特許第6360084号(P6360084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許63600842−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの液相フッ素化で2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360084
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの液相フッ素化で2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロペンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/087 20060101AFI20180709BHJP
   C07C 19/10 20060101ALI20180709BHJP
   C07C 17/25 20060101ALI20180709BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20180709BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180709BHJP
【FI】
   C07C17/087ZAB
   C07C19/10
   C07C17/25
   C07C21/18
   !C07B61/00 300
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-4953(P2016-4953)
(22)【出願日】2016年1月14日
(62)【分割の表示】特願2013-535517(P2013-535517)の分割
【原出願日】2010年10月25日
(65)【公開番号】特開2016-104789(P2016-104789A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2016年2月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(72)【発明者】
【氏名】ピガモ,アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンドランジャ, ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ボネ,フィリップ
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/149011(WO,A1)
【文献】 特許第5884130(JP,B2)
【文献】 特開2010−047560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/087
C07C 17/25
C07C 19/10
C07C 21/18
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)〜(iv):
(i)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを、2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンを含む反応生成物を形成するのに十分な条件下で、液相でイオン性液体ベースの触媒の存在下で弗化水素と接触させ、
(ii)分離プロセスで上記反応生成物からHClおよびHFを分離して有機混合物を形成し、
(iii)この有機混合物を2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンから成る第1流と、未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから成る第2流とに分離し、
(iv)未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを段階(i)へ再循環させる、
段階を有し、
段階(i)では不活性ガスを導入し、反応生成物はガスの状態で取り出し、段階(ii)では蒸留によってHClを分離し、
上記触媒はアンチモンをベースにした少なくとも一種のハロゲン化されたルイス酸と、一般式:Y+-の塩(A-はハロゲン化物のアニオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸塩のアニオンを表し、Y+は第四アンモニウムカチオンを表す)との反応によって得る、
ことを特徴とする触媒フッ素化方法。
【請求項2】
触媒リッチな相にして実行する請求項に記載の方法。
【請求項3】
触媒/有機物のモル比を50モル%以上にして実行する請求項に記載の方法。
【請求項4】
反応中に、出発化合物の1モル当たりモル比で0.05〜20モル%の塩素を加える請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
反応中に、出発化合物の1モル当たりモル比で1〜17モル%の塩素を加える請求項に記載の方法。
【請求項6】
上記不活性ガスが窒素またはヘリウムである請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
出発化合物の流れと比較した上記不活性ガスの流れの比を0.5:1〜5:1にする請求項に記載の方法。
【請求項8】
出発化合物の流れと比較した上記不活性ガスの流れの比を1:1〜3:1にする請求項に記載の方法。
【請求項9】
反応温度を30℃〜200℃の間にする請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
反応温度を50℃〜150℃の間にする請求項に記載の方法。
【請求項11】
反応の圧力を2バール以上にする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応の圧力を5〜15バールの間にする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
HF:出発化合物のモル比を0.5:1〜50:1の間にする請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
HF:出発化合物のモル比を5:1〜15:1の間にする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続法で行う請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法を用いて作った2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンをさらに脱塩化水素化して2,3,3,3−テトラフルオロプロペンにする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
上記脱塩化水素化を気相で実行する請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO1233xf)の液相触媒フッ素化によって製品の2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパン(HCF244bb)を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オゾン層保護のためのモントリオールプロトコルによってクロロフルオロカーボン(CFC)の使用は禁止された。クロロフルオロカーボンの代わりにオゾン層への影響がより少ない化合物、例えばハイドロフルオロカーボン、HFC、例えばHFC−134aが用いられるようになった。しかし、これらの化合物は温室効果ガスとなる。従って、ODE(オゾン減損ポテンシャル)が低く且つGWP(地球温暖化ポテンシャル)が低いものを開発するというニーズが存在する。ハイドロフルオロカーボン(HFC)はオゾン層に影響を及ぼさない化合物の重要な候補物質と認定されたが、それでも相対的に高いGWP値を示し、さらに低いGWP値を示す化合物を見つけるというニーズが存在している。ヒドロフルオロオレフィン(HFO)はODEおよびGWP値が非常に低い代替物であると考えられている。
【0003】
このHFO化合物、特にプロピレンの製造方法がいくつか開発されている。化合物244bb(2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパン)は1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)製造の中間体として特に望まれている。
【0004】
特許文献1には1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから液相フッ素化または気相フッ素化で244bbを合成する方法が記載されている。液体のフッ素化で87%の収率が記載されているが、オーバーヘッドガスのみが考慮され、反応装置に残った液相は分析されていない。
【0005】
特許文献2〜6には1233xfから出発して244bbを製造する方法が開示されている。これらの全ての文献で触媒としてはSbCl5が使われている。最高90%の高い選択率が報告されている。液相反応装置へのHC1の添加または混合触媒SbCl3/SbC15の使用の具体化は記載がない。
【0006】
特許文献7には液相フッ素化で244bbを製造するための原料として1233xfを使用した例が記載されている。244bbの収率は87〜89%の間にある。
【0007】
この反応のキーとなるファクタは選択性にある。事実、未反応のフィードは再循環するのが容易であり、副生成物および反応生成物、特に塩素化物の工業プロセスでの用途が見あたらないので、選択性が高ければ転化率が低くても許される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許公開第W02007/079431号公報
【特許文献2】米国特許公開第US2009/0182179号明細書
【特許文献3】米国特許公開第US2009/0240090号明細書
【特許文献4】米国特許公開第US2009/0312585号明細書
【特許文献5】米国特許公開第US2010/0036179号明細書
【特許文献6】国際特許公開第WO2009/137658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、化合物244bbを高い選択性で製造するプロセスに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、触媒の存在で製品2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO 1233xf)を液相で触媒フッ素化して製品2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロプロパンを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下はその具体例である:
(1)イオン性液体は、アルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、錫、アンチモン、ニッケル、亜鉛または鉄をベースにした少なくとも一種のハロゲン化またはオキシハロゲン化したルイス酸と、一般式:Y+-の塩(A-はハロゲン化物のアニオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸塩のアニオンを表し、Y+は第四アンモニウムカチオン、第四ホスホニウムカチオンまたは第三スルホニウムカチオンを表す)との反応によって得られ、触媒はフッ素化錯体触媒emim+Sb211-であるのが好ましい。
(2)本発明方法は触媒エッチな相、好ましくは触媒/有機物のモル比が50モル%以上で実行する。
(3)反応中に出発化合物の1モル当たりモル比で0.05〜20モル%、好ましくは1〜17モル%の塩素を加える。
(4)ガス、好ましくは希ガス、好ましくは窒素またはヘリウムを注入し、出発製品の流れと比較した上記ガスの流の比を0.5:1〜5:1、好ましくは1:1〜3:1にする。
(5)反応生成物はガスで抜き出す。
(6)反応温度は30℃〜200℃の間、好ましくは40℃〜170℃の間、有利には50℃〜150℃の間にする。
(7)反応圧力は2バール以上、好ましくは4〜50バールの間、特に5〜15バールの間にする。
(8)HF:出発化合物のモル比を0.5:1〜50:1の間、好ましくは3:1〜20:1の間、より好ましくは5:1〜15:1の間にする。
【0012】
一般に、本発明方法は下記(i)〜(iv)の段階を有する:
(i)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを、2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンを含む反応生成物(反応混合物)を形成するのに十分な条件下で、液相でイオン性液体ベースの触媒の存在下で弗化水素と接触させ、
(ii)分離プロセスで上記反応生成物からHC1およびHFを分離して有機混合物を形成し、
(iii)この有機混合物を2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンから成る第1流と、未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから成る第2流とに分離し、
(iv)未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを段階(i)へ再循環させる。
【0013】
具体的には、
11:26 2016/01/14(ii)では蒸留によってHClを分離し、HFはデカンテーションまたは洗浄プロセスによって分離することができ、
段階(iii)は抽出蒸留段階またはメンブレンを使用した分離プロセスにすることができ、あるいは、有機混合物を脱塩化水素反応に供給して2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンを1,1,1,2−テトラフルオロプロペンに変え、得られた製品を2−クロロ−3.3.3−トリフルオロプロペンから分離することができる。
【0014】
本発明方法は連続法で行うのが好ましい。
【0015】
本発明はさらに、下記段階から成る2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法を提供する:
(i)本発明の上記方法で2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンを作り、
(ii)上記2−クロロ−1,1,1、2−テトラフルオロプロパンを脱塩化水素化して2,3,3,3−テトラフルオロプロペンにする。
【0016】
本発明はさらに、本発明方法の上記段階で得られる製品、特に、主として244bbと不純物および/または未反応の出発原料および/または副生成物を含む混合物にも関するものである。
【0017】
本発明は、液体のイオン性ベース触媒が1233xfの液相フッ素化反応で244bbの選択性にポジティブなインパクトを与えるという発見に基づいている。工業的な観点からは転化率より選択性が重要である。すなわち、(転化率が低い場合)未反応の製品を再循環できるが、(選択性が低い場合には)それ以上化学的に変成できない化合物は明らかなロスとなる。
【0018】
液体のイオンベースの触媒は例えば特許文献7(特にその第4頁第1行目〜第6頁第1行目)や、本出願人の特許文献8、さらには非特許文献1に記載されている。
【特許文献7】国際特許公開第W02008/149011号公報
【特許文献8】国際特許公開第W001/81353号公報
【非特許文献1】「liquid-phase HF Fluorination」, Multiphase Homogeneous Catalysis, Ed. Wiley-VCH, (2002), 535
【0019】
適した触媒はアルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、錫、アンチモン、ニッケル、亜鉛または鉄をベースにしたルイス酸の誘導体である。イオン性液体は特に適度な温度(好ましくは120℃以下の温度)で液体であるイオン特性を有する非水塩である。
【0020】
イオン性液体をベースにした触媒は、アルミニウム、チタン、ニオブ、タンタル、錫、アンチモン、ニッケル、亜鉛または鉄をベースにした少なくとも一種のハロゲン化またはオキシハロゲン化されたルイス酸と一般式:Y+-の塩との反応によって得るのが好ましい。ここで、A-はハロゲン化物(臭化物、沃化物、好ましくは塩化物またはフッ化物)アニオンまたはヘキサフルオロアンチモン酸塩(SbF6-)アニオンであり、Y+は第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオンまたは第三級スルホニウムカチオンである。
【0021】
五塩化アンチモンとエチル−メチル−イミダゾリウムクロライド化合物との反応生成物であるフッ素化錯体触媒emim+Sb211-のようなアンチモンベースのイオン性液体が好ましい触媒である。
【0022】
反応条件(特に圧力)は反応物が液体となる圧力である。本発明の一つの実施例では反応生成物がガスで、反応物が液体である。反応生成物がガスであるということは、反応帯域の出口で気相で回収できるということを意味する。従って、反応温度は30℃〜200℃の間、好ましくは40℃〜170℃の間、有利には50℃〜150の間である。反応圧力は一般に2バール以上、好ましくは4〜50バール、特に5〜15バールの間である。
【0023】
HF:出発化合物のモル比は一般に0.5:1〜50:1の間、好ましくは3:1〜20:1の間、有利には5:1〜15:1の間である。その他の反応条件、特に流速は温度、圧力、触媒、反応物比等に従って通常の一般的な知識によって当業者が決できる。選択性が最も高い値となるように注意する。
【0024】
好ましい実施例ではないが、溶剤を使うことができる。この溶剤は反応条件下で非活性の有機溶剤である。この溶剤は付加反応を避けるために一般に飽和したC2〜C6溶媒である。この種の溶剤は例えば特許文献9に記載されている。
【特許文献9】フランス特許公開第FR2733227号公報
【0025】
この溶剤は例えば40℃以上、有利には50℃以上、特に60℃以上の沸点(大気圧下)を有する。反応温度が高い場合にはより高い圧力になり、反応条件下の溶剤の沸点は反応で使用する温度より高くなる。
【0026】
触媒/有機物比を種々に変えて運転できるが、一般には触媒リッチな相が好ましい。触媒/有機物のモル比は例えば50モル%以上にするのが好ましい。出発媒体は純粋の触媒であるのが好ましい。
【0027】
触媒寿命を延ばすために塩素流を用いることができる。一般には1モルの出発材料1233xf当たり、0.05〜20モル%、好ましくは1〜17モル%の塩素を混合する。塩素は純粋な塩素の形か、希ガス(例えば窒素またはヘリウム)と混合して導入できる。イオン触媒を使用することで少量の塩素を使用することができる。
【0028】
出発材料の安定剤は必要に応じて使うことができる。その量は一般に5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmである。安定剤の例はp−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、チモール、リモネン、d,l−リモネン、キノン類、ヒドロキノン誘導体、エポキシド、アミンおよびこれらの混合物である。
【0029】
反生成物をストリッピングガスを使用してストリッピングして、機械的に随伴除去することもできる。液相反応装置からガス状の244bbを除去するのが有利である(副反応が少なくなる)。また、ガス状化合物の添加は反応に有利であり、例えば攪拌(バブリング)が改良され、好ましい。このガスは窒素またはヘリウムのような不活性ガスにすることができる。このガスはHC1とは異なるのが好ましい。一般に、出発材料と比較したガス流の比は0.5:1〜5:1の間、有利には1:1〜3:1の間である。
【0030】
本発明の液相でのフッ素化プロセスは連続法または半連続法で実行できる。好ましい実施例のプロセスは連続法である。反応物(出発材料とHF)と、反応で使われその他の化合物(塩素、希ガス)は反応装置の同じ場所または反応装置の異なる場所で供給できる。好ましい実施例ではガス状化合物を反応装置の底部から注入して、機械的ストリッピングと攪拌性を改良する。
【0031】
再循環する場合には反応装置の入口へ直接戻すか、別のディップ・パイプへ戻すことができる。
【0032】
反応はハロゲンを含む反応用の反応装置で実行される。この種の反応装置は当業者に公知で、Hastelloy(登録商標)、Inconel(登録商標)、Monel(登録商標)またはフルオロポリマーを含む被覆を有することができる。反応装置は伝熱手段を備えてることができる。
【0033】
本発明の具体的プロセスは一般に以下のように実行される。液相反応用の(例えば触媒ストリップ塔を備えた)反応装置にイオン性液体ベースの触媒を入れる。次いで、1233xfとHFを連続的に供給する。また、希ガスや無水塩素流も注入できる。反応帯域から抜き出した流れはガスの形をしており、主として244bbと、240系の異性(241+242+243)と、塩素および希ガスと、未反応1233xfと、HFとから成る。この流れから244bbを分離し、その他の化合物(1233xf、HFおよび240系列の異性体)は反応装置に再循環する。
【0034】
本発明方法に従って製造された244bbを使用して1234yfを作る。244bbから出発して1234yfを製造する方法は公知で、脱塩化水素触媒を使用する。この反応は当業者に公知のように気相では実行するのが好ましい。脱塩化水素触媒はハロゲン化金属、ハロゲン化金属酸化物、中性(またはゼロ酸化状態の)金属または金属合金、さらにはバルクまたは担持された活性炭にすることができる。
【0035】
244bbから1234yfへの反応に関しては下記文献が参照できる。
【特許文献10】米国特許公開第US2009/0182179号明細書
【特許文献11】米国特許公開第US2009/0240090号明細書
【特許文献12】米国特許公開第US2009/0312585号明細書
【特許文献13】米国特許公開第US2010/0036179号明細書
【特許文献10】米国特許公開第号明細書
【0036】
これらの内容は本願発明の一部をなす。この反応は当業者に公知である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
磁気攪拌機を備え、圧力計および温度計を備えてた、ジャケット付きのステンレス鋼316L製の1リットル容積のオートクレーブを使用した。オートクレーブのヘッドの孔から反応物を導入でき、脱気でき、また、頂部に圧力制御弁と凝縮器とを有する。凝縮器は独立したサーモスタット浴を使用して温度管理する。
反応中に反生成物を連続的に取り出し、スクラバーに入れて水素酸HFとHC1とを回収し、液体窒素中にトラップする。スクラバーの重量およびトラップ量の増加から質量収支を計算する。
【0038】
反応期間の終わりに、反応媒体を脱気して残留HFを排気する。この脱気中に同時に抜出されるであろう有機物を、HFとHC1をガス流から除去するために常にスクラバーを通した後に、トラップする。最後の段階にオートクレーブを開き、排出し、触媒を加水分解および塩酸溶液で抽出した後に、有機相のサンプルを分析する。
【0039】
次いで、液体サンプルを気相クロマトグラフィで分析した。クロマトグラフィ分析はカラムCP Sil8(寸法50m・0.32mm・5μm)を使用して実行した。炉の温度は40℃で10分間、それから4℃/分の勾配で200℃になるようにプログラミングした。xiを材料の初期モル量、xfを材料の全モル利卯とすると、転化率(%)は(xi−xf)/xi*100になる。生成物の選択性はこの生成物の回収されたモル量と反応した生成物のモル量の合計と比から計算される。
【0040】
実施例1(比較例)
150mlのSbC15触媒を反応装置に入れ、無水HF流を60℃で2時間、導入してフッ素化した。HF流は触媒量に対するモル比を5:1にして加えた。また、アンチモンの酸化を高いレベルに維持するために塩素を連続的に加えた。塩素流は実験中、パーフルオロ化段階の間、1g/時で供給した(転化段階、15%)。
【0041】
このパーフルオロ化段階後に反応装置に0.5モルの1233xfを導入した。温度は85℃に調節した。実験中、5時間、1モル/時の流速で無水HFを流した。圧力は8バールにした。凝縮器の設定点は90℃にした(反応装置への還流がないことを意味する)。反応装置のデープチューブを介してヘリウムを3.4N1/hの流速で流した(比1.5)。
【0042】
5時間後、圧力を下げ、反応装置を加熱して、残留HFを除去した。反応装置を開くと289gの触媒が底に残っていた。実験中、有機物および反応物質はコールドトラップに回収した。転化率および選択率の結果は[表1]に示した。
【0043】
実施例2(本発明)
100mlのSbCl5と、50m1のフッ素化錯体触媒emim+Sb2F11-となるエチル−メチルイミダゾリウムクロライド化合物とを反応装置に導入し、無水のHFを60℃で2時間流してフッ素化した。HF流は触媒量に対して5:1のモル比で加えた。また、アンチモンの酸化を高いレベルにするために塩素を連続的に加えた。実験中、ペルフルオロ化段階の間、塩素流をlg/時で供給した。実施例1の条件を適用した。結果は[表1]に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
比較例では未知の化合物が有為量存在するが、本発明ではそのレベが低くなることが分かる(9.1対2.6)。また、1223xd(CF3−CCl=CHC)と233ab(CF3−CCl2−CHCl)は塩素化副生成物であるが、比較例ではその量が多く、が本発明ではその量が少なく、低いレベルにある(1.3+4.5=5.8対0.06+0.5=0.56)。比較例では不必要な副生成物が14.9%できるが、本発明では3.2%以下であり、その差は約12%で、それは非常に有意な差である。従って、本発明の選択性はきわめて高く、再純化が可能かつ容易である。