【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、請求項1に規定された開梱システム、請求項10に規定された開梱システムを作動する方法、及び、請求項15に規定された原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置によって達成される。
【0007】
原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置において用いる開梱システムは、
製造チャンバー構成体を支持するように構成された支持構造を具備する。
製造チャンバー構成体は、キャリアを収容する
製造チャンバーを具備する。
製造チャンバーは、例えば、筒形状、特に、円筒形状を有することができる。キャリアは、累積的な積層プロセスにより原材料粉末から製造される三次元加工品を受けるように構成されており、例えば、実質的に板形状とすることができる。
【0008】
原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置の加工品製造作業の間、原材料粉末層は、
製造チャンバーのキャリア上に塗布されることができ、その後、原材料粉末粒子の加熱及びそれによる融解又は焼結、並びにそれによる、生成されるべき三次元加工品の第一の層の生成を引き起こすように、電磁放射線又は粒子放射線により照射されることができる。その後、キャリアは
製造チャンバーに対して相対的に下降されることができ、すなわち、キャリアは
製造チャンバー内に下降されることができる。これにより、さらなる原材料粉末層の塗布及び照射ができるようになる。これらの工程は、加工品が所望の形状及び大きさを有するまで繰り返されることができる。加工品生成プロセスの完了後、生成された三次元加工品は、
製造チャンバー内のキャリア上に支持され、典型的には残留原材料粉末の中に埋もれる。しかしながら、キャリア上に塗布されたが三次元加工品の生成に使われなかった残留原材料粉末は、加工品生成プロセス中に既に取り除かれていることもあり得る。
【0009】
基本的には、この開梱システムの
製造チャンバー構成体は、原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置において、所定の位置に分離不能に設置されることができる。しかしながら、特許文献1(DE 20 2013 009 787 U1)に記載されたように、
製造チャンバー構成体が装置の異なるセクション間で移動されることができるように、
製造チャンバー構成体が、原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置において分離可能に設置されることもあり得る。好ましい態様においては、この開梱システムは、生成された三次元加工品の開梱のために加工品生成プロセスの完了後に
製造チャンバー構成体が送られる、原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置の、後処理及び開梱部の一部を形成するように適合される。
【0010】
この開梱システムは、さらに、キャリア上に受けられた三次元加工品がキャリアから取り出されることが可能になるまで、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように、
製造チャンバーに駆動力を加えるように構成された下降機構を具備する。これにより下降機構は、キャリアに対して相対的な、
製造チャンバーの下向きに方向付けられた相対運動を生じるように構成される。好ましい態様において、この下降機構は、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に鉛直方向で下降させるように、
製造チャンバーに駆動力を加えるように構成される。この開梱システムにおいて、キャリアは
製造チャンバーに対して相対的に移動可能でなくてもよく、すなわち、
製造チャンバーに対して相対的にキャリアを持ち上げる持ち上げ機構を開梱システムが全く具備しないものでもよい。しかしながら、例えば、
製造チャンバーに対する相対的なキャリアの動きを補正することが望まれる場合に、開梱システムに、
製造チャンバーに対して相対的にキャリアを持ち上げる持ち上げ機構を、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させる下降機構に加えて備え付けることもあり得る。
【0011】
製造チャンバーに対するキャリアの相対的な持ち上げの代わりに、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させることにより、
製造チャンバーの内表面と、対向するキャリアの外側周縁表面の間の原材料粉末粒子の冷却固化を防止することができる。これにより、
製造チャンバーの内表面と対向するキャリアの外側周縁表面の間に取り込まれた冷却固化された粉末粒子による、
製造チャンバーとキャリアの間の相対運動が影響を受けたり妨害すらされたりする危険を最小化することができる。従って、キャリア上に受けられた三次元加工品の確実な開梱が可能となる。さらに、特にこの開梱システムが大きくて重い三次元加工品を開梱するために用いられるべき場合に、この下降機構は、キャリアから三次元加工品がキャリアから取り出されることが可能になるまで
製造チャンバーに対して相対的にキャリアを該キャリア上の三次元加工品を共に及び場合によっては残留原材料粉末も共に持ち上げるのに十分な駆動力を与えることができる持ち上げ機構と比べて、より非力であり、従って、よりコスト効果が高く、より保守を必要としない駆動装置を備えることができる。
【0012】
この開梱システムの好ましい態様において、累積的な積層プロセスにより原材料粉末から製造される三次元加工品を運ぶように構成されたキャリアのキャリア表面が、少なくとも
製造チャンバーの上部縁と実質的に同じ高さに配置されるまで、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように、下降機構が
製造チャンバーに駆動力を加えるように構成される。これにより、障害なく三次元加工品の開梱を行うことができる。
【0013】
この下降機構は、少なくとも1つの駆動要素と、伝達要素とを有することができる。この伝達要素は、上記の少なくとも1つの駆動要素と接続されることができ、上記の少なくとも1つの駆動要素により生成された駆動力を、
製造チャンバーに、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように伝達するように構成されることができる。この駆動要素は、流体シリンダーの形式で設計されることができる。しかしながら、例えば、電気モーター等の他の形式の駆動要素を採用することもあり得る。下降機構が1つより多い駆動要素で備えられる場合、駆動要素により生成された駆動力の
製造チャンバーへの効果的な伝達を確実にするため、上記伝達要素は、好ましくは全ての駆動要素に接続される。
【0014】
この伝達要素は、
製造チャンバーの上部縁に押圧力を加えるように構成されることができる。例えば、この伝達要素は、キャリアに対して相対的に下向きに
製造チャンバーを押すように、
製造チャンバーの上部縁に接触してその後下向きに動かされるように適合されることができる。
【0015】
この開梱システムは、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降されるときにキャリア上に受けられた三次元加工品を収容するように、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降されるときに、キャリアに対して相対的に下降されるように構成された受け箱をさらに具備することができる。開梱システムが受け箱を具備する場合、キャリア上に受けられた三次元加工品は、
製造チャンバーから受け箱に移動されることができる。これは、特に三次元加工品が、
製造チャンバーから開梱された後に、例えば、受け箱内で冷却又は機械的に仕上げされるといった後処理をされるべきである場合、及び/又は、
製造チャンバーが、三次元加工品とともに、制御できない方法で周囲に放出すべきでない残留原材料粉末を含んでいる場合に特に有利である。
【0016】
好ましい態様において、受け箱は、特に、周囲の雰囲気に対して密閉されているとともに少なくとも1つの把持手袋を備えたグローブボックスの形式で設計されている。受け箱は、受け箱内で所望の雰囲気、例えば、不活性ガス雰囲気を確立するように適合された適切な雰囲気制御システムに接続されている。受け箱をキャリアに対して相対的に下降させることにより、三次元加工品及び/又は残留原材料粉末を周囲の雰囲気に暴露する必要なく、上記の少なくとも1つの把持手袋を経由して、利用者は、受け箱内に受けられた三次元加工品及び/又は残留原材料粉末を取り扱うことができる。グローブボックスの形式で設計された受け箱は、
製造チャンバーの内部が周囲の雰囲気に対して密閉されるように、密閉状態で
製造チャンバーに接続されたカバーを含む
製造チャンバー構成体と組み合わせて用いるときに特に有利である。そして、三次元加工品は、及び、もし存在するならば残留原材料粉末も、1つの密閉環境、すなわち、
製造チャンバーの内部からもう1つの密閉環境、すなわち、グローブボックスの形式で設計された受け箱の内部に移動させられることができる。
【0017】
この受け箱は、
製造チャンバーが、下降機構によって供給される駆動力によって、キャリアに対して相対的に下降されるときに、同時に、受け箱がキャリアに対して相対的に下降させられるように、下降機構に接続されることができる。そのため、
製造チャンバーと受け箱の両方をキャリアに対して相対的に下降させるために、単一の下降機構で十分である。
【0018】
好ましい態様において、受け箱は、開口を有する底板を具備する。この開口は、好ましくは、少なくとも、キャリア上に受けられた三次元加工品を、受け箱内に収容することができるように構成される。これにより、受け箱をキャリアに対して相対的に下降させる際に、キャリア上に受けられた三次元加工品は開口を通じて受け箱に導入される。しかしながら、キャリアも開口を通じて受け箱内に導入され得るような形状と大きさを有する開口を設計することもあり得る。開口を囲む受け箱の底板の部分は、受け箱を下降させる際に、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように
製造チャンバーの上部縁に押圧力を加える下降機構の伝達要素を形成することができる。受け箱の底板の開口は、受け箱をキャリアに対して相対的に下降させる直前にだけ取り除かれ得る適切な閉鎖要素により、密閉されることができる。
【0019】
この開梱システムは、さらに、少なくとも、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させる前に、
製造チャンバーを受け箱に密閉状態で連結するように構成された連結機構を具備することができる。具体的には、この連結機構は、
製造チャンバーの上部縁と、該
製造チャンバーの上部縁に面する、受け箱の底板の下表面の間の密閉連結を確立するように適合されることができる。受け箱の底板に設けられた開口が閉鎖要素により密閉される場合、
製造チャンバーと受け箱の間の密閉連結の確立の後、その密閉要素は、受け箱の内部が周囲の雰囲気に暴露されることなく、自動的に又は手動のいずれかにより分離されることができる。さらに、
製造チャンバー構成体が
製造チャンバーに接続されたカバーを備えている場合、
製造チャンバーと受け箱の間の密閉連結の確立の後、三次元加工品のための、及び、もし存在するならばさらに残留原材料粉末のための、
製造チャンバーから受け箱までの密閉された移動通路を確立するように、そのカバーは、例えば、受け箱の底板に設けられた開口を経由して、自動的に又は手動のいずれかにより、
製造チャンバーから分離され、取り除かれる。
【0020】
最後に、この開梱システムは、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降される間及び/又は下降された後に、
製造チャンバーから、
製造チャンバー内に含まれている残存原材料粉末を回収するように構成された吸引システムを具備することができる。この吸引システムは、例えば上記の少なくとも1つの把持手袋を通じて、利用者により、要求通りに位置取りして取り扱われることができるように、受け箱内に密閉状態で誘導された可撓性の吸引管を具備することができる。この吸引管は、加工品製造プロセスに再導入するための残留原材料粉末を準備するために、残留原材料粉末を受けて処理するための粉末再循環システムに連結することができる。
【0021】
原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置において用いる開梱システムを作動する方法は、
製造チャンバー構成体を、支持構造上に配置する工程を有する。この
製造チャンバー構成体は、キャリアを収容する
製造チャンバーを具備しており、該キャリアは、累積的な積層プロセスにより原材料粉末から製造される三次元加工品を受けるように構成されている。
製造チャンバーは、
製造チャンバーに駆動力を加える下降機構により、キャリア上に受けられた三次元加工品がキャリアから取り出されることが可能になるまで、キャリアに対して相対的に下降させられる。
【0022】
好ましくは、累積的な積層プロセスにより原材料粉末から製造される三次元加工品を運ぶように構成されたキャリアのキャリア表面が、少なくとも
製造チャンバーの上部縁と実質的に同じ高さに配置されるまで、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように、下降機構が
製造チャンバーに駆動力を加えることが好ましい。
【0023】
この下降機構は、少なくとも1つの駆動要素と、伝達要素とを有することができる。この伝達要素は、上記の少なくとも1つの駆動要素と接続されており、該少なくとも1つの駆動要素により生成された駆動力を、
製造チャンバーに、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させるように伝達することができる。この伝達要素は、特に、
製造チャンバーの上部縁に押圧力を加えることができる。
【0024】
開梱システムを作動するこの方法は、さらに、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降されるときにキャリア上に受けられた三次元加工品を収容するように、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降されるときに、受け箱をキャリアに対して相対的に下降させる工程を有することができる。この受け箱は、周囲の雰囲気に対して密閉されているとともに少なくとも1つの把持手袋を備えたグローブボックスの形式で設計されることができる。その代わりに又はそれに加えて、
製造チャンバーが下降機構によって供給される駆動力によってキャリアに対して相対的に下降されるときに、同時に、受け箱がキャリアに対して相対的に下降させられるように受け箱は下降機構に接続されていてもよい。この受け箱は、開口を有する底板を具備することができる。この開口は、少なくとも、キャリア上に受けられた三次元加工品を、受け箱内に収容することができるように構成されることができる。
【0025】
好ましい態様において、開梱システムを作動するこの方法は、さらに、
製造チャンバーをキャリアに対して相対的に下降させる前に
製造チャンバーを受け箱に密閉状態で連結する工程を有する。
【0026】
さらに、この方法は、
製造チャンバーがキャリアに対して相対的に下降される間及び/又は下降された後に、
製造チャンバーから、
製造チャンバー内に含まれている残存原材料粉末を回収する工程を有してもよい。
【0027】
原材料粉末の層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより三次元加工品を製造するための装置は、上記の開梱システムを具備する。