(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように実継ぎされる木材パーツには、より自由度の高い造形に応用したいという要請がある。そこで、本発明は、実継ぎされる木材パーツにおいて、当該木材パーツを用いた造形の自由度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに反対側に露出した一対の端面(2,3,22,23,42,43,72,73)のうちの少なくとも一方に、当該端面に沿った一定方向(以下、第1の方向ともいう)に連続する凸状の雄実部(5,9,25,29,45,49,75)を、前記一対の端面のうちの少なくとも他方に、前記一定方向に連続する凹溝状の第1雌実部(6,26,44,46,76)を、それぞれ有し、前記一対の端面がそれぞれ他の木材パーツに実継ぎ可能に構成された木材パーツであって、前記一対の端面のそれぞれに対して非平行な外周面(7,27,47,52,77)を有し、当該外周面に、前記雄実部と同形状の部材が嵌合可能な凹溝状の第2雌実部(11,31,51,53,81)を有する。
【0007】
このため、本発明の木材パーツでは、例えば2個の木材パーツを実継ぎする場合、一方の木材パーツにおける前記一方の端面が有する雄実部を、他方の木材パーツにおける前記他方の端面が有する第1雌実部に嵌合させる。こうすることによって、雄実部と第1雌実部とを結ぶ第2の方向に沿って、複数個の木材パーツを実継ぎすることができる。また、本発明の木材パーツは、この方法のみならず、一方の木材パーツにおける雄実部を他方の木材パーツにおける第2雌実部に嵌合させて立体的に実継ぎする方法によっても互いに組み合わせることが可能となる。前記立体的に実継ぎする方法とは、言い換えれば、第1の方向及び第2の方向で規定される面に交差する方向に実継ぎする方法である。従って、本発明の木材パーツを用いれば、造形の自由度が向上する。
【0008】
なお、前記木材パーツにおいて、互いに反対側に露出した一対の前記外周面(47,52)を有し、当該外周面のそれぞれに前記第2雌実部(51,53)を有する場合、次のような更なる効果が生じる。その場合、第2雌実部が形成された外周面が、互いに反対側に露出するように一対設けられている。雄実部は、どちらの外周面に形成された第2雌実部にも嵌合可能である。従って、このような木材パーツを用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0009】
また、前記いずれかの木材パーツにおいて、前記一方の端面(2,22,42)に設けられた前記雄実部(5,25,45)と前記外周面のうちの1つ(7,27,47)との間隔が、前記他方の端面(3,23,43)に設けられた第1雌実部(6,26,46)と前記1つの外周面との間隔に等しい場合、次のような更なる効果が生じる。その場合、前記第1雌実部に前記雄実部を嵌合させて複数組み合わされたときに、各木材パーツにおける前記1つの外周面が互いに同一平面上に配設される。このため、前記同一平面上に配設される外周面を壁面や間柱,床,天井等に取り付ければ、各木材パーツ同士が実継ぎされた状態を維持したままで、当該各木材パーツを壁面や間柱,床,天井等に良好に取り付けることが可能となる。
【0010】
また、前記いずれかの木材パーツにおいて、前記雄実部(5,25,45)が突出した方向と、前記第2雌実部(11,31,51,53)が凹んだ方向とが、前記一定方向から見て互いに直交する場合、次のような更なる効果が生じる。すなわち、その場合、4個の木材パーツが、前記雄実部(5,25,45)が前記第2雌実部(11,31,51)に嵌合するように組み合わされたときに、中心に四角柱状の貫通した空間を有する四角柱状の立体を構成する。すなわち、4個の各木材パーツにおける雄実部が、隣接する木材パーツの第2雌実部にそれぞれ嵌合することで、4個の木材パーツは安定した立体形状を構成する。従って、このような木材パーツを用いれば、造形の自由度が一層向上し、その造形物の安定性も向上する。
【0011】
ここで、「四角柱状」とは、厳密な意味での四角柱に限るものではなく、目的とする効果を奏するのであれば厳密に四角柱でなくてもよい。例えば、雄実部又は雌実部に相当するような凹凸が存在してもよく、曲面によって構成された部分を含んでもよい。
【0012】
また、前記いずれかの木材パーツにおいて、少なくとも1つの前記外周面(27,47)に、前記第2雌実部(31,51)を複数並列に有する場合、次のような更なる効果が生じる。その場合、雄実部は、前記外周面に並列に設けられた複数の第2雌実部のうち、所望のものに嵌合させることができる。従って、このような木材パーツを用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0013】
また、前記いずれかの木材パーツにおいて、少なくとも一方の前記端面(42,43)に、前記第1雌実部(44,46)を複数並列に有する場合、次のような更なる効果が生じる。その場合、雄実部は、前記端面に並列に設けられた複数の第1雌実部のうち、所望のものに嵌合させることができる。このため、第2の方向に沿って実継ぎされた複数の木材パーツにおける前記外周面の配置に凹凸を設けるなどの変化を付けることも、雄実部を嵌合させる第1雌実部を適宜選択することによって容易に実行できる。従って、このような木材パーツを用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0014】
なお、この欄及び特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じて上下左右前後の方向を定義して説明を行う。但し、これらの各方向は、木材パーツを構成する各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために規定した方向にすぎない。実際に木材パーツを利用するに当たって、木材パーツがどのような方向に向けられるかは任意であり、例えば、以下に定義する上下方向が重力との関係で鉛直方向とは一致しない状態で使用されてもかまわない。
【0017】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す第1実施形態の木材パーツ1は、単一の木材を切断及び切削することによって構成され、全体として概略直方体状に構成されている。木材パーツ1における互いに反対側に露出した端面2と端面3とには、雄実部5と第1雌実部6とがそれぞれ形成されている。
【0018】
端面2,3は長辺方向(以下、左右方向ともいう:一定方向及び第1の方向の一例)を平行にした長方形状に構成され、雄実部5は、端面2における短辺方向の一方の側に偏った位置から端面2に対して垂直に突出し、かつ、左右方向に連続する凸状に構成されている。以下、雄実部5が偏って設けられた方向を上方向ともいい、端面3から端面2に向かう方向、すなわち雄実部5が突出した方向を前方向ともいう。
【0019】
第1雌実部6は、左右方向に連続する凹溝状(厳密には前方に切り込んだ矩形の溝状)に、端面3に形成されている。また、雄実部5及び第1雌実部6は、端面2,3における左右方向全体に亘って設けられている。雄実部5及び第1雌実部6の上下方向の幅は、第1雌実部6に他の同様の木材パーツ1における雄実部5が嵌合可能で、かつ、その嵌合時には接着剤等を使用しなくても当該嵌合が容易に外れるのを抑制可能な幅とされている。
【0020】
ここで、木材パーツ1における端面2,3と直交し、かつ、左右方向に平行な上側の外周面を、上面7とする。上面7から雄実部5までの間隔と上面7から第1雌実部6までの間隔とは互いに等しい。すなわち、雄実部5を第1雌実部6に嵌合させたとき、各木材パーツ1の上面7が
図2に示すように同一平面上に配設されるように、雄実部5及び第1雌実部6が配置されている。
【0021】
また、雄実部5の上側面は、上面7を直方体状に切り欠いて形成された切欠き部8と連接されることにより、端面2よりも後方に延びている。第1雌実部6の上側内壁面は、上面7を後方に延長して形成された雄実部9の下側面と連接されている。
【0022】
雄実部5を第1雌実部6に嵌合させることによって、複数の木材パーツ1を、上面7を揃えて実継ぎすると、
図2に示すように、切欠き部8に雄実部9が嵌合して相じゃくり継ぎされるように、切欠き部8及び雄実部9の大きさが設計されている。また、上面7には、左右方向に連続する第2雌実部11が、上面7を下方に切り込んだ凹溝状(厳密には矩形の溝状)に形成されている。この第2雌実部11の幅及び深さは、第1雌実部6と同様である。一方、木材パーツ1における端面2,3と直交し、かつ、左右方向に平行な下側の外周面としての下面12は、雌実部を形成されず、滑らかな平面状に構成されている。
【0023】
[1−2.効果]
(1A)このように構成された木材パーツ1は、雄実部5を第1雌実部6に嵌合させることによって、複数の木材パーツ1を前後方向に実継ぎすることができる。このとき、上面7及び下面12はそれぞれ同一平面上に配設される。また、このとき、切欠き部8に雄実部9が嵌合して相じゃくり継ぎされ各木材パーツ1の接続状態は一層安定する。
【0024】
(1B)なお、このような実継ぎ状態(以下、第1の実継ぎ状態ともいう)を一層安定に維持するためには、例えば
図3(A)に示すような、木ネジ19を使用した固定方法を適用することができる。
図3(A)に示す例では、第1雌実部6に嵌合された雄実部5を貫通するように、上面7側から木ネジ19が螺合されている。この上面7とは、雄実部5が嵌合した第1雌実部6を有する木材パーツ1における上面7である。この場合、木ネジ19によって、第1の実継ぎ状態にある2つの木材パーツ1を良好に固定することができ、両者の実継ぎ状態を安定して維持することができる。
【0025】
なお、この固定方法では、木ネジ19としては、丸頭の木ネジも、皿頭の木ネジも、丸皿頭の木ネジも、いずれも使用可能である。但し、固定後の上面7側の形状を平坦にするためには、
図3(A)に例示したように皿頭の木ネジ19を使用して、頭部が上面7と同一平面上に配設されるまで螺合させるのが望ましい。また、各木材パーツ1の上面7を同一平面上に配設する必要がない場合は、第1雌実部6に雄実部9を嵌合させる実継ぎがなされてもよい。
【0026】
(1C)また、
図3(B)に示す例は、第1の実継ぎ状態にある複数の木材パーツ1を壁面99(間柱や天井面や床面であってもよい)に固定する場合を示している。上面7が壁面99に当接するように木材パーツ1を配設すると、下面12側から、雄実部9を貫通して壁面99に螺合するように、木ネジ19を螺合させることができる。このため、木材パーツ1は、壁面99に良好に固定される。
【0027】
このとき、木ネジ19として皿頭のものを使用し、頭部が雄実部9の下面12側端面と同一平面上に配設されるまで螺合させれば、第1雌実部6に他の木材パーツ1の雄実部5を容易に嵌合させることができる。このように、壁面99に沿って複数の木材パーツ1を実継ぎする場合、木ネジ19による木材パーツ1の固定は、各木材パーツ1に対してなされてもよく、1行置き又は数行置きになされてもよい。
【0028】
(1D)また、木材パーツ1は、上面7に第2雌実部11を備えており、この第2雌実部11に雄実部5又は9を嵌合させる実継ぎも可能である。このため、複数の木材パーツ1を前後方向のみならず上下方向にも立体的に実継ぎすることが可能となり、造形の自由度が良好に向上する。また、第2雌実部11が切り込まれた方向(すなわち凹んだ方向)と雄実部5が突出した方向とは、左右方向から見て直交している。このため、
図4に示すように、雄実部5が隣接する木材パーツ1の第2雌実部11に嵌合するように、4個の木材パーツ1を組み合わせることができる。この場合、4つの上面7によって囲まれた四角柱状の空間20を有する立体を構成することができる。当該立体は、外周面に4つの下面12を有する四角柱状の立体であり、空間20は当該立体を軸方向に貫通している。
【0029】
この場合、4個の各木材パーツ1における雄実部5が、隣接する木材パーツ1の第2雌実部11にそれぞれ嵌合することで、4個の木材パーツ1は安定した立体形状を構成する。従って、本実施形態の木材パーツ1を用いれば、造形の自由度が一層向上し、その造形物の安定性も向上する。
【0030】
なお、前述の「四角柱状」とは、厳密な意味での四角柱に限るものではなく、目的とする効果を奏するのであれば厳密に四角柱でなくてもよい。すなわち、
図4に示すように、雄実部9又は第1雌実部6又は切欠き部8に対応する凹凸が存在してもよい。また、本実施形態の木材パーツ1は、第2雌実部11に雄実部5を嵌合させた実継ぎ状態(以下、第2の実継ぎ状態ともいう)では、一方の木材パーツ1における端面2と他方の木材パーツ1における上面7との間に隙間ができるように設計されているが、このような隙間ができないように設計されてもよい。また、
図4に示すように4個の木材パーツ1が実継ぎされたとき、前記立体の外周面を構成する下面12と端面3とが同一平面上に配設されるように設計されてもよい。
【0031】
(1E)木材パーツ1は、第1の実継ぎ状態とされたとき、上面7及び下面12が同一平面上に配設される。このため、上面7又は下面12を壁面や間柱,床,天井等(以下、壁面等という)に取り付ければ、各木材パーツ1同士が実継ぎされた状態を維持したままで、当該各木材パーツ1を壁面等に良好に取り付けることが可能となる。
【0032】
この効果は、大きさの異なる木材パーツと組み合わされた場合にも生じることがある。
図5に示す木材パーツ1は、大きさの異なる他の木材パーツ21を交えた第1の実継ぎ状態にある。木材パーツ21は、木材パーツ1よりも前後上下方向に大きいが、上面27から雄実部25までの間隔と上面27から第1雌実部26までの間隔とは、木材パーツ1における上面7から雄実部5までの間隔、及び、上面7から第1雌実部6までの間隔と等しい。この木材パーツ21も、前後方向の反対側に露出した端面22,23を備えている。端面22には、雄実部5と同じ大きさの雄実部25と、切欠き部8と同じ大きさの切欠き部28とが形成されている。端面23には、第1雌実部6と同じ大きさの第1雌実部26と、雄実部9と同じ大きさの雄実部29とが形成されている。
【0033】
また、木材パーツ21の上面27には、左右方向に連続する第2雌実部31が2列に並列に、上面27を下方に切り込んだ凹溝状(厳密には矩形の溝状)に形成されている。これらの第2雌実部31の幅(すなわち、前後方向の大きさ)は、第2雌実部11と同様であるが、深さは第2雌実部11よりも深く、木材パーツ1の雄実部5を嵌合させると端面2が上面27に接触する深さに構成されている。一方、木材パーツ21の下面32は、木材パーツ1の下面12と同様に雌実部を形成されず、滑らかな平面状に構成されている。
【0034】
図5の例では、木材パーツ1の雄実部5を木材パーツ21の第1雌実部26に嵌合させ、木材パーツ21の雄実部25をもう1つの木材パーツ1の第1雌実部6に嵌合させている。すると、木材パーツ1の切欠き部8と雄実部29とが相じゃくり継ぎされ、もう1つの木材パーツ1の雄実部9と切欠き部28とが相じゃくり継ぎされる。従って、この場合も、第1の実継ぎ状態が安定して維持される。
【0035】
また、上面27から雄実部25までの間隔、及び、上面27から第1雌実部26までの間隔は、上面7から雄実部5までの間隔、及び、上面7から第1雌実部6までの間隔と等しいので、第1の実継ぎ状態では、上面7,27,7が同一平面上に配設される。このため、壁面等への固定も容易である。更に、このとき、木材パーツ21における下面32と上面27との間隔は、木材パーツ1における下面12と上面7との間隔より大きいので、下面12及び下面32は凹凸のある面を構成する。従って、壁面等に凹凸を形成する作業も容易となる。また更に、木材パーツ21には、上面27に、2つの第2雌実部31が平行に形成されている。このため、木材パーツ1の雄実部5を、2つの第2雌実部31のうち、所望のものに嵌合させることができる。従って、このような木材パーツ21を用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0036】
(1F)また、木材パーツ1及び木材パーツ21は、いずれも、左右方向に垂直な断面形状がどの部分でも同様の多角柱状に構成されている。このため、木材パーツ1及び木材パーツ21は、1方向(左右方向に相当)に長い角材等を切削することによって多数容易に作成することができる。
【0037】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
図6に示す第2実施形態の木材パーツ41も、木材パーツ1と同様に、左右方向に垂直な断面形状がどの部分でも同様の多角柱状に構成されており、前後に端面42,43を備え、上方に上面47を、下方に下面52を、備える点は第1実施形態と同様である。また、端面42に雄実部45が形成され、端面43に雄実部49が形成され、上面47に雄実部45に連接した切欠き部48が形成された点も同様である。
【0038】
但し、端面43に第1雌実部46が複数形成された点、端面42にも第1雌実部44が複数形成された点、上面47に複数の第2雌実部51が形成された点、下面52にも第2雌実部53が形成された点において、木材パーツ41は木材パーツ1と異なる。以下、相違点を中心に詳細に説明する。
【0039】
端面42,43と雄実部45と切欠き部48と上面47と雄実部49との位置関係及び大きさは、木材パーツ1における端面2,3と雄実部5と切欠き部8と上面7と雄実部9との位置関係及び大きさと同様である。端面42には、左右方向に連続する凹溝状の第1雌実部44が2列に並列に形成されている。端面43には、左右方向に連続する凹溝状の第1雌実部46が3列に並列に形成されている。なお、どの第1雌実部46も、木材パーツ1における第1雌実部6と同様に、前方に切り込んだ矩形の溝状に形成されている。また、どの第1雌実部44も後方に切り込んだ矩形の溝状に形成されている。
【0040】
上面47に最も近い位置(すなわち最上列)に設けられた第1雌実部46は、木材パーツ1における第1雌実部6と同様に、上側内壁面が雄実部49の下側面に連接されている。上面47に最も近い位置(すなわち最上列)に設けられた第1雌実部44の上側内壁面も、雄実部45の下側面に連接されている。
【0041】
但し、木材パーツ41における最上列の第1雌実部46は、他の第1雌実部46及び木材パーツ1における第1雌実部6に比べて深く形成されている。このため、
図7(A)に示すように最上列の第1雌実部46に雄実部45を嵌合させることによって複数の木材パーツ41を第1の実継ぎ状態とした場合、雄実部45が第1雌実部46の奥まで嵌合する前に、雄実部49が切欠き部48に相じゃくり継ぎされる。また、木材パーツ41では、第2雌実部51は木材パーツ1の第2雌実部11より深く形成され、第2雌実部51に雄実部45を嵌合させた第2の実継ぎ状態では、一方の木材パーツ41における端面42と他方の木材パーツ41における上面47との間に隙間ができないように設計されている。
【0042】
具体的には、木材パーツ41の上面47には、左右方向に連続する第2雌実部51が2列に並列に、上面47を下方に切り込んだ凹溝状(厳密には矩形の溝状)に形成されている。各第2雌実部51が下方に切り込まれた深さは、端面42に対する雄実部45の突出量よりも大きく、これは、端面43に対する雄実部49の突出量よりも大きい。木材パーツ41の下面52には、左右方向に連続する1列の第2雌実部53が、下面52を上方に切り込んだ凹溝状(厳密には矩形の溝状)に形成されている。第2雌実部53が上方に切り込まれた深さも、端面42に対する雄実部45の突出量、及び、端面43に対する雄実部49の突出量よりも大きい。
【0043】
[2−2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1A)〜(1F)に加え、以下の効果が得られる。
【0044】
(2A)最上列の第1雌実部46は、木材パーツ1における第1雌実部6に比べて深く形成されている。このため、雄実部49と切欠き部48とを確実に相じゃくり継ぎさせることができる。
【0045】
(2B)第2の実継ぎ状態では、一方の木材パーツ41における端面42と他方の木材パーツ41における上面47との間に隙間ができないので(
図8(A),
図8(B)参照)、当該第2の実継ぎ状態を一層安定化させることができる。
【0046】
(2C)端面43には、複数の第1雌実部46が形成されている。このため、雄実部45又は49を、複数の第1雌実部46のうち、所望のものに嵌合させることができる。このため、前後方向に沿って実継ぎされた複数の木材パーツ41における上面47又は下面52の配置に凹凸を設けるなどの変化を付けることも、雄実部45又は49を嵌合させる第1雌実部46を適宜選択することによって容易に実行できる。従って、このような木材パーツ41を用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0047】
また、端面42にも、複数の第1雌実部44が形成されており、雄実部49又は45を所望の第1雌実部44に嵌合させることができる。このため、前後方向に沿って実継ぎされた複数の木材パーツ41における上面47又は下面52の配置に凹凸を設けるなどの変化を付けることは、雄実部49又は45を嵌合させる第1雌実部44を適宜選択することによっても容易に実行できる。従って、このような木材パーツ41を用いれば、造形の自由度が一層向上する。
【0048】
例えば、
図7(B)は、雄実部45を他の木材パーツ41の上から2列目の第1雌実部46に嵌合させ、雄実部49を更に他の木材パーツ41の最上列の第1雌実部44に嵌合させた例である。また、
図7(C)は、雄実部45を他の木材パーツ41の上から3列目の第1雌実部46に嵌合させ、雄実部49を更に他の木材パーツ41の上から2列目の第1雌実部44に嵌合させた例である。本実施形態の木材パーツ41では、このような第1の実継ぎ状態も実現可能となる。
【0049】
なお、このような
図7(B)又は
図7(C)に示された実継ぎ状態とされた場合、3つの木材パーツ41のうち両端の木材パーツ41における上面47及び下面52は同一平面上に配設されるように、木材パーツ41における各部の寸法が設計されている。すなわち、切欠き部48と2つの第1雌実部44とは等間隔に配置され、3つの第1雌実部46も等間隔に配置され、両者の配置間隔は等しい。
【0050】
(2D)木材パーツ41は、上面47に第2雌実部51を2列備えており、いずれの第2雌実部51にも雄実部45又は49を嵌合させる実継ぎが可能である。このため、造形の自由度が一層向上する。そして、第1実施形態と同様に、雄実部45が隣接する木材パーツ41の第2雌実部51に嵌合するように、4個の木材パーツ41が組み合わされてもよい。
【0051】
この場合、各雄実部45を端面43側の第2雌実部51に嵌合させると、
図8(A)に示すように、上面47によって囲まれた比較的大き目の四角柱状の空間60を有する立体を構成することができる。一方、各雄実部45を端面42側の第2雌実部51に嵌合させると、
図8(B)に示すように、上面47によって囲まれた比較的小さ目の四角柱状の空間60を有する立体を構成することができる。また、
図8(A),
図8(B)に示す例では、空間60が側面視略正方形に構成されるが、対向配置された一対の木材パーツ41における雄実部45を端面42側の第2雌実部51に嵌合させ、他の一対の木材パーツ41における雄実部45を端面43側の第2雌実部51に嵌合させれば、空間60は側面視略長方形に構成される。
【0052】
(2E)
図8(B)に示す例では、各木材パーツ41の下面52とその木材パーツ41が接続された木材パーツ41の端面43とが同一平面上に配設されるので、前記立体を一層四角柱に近づけることができる。なお、このような木材パーツ41は、厚さ(すなわち上面47と下面52との間隔)の異なる木材パーツと実継ぎ可能に構成されてもよく、複数の第2雌実部51のうち、実継ぎされる木材パーツに応じた第2雌実部51に実継ぎがなされた場合に、当該厚さの異なる木材パーツの下面と端面43とが同一平面上に配接されるようにしてもよい。
【0053】
(2F)木材パーツ41では、端面42,43にそれぞれ複数の第1雌実部44,46が形成されているので、それらの第1雌実部44,46は次のように利用することもできる。例えば、
図9に示すように、端面43を上に向けて、
図7(A)に示した第1の実継ぎ状態とされた複数の木材パーツ41が屋内の壁面に固定された場合、最上面となる端面43には第1雌実部46に応じた凹凸が存在する。このような凹凸には、前記壁面に対してハンガーのフック等をかける場合に、当該フック等を良好に係止することができる。
【0054】
(2G)木材パーツ41は、下面52にも第2雌実部53を備えており、この第2雌実部53にも雄実部45又は49を嵌合させる実継ぎが可能である。このため、造形の自由度が一層向上する。
【0055】
[3.他の実施形態]
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(3A)前記実施形態では、互いに反対側に露出した一対の端面2,3等が、180°反対方向を向いているが、これに限定されるものではない。例えば、互いに実継ぎ可能なように雄実部及び第1雌実部を形成可能であれば、必ずしも180°反対方向を向いていなくてもよい。
【0057】
例えば、
図10(A)に示す第3実施形態の木材パーツ71では、一対の端面72,73が、上面77と120°の角度で交差している。一対の端面72,73は、下面82と60°の角度で交差している。すなわち、本実施形態では、一対の端面72,73がなす角度は120°である。
【0058】
端面72には、上面77に沿った方向(すなわち前方)に突出した雄実部75が形成され、端面73には、前方に切り込まれた第1雌実部76が形成されている。雄実部75は、左右方向(一定方向及び第1の方向の一例)に連続する凸状に形成され、第1雌実部76は、左右方向に連続する凹溝状に形成されている。雄実部75の大きさと、第1雌実部76の内部空間の大きさとはほぼ等しく、雄実部75が第1雌実部76に嵌合可能で、かつ、その嵌合時には接着剤等を使用しなくても当該嵌合が容易に外れない大きさとされている。また、上面77と雄実部75との間隔は、第1雌実部76と下面82との間隔と等しい。
【0059】
このため、
図10(B)に示すように、上面77と下面82とを交互に反対側に向けて、各木材パーツ71における雄実部75を隣接する木材パーツ71の第1雌実部76に嵌合させれば、複数の木材パーツ71を前後方向に実継ぎすることができる。このとき、それぞれの側における上面77及び下面82とは、同一平面上に配設される。
【0060】
また、木材パーツ71における上面77には、端面73と平行に切り込まれた第2雌実部81が形成されている。この第2雌実部81も、左右方向に連続する凹溝状に形成されている。第2雌実部81の大きさと、第1雌実部76の大きさとは等しく、第2雌実部81と端面73との間隔は、第1雌実部76と上面77との間隔と等しい。
【0061】
このため、木材パーツ71は、雄実部75が隣接する木材パーツ71の第2雌実部81に嵌合するように、3個組み合わされると、3つの上面77によって囲まれた三角柱状の空間80を有する立体を構成することができる。このように、本発明では、前記一対の端面がなす角度が180°とは異なりそれに応じた方向に第2雌実部が形成された場合、三角柱状,五角柱状,六角柱状等の立体を構成することが可能となる。
【0062】
(3B)また、前記各実施形態では、一対の端面2,3等を平面状に構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、一対の端面の少なくとも一方は、外側又は内側に凸となるように緩やかに湾曲していてもよい。その場合、実継ぎされた木材パーツ同士が密着しないが、用途によっては何ら問題を生じない。
【0063】
(3C)また、雄実部の外周面や第1雌実部又は第2雌実部の内壁面には、面を荒らす処理が施されてもよい。その場合、雄実部と第1雌実部又は第2雌実部との実継ぎが外れるのを一層良好に抑制することができる。
【0064】
(3D)また、第1実施形態における雄実部9、又は、第2実施形態における雄実部45,49の一方、又は、第2実施形態における第1雌実部44,46若しくは第2雌実部51,53の一部は、省略されてもよい。更に、前記各実施形態における雄実部,第1雌実部,第2雌実部の形状や大きさや形成位置は、適宜変更されてもよい。雄実部とは実継ぎされる凸部であればよく、雌実部とは実継ぎされる凹溝であればよい。但し、第1雌実部又は第2雌実部の周囲における木材の肉厚は、適度の厚さを有する方が、木材パーツの製造時における加工が容易となる。
【0065】
(3E)前記各実施形態では、前後上下方向に実継ぎ可能としたが、例えば特許3461569号に記載されたような隣接する2辺に亘る雄実部及び第1雌実部を採用することにより、木材パーツは左右方向にも実継ぎ可能に構成されてもよい。
【0066】
(3F)前記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、前記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、前記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の前記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。