【文献】
橋本宣慶,TIG溶接技能訓練用シミュレータの開発,電気学会研究会資料 産業システム情報化研究会 IIS−08−29〜37,日本,社団法人電気学会,2008年 7月18日,p.13−16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記論理プロセッサベースのサブシステムは、前記使用者がオービタル溶接環境を適切に設定できること又はエラー修復を達成できることを確かにするために、視覚的、聴覚的、物理的な変化に基づく、教示する相互作用又は反応を更に有する、請求項3に記載のシミュレータ。
前記論理プロセッサベースのサブシステムは、入力を可能にし、入力された値に基づいて出力を提供する仮想計算機又は表を更に有する、請求項4に記載のシミュレータ。
前記論理プロセッサベースのサブシステムは、誤った設定パラメータ又はパラメータの組み合わせに基づく、知的エージェントが使用可能な結果を更に有する、請求項4に記載のシミュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
これから、図面を参照するが、それらが示すものは本発明の複数の実施形態を例示する目的のみのためであり、本発明の複数の実施形態を限定する目的のためではない。
図1及び
図2は、概して10で描写され、本明細書においてシミュレータ10又はシステム10と称される、溶接をシミュレートするためのシステムを示す。シミュレータ10は、仮想環境15を生成することができる。仮想環境15は、現実世界のものと類似する溶接の周囲の状況を描写することができ、仮想現実アーク溶接(VRAW)としても知られ得る。仮想環境15内で、シミュレータ10は、一人又はそれ以上の(複数の)最終使用者12との相互作用(interaction)を容易にする(facilitates)。入力装置155が含まれ、最終使用者12が現実世界での動作に取り組むことを可能にする。その現実世界での動作は、シミュレータ10によって追跡され、仮想の動作に変換される。このように、仮想環境15は、インタラクティブな仮想溶接環境15を包含する。表示装置200が含まれ、仮想環境15及び最終使用者12の動作への視覚的なアクセスを提供する。一つの実施形態において、シミュレータ10は、複数の最終使用者12によって見られることができる、表示画面150を含んでもよい。加えて、シミュレータ10は、単一の最終使用者12による使用に適した個人用のディスプレイ140を含んでもよい。その単一の最終使用者12は、訓練生である使用者12a又は指導者である使用者12bであり得る。現実世界での最終使用者12は動作は、仮想溶接動作に変換され、実時間で一つ又はそれ以上のディスプレイ140,150上で見られることが、ここで明確に留意される。本明細書において使用される場合、用語“実時間(real-time)”は、最終使用者12が現実世界の周囲の状況において、遅れず(in time)、認識及び経験するのと同じように、仮想環境において遅れずに認識すること及び経験することを意味する。
【0008】
インタラクティブな仮想溶接環境15の生成において、シミュレータ10は、異なる姿勢の複数の溶接継手に関する一つ又はそれ以上の溶接プロセスをエミュレートし、複数の継手構成のための異なる種類の電極の効果を追加的にエミュレートする。一つの特定の実施形態において、シミュレータ10は、パイプ溶接及び/又はオープンルート継手の溶接をエミュレートするインタラクティブな仮想溶接環境15を生成する。システムは、仮想現実空間で、実時間の溶融金属の流動性及び熱放散特性を有する溶接パドルをシミュレートすることができる。シミュレータ10はまた、どのように仮想溶接動作が溶接継手、例えば下にあるベース材料に影響するかをモデル化することもできる。例示的に、シミュレータ10は、それぞれが現実世界のシナリオに相当する特性を有する、ルートパス及びホットパスを溶接すること、そしてまた、続くフィラー及びキャップパスを溶接することをエミュレートしてもよい。それぞれの続くパスは、前のパスの間に行われるベース材料の変更の結果として、及び/又は、異なる選択をされた電極の結果として、前のパスのそれとはかなり異なるパスを溶接し得る。パドルモデル化の実時間フィードバックは、最終使用者12がディスプレイ200上で仮想溶接プロセスを観察し、仮想溶接が行われているときに、彼/彼女の手技を調節又は維持することを可能にする。観察される仮想インジケータの例は、いくつかの例を挙げると、溶接パドルの流れ、溶融パドルの揺らめき、パドル凝固中の色の変化、パドルの硬化速度、熱放散の色勾配、音、ビード形成、ウィーブパターン、スラグの形成、アンダーカット、ポロシティ、スパッタ、スラグ巻込、オーバーフィル、溶落ち及び閉鎖を含み得る。パドル特性は、最終使用者12による入力装置155の動きに依存すること、すなわち、反応する(responsive)ことが理解されるべきである。このように、表示される溶接パドルは、選択される溶接プロセス及び最終使用者12の溶接手技に基づいて実時間で形成される、現実世界の溶接パドルの代表である。さらに、「ワゴントラック(wagon track)」は、SMAWプロセスを使用するパイプ溶接中に作られるルートパスの先端の後に残される溶接欠陥及びスラグの目に見える痕跡である。ホットパスと呼ばれる、パイプ溶接における第二のパスは、それらが最終的な溶接部では除去されるように、ワゴントラックを再び溶かすために十分に熱くなければならない。また、ワゴントラックは、研磨プロセスによって取り除かれてもよい。このようなワゴントラック及びワゴントラックの除去は、本発明の一つの実施形態に従い、本明細書において記述されるシミュレータ10で適切にシミュレートされる。
【0009】
続けて
図1及び
図2を参照しつつ、これから
図3a及び
図3bを参照すると、シミュレータ10は、様々な溶接姿勢における溶接プロセスをエミュレートしてもよく、どのように溶接パドルがそれぞれの姿勢において反応するかをモデル化する。より具体的に、シミュレータ10は、当分野において5G姿勢、2G姿勢及び6G姿勢とそれぞれ呼ばれる、垂直な姿勢、水平な姿勢及び/又は斜めの姿勢におけるパイプ溶接をエミュレートしてもよい。加えて、シミュレータ10は、パイプの回転する水平位置に関係する1G位置における溶接、又は突き当たるプレートにおける開先溶接(groove weld)に関連し得るように、頭上の溶接に関係する4G位置における溶接をエミュレートしてもよい。他の溶接姿勢は、平らなプレートのための様々な構成のためのオープンルート継手の溶接に関係し得る。シミュレータ10は、続く段落において詳細に記述されるモデル化エンジン及び分析エンジンを含め、溶接パドルに対する重力の影響を考慮に入れることが、理解されるべきである。それに応じて、溶接パドルは、例えば、5G姿勢でのパイプの溶接については、6G姿勢のそれとは異なる反応をする。上記の例は、限定的なものとして解釈されるべきでなく、例示の目的のために含まれる。当業者は、任意の溶接継手、溶接姿勢又は異なる種類のベース部材を含む溶接部の種類へのその応用を容易に理解するであろう。
【0010】
これから
図2及び
図4を参照すると、シミュレータ10は、論理プロセッサベースのサブシステム110を含む。論理プロセッサベースのサブシステム110は、プログラム可能であってもよく、インタラクティブな仮想溶接環境15を生成するためのコード化された指令を実行するために使用可能であってもよい。シミュレータ10はセンサ及び/又はセンサシステムを更に含んでもよく、それらは、論理プロセッサベースのサブシステム110に任意的に接続された、空間トラッカ120から構成されてもよい。シミュレータ10はまた、シミュレータ10の設定及び制御のために論理プロセッサベースのサブシステム110と通信している、溶接ユーザーインターフェース130を含む。上で参照されるように、(複数の)表示装置200が含まれ、表示装置200は、論理プロセッサベースのサブシステム110にそれぞれ接続され、インタラクティブな仮想溶接環境15への視覚的なアクセスを提供する、フェースマウント表示装置140及び観察者表示装置150を包含し得る。一つ又はそれ以上の表示装置200は、後述されるように、その位置及び/又は動きに応じて装置上で見られる画像を変化させるために、空間トラッカ120に接続されてもよい。
【0011】
入力装置
これから
図5を参照すると、上述されたように、シミュレータ10は、最終使用者12との相互作用を容易にする入力装置155を含む。一つの実施形態において、入力装置155は、模擬溶接ツール160を有する。模擬溶接ツール160は、例えば、手動溶接電極ホルダ又は電極への連続的な送給を提供する溶接銃、すなわちIG、FCAW又はGTAW溶接ツールのような、現実世界のツールに類似するように形づくられてもよい。そのうえ、模擬溶接ツール160の他の構成が、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲から逸脱することなく、実施され得る。説明の目的のため、本発明の複数の実施形態は、手動溶接電極ホルダ156に類似する模擬溶接ツール160の使用の文脈で記述されることがある。模擬溶接ツール160は、現実世界の溶接ツールに精密に類似してもよい。一つの特定の実施形態において、模擬溶接ツール160は、現実世界の溶接ツールと同じ形状、重量及び感触を有してもよい。実際のところ、シミュレータ10では現実の溶接ツールは現実のアークを実際に作り出すために使用されないのだが、使用者の手の中でツールの実際の感覚を提供するために、現実の溶接ツールが模擬溶接ツール160として使用され得る。このように、訓練生使用者12aであり得る最終使用者12は、現実世界の溶接ツールを扱うことに慣れ、それにより仮想溶接経験を拡張する。しかし、模擬溶接ツール160は、健全な判断(sound judgment)で選択される如何なる方法で構築されてもよい。
【0012】
例示的に、模擬溶接ツール160は、パイプ溶接のための棒溶接ツールを模し(シミュレートし)、ホルダ161及びホルダ161から延びる模擬的に作成(シミュレート)された棒電極162を含む。シミュレートされた棒電極162は、現実世界の周囲の状況内での溶接中に生じる抵抗フィードバックをシミュレートするために、触覚抵抗先端部163を含んでもよい。最終使用者12がシミュレートされた棒電極162をルートからあまりに離れて後方に動かすと(以下で詳細に記述されるように)、最終使用者12は、低い抵抗を感じる又は感知することができ、したがって、現在の溶接プロセスを調整する又は維持するために使用されるフィードバックを得る。棒溶接ツールが、仮想溶接プロセス中、シミュレートされた棒電極162を引っ込める、図示されないアクチュエータを組み込んでもよいことが企図されている。すなわち、最終使用者12が仮想溶接動作に従事するとき、ホルダ161とシミュレートされた棒電極162の先端部との間の距離は、電極の消費をシミュレートするために減少する。消費速度、すなわち棒電極162の引っ込みは、論理プロセッサベースのサブシステム110によって、より具体的には、論理プロセッサベースのサブシステム110によって実行されるコード化された指令によって制御され得る。シミュレートされた消費速度はまた、最終使用者12の手技にも依存する。シミュレータ10は異なる種類の電極を用いた仮想溶接を容易にするので、棒電極162の消費速度又は減少は、シミュレータ10で使用される溶接手順及び/又はシミュレータ10の設定で変化し得ることが、ここでは特筆すべきである。
【0013】
模擬溶接ツール160のアクチュエータは、電気的に駆動されてもよい。アクチュエータを作動させるための動力は、シミュレータ10から、外部の電源から又は内部のバッテリ電源から由来し得る。一つの実施形態において、アクチュエータは、例えば電動モータのような電動装置であってもよい。そのうえ、電磁アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、機械的又はバネ荷重アクチュエータ、それらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない、如何なるアクチュエータの種類又は原動力の形式が使用され得る。
【0014】
上で示されたように、模擬溶接ツール160は、シミュレータ10と相互作用するために空間トラッカと共に働いてもよい。具体的には、模擬溶接ツール160の位置及び/又は向きは、実時間で空間トラッカ120によって監視及び追跡され得る。したがって、位置及び向きを代表するデータは、論理プロセッサベースのサブシステム110に伝達され、仮想溶接環境15との相互作用のために必要に応じて使用されるために修正又は転換される。
【0015】
空間トラッカ
図8を参照して、空間トラッカ120の一つの実施例が示される。空間トラッカ120は、論理プロセッサベースのサブシステム110とインターフェース接続をしてもよい。一つの実施形態において、空間トラッカ120は、磁気によって模擬溶接ツール160を追跡してもよい。すなわち、空間トラッカは磁気エンベロープを生成し、その磁気エンベロープは、位置及び向き、そしてまた速度及び/又は速度の変化を決定するために使用される。それに応じて、空間トラッカ120は、磁気源121及びソースケーブル、一つ又はそれ以上のセンサ122、ディスク123のホストソフトウェア、電源124、USB及びRS−232ケーブル125、プロセッサトラッキングユニット126及び他の付随するケーブルを含む。磁気源121は、ケーブルを介してプロセッサトラッキングユニット126に動作可能に接続されることができる。センサ122も同様に接続されることができる。電源124もまた、ケーブルを介してプロセッサトラッキングユニット126に動作可能に接続されることができる。プロセッサトラッキングユニット126は、USB及びRS−232ケーブル125を介して論理プロセッサベースのサブシステム110に動作可能に接続されることができる。
ディスク123のホストソフトウェアは、論理プロセッサベースのサブシステム110にロードされることができ、空間トラッカ120と論理プロセッサベースのサブシステム110との間の機能的な通信を可能にする。
【0016】
磁気源121は、磁気源121を取り囲む磁界又はエンベロープを作り出し、三次元空間を規定する。その空間内で、最終使用者12の動作はシミュレータ10との相互作用のために追跡され得る。エンベロープは、空間基準座標系を確立する。エンベロープ内で使用される対象物、例えば、模擬溶接ツール160及びクーポンスタンド(後述される)は、磁気源121によって作られた磁界を歪ませないように、非金属材料、すなわち非鉄金属及び非導電性の材料、で構成されてもよい。センサ122は、交差する空間方向に整列された複数の誘導コイルを含んでもよく、それらは実質的に直交して整列されてもよい。誘導コイルは、3方向それぞれの磁界の強さを測定し、プロセッサトラッキングユニット126にその情報を提供する。一つの実施形態において、センサ122は、模擬溶接ツール160に取り付けられてもよく、模擬溶接ツール160が位置及び向きの両方を空間基準座標系に対して追跡されることを可能にする。より具体的には、誘導コイルは、電極162の先端に取り付けられてもよい。このようにして、シミュレータ10は、三次元のエンベロープ内のどこに模擬溶接ツール160が位置するかを決定することができる。追加的なセンサ122は、提供され、一つ又はそれ以上の表示装置に動作可能に取り付けられてもよい。それに応じて、シミュレータ10は、センサデータを使用して、最終使用者12の動きに応じて最終使用者12によって見られる視界を変化させてもよい。そのように、シミュレータ10は、仮想溶接環境15に変換するために、現実世界における最終使用者12の動作を保存及び追跡する。
【0017】
本発明の一つの代替的な実施形態によれば、(複数の)センサ122はプロセッサトラッキングユニット126と無線でインターフェース接続することができ、プロセッサトラッキングユニット126は論理プロセッサベースのサブシステム110と無線でインターフェース接続することができる。本発明の他の代替的な実施形態によれば、例えば、加速度計/ジャイロスコープベースのトラッカ、光学トラッカ、赤外線式トラッカ、音響式トラッカ、レーザトラッカ、高周波トラッカ、慣性トラッカ、アクティブ又はパッシブの光学トラッカ、並びに拡張現実ベースのトラッキングを含む、他の種類の空間トラッカ120がシミュレータ10で使用され得る。他の種類のトラッカも同様に可能であり得る。なお、他の種類のトラッカは、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲から逸脱することなく、使用され得る。
【0018】
表示装置
これから
図7aを参照すると、フェースマウント表示装置140の一つの実施例がこれから記述される。フェースマウント表示装置140は、
図7cに示されるように溶接ヘルメット900に組み込まれてもよく、又は代替的に、
図7bに示されるように別々に装着されてもよい。フェースマウント表示装置140は、2D及び面順次映像モードで流れるようなフルモーションの映像を届けることができる二つのハイコントラストSVGAの3DのOLEDマイクロディスプレイを含み得る。仮想溶接環境15からの仮想の画像、例えば映像は、フェースマウント表示装置140に提供されるとともに表示される。本発明の一つの実施形態において、論理プロセッサベースのサブシステム110は、フェースマウント表示装置140に立体映像を提供し、使用者の奥行感覚を拡張する。立体画像は論理処理ユニットによって作られてもよく、論理処理ユニットは以下で詳細に記述されるグラフィック処理ユニットであってもよい。また、ズーム(例えば2倍)モードが提供され、使用者が、チータープレート(cheater plate)をシミュレートすることを可能にしてもよい。フェースマウント表示装置140は、有線又は無線手段を介して論理プロセッサベースのサブシステム110及び空間トラッカ120に動作可能に接続し得る。空間トラッカ120のセンサ122は、フェースマウント表示装置140又は溶接ヘルメット900に取り付けられることができ、それにより、フェースマウント表示装置140が空間トラッカ120によって作られた3D空間基準座標系に対して追跡されることを可能にする。このように、溶接ヘルメット900の動きは、敏感に反応して、三次元仮想現実の周囲の状況において最終使用者12によって見られる画像を変更する。
【0019】
フェースマウント表示装置140はまた、後に記述されるように、観察者表示装置150のそれと同様のメニュー項目を呼び出すとともに表示するように機能し得る。このようにして、最終使用者は、メニューからオプションを起動及び選択するために、従って、模擬溶接ツール160上の制御装置(例えば、ボタン又はスイッチ)を使用することができる。これは、例えば、使用者が間違えた場合、幾つかのパラメータを変化させる場合、又は溶接ビード軌跡の一部をやり直すために少し後退する場合に、使用者が容易に溶接をリセットすることを可能にし得る。
【0020】
フェースマウント表示装置140は、スピーカ910を更に含んでもよく、使用者がシミュレータ10によって作られたシミュレートされた溶接に関連する及び環境の音を聞くことを可能にする。音声コンテンツ機能及び溶接音は、幾つかの溶接パラメータが許容限度内であるか許容限度外であるかに依存して変化する特定の種類の溶接音を提供する。音は、様々な溶接プロセス及びパラメータに合わせられる。例えば、MIGスプレーアーク溶接プロセスでは、使用者が模擬溶接ツール160を正しく配置しないとき、パチパチという音(crackling sound)が提供され、模擬溶接ツール160を正しく配置されるとき、シューという音(hissing sound)が提供される。ショートアーク溶接プロセスでは、アンダーカットが発生しているときにシューという音が提供される。これらの音は、正しい及び正しくない溶接手技に対応する現実世界の音を模倣している。
【0021】
高い忠実さの音声コンテンツが、様々な電子的及び機械的手段を使用して実際の溶接の現実世界の録音から取り込まれ得る。音の知覚された音量及び方向は、模擬溶接ツール160と溶接クーポン175との間のシミュレートされたアークに対する最終使用者の頭、すなわちフェースマウント表示装置140の位置、向き、及び距離に依存して修正される。音は、スピーカ910を介して使用者に提供され得る。スピーカ910は、イヤホンスピーカ又は如何なる他の種類のスピーカ若しくは音声発生装置であってもよく、フェースマウント表示装置140に取り付けられるか又は代替的にコンソール135又はスタンド170に取り付けられてもよい。そのうえ、仮想溶接動作に取り組んでいる間に最終使用者12に音声を届ける如何なる方法であっても選択され得る。ここで、他の種類の情報がスピーカ910を通じて伝えられ得ることも、留意される。例は、実時間又は前もって録音されたメッセージをかいするかのいずれかの、指導者である使用者12bからの言葉による指導を含む。前もって録音されたメッセージは、特定の仮想溶接動作がきっかけとなって自動的に再生されてもよい。実時間の指導は、その場で又は遠隔地から生成され得る。そのうえ、如何なる種類のメッセージ又は指導であっても、最終使用者12に伝えられ得る。
【0022】
コンソール
これから
図2、
図6及び
図7を参照すると、シミュレータ10は、シミュレータ10の一つ又はそれ以上の構成要素を収容する、コンソール135を含んでもよい。一つの実施形態において、コンソール135は、溶接電源に類似するように構築されてもよい。すなわち、コンソール135の形状及びサイズは、現実世界の装置のそれに一致してもよい。シミュレータ10の操作は、溶接ユニットインターフェース130によって容易にされてもよく。その溶接ユニットインターフェース130は、溶接電源のノブ、ダイヤル及び/又はスイッチ133,134に類似するように形づくられてもよい。シミュレータ10はディスプレイを更に含んでもよく、それは表示装置200であってもよい。シミュレータ10にインストールされたコード化された指令、すなわちソフトウェアは、指導及び/又はメニューオプションを表示画面200上に表示することによって、最終使用者12のシミュレータ10との相互作用を導いてもよい。シミュレータ10との相互作用は、管理動作又はシミュレーションの設定及び起動に関係する機能を含んでもよい。これは、特定の溶接プロセス及び電極のタイプの選択、並びに溶接姿勢を含む部分の設定を含んでもよい。溶接ユニットインターフェース130を使用して行われる選択は、表示装置200上に反映される。
【0023】
図6は、コンソール135及び溶接ユーザーインターフェース130の一つの例示的な実施形態を示す。溶接ユニットインターフェース130は、シミュレータ10の設定及び操作の間に使用される使用者選択部153に対応する一連のボタン131を含んでもよい。ボタン131は、表示装置200に表示された使用者選択部153の色に対応するように色を付けられてもよい。ボタン131の一つが押されたとき、信号が対応する機能を作動させるために論理プロセッサベースのサブシステム110に送られる。溶接ユニットインターフェース130はまた、様々なパラメータ及び表示装置200に表示された選択肢を選択するために使用者によって使用されることができるジョイスティック132を含んでもよい。溶接ユニットインターフェース130は、一つの例示的な方法において、ワイヤ送給速度/アンペアを調整するために使用され得るダイヤル又はノブ133、及びボルト/トリムを調整するためのもう一つのダイヤル又はノブ134を更に含む。溶接ユニットインターフェース130はまた、アーク溶接プロセスを選択するためのダイヤル又はノブ136を含む。本発明の一つの実施形態によれば、フラックスコアードアーク溶接(FCAW)、ガス金属アーク溶接(GMAW)、被覆金属アーク溶接(SMAW)を含む3つのアーク溶接プロセスが選択可能である。溶接ユニットインターフェース130は、溶接極性(polarity)を選択するためのダイヤル又はノブ137を更に含む。本発明の一つの実施形態によれば、交流(AC)、正の直流(DC+)、及び負の直流(DC−)を含む3つのアーク溶接極性が選択可能である。なお、TIG溶接を含むがこれに限られない、他の溶接プロセス及び設定特徴が、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲から逸脱することなく、組み込まれ得る。以上から、シミュレータ10の設定は、現実世界の装置の設定に相当する(parallels)ことが容易に理解されるであろう。
【0024】
グラフィカルユーザーインターフェース機能1213(
図12参照)は、観察者表示装置150を通じて見ることができ、物理的ユーザーインターフェース130のジョイスティック132を使用する使用者が溶接シナリオを設定することを可能にする。溶接シナリオの設定は、言語の選択、最終使用者名の入力、練習プレート(例えば、溶接クーポン、T−プレート、平らなプレート)の選択、溶接プロセス(例えば、FCAW、GMAW、SMAW、TIG)及び付随する軸方向スプレー、パルス、又は移行のショートアークモードの選択、ガスの種類及び流量の選択、棒電極の種類(例えばE6010又はE7018)の選択並びにフラックスコアードワイヤの種類(例えばセルフシールド、ガスシールド)の選択を含み得る。溶接シナリオの設定はまた、以下で詳細に説明される、クーポンスタンド170の高さを含み得る。溶接シナリオの設定は、環境(例えば、仮想現実空間のバックグラウンド環境)の選択、ワイヤ送給速度の設定、電圧レベルの設定、極性の選択、及び特定の視覚的キューをオン又はオフにすることを更に含む。ここで一つの実施形態において、制限がシミュレータ10に組み込まれてもよいことが、留意される。その制限は、選択されたプロセスに関する適当な設定が適切に入力されるまで所与の溶接シナリオの作動が起こらないようにする、ソフトウェア制限であってもよい。このように、訓練生である使用者12aは、仮想溶接シナリオを設定することによって、現実世界の溶接設定の適切な範囲を教わるか又は学習する。
【0025】
それに応じて、表示装置200は、メニュー、動作、視覚的キュー、新しいクーポン設定及び採点を含む、最終使用者選択部153に対応する動作を反映する。これらの使用者選択部は、コンソール135の使用者ボタンに結び付けられ得る。使用者が表示装置200を介して様々な選択を行うとき、表示された特徴は、選択された情報及び他のオプションを使用者に提供するために変化し得る。しかし、観察者表示装置150であり得る表示装置200は、他の機能を有してもよい。その機能は、シミュレータ10の操作中に、すなわち、仮想溶接動作に取り組んでいる間に、最終使用者12によって見られる仮想画像を表示することである。表示装置200は、最終使用者12によって見られるのと同じ画像を見るように設定されてもよい。代替的に、表示装置200はまた、仮想溶接動作の異なる視界又は異なる視点を 表示するために使用されてもよい。
【0026】
一つの実施形態において、表示装置150,200は、
図10に示されるデータ記憶装置300に電子的に保存された仮想溶接動作を再生するために使用されてもよい。最終使用者12の仮想溶接動作を代表するデータは、再生及び復習のために保存されてもよく、記録保管の目的のためにダウンロードされてもよく、及び/又は、実時間で見ること及び批評することのために遠隔地に送信されてもよい。仮想溶接動作の再生において、溶接パドルの流動性、移動速度、並びに、例えば不適切なすみ肉サイズ、不十分なビード配置、凹ビード、余盛、アンダーカット、ポロシティ、融合不良、スラグ巻込、過剰なスパッタ及び溶落ちを含む不連続性の状態152のような詳細は、提示され得る。許容角度から外れた角度の結果である、アンダーカットもまた表示され得る。さらに、アークを溶接部から遠く動かし過ぎることによって引き起こされるポロシティが表示されてもよい。このように、シミュレータ10は、特定の仮想溶接動作の部分又は全部を再生し、最終使用者の動作に直接的に関係する閉鎖及び欠陥を含む仮想溶接シナリオの全ての側面をモデル化することができる。
【0027】
図6aを参照すると、シミュレータ10はまた、仮想溶接動作の結果を分析し、表示することができる。結果を分析することによって、シミュレータ10が、溶接パス中にいつ及び溶接継手に沿ってどこで、最終使用者12が溶接プロセスの許容可能な限度から外れたかを決定できることが示される。得点は最終使用者12のパフォーマンスに起因し得る。一つの実施形態では、得点は、許容範囲を通る模擬溶接ツール160の位置、向き及び速度における偏差の関数であり得る。この許容範囲は、理想溶接の手の動き(パス)から限界又は許容できない溶接動作に広がり得る。範囲の任意の勾配が、最終使用者12のパフォーマンスを採点するために選ばれるようなシミュレータ10に組み込まれ得る。採点は数値的に又は英数字で表示され得る。加えて、最終使用者12のパフォーマンスは、時間及び/又は溶接継手に沿った位置で、どれくらい近くで模擬溶接ツールが溶接継手を横切ったかを図式的に示して表示され得る。移動角度、ワーク角度、速度、溶接継手からの距離等のパラメータは、測定され得るものの例であるが、任意のパラメータが採点目的のために分析され得る。パラメータの許容範囲は、現実世界の溶接データから取られるので、どのように最終使用者が現実世界で実行するかに関する正確なフィードバックを提供する。他の実施形態では、最終使用者12のパフォーマンスに対応する欠陥の分析もまた組み込まれ得るとともに表示装置150,200に表示され得る。本実施形態では、どの種類の不連続部が仮想溶接動作中にモニタされた様々なパラメータの測定から生じたかを示すグラフが描かれ得る。閉鎖は表示装置200で見ることができないが、欠陥は最終使用者12のパフォーマンスの結果として依然として起こり得、この結果は対応して表示され、すなわち、グラフ化され得る。
【0028】
表示装置200はまた、最終使用者12をトレーニングするためのチュートリアル情報を表示するために使用され得る。チュートリアル情報の例は指導を含んでもよく、それは映像又は写真によって描写されるように、図式的に表示されてもよい。加えて、指導は、書かれてもよく又は上述の聴覚的な形式で提示されてもよい。このような情報は、データ記憶装置300に保存及び維持されてもよい。一つの実施形態において、シミュレータ10は、本明細書において視覚的キューと呼ばれる、位置、先端からワークへの距離、溶接角度、移動角度、移動速度を含む、様々な溶接パラメータ151を示す仮想溶接シーンを表示することできる。
【0029】
一つの実施形態において、遠隔通信は、類似して又は類似せずに構成された装置、すなわちシミュレータから働く、離れた場所の人物、すなわち遠隔使用者による、仮想的な指導を提供するために使用され得る。仮想溶接プロセスを描くことは、インターネット、LANs及びデータ送信の他の手段を含むがこれらに限定されないネットワーク接続を介して達成され得る。特定の溶接(パフォーマンス変数を含む)を代表するデータは、仮想画像及び/又は溶接データを表示することができる他のシステムに送られてもよい。送信されるデータは、(複数の)遠隔使用者が溶接工のパフォーマンスを分析するために十分に詳細であることが留意されるべきである。遠隔システムに送られるデータは、仮想溶接環境を生成し、それにより一つの特定の溶接プロセスを再現する(recreating)ために使用されてもよい。なお、パフォーマンスデータ又は仮想溶接動作を他の装置に通信する如何なる方法であっても、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲から逸脱することなく、実施され得る。
【0030】
溶接クーポン
これから
図1、
図9a及び
図9bを参照すると、シミュレータ10は、並置されて溶接継手176を形成する複数のパイプ部分(section)に類似する溶接クーポン175を含み得る。溶接クーポン175は、仮想溶接動作に取り組んでいる間に最終使用者12のためのガイドとして機能するシミュレータ10と共に働いてもよい。複数の溶接クーポン175が、仮想溶接動作の所与のサイクルにおける使用のために使用、すなわち、交換されてもよい。溶接クーポンの種類は、単にいくつかの例を挙げれば、円筒形のパイプ部分、アーチ状のパイプ区分、平らなプレート及びT−プレート溶接継手を含み得る。一つの実施形態において、溶接クーポンのそれぞれは、オープンルート継手又は開先を組み込み得る。しかし、溶接継手の如何なる構成であっても、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲から逸脱することなく、溶接クーポンに組み込まれ得る。
【0031】
溶接クーポン175の寸法は様々であってもよい。円筒形のパイプについては、内径の範囲は、1と二分の一インチ(約3.8cm)(内径)から18インチ(約45.7cm)(内径)に広がり得る。一つの特定の実施形態において、内径の範囲は、18インチを超えてもよい。一つの他の実施形態において、アーチ状のパイプ区分は、1と二分の一インチ(内径)から最大で18インチ(内径)に広がる範囲及び18インチ(内径)を超える範囲の特有の半径を有し得る。さらに、1と二分の一インチよりも小さい内径及び18インチを超える内径の両方の、溶接クーポン175の如何なる内径であっても利用され得ると解釈されるべきである。実際的な感覚で、如何なるサイズの溶接クーポン175であっても、溶接クーポン175又は溶接クーポン175の一部分が空間トラッカ120によって生成されるエンベロープ内に適合する限り、使用されることができる。平らなプレートは、同様に最大で18インチであってもよく、18インチを超えてもよい。そのうえ、溶接クーポン175の寸法の上限は、空間トラッカ120によって生成される感知する場(sensing field)のサイズ及び強さ及び溶接クーポン175のそれぞれの配置される能力によってのみ拘束されることが理解されるべきである。全てのこのような変形は、本発明の複数の実施形態の対象の意図される範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【0032】
上述されたように、溶接クーポン175は、空間トラッカ120を妨げない材料から構築されてもよい。空間トラッカは磁場を生成するため、溶接クーポン175は、非鉄及び非導電性の材料から構築されてもよい。しかし、空間トラッカ120又は他の選択されるセンサの種類と共に使用されることに適した、如何なる種類の材料であっても選択され得る。
【0033】
図9a及び
図9bを参照すると、溶接クーポン175は、テーブル又はスタンド170に適合するように構築されてもよく、テーブル又はスタンド170は、空間トラッカ120に対して一定に溶接クーポン175を(少なくとも部分的に)保持する。それに応じて、溶接クーポン175は、接続部177又は接続器177を含んでもよい。接続部177は、溶接クーポン175の一方側から延びてもよく、それは図示されるように底側であってもよい。また、接続部177は、スタンド170に含まれる機械的なインターロッキング装置に受容されてもよい。溶接クーポン175がスタンド170に挿入される向きは、仮想溶接環境15内に作られる仮想溶接部、すなわちパイプを精密に一致させるために、一定である、すなわち、反復可能である必要があり得ることが、明確に理解されるであろう。この方法で、シミュレータ10が溶接クーポン175の位置がどのように変更されたかに気付いている限り、仮想の対照物への調整もそれに応じてなされ得る。例えば、設定中に、最終使用者12は溶接されるパイプのサイズを選択してもよい。最終使用者12は、次いで適切な溶接クーポン175をスタンド170に挿入し、適切な位置に固定してもよい。続いて、最終使用者12は、溶接使用者インターフェース130を介して選択を行い、所望の溶接姿勢を選んでもよい。後述されるように、スタンド170は、溶接クーポン175がシミュレータ10によって認識される如何なる溶接姿勢となる位置にでも、その後傾けられ又は調整されてもよい。もちろん、溶接クーポン175の位置を調整することはまた、空間トラッカ120の位置を調整し、それによりセンサ追跡場の中での溶接クーポン175の相対的な位置を維持することが明確に理解されるであろう。
【0034】
図9は、スタンド170の一つの実施形態を描写する。スタンド170は、調整可能なテーブル171、スタンドベース172、調整可能なアーム173及び垂直な支柱174を含み得る。テーブル171及びアーム173は、垂直な支柱174にそれぞれ取り付けられる。テーブル171及びアーム173はそれぞれ、垂直な支柱174の高さに沿って調整されることができる。その調整は、垂直な支柱174に対して上方に、下方に及び回転する動きを含み得る。アーム173は、ここで記述される方法と一貫した方法で溶接クーポンを保持するために使用される。テーブル171は、彼又は彼女が使用中に腕を置くこと可能にすることによって最終使用者12を補助してもよい。一つの特定の実施形態において、垂直な支柱174は、使用者がアーム173及びテーブル171がどこに垂直に位置するかを正確に知ることができるように、位置情報でインデックスを付けられる。この情報は、溶接使用者インターフェース130及び表示装置150を使用して、設定中にシミュレータ10に入力され得る。
【0035】
本発明の一つの代替的な実施形態は、テーブル171及びアーム173の位置は、シミュレータ10の設定中になされる選択に反応して自動的に調整されることを企図されている。本実施形態において、溶接使用者インターフェース130を介してなされる選択は、論理プロセッサベースのサブシステム110に伝えられ得る。スタンド170によって利用されるアクチュエータ及びフィードバックセンサは、アーム173及びテーブル171を物理的に動かすことなく溶接クーポン175を配置するために、論理プロセッサベースのサブシステム110によって制御され得る。一つの実施形態において、アクチュエータ及びフィードバックセンサは、電気的に駆動されるサーボモータであってもよい。しかし、確実な工学的判断で選択されるようにスタンド170の位置を自動的に調整するために、如何なる機関装置(locomotive device)でも使用され得る。このように、溶接クーポン175の設定のプロセスは、自動化され、最終使用者12による手動での調整を要求しない。
【0036】
本発明の一つの他の実施形態は、本明細書において「スマート」クーポン175と称される、溶接クーポン175と共に使用される知的装置の使用を含む。本実施形態において、溶接クーポン175は、スタンド170によって感知され得るその特定の溶接クーポン175に関する情報を有する装置を含む。具体的には、アーム173は、溶接クーポン175上に位置する装置上又は中に保存されたデータを読み取る検出器を含み得る。例は、検出器の近くに運ばれた場合に無線で読み取られ得る、センサ、例えば小型電子装置上のコード化されたデジタルデータの使用を含み得る。他の例は、バーコードのような受動的な装置の使用を含み得る。なお、溶接クーポン175に関する情報を論理プロセッサベースのサブシステム110に知的に伝える如何なる方法であっても、確実な工学的判断で選択され得る。
【0037】
溶接クーポン175上に保存されたデータは、シミュレータ10に対し、スタンド170に挿入された溶接クーポン175の種類を自動的に示し得る。例えば、2インチ(約5.1cm)パイプクーポンは、その直径に関係する情報を含んでもよい。代替的に、平らなプレートクーポンは、クーポンに含まれる溶接継手の種類、例えば開先溶接継手又は突合せ溶接継手を示す情報、そしてまたその物理的寸法を示す情報を含んでもよい。このように、溶接クーポン175に関する情報は、溶接クーポン175の選択及び設置に関係するシミュレータ10の設定のその部分を自動化するために使用され得る。
【0038】
校正機能1208(
図12参照)は、現実世界の空間(3D基準座標系)内の物理的構成要素を仮想現実環境15内の見える構成要素と一致させる能力を提供する。それぞれの異なる種類の溶接クーポン175は、溶接クーポン175をスタンド170のアーム173に取り付け、所定のポイント179(例えば、溶接クーポン175の3つのくぼみ179によって示される)においてスタンド170に動作可能に接続された校正スタイラスで溶接クーポン175に触れることによって、工場で校正される。シミュレータ10は、所定のポイント179での磁界の強さを読み取り、論理プロセッサベースのサブシステム110に位置情報を提供し、論理プロセッサベースのサブシステム110は、校正(すなわち、現実世界の空間から仮想現実空間への変換)を実行するために位置情報を使用する。
【0039】
したがって、同じ種類の溶接クーポン175の任意の部分が、スタンド170のアーム173に非常に厳しい許容限度内で同じ反復可能な方法で適合する。したがって、いったん特定の種類の溶接クーポン175が校正されると、類似するクーポンの繰り返しの校正の必要はない。すなわち、特定の種類の溶接クーポン175の校正は1回だけの事象である)。換言すれば、同じ種類の溶接クーポン175は交換可能である。校正は、溶接プロセス中に使用者によって知覚される物理的なフィードバックが仮想現実空間で使用者に表示されるものと一致することを確実にし、シミュレーションがより現実的に見えるようにする。例えば、使用者が実際の溶接クーポン175の角の近くで模擬溶接ツール160の先端をスライドさせる場合、使用者は、使用者が実際の角の近くを先端がスライドすることを感じながら、表示装置200で仮想溶接クーポンの角の近くを先端がスライドすることを見る。本発明の一つの実施形態によれば、模擬溶接ツール160はまた、予め位置決めされたジグに置かれ、既知のジグ位置に基づいて、同様に校正されてもよい。
【0040】
本発明の一つの代替的な実施形態によれば、「スマート」クーポンは、シミュレータ10が予め定められた校正ポイント又は「スマート」クーポンの角を追設することを可能にする、センサを有してもよい。センサは、予め定められた校正ポイントの正確な位置で、溶接クーポン175に取り付けられてもよい。しかし、校正データをシミュレータ10に伝える如何なる方法であっても、選択され得る。したがって、シミュレータ10は、「スマート」クーポンが現実世界の3D空間内のどこにあるかを連続的に知る。さらに、ライセンスキーが溶接クーポン175を「アンロック」するために提供されてもよい。特定の溶接クーポン175が購入されるとき、ライセンスキーが提供されてもよく、最終使用者12a,12bがライセンスキーをシミュレータ10に入力し、その特定の溶接クーポン175に関連付けられたソフトウェアをアンロックすることを可能にする。一つの他の実施形態において、特殊な規格外の溶接クーポンが部品の現実世界のCAD図面に基づいて提供され得る。
【0041】
プロセッサベースのシステム
これから
図2、
図4及び
図10を参照すると、上述されたように、シミュレータ10は、論理プロセッサベースのサブシステム110を含む。論理プロセッサベースのサブシステム110は、仮想溶接環境15を生成するために使用されるコード化された指令を実行するためのプログラム可能な電子回路構成200を有し得る。プログラム可能な電子回路構成200は、一つ又はそれ以上の論理プロセッサ203又は論理プロセッサベースのシステム203を含んでもよく、それらは一つ又はそれ以上のマイクロプロセッサ204を有し得る。一つの特定の実施形態において、プログラム可能な電子回路構成200は、更に後述される(複数の)中央処理ユニット(CPU)及び(複数の)グラフィック処理ユニット(GPU)から構成され得る。例えば、電子メモリ、すなわちRAM,ROM、及び他の周辺の支援回路構成のような、追加的な回路構成が含まれてもよい。電子メモリは、CPU及びGPUの両方のために含まれてもよく、それらのそれぞれは、ここで記述されるように仮想溶接環境15のレンダリング側面における使用のために別々にプログラム可能であり得ることが留意される。その上に、プログラム可能な電子回路構成200は、例えばハードディスク装置、後学的保存装置、フラッシュメモリ及びその他同種の物のようなデータ記憶装置300を含み、利用してもよい。なお、シミュレータ10内の複数の装置の間又は複数の異なるシミュレータ10の間のデータの移動を容易にする、他の種類の電子回路構成が含まれ得る。これは、例えば、一つ又はそれ以上の入力装置155、例えば空間トラッカ若しくはセンサからのデータ受信、又は、一つ又はそれ以上のネットワークを通じたデータ移動を含んでもよい。一つ又はそれ以上のネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)及び/又はインターネットであり得る。上記の装置及びプロセスは、本質的に例示的なものであり、限定的に解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。実際に、如何なる形式のプログラム可能な回路構成、支援回路構成、通信回路構成及び/又はデータ記憶装置であっても、確実な工学的判断で選択されるように本発明の実施形態に組み込まれ得る。
【0042】
図10は、シミュレータ10の論理プロセッサベースのサブシステム110のサブシステムブロック図の一つの例示的な実施形態を示す。論理プロセッサベースのサブシステム110は、中央処理ユニット(CPU)111及び二つのグラフィック処理ユニット(GPU)115を含んでもよい。二つのGPU115は、本発明の一つの実施形態に従って、実時間の溶融金属の流動性並びに熱吸収及び放散特性を有する溶接パドルの仮想現実シミュレーションを提供するようにプログラムされてもよい。
【0043】
図11を参照すると、グラフィック処理ユニット(GPU)115のブロック図の一つの例示的な実施形態が示される。各GPU115は、データ並列アルゴリズムの実装をサポートする。本発明の一つの実施形態によれば、各GPU115は、二つの仮想現実視界を提供することができる二つの映像出力118及び119を提供する。映像出力の二つは、フェースマウント表示装置140に送られることができ、溶接工の視点をレンダリングし、第三の映像出力は観察者表示装置150に送られることができ、例えば、溶接工の視点又は他の視点をレンダリングする。残りの第四の映像出力は、例えばプロジェクタに送られてもよく、又は仮想溶接環境15をシミュレートすることに適した如何なる他の目的のために使用されてもよい。両方のGPI115は、同じ溶接物理学計算を実行し得るが、同じ又は異なる視点から仮想溶接環境15をレンダリングし得る。GPU115は、コンピューテッド統一デバイスアーキテクチャ(CUDA)116及びシェーダ117を含む。CUDA116は、業界標準プログラミング言語を通じてソフトウェア開発者がアクセス可能であるGPU115の計算エンジンである。CUDA116は、並列コアを含み、本明細書において記述される溶接パドルシミュレーションの物理モデルを動かすために使用される。CPU111は、実時間溶接入力データをGPU115のCUDA116に提供する。一つの特定の実施形態において、シェーダ117は、シミュレーションの全ての映像を描画すること及び塗ることを担当する。ビード及びパドルの映像は、後述される溶接ピクセル変位マップの状態によって駆動される。本発明の一つの実施形態によれば、物理モデルは、約毎秒30回の速度で動くとともに更新される。
【0044】
図12は、シミュレータ10の機能ブロック図の一つの例示的な実施形態を示す。シミュレータ10の様々な機能ブロックは、主として、論理プロセッサベースのサブシステム110で動作するソフトウェア指令及びモジュールによって実装され得る。シミュレータ10の様々な機能ブロックは、物理インターフェース1201、トーチ及びクランプモデル1202、環境モデル1203、音声コンテンツ機能1204、溶接音1205、スタンド/テーブルモデル1206、内部アーキテクチャ機能1207、校正機能1208、クーポンモデル1210、溶接物理学1211、内部物理学調整ツール(微調整器)1212、グラフィカルユーザーインターフェース機能1213、グラフ化機能1214、実習生レポート機能1215、レンダラ1216、ビードレンダリング1217、3Dテクスチャ1218、視覚的キュー機能1219、採点及び許容度機能1220、許容度エディタ1221、及び特殊効果1222を含む。
【0045】
内部アーキテクチャ機能1207は、例えば、ファイルの読み込み、情報の保持、スレッドの管理、物理学モデルをオンにする、及びメニューを動作させることを含む、シミュレータ10のプロセスのより高レベルのソフトウェアロジスティクスを提供する。内部アーキテクチャ機能1207は、本発明の実施形態では、CPU111で作動する。論理プロセッサベースのサブシステム110への幾つかの実時間入力は、アーク位置、銃位置、フェースマウント表示装置又はヘルメット位置、銃のオン/オフ状態、及び接触された状態(イエス/ノー)を含む。
【0046】
シミュレートされた溶接シナリオ中、グラフ化機能1214は、使用者パフォーマンスパラメータを集め、使用者パフォーマンスパラメータを(例えば、観察者表示装置150での)グラフィック形式での表示のためにグラフィカルユーザーインターフェース機能1213に提供する。空間トラッカ120からのトラッキング情報は、グラフ化機能1214に入る。グラフ化機能1214は、単純な分析モジュール(SAM)及びウィップ/ウィーブ分析モジュール(WWAM)を含む。SAMは、溶接移動角度、移動速度、溶接角度、位置、及び先端からワークを含む使用者溶接パラメータを、それらの溶接パラメータをビードテーブルに保存されたデータと比較することによって分析する。WWAMは、ダイム間隔、ウィップ時間、及びパドル時間を含む、使用者ウィッピングパラメータを分析する。WWAMはまた、ウィーブの幅、ウィーブの間隔、及びウィーブ時間を含む使用者ウィービングパラメータを分析する。SAM及びWWAMは、生の入力データ(例えば、位置及び向きのデータ)をグラフ化のために機能的に使用可能なデータに翻訳する。SAM及びWWAMによって分析された各パラメータに対して、許容度ウィンドウが、許容度エディタ1221を使用してビードテーブルに入力される最適又は理想的な設定ポイントの周りのパラメータ限度によって定められ、採点及び許容度機能1220が実行される。
【0047】
許容度エディタ1221は、材料の使用、電気の使用、及び溶接時間を概算する溶接メータを含む。さらに、幾つかのパラメータが許容度の外にあるとき、溶接不連続部(すなわち、溶接欠陥)が生じ得る。如何なる溶接不連続部の状態も、グラフ化機能1214によって処理され、グラフィック形式でグラフィカルユーザーインターフェース機能1213を介して提示される。このような溶接不連続部は、すみ肉サイズ、不十分なビード配置、凹ビード、余盛、アンダーカット、ポロシティ、融合不良、スラグ巻込、及び過剰なスパッタを含む。本発明の一つの実施形態によれば、不連続部のレベル又は量は、特定の使用者パラメータが最適又は理想の設定ポイントからどれくらい離れているかに依存する。
【0048】
異なるパラメータ限度が、例えば、溶接初心者、溶接熟練者、及び展示会の人等の異なる種類の使用者に対して予め定められ得る。採点及び許容度機能1220は、特定のパラメータに関して使用者がどれくらい最適値(理想)に近かったかに依存するとともに溶接部に存在する不連続部又は欠陥のレベルに依存する数の採点を提供する。採点及び許容度機能1220から及びグラフ化機能1214からの情報は、指導者及び/又は実習生のために、パフォーマンスレポートを作るために、実習生レポート機能1215によって使用され得る。
【0049】
視覚的キュー機能1219は、フェースマウント表示装置140及び/又は観察者表示装置150に重ねられた色及び指標を表示することによって使用者に即座のフィードバックを提供する。視覚的キューは、位置、先端からワーク、溶接角度、移動角度及び移動速度を含む溶接パラメータ151のそれぞれに提供され、使用者の溶接手技のある側面が予め定められた限度又は許容度に基づいて調整されるべきである場合、使用者に視覚的に指摘する。視覚的キューはまた、例えば、ウィップ/ウィーブ手技及び溶接ビード「ダイム」間隔のために提供され得る。
【0050】
本発明の一つの実施形態によれば、仮想現実空間での溶接パドル又は溶融池のシミュレーションは、シミュレートされた溶接パドルが実時間の溶融金属の流動性及び熱放散特性を有する場合に達成される。本発明の一つの実施形態によれば、溶接パドルシミュレーションの中心部分には、GPU115で実行される溶接物理学機能1211(物理モデルとしても知られる)がある。溶接物理学機能は、動的な流動性/粘性、固体性、熱勾配(熱吸収及び熱放散)、パドル跡、及びビード形状を正確にモデル化するために、二重移動層技術を利用し、本明細書において
図14a−14cに関してより詳細に説明される。
【0051】
溶接物理学機能1211は、加熱された溶融状態から冷却された凝固状態まで全ての状態において溶接ビードをレンダリングするために、ビードレンダリング機能1217と通信する。ビードレンダリング機能1217は、仮想現実空間において実時間で溶接ビードを正確且つ現実的にレンダリングするために、溶接物理学機能1211からの情報(例えば、熱、流動性、変位、ダイム間隔)を使用する。3Dテクスチャ機能1218は、シミュレートされた溶接ビードの上に追加的なテクスチャ(例えば、焼け(スコーチング)、スラグ、粒粒(グレイン))を重ねるために、ビードレンダリング機能1217にテクスチャマップを提供する。レンダラ機能1216は、スパーク、スパッタ、スモーク、アークの輝き及びヒューム、並びに例えばアンダーカット及びポロシティ等の幾つかの不連続部を含む特殊効果モジュール1222からの情報を使用して、様々な非パドルの特定の特性をレンダリングするために使用される。
【0052】
内部物理調整ツール1212は、様々な溶接物理学パラメータが様々な溶接プロセスに対して定められ、更新され、且つ修正されること可能にする微調整器である。本発明の一つの実施形態によれば、内部物理調整ツール1212は、CPU111で動作し、調整又は更新されたパラメータはGPU115にダウンロードされる。内部物理調整ツール1212を介して調整され得るパラメータの種類は、溶接クーポンに関連するパラメータ、溶接クーポンをリセットする必要なしにプロセスが変えられることを可能にする(第二のパスを行うことを可能にする)プロセスパラメータ、全シミュレーションを再設定すること無しに変えられ得る様々なグローバルパラメータ、及び他の様々なパラメータを含む。
【0053】
図13は、シミュレータ10を使用するトレーニングの方法1300の実施形態のフローチャートである。ステップ1310では、溶接手技に従って溶接クーポンに対して模擬溶接ツールを動かす。ステップ1320では、仮想現実システムを使用して三次元空間における模擬溶接ツールの位置及び向きを追跡する。ステップ1330では、シミュレートされた模擬溶接ツールが、シミュレートされた模擬溶接ツールから放出されるシミュレートされたアークの近くにシミュレートされた溶接パドルを形成することによって、シミュレートされた溶接ビード材料をシミュレートされた溶接クーポンの少なくとも一つのシミュレートされた表面にデポジットする(置く)ときに、仮想現実空間における模擬溶接ツール及び溶接クーポンの実時間仮想現実シミュレーションを示す仮想現実溶接システムのディスプレイを見る。ステップ1340では、シミュレートされた溶接パドルの実時間の溶融金属の流動性及び熱放散特性を、ディスプレイで見る。ステップ1350では、シミュレートされた溶接パドルの実時間の溶融金属の流動性及び熱放散特性を見ることに応じて、溶接手技の少なくとも一つの側面を実時間で修正する。
【0054】
方法1300は、どのように使用者が仮想現実空間で溶接パドルを見ることができ、実時間の溶融金属の流動性(例えば、粘性)及び熱放散を含む、シミュレートされた溶接パドルの様々な特性を見ることに応じて溶接手技を修正することができるかを示す。使用者はまた、実時間のパドル跡及びダイム間隔を含む他の特性を見るとともに反応し得る。溶接パドルの特性を見るとともに反応することは、多くの溶接動作が実際に現実世界で実行されるやり方である。GPU115で動く溶接物理学機能1211の二重移動層モデリングは、このような実時間の溶融金属の流動性及び熱放散特性が正確にモデル化されるとともに使用者に示されることを可能にする。例えば、熱放散は、凝固時間(すなわち、溶接ピクセルが完全に凝固するのにどのくらいの時間がかかるか)を決定する。
【0055】
さらに、使用者は、同じ又は異なる(例えば、第二の)模擬溶接ツール、溶接電極及び/又は溶接プロセスを用いて溶接ビード材料の上に第二のパスを行い得る。このような第二のパスシナリオでは、シミュレートされた模擬溶接ツールが、シミュレートされた模擬溶接ツールから放出されるシミュレートされたアークの近くに第二のシミュレートされた溶接パドルを形成することによって、第一のシミュレートされた溶接ビード材料と融合する第二のシミュレートされた溶接ビード材料を被覆するとき、シミュレーションは、シミュレートされた模擬溶接ツール、溶接クーポン、及び元のシミュレートされた溶接ビード材料を仮想現実空間に示す。同じ又は異なる溶接ツール又はプロセスを用いる追加的なその次のパスが同様の方法で行われ得る。第二又はその次のパスいずれにおいても、本発明の幾つかの実施形態によれば、前の溶接ビード材料、新しい溶接ビード材料、及び、場合によって下にあるクーポン材料のいずれかの組合せから、新しい溶接パドルが仮想現実空間において形成されるとき、前の溶接ビード材料は、被覆される新しい溶接ビード材料と融合される。このようなその次のパスは、例えば、前のパスによって形成された溶接ビードの修理をするために実行されてもよく、又は、パイプ溶接で行われるようなヒートパス及びルートパス後の一つ又はそれ以上のキャップ閉鎖パスを含んでもよい。本発明の様々な実施形態によれば、ベース及び溶接ビード材料は、軟鋼、ステンレス鋼及びアルミニウムを含むようにシミュレートされ得る。
【0056】
本発明の一つの実施形態によれば、ステンレス鋼材料を用いる溶接は、実時間の仮想環境内でシミュレートされる。ベース金属の外観は、ステンレス鋼溶接部の現実的な提示を提供するようにシミュレートされる。視覚的効果のシミュレーションは、アークの呈色を考慮に入れるために、光の目に見えるスペクトルを変化させるために提供される。現実的な音もまた、適切なワーク距離、イグニション及び速度に基づいて、シミュレートされる。アークパドルの外観及びデポジションの外観は、熱影響区域及びトーチの動きに基づいてシミュレートされる。溶接ビード全体に散乱され得る酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムの膜の浮きかす(ドロス)又は砕けた粒子のシミュレーションが、提供され得る。加熱及び冷却に影響される区分に関係する計算は、ステンレス鋼溶接に合わせられる。スパッタに関係する不連続性操作は、ステンレス鋼GMAW溶接の外観をより精密及び正確にシミュレートするために提供される。
【0057】
本発明の一つの実施形態によれば、アルミニウム材料を用いる溶接は、実時間の仮想環境内でシミュレートされる。ビード跡は、アルミニウム溶接の外観を現実世界において見られる外観に精密に一致させるようにシミュレートされる。ベース金属の外観は、アルミニウム溶接の現実的な提示を示すようにシミュレートされる。視覚的効果のシミュレーションは、アークの呈色を考慮に入れるために、光の目に見えるスペクトルを変化させるために提供される。照明の計算は、反射性を作り出すために提供される。加熱及び冷却に影響される区分に関係する計算は、アルミニウム溶接に合わせられる。酸化のシミュレーションは、現実的な「クリーニング動作」を作り出すために提供される。現実的な音もまた、適切なワーク距離、イグニション及び速度に基づいて、シミュレートされる。アークパドルの外観及びデポジションの外観は、熱影響区域及びトーチの動きに基づいてシミュレートされる。アルミニウムワイヤの外観は、現実的かつ適切な外観を提供するために、GMAWトーチ内にシミュレートされる。
【0058】
本発明の一つの実施形態によれば、GTAW溶接は、実時間の仮想環境内でシミュレートされる。流量、パルス周波数、パルス幅、アーク電圧制御、ACバランス及び出力周波数制御を含むがこれらに限られない、GTAW溶接についての操作パラメータのシミュレーションが、提供される。パドルの「はね(splash)」又は浸漬技術及び消費可能な溶接のメルトオフの視覚的な提示もまた、シミュレートされる。さらに、溶接パドル内の自原的な溶接操作(溶加材(filler metal)なし)及び溶加材を用いたGTAW溶接操作の提示は、視覚的及び聴覚的にレンダリングされる。追加的な溶加材の種類の実施がシミュレートされてもよく、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム及びクロムモリブデンを含むがこれらに限定されない。外部の足踏みペダルの選択的な実施は、溶接しながらの操作のために提供されてもよい。
【0059】
モデル化用エンジン
図14a−14bは、本発明の一つの実施形態による、溶接要素(溶接ピクセル)変位マップ1420の概念を示す。
図14aは、平らな上面1410を有する平らな溶接クーポン1400の側面を示す。溶接クーポン1400は、現実世界では、例えば、プラスチック部品として存在し、また仮想現実空間では、シミュレートされた溶接クーポンとして存在する。
図14bは、溶接ピクセルマップ1420を形成する、「溶接ピクセル」と称される溶接要素のグリッド又はアレイに分割されたシミュレートされた溶接クーポン1400の上面1410の表示を示す。各溶接ピクセル(例えば、溶接ピクセル1421)は、溶接クーポンの上面1410の小さい部分を定める。溶接ピクセルマップは、表面解像度を定める。可変チャンネルパラメータ値が各溶接ピクセルに割り当てられ、各溶接ピクセルの値が、シミュレートされた溶接プロセス中に仮想現実溶接空間において実時間で動的に変化することを可能にする。可変チャンネルパラメータ値は、チャンネルパドル(Puddle)(溶融金属の流動性/粘性変位)、熱(Heat)(熱吸収/放散)、変位(Displacement)(固体変位)、及び追加のもの(Extra)(例えば、スラグ、グレイン、スコーチング、新地金等の様々な更なる状態)に対応する。これらの可変チャンネルは、パドル、熱、追加のもの、及び変位それぞれに関して、PHEDとここでは称される。
【0060】
図15は、
図1及び
図2のシミュレータ10においてシミュレートされる
図14の平らな溶接クーポン1400のクーポン空間及び溶接空間の一つの例示的な実施形態を示す。ポイントO、X、Y及びZは、ローカル3Dクーポン空間を定める。一般的に、各クーポンの種類は、3Dクーポン空間から2D仮想現実溶接空間へのマッピングを定める。
図14の溶接ピクセルマップ1420は、仮想現実内の溶接空間にマッピングする値の2次元のアレイである。使用者は、
図15に示されるようにポイントBからポイントEに溶接することになる。ポイントBからポイントEへの軌跡線は、
図15の3Dクーポン空間及び2D溶接空間の両方に示される。
【0061】
クーポンの各種類は、溶接ピクセルマップにおける各場所の変位の方向を定める。
図15の平らな溶接クーポンに関して、変位の方向は溶接ピクセルマップの全ての場所において同じである(すなわちZ方向)。溶接ピクセルマップのテクスチャ座標が、マッピングを明らかにするために、3Dクーポン空間及び2D溶接空間の両方において、S、T(時々U、Vと呼ばれる)として示される。溶接ピクセルマップは、溶接クーポン1400の長方形面1410にマッピングされるとともに溶接クーポン1400の長方形面1410を示す。
【0062】
図16は、シミュレータ10においてシミュレートされる角部溶接クーポン1600のクーポン空間及び溶接空間の一つの例示的な実施形態を示す。角部溶接クーポン1600は、3Dクーポン空間において、二つの面1610及び1620を有し、これらは
図16に示されるように2D溶接空間にマッピングされる。この場合もまた、ポイントO、X、Y及びZは、ローカル3Dクーポン空間を定める。溶接ピクセルマップのテクスチャ座標は、マッピングを明らかにするために、3Dクーポン空間及び2D溶接空間の両方において、S、Tとして示される。使用者は、
図16に示すようにポイントBからポイントEに溶接することになる。ポイントBからポイントEへの軌跡線は、
図16の3Dクーポン空間及び2D溶接空間の両方に示される。しかし、変位の方向は、3Dクーポン空間に示されるように線X’−O’に向かい、反対側の角を向かう。
【0063】
図17は、シミュレータ10においてシミュレートされるパイプ溶接クーポン1700のクーポン空間及び溶接空間の一つの例示的な実施形態を示す。パイプWC1700は、3Dクーポン空間において、曲面1710を有し、2D溶接空間にマッピングされる。この場合もまた、ポイントO、X、Y及びZは、ローカル3Dクーポン空間を定める。溶接ピクセルマップのテクスチャ座標は、マッピングを明らかにするために、3Dクーポン空間及び2D溶接空間の両方において、S、Tとして示される。最終使用者12は、
図17に示すように湾曲した軌跡に沿ってポイントBからポイントEに溶接することになる。ポイントBからポイントEへの軌跡曲線及び線は、3Dクーポン空間及び2D溶接空間にそれぞれ示される。変位の方向は、線Y−Oから離れる(すなわち、パイプの中心から離れる)。
図18は、
図17のパイプ溶接クーポン1700の一つの例示的な実施形態を示す。パイプ溶接クーポン1700は、非鉄金属、非導電性のプラスチックで作られ、一体となってルート継手1703を形成する二つのパイプピース1701及び1702をシミュレートする。スタンド170のアーム173に取り付けるためのアタッチメントピース1704も示される。
【0064】
テクスチャマップが幾何学形状の長方形の表面領域にマッピングされ得るのと同様の方法で、溶接可能な溶接ピクセルマップが、溶接クーポンの長方形表面にマッピングされ得る。溶接可能なマップの各要素は、写真の各要素がpixel(ピクセル)と呼ばれること(picture element(画素)の短縮)と同じ感覚でwexel(溶接ピクセル)と呼ばれる。ピクセルは、色(例えば、赤、緑、青、他)を定める情報のチャンネルを含む。溶接ピクセルは、仮想現実空間において溶接可能な面を定める情報のチャンネル(例えば、P、H、E、D)を含む。
【0065】
本発明の一つの実施形態によれば、溶接ピクセルのフォーマットは、4つの浮動小数点数を含むチャンネルPHED(パドル、熱、追加のもの、変位)としてまとめられる。追加のもののチャンネルは、例えば、溶接ピクセルの場所にスラグがあるかどうか等、溶接ピクセルに関する論理的情報を格納するビットのセットとして扱われる。パドルチャンネルは、溶接ピクセルの場所での任意の液状金属に関する変位値を格納する。変位チャンネルは、溶接ピクセルの場所での任意の凝固金属に関する変位値を格納する。熱チャンネルは、溶接ピクセルの場所での熱の大きさを与える値を格納する。このように、クーポンの溶接可能な部分は、溶接されたビードに起因する変位、液体金属に起因する揺らめく表面の「パドル」、熱に起因する色等、を示すことができる。これらの効果の全ては、溶接可能な表面に適用される頂点及びピクセルシェーダによって実現される。
【0066】
本発明の一つの実施形態によれば、変位マップ及びパーティクルシステムが使用され、粒子は互いに相互作用し得るとともに変位マップと衝突し得る。粒子は、仮想動的流体粒子であり、溶接パドルの液体挙動を提供するが、直接レンダリングされない(すなわち、直接視覚的に見られない)。代わりに、変位マップに対する粒子の効果のみが視覚的に見られる。溶接ピクセルへの熱入力は、近くの粒子の運動に影響を及ぼす。パドル及び変位を含む溶接パドルをシミュレートするのに関わる二つのタイプの変位がある。パドルは「一時的」であり、粒子及び熱が存在する間しか続かない。変位は「永久的」である。パドル変位は、急速に変化する(例えば、揺らめく)溶接の液体金属であり、変位の「上に」あると考えられ得る。粒子は、仮想表面変位マップ(すなわち、溶接ピクセルマップ)の一部をオーバーレイする(覆う)。変位は、最初のベース金属及び凝固した溶接ビードの両方を含む不変の固体金属を表す。
【0067】
本発明の一つの実施形態によれば、仮想現実空間でシミュレートされた溶接プロセスは、次のように動く:粒子が細い円錐のエミッタ(シミュレートされた模擬溶接ツール160のエミッタ)から流れる。粒子は、溶接ピクセルマップによって定められる表面であるシミュレートされた溶接クーポンの表面と最初の接触をする。粒子は、互いに及び溶接ピクセルマップと相互作用し、実時間で蓄積する。溶接ピクセルがエミッタに近いほど多くの熱が加えられる。熱は、アークポイントからの距離及びアークから入力される熱の時間の量に依存してモデル化される。いくつかのビジュアル(例えば、色等)が熱によって駆動される。溶接パドルが、十分な熱を有する溶接ピクセルに対して仮想現実空間に描かれる又はレンダリングされる。十分熱いところはどこでも、溶接ピクセルマップは液体になり、パドル変位をこれらの溶接ピクセルの場所に対して「上げ」させる。パドル変位は、各溶接ピクセルの場所における「最も高い」粒子をサンプリングすることによって決定される。エミッタが溶接軌跡に沿って動くとき、残された溶接ピクセルの場所は冷える。熱は特定の速度で溶接ピクセルの場所から除去される。冷却閾値に達するとき、溶接ピクセルマップは凝固する。このように、パドル変位は、変位(すなわち凝固したビード)に徐々に変換される。追加される変位は、全高が変化しないように、除去されるパドルと同等である。粒子の寿命は、凝固が完了するまで存続するように微調整又は調整される。シミュレータ10でモデル化される幾つかの粒子の特性は、引力/斥力、速度(熱に関連する)、減衰(熱放散に関連する)、方向(重力に関連する)を含む。
【0068】
図19a−19cは、シミュレータ10の二重変位(変位及び粒子)パドルモデルの概念の一つの例示的な実施形態を示す。溶接クーポンは、少なくとも一つの面を有して仮想現実空間でシミュレートされる。溶接クーポンの面は、固体変位層及びパドル変位層を含む二重変位層として仮想現実空間でシミュレートされる。パドル変位層は、固体変位層を変更することができる。
【0069】
本明細書において記述されるように、「パドル」は、パドル値が粒子の存在によって上げられた溶接ピクセルマップの領域によって定められる。サンプリングプロセスは
図19a−19cに表される。溶接ピクセルマップの部分が、7つの隣接する溶接ピクセルを有して示される。現在の変位値は、所与の高さ(すなわち、各溶接ピクセルに対する所与の変位)の陰影のない長方形の棒1910によって表される。
図19aでは、粒子1920が、現在の変位レベルと衝突し積み重ねられた丸い陰影のない点として示される。
図19bでは、「最も高い」粒子高さ1930が、各溶接ピクセルの場所でサンプリングされる。
図19cでは、陰影付き長方形1940が、どれくらいのパドルが粒子の結果として変位の上部に加えられたかを示す。溶接パドル高さは、パドルが熱に基づいて特定の液化速度で加えられるので、サンプリングされた値に即座に設定されない。
図19a−19cに示されていないが、パドル(陰影付き長方形)が徐々に縮むとともに変位(陰影のない長方形)が正確にパドルに代わるように下から徐々に伸びるので、凝固プロセスを可視化することが可能である。このように、実時間の溶融金属の流動特性は、正確にシミュレートされる。使用者が特定の溶接プロセスを練習するとき、使用者は、仮想現実空間で実時間の溶接パドルの溶融金属の流動特性及び熱放散特性を観察することができるとともに、彼の溶接手技を調整又は維持するためにこの情報を使用することができる。
【0070】
溶接クーポンの面を表す溶接ピクセルの数は固定される。さらに、流動性をモデル化するためにシミュレーションによって生成されるパドル粒子は、本明細書において記述されるように、一時的である。したがって、ひとたび初期パドルが、シミュレータ10を使用するシミュレートされた溶接プロセス中に、仮想現実空間に生成されると、溶接ピクセルに加えてパドル粒子の数は比較的一定のままの傾向がある。これは、処理されている溶接ピクセルの数が固定され、パドル粒子は同様の割合で作られるとともに「破壊される」(すなわちパドル粒子は一時的である)ため溶接プロセス中に存在するとともに処理されているパドル粒子の数は比較的一定のままの傾向があるためである。したがって、論理プロセッサベースのサブシステム110の処理負荷は、シミュレートされる溶接セッション中、比較的一定のままである。
【0071】
本発明の一つの代替的な実施形態によれば、パドル粒子は、溶接クーポンの表面内又は同表面の下で生成され得る。このような実施形態では、変位は、未加工(すなわち溶接されていない)クーポンの元の表面の変位に対して正又は負であるようにモデル化され得る。このように、パドル粒子は、溶接クーポンの表面に蓄積し得るだけでなく、溶接クーポンを貫通もし得る。しかし、溶接ピクセルの数は依然として固定され、作られるとともに破壊されるパドル粒子は依然として比較的一定である。
【0072】
本発明の一つの代替的な実施形態によれば、粒子をモデル化する代わりに、パドルの流動性をモデル化するためにより多くのチャンネルを有する、溶接ピクセル変位マップが提供され得る。或いは、粒子をモデル化する代わりに、高密度なボクセル(voxel)マップがモデル化され得る。或いは、溶接ピクセルマップをモデル化する代わりに、サンプリングされるとともに決して消えない粒子のみがモデル化され得る。しかし、このような代替実施形態は、システムに対して比較的一定の処理負荷を提供しないかもしれない。
【0073】
さらに、本発明の一つの実施形態によれば、吹き抜け又はキーホールが材料を取り除くことによってシミュレートされる。例えば、使用者がアークを同じ場所にあまりにも長い間保持する場合、現実世界では、材料は燃え尽き、穴をもたらす。このような現実世界の吹き抜けは、溶接ピクセルデシメーション技術によってシミュレータ10でシミュレートされる。溶接ピクセルによって吸収される熱の量がシミュレータ10によって高過ぎると決定される場合、その溶接ピクセルは、燃え尽きているとしてフラグを付けられる又は指定され得るとともに、そのようにレンダリングされる(例えば穴としてレンダリングされる)。しかし、続いて、溶接ピクセル再構成が、最初に燃え尽きた後に材料が追加されて戻される特定の溶接プロセス(例えばパイプ溶接)について発生し得る。概して、シミュレータ10は、溶接ピクセルデシメーション(材料を取り除くこと)及び溶接ピクセル再構成(すなわち、材料を追加して戻すこと)をシミュレートする。
【0074】
さらに、ルートパス溶接における材料の除去が、シミュレータ10において適切にシミュレートされる。例えば、現実世界では、ルートパスの研磨がその後の溶接パスの前に実行され得る。同様に、シミュレータ10は、仮想の溶接継手から材料を除去する研磨パスをシミュレートし得る。除去される材料は溶接ピクセルマップに対する負の変位としてモデル化されることが明確に理解されるであろう。すなわち、研磨パスは、シミュレータ10によってモデル化される材料を除去し、変更されたビード輪郭をもたらす。研磨パスのシミュレーションは自動的であり得る。つまり、シミュレータ10は材料の所定の厚さを除去し、これはルートパス溶接ビードの表面にそれぞれ考慮され得る。一つの代替的な実施形態において、実際の研磨ツール、又はグラインダがシミュレートされることができ、模擬溶接ツール160又は他の入力装置の作動によってオン及びオフになる。研磨ツールは現実世界のグラインダに類似するようにシミュレートされ得ることが留意される。本実施形態において、使用者は、研磨ツールをその動きに応じて材料を除去するためにルートパスに沿って操作する。使用者は過度に材料を除去することが許容され得ることが理解されるであろう。上述と同様の方法で、使用者が過度に材料を研磨する場合、(上述された)穴又は他の欠陥が結果として生じ得る。さらに、ハードリミット又はストップが、使用者が過度に材料を除去することを防ぐために又は過度に材料が除去されるときに示すために、実装され得る、すなわちプログラムされ得る。
【0075】
ここに記載された不可視の「パドル」粒子に加えて、シミュレータ10はまた、本発明の一つの実施形態に従って、アーク、炎、及び火花効果を表現するために、3つの他の種類の可視粒子を使用する。これらの種類の粒子は、いずれの種類の他の粒子とも相互に作用しないが、変位マップのみと相互に作用する。これらの粒子はシミュレートされた溶接面と衝突するが、それらは互いに相互に作用しない。本発明の一つの実施形態によれば、パドル粒子のみが互いに相互に作用する。火花粒子の物理的性質は、火花粒子が飛び回るとともに仮想現実空間において輝く点としてレンダリングされるように設定される。
【0076】
アーク粒子の物理的性質は、アーク粒子がシミュレートされたクーポン又は溶接ビードの表面に衝突し、しばらく留まるように設定される。アーク粒子は、仮想現実空間において大きく、ぼやけた青白いスポットとしてレンダリングされる。任意の種類の視覚映像を形成するために、重ね合わせられる多くのこのようなスポットが必要である。最終結果は、青い端部を持つ白く輝く光輪である。
【0077】
炎粒子の物理的性質は、上方にゆっくり上がるようにモデル化される。炎粒子は、中間サイズのぼやけた黄赤色のスポットとしてレンダリングされる。任意の種類の視覚映像を形成するために、重ね合わせられる多くのこのようなスポットが必要である。最終結果は、赤い端を持つ橙赤色の炎のぼんやりした形のものであり、上方に上がり次第に消える。他の種類の非パドル粒子が、本発明の他の実施形態に従って、シミュレータ10に実装され得る。例えば、煙粒子がモデル化され得るとともに炎粒子と同様の方法でシミュレートされ得る。
【0078】
シミュレートされた可視化の最終ステップは、GPU115のシェーダ117によって提供される、頂点及びピクセルシェーダによって扱われる。頂点及びピクセルシェーダは、パドル及び変位、並びに熱に起因して変えられる表面の色及び反射率、等に用いられる。前述のPHED溶接ピクセルフォーマットの追加のもの(E)チャンネルは、溶接ピクセル毎に使用される追加の情報の全てを含む。本発明の一つの実施形態によれば、追加の情報は、非未加工ビット(真=ビード、偽=未加工スチール)、スラグビット、アンダーカット値(この溶接ピクセルにおけるアンダーカットの量、ゼロはアンダーカットが無いことに等しい)、ポロシティ値(この溶接ピクセルにおけるポロシティの量、ゼロはポロシティが無いことに等しい)、及びビードが凝固する時間をエンコードするビード跡値を含む。未加工スチール、スラグ、ビード、及びポロシティを含む異なるクーポン映像に関連付けられた一連の画像マップがある。これらの画像マップは、バンプマッピング及びテクスチャマッピングの両方のために使用される。これらの画像マップのブレンディングの量は、ここに記載された様々なフラグ及び値によって制御される。
【0079】
ビード跡効果は、1D画像マップ及び所与の一片のビードが凝固する時間をエンコードする溶接ピクセル当たりのビード跡値を使用して達成される。ひとたび熱いパドル溶接ピクセルの場所がもはや「パドル」と呼ばれるのに十分熱くなくなると、時間がその場所において保存され「ビード跡」と呼ばれる。最終結果は、シェーダコードが、ビードが置かれた方向を表現するその独特の外観をビードに与える「さざ波」を描くために1Dテクスチャマップを使用することができる。本発明の一つの代替的な実施形態によれば、シミュレータ10は、シミュレートされた溶接パドルが溶接軌跡に沿って動かされる際に、シミュレートされた溶接パドルの実時間の流動状態から凝結への移行に起因する実時間溶接ビード跡特性を有する溶接ビードを、仮想現実空間でシミュレートすることができるとともに表示することができる。
【0080】
本発明の一つの代替的な実施形態によれば、シミュレータ10は、使用者に溶接機械の問題解決(トラブルシュート)をする方法を教えることができる。例えば、システムの問題解決モードは、使用者がシステムを正しく設定すること(例えば、正しいガス流量、正しい電源コード接続、等)を確かにするために使用者をトレーニングし得る。本発明の他の代替的な実施形態によれば、シミュレータ10は、溶接セッション(又は少なくとも溶接セッションの一部、例えば、Nフレーム)を記録し、再生することができる。トラックボールが映像のフレームを通じてスクロールするために設けられることができ、使用者又は指導者が溶接セッションを批評することを可能にする。再生は、選択可能な速度でも(例えば、最高速度、半分の速度、1/4の速度)提供され得る。本発明の一つの実施形態によれば、分割スクリーン再生が提供されることができ、二つの溶接セッションが、例えば観察者表示装置150で、並べて見られることを可能にする。例えば、「良い」溶接セッションが、比較目的で「悪い」溶接セッションの隣で見られ得る。
【0081】
自動化された溶接も本発明の一つの態様である。自動化された溶接の一つの例示的な実施例は、オービタル溶接(orbital welding)である。オービタル溶接は、様々な種類の材料チューブ又はパイプの接合のためにしばしば使用される。例えば、TIG(GTAW)溶接トーチは、自動化された機械的なシステムによって一体に溶接されるべき複数のパイプの周り軌道に乗って回るために使用され得る。
図20は、オービタル溶接環境において使用されるような、オービタル溶接システムの一つの例示的な実施形態を示す。オービタル溶接システムは、パイプ又はチューブの周りを移動する溶接トラクター、溶接電源及び制御部、並びに操作者制御を提供するペンダント(pendant)を含む。
図21は、溶接されるべき二つのパイプに動作可能に接続された、
図20のオービタル溶接システムの溶接トラクター2010を示す。
図22は、
図20のオービタル溶接システムの電源及び制御部2020を示す。また、
図23は、
図20のオービタル溶接システムのペンダント2030を示す。
【0082】
上記の説明は、オービタル溶接を含むプロセスの仮想現実シミュレーションに焦点を合わせていたが、本発明の実施形態は、その態様に限定されず、使用者に定められた設定に従ってなされる溶接に関連する実際の設定及びパフォーマンス特性の教示及びフィードバックの態様も含む。上述されたように、GTAW/GMAW溶接は、操作者がこのプロセスの練習のために利用可能な制御装置を理解することを確かにするためにトレーニングを要求する。機械が溶接を行っているため、オービタル溶接システムに関連する自動化がトレーニングの必要性をなくすという誤解が存在する。自動化されたオービタル溶接は、操作者が溶接及び特有の設定の全て及びTIGビードを制御するための実施技術を理解することを確かにするためにトレーニングを要求する。これは、エラー修正、より大きな直径のパイプの溶接、遠隔カメラの利用並びに適切なエラー評価及び修正を含む。トレーニングプログラムは、良好な溶接状況、悪い溶接状況及び実行するための機序、それぞれへの反応又は修正を教えることの、一貫しない又は不十分な範囲を提供する。この種のニッチな問題解決手段のための指導者は、十分な背景及び/又は産業知識及び経験で見つけることは難しい。認定された指導者によって教えられた品質トレーニングを通じてのみ、オービタル溶接設備の操作者は、今日の溶接環境における厳格な承認基準を満たすために必要とされる複雑な技能を得ることができる。加えて、長い溶接継手を伴う大きな周囲の設計については、注意及び集中を維持することの困難性が重要な課題を提示する。
【0083】
GTAWプロセスにおいて、電弧は消耗品でないタングステン電極とワークピースとの間に維持される。電極はアークの熱を持続させ、ワークピースの金属は溶けて溶接パドルを形成する。ワークピースの溶融金属及び電極は、大気中の酸素に対して保護されなければならず、そのため典型的に、例えばアルゴンなどの不活性ガスをシールドガスとして利用する。溶加材の添加が使用される場合、フィラーワイヤは溶接パドルに送給されてもよく、そこでフィラーワイヤは、電弧によって供給されるエネルギーに起因して溶ける。本発明の一つの実施形態によれば、(実際の又は仮想の)ペンダント又は遠隔制御を使用する、GTAW/GMAWの自動化された溶接操作を見ることに関係する技術を組み込む仮想現実溶接システムが提供される。その仮想現実溶接システムは、自動化された溶接に関係するときに、様々なパラメータの相互作用及び溶接品質に対するそれらのインパクトを、自動化された溶接に関係する適切な専門用語及び視覚的な要素と共に理解するために、使用者画面の使用を通じて、選択された溶接パラメータの組み合わせに基づいて溶接不連続部を特定し、操作者選択及びパラメータの組み合わせを修正する。
【0084】
仮想環境内でオービタルGTAWトレーニングを実施することによって、多数の問題が扱われ得る。例えば、オービタル溶接における産業及び経験は、開発会社の知識に基づき、そのため、一貫性があり且つ入手可能な最新の技術及び基準に更新される。その更新は、仮想環境のソフトウェアのアップグレードによって容易に行われる。指導者は、プログラムに対する進行役となり、オービタルGTAWの専門家である必要はない。経路追従キュー又は視覚的な積み重ねのような追加的なトレーニング補助は、仮想環境内でトレーニングの移行を改善する。オービタルGTAW設備は、時代遅れになり得るが、購入される必要はない。仮想現実システムは、一つ又はそれ以上のトレーニング環境又は教室様式の周囲の状況において使用されることができる。
【0085】
仮想の枠組みの使用は、複数のペンダントが一つのトレーニング装置を用いてシミュレートされることを可能にする。仮想現実でのオービタルGTAWの実施において、ペンダントは、物質的な装置として又は仮想のペンダントとして作られることができる。物質的な装置を用いて、実習生は、制御装置と相互作用し、制御の「感覚」を獲得することができる。仮想のペンダントを用いる場合、制御装置はタッチスクリーン上で利用可能であるとともに相互作用され、使用者は、それらが特別注文されようと又は会社に依存しようと、制御のための様々なペンダントを容易に選択することができる。仮想のペンダントはまた、実習生の産業上のレベルに基づいて利用可能な学習レベル又は制御装置に応じて、その実習生による使用が可能にされるべき、異なる種類の制御装置又はレベル(フィールドワーク経験を反映すること)を可能にする。伝統的なトレーニングとは違い、無作為化された(ランダムな)故障(例えば、ワイヤのネスティング)が実施されることができる。それは、設備を損傷すること又は時間を消費する設定をすることなく、使用者により詳細且つ完全な経験を提供する。
【0086】
学習相互作用の一部は、継手、準備、材料の種類等に基づく適切な溶接パラメータの理解である。一つの実施形態によれば、仮想現実において、理論対応スクリーンは、適切な選択を行うための知識で、使用者を促すことを可能にされてもよい。追加的なスクリーン又はテーブルが、入力されるべきものの知識で使用者を促すことを可能にされてもよいが、誤った選択肢が選ばれた場合に何が選ばれたか及び何故それが不正確であるかを、特定された適切な選択肢と共に強調することを可能にされてもよい。この種類の知的エージェントは、積極的な応援及び学習を鍵として、実習生が、不正確に実行しないこと及び最終結果によって挫折させられないことを確かにすることができる。本発明の一つの実施形態はまた、システム又は指導者が、使用者の知識を質問し、トレーニングカリキュラム及び個人的な使用者の盲点に対する試験を適合させることを可能にすることができる。本発明の一つの実施形態は、必要な領域での指導を手伝い、知識を補強し、学習の補助を提供する人工知能(AI)及び学習管理システム(LMS)を利用する。
【0087】
設定パラメータは、不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム)、アークイグニション、溶接電流(例えば、パルス対非パルス)、溶接の最後でのクレータ形成を避けるための下り坂機能、トーチ回転移動速度、ワイヤ送給特性(例えば、パルス波形)、ワイヤ直径選択、アーク電圧、電極とワークピースとの間の距離、溶接振動制御、遠隔制御、概して一体化された閉ループ水冷回路の冷却特性及び溶接サイクルプログラミング(しばしば4つの軸を伴う)等を含み得るが、これらに限定されない。
【0088】
溶接の検査及び復習は、学習プロセスの一つの他の側面である。実習生は、溶接を見ることができ、何が正しいか又は誤っているかを特定することができ、これらの選択に基づいて、彼らが正しかったかどうかを特定する得点を受け取ることができ、業界標準に基づいて何が正しいか又は誤っているかに関する入力を更に受け取ることができる。これは、どのようにこれらの状況を修正するかを特定することに更に拡張されることができる。一例として、正確な電流量及び(特定された)速度を用いた場合、溶接は、特定の業界標準に基づいて良好な溶接であり得る。
【0089】
上述されたように、仮想現実溶接における入力選択のための物質的な教育ペンダント又は携帯型(hand-held)の制御装置が、提供され得る。代替的に、仮想現実溶接についての入力選択制御のための仮想教育ペンダント装置が、提供され得る。実習生の学習レベル又は産業上の役割に応じた、携帯型又は仮想の装置との相互作用が、装置上で可能にされ得る。使用者に基づいて制御又は相互作用を制限することが、一つの実施形態に従い、学習対象を拡張すること又は産業上の役割との相互作用を強化するために、提供され得る。
【0090】
視覚的、聴覚的又は物理的な変化に基づく教示する相互作用又は反応は、使用者が適切な設定又はエラー修復を知ることを確かにするために提供されてもよい。また、視覚的、聴覚的又は物理的な変化に基づく教示する相互作用又は反応は、使用者が、行われている環境的又は溶接特有の変更に基づいて必要とされる、制御装置における適切な変更を知ることを確かにするために提供されてもよい。仮想計算機又は表は、入力を可能にし、入力された値に基づいて出力を提供することを可能にされてもよい。誤った設定パラメータ又は選択に基づく、知的エージェントが使用可能な結果は、正確な業界標準を強化するために提供されてもよい。さらに、何が適切な制御装置入力であるべきであったかを特定するための、知的エージェントが使用可能な入力は、現在の視覚的、聴覚的又は物理的なインジケータに基づいて、提供されてもよい。一つの実施形態によれば、カメラベースのシステムのシミュレーションは、ファジー論理制御部ベースのシステムに基づく経路追従及び経路決定システムを作ることと共に、提供されてもよい。例えば、複数のカメラ視界がシミュレーション中に動かされることができるように、二つのカメラ視界をシミュレートすることによる複数のレンダリングが提供されてもよい。一つの実施形態によれば、例えば、ファジー論理に基づいて、所望の経路から逸脱する場合に、警報が鳴ってもよい。シミュレートされたTIG溶接パドルの可視化は、TIG溶接パドルの適切な可視化を提供するために十分に小さなピクセルサイズによって提供され得る。シミュレートされたTIG溶接パドルの拡大のシミュレーションもまた、使用者によるより良い可視化のために提供され得る。
【0091】
使用者の技能レベル、学習ペース及び学習スタイルに適する、使用者のための経験の複数のレベルが提供されてもよい(学習管理システム適合)。人工知能(AI)ベースの障害導入もまた、問題を発見、修正及び修復する使用者の能力を試験するために、提供されてもよい。安全でない状況、機器設定及び材料の欠陥のシミュレーションが提供されてもよい。また、一つの実施形態に従い、多言語機能を有するシステムが提供されて、世界市場のためのトレーニングのハーモナイゼーションを可能にしてもよい。本発明の一つの実施形態は、特定のオービタル溶接シナリオにおけるように、二人又はそれ以上の使用者(複数の人)が一つの仮想溶接を作り出すことを可能にする仮想シミュレーション環境を提供し得る。
【0092】
要約すると、開示されたものは、実時間仮想現実溶接システムであって、プログラム可能なプロセッサベースのサブシステム、プログラム可能なプロセッサベースのサブシステムに動作可能に接続された空間トラッカ、空間トラッカによって空間的に追跡されることができる少なくとも一つの模擬溶接ツール、及びプログラム可能なプロセッサベースのサブシステムに動作可能に接続された少なくとも一つの表示装置、を含む、システムである。システムは、仮想現実空間内で、実時間の溶融金属流動性及び熱放散特性を有する溶接パドルをシミュレートすることができる。システムは更に、シミュレートされた溶接パドルを実時間で表示装置に表示することができる。
【0093】
本発明は、開示された複数の実施形態を参照して本明細書において記述された。明らかに、本明細書を読み、理解することによって、変更及び代替が他の者の考えに浮かび得る。全てのそのような変更及び代替を、それらが添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内に含まれる範囲で含むことが意図されている。