特許第6360096号(P6360096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360096
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】管接続用ファスナー
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   F16L21/08 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-74356(P2016-74356)
(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公開番号】特開2017-187073(P2017-187073A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】592259820
【氏名又は名称】ゼンシン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】服部 貴司
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−299749(JP,A)
【文献】 特開平08−270859(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0038480(US,A1)
【文献】 特開平06−058473(JP,A)
【文献】 特公昭07−004063(JP,B1)
【文献】 特開2000−249277(JP,A)
【文献】 実開平03−121292(JP,U)
【文献】 特表2008−545921(JP,A)
【文献】 特表2011−513663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の接続部の両側に跨って前記配管の抜け出しを阻止する管接続用ファスナーであって、前記接続部の周囲に配される支持リングと、該支持リングから管路方向に突出する弾性変形可能な複数のアームと、を備え、前記複数のアームは、支持リングから管路方向両側に突出して両側の配管に係合可能とされ、前記支持リングは、アームの基端を管路方向に後退させてアームを長くするジグザグ状に形成されたことを特徴とする管接続用ファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の接続部の両側に跨って配管の抜け出しを阻止する管接続用ファスナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、配管の接続部には、その両側に跨るように管接続用ファスナーが装着され、接続部からの配管の抜け出しを阻止するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の管接続用ファスナー(副筒状体)は、複数のストッパ部を円周方向に配列すると共に、付勢部材としてのゴム弾性体で中心方向に付勢したものであり、そのストッパ部の末端側及び先端側に、両側の配管(第2部材の筒状本体、第1部材)に係合するカギ部が形成されている。
【0004】
一方の配管(第2部材の筒状本体)に末端側のカギ部を係合して管接続用ファスナーを脱落不能に装着した後、これらに他方の配管(第1部材)を挿入することにより、ストッパ部の先端側が半径方向外方に弾性変形して、先端側のカギ部が他方の配管(第1部材)に係合し、配管の抜け出し及び管接続用ファスナーの脱落が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−121292号公報(第12頁の下から第1行〜第14頁第2行、第14頁第13行〜第15頁第1行、第1図〜第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の管接続用ファスナーは、そのストッパ部の末端側及び先端側にカギ部を形成しているものの、配管を挿入する際に弾性変形して配管に係合するのは、ストッパ部のうちの先端側だけであり、ストッパ部の末端側については、容易に弾性変形させることができず、配管に脱落不能に係合させるのも容易ではない。
【0007】
本発明は、配管の接続部に容易かつ脱落不能に装着することのできる管接続用ファスナーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る管接続用ファスナーは、配管の接続部の両側に跨って配管の抜け出しを阻止するものであり、接続部の周囲に配される支持リングと、この支持リングから管路方向に突出する弾性変形可能な複数のアームと、を備え、その複数のアームを、支持リングから管路方向両側に突出して両側の配管に係合可能としたものである。
【0009】
上記構成によれば、接続部の周囲に配される支持リングを備えるので、配管の接続部からの管接続用ファスナーの脱落を防止することができる。しかも、支持リングから管路方向で両側に複数のアームを突出させ、その両側のアームを弾性変形可能とするので、アームを弾性変形させて両側の配管に容易に係合させることができ、管接続用ファスナーを配管の接続部に容易かつ脱落不能に装着して、配管の抜け出しを阻止することができる。
【0010】
また、支持リングを、アームの基端を管路方向に後退させてアームを長くするジグザグ状に形成するようにしてもよい。
【0011】
この構成によると、支持リングをジグザグ状に形成してアームの基端を管路方向に後退させることにより、アームを長くするので、アームの強度を低下させることなく、アームを容易に弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、本発明によると、接続部の周囲に支持リングを配し、この支持リングから管路方向で両側に弾性変形可能な複数のアームを突出させて、両側の配管に係合させるようにしている。
【0013】
これにより、複数のアームを弾性変形させて両側の配管に係合させ、管接続用ファスナーを配管の接続部に容易かつ脱落不能に装着することができる。しかも、管接続用ファスナーを脱落不能とするので、正規の位置に装着した後、配管作業時に、配管の誤った部位に管接続用ファスナーを装着し直すことがなく、管接続用ファスナーの誤装着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る管接続用ファスナーを装着した配管の接続部の側面図
図2図1のA−A断面図
図3図1の縦断面図
図4】管接続用ファスナーの斜視図
図5】配管の接続部の分解状態の側面図
図6図7の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る管接続用ファスナーを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1図4に示すように、管接続用ファスナー1は、配管2a、2bの接続部3の両側に跨って配管2a、2bの抜け出しを阻止するものであり、接続部3の周囲に配される支持リング4と、支持リング4から管路方向に突出する弾性変形可能な複数のアーム5a、5bと、を備え、その複数のアーム5a、5bが、支持リング4から管路方向両側に突出して両側の配管2a、2bに係合するようになっている。
【0017】
図1図2図5図6に示すように、配管2a、2bの先端には、管継手6a、6bが設けられ、Oリング7を介在させて、管継手6aの先端部8を管継手6bに挿入することにより、配管2a、2bが管継手6a、6bを介して接続される。
【0018】
配管2a、2bの先端に設けられた管継手6a、6bのうち、管継手6aには、その先端部8の基端側の外周面に環状溝9aが形成され、管継手6bには、その先端の外周面に環状溝9bが形成されている。管継手6aの先端部8と基端側との段差面10は、管継手6aの先端部8を管継手6bに挿入する際に、管継手6bの先端面11に当接して管継手6aの挿入量を制限し、その段差面10と先端面11との当接部分に接続部3が構成される。
【0019】
支持リング4は、例えば合成樹脂製で、全体として、接続部3の外径よりもわずかに大きい内径を有する筒状とされ、管路方向に往復しながら周方向に連続するジグザグ状の板によって構成される。支持リング4を構成する板は、アーム5a、5bとの比較において、剛性を高くするのに十分な板幅及び板厚に設定される。
【0020】
アーム5a、5bは、例えば合成樹脂製とされて、支持リング4を構成する板と同じ厚さで幅狭の棒状とされ、支持リング4の両側において、ジグザグ形状の管路方向に後退する各部位に位置するよう、支持リング4と一体に形成される。このアーム5a、5bは、基端において支持リング4と連続すると共に、先端面を支持リング4のジグザグ形状のうちの管路方向に突出する部位と面一に設定され、その先端部分に、管径方向で内向きに突出して管継手6a、6bの環状溝9a、9bに係合する係合爪12が形成されている。
【0021】
アーム5a、5bの基端を管路方向に後退させて形成することにより、先端をジグザグ形状の突出部分よりも突出させることなく、アーム5a、5bが十分な長さに設定され、アーム5a、5bを十分な強度を得るのに必要な断面寸法に設定しつつ、容易に弾性変形するようにしている。
【0022】
係合爪12には、管接続用ファスナー1の内側に管継手6a、6bを押し込む際に、その端面に当接するテーパー面13が形成され、アーム5a、5bを弾性変形させて、管継手6a、6bの押し込みを許容するようになっている。弾性変形したアーム5a、5bは、先端部が管継手6a、6bの環状溝9a、9bに至ったとき、その復元力によって係合爪12を環状溝9a、9bに係合させ、管継手6a、6bを装着した配管2a、2bの抜け出しを阻止する。
【0023】
上記構成によれば、筒状の支持リング4を接続部3の周囲に配するので、管接続用ファスナー1の脱落を防止することができ、しかも、アーム5a、5bを弾性変形させながら管継手6a、6bを押し込むだけで、管接続用ファスナー1を容易に装着することができる。
【0024】
また、アーム5a、5bの係合爪12を環状溝9a、9bに係合させた後は、管接続用ファスナー1を容易に取り外すことができないので、配管2a、2bの先端の管継手6a、6bの正規の位置に装着した管接続用ファスナー1が外れることがない。これにより、管継手6a、6bの接続作業の際に、管接続用ファスナー1を誤った部位に誤装着するのを防止することができる。
【0025】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。また、参考として、支持リング4は、ジグザグ状に形成したものだけでなく、単純なリング状や円筒状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 管接続用ファスナー
2a、2b 配管
3 接続部
4 支持リング
5a、5b アーム
6a、6b 管継手
7 Oリング
8 先端部
9a、9b 環状溝
10 段差面
11 先端面
12 係合爪
13 テーパー面
図1
図2
図3
図4
図5
図6