【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の一態様では、発光材料、特に微粒子発光材料、および/または波長変換器、および/または照明装置が提供され、これらは、前述の1または2以上の問題の少なくとも一部を解消することが好ましい。また、本発明の態様では、そのような発光材料、特にそのような微粒子発光材料を製造する方法が提供される。
【0009】
ここでは、特に、例えば、硬化性のQD−高分子樹脂混合物で充填された、マクロ多孔質シリカまたはアルミナ粒子が提案される。マクロ多孔質シリカまたはアルミナ粒子(または他の多孔質材料)のポアの充填の後、例えば、QD/高分子/マクロ多孔質シリカ複合粒子が、シリカ、アルミナまたは他のシール材(あるいは2または3以上のこれらの組み合わせ(マルチレイヤ))で封止される。熱膨張係数の差異の問題は、大きく解消される。これとは別にまたはこれに加えて、共存の困難性および問題を有するQD/ホスト材料のマイクロビードを最初に形成する必要がなくなるという、利点が得られる。代わりに、予め加工された利用可能な多孔質粒子を利用することができる。また、無機ミクロ粒子に対する無機コーティングの密着性は、有機マイクロビードと無機シール材との組み合わせに比べて、実質的に改善される。無機コーティングと有機粒子の間の熱膨張係数(CTE)のミスマッチは大きいが、本発明では、熱のミスマッチが小さくなる(あるいは実質的にゼロ)。また、高分子とシリカ、および複合粒子が分散される(シリコーン)樹脂のような最終マトリクスの屈折率整合のため、最終複合粒子は、実質的に非散乱である。また、シールは、常時完全ではないことが知られており、シールのピンホールに対してある程度許容性があることが有意である。なぜなら、原理上、シリカ粒子のポアのみがシールされる必要があるからである。従って、得られるシール化複合粒子は、大気中で処理することができ、例えば、LEDの最終用途のため、光学グレードのシリコーンと混合することができる。
【0010】
あるいは、充填され硬化されたマクロ多孔質粒子は、例えば、これらを、シリコーンまたは他のLED用に好適なホスト材料中で直接混合して、使用される(すなわち二次封止なし)。QDの安定性および混和性は、第1のホストの正確な形成に大きく依存することが認められている。しかしながら、例えば、処理条件、コスト、または安定性のため、この第1の専用ホストは、LED用途にとって好ましいホスト材料ではない場合がある。従って、好適なQDホスト材料(例えばアクリレート)で充填されたマクロ多孔質シリカ粒子(PSP)は、好適なLEDホスト材料(例えばシリコーン)と混合することができる。例えばシリコーン内でのシリカ粒子の混合は、ある分野では、既に知られ使用されている。
【0011】
最後に、充填され硬化されたマクロ多孔質粒子は、密封二次ホスト材料中、例えば半密封エポキシ、または密封(低融点)ガラスなどで、これらを直接混合して(すなわち二次封止せずに)、使用することができる。一方、前述のような、そのようなホスト材料へのQDの直接混合は、沈殿凝集、非混和性、および低安定性の観点から、難しいことが認められている。
【0012】
従って、第1の態様では、本発明により、(微粒子)発光材料を製造する方法が提供され、前記発光材料は、ポア、特にマクロポアを有する多孔質無機材料コアを有する粒子、特に実質的に球状の粒子を有し、前記ポアは、埋設された発光ナノ粒子、特に発光量子ドットを有する高分子材料で、少なくとも一部が充填され、当該方法は、(i)前記発光粒子、特に前記発光量子ドット、および前記高分子材料の硬化性のまたは重合可能な前駆体を有する第1の液体(「インク」)で、ポアを有する微粒子多孔質無機材料の前記粒子を含浸させ、前記発光ナノ粒子、特に発光量子ドット、および硬化性のまたは重合可能な前駆体で、少なくとも一部が充填されたポアを提供するステップと、(ii)前記硬化性のまたは重合可能な前駆体を、前記多孔質材料のポア内で硬化または重合させるステップと、を有する。特定の実施例では、当該方法は、さらに、(iii)得られた前記粒子(発光ナノ粒子、特に量子ドットが埋設された高分子材料で、少なくとも一部が充填されたポアを有する)に、覆い(例えばコーティング、またはマトリクス内の埋設、またはその両方)を設置するステップを有する。この方法では、粒子は、少なくとも一部がコーティングされ、あるいは特に全体がコーティングされてもよい(すなわち、特に共形のコーティング)。
【0013】
また、別の態様では、本発明により、本発明の方法で得られた(微粒子)発光材料、またはそのような(微粒子)発光材料を有する固体マトリクスが提供される。従って、本発明では、さらに、ポアを有する多孔質無機材料コアを粒子を有する(微粒子)発光材料が提供され、前記ポアは、少なくとも一部が発光ナノ粒子、特に量子ドットが埋設された高分子材料で充填される。また、本発明では、(前述の、および/または前述の方法により得られる)(微粒子)発光材料が埋設された光透過性固体マトリクスを有する波長変換器が提供される。
【0014】
(発光ナノ粒子)の特定の実施例として、量子ドットを参照して、本発明についてさらに記載する。
【0015】
さらに別の態様では、本発明により、照明装置が提供され、この照明装置は、(i)光源光を生成するように構成された光源と、(ii)前述の(微粒子)発光材料、または前述の方法により得られる発光材料と、を有し、前記(微粒子)発光材料は、前記光源光の少なくとも一部を、可視発光量子ドット光に変換するように構成される。前述のように、(微粒子)発光材料は、光透過性固体マトリクスに埋設されてもよい。
【0016】
前述の本発明では、適正に処理可能なQD系発光材料が、例えば、微粒子発光材料として提供されるという利点が得られる。本発明では、QDは、適正に環境から遮蔽されてもよく、これにより、QDの寿命に寄与できる。
【0017】
また、実施例において、(マクロ多孔質)粒子は、少なくとも一部、特に実質的に全体が、覆いにより囲まれてもよい。覆いは、(マルチ)レイヤ(コーティング)であっても良く、以下に示すように、固体マトリクスを有してもよい。そのような封止により、寿命はさらに改善される。特に、覆いは、無機材料を有し、特に、そのような無機材料は、コアの無機材料の熱膨張係数(CTE)と等しい値のCTEを有し、またはコアの無機材料のCTE値の1/5〜5の範囲内、特に1/3〜3倍、例えば2/3〜3/2倍の範囲内の差異に収まるCTEを有することが、寿命の観点から有意である。無機コア材料と(無機)コーティング材料の間のCTEの差異が小さくなると、ミスマッチが抑制され、(微粒子)発光材料の寿命が長くなる。また、より球状の粒子では、破損の機会が低減される。マクロ多孔質粒子における残留ボイド(QD含有高分子材料で充填されない小体積部)は、これらが、高分子材料に、マトリクス材料または覆いに対する外部力がなくても膨脹できる体積を提供することにより、封止コーティング内のクラックの発生抑制を支援する。
【0018】
無機ホストまたはコア材料は、コーティングまたはマトリクスの形態のような、無機材料で必ずしも封止されないが、無機ホストは、有機材料(有機コーティングまたはマトリクス)で封止されてもよい。従って、通常、利用される場合、多孔質無機材料コアを封止する材料の第1の層は、多孔質無機材料コアのCTEとは、1/5〜5倍、特に1/3〜3倍、例えば2/3〜3/2倍の範囲内で異なるCTEを有する。例えば、コアは、アルミナであり、覆いは、低いCTEを有するアルミナ、エポキシ、またはアクリレートであってもよい。従って、いくつかの実施例では、当該方法は、さらに、硬化または重合化後に得られた粒子に、覆いを設置するステップを有する。また同様に、本発明では、微粒子発光材料が提供され、粒子は、粒子の少なくとも一部を封止する覆いを有する(すなわち、コアは少なくとも一部が封止される)。特に、覆いは、無機コーティングを有し、特に、覆いは、コアと物理的に直接接する少なくとも一つの層を有する、コーティングを有する。この層は、実質的に、無機材料で構成され、特に、コアと同じ無機材料で構成される。従って、(微粒子)無機ホストは、特に、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア(ZrO
2)、または多孔質チタニアを有する。コーティングは、それぞれ、(少なくとも)シリカコーティング、アルミナコーティング、ガラスコーティング(ガラスと同じ種類)、ジルコニアコーティング、またはチタニアコーティングを有する。
【0019】
粒子がコーティングされない場合、実際の粒子そのものは、多孔質コアである。従って、「コア」または「多孔質コア」と言う用語は、特に、(未だ)コーティングもしくは封止されていない多孔質粒子、または(未だ)コーティングも封止もされていない多孔質粒子を表す。コーティングは、特に、粒子の全外表面積(A)の少なくとも50%、少なくとも80%、特に少なくとも95%、例えば100%を取り囲む。従って、粒子は、シェルにより完全に取り囲まれてもよい。シェルという用語は、必ずしも球状のシェルを表す必要はなく、シェルは、非球状であってもよい(以下も参照)。
【0020】
従って、覆いは、単一層コーティングまたはマルチレイヤコーティングのような、コーティングに関する。そのようなコーティングは、粒子の少なくとも一部を被覆し、特に粒子全体を被覆する(すなわちコアを取り囲むシェル)。この方法では、量子ドットは、高分子ホスト材料による第1の保護、およびコアの周囲全体にシェルを形成する覆いによる第2の保護により、環境から実質的に遮蔽される。コアは、球状であってもよいが、必ずしも球状である必要はない。従って、シェルも、必ずしも球状である必要はない。例えば、ホスト材料中のQDで充填されたマクロ多孔質粒子は、エッグ状の形態であってもよく、従って、シェルは、エッグシェルの形状を有してもよい。
【0021】
特に、コーティングは、無機材料を有する。ある実施例では、コーティングは、無機材料で構成される。特定の実施例では、本方法は、通常、金属酸化物コーティングである無機コーティングで、粒子(の少なくとも一部)をコーティングすることにより、覆いを提供するステップを有し、このコーティングは、例えば、シリコン含有酸化物、アルミニウム含有酸化物、ジルコニウム含有酸化物、ガラス、チタン含有酸化物、ハフニウム含有酸化物、およびイットリウム含有酸化物からなる群から選定される。
【0022】
ここで、「シリコン含有酸化物」と言う用語は、SiO
44-基含有酸化物、SiO
32-基含有酸化物、Si
4O
104-含有酸化物など、ケイ酸塩のようなシリコン含有酸化物の種類に関し、特にSiO
2(シリカ)に関する。例えば、Mg
2SiO
4、Mg
3(OH)
2Si
4O
10,、さらにはSiO
2である。
「アルミニウム含有酸化物」と言う用語は、MgAl
2O
4、BaMgAl
10O
17、Y
3Al
5O
12、および特にAl
2O
3など、アルミニウム含有酸化物の種類に関する。「チタン含有酸化物」と言う用語は、Ba
2TiO
4、CaTiO
3、Li
2TiO
3、および特にTiO
2などのチタン酸塩のような、チタン含有酸化物の種類に関する。別の実施例では、無機コーティングは、インジウム金属酸化物コーティングからなる群から選定され、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)コーティングからなる群から選定され、インジウム亜鉛酸化物コーティングが設置されてもよい。さらに別の実施例では、コーティングは、ジルコニア(ZrO
2)コーティングおよびスズ酸化物(SnO
2)(SNO)コーティングからなる群から選定された無機コーティングを有する。特に、(覆いの実施例としての)コーティングは、シリカ、アルミナ、ITO、およびSNOの群の1または2以上から選定される。そのような材料の組み合わせ、または前述のような、異なる組成の層を有するマルチレイヤコーティングが設置されてもよい。ガラスの例は、例えば、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、ボロシリケートガラス等である。
【0023】
これに加えてまたはこれとは別に、パリレンコーティング((気相成膜された)ポリ(p−キシレン)高分子コーティング)またはポリビニルアルコール(PVA)コーティングなどのような、有機コーティングが設置されてもよい。
【0024】
コーティングは、単一層のコーティングまたはマルチレイヤコーティングを有してもよい。マルチレイヤコーティングは、相互に積層された、複数の異なる層を有してもよい。ある実施例では、1または2以上のそのような層は、無機材料層である。これとは別にまたはこれに加えて、1または2以上のそのような層は、有機材料層である。特定の実施例では、第1の層は、有機(材料)層を有し、これは粒子に比較的容易に設置され、コアからより離れた第2の層は、無機(材料)層を有する。特に、無機材料層が設置される。これらは、良好な密閉覆いを提供し、これらは、良好なCTE整合を提供するからである。特に、コーティングは、例えば、流動床反応器を用いた、気相プロセスで設置されてもよい。特定の実施例では、本方法は、気相プロセスで、特に、流動床反応器内で、原子層成膜(ALD)法により、粒子の(少なくとも一部)を(マルチレイヤ)コーティングすることにより、覆いを提供するステップを有する。従来から知られているように、原子層成膜法は、薄い膜を成膜する技術であり、これは、特に気相化学プロセスの逐次使用に基づく。ALD反応の大部分では、通常前駆体と呼ばれる2つの化学物質が使用される。これらの前駆体は、ある時間において、逐次的、自己律速的に表面で反応する。特に、前駆体を繰り返し、成長表面に晒すことにより、薄膜が成膜される。プラズマ加速ALDまたは熱アシストALDなど、従来のいくつかのALD法が知られている。適当なプロセスの例は、国際公開WO2010100235A1号に記載されており、この文献は、本願の参照として取り入れられる。しかしながら、ALD以外の他のコーティング法も適用できる。粉末ALDは、従来から知られている。
【0025】
シリカコーティングのような、金属酸化物コーティングの湿式化学成長は、例えば、ゾルゲル化学法または別の析出法により行われてもよい。金属酸化物粒子の無機表面は、ゾルゲル化学法による金属酸化物シェルのさらなる成長用の、適当な開始点である。例えば、多孔質シリカ粒子の周囲のシリカコーティングは、水媒体(酸性または塩基性環境のいずれでも可能)にTEOS(テトラエチル オルトシリケート)のようなシリカ前駆体を追加することにより行われ、これは、ストーバ(Stober)プロセスとも称される。無機封止層の化学成長は、非水溶媒中で行われることが好ましい。別の例では、QDが水分に暴露されることが抑制されるため、最初に、粒子に有機コーティング層(第1のコーティング)を提供し、次に、湿式化学成長金属酸化物コーティングを設置することが望ましい。
【0026】
しかしながら、例えば、WO2010/100235号に記載のような、粒子コーティング用の他のコーティングプロセスが適用されてもよい。特に、化学気相成膜および/または原子層成膜法を適用して、(マルチレイヤ)コーティングを提供してもよい。
【0027】
従って、特定の実施例では、本発明により、硬化または重合後に得られる粒子に、覆いを設置することが提供される。当該方法は、特に気相プロセスにおいて、特に流動床反応器を用いて、粒子をマルチレイヤコーティングすることにより、覆いを提供するステップを有し、得られたマルチレイヤコーティングは、コアに接する第1のコーティング層を有し、特定の実施例では、第1のコーティング層は、有機高分子コーティングを有し、マルチコーティングは、第1のコーティング層に比べてコアからより離れた、第2のコーティング層を有し、第2のコーティング層は、無機コーティングを有する。従って、本発明では、ポアを有する多孔質無機材料コアを有する粒子を有する微粒子発光材料が提供され、ポアは、少なくとも一部が、発光ドットが埋設された高分子材料で充填され、コアは、コーティング、特にマルチレイヤコーティングにより封止される。
【0028】
従って、別の実施例では、得られたマルチレイヤコーティングは、コアに接する第1のコーティング層を有し、第1のコーティング層は、特定の実施例において、無機コーティングを有し、マルチコーティングは、第1のコーティング層に比べてコアからより離れた第2のコーティング層を有し、第2のコーティング層は、有機高分子コーティングを有する。この利点は、化学的整合性のため、粒子(コア)に対する無機コーティングの設置が比較的容易なことである。これは、無機材料コアが、コーティングと同じ格子定数を有し、および/または実質的に同じ元素で構成される場合、特に言えることである。従って、無機材料コーティングが設置されると、無機材料コアは、無機コーティング材料の成長の基礎として使用される。前述のように、特に、第1のコーティング層は、コアの表面積の少なくとも50%にわたりコアと接し、特に、粒子(またはコア)の全外表面積(A)の少なくとも95%、例えば100%と接する。
【0029】
従って、ある実施例では、得られたマルチレイヤコーティングは、有機高分子コーティングと無機コーティングを有する。従って、マルチレイヤコーティングは、1または2以上の無機コーティング(すなわちコーティング層)と、1または2以上の有機コーティング(すなわちコーティング層)とを有し、これらは、必要な場合、交互に設置され、有機層と無機層が交互に配置されたスタックが形成されてもよい。
【0030】
(マルチレイヤ)コーティングは、特に、10nmから10μmの範囲、例えば50nmから2μmの厚さを有してもよい。通常、コーティング厚さは、粒子直径よりも小さい。
【0031】
コーティングプロセスにより、コアおよびシェルを有する粒子が得られる。シェルは、少なくとも10nmの厚さ、例えば少なくとも50nmの厚さを有してもよい(前述の記載参照)。シェルは、特に、無機層を有してもよい。コアは、発光ナノ粒子を有する。しかしながら、シェルは、実質的にそのような粒子を有さなくてもよい。すなわち、多孔質無機粒子には、ポア内に発光ナノ粒子が提供され、多孔質粒子は、そのような発光ナノ粒子を有しないシェルにより(実質的に)取り囲まれてもよい。特に、シェルの厚さは、少なくとも10nmである。しかしながら、そのような粒子は、マトリクスに埋設されてもよい。以下も参照。
【0032】
これとは別にまたはこれに加えて、本発明では、マトリクス(覆いの別の実施形態)に埋設された(微粒子)発光材料が提供される。そのようなマトリクスは、特に、自立層のような層または本体である。マトリクス内では、複数の粒子(無機(多孔質)コアおよびポア内の発光ナノ粒子)が利用できる。例えば、これらの粒子は、そこに分散されてもよい。そのようなマトリクスは、導波管であり、または導波管特性を有してもよい(以下も参照)。すなわち、別の態様では、本発明により、ある方法が提供され、この方法は、(さらに)光透過性(固体)マトリクスに粒子を埋設することにより、覆いを提供するステップを有する。また、本発明では、微粒子発光材料を有する透過性(固体)マトリクスを有する波長変換器が提供される。マトリクスは、透過性有機材料サポートからなる群から選定された、1または2以上の材料を有してもよく、これは、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(PlexiglasまたはPerspex)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、シリコーン(例えば特に、ポリメチルフェニルシリコーン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、(PETG)(グリコール改質ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、およびCOC(シクロオレフィンコポリマ)からなる群から選定される。ただし、別の実施例では、マトリクス(材料)は、無機材料を有してもよい。好適な無機材料は、(低融点)ガラス、(溶融)石英(石英ガラス)、および透明セラミック材料からなる群から選定される。また、無機部分と有機部分の両方を含むハイブリッド材料も適用できる。マトリクス(材料)用の材料として、特に好適なものは、シリコーン、PMMA、エポキシ、PET、透明PC、またはガラスである。透明有機材料サポートからなる群から選定された、前述の1または2以上の材料は、ポア内に発光量子ドットを有する高分子材料として適用することも可能であることに留意する必要がある。すなわち、そのような材料の前駆体を、(無機コアのポアに量子ドットが埋設された高分子材料用の)硬化性または重合可能な前駆体として適用してもよい。
【0033】
マトリクスが高分子マトリクスを有する場合、高分子マトリクスは、特に、量子ドットが埋設されたポア内の高分子材料と実質的に等しくてもよい。
【0034】
ただし、別の実施例では、高分子マトリクスは、硬化性のまたは重合可能な前駆体とともに、微粒子発光材料の存在下で生成され、この前駆体は、多孔質材料のポア内で硬化または重合に使用される硬化性のまたは重合可能な前駆体とは実質的に異なってもよい(以下も参照)。すなわち、本発明では、高分子マトリクスの材料の選定に大きな自由度が得られる。
【0035】
特に、(微粒子)発光材料は、封止または覆いによって取り囲まれる。本願に使用される「覆い」は、特に、例えば、案素(O
2)(例えば空気の形態)および/または水分のような、特定の元素または化合物に対する保護を表す。ある実施例では、覆いは、完全である(フル封止とも称される)。特に、ある実施例では、微粒子発光材料は、実質的に酸素不透過性の材料で、少なくとも一部が覆われる。ある実施例では、微粒子発光材料は、実質的に水分(例えば水)不透過性の材料で、少なくとも一部が覆われる。ある実施例では、微粒子発光材料は、実質的に空気不透過性の材料で、少なくとも一部が被覆される。ある実施例では、微粒子発光材料は、実質的に酸素および水分不透過性の材料で、少なくとも一部が覆われる。別の実施例では、微粒子発光材料は、酸素および水分の1または2以上に対して実質的に不透過性の材料で、完全に覆われる。前述のように、特に、少なくとも無機コーティングを有する覆いは、そのような保護に対して有益である。
【0036】
当業者には、例えば、マトリクスに埋設された、コーティング(例えばマルチレイヤコーティング)で被覆された粒子を有する微粒子発光材料のような、2または3以上の覆いの組み合わせが可能であることは明らかである。すなわち、本方法は、(i)光透過性固体マトリクスに粒子を埋設することにより、(微粒子発光材料に)覆いを提供するステップ、ならびに(ii)粒子へのコーティング、およびその後の光透過性固体マトリクスへの粒子の埋設により、(少なくとも一部に)覆いを提供するステップの、1または2以上を有してもよい。
【0037】
覆いの少なくとも一部は、光に対して、特に可視光に対して透明であり、このため、励起光は、波長変換ナノ粒子に到達し、被覆された波長変換器から、(少なくとも可視領域の)光を放射することができる。特に、マトリクス材料のような覆いは、380から750nmの範囲から選択される波長を有する光に対して透過性である。例えば、マトリクス材料は、青色、および/または緑色、および/または赤色の光に対して透過性であってもよい。特に、マトリクス材料のような覆いは、少なくとも420から680nmの全範囲において、透過性である。特に、マトリクス材料のような覆いは、照明ユニット(以下参照)の光源により生じた、可視波長範囲から選定された波長を有する光に対して、50〜100%の範囲で光透過性であり、特に、70〜100%の範囲で光透過性である。この方法では、マトリクス材料のような覆いは、照明ユニットからの可視光に対して透過性である。透過性または光浸透性は、第1の強度を有する特定の波長で材料に光を提供し、材料を介した透過の後に測定された波長における光の強度を、前記特定の波長で材料に提供された光の第1の強度と関連付けることにより、定められる(Chemistry and Physics、69版、1088-1989のCRCハンドブックのE-208およびE-406参照)。
【0038】
波長変換器は、透明または半透明であってもよいが、特に透明であってもよい。波長変換器が透過性の場合、光源の光は、波長変換器によって完全には吸収されない。特に、青色光を使用した場合、これは関心が高い。青色光は、発光材料の励起に使用され、(白色光内の)青色成分を提供するために使用されるためである。
【0039】
従って、本発明では、波長変換器が提供され、これは、前述の(微粒子)発光材料、または前述の方法により得られた発光材料が埋設された、光透過性固体マトリクスを有する。
【0040】
「微粒子」発光材料という用語は、粒子を有する発光材料を表す。本発明において、粒子は、無機ホストを有し、これは、通常、発光するようには設計されていない。ただし、この態様は排斥されない。ホストは、ポアを有し、これらのポアは、少なくとも一部が高分子材料で充填される。高分子材料は、埋設されたナノ粒子、特にQDを含む。すなわち、ポアは、QDを有し、これらは、ポアの表面の他、主として、ポア内の高分子全体に分散される。本願では、微粒子発光材料は、「複合粒子」とも称される。
【0041】
前述のように、無機ホスト粒子は、量子ドットによる含浸後、ならびに硬化および/または重合化後に、使用されてもよい。そのような例では、粒子は、コーティングを有しない。しかしながら、粒子が完全にそのようなコアで構成される、これらの実施例においても、「コア」と言う用語を使用する。必要な場合、粒子は、封止される。これは、コーティングであってもよく、すなわち原理上、各粒子は、コアの周囲にコーティングを含んでもよい。コア−コーティング粒子。ただし、粒子は、膜または本体のようなマトリクスに埋設されても良く、そのようなマトリクスは、複数の(必要な場合コーティングされた)コアを被覆する。これらの実施例および変形例の各々では、コアのポアは、量子ドットを取り囲む。
【0042】
特に(微粒子)無機ホストは、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア(ZrO
2)、および多孔質チタニアを有する。さらに別の例では、(微粒子)無機ホストは、特に、シリコンカーバイド(SiC)、ハイドロタルサイト、ステアタイト(石けん石)、コーディエライト(マグネシウム鉄アルミニウムシクロシリケート)、およびニオビア(五酸化二ニオブ)を有する。さらに別の例では、(微粒子)無機ホストは、多孔質ガラスを有する。ガラスの一例は、例えばホウ酸ガラス、リン酸ガラス、ボロシリケートガラス等である。多孔質ガラスの一例は、例えば多孔質ガラス7930のような、Vycor(登録商標)ガラスであるが、他の多孔質ガラスも適用できる。
【0043】
ある実施例では、微粒子多孔質無機材料の粒子、すなわち無機ホストには、異なる種類の粒子の組み合わせが含まれることに留意する必要がある。これは、二モード、または多モード粒子サイズ分布のような、1または2以上の異なる種類の粒子サイズ、および多孔質シリカと多孔質アルミナの組み合わせのような、化学的に異なる種類の粒子を含んでもよい。
【0044】
ポアサイズは、実質的に、0.05〜50μmの範囲であり、例えば0.1〜10μmの範囲である。ポアサイズは、特に、ポア軸に対して垂直なポアの寸法として定められる。例えば、ポアサイズは、幅または高さまたは直径であってもよい。ポアサイズは、特に、当業者には良く知られた、水銀圧入ポロシメトリ(特に大きいポアの場合)、および気体吸着/脱着法(小さなポアの場合)により、定められてもよい。ポアは、チャネル、インクポット、スリットのような各種形状を有し得る。ポアは、相互接続されてもよい。平均ポアサイズは、特に、0.05〜50μmの範囲であり、例えば0.1〜10μmの範囲である。
【0045】
また、粒子サイズは、通常、0.5〜800μmの範囲であり、例えば、1〜500μm、特に、2〜20μm、例えば、2〜10μmである。ここで、粒子サイズは、特に、平均粒子サイズを表し、例えばSEM解析と粒子サイズの光学的な評価により、またはマルバーン粒子サイズ分析器、または他のレーザ系粒子サイズ分析器を用いて、得ることができる。また粒子サイズは、SEMのような、顕微鏡測定から得られる。特に、平均粒子サイズは、通常、0.5〜800μmの範囲であり、例えば、1〜500μm、特に2〜20μm、例えば2〜10μmである。従って、本願において、粒子はミクロ粒子とも称される。
【0046】
(通常)ポアサイズが粒子サイズよりも小さいことは、当業者には明らかである。また通常、平均ポアサイズは、平均粒子サイズよりも小さい。本発明では、まず、良好な照明特性を有する量子ドット系ミクロ微粒子材料を提供することができる。従って、本発光材料は、LED色素上の発光層における処理、またはLEDドームのマトリクス中の分散、または発光コーティング用のコーティング材料への添加(例えば蛍光ランプ)のような、従来のプロセスに使用され得る。
【0047】
特に、多孔質無機粒子は、丸い粒子であり、特に実質的に球状の粒子のような、十分に丸みを帯びた粒子である。これは、粒子の処理の観点から、例えばT8管(照明の当業者には知られている)のような、照明装置の透過性窓に、粒子を含むペーストをコーティングする際などに有意である。また、多孔質無機粒子の丸い形状では、(利用可能な場合)完全で均一なコーティングの形成が容易となり、粒子/コーティング界面での、クラック形成の機会が低減される。特に、平均真円度は、0.92よりも大きく、特に0.95を超え、例えば少なくとも0.98である。ここで、真円度は、4πA/P2で定められ、ここでAは、(ポアが封止されていると仮定したときの)粒子の表面積であり、Pは、周の長さである。真円度は粒子と同じ面積を有する、円周の長さの比である。従って、適正に定められた多孔質粒子、例えば多孔質シリカ粒子に基づいて、極めて処理の容易な発光粒子が形成される。
【0048】
特定の実施例では、多孔質無機材料は、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア、多孔質チタニアの1または2以上のような、1または2以上の前述の材料を有し、ポアは、0.1〜10μmの範囲の平均ポアサイズ(dp)を有し、前駆体は、硬化性のアクリレートを有する。特に、アクリレートまたはシリコーンは、QDを埋設するのに好適である。
【0049】
多孔質無機材料またはコアは、充填前および必要なコーティングの設置前に、充填開口を有する外層を有してもよい。粒子は、例えば、コア材料と同じ材料の、より緻密な外層を有し、および/または外層は、コーティングを有してもよい。そのようなコーティングは、コアの一部を塞いでもよい。そのようなコーティングがポアの一部を塞ぐ実施例では、コーティングは、充填孔を有する。外層またはコーティングにおける充填孔の全領域は、コアの全外表面積(A)の5〜95%を占め、例えば全外表面積の20〜80%である。そのような外層を有する多孔質無機粒子は、Vitrabio-Biosearch/VitraBio GmbHから、Triosperl粒子として市販されている。
【0050】
従って、特に、本発明では、前述の発光材料が提供され、粒子は、コアの少なくとも一部を封止する覆いを有し、多孔質無機材料は、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア、および多孔質チタニアの1または2以上を有し、ポアは、0.1〜10μmの範囲の平均ポアサイズ(dp)を有し、高分子材料は、特に、アクリレート、シリコーン、またはエポキシタイプの高分子(またはシリコーンタイプの高分子)の1または2以上を有し、覆いは、特に無機コーティングを有する。前述のように、無機コアと組み合わされる無機コーティングは、CTEの整合性の点で有意であるが、CTEの観点から適当な有機コーティングも認められる。また、そのような無機コーティングは、コアに、比較的容易に設置することができる。また、前述のように、無機コーティングは、水分および/または気体に対して比較的不透過性であってもよい。また、必要な場合、特に、CTE差が1/5〜5倍の範囲よりも小さいとき(すなわち、コーティング材料のCTEで除した無機コア材料のCTEが1/5〜5の範囲のとき)、無機コアと有機コーティングの組み合わせを適用してもよい。
【0051】
これらのポアは、少なくとも一部が第1の液体で充填される(硬化性インク)。特に、ポアは、第1の液体で実質的に充填されてもよい。初期濡れ性技術に対応した含浸が行われてもよい。あるいは(またはこれに加えて)、含浸後に、含浸粒子および残りの第1の液体は、相互に分離される。しかしながら、初期濡れ性技術のような初期濡れ性の場合、残りの第1の液体は、実質的にゼロであり、第1の液体の体積は、ポア体積と実質的に等しくなるように選定される。従って、ある実施例では、含浸は、初期濡れ性技術に対応して適用され、または含浸後に、含浸粒子および残りの第1の液体が相互に分離される。
【0052】
別の実施例では、含浸前に、粒子は、サブ大気圧力に晒される。これにより、QDを有する前駆体(液体)のポアへの浸透が容易となる。サブ大気圧力により、気体が除去され、充填がより確実に完遂する。これとは別にまたはこれに加えて、多孔質無材料子のポアは、疎水性化される。例えば、ポアは、シランでコーティングされる。内部ポア表面を疎水性化する方法は、例えば、疎水性シランモノレイヤの適用により行われる。これらのモノレイヤは、反応性無機ヘッド基で構成され、これは、(ケイ酸質)表面および自己組織化する有機テールに共有結合し、緻密な炭化水素鎖のネットワークを形成する。これらのコーティングは、1モノレイヤの厚さしかないため、これらの寸法は、数nmの厚さを超えない。例えば10nm未満である。これとは別にまたはこれに加えて、テフロン(登録商標)コーティングを適用してもよい。これとは別にまたはこれに加えて、加圧下、例えば1.2barまたはより高い圧力で、QDを有する前駆体(液体)と粒子を接触させた状態で、および/またはその後に、粒子を晒すことにより、含浸は(さらに)容易化される。
【0053】
前述のように、QDを維持する高分子材料は、硬化性のまたは重合可能な前駆体を、多孔質材料のポア内で硬化または重合することにより得られる。従って、硬化性前駆体を導入し、硬化が開始される。あるいは(これに加えて)、重合可能な前駆体を導入し、重合が開始されてもよい。
【0054】
従って、液体は、発光量子ドットと、硬化性のまたは重合可能な前駆体とを有する。従って、液体は、(通常)溶媒ではないが、ある実施例では、発光量子ドットと、硬化性のまたは重合可能な前駆体と、任意の他の材料とで、実質的に構成されてもよい。任意の他の材料は、実質的に、散乱材料または無機微粒子発光材料などの微粒子無機材料のような、微粒子材料および無機材料からなる群から選定される。ある実施例では、任意の他の材料は、色素を有してもよい(以下参照)。ある分野では、重合は、硬化とも解される。ここで、硬化は、特に、架橋と称される。
【0055】
例えば、重合可能な前駆体は、重合可能なモノマーを有してもよい。そのような例では、ポア内にQDを維持する高分子材料は、ラジカル重合可能なモノマ系である。「高分子(ホスト)材料は、ラジカル重合可能なモノマ系である」という用語は、特に、高分子ホスト材料が、ラジカル重合により高分子を形成できるモノマの反応により、得られることを表す。そのような高分子の非限定的な例を以下に示すが、当業者は、そこから、使用するモノマ(すなわちモノマ前駆体)を得ることができる(以降参照)。そのようなモノマは、従って、特に、1または2以上のラジカル重合可能な基(照射の際に光開始剤を用いた重合に使用され得る)を有する。ある実施例では、そのようなモノマは、異なるタイプのモノマを有する。特に、ラジカル重合可能なモノマは、ビニルモノマ、アクリレートモノマ、およびチオールとジエンの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
例えば、国際公開第WO03/093328号に記載のように、自由ラジカル重合プロセスにより重合可能なモノマの一例は、これに限られるものではないが、αオレフィン;ブタジエンのようなジエンおよびクロロプレン;スチレン、αメチルスチレンなど;ヘテロ原子置換されたαオレフィン、例えばビニルアセテート、ビニルアルキルエーテル、例えばエチルビニルエーテル、ビニルトリメチルシラン、塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、N-(3-ジメチルアミノプロピル メタクリルアミン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミドおよび同様の誘導体;アクリル酸、および誘導体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、アクリロニトリル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、および同様の誘導体で置換されたアクリルエステル、例えばメチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルクロトナート、グリシジルメタクリレート、アクリルコロトナート、および関連するエステル;環状および多環オレフィン化合物、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプテン、シクロオクテン、および最大C20までの環状誘導体;多環誘導体、例えばノルボルネン、および最大C20までの同様の誘導体;環状ビニルエーテル、例えば2,3-ジヒドロフラン、3,4-ジヒドロフラン、および同様の誘導体;アリル型アルコール誘導体、例えば、ビニルエチレンカーボネート、分散オレフィン、例えばマレイン酸およびフマル酸化合物、例えばマレイン無水物、ジエチルフマル酸塩など;ならびにそれらの混合物を含む。
【0057】
例えば、国際公開第WO2011/031871号から得られるように、モノマの追加の例には、これに限られるものではないが、アリルメタクリレート、ベンジルメチルアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メタクリル酸、メチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルアクリレート、ペンタエリスリトール、トリアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル2-メチルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミドn,n,-メチレン-ビスアクリル-アミドフェニルアクリレート、およびジビニルベンゼンが含まれる。
【0058】
これらの種類のモノマの多くは、アクリレートシステムである。すなわち「アクリレート」と言う用語は、アクリレート、メタクリレート(メチルアクリレート)、ブチルアクリレート、ラウリルメタクリレートなど、前述の任意のシステムを表す。同様に、ビニルモノマは、ビニル基を有する任意のモノマを表す。
【0059】
「高分子(ホスト)材料は、ラジカル重合可能なモノマ系である」と言う用語は、例えば、単量開始材料における、架橋剤の存在を排斥するものではない。波長変換器の合成の場合、以下参照。
【0060】
原理上、得られる高分子は、いかなる高分子であってもよく、例えば直鎖高分子、(ハイパー)分岐高分子、架橋高分子、スター高分子、デンドリマ、ランダムコポリマ、交互コポリマ、グラフトコポリマ、ブロックコポリマ、およびターポリマである。ある実施例では、高分子(ホスト)材料は、樹脂であっても、樹脂を有してもよい。
【0061】
特に、これらのラジカル重合可能なモノマが設置されると、光透過性高分子になる。本発明の実施例では、光透過性高分子は、高光透過性を示す高分子である。平均吸収率は、400〜700nmの波長領域において、5%/mm未満(単位mmの高分子厚さあたり)であることが好ましく、2%/mm未満であることがより好ましく、1%/mm未満であることが最も好ましい。従って、ある実施例では、第1の高分子は、400〜700nmの波長範囲において、5%/mm未満の吸収率を有する高分子であり、これは、より好ましくは2%/mm未満、さらに好ましくは1%/mm未満である。高分子の透過および吸収は、高分子自身、すなわち高分子(ホスト)材料に関連し、波長変換器の透過性には関係しない(すなわち波長変換ナノ粒子を含む)ことに留意する必要がある。特に、(高分子の)最大吸収率は、400〜700nmの全波長領域にわたって、20%/mm未満であり、好ましくは10%/mm未満である。透過(T)および吸収(A)には、A=1−To/Tiの関係があり、ここでTiは、部品(高分子または変換器など)に衝突する可視光の強度であり、Toは、部品の他の側から出射する光の強度である。透過または光透過性は、第1の強度を有する特定の波長の光を、材料に提供し、材料を透過した後にその波長で測定される光の強度を、特定の波長で材料に提供された光の第1の強度と関連付けることにより定められる(Chemisry and Physics、69版、1088-1989のCRCハンドブックのE-208およびE-406参照)。
【0062】
例えば、国際公開第WO2011/031871号から得られるように、高分子の例は、これに限られるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン酸化物、ポリシロキサン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(フェニレン-ビニレン)、ポリシラン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ(フェニレン-エチニレン)、ポリメチルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリカーボネート、エポキシ、ならびに他のエポキシ類である。モノマに関しても同様であり、これらの種類の高分子の一部は、アクリレート系である。ここで、「ポリアクリレート」と言う用語は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(ポリメチルアクリレート)、ポリブチルアクリレート、ポリラウリルメタクリレートなど、前述の任意のシステムを表す。同様に、ビニルポリマ(高分子)は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのような、ビニル基を有するモノマ系の任意の高分子を表す。
【0063】
光透過性および/または化学的安定性および/または製造プロセスを考慮した観点では、特に、高分子(ホスト)材料は、ポリビニル高分子(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアクリレート高分子(ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリラウリルメタクリレートなど)、およびチオール-エン高分子(ポリチオフェンなど)からなる群から選定される。
【0064】
「ラジカル開始剤系材料」と言う用語は、ラジカル開始剤の残りのものを表し、これは、高分子(ホスト)材料の組成から見出され、評価される。このラジカル開始剤系材料は、未反応のラジカル開始剤を含むが、反応済みのラジカル開始剤を含んでもよい。ラジカル開始剤が消費された場合、これは、ラジカル開始剤が起源の高分子(ホスト)材料における群を表す。ある実施例において、「ラジカル開始剤」という用語は、複数の異なるラジカル開始剤を表す。
【0065】
フリーラジカル重合プロセスは、良く知られており、フリーラジカル発生材、例えば過酸化物またはアゾ開始剤からのフリーラジカルの形成により開始される反応を含む。反応は、フリーラジカルを、未飽和モノマ分子に添加することにより開始され、その後、追加の未飽和モノマに段階的に添加され、成長鎖または高分子が形成される。
【0066】
例えば、国際公開第WO03/093328号から得られるように、フリーラジカル開始剤の例は、これに限られるものではないが、以下を含む:有機過酸化物、例えばt-アルキルペルオキシエステル、tert-ブチルペルオキシベンゾアート、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキマレート、モノペルオキシカーボネート、OO-tert-ブチルO-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、ジペルオキシケタール、エチル3,3-ジ-(tert-アミルペルオキシ)-ブチレート、n-ブチル-4,4-ジ(タートブチルペルオキシ)-バレレート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-シクロヘキサン、1,1-ジ-(tert-アミルペルオキシ)-シクロヘキサン、ジアルキルパーオキサイド、2,5,-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、ジ-tert-アミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-アルキルヒドロパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、ter-アミルヒドロパーオキサイド、α-クミルヒドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、2,4-ペンタンジオンパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、tert-ブチルパーネオデカノエート、ジオクタノイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジプロプリオニルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジプロピオンイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルパーイソブチレート、tert-ブチルパーアセテート、tert-ブチルパー-,5,5-トリメチルヘキサノエート;アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビス[4-メトキシ-2,4-ジメチル]ペンタンニトリル、2,3’-アゾビス[2,4-ジメチル]ペンタンニトリル、2,2’-アゾビス[イソブチロニトリル];カーボン-カーボン開始剤、例えば2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、1,1,2,2-テトラフェニル-1,2-bis(トリメチルシロキシ)エタン;無機パーオキサイド、例えば水素パーオキサイド、ペルオキソ二硫酸カリウム;光開始剤、例えばベンゾフェノン4-フェニルベンゾフェノン、キサントンチオキサントン、2-クロロチオキサントン、4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノベンゾフェノン)、ベンジル、9,10-フェナントラキノン、9,10-アントラキノン、α,α-ジメチル-α-ヒドロキシアセトフェノン、(1-ヒドロキシシクロヘキシル)-フェニルメタノン、ベンゾインエーテル、例えば、メチル、エチル、イソブチル、ベンゾイオンエーテル、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、2-(O-ベンゾイル)オキシム、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾール)ホスフィンオキサイド、α-ジメチルアミノ-α-エチル-α-ベンジル-3,5-ジメチル-4-モルホリノアセトフェノン等。
【0067】
例えば、国際公開第WO2011/031871号から得られるように、通常、2種類の光開始剤がある。第1の種類では、化学的な単一分子結合分裂により、フリーラジカルが提供される。そのような光開始剤の例は、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、a-ジアルコキシ-アセトフェノン、a-アミノ-アルキルフェノン、およびアシルフォスフィン酸化物を含む。光開始剤の第2の種類は、二分子反応により特徴付けられる。この場合、光開始剤は、共光開始剤と反応し、フリーラジカルを形成する。そのような例の一例は、ベンゾフェノン/アミン、チオキサントン/アミン、およびチタノセン(可視光)である。粒子調製のため、光重合可能なモノマとともに使用され得る、光開始剤の特定の例の非包括的なリストは、CIBAからの以下を含む:IRGACURE 184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、DAROCUR 1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-l-フェニル-1-プロパノン)、IRGACURE 2959(2-ヒドロキシ-l-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン)、DAROCUR MBF(メチルベンゾイルホルメート)、IRGACURE 754(オキシ-フェニル-酢酸2-[2オキソ-2フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルおよびオキシ-フェニル-酢酸-2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル)IRGACURE 651 Alpha(α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン)、IRGACURE 369(2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ-l-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-l-ブタノーン)、IRGACURE 907(2-メチル-l-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-l-プロパノーン)、DAROCUR TPO(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸化物)、IRGACURE 819(ホスフィン酸化物、フェニルビス(BAPO)(2,4,6-トリメチルベンゾイル))、IRGACURE 784(ビス(eta 5-2,4-シクロペンタジエン-l-イル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(lH-ピロール-l-yl)フェニル]チタン)、IRGACURE 250(ヨードニウム,(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェート(l-))。
【0068】
熱開始剤の例は、ベンゾイルパーオキサイド、およびアゾ-イソブチロ-ニトリル(AIBN)である(以下も参照)。そのようなアゾ開始剤に加えてまたはこれとは別に、パーオキサイド開始剤が使用されてもよい。また、そのような開始剤に加えてまたはこれとは別に、α-α-ジメトキシ-α-α-フェニルアセトフェノンのような、光開始剤を使用することもできる。
【0069】
重合は、加熱により、またはラジカル重合可能な高分子への照射により、開始され、特に、(少なくとも)ラジカル重合可能なモノマに照射することにより、開始されてもよい。特に、重合は、UV、X線、ガンマ線、電子のような、高エネルギー光線の照射の際に、光化学的に開始されてもよい。ラジカル(光)開始剤が相当不足する場合、(ラジカル重合可能なモノマを含む)混合物の(例えばUV)照射により、重合が開始されてもよい。ある場合には、完全な重合を達成するため、システムのガラス転移を超えるまで、混合物を加熱することが望ましい。重合が開始されると、温度は、再度ガラス転移温度未満まで低下され、ある実施例では、終了後、得られた波長変換器は、ガラス転移温度未満に冷却される。しかしながら、他の方法も可能であることは、当業者には明らかである。特に、重合の間、温度は、使用モノマの沸点を超えない。
【0070】
(実質的な)重合開始前に、混合物にわたる酸素の分圧は、実質的に抑制されることが好ましい。例えば、混合物は、低酸素雰囲気で提供され、または混合物が提供された後であって、重合の前に、酸素分圧が低減される。ある実施例では、重合は、グローブボックスのような、低酸素環境において生じる。特に、Ar、CO
2、N
2の1または2以上のような、不活性ガスを利用してもよい。必要な場合、重合は、減圧下で生じる。あるいは、混合物にわたる気体中の酸素量は、少なくとも重合の間、1ppm未満であり、例えば0.2ppm未満である。従って、本方法は、特に、混合物を不活性ガス雰囲気に維持したまま、ラジカル重合可能なモノマを重合するステップを有する。
【0071】
別の高分子は、シリコーンであり、例えば、特にポリメチル-フェニルシリコーン、PDMS、ポリシルセスキオキサン、または他の種類のシロキサン化合物であってもよい。また、前駆体は、重合可能なシリコーン前駆体を有してもよい。例えば、白金触媒とのヒドロシリル化反応が適用されてもよい。ある実施例では、エチレン的に不飽和なエポキシドと、SiH-含有シリコーンの間のヒドロシリル化反応を介して、硬化性のエポキシシリコーン生成物が形成され得る。これは、四アンモニウム、ホスホニウム、またはアルソニウムの六ハロプラチナ酸塩による触媒化により、触媒化されてもよい。
【0072】
特定の実施例では、前駆体は、シロキサン(シリコーン)の前駆体を有する。特に、シリコーンは、例えばダウ、信越、またはワッカー社から利用できる、光学グレードの市販の(重合可能なまたは硬化性の)シリコーンであってもよい。
【0073】
また、例えば、エポキシドまたはポリウレタンなど、追加の重合が任意で行われてもよい。重合の他の機構は、触媒を使用するまたは使用しない、UV、熱などである。
【0074】
例えば、硬化性の前駆体は、硬化性の高分子を有してもよい。そのような例では、ポア内でQDを支持する高分子材料は、硬化性の高分子系であってもよい。
【0075】
例えば、高分子鎖の相互の架橋により、(ポア内の)液体高分子を、固体またはゲルに調製してもよい。架橋される液体高分子の例は、例えば、欧州特許EP0246875号に記載されており、架橋成分を有するメルカプタン-終端化液体高分子が架橋される。別の実施例では、シリコーンが硬化される。
【0076】
前述のように、通常、発光材料は、ポア内に、発光量子ドットを保持する高分子材料を有する粒子を有する。「量子ドット」または「発光量子ドット」と言う用語は、異なる種類の量子ドット、すなわち異なるスペクトル特性を有する量子ドットの組み合わせを表す。本願において、QDは、「波長変換ナノ粒子」とも表される。
【0077】
本願において、波長変換ナノ粒子とも表される発光ナノ粒子または量子ドットは、例えば、II-VI族の化合物半導体量子ドットを有し、これは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、およびHgZnSTe(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定される。別の実施例では、発光ナノ粒子は、例えば、III-V族の化合物半導体量子ドットであってもよく、これは、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InGaP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNA、およびInAlPAs(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定される。さらに別の実施例では、発光ナノ粒子は、例えば、I-III-VI2カルコピライト型の半導体量子ドットであってもよく、これは、CuInS
2、CuInSe
2、CuGaS
2、CuGaSe
2、AgInS
2、AgInSe
2、AgGaS
2、およびAgGaSe
2(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定される。さらに別の実施例では、発光ナノ粒子は、例えば、I-V-VI2半導体量子ドット(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)であってもよく、例えば、LiAsSe
2、NaAsSe
2、およびKAsSe
2(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定される。さらに別の実施例では、発光ナノ粒子は、例えば、IV-VI族化合物半導体ナノ結晶、例えばSbTeからなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドットであってもよい。特定の実施例では、発光ナノ粒子は、InP、CuInS2、CuInSe2、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS2、およびAgInSe2(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定される。さらに別の実施例では、発光ナノ粒子は、例えば、前述の材料から選定され、ZnSe:Mn、ZnS:Mnのような内部ドーパントを有する、II-VI、III-V、I-III-V、およびIV-VI化合物半導体ナノ結晶(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)の群の一つであってもよい。ドーパント元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn、およびTlから選定され得る。また、ここで、発光ナノ粒子系発光材料は、CdSeおよびZnSe:Mnなど、異なる種類のQDを有してもよい。
【0078】
II-VI量子ドットの使用が特に有意であることは明らかである。ここで、ある実施例では、半導体系発光粒子ドットは、II-VI量子ドットを有し、これは特に、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、およびHgZnSTe(からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット)からなる群から選定され、特に、CdS、CdSe、CdSe/CdS、およびCdSe/CdS/ZnSからなる群から選定される。
【0079】
(コーティングを有しない)発光ナノ粒子は、約2~50nmの範囲の寸法、例えば2〜20nm、特に2〜10nm、さらには2〜5nmを有し、特に少なくとも90%のナノ粒子は、それぞれ、示された範囲の寸法を有する(すなわち、例えば少なくとも90%のナノ粒子は、2〜50nm範囲の寸法を有し、あるいは少なくとも90%のナノ粒子は、2〜5nmの範囲の寸法を有する)。「寸法」と言う用語は、特に、ナノ粒子の形状に応じて、全長、幅、直径の1または2以上に関連する。
【0080】
ある実施例では、波長変換ナノ粒子は、約1から約1000nmの範囲の平均粒子サイズを有し、特に約1から約100nmの範囲であることが好ましい。ある実施例では、ナノ粒子は、約1から約20nmの範囲の平均粒子サイズを有する。ある実施例では、ナノ粒子は、約1から約10nmの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0081】
通常ドットは、二元系合金で構成され、例えばセレン化カドミウム、硫化カドミウム、ヒ素化インジウム、およびリン化インジウムである。しかしながら、ドットは、硫化セレン化カドミウムのような、三元系合金で構成されてもよい。これらの量子ドットは、量子ドット体積内に、100から100,000個の原子を有し、直径は、10から50原子である。これは、約2から10nmに対応する。例えば、約3nmの直径を有する、CdSe、InP、またはCuInSe2のような球状粒子が提供される。(コーティングを有しない)発光ナノ粒子は、球状、立方体状、ロッド状、ワイヤ状、ディスク状、マルチロッド状などの形状を有し、一つの寸法のサイズは、10nm未満である。例えば、全長20nmで直径4nmのCdSのナノロッドが提供されてもよい。ここで、ある実施例では、半導体系発光粒子ドットは、コア-シェル量子ドットを有する。さらに別の実施例では、半導体系発光粒子ドットは、ドットインロッドナノ粒子を有する。異なる種類の粒子の組み合わせも適用できる。ここで、「異なる種類」は、異なる形状、および異なる種類の半導体発光材料に関する。ここで、(前述の)量子ドットまたは発光ナノ粒子の2または3以上の組み合わせも適用できる。
【0082】
例えば、国際公開第WO2011/031871号に記載のような、半導体ナノ結晶を製造する方法は、コロイダル成長プロセスである。コロイダル成長は、高温配位(coordinating)溶媒への、MドナーおよびXドナーの注入により生じる。モノ分散半導体ナノ結晶を調製する好適方法の一例は、高温配位溶媒に注入された、ジメチルカドミウムのような有機金属化学物質の熱分解を含む。これにより、個々の核発生が可能となり、その結果、半導体ナノ結晶の巨視的な量の制御された成長が生じる。注入により、制御された方法で成長できる核が生成し、半導体ナノ結晶が形成される。反応混合物は、静かに加熱され、半導体ナノ結晶が成長され、熱処理される。サンプル中の半導体ナノ結晶の平均粒子サイズおよびサイズ分布は、いずれも成長温度に依存する。定常成長を維持するために必要な成長温度は、平均結晶サイズの上昇とともに上昇する。半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の集団の一つである。個別の核発生および制御された成長の結果、得られる半導体ナノ結晶の集団は、狭小の直径サイズ分布を有する。小さな直径サイズ分布は、サイズとも称される。粒子集団のモノ分散は、集団内の少なくとも約60%の粒子が特定の粒子サイズ範囲に収まるような、粒子の集団を含むことが好ましい。
【0083】
ある実施例では、ナノ粒子は、第1の半導体材料を有するコアと、第2の半導体材料を有するシェルとを有する半導体ナノ結晶を有する。シェルは、コアの表面の少なくとも一部を覆うように配置される。コアおよびシェルを含む半導体ナノ結晶は、「コア/シェル」半導体ナノ結晶とも称される。前述のいかなる材料も、特にコアとして使用されてもよい。従って、「からなる群から選定されたコアを有する、コア-シェル量子ドット」と言う用語は、前述の量子ドット材料のリストの一部に適用される。
【0084】
例えば、半導体ナノ結晶は、化学式MXで表されるコアを含み、ここで、Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、またはこれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、またはこれらの混合物である。半導体ナノ結晶コアとしての使用に適した材料の例には、これに限られるものではないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AIN、AlP、AlSb、TIN、TIP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、前述の何れかを含む合金、ならびに/または三元系、および四元系混合物もしくは合金を含む、前述の何れかを含む混合物が含まれる。
【0085】
シェルは、コアの組成と同じまたは異なる組成を有する半導体材料であってもよい。シェルは、コア半導体ナノ結晶の表面に、半導体材料のオーバーコートを有し、これは、IV族元素、II-VI族化合物、II-V族化合物、III-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、I-III-VI族化合物、II-IV-VI族化合物、II-VI-V族化合物、前述の何れかを含む合金、ならびに/または三元系および四元系混合物もしくは合金を含む、前述の何れかを含む混合物を含む。一例には、これに限られるものではないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InGaP、InSb、AlAs、AIN、AlP、AlSb、TIN、TIP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、前述の何れかを含む合金、および/または前述の何れを含む混合物が含まれる。例えば、ZnS、ZnSe、またはCdSオーバーコーティングが、CdSeまたはCdTe半導体ナノ結晶の上に成長されてもよい。オーバーコーティングプロセスは、例えば、米国勅許第6,322,901号に記載されている。オーバーコーティングの間、反応混合物の温度を調整し、コアの吸収スペクトルをモニターすることにより、高い放射量子効率を有し、狭小のサイズ分布を有するオーバーコート材料が得られる。オーバーコーティングは、1または2以上の層を有してもよい。オーバーコーティングは、少なくとも一つの半導体材料を有し、この材料は、コアの組成と同じであっても、異なっていてもよい。オーバーコーティングは、約1から約10nmの厚さを有することが好ましい。また、オーバーコーティングは、10nmを超える厚さを有してもよい。ある実施例では、コア上に、2以上のオーバーコーティングが含まれてもよい。
【0086】
ある実施例では、取り囲む「シェル」材料は、コア材料のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する。ある別の実施例では、取り囲むシェル材料は、コア材料のバンドギャップよりも小さなバンドギャップを有する。
【0087】
ある実施例では、シェルは、「コア」物質に近い原子空間を有するように選定される。ある別の実施例では、シェルとコアの材料は、同じ結晶構造を有する。
【0088】
半導体ナノ結晶(コア)シェル材料の例には、これに限られるものではないが、赤(例えば(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑(例えば(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)、および青(例えば(CdS)CdZnS(コア)シェル)が含まれる(例えば、前述の、半導体系の、特定の波長変換ナノ粒子も参照)。本願において、(無機)コーティングとしてのシェルは、半導体ナノ結晶上のコーティングであってもよいことに留意する必要がある。このQDがコア-シェルナノ粒子の場合、(無機コーティング)は、シェル上のコーティングであり、すなわち、シェルの少なくとも一部、特に全体が、発光ナノ粒子を取り囲む。
【0089】
特に、波長変換器は、該波長変換器の全重量に対して、0.01〜25wt%の波長変換ナノ粒子(特にQD)を有し、これは例えば、0.1〜5wt%である。第1のホスト材料中のQDの濃度は、0.5wt%から25wt%の間であることが好ましい。第2のホストマトリクス中の多孔質粒子(第1の硬化性ホスト内にQDを有する)の濃度は、波長変換器内のQDの全濃度を定める。ある実施例では、半導体ナノ結晶は、それに付着したリガンドを有することが好ましく、これは、例えば国際公開第WO2011/031871号に記載されている。ある実施例では、リガンドは、成長プロセス中に使用される配位溶媒から得られる。ある実施例では、表面は、過剰の競合配位基に対する繰り返し露出により改質され、オーバーレイヤが形成される。
【0090】
例えば、キャップ化半導体ナノ結晶の分散は、ピリジンのような配位有機化合物で処理され、結晶子が生成される。この結晶子は、ピリジン、メタノール、および芳香族化合物中に容易に分散されるが、脂肪族溶媒にはもはや分散されない。そのような表面交換プロセスは、半導体ナノ結晶の外表面に配位可能なまたは結合可能な、いかなる化合物とともに実施されてもよく、これには、例えば、カルボン酸、ホスフィン、チオール、アミンおよびリン酸塩が含まれる。半導体ナノ結晶は、短鎖高分子に暴露され、この高分子は、表面に対して親和性を示し、半導体ナノ結晶が懸濁または分散される液体媒体と親和性を有する部分に終端化する。そのような親和性により、サスペンションの安定性が改善され、半導体ナノ結晶の凝集が妨げられる。
【0091】
より具体的には、配位リガンドは、化学式
(Y-)k-n-(X)-(-L)n
を有する。ここで、kは2、3、4、または5であり、nは1、2、3、4または5であり、k-nはゼロ以上である;XはO、OS、O-Se、O-N、O-P、O-As、S、S=0、S02、Se、Se=0、N、N=0、P、P=0、C=0 AsまたはAs=0;YおよびLは、それぞれ独立に、H、OH、アリール、ヘテロアリール、または任意で、少なくとも一つの二重結合、少なくとも一つの三重結合、もしくは少なくとも一つの二重結合と一つの三重結合とを含む、直鎖もしくは分岐鎖のC2〜18炭化水素鎖である。炭化水素鎖は、任意で、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、ニトロ、シアノ、C3〜5シクロアルキル、3〜5員ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、Cl〜4アルキルカルボニルオキシ、Cl〜4アルコキシカルボニル、Cl〜4アルキルカルボニルまたはホルミルの、1または2以上と置換され得る。また炭化水素鎖は、任意で、-0-、-S-、-N(Ra)-、-N(Ra)-C(0)-0-、-0-C(0)-N(Ra)-、-N(Ra)-C(0)-N(Rb)-、-O-C(0)-0-、-P(Ra)-、または-P(0)(Ra)-により中断されてもよい。RaおよびRbの各々は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、ヒドロキシル、またはハロアルキルであってもよい。アリール基は、置換されたまたは未置換の環状芳香族基である。一例には、フェニル、ベンジル、ナフチル、トリル、アントラシル、ニトロフェニル、またはハロフェニルが含まれる。ヘテロアリール基は、環内に、1または2以上のヘテロ原子を有するアリール基であり、例えばフリル、ピリジル、ピロリル、フェナントリルである。
【0092】
別のリガンドは、特に、オレイン酸、トリ-オクチルホスフィン、およびトリ-オクチルホスフィン酸化物の1または2以上であってもよい。ここで、リガンドは、特に、酸、アミン、ホスフィン、ホスフィン酸化物、およびチオールの群から選定されてもよい。
【0093】
好適な配位リガンドは、市販品として購入することができ、あるいは慣用的な合成有機技術により調合することができ、例えばJ.March,Advanced Organic Chemistryに記載されている。他のリガンドは、2003年8月15日に出願された、「安定化半導体ナノ結晶」、米国特許出願第10/641,292号に記載されている。これは、米国特許第7,160,613号として、2007年1月9日に特許されており、本願の参照として取り入れられる。リガンドの他の例には、ベンジルホスホン酸、ベンジル基の環上に少なくとも一つの置換基を含むベンジルホスホン酸、そのような酸の共役系、および前述の1または2以上を含む混合物が含まれる。ある実施例では、リガンドは、4-ヒドロキシベンジルホスホン酸、この酸の共役系、または前述の混合物を有する。ある実施例では、リガンドは、3,5-ジ-テリ-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル-ホスホン酸、この酸の共形系、または前述の混合物を有する。本発明において有益なリガンドの追加の例は、2008年9月12日に出願されたBreenら、「官能化ナノ粒子および製法」の国際出願第PCT/US2008/101651号、および2009年7月28日に出願されたBreenら、「マルチ機能リガンドを含むナノ粒子および製法」の国際出願第PCT/US2009/004345号に記載されている。これらは、本願の参照として取り入れられる。
【0094】
前述のように、本方法は、非量子ドット発光ナノ粒子にも適用できる。
【0095】
第1の液体を、微粒子多孔質無機材料のポアに導入した後、必要な場合、材料を洗浄してもよい。ポア充填に初期濡れ性技術を用いる場合、これは必ずしも必要ではないが、第1の液体が余分に存在する場合、粒子を洗浄することが望ましい。ある実施例では、これは、第1の液体から微粒子材料を分離した後に行われる。特に、洗浄液体は、重合可能な前駆体用の非溶媒である。非溶媒は、材料、ここでは重合可能な前駆体、が溶解せず、または最大でも0.01g/Lしか溶解しない液体として定められる。ここで、さらに本発明では、、硬化または重合前であって含浸後に、粒子が溶媒で、特に、硬化性のまたは重合可能な前駆体用の非溶媒で洗浄される方法が提供される。特定の実施例では、硬化または重合前に、洗浄は全く行われない。
【0096】
ここで、一般に、本方法は、第1の液体でポアを充填するステップと、(少なくとも一部が充填された)ポアを有する粒子を、第1の液体から分離するステップと、粒子を洗浄する任意のステップと、((少なくとも)ポア内で利用可能な)硬化性のまたは重合可能な前駆体を硬化/重合するステップとを有してもよい。分離は、従来の技術、例えばろ過法、(重力)沈殿法、およびデカンタ法等により、行われてもよい。関心のある選択肢は、ろ紙を使用することである。そのようなろ紙、例えばブフナー漏斗上に、マイクロ粒子が収集される。マイクロ粒子は、必要な場合、洗浄されてもよく、これにより、粒子表面の余分のおよび/または残留する第1の液体が除去される。ここで、特に本発明では、硬化または重合化の前であって、粒子含浸の後に、含浸された粒子、および想定される残りの第1の液体が分離される方法が提供される。その後、多孔質コアのポア内の材料は、硬化/重合処理に晒される。ここで、初期濡れ性技術の場合、またはポア体積に比べて、第1の液体の充填量を意図的に少なくしている場合のような、除去すべき残りの液体が存在しない状況が生じる際にも、「想定される残りの第1の液体」と言う用語が適用される。
【0097】
しかしながら、必要な場合、この洗浄ステップを意図的に使用して、前駆体を除去してもよい。そのような例では、重合可能な前駆体を有しない、または実質的に重合可能な前駆体を有しない場合でも、ナノ粒子がポアに残留することは明らかである。そのような実施例では、硬化処理は、極めて少量の材料、または重合可能な材料を含まない状況につながる。そのような実施例では、マトリクスに粒子を埋設することが望ましい(前述のマトリクスも参照)。従って、別の態様では、本発明により、粒子、特に実質的に球状の粒子を有する(微粒子)発光材料を製造する方法が提供され、粒子は、ポア、特にマクロポアを有する多孔質無機材料コアを有し、これらは、発光材料、特に埋設された量子ドットを有する高分子材料で少なくとも一部が充填され、本方法は、(i)ポアを有する微粒子多孔質無機材料の粒子を、発光ナノ粒子、特に量子ドットと、高分子材料の(任意の)硬化性のまたは重合可能な前駆体とを有する第1の液体(「インク」)で含浸して、前記発光ナノ粒子、特に量子ドットと、(任意の)硬化性のまたは重合可能な前駆体とで、少なくとも一部が充填されたポアを提供するステップと、得られた粒子を、硬化性のまたは重合可能な溶媒で、または第1の液体の溶媒で、洗浄するステップと、任意の(ii)硬化性のまたは重合可能な前駆体を、多孔質材料のポア内で、硬化または重合させるステップと、を有する。特定の実施例では、本方法は、さらに、(iii)得られた粒子(発光ナノ粒子、特に量子ドットで少なくとも一部が充填されたポアを有する)に、覆い(例えばコーティング、またはマトリクスに埋設すること、またはその両方)を設置するステップと、を有する。ここで、これらの実施例では、第1の液体は、必ずしも重合可能な(または硬化性の)材料を有する必要はない。従って、好適な溶媒を用いて、すなわち第1の液体の溶媒が洗浄除去(リンスアウト)され、粒子は、ポア内に維持されたままになる。第1の液体用の溶媒は、当然のことながら、溶媒の組み合わせであってもよい。また、第1の液体の溶媒は、特に、第1の液体の1または2以上の液体成分を溶解できる溶媒または溶媒の組み合わせであってもよい。
【0098】
一般に、第1の液体は、ナノ粒子が適切に分散された液体である。
【0099】
さらに別の実施例では、(量子ドットを有する)第1の液体でポアを充填し、ポア内で硬化性のまたは重合可能な材料(QDを含む)を硬化および/または重合した後に、粒子は、第2の充填に供される。この第2の充填は、同じ第1の液体で行われ得る。しかしながら、第2の充填は、QDを有しない同じ第1の液体で実施してもよい。通常、ポアは、適正に充填されるが、ポアの第1の充填が(意図的に)完全ではなかった場合、そのような第2の充填を使用して、ポアが完全に充填される。当然のことながら、そのようなマルチステージのプロセスを適用して、異なる種類のQDを充填してもよい。この方法では、ポア内に、層状のQD構造が得られる。例えば、最初に、第1の種類のQDでポアの一部を充填し、その後、(前述の方法により)第2の種類のQDでポアを充填することが有意である。特に、第1の種類のQDは、第2の種類のQDよりもより長い波長の光を放射する。
【0100】
また、前述のように、本発明では、波長変換器自身が提供され、すなわち波長変換器は、(前述のような、および/または前述の方法により得られる)(微粒子)発光材料が埋設された、光透過性固体マトリクスを有する(上記も参照)。
【0101】
特に、そのような波長変換器は、さらに、第2の発光材料を有する。特に、第2の発光材料は、光での励起の下、発光量子ドットとは異なる別の発光の波長分布を有する。例えば、実質的に(コアの)同じ化学組成を有し、別の寸法を有するQDにおいても、異なる放射が生じ得る。この第2の発光材料は、量子ドットまたは混合量子ドットとは異なる放射を有する(同じ励起波長の下)。しかしながら、必要な場合、第2の発光材料は、QDの発光により励起されてもよい。
【0102】
異なる種類のQDおよび/または第2の発光材料の混合物を使用することにより、波長変換器の発光、さらには利用可能な照明装置の照明装置光を、調製してもよい。
【0103】
また、開始混合物(硬化性のまたは重合可能な前駆体およびQD、ならびに/または高分子ホスト材料(マトリクス)の前駆体)中に、(モノマおよび波長変換ナノ粒子に加えて)別の化学種が存在し、高分子(ホスト)材料に取り入れられてもよい。例えば、TiO
2粒子のような反射性粒子が導入されてもよい。また、前述の架橋剤とともに、ナノ粒子特性を有しない無機発光材料、例えばミクロンサイズの微粒子無機発光材料が存在してもよい。モノマ、波長変換ナノ粒子、および光ラジカル開始剤に関する情報は、前述の通りである。前述のように、混合物(すなわち、特に第1の液体は、発光量子ドットと、高分子材料の硬化性のまたは重合可能な前駆体とを有する)は、混合物の全重量に対して、0.01〜25wt%の波長変換ナノ粒子を有してもよい。
【0104】
また前述のように、本発明では、照明装置が提供され、これは、(i)光源光を生成するように構成された光源と、(ii)前述のまたは前述の方法で得られる(微粒子)発光材料と、を有し、(微粒子)発光材料は、光源光の少なくとも一部を、可視発光量子ドット光に変換するように構成される。
【0105】
特定の実施例では、照明装置は、前述の波長変換器を有し、これは光源からゼロ以外の距離で配置される。ただし、他の配置を選定して、(微粒子)発光材料を、光源からゼロ以外の距離で、配置してもよい(LED色素からゼロ以外の距離など)。効率および/または安定性の観点から、QD、または特に波長変換器は、光源から、0.5〜50mm、例えば1〜50mmのゼロ以外の距離で配置されることが有意である。ここで、ある実施例では、波長変換器は、光源のゼロ以外の距離に構成されてもよい。
【0106】
これとは別にまたはこれに加えて、波長変換器の発光材料は、光源の光放射表面に、直接設置され、例えばLED色素に直接設置されてもよい(前の記載参照)。
【0107】
また、本方法は、覆い、特に酸素不透過性の覆いにより、得られた波長変換器を取り囲むステップを有してもよい。特に、この覆いは、波長変換器が減圧酸素または水分環境下にある際に設置される。従って、波長変換器は、封止される。波長変換器は、膜、自立式の層のような層、または本体であってもよい。
【0108】
波長変換器は、照明装置の光出口窓として構成され得る。ここで、そのような実施例では、光源からの光および変換器光(以下参照)は、照明装置から、(装置の使用中)波長変換器を介してまたはこれから出射される。また波長変換器は、反射モードで構成されてもよい。例えば、光混合チャンバは、波長変換器(反射モード)を有する1もしくは2以上の壁を有し、および/または波長変換器(透過モード)を有する出口窓を有する。
【0109】
波長変換器(またはより正確には、波長変換ナノ粒子)は、放射的に光源(または前述のように、複数の光源)に結合される。「放射的に結合」と言う用語は、特に、光源と波長変換器が、相互に関連付けられ、光源から放射される放射線の少なくとも一部が波長変換器で受光される(および少なくとも一部が発光に変換される)ことを意味する。「ルミネッセンス(発光)」と言う用語は、光源の光源光による励起の際に、波長変換ナノ粒子が出射する放射を表す。この発光は、変換器光(少なくとも可視光を有する。以下も参照)とも称される。
【0110】
波長変換器は、通常、光源の下流に構成される。「下流」および「上流」と言う用語は、部品または特徴物の、光発生手段(ここでは、特に光源)からの光の伝播に対する配置を表し、光発生手段からの光ビーム内の第1の位置に対して、光発生手段からより近い光ビームの第2の位置は、「上流」であり、光発生手段から遠い光ビーム内の第3の位置は、「下流」である。
【0111】
装置は、特に、装置光を発生するように構成され、この少なくとも一部は、変換器光を有するが、これは、任意で、(残りの)光源光を有してもよい。例えば、波長変換器は、光源光の一部分のみを変換するように構成されてもよい。そのような例では、装置光は、変換器光および光源光を有する。しかしながら、別の実施例では、波長変換器は、全ての光源光を変換するように構成されてもよい。
【0112】
ここで、特定の実施例では、照明装置は、光源光と変換器光の両方を有する照明装置光を提供するように構成され、例えば前者は、青色光であり、後者は、黄色光、または黄色光および赤色光、または緑色光および赤色光、または緑色光、黄色光、および赤色光などである。別の特定の実施例では、照明装置は、変換器光のみを有する照明装置光のみを提供するように構成される。これは、例えば、(特に透過モードにおいて)波長変換器に照射される光源光が、波長変換器の下流側に、変換された光として残る際に生じる(すなわち、波長変換器に導入された全ての光源光が、波長変換器により吸収される)。
【0113】
また「波長変換器」と言う用語は、複数の波長変換器にも関する。これらは、相互の下流に配置されても、相互に隣接して配置されてもよい(任意で、隣接する波長変換器と直接、物理的に接触する場合もある)。ある実施例では、複数の波長変換器は、2または3以上のサブセットを有し、これらは、異なる光学特性を有する。例えば、1または2以上のサブセットは、第1のスペクトル光分布、例えば緑色光を有する波長変換器光を形成するように構成され、1または2以上のサブセットは、第2のスペクトル光分布、例えば赤色光を有する波長変換器光を形成するように構成される。3または4以上のサブセットが適用されてもよい。異なる光学特性を有する、異なるサブセットを適用した場合、例えば、白色光が提供され、および/または装置光の色が提供される(すなわち、変換器光と最適な残りの光源光(波長変換器の残りの下流))。特に、複数の光源が適用された場合、その2または3以上のサブセットは、個々に制御され、異なる光学特性を有する2または3以上の波長変換器サブセットが放射的に結合され、装置光の色を調整することができる。白色光を形成する他の選択肢も、可能である(以下も参照)。
【0114】
照明装置は、例えば、オフィス照明システム、家庭用システム、店舗用照明システム、家庭内照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、シアター照明システム、光ファイバ用システム、プロジェクションシステム、自己ライト表示システム、画素化表示システム、セグメント化表示システム、警告標識システム、医療照明用システム、インジケータ標識システム、装飾用照明システム、携帯用システム、車両用途、グリーンハウス照明システム、園芸照明、またはLCDバックライトの一部であっても、これに適用されてもよい。
【0115】
前述のように、照明ユニットは、LCD表示装置のバックライトユニットとして使用されてもよい。ここで、本発明では、LCD表示装置が提供され、これは、前述の照明ユニットを有し、バックライトユニットとして構成される。また別の態様では、本発明では、バックライトユニットを有する液晶表示装置が提供され、バックライトユニットは、前述の1または2以上の照明装置を有する。
【0116】
光源は、作動の間、少なくとも、200〜490nmの範囲から選定される波長の光(光源光)を放射する光源であることが好ましい。特に、光源は、作動中、少なくとも、400〜490nmの範囲、さらには特に、440〜490nmの範囲からから選定される波長の光を放射する。この光は、一部が波長変換ナノ粒子により使用されてもよい(以下も参照)。ここで、特定の実施例では、光源は、青色光を形成するように構成される。
【0117】
特定の実施例では、光源は、半導体LED光源を有する(例えばLEDまたはレーザダイオード)。
【0118】
また「光源」と言う用語は、2〜20の(半導体)LED光源のような、複数の光源にも関する。従って、LEDという用語は、複数のLEDも表す。
【0119】
本願において、白色光という用語は、当業者には知られている。特に、これは、約2000と20000Kの間の相関色温度(CCT)を有する光に関し、特に、約2700Kから6500Kの範囲の一般的な照明用、および特に、約7000Kから20000Kの範囲のバックライト用の、特に、BBL(黒体中心)から約15SDCM(色マッチングの標準偏差)内、特にBBLから約10SDCM内、さらにはBBLから約5SDCM内にある、光に関する。
【0120】
ある実施例では、光源は、約5000から20000Kの間の相関色温度(CCT)を有する光源光を提供し、例えば、直接リン光体変換LED(例えば10000Kが得られるような、リン光体の薄い層を有する青色発光ダイオード)である。ここで、特定の実施例では、光源は、5000〜20000Kの範囲の相関色温度を有する光源光を提供するように構成され、これは、特に、6000〜20000Kの範囲、例えば8000〜20000Kの範囲である。比較的高い色温度の利点は、光源光に比較的高い青色成分が存在し得ることである。
【0121】
特に、「紫色光」または「紫色放射」と言う用語は、約380〜440nmの範囲の波長を有する光に関する。「青色光」または「青色放射」と言う用語は、特に、約440〜490nmの範囲の波長を有する光に関する(一部紫色およびシアン色の色調を含む)。「緑色光」または「緑色放射」と言う用語は、特に、約490〜560nmの範囲の波長を有する光に関する。「黄色光」または「黄色放射」と言う用語は、特に、約540〜570nmの範囲の波長を有する光に関する。「橙色光」または「橙色放射」と言う用語は、特に、約570〜600nmの範囲の波長を有する光に関する。「赤色光」または「赤色放射」と言う用語は、特に、約600〜750nmの範囲の波長を有する光に関する。「桃色光」または「桃色放射」と言う用語は、青と赤の成分を有する光に関する。「可視」、「可視光」、または「可視光放射」と言う用語は、約380〜750nmの範囲の波長を有する光に関する。
【0122】
「実質的に全ての光」または「実質的に構成される」のような、「実質的に」と言う用語は、当業者には理解される。また「実質的に」と言う用語は、「完全に」、「全体的に」、「全てに」、などの実施形態を含む。ここで、ある実施例では、形容詞は、実質的に除去されてもよい。適用可能な場合、「実質的に」と言う用語は、90%以上、例えば95%以上高いことに関し、特に99%以上高いこと、さらには、100%を含む99.5%以上高いことに関する。「有する」という用語は、該「有する」という用語が、「からなる」を意味する実施形態も含む。「および/または」と言う用語は、特に、「および/または」の前後に記載された1または2以上の部材に関する。例えば、「部材1および/または部材2」という表現および同様の表現は、部材1および部材2の1または2以上に関する。ある実施例では、「有する」と言う用語は、「からなる」を表すが、別の実施例では、「規定された種類を少なくとも有し、さらに任意に1または2以上の別の種類を有する」ことを表す。
【0123】
また、明細書および特許請求の範囲中の第1、第2、第3などの用語は、同様の素子同士を区別するために使用され、必ずしも一連の順または時間的な順に記載されてはいない。使用される用語は、適当な環境下で相互互換可能であり、本願に記載の本発明の実施例は、記載されたまたは示されたものとは別の順番で作動することができることが理解される。
【0124】
本願における装置は、特に、作動中のものが記載される。本発明が作動の方法または作動中の装置に限定されないことは、当業者には明らかである。
【0125】
前述の実施例は、本発明を限定するものではなく、一例として示されており、当業者には、特許請求の範囲から逸脱しないで、多くの代替実施例が考案できることに留意する必要がある。請求項において、括弧内に記載のいかなる参照符号も、請求項を限定するものと解してはならない。「有する」という動詞およびその変化形の使用は、請求項に記載のもの他の素子またはステップの存在を排斥するものではない。素子の前の「一つの」と言う用語は、そのような素子の複数の存在を排斥するものではない。本発明は、いくつかの個別の素子を有するハードウェアにより、および適当なプログラム化コンピュータにより、実施されてもよい。いくつかの手段を列挙した装置の請求項において、これらのいくつかの手段は、一つのまたは同じハードウェア部材で実施されてもよい。単にある手段が複数の異なる従属請求項に記載されていることから、これらの手段の組み合わせが有意に使用できないと解してはならない。
【0126】
さらに、本発明は、明細書に記載のおよび/または添付図面に示された、1または2以上の特徴を有する装置に適用される。また、本発明は、明細書に記載のおよび/または添付図面に示された、1または2以上の特徴を有する方法またはプロセスに関する。
【0127】
本願に記載の各種態様は、追加の利点を提供するために組み合わされ得る。また、いくつかの特徴は、1または2以上の分割出願の基礎を形成し得る。
【0128】
前述の実施例の大部分は、硬化性のまたは重合可能な前駆体(および発光ナノ粒子、特に発光量子ドット)を含む第1の液体(「インク」)で、ポアを充填することを有する。あるいは、ポアは、その後硬化または重合化されない液体中で、発光ナノ粒子で充填されてもよい。例えば、第1の液体が気化され、これにより、多孔質無機材料コアのポア内に、発光ナノ粒子が残留してもよい。その後、特に原子層成膜プロセスを介して、コアがコーティングされる。従って、別の態様では、本発明により、ポアを有する多孔質無機材料コアを有する粒子を有する発光材料を製造する方法が提供され、これらのポアは、少なくとも一部が発光量子ドットで充填される。本方法は、ポアを有する微粒子多孔質無機材料の粒子を、発光量子ドットのような発光ナノ粒子を有する第1の液体に含浸させ、発光量子ドットのような前記発光ナノ粒子、および液体材料(特に、発光量子ドット用の溶媒)で、少なくとも一部が充填されたポアを提供するステップと、必要な際に実施される、液体を除去するステップと、を有する。その後、必要に応じて、少なくとも一部が、発光量子ドットのような発光ナノ粒子で充填されたポアを有する多孔質無機材料は、特にALDプロセスにより、コーティングでコーティングされ、(個々の)粒子にコーティングが提供される。このコーティングまたはシェルは、少なくとも10nmの厚さを有してもよい。粒子、発光ナノ粒子、コーティング、および覆い等に関する前述の実施例は、本発明のこの態様にも適用される(すなわち、ポア内の発光ナノ粒子は、高分子に埋設されない)。特に、前述の(少なくとも一部が充填されたポアを有する多孔質無機材料の上の)コーティングは、粒子を完全に取り囲む(コア-シェル粒子(無機コアのコアを有する))。また、本発明では、そのような発光材料自身、ならびにそのような発光材料を有する波長変換器および/または照明装置(またはそのような発光材料を有する波長変換器)が提供される。従って、別の態様では、本発明により、ポアを有する多孔質無機材料コアを有する粒子を有する発光材料が提供され、これらのポアは、少なくとも一部が発光量子ドット(120)で充填され、特に、粒子は、(少なくとも10nmの厚さを有する)無機コーティングでコーティングされる。従って、発光ナノ粒子は、特に、ポアに囲まれ、前記ポアに接近するコーティングにより保護される。従って、特に、粒子は、以下の1または2以上の(あるいは全ての)特徴を有する:(i)1〜500μmの範囲の粒子サイズ(ps)を有する、(ii)粒子は、コアの少なくとも一部を封止する覆いを有する、(iii)多孔質無機材料は、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質ガラス、多孔質ジルコニア、および多孔質チタニアの1または2以上を有する、(iv)ポアは、0.1〜10μmの範囲の平均ポアサイズ(dp)を有する、ならびに(v)覆い(220)は、無機コーティングを有する。そのような粒子は、さらに、高分子材料に埋設され、例えば、波長変換器が提供されてもよい。特に、発光量子ドットのような発光ナノ粒子をポアに導入する適当な溶媒は、アルカン(ヘキサン、ヘプタンなど)、トルエン、クロロホルム、アルコール(エタノールおよびブタノールの1または2以上など)、および水の1または2以上を有する。ナノ粒子に付着したリガンドは、溶媒中において、ナノ粒子の溶媒和を容易にする(以下も参照)。
【0129】
以下、添付の概略的な図面を参照して、一例として示された本発明の実施例について説明する。図面において、対応する参照符号は、対応する部品を示す。