃度を持った望ましくない薬瓶を使用する可能性を減じている。
【0048】
カニューレ挿入プランジャー135の基端は接続本体145に結合され、流体が薬瓶150から接続本体145を通って流れるようになっている。投与チャンバー125は、カニューレ挿入プランジャー135の末端を滑動可能に収容する。投与チャンバー125は、薬剤がこの投与チャンバー125の末端を通ってさらに押し出されるようになっている。プランジャー先端逆止め弁130は、カニューレ挿入プランジャー135に結合され、流体がカニューレ挿入プランジャー135からプランジャー先端逆止め弁130を通って投与チャンバー125へと流れるようになっている。針アダプター115を投与チャンバー125に結合すると共に両端ペン針の如き針155に結合することができる。投与チャンバー隔壁120は、投与チャンバー125の末端に配されている。
【0049】
一実施形態によると、この埋設形薬瓶投薬器具110は、充填中に薬瓶150に配され、薬瓶150の寿命が続く間、薬瓶150に結合されたままであってよい。薬瓶投薬器具110の埋設形プランジャー135および投与チャンバー125は、部品の数を最小にするため、また費用効果の高い製品を提供すると共に無電解ニッケルめっきを施して腐食および摩耗を阻止するため、薬剤互換注入成形部品を組み入れることが好ましい。
【0050】
本発明の例示した一実施形態において、薬瓶投薬器具110は、
図5Aおよび
図5Dおよび
図5Eに例示したように、縮めた形態で最初に包装される。これらの図面において、プランジャー先端逆止め弁130は、投与チャンバー125の末端に隣接するか、またはその近傍に配される。このプランジャー先端逆止め弁130を投与チャンバー隔壁120に隣接して位置することができ、プランジャー135の大部分を投与チャンバー125内に配することができる。
【0051】
操作中、使用者は投与チャンバー125を引っ張り、これをカニューレ挿入プランジャー135に対して末端側に変位させ(すなわち薬瓶150から離し)、適切な投与量の薬剤を薬瓶150から引き出す。使用者は、投与チャンバー125の側壁にある目盛り表示によって表された投与量の値を読み取ることによって、望ましい投与量の薬剤を取り出すことができる。
【0052】
操作中、取り出された薬剤を組織層または他の注入部位へと注入する前に、使用者は、例えば針155を薬瓶投薬器具110の針アダプター115にねじ込むか、またはさもなければ結合することによって、針155を埋設形薬瓶投薬器具110に結合する。針155は、例えば両端ペン針であってよく、結合した場合に針155の基端が投与チャンバー隔壁120を突き刺し、流体が投与チャンバー125から針155を通って流れる流路を作り出す。
【0053】
使用者は埋設形薬瓶投薬器具110を準備し、薬瓶150と結合した埋設形薬瓶投薬器具110とを保持し、好ましくは薬瓶150を上方に向ける。次いで、使用者は投与チャンバー125をカニューレ挿入プランジャー135に対して基端側に変位させ、薬剤を注入する前にあらゆる余分な空気を追い出すか、または薬剤の投与量を調整する。
【0054】
使用者は、組織層または他の注入部位に針155の末端を穿刺し、次に組織層または他の注入部位に向けて薬瓶150およびプランジャー135を投与チャンバー125に対して末端側に押圧することによって、引き出された薬剤を注入し、投与量の薬剤が投与チャンバー125から針155を通って組織層または他の注入部位へと吐出される。
【0055】
埋設形薬瓶投薬器具110は、薬瓶150内の薬剤を使い果たすまで、繰り返し注入を行うために薬瓶150に結合されたままであってよい。
【0056】
例示していないけれども、例えば
図2Bにおける通気逆止め弁40のような通気逆止め弁を接続本体145に結合することができ、空気が薬瓶150の外から通気逆止め弁を通り、接続本体145の少なくとも一部を通り、そして薬瓶150へと流れるように、接続本体145を適合させている。通気逆止め弁は、この分野で知られている任意の逆止め弁を含むことができ、圧入逆止め弁を含むが、これに限定されない。操作中、使用者が投与チャンバー125を引っ張り、これをカニューレ挿入プランジャー135に対して末端側に変位させた(すなわち薬瓶150から離した)場合、空気が通気逆止め弁を通って薬瓶150へと引き込まれ、薬剤を薬瓶からプランジャー先端逆止め弁130を通って投与チャンバー125へと引き込む真空を投与チャンバー125内に作り出すことができる。
【0057】
本発明の少数の例示実施形態のみを上に詳細に記述したけれども、当業者らは、例示実施形態における多くの変更がこの発明の新奇な教示および利点から著しく逸脱することなく可能であることを容易に理解しよう。従って、このような変更のすべてがこの発明の範囲内に含まれるように意図される。