特許第6360100号(P6360100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360100
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/04 20060101AFI20180709BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A45D1/04 C
   A45D1/00 503A
   A45D1/00 505E
   A45D1/00 502B
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-103102(P2016-103102)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-119073(P2017-119073A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】14/985,710
(32)【優先日】2015年12月31日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500038097
【氏名又は名称】コンエアー・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Conair Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】リョン キット ルン アンソニー
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3159520(JP,U)
【文献】 特開2005−317233(JP,A)
【文献】 特開平09−148053(JP,A)
【文献】 特開平11−023516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/04
H05B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアスタイリング装置において、
該ヘアスタイリング装置が、
第1部材と第2部材であって、該第1部材と第2部材とは、該第1部材と第2部材との間に毛髪を受容するための開位置と、近接位置との間で相対運動するように構成されており、前記第1部材及び前記第2部材は、ハンドルと処置ヘッドとを含み、前記処置ヘッドがそれぞれ、毛髪にストレート効果を与えるための内側プレートセグメントと、毛髪にカール効果を与えるように形成された外側シェルセグメントとを含み、前記外側シェルセグメントは熱伝導性金属材料から形成されている、第1部材と第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材の前記内側プレートセグメントと連携する加熱集成体であって、前記加熱集成体により生成された熱エネルギーが前記処置ヘッドの前記内側プレートセグメントから前記外側シェルセグメントへ伝達されるように、前記外側シェルセグメントに取り付けられているハウジング部材内に配置されている加熱集成体とを備え
前記外側シェルセグメントの前記熱伝導性金属材料及び前記内側プレートセグメントはステンレス鋼からなり、それにより、熱エネルギーに晒されたときの前記外側シェルセグメントの膨張の度合い又は率は、前記内側プレートセグメントの膨張の度合い又は率にほぼ対応し、それにより、前記内側プレートセグメントに関する前記外側シェルセグメントの位置決めを維持し
前記第1部材及び前記第2部材の前記ハンドルがそれぞれハンドルカバーを含み、前記ハンドルカバーが熱伝導性材料から形成されている、ヘアスタイリング装置。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材の前記ハンドルと前記処置ヘッドとの間に配置されたハンドルインシュレータを含み、前記ハンドルインシュレータは、前記処置ヘッドから前記ハンドルへの熱エネルギーの転移を低減するためにインシュレータ材料を含む、請求項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項3】
それぞれの前記処置ヘッドの外端部に隣接して配置された先端インシュレータを含み、前記先端インシュレータが、使用者によって前記外端部を掴むのを可能にするようにインシュレータ材料を含む、請求項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項4】
前記第1部材に取り付けられた手動操作式のロックスイッチを含み、前記ロックスイッチが、前記第1部材及び前記第2部材の開位置への運動を可能にするロック解除位置と、前記第1部材及び前記第2部材を近接状態に固定するロック位置との間で運動可能である、請求項1に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項5】
前記第1部材及び前記第2部材が前記開位置と前記近接位置との間で回動運動ができるように前記第1部材及び前記第2部材に結合されたヒンジ集成体を有し、それにより、前記ヒンジ集成体は複数のヒンジ支承体を有し、前記ヒンジ支承体はセラミック材料を備える、請求項1に記載のヘアスタイリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪を処置するための装置に関し、具体的には対象者の毛髪にストレート効果及びカール効果の両方を与えるように構成された装置に関する。この装置はさらに、二重セラミック加熱集成体と金属構造とを備えた装置であって、熱エネルギーを処置ヘッドの全ての領域に分配し、これにより毛髪に対するストレートニング能力及びカーリング能力が高められる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱された毛髪は、加熱されない毛髪よりも、平滑化、処置、及びスタイリングを容易に施すことができる。それぞれ種々様々な形体を有するヘアストレート装置及びカールアイロン装置を含む、数多くのヘアスタイリング器具及び電化製品が存在する。ヘアストレート装置は典型的には2つの回動ハンドルを含み、これらの回動ハンドルは、一方の端部でヒンジ結合されており、開位置と閉位置との間でヒンジを中心として回動する。それぞれのハンドルから加熱ヘッドが延びており、加熱ヘッドは、毛髪のストレートニング又はスタイリングのための加熱可能な材料、通常は金属から成る内面を有している。各加熱可能な表面の下に配置された電気的なヒータ素子を作動させることにより、これらの表面を所望の温度に加熱する。内面をスタイリングされるべき毛髪の周りに位置決めし、ヒンジ結合されたハンドルを閉位置に動かして、加熱された内面を毛髪に接触させる。手で掴んだハンドルを次いで、毛髪がヘッドから出るまで髪の毛に沿ってスライドさせる。ヘアストレート装置の一例が、ある特許文献に開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献の内容全体は参照することにより援用される。
【0003】
カールアイロンは、カールアイロンの胴又はマンドレルを充分に加熱し、そして毛髪を胴と物理的に接触させた状態で拘束することにより、カール、ウェーブ、又はツイストのパターンを、スタイリングされるべき毛髪に施すように意図されている。カールアイロンの加熱された胴の周りに毛髪の1区分を巻き付け、所定の時間にわたって、加熱された胴と接触させておくのが典型的である。加熱された胴からの熱が毛髪中の塑性結合を改質する。熱でスタイリングされた毛髪を加熱された胴から取り外すと、毛髪はカールアイロンの胴の形状を概ね保つ。
【0004】
従来のヘアストレート装置及びカールアイロン装置のある欠点は、対象者の頭に複数のスタイリング機能を発揮する際にその有用性を損なうことである。例えば、これらの装置はヘアストレートニングとヘアカーリングとの二重機能を発揮するには不向きである。この理由には、外側加熱ヘッド又はマンドレルへの熱分配が不十分であることが含まれる。このような欠点は、これらの装置の加熱集成体の構造、材料、及び/又は配置、及び形態の結果と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,178,532号
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、毛髪にストレート効果及び/又はカール効果の両方を与えるように構成されたヘアトリートメント又はヘアスタイリング装置に関する。この装置は、新規の熱伝導性構造及び加熱集成体を含む。熱伝導性構造及び加熱集成体は、熱エネルギーを処置ヘッドの全ての領域に均一に伝達するので、使用者の技能にかかわりなく所望のスタイルが達成される。装置はさらに、1つ又は2つ以上のセラミック支承体ユニットを組み入れたヒンジ集成体を含む。セラミック支承体ユニットは、処置部材の回動運動のための円滑な一貫した抵抗と、より長持ちするヒンジジョイントを提供し、これにより装置の寿命を延ばし、使い勝手を良くする。スタイリング装置のフレーム構成部分は金属、例えばステンレス鋼構造から形成されている。ステンレス鋼構造は、プラスチック構成部分及びプラスチック部品を利用した従来のモデルと比較して、種々の熱エネルギーレベルに晒されたときに、歪み、収縮、膨張などに対して優れた耐性をもたらす。
【0007】
一実施態様によれば、ヘアスタイリング装置は、第1部材と第2部材とを含み、第1部材と第2部材とは、第1部材と第2部材との間に毛髪を受容するための開位置と、近接位置との間で相対運動するように構成されている。第1部材及び第2部材はそれぞれハンドル及び処置ヘッドとを含む。処置ヘッドはそれぞれ、毛髪にストレート効果を与えるための内側プレートセグメントと、毛髪にカール効果を与えるように形成された外側シェルセグメントとを含む。外側シェルセグメントは熱伝導性金属材料から形成されている。第1及び第2部材の内側プレートセグメントには、加熱集成体が連携し、これにより熱エネルギーが処置ヘッドの内側プレートセグメントから外側シェルセグメントへ伝達される。
【0008】
実施態様では、外側シェルセグメントの熱伝導性金属材料はステンレス鋼を含む。第1及び第2部材のハンドルはそれぞれハンドルカバーを含んでよい。ハンドルカバーは熱伝導性材料から形成されている。第1及び第2部材のハンドルと処置ヘッドとの間にはハンドルインシュレータが配置されてよい。ハンドルインシュレータは、処置ヘッドからハンドルへの熱エネルギーの転移を低減するためにインシュレータ材料を含む。ある実施態様では、それぞれの処置ヘッドの外端部に隣接して先端インシュレータが配置されてよい。先端インシュレータは、使用者によって外端部を掴むのを可能にするようにインシュレータ材料を含んでよい。ハンドルインシュレータ及び先端インシュレータのインシュレータ材料はシリコンを含んでよい。
【0009】
いくつかの実施態様では、第1部材には、手動操作式のロックスイッチ取り付けられている。手動操作式のロックスイッチは、第1及び第2部材の開位置への運動を可能にするロック解除位置と、第1及び第2部材を近接状態に固定するロック位置との間で運動可能であってよい。第1及び第2部材のうちの一方はロックフードを含んでよく、そして第1及び第2部材のうちの他方はロックピンを含んでよい。ロックフードは、ロックスイッチがロック位置にあるときにはロックピンに固定的に係合するように寸法設定されており、そしてロックスイッチがロック解除位置にあるときにはロックピンを解放する。ある実施態様では、ロックフードは、凹部を形成するロック面を有しており、これによりロックピンは、凹部内に受容されており、そしてロックスイッチがロック位置にあるときには、ロック面に係合するように形成されている。
【0010】
いくつかの実施態様では、第1及び第2部材のそれぞれの加熱集成体が、第1セラミック加熱プレートと、加熱素子が取り付けられた少なくとも1つセラミック基板とを含む。第1及び第2部材のそれぞれの加熱集成体はさらに、第1セラミック基板と重なり合う関係を成す、加熱素子が取り付けられた第2セラミック基板を含んでよい。第1及び第2セラミック基板のそれぞれの加熱素子は抵抗線を含んでよい。抵抗線は第1及び第2セラミック基板のそれぞれに印刷されていてよい。いくつかの態様では、抵抗線は、第1及び第2部材の長手方向軸線に沿って延びる複数の長手方向線セグメントを含み、長手方向線セグメントは、横方向に間隔を置いた関係を成して配列されている。
【0011】
実施態様では、開位置と近接位置との間の第1及び第2部材の回動運動を可能にするために、第1及び第2部材には、ヒンジ集成体が結合されている。ヒンジ集成体は少なくとも1つのヒンジ支承体を含み、少なくとも1つのヒンジ支承体がセラミック材料を含む。いくつかの実施態様において、ヒンジ集成体は、第1部材及び第2部材に取り付けられた第1及び第2ヒンジ支承体集合を含む。第1及び第2集合のそれぞれの個々のヒンジ支承体はセラミック材料を含み、そしてそれぞれの第1部材及び第2部材に接触関係を成して取り付けられている。
【0012】
別の実施態様では、ヘアスタイリング装置が、毛髪をスタイリングするように形成された第1及び第2部材と、第1部材と第2部材との間に毛髪を受容するための開位置と、近接位置との間で回動運動を可能にするように第1及び第2部材に結合されたヒンジ集成体とを含む。ヒンジ集成体はセラミック材料から形成された少なくとも1つのヒンジ支承体と、第1及び第2部材のうちの少なくとも一方と連携する加熱素子とを含む。
【0013】
実施態様では、ヒンジ集成体が、第1部材に取り付けられた第1ヒンジ支承体と、第2部材に取り付けられた第2ヒンジ支承体とを含み、第1及び第2ヒンジ支承体がセラミック材料を含み、そして接触関係を成している。ヒンジ集成体は、第1部材に取り付けられた第3ヒンジ支承体と、第2部材に取り付けられた第4ヒンジ支承体とを含む。第3及び第4ヒンジ支承体はセラミック材料を含み、接触関係を成しており、そして第1及び第2ヒンジ支承体から間隔を置いている。
【0014】
本発明の他の利点は以下の説明から明らかになる。
【0015】
図面を参照しながら、本発明の種々の実施態様を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の原理に基づくヘアスタイリング装置であって、第1及び第2処置部材を開放状態で示す斜視図である。
図2図2は、ヘアスタイリング装置の分解図である。
図3図3は、ヘアスタイリング装置のセラミックヒンジ集成体の構成部分を、部品が分離された状態で示す斜視図である。
図4図4は、セラミックヒンジ集成体の構成部分を、ヘアスタイリング装置のハンドル内部に取り付けられた状態で示す軸線方向断面図である。
図5図5は、ヘアスタイリング装置の別のセラミックヒンジ集成体の構成部分を、部品を分離した状態で示す斜視図である。
図6図6は、図5のセラミックヒンジ集成体の構成部分を、ヘアスタイリング装置のハンドル内部に取り付けられた状態で示す軸線方向断面図である。
図7図7は、ロック機構がロック解除状態にあるヘアスタイリング装置を示す側面図である。
図8図8は、ロック機構のロックスイッチとロックピンとロックフードとの関係を、ロック解除状態で示す、図7に示された詳細な領域の拡大図である。
図9図9は、ヘアスタイリング装置をカール機能において使用するのを容易にするロック状態にあるロック機構を示す、図7と同様の図である。
図10図10は、ロック機構のロックスイッチとロックピンとロックフードとの関係を、ロック状態で示す、図9に示された詳細な領域の拡大図である。
図11図11は、二重セラミック加熱集成体を、第1及び第2処置部材のそれぞれの内部に取り付けられた状態で示す斜視図である。
図12図12は、図11の二重セラミック加熱集成体を示す分解斜視図である。
図13図13は、ヘアスタイリング装置の別の実施態様を示す斜視図である。
図14図14は、ヘアスタイリング装置のさらに別の実施態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで図面、具体的には図1を詳細に参照すると、本発明の原理に基づくヘアスタイリング装置100が示されている。ヘアスタイリング装置100は、対象者の毛髪にストレート効果を与えるための第1のヘアストレートモードと、対象者の毛髪に成形効果、ツイスト効果、又はカール効果を与える第2のヘアカールモードとを含む2つのモード間で操作することができる。
【0018】
ヘアスタイリング装置100は、ヒンジ集成体106を介して互いに結合された第1部材102及び第2部材104とを含む。第1及び第2部材102,104の、ヒンジ集成体106に隣接して使用者によって関与されるセグメント又は区分は、装置のハンドルセグメント又は「ハンドル」を形成する一方、ヒンジ集成体106から離れた、毛髪をスタイリングするセグメント又は区分は装置100の「処置ヘッド」を形成する。
【0019】
ヒンジ集成体106は典型的には、第1及び第2部材102,104を通常は図1に示された開位置に付勢するためにばね(図示せず)を組み入れる。第1及び第2部材102,104は、開位置と近接位置との間で、ヒンジ集成体106の周りで回動するように構成されている。上記のように、ヒンジ集成体106は1つ又は2つ以上のセラミック支承体を含む。セラミック支承体は、第1及び第2部材102,104の回動動作を向上させ、そしてヒンジジョイントの安定性を高めることによって、装置100の寿命を長くし、使い勝手を良くする。ヒンジ集成体106のさらなる詳細については下述する。
【0020】
図1とともに図2を参照すると、第1及び第2部材102,104は、装置100の長手方向軸線「k」(図1)に沿って延びるそれぞれの第1及び第2ハウジング部材108,110を含む。第1及び第2ハウジング部材108,110のそれぞれには、ヒンジ集成体106に隣接して外側ハンドルカバー112が取り付けられている。外側ハンドルカバー112は使用者によって関与されるように寸法設定されている。外側ハンドルカバー112は全体的に、又は部分的にステンレス鋼から形成されていてよい。第1及び第2ハウジング部材108,110はさらに、それぞれの第1及び第2内側ハンドルフレーム114,116を含む。第1ハンドルフレーム114は、電気的構成部分118、例えばレオスタット又は電気コネクタを組み入れており、そして第2ハンドルフレーム116は制御ボード又は回路ボード120を有している。制御ボード又は回路ボード120は、装置100の動作を制御するためのコントローラ/プロセッサを含んでよい。第2ハウジング部材110は、温度制御、処置時間などを含む装置100の動作を制御するための制御ボード120と電気的な接続された複数の制御ボタン122を含んでよく、そしてまた少なくとも1つ又は2つ以上のインジケータ光、例えば電源が作動させられると視覚的なインディシア(indicia)を提供するLED124を含む。適宜の電気出力部に接続するために第2ハウジング部材110から電源コード126が延びている。あるいは、装置100は充電可能なバッテリを含んでもよい。
【0021】
図1〜2をなおも参照すると、第1及び第2ハウジング部材108,110のそれぞれには、装置100の処置ヘッドセグメント内の従来の手段を介して外側シェル128が取り付けられている。それぞれの外側シェル128は僅かにアーチ形のプロフィールを含んでよい。外側シェル128は全体的又は部分的に熱伝導性材料、例えばステンレス鋼から形成されてよい。同様に、第1及び第2ハウジング部材108,110も全体的又は部分的にステンレス鋼から形成されてよい。第1及び第2ハウジング部材108,110のそれぞれはさらに、ハウジング部材108,110の内面内に取り付けられた加熱集成体130を含む。加熱集成体130はそれぞれ複数のセラミック加熱素子/基板を含む。加熱集成体130のさらなる詳細、並びに第1及び第2ハウジング部材108,110、及び外側シェル128のステンレス鋼構造の重要性については下でさらに詳述する。
【0022】
図2とともに図3〜4をここで参照しながら、ヒンジ集成体106について論じる。ヒンジ集成体106はヒンジピン又はヒンジ軸132を含む。ヒンジピン又はヒンジ軸132は、それぞれ第1及び第2部材102,104の第1及び第2内側ハンドルフレーム114,116のヒンジ取り付け具138,140の開口134,136を通って延びている。ヒンジ取り付け具138は単一のポスト又はカラムを含んでいてよいのに対して、ヒンジ取り付け具140は、互いに間隔を置いたポスト対又はカラム対140a,140b(図4)を含んでよい。ヒンジ取り付け具138の単一のポスト138は、図4に最も良く示されているように、ヒンジ集成体106の結合時にはヒンジ取り付け具140の、互いに間隔を置いたカラム140a,140b内部に配置又は受容される。ヒンジ集成体106はさらに、ヒンジ取り付け具138,140の間に、すなわちヒンジ取り付け具138の各側に配置された2つの支承体集合142a,142bを含む。それぞれの集合の支承体142aは、第1部材102のヒンジ取り付け具138に取り付けられるか又は係合させられ、そして支承体142bは、第2部材104の第2ヒンジ取り付け具140のそれぞれのカラム140a,140bに取り付けられるか又は係合させられる。支承体集合142a,142bは接触関係を成し、これらの支承体集合によって提供された面の周りに、又は面に沿って第1及び第2部材102,104が回動する。
【0023】
支承体142a,142bはセラミック材料から形成されている。ヒンジ集成体106内部でセラミック材料を使用することは、第1及び第2部材102,104の相対回動運動のための極めて円滑な一貫した抵抗を可能にし、これにより、プラスチック又は金属のヒンジエレメントを利用した従来のユニットと比較して著しく強力且つ安定なヒンジジョイントを提供する。ヒンジ集成体106内部に組み入れられたセラミック材料又は支承体は、支承体142a,142bの最小限の摩耗及び裂け目しか伴わずに第1及び第2部材102,104の制限されない回動動作を可能にすることにより、ヘアスタイリング装置100の全寿命を高める。ヒンジ集成体106はさらに、ファスナ及び/又はナット146,148が連携するヒンジカバー144を含むことにより、ヒンジ集成体106を包囲する。
【0024】
図5及び6に示された実施態様の場合、ただ1つのセラミック支承体集合142a,142bをヒンジ集成体106内に組み入れることができる。セラミック材料の特徴により、第1及び第2部材102,104の回動運動を容易にするとともに装置100の寿命を延ばすには、1つのセラミック支承体集合142a,142bで充分な支持と平滑な抵抗を提供し得ると考えられる。
【0025】
図1,2及び7〜8を参照すると、ヘアスタイリング装置100はさらに、装置100をカールスタイリングモードで利用するときに第1及び第2部材102,104を近接状態で固定するためのロック機構を含む。ロック機構は、第1部材102のハンドルカバー112に設けられた開口152(図2)内に少なくとも部分的に受容されたロックスイッチ150を含む。ロックスイッチ150は、ファスナ156を介してほぼU字形のロックフード154に固定されている。ロックフード154は細長い開口158を形成している。ロック機構はさらに第2部材104の第2内側ハンドルフレーム116から外方へ向かって突出するロックピン160を含む。ロックピン160はロックフード154の細長い開口158内に受容されている。ロックスイッチ150(図7及び8)のロック解除位置では、ロックピン160は、ロックピン160が開口158を通過するのを許すようにロックフード154の開口158と整合し、これにより、第1及び第2部材102,104が図1に示された開位置へ動くのを可能にする。ロックスイッチ150及びロックフード154が図9〜10に示されたロック位置へ長手方向に動くと、ロックピン160は開口158と誤整合するので、ロックピン160の拡大されたピンヘッド160aは、開口158を形成するロックフード154の表面に、この表面と固定関係を成して係合する。この位置では、第1及び第2部材102,104は、回動運動を防止され、これにより第1及び第2部材102,104をカールアイロンモードに固定する。すなわちカールアイロンモードでは、第1及び第2部材102,104を利用して外側シェル128の周りで毛髪を湾曲させることができる。
【0026】
ここで図2とともに図11〜12を参照しながら、装置100の処置ヘッド内部の二重セラミック加熱集成体130について論じる。各加熱集成体130は、内側加熱プレート162と、加熱プレート162に対して重ね合わせ関係を成す第1及び第2セラミック基板164,166とを含む。加熱プレート162はほぼ平面状であるが、しかし加熱プレート162は、装置100の意図された用途に応じてアーチ形プロフィールを含んでもよい。加熱プレート162はセラミック材料から成っている。第1及び第2セラミック基板164,166はそれぞれ、少なくとも1つのワイヤ抵抗器168を含んでいる。ワイヤ抵抗器168はセラミック基板164,166の各表面上に印刷されるか、各表面内に埋め込まれるか、又は各表面に取り付けられている。ワイヤ抵抗器168は、長手方向に延びて互いに間隔を置いた複数の抵抗器セグメント168aを含み、これらの抵抗器セグメント168aは、それぞれの第1及び第2セラミック基板164,166の長さの大部分に沿って延びることにより、第1及び第2セラミック基板164,166のほぼ表面積全体を包含する。第1セラミック基板164は、抵抗器168に電気的に接続された第1及び第2リード線170と接点172とを介して電源に電気的に接続されている。同様に、第2セラミック基板166は、第3及び第4リード線174と接点176とを介して電源に電気的に接続されている。第3及び第4リード線174は、第1セラミック基板164の開口178を通って延びることにより接点176に係合している。
【0027】
ワイヤ抵抗器168が連携する第1及び第2セラミック基板164,166を設け、配置することにより、加熱される表面積、及び加熱プレート162(例えばセラミック加熱プレート162)に伝達される熱エネルギーが最大化される。さらに、セラミック基板164,166の相対的に薄いプロフィールは、より大きい体積の従来の鋼又はアルミニウムヒータにおいて内在的なエネルギー損失なしに、熱エネルギーを加熱プレート162へ転移させるのを容易にする。加えて下述するように、二重セラミック加熱集成体130は、第1及び第2部材102,104のステンレス鋼外側シェル128への熱伝達を向上させる。これによりカールモード中の装置100の使用が容易になる。
【0028】
毛髪にストレート効果を与えるためのスタイリング装置100の使用についてここで論じる。使用中、装置100を作動させ、図1の開位置にあるときに、第1及び第2部材102,104のそれぞれの加熱集成体130の加熱プレート162間に毛髪を位置決めする。第1及び第2部材102,104を図7の近接位置へ動かす。一実施態様において、第1及び第2部材102,104と連携する電気的接点(図示せず)が加熱集成体130に係合してこれを作動させることができる。加熱プレート162間で毛髪を引っ張るように装置100を操作することにより、毛髪を真直ぐにする。装置100をカールモードで利用したい場合には、ロックスイッチ150を図7〜8のロック解除位置から図9〜10のロック位置へ動かし、そして第1及び第2部材102,104の外側シェル128の周りに毛髪を巻き付けるように、装置100を操作する。上で詳述したように、各加熱集成体130の二重セラミック基板及びセラミック加熱プレートは、かなりの量の熱エネルギーを生成する。この熱エネルギーは、第1及び第2ハウジング部材108,110の高い伝導性(例えば熱伝導性)のステンレス鋼外側シェル128へ(熱損失を最小限にしか伴わずに)伝達される。なお、第1及び第2ハウジング部材108,110はステンレス鋼から製造されており、やはり熱エネルギーを外側シェル128へ伝導することができる。毛髪を可塑化して成形するのに適した温度にある外側シェル128を利用して、毛髪にカール効果又はウェーブ効果を与える。
【0029】
図13〜14は、本発明の付加的な態様又は別の態様を示す。図13のスタイリング装置100は、近位側の冷却リッジ又はハンドルインシュレータ180を含む。近位側の冷却リッジ又はハンドルインシュレータ180は、スタイリング装置100のハンドルの端部、例えば第1及び第2部材102,104のそれぞれのハンドルカバー112と外側シェル128との間に取り付けられてよく、あるいはハンドルカバー112又は外側シェル128のそれぞれの周囲に取り付けられてもよい。さらなる選択肢として、ハンドルインシュレータ180は、ハンドルカバー112又は外側シェル128の周囲内に形成された溝内部に受容されてもよい。ハンドルインシュレータ180は、断熱材、例えばシリコンから製造されていてよく、それぞれの第1及び第2部材102,104の周囲に対して延びる帯状形態を成していてよい。ハンドルインシュレータ180はそれぞれ、装置100の処置ヘッドから、例えば外側シェル128からハンドルカバー112へ熱エネルギーが伝達されるのを実質的に防止することによって、使用者を保護する。図14では、装置100は第1及び第2部材102,104の、ヒンジ集成体106から離れた側の端部のそれぞれに隣接する第2インシュレータ182又は先端インシュレータ182を組み入れている。先端インシュレータ182は構造及び機能においてハンドルインシュレータ180と類似していてよく、第1及び第2部材102,104の端部を絶縁する、例えば端部への熱伝導性を分断させるのに役立つ。このようにすれば、使用者は装置100の操作中、第1及び第2部材102,104の端部を掴む、又は摘まむ一方で、他方の手でハンドルを保持することにより操作しやすくすることができる。先端インシュレータ182は、第1及び第2部材102,104の最端部から間隔を置いて外側シェル128の周りに取り付けられてよく、且つ/又は外側シェル128の内面と外面との間に少なくとも部分的に延びてよく、例えば外側シェル128に設けられたそれぞれの溝内部に受容されてよい。
【0030】
本発明のスタイリング装置100は周知の装置を凌ぐ顕著な利点をもたらす。先ず、スタイリング装置100はヘアストレート器具としての使用のため、又はヘアカーラーとしての使用のために容易に変換することができる。第1及び第2ハウジング部材108,111と、ハンドルカバー112と、第1及び第2内側ハンドルフレーム114,116と、アウタシェル128とを含むフレーム構成部分は全体的にステンレス鋼から形成されてよい。ステンレス鋼は、装置100の寿命を著しく改善するとともに、部分的にプラスチックから成る従来のユニットと比較して、より堅牢な装置を提供する。二重セラミック加熱集成体130は、装置100のヘアストレートモード中では内側加熱プレート162へ、そして装置100のヘアカールモード中ではステンレス鋼外側シェル128へ、熱エネルギーを効果的、効率的、且つ均一に転移させるのを可能にする。セラミックヒンジ集成体は、第1及び第2部材102,104の円滑で邪魔のない回動運動を改善し、より長持ちするヒンジジョイントを提供し、装置の寿命を延ばし、使い勝手を良くする。
【0031】
上記記述及び図面は、本発明の実施態様を説明する目的で提供されるのであって、開示範囲を制限しようとするものでは決してない。当業者には明らかなように、開示の思想又は範囲を逸脱することなしに種々の変更及び改変を加えることができる。従って、本発明は、添付の請求の範囲及びこれと同等のものの範囲内に含まれるのであれば、この開示の変更形及び改変形にも範囲が及ぶものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14