(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360110
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】バッテリ装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20180709BHJP
B60K 1/04 20060101ALI20180709BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20180709BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20180709BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20180709BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20180709BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20180709BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20180709BHJP
【FI】
H01M2/10 S
B60K1/04 Z
H01M2/10 K
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/6554
H01M10/6563
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-141299(P2016-141299)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2017-27938(P2017-27938A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】10 2015 111 749.5
(32)【優先日】2015年7月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラブ クリメク
(72)【発明者】
【氏名】ベルント パルマー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘルンティアー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ケラー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン シェーラー
【審査官】
井原 純
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/061109(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/084939(WO,A1)
【文献】
特開2000−038035(JP,A)
【文献】
特開2015−079605(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/073432(WO,A1)
【文献】
特開2010−277863(JP,A)
【文献】
特開2012−129074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6554
H01M 10/6556
H01M 10/6563
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に電気で駆動される車両(100)のためのバッテリ装置(1)であって、それぞれが少なくとも1つのバッテリセル(103)を有する複数のバッテリモジュール(102)と、前記バッテリモジュール(102)を受け入れる少なくとも1つの収容装置(2)とを有するバッテリ装置(1)において、
前記収容装置(2)は、前記バッテリモジュール(102)の下に配置された少なくとも1つの分割壁(3)と、前記分割壁(3)の下に離間して配置された少なくとも1つのベース板(4)とを含むことと、前記分割壁(3)および前記ベース板(4)は、少なくとも1つの連結要素(5)に取り付けられ、離間状態のまま、前記連結要素(5)によって互いに連結されることと、
前記連結要素(5)は細長い連結形材(15)として設計され、該連結要素(5)の長手軸はバッテリ装置(11)の、前記車両の長手方向と平行である長手軸に対して交差する方向に延びており、更に、
前記連結要素(5)と平行に延びる少なくとも1つの板状の横ウェブ(8)が前記分割壁(3)に取り付けられ、
前記横ウェブ(8)は、前記連結要素(5)が前記分割壁(3)の下側面(23)に取り付けられた部分で、前記分割壁(3)の上側面(13)に取り付けられること、を特徴とするバッテリ装置(1)。
【請求項2】
前記分割壁(3)および前記ベース板(4)は、前記連結要素(5)の2つの互いに反対側に位置する取付部(35、45)に固定される、請求項1に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項3】
前記連結要素(5)は、前記ベース板(4)を取り外し可能に固定するための少なくとも1つの取付装置(55)を有する、請求項1または2に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項4】
互いに隣接し、かつ/または互いに平行に配置された複数の連結要素(5)を含み、少なくとも1つの空洞(6)が、それぞれ前記連結要素(5)の少なくとも一部間に形成され、前記空洞は、上部で前記分割壁(3)が隣接し、かつ/または底部で前記ベース板(4)が隣接する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つのバッテリモジュール(102)を有する少なくとも1つのモジュールグループ(112)が、前記空洞(6)に沿って配置される、請求項4に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項6】
前記バッテリモジュール(102)の温度を制御するための冷却装置(7)の少なくとも1つの冷却部(17)が、前記空洞(6)内に延びる、請求項4または5に記載のバッテリ装置。
【請求項7】
前記冷却部(17)は、熱伝導する態様で前記分割壁(3)に取り付けられる、請求項6に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1つのバッテリカバー(9)が、前記横ウェブ(8)に取り付けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項9】
互いに隣接し、かつ/または互いに平行に配置された複数の横ウェブ(8)を含み、いずれの場合も、少なくとも1つのバッテリモジュール(102)を有する少なくとも1つのモジュールグループ(112)が、少なくともいくつかの隣接する横ウェブ(8)間に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項10】
前記バッテリモジュール(102)を取り付けるための少なくとも1つの留め具要素(33)が、前記分割壁(3)に取り付けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項11】
前記収容装置(2)の少なくとも1つの構成要素は、金属板材料から製造され、前記構成要素は、前記分割壁(3)、前記ベース板(4)、前記連結要素(5)、前記横ウェブ(8)、および前記バッテリカバー(9)を含む構成要素の群から選択される、請求項8に記載のバッテリ装置(1)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のバッテリ装置(1)を製造する方法であって、バッテリ装置は、それぞれが少なくとも1つのバッテリセル(103)を有する複数のバッテリモジュール(102)と、前記バッテリモジュール(102)を受け入れる少なくとも1つの収容装置(2)とを有する、方法において、
以下の製造ステップ、すなわち、
少なくとも1つの連結要素(5)を、前記バッテリモジュール(102)の下に設けられた少なくとも1つの分割壁(3)に取り付けるステップと、
前記分割壁(3)の下に設けられた少なくとも1つのベース板(4)を前記連結要素(5)に取り付け、その結果として、前記ベース板(4)および前記分割壁(3)が、離間したまま、前記連結要素(5)によって互いに連結されるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
少なくとも1つの横ウェブ(8)を前記分割壁(3)に取り付けるステップと、前記バッテリモジュール(102)を取り付けるように設計された少なくとも1つの留め具要素(33)を前記分割壁(3)に取り付けるステップと、前記バッテリモジュール(102)の温度を制御するための冷却装置(7)の少なくとも1つの冷却部(17)を前記分割壁(3)に取り付けるステップと、少なくとも1つのバッテリカバー(9)を前記横ウェブ(8)に取り付けるステップとを含む製造ステップの群から、少なくとも1つの製造ステップが実施される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に電気で駆動される車両のためのバッテリ装置、およびこの種のバッテリ装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両およびハイブリッド車両のバッテリ装置は、多くの場合、バッテリモジュールを形成するグループにまとめられるバッテリセルを有する。この場合に、バッテリモジュールの配置は、これらのモジュールが、確実に、かつ安全にバッテリ内に収容されなければならないことから、多くの場合、特に重要である。
【0003】
バッテリモジュールをバッテリに収容する様々な方法が、先行技術に開示されている。しかし、公知の問題解決策は、通常、バッテリが、バッテリモジュール用の支持体として機能するだけでなく、いくつかの多面的で複雑な機能を果たさなければならないために改良する必要がある。そのような要件として、例えば、バッテリモジュールの冷却と、流体密封性と、衝突時のバッテリセルの保護と、下からのバッテリセルの保護、ならびに「ボラード落下試験(bollard drop test)」での、および突発時のバッテリセルの保護とがある。さらに、バッテリは、本体の全体的な剛性に寄与しなければならない。特に、低コストの工業プロセスを用いて、可能な限り費用をかけずにバッテリを製造することができなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この状況を所与として、本発明の目的は、少なくとも部分的に電気で駆動される車両のためのバッテリ装置の構造を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するバッテリ装置と、請求項16で主張した方法とによって達成される。好ましい発展形態は、従属請求項の対象をなす。本発明のさらなる利点および特徴が、概略的な説明、および例示的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0006】
本発明によるバッテリ装置は、少なくとも部分的に電気で駆動される車両のために提供される。バッテリ装置は、それぞれが少なくとも1つのバッテリセルを有する複数のバッテリモジュールを含む。バッテリ装置は、バッテリモジュールを受け入れる少なくとも1つの収容装置を有する。この構成では、収容装置は、意図した使用位置でバッテリモジュールの下に配置された少なくとも1つの分割壁を含む。収容装置は、分割壁の下に配置された少なくとも1つのベース板をさらに含む。分割壁およびベース板は、少なくとも1つの連結要素に取り付けられる。分割壁およびベース板は、離間したまま、連結要素によって互いに連結される。
【0007】
本発明によるバッテリ装置は多数の利点を有する。1つの大きな利点は、分割壁およびベース板が、離間したまま、少なくとも1つの連結要素によって互いに連結されることである。これにより、バッテリ装置の設計が構造的に、および機能的に改善される。別の利点は、特に簡単で低コストの方法で、この種の収納装置を製造できることである。この種の収容装置は、本体の剛性に大きく寄与し、衝突時や下から作用を受けた場合のバッテリモジュールの保護の改善を実現する。さらに、ベース板と分割壁との間隔を置いた配置により、バッテリモジュール用の冷却システムの収容がより簡単になる。
【0008】
特に好ましい実施形態では、連結要素は、少なくとも2つの互いに反対側の取付部を有する。特に、分割壁およびベース板は、取付部に固定される。例えば、取付部は平面構造である。ベース板および/または分割壁は、ギャップなしにそのような取付部に載せて固定することができる。したがって、連結要素は、離間させるだけでなく、整列もさせて、組み立てをかなり簡単にする。
【0009】
連結要素は、細長い連結形材として設計されるのが好ましい。例えば、連結形材の長さは、その幅および/または高さの倍数である。この場合に、ベース板および分割壁は、特に、連結要素の幅または高さ部分を用いて離間される。特に、連結形材は、長方形断面を有する。他の形材形状も可能であり、例えば、正方形断面をもたせることもできる。連結形材は、少なくとも部分的に中空の構造とすることもできる。連結形材は、中実構造であるのが好ましい。特に好ましいオプションとして、連結形材は、金属シートから製造される。連結形材は、補強材、および/または塗装、および/または、例えば、重量を最適化するための凹部を含むことができる。特に好ましいオプションとして、連結形材は、長方形断面を有する、中実構造の細長い構成要素をもたらす金属シートから製造される。
【0010】
連結要素の長手軸が、バッテリ装置の長手軸に対して交差する方向に延びるならば、それは好ましいことである。この場合に、バッテリ装置の長手軸は、特に、バッテリ装置が意図した取付け状態で挿入される搬送車両の進行方向の想定される軸に合致する。これは、取り付けた状態における本体の全体的な剛性に有益に寄与する。同時に、結果として、収容装置の特定の望ましい変形性も実現可能である。連結要素は、バッテリ装置の長手方向に対して平行に延びることもできる。交差方向に延びる連結要素および長手方向に延びる連結要素の両方を設けることも可能である。
【0011】
連結要素は、ベース板を取り外し可能に固定するための少なくとも1つの取付装置を有するのが好ましい。連結要素が、分割壁を取り外し可能に固定するための少なくとも1つの取付装置を有することも可能である。ベース板のそのような取り外し可能な連結により、ベース板と分割壁との間の領域への特に簡単で骨の折れない進入が可能になる。特に、取付装置は、ねじ式留め具用に設計される。例えば、取付装置は、少なくとも1つのねじ部を含む。例えば、ねじ部は、穴、および/または止まり穴、および/または連結要素に挿入された圧入ブッシュに設けることができる。この用途に合った意味において、「取り外し可能な固定」という用語は、特に、非破壊的に解くことができる連結を意味すると解釈される。非破壊的に解くことができない連結も可能である。例えば、ベース板および/または分割壁は、例えば、接着接合および/または溶接によって、ならびに/または他の何らかの結合法、特に、材料結合を含む結合法によって、連結要素に永続的に取り付けることができる。
【0012】
有益な実施形態では、収容装置は、互いに隣接して配置された複数の連結要素を含む。連結要素は、互いに平行に配置されるのが好ましい。特に、少なくとも1つの空洞が、それぞれ連結要素の少なくとも一部間に、好ましくはすべての連結要素間に形成される。特に、空洞は、その上部で分割壁に隣接する。好ましくは、空洞は、その底部でベース板に隣接する。
【0013】
この種の空洞は、安定性および重量削減の両方に寄与し、さらに、その他の構成要素を収容するために使用することができる。複数の連結要素は、少なくとも2つの連結要素、特に、3つ、または4つ、または5つ、またはそれを超える連結要素を含む。10個、または15個、または20個、またはより多数の連結要素を設けることも可能である。例えば、連結要素の数量は、バッテリモジュールの数量に応じて決まる。複数の連結要素の一部は、例えば、設けられる連結要素の1/4、または1/2、または3/4、または90%とすることができ、またはそれを超えることさえあり得る。
【0014】
空洞は、連結要素の幅および/または高さと同じ高さを有するのが好ましい。したがって、空洞は、連結要素の選択を通じて、ほとんど労せずに適合することができる。例えば、所望の剛性および/または空洞の意図された使用法に応じて、特定の高さおよび/または幅を有する連結要素を選択することができる。空洞は、長方形断面を有するのが好ましい。空洞は、2つの対向する壁を有するのが好ましく、これらの2つの対向する壁は、それぞれ分割壁およびベース板によって、および2つの隣接する連結要素によって形成される。支材および/または補強材を空洞に配置することが可能である。空洞に発泡体、特に、硬質発泡体を充填することも可能である。
【0015】
有益な発展形態では、少なくとも1つのモジュールグループが、空洞に沿って配置される。モジュールグループは、少なくとも1つのバッテリモジュールを含む。モジュールグループは、少なくとも2つ、または3つ、またはそれを超えるバッテリモジュールを設けられるのが好ましい。モジュールグループのバッテリモジュールの長手軸は、空洞の長手軸に交差する方向に、または平行に整列することができる。特に好ましいオプションとして、モジュールグループは、分割壁によって空洞から分離される。そのような実施形態は、空洞が、冷却および/または電力供給および/またはバッテリモジュールの接続を目的として、特に有効に使用され得るという利点を有する。
【0016】
冷却装置の少なくとも1つの冷却部が空洞内に延在するのが可能であり、好ましい。特に、冷却装置は、バッテリモジュールの温度を制御するのに適するように設計される。特に、少なくとも1つの冷却部が各空洞に延在する。2つ、または3つ、または複数の冷却部も空洞内に存在可能である。特に、冷却部は、連結要素に平行に延びる。冷却部は、バッテリモジュールの下に延びるのが好ましい。少なくとも1つの冷却媒体が冷却部を流れるのが好ましい。
【0017】
冷却部は、少なくとも1つの冷却チャネルを含むか、またはそのようなものとして設計されるのが好ましい。特に、冷却チャネルは、少なくとも1つの別個の壁を含む。例えば、冷却チャネルは、チューブおよび/または中空形材から製造される。例えば、冷却チャネルは、圧縮成形形材、引抜き形材、または鋳造アルミニウム形材から製造することができる。冷却チャネルが、ベース板および/または分割壁および/または連結要素によって形成された壁を含むことも可能である。それによって、設置空間が特に有益に使用される。
【0018】
冷却部が、熱伝導する態様で、分割壁に取り付けられるのは特に好ましい。特に、冷却部は、分割壁の下側面に取り付けられ、この下側面は、バッテリモジュールが配置された上側面とは反対側に位置する。特に、冷却部は、分割壁のうちの連結要素も取り付けられる側に取り付けられる。そのような実施形態は、一方で、バッテリモジュールと冷却部とが、確実に、かつ流体密封して分離され、同時に、冷却効果が改善されるという利点を有する。冷却部は、少なくとも1つのろう付け接合によって分割壁に取り付けられるのが好ましい。冷却部を接着接合、および/または溶接することも可能である。熱伝導を改善する少なくとも1つの手段、例えば、熱伝達化合物を冷却部と分割壁との間に設けることができる。冷却部とベース板との間に空洞を設けることができる。空洞は、発泡体、空気、または他の材料で少なくとも部分的に埋めることができる。空洞が、冷却部によって完全に占められることも可能である。冷却部は、熱伝導する態様で、連結要素に取り付けることもできる。
【0019】
収容装置が、少なくとも1つの横ウェブを含むのが可能であり、好ましい。横ウェブは、分割壁に取り付けられるのが好ましい。特に、横ウェブは、連結要素に平行に延びる。横ウェブは、連結要素に対して交差する方向に延びることもできる。この種の横ウェブは、バッテリ装置の剛性をさらに改善する。この場合に、横ウェブは、連結要素に固定することもできる。例えば、分割壁を貫通する連結体を設けることができる。収容装置が、少なくとも1つの長手ウェブを含むことも可能である。
【0020】
特に好ましい実施形態では、横ウェブは、連結要素が分割壁の下側面に取り付けられた部分で、分割壁の上側面に取り付けられる。そのような配置によって、横ウェブおよび連結要素は、互いに反対に位置し、分割壁によって互いから分離される。これは、横ウェブに作用する力が、分割壁によってのみ吸収されるのではなくて、特に効果的な態様で、連結要素に伝達されるという利点を有する。それにより、バッテリモジュールは、改善された態様で保護される。
【0021】
バッテリ装置が、少なくとも1つのバッテリカバーを含むことが可能である。バッテリカバーは、横ウェブに取り付けられるのが好ましい。特に、バッテリカバーは、バッテリモジュールの上に位置する。特に、バッテリカバーは、複数の横ウェブに、好ましくはすべての横ウェブに取り付けられる。このために、横ウェブは、少なくとも1つの取付装置を含むことができる。例えば、横ウェブは、ねじ穴または圧入ブッシュを有することができる。バッテリカバーは、横ウェブにねじ留めされるのが好ましい。そのような実施形態は、バッテリカバーが、バッテリ装置の剛性に寄与するという利点を有する。
【0022】
バッテリ装置が、互いに隣接して配置された複数の横ウェブを含むならば、それは好ましいことである。横ウェブは、互いに平行に配置されるのが好ましい。特に、少なくとも1つのバッテリモジュールを有する少なくとも1つのモジュールグループが、それぞれ少なくともいくつかの隣接する横ウェブ間に配置される。特に、少なくとも1つのモジュールグループは、それぞれすべての横ウェブ間に配置される。横ウェブの数量が、連結要素の数量と同じならば、それはあり得ることであり、好ましいことである。長手ウェブを隣接する横ウェブ間に配置することも可能である。そのような配置により、バッテリ装置でのバッテリモジュールの特に安全な収納が可能になる。
【0023】
特に、バッテリモジュールを取り付けるための少なくとも1つの留め具要素が、分割壁に取り付けられる。バッテリモジュール1つ当たり少なくとも1つの留め具要素が、設けられるのが好ましい。特に、少なくとも2つの両側の留め具要素が、各バッテリモジュールごとに設けられる。3つ、または4つ、またはそれを超える留め具要素を分割壁に各バッテリモジュールに対して設けることも可能である。留め具要素の数量は、例えば、バッテリモジュールの大きさ、および/またはバッテリモジュール内のバッテリセルの数量によって決まる。留め具要素を横ビームに固定することも可能である。留め具要素は、取り外し可能に、または永続的に取り付けることができる。このために、留め具要素は、例えば、溶接、接着接合、ねじ留め、および/または他の何らかの適切な方法で固定される。特に、留め具要素は、バッテリモジュールに取り外し可能に取り付けられて連結されるのに適するように設計される。例えば、バッテリモジュールは、留め具要素にねじ留めされ、かつ/またはラッチで係止される。特に好ましいオプションとして、留め具要素は、分割壁に溶接される溶接スタッドとして具現化され、バッテリモジュールは、この溶接スタッドにねじ留めされる。それにより、バッテリモジュールを収容し、それと同時に、製造するのに費用がかからない、きわめて信頼性の高い手段が得られる。
【0024】
すべての実施形態において、収容装置の少なくとも1つの構成要素が、金属板材料から製造されるならば、それは好ましいことである。この場合に、構成要素は、特に、分割壁、ベース板、連結要素、横ウェブ、およびバッテリカバーを含む構成要素の群から選択される。金属板材料の使用を通じて、構成要素は半製品からほとんど労せずに製造することができ、非常に単純で、同時に確実な方法で互いに連結できるので、工業生産に対する適合性が大幅に改善される。さらに、そのような材料は、本体の全体的な剛性を大幅に改善し、バッテリモジュールを確実に保護する。
【0025】
金属板材料は、特に、金属シートとして設計される、またはそのようなシートを含む。特に好ましいオプションとして、分割壁、およびベース板、および連結要素、さらには横ウェブは、金属シートから製造される。例えば、アルミニウム合金または鋼合金でできたシートを使用することができる。様々な金属で構成された積層板材料を使用することも可能である。プラスチックを包含した金属板材料も使用可能である。例えば、「多金属サンドイッチ板」を使用することができる。一方、構成要素を繊維強化プラスチックから製造することも可能である。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、および/またはアラミド繊維からなる補強材を有する熱可塑性プラスチックを使用することができる。特に、板材料は平面状の構造である。窪み、および/または隆起部、例えば、ビードを導入することも可能である。例えば、重量を最適化するために、開孔を導入することも可能である。例えば、さらなる板および/または形材を取り付けることで、補強部を板材料に設けることも可能である。
【0026】
本発明による方法は、少なくとも部分的に電気で駆動される車両のためのバッテリ装置を製造するために使用される。バッテリ装置は、それぞれが少なくとも1つのバッテリセルを有する複数のバッテリモジュールを含む。バッテリ装置は、バッテリモジュールを受け入れる少なくとも1つの収容装置を含む。この場合に、少なくとも1つの連結要素が、バッテリモジュールの下に設けられた少なくとも1つの分割壁に取り付けられる。分割壁の下に設けられた少なくとも1つのベース板が、連結要素に取り付けられる。この場合に、ベース板および分割壁は、離間したまま、連結要素によって互いに連結される。この場合に、分割壁およびベース板の連結要素への取付けの順番は任意である。
【0027】
本発明による方法は、工業的に、かつ低コストで実施することができ、さらに、有利な構造のバッテリ装置を可能にするという利点を有する。特に、連結要素は、取付部を用いて分割壁に取り付けられる。この場合に、ベース板は、連結要素の反対側の取付部に取り付けられる。これは、ベース板および分割壁が、互いに反対側に位置して整列するという利点を有する。特に均一な空洞が得られる。連結は、溶接法によって行われるのが好ましい。接着接合、圧入(pressing)、および他の任意で適切な結合法、特に、材料結合を含む結合法も可能である。例えば、ねじ留めによる取り外し可能な組み付けも可能である。ベース板は、連結要素にねじ留めされるのが好ましい。これは、例えば、保守目的の特に簡単な進入を可能にする。分割壁は、例えば、溶接によって、連結要素に物質的に結合されるのが好ましい。そのような結合は、製造するのに費用がかからず、信頼性が高い。さらに、それによって、分割壁の流体密封性が不利な影響を受けることがない。
【0028】
方法の有益な実施形態では、少なくとも1つの横ウェブを分割壁に取り付けるステップと、バッテリモジュールを取り付けるように設計された少なくとも1つの留め具要素を分割壁に取り付けるステップと、バッテリモジュールの温度を制御するための冷却装置の少なくとも1つの冷却部を分割壁に取り付けるステップと、少なくとも1つのバッテリカバーを横ウェブに取り付けるステップとを含む製造ステップの群から、少なくとも1つの製造ステップが実施される。
【0029】
本発明のさらなる利点および特徴が、添付図を参照して下記に説明される例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるバッテリ装置を有する車両の概略的な底面図を示している。
【
図2】バッテリ装置の概略的な斜視図を示している。
【
図3】
図1によるバッテリ装置のきわめて概略化した細部をA−A線に沿った分解断面図で示している。
【
図4】
図3によるバッテリ装置を組立図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明によるバッテリ装置1を有する、少なくとも部分的に電気で駆動される車両100の裏面を示している。より明瞭にするために、本来なら他の構成要素によって見えないようにされる構成要素が示されている。この場合に、車両100は、電気車両として設計されている。車両100は、ハイブリッド車両でもあり得る。
【0032】
バッテリ装置1は、電気トラクション装置105にエネルギを供給し、ここでは、車両100のドアシル領域(Schillerbereich)101間に配置された床下トラクションバッテリとして設計されている。バッテリ装置1は、パワーエレクトロニクス104に有効に接続されている。バッテリ装置1は、他の構成要素、例えば、制御ユニットおよび/または充電器などを含むこともできる。運転中および充電プロセス中に、バッテリ装置1の最適な温度制御を保証するために、冷却装置7が設けられている。
【0033】
バッテリ装置1は、それぞれが複数のバッテリセル103を有する複数のバッテリモジュール102を含む。より明瞭にするために、1つのセルだけが例として図示されている。バッテリモジュール102は、収容装置2に配置され、モジュールグループ112にまとめられている。この場合に、例として、モジュールグループ112は、互いに隣接し、バッテリ装置1の長手軸に交差する方向に配置された3つのバッテリモジュール102からなる。この場合に、例えば、バッテリ装置1は、バッテリ装置1の長手軸に平行に配置されたバッテリモジュール122を有する別のモジュールグループを含む。
【0034】
図2では、バッテリ装置1が斜視図で示されており、バッテリモジュール102が例として示されている。バッテリモジュール102は、収容装置2の分割壁3に固定されている。この場合に、収容装置2は、バッテリモジュール102間に延びる横ウェブ8および長手ビーム12を含む。連結要素5は、分割壁3の下で、横ウェブ8に平行に延びている。この場合に、収容装置2は、フレームワーク32と、車両100のボディへの取付け用に設計された横連結装置42とを含む。
【0035】
図3および
図4は、
図1のバッテリ装置1の細部をA−A線に沿った断面図で示している。バッテリモジュール102は、分割壁3に配置され、留め具要素33を用いて固定されている。この場合に、留め具要素33は、分割壁3の上側面13に溶接される溶接スタッド43として設計されている。バッテリモジュール102は、それぞれ複数の溶接スタッド43にねじ留めされるのが好ましい。横ウェブ8は、バッテリモジュール間に延びている。バッテリカバー9が、バッテリ装置1を覆うように設けられ、この場合に、前記カバーは、横ウェブ8に固定されている。
【0036】
この場合に、細長い連結形材15として設計された連結要素5は、分割壁3の下側面23に配置されている。連結形材15の長手軸は、この場合に、車両100の進行方向の軸に合致するバッテリ装置1の長手軸に対して交差する方向に延びている。連結要素5は、互いに離間して平行に配置されている。この場合に、連結要素5間の間隔は、分割壁3の上側面13に配置された横ウェブ8間の間隔に等しい。横ウェブ8間の間隔は、バッテリモジュール102を横ウェブ8間に挿入できるように長さを決められる。連結要素5および横ウェブ8は、それらの中心線に関して、互いに対して中心に置かれるように、分割壁3のそれぞれ反対の側で一列に整列している。
【0037】
ベース板4は、分割壁3の下に配置されている。この場合に、ベース板4は、さらに連結要素5に固定されている。連結要素5は、各両側にそれぞれの取付部35、45を有する。分割壁3は、上側取付部35に取り付けられている。ベース板4は、下側取付部45に取り付けられている。連結要素5は、分割壁3をベース板4から離間して配置し、その結果として、空洞6が分割壁3とベース板4との間に形成されている。
【0038】
冷却装置7の冷却部17は、空洞6に配置されている。この場合に、冷却部17は、液体またはガス状冷却媒体が中を流れる冷却チャネル27として設計されている。冷却チャネル27の長手軸は、連結要素5に平行に延びている。発砲材16は、例えば、空洞6の残りの領域に配置することができる。他の安定化材料および/または断熱材料も使用可能である。空洞6に空気を供給することもできる。
【0039】
この場合に、冷却チャネル27は、バッテリモジュール102の下で、これに沿って配置されており、その結果として、バッテリモジュール102の熱が、冷却チャネル27の中を流れる媒体に伝達される。このために、冷却チャネル27は、熱伝導する態様で、分割壁3に連結されるのが好ましい。例えば、冷却チャネル27は、中空の金属形材から製造され、分割壁3にろう付けされる。分割壁3は、金属シートから製造されるのが好ましい。バッテリモジュール102から冷却媒体への特に良好な熱伝達、ひいては、特に良好な冷却効果がこうして得られる。
【0040】
ここに示すバッテリ装置は、本発明による方法によって製造されたものである。製造は、例えば、以下に提示するステップで実施される。この場合、提示した順序、または他の有意な順序で提供することができる。
【0041】
第1のステップで、横ウェブ8を分割壁3に固定する。このために、レーザ溶接法を使用するのが好ましい。他の溶接法、または代替案として、接着接合法を使用することもできるのが好ましい。横ウェブ8および分割壁3は、例えば、アルミニウムまたは鋼でできた金属シートから製造されるのが好ましい。横ウェブ8の厚さは、例えば、10mmとすることができる。分割壁3の厚さは、例えば、3mmとすることができる。
【0042】
次のステップで、溶接スタッド43として具現化された留め具要素33を分割壁3に取り付ける。留め具要素33は、接着接合、圧入、リベット留め、またはねじ留めすることができる。
【0043】
別のステップでは、連結要素5を分割壁3に連結する。このために、レーザ溶接法または他のアーク溶接法を使用するのが好ましい。溶接結合65の例示的な位置が
図4に示されている。接着接合法または他の何らかの適切な結合技術を使用することもできる。連結要素5は、金属シート、例えば、アルミニウムまたは鋼でできた金属シートから作製されるのが好ましい。連結要素5は、例えば、厚さ8mm、幅30mmである。連結要素5の長さは、連結要素5が、バッテリ装置1の幅にわたって、適切な態様で延びるように寸法を決められている。
【0044】
さらなるステップで、好ましくは、ろう付け法を用いて、冷却チャネル27を分割壁3に固定する。冷却チャネル27は、例えば、押出しアルミニウム材料から製造される。
【0045】
次いで、ベース板4を連結要素5に取り付ける。取り外し可能な連結を行うのが好ましい。ベース板4は、例えば、ねじ要素44、特にねじを用いて連結要素5に固定される。このために、連結要素5は、取付装置55、例えば、圧入ブッシュまたはねじ穴を有することができる。ベース板は、接着接合または溶接法、特に、プラグ溶接法を用いて、連結要素5に固定することもできる。ベース板は、アルミニウムまたは鋼シートから製造されるのが好ましい。ベース板4は、繊維強化プラスチックから、またはプラスチックおよび金属材料の両方を含むことができる多材料サンドイッチ板から構築することもできる。ベース板4の厚さは、例えば、6mmである。
【0046】
次いで、バッテリモジュール102を横ウェブ8間に挿入し、留め具要素33を用いて分割壁3に連結およびねじ留めする。
【0047】
バッテリ装置1を上部から閉鎖するために、バッテリカバー9を横ウェブ8に取り付ける。このために、ねじ要素19、特に、ねじを使用するのが好ましい。他の取り外し可能な、または永続的な連結も可能である。バッテリカバー9は、アルミニウムまたは鋼シートから製造されるのが好ましい。繊維強化プラスチックまたは多材料サンドイッチ板などの他の材料を使用することもできる。バッテリカバー9の厚さは、例えば、2mmである。
【0048】
分割壁3と、ベース板4と、それらの連結要素5への連結とにより、ここに提示したバッテリ装置1は、特に、高剛性の、かつ流体密封したベース構造体を提供し、このベース構造体は、さらに、経済的に製造することができる。バッテリモジュール102は、十分に冷却することができ、同時に、流体密封した態様で区切られる。衝突時、および作用が地面から生じた場合、ベース構造体は、確実な保護をもたらす。さらに、本体の全体的な剛性が改善される。
【符号の説明】
【0049】
1 バッテリ装置
2 収容装置
3 分割壁
4 ベース板
5 連結要素
6 空洞
7 冷却装置
8 横ウェブ
9 バッテリカバー
12 長手ビーム
13 上側面
15 連結形材
19 ねじ要素
17 冷却部
23 下側面
27 冷却チャネル
32 フレームワーク
33 留め具要素
35 取付部
42 横連結装置
43 溶接スタッド
44 ねじ要素
45 取付部
55 取付装置
65 溶接結合
100 車両
101 領域
102 バッテリモジュール
103 バッテリセル
104 パワーエレクトロニクス
105 電気トラクション装置
112 モジュールグループ
122 バッテリモジュール