(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360156
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】SOECユニット用のガス入口
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2483 20160101AFI20180709BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20180709BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20180709BHJP
【FI】
H01M8/2483
H01M8/0258
!H01M8/12 101
!H01M8/12 102A
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-510948(P2016-510948)
(86)(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公表番号】特表2016-520970(P2016-520970A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2013059131
(87)【国際公開番号】WO2014177212
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ハイレダル−クラウスン・トマス
(72)【発明者】
【氏名】ブクホルツ・フレズレクスン・カスパ
【審査官】
前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−222152(JP,A)
【文献】
特開2009−37889(JP,A)
【文献】
特開平10−172594(JP,A)
【文献】
特開2006−269409(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0235749(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0181265(US,A1)
【文献】
特開2009−193765(JP,A)
【文献】
特開2006−100212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2483
H01M 8/0258
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスタックセルユニットを備える固体酸化物電解セルスタックであって、各ユニットがセル層及びインターコネクト層を備え、1個のインターコネクト層が該セルスタック内において隣接するセルユニットから1個のセルユニットを分離し、少なくとも1個のセルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス入口開口部を有し、そして同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス入口開口部を有し、該一次ガス入口開口部及び該二次ガス入口開口部は部分的に重複し、該重複は、入口ガスが該一次ガス入口開口部から該二次ガス入口開口部に流れる共通のガス入口領域を画定し、
前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部を含む層が、少なくとも1個のガス入口流ガイドを形成する前記インターコネクト層と平行する少なくとも1個の突起部を有する少なくとも1個のウイングをさらに備え、
前記少なくとも1個のガス入口流ガイドが前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部の一部と少なくとも部分的に重複し、それにより少なくとも1個の多チャネルガス入口を形成する、固体酸化物電解セルスタック。
【請求項2】
前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部を含む層及び前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部を含む層が密着している、請求項1に記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項3】
少なくとも1個セルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス出口開口部を有し、同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス出口開口部を有し、該一次ガス出口開口部及び該二次ガス出口開口部は部分的に重複し、該重複は、出口ガスが該一次ガス出口開口部から該二次ガス出口開口部に流れる共通のガス出口領域を画定する、請求項1又は2に記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項4】
前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部を含む層が少なくとも1個のガス出口流ガイドを形成する前記インターコネクト層と平行する少なくとも1個の突起部を有する少なくとも1個のウイングをさらに備える、請求項3に記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項5】
前記少なくとも1個のガス出口流ガイドが前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部の一部と少なくとも部分的に重複し、それによって少なくとも1個の多チャネルガス出口を形成する、請求項4に記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項6】
前記ユニットが少なくとも1つのスペーサ層をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項7】
前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、請求項1〜6のいずれかに記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項8】
前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、請求項1〜7のいずれかに記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項9】
前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部がインターコネクト層に配置されている、請求項1〜8のいずれかに記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項10】
前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部が少なくとも1つの前記スペーサ層に配置されている、請求項6に記載の固体酸化物電解セルスタック。
【請求項11】
複数のスタックセルユニットを備える固体酸化物電解セルスタックにおいて入口ガスをセルユニットに導くための方法であって、各ユニットはセル層及びインターコネクト層を備え、1個のインターコネクト層が該セルスタック内において隣接するセルユニットから1個のセルユニットを分離し、少なくとも1個のセルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス入口開口部を有し、そして同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス入口開口部を有し、該一次ガス入口開口部及び該二次ガス入口開口部は部分的に重複し、該重複は、共通するガス入口領域を画定し、前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部を含む層が、少なくとも1個のガス入口流ガイドを形成する前記インターコネクト層と平行する少なくとも1個の突起部を有する少なくとも1個のウイングをさらに備え、
前記少なくとも1個のガス入口流ガイドが前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部の一部と少なくとも部分的に重複し、それにより少なくとも1個の多チャネルガス入口を形成し、該方法は、次の工程:
・該少なくとも1個の一次ガス入口開口部に入口ガスを供給し、
・該入口ガスを該一次ガス入口開口部を介して第1の方向に流し、
・該入口ガスを共通のガス入口領域を介して第2の方向に流し、
・該入口ガスを該少なくとも1個の二次入口ガス開口部を介して第3の方向に流すことを含み、
・前記第2の方向が前記第3の方向とは異なり、
前記第3の方向が前記少なくとも1個のセル層と同一の二次元平面にある、前記方法。
【請求項12】
前記第2の方向と前記少なくとも1つのセル層との間の角度が少なくとも5°である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の方向と前記少なくとも1つのセル層との間の角度が少なくとも30°である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部が前記インターコネクト層に配置される、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ユニットが少なくとも1つのスペーサ層をさらに含む、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部が前記少なくとも1つのスペーサ層に配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記入口ガスがアノードガス又はカソードガスである、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、固体酸化物セル(SOC)ユニット、特に固体酸化物燃料電池(SOFC)ユニット又は固体酸化物電解セル(SOEC)ユニット用、特にSOCスタックに含まれるSOCユニット用のガス入口に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、酸素イオンの伝導を可能にする固体電解質と、酸素が酸素イオンに還元されるカソードと、水素が酸化されるアノードとを備える。SOFCにおける全体的な反応は、水素及び酸素が電気化学的に反応して電気、熱及び水を生成するというものである。必要な水素を生成するために、アノードは、通常、炭化水素、特に天然ガスを水蒸気改質するための触媒活性を有し、それによって水素、二酸化炭素及び一酸化炭素が生成される。天然ガスの主成分であるメタンの水蒸気改質は、次式によって記載できる:
CH
4+H
2O→CO +3H
2
CH
4+CO
2→2CO+2H
2
CO +H
2O→CO
2+H
2
【0003】
動作中に、空気などの酸化剤が固体酸化物燃料電池にカソード領域において供給される。水素などの燃料が燃料電池のアノード領域に供給される。あるいは、メタンなどの炭化水素燃料がアノード領域に供給され、そこで、上記の反応により水素と炭素酸化物に変換される。水素は、多孔性アノードを通過し、そして電解質を通って拡散された、カソード側で生成した酸素イオンとアノード/電解質界面で反応する。酸素イオンは、セルの外部電気回路からの電子入力によりカソード側で生成される。
【0004】
電圧を増加させるために、いくつかのセルユニットを組み立ててスタックを形成させ、そしてインターコネクトによって互いに連結する。インターコネクトは、隣接するセルユニットのアノード(燃料)側とカソード(空気/酸素)側とを分離するためのガスバリアとして機能すると同時に、隣接するセル間、すなわち過剰の電子を有する1個のセルのアノードと還元処理のために電子を必要とする隣接セルのカソードとの間で電流伝導を可能にする。さらに、インターコネクトには、通常、インターコネクトの一方の側に燃料ガス及び反対側に酸化剤ガスを通過させるための複数の流路が設けられる。SOFCスタックの性能を最適化するために、正の値の所定範囲を、最小化されるべき関連する負の値の他の範囲で許容できない結果となることなく最大化すべきである。これらの値のいくつかは以下のとおりである:
【0005】
最大化されるべき値 最小化されるべき値
−燃料利用率 −価格
−電気効率 −外形寸法
−寿命 −(温度、所定ポイントまで)
−生産時間
−故障率
−部品点数
−寄生損失(加熱、冷却、ブロワ..)
【0006】
上記の値のほぼ全ては相互に関連しているが、これは、一方の値を変更すると、他方の値に影響を与えることを意味する。ここで、燃料電池におけるガス流の特性と上記値との間のいくつかの関係に言及する:
【0007】
燃料利用率:
インターコネクトの燃料側の流路は、スタック内における各セルに対して等量の燃料を得ようとするように設計されるべきである、すなわち、スタックの燃料側を通した流れの「ショートカット」があってはならない。
【0008】
寄生損失:
SOFCスタックにおけるプロセスガス流路及びその燃料セルユニットの設計は、少なくとも空気側、潜在的にはインターコネクトの燃料側で低い流量当たりの圧力損失(これはブロワへの寄生損失を低減する)を達成するように努めるべきである。
【0009】
電気効率:
インターコネクトは、隣接するセルのアノードとカソード層との間に電流を導く。したがって、内部抵抗を低減させるために、インターコネクトの導電性接触点(以下、単に「接触点」という。)は、電極(アノード及びカソード)に対する良好な電気的接触を確立するように設計されるべきであり、また接触点は、電流を電極の長い距離に通し、その結果高い内部抵抗を生じることになる遠く離れた場所にあるべきではない。
【0010】
寿命:
インターコネクトに関連して、特に、インターコネクトの燃料側及び空気側の両方での均一な流れ分配、いくつかの部品及び該材料上の均一な保護コーティングに依存する。
【0011】
価格:
インターコネクトの価格寄与は、希少な材料を使用せず、インターコネクトの製造時間を削減し、そして材料損失を最小にすることによって低減できる。
【0012】
外形寸法:
燃料スタックの全体の寸法は、インターコネクト設計がアクティブセル領域の高利用率を確保したときに減少する。低い燃料又は空気の流れのデッド領域は低減されるべきであり、また、シール面のための非アクティブ領域を最小限に抑えるべきである。
【0013】
温度:
温度は、セル内の触媒反応を確実にする程度に十分に高く、セル部品の加速された分解を回避する程度に依然として十分に低くなければならない。したがって、インターコネクトは、最高温度を超えることなく高い平均温度を与える均一な温度分布に寄与すべきである。
【0014】
生産時間:
インターコネクト自体の生産時間を最小化すべきであり、またインターコネクトの設計もスタック全体の迅速な組立に寄与すべきである。一般的に、インターコネクト設計を不要にする全ての部品については、生産時間の利益がある。
【0015】
故障率:
インターコネクトの製造方法及び材料は、低いインターコネクト故障率(例えば、インターコネクトガスバリアにおける望ましくない穴、不均一な材料の厚さや特性など)を可能にすべきである。さらに、組み立てられた電池スタックの故障率は、インターコネクト設計が組み立てられる部品の総数を減少させ、かつ、シール面の長さを減少させる場合に低減できる。
【0016】
部品点数:
既に述べたようにエラー及び組立時間を最小限に抑えることのほかに、部品点数の減少が減価につながる。
【0017】
アノード及びカソードガス流をSOFCスタックに分配する方法は、2種のプロセスガスのそれぞれのための共通のマニホールドを有することによる。これらのマニホールドは、内部又は外部のいずれかとすることができる。マニホールドは、各層にチャネルを介してSOFCスタック内の個々の層にプロセスガスを供給する。チャネルは、通常、SOFCスタック、すなわちスペーサ又はインターコネクトに含まれる反復要素の一つの層に配置されている。
【0018】
スペーサ又はインターコネクトは、通常、材料を通して完全に打ち抜かれ、カットされ又はエッチングされる1個の入口チャネルを有する。1個の入口チャネルしか有しない理由は、スペーサが一体部品でなければならないためである。この解決策は、スペーサ又はインターコネクトチャネルの安価でかつ制御可能な製造を可能にする。というのは、制御可能な寸法は、制御可能な圧力降下を与えるからである。
【0019】
多チャネルを可能にするプロセスガスチャネルを作製する別の方法は、エッチング、圧印、プレス又はスペーサ若しくはインターコネクトを介してチャネルを部分的に作製する他の方法である。これは、スペーサが一体部品であってもよいことを意味するが、材料を通してチャネルを部分的に製造する方法は正確ではなく、これはガスチャネルにおける不確実で制御不可能な圧力降下を与える。
【0020】
スペーサ又はインターコネクトの材料を通して部分的にのみ形成されるガスチャネルにわたってシール材が適用される場合には、ガスチャネル内においてさらに不確実で制御不可能な圧力降下が発生する。もちろん、シール材は、所望の表面のみに一致するようにスクリーン印刷でき、又は接着し、そしてガスチャネルからカットできることころ、これは不確実な圧力降下のリスクを低下させるが、費用と時間がかかる。
【0021】
米国特許第6492053号には、インターコネクト及びスペーサを含む燃料電池スタックが記載されている。インターコネクト及びスペーサは、両方とも酸素/燃料の流れのための入口及び出口マニホールドを有する。入口及び出口マニホールドは、その表面上に、アノード及びカソードに沿って酸素/燃料を分配するための溝/通路を有する。しかしながら、インターコネクト及びスペーサの溝/通路は、互いに整列されていないため、それらの幾何学的形状を組み合わせて、複数の入口点を達成することはできないであろう。また、溝/通路は、インターコネクトとスペーサの両方の表面上にあるため、複数の入口点の形成は実現可能ではない。
【0022】
米国特許出願公開第2010297535号には、流路を有する燃料電池のバイポーラ板が記載されている。流れ板は、燃料電池のアクティブ領域間に流体を均一に分配するための複数のチャネルを有する。この文献には、第2層及びその内部にある同様のチャネルについては記載されていない。
【0023】
米国特許出願公開第2005016729号には、熱伝導性インターコネクト板に支持されるセラミック燃料電池が記載され、複数の板がスタックと呼ばれる導電性ヒータを形成する。複数のスタックを接続すると、燃料電池のスティックが形成される。複数のスティックを端から端まで接続することにより、燃料電池の列が形成される。列の長さは千フィート以上であることができ、地下資源層、例えばオイルを貫通するようにサイズ調節されている。予熱器は列を700℃を超える動作温度にし、その後、燃料電池は、燃料電池の燃料及び酸化剤を供給し、遊星表面に排気ガスを移送する複数の導管を介してその温度を維持する。マニホールドが複数の導管を継続させるように列と遊星表面との間で使用され、排気ガスと酸化剤/燃料との間の熱交換器として機能する。
【0024】
上記公知技術のいずれも、上記問題に対するシンプルで、効率的で、しかも二重安全装置として機能する解決手段を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第6492053号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010297535号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005016729号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、上記検討事項に関連して、効率的でかつ失敗を最小限に抑えるSOFCユニット用ガス入口を提供するために堅牢で、シンプルで、安価で、製造及び取り扱いが容易な多チャネルガス入口解決手段が必要とされている。対応するセルユニットを固体酸化物の電解のためにも使用することができるため、このガス入口解決手段はSOECユニットのためにも使用するでき、そのため、SOCユニットに対する解決手段が求められている。
【0027】
これら及び他の目的は、以下に説明するように、本発明により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明の概要
燃料電池又は電解セルスタックは、セルのそれぞれにある反復要素を備える。セルスタック内の反復要素の2つの層を使用してセル用の入口チャネルを作製することにより、多チャネル入口を有するシンプルな密着部品を作製することができる。
【0029】
本発明は、流れを一方の部品におけるチャネルから他方の部品における1個の又は有利には特に複数のチャネルに向け、その後スタック内のセルのアクティブ領域に向けるように重複する2つの層において異なるチャネルを有する。この原理によれば、取り扱いが容易な密着部品を有するセルスタックにおける全ての反復要素に複数のチャネルを作ることが可能である。
【0030】
発明の特徴
1.複数のスタックセルユニットを備える固体酸化物電解セルスタックであって、各ユニットがセル層及びインターコネクト層を備え、1個のインターコネクト層が該セルスタック内において隣接するセルユニットから1個のセルユニットを分離し、少なくとも1個のセルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス入口開口部を有し、そして同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス入口開口部を有し、該一次ガス入口開口部及び該二次ガス入口開口部は部分的に重複し、該重複は、入口ガスが該一次ガス入口開口部から該二次ガス入口開口部に流れる共通するガス入口領域を画定する固体酸化物電解セルスタック。
【0031】
2.前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部を含む層及び前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部を含む層が密着している、特徴1に係る固体酸化物電解セルスタック。
【0032】
3.前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部を含む層が、少なくとも1個のガス入口流ガイドを形成する少なくとも1個の突起部をさらに備える、上記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0033】
4.前記少なくとも1個のガス入口流ガイドが前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部の一部と少なくとも部分的に重複し、それにより少なくとも1個の多チャネルガス入口を形成する、特徴3に係る固体酸化物電解セルスタック。
【0034】
5.少なくとも1個セルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス出口開口部を有し、同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス出口開口部を有し、該一次ガス出口開口部及び該二次ガス出口開口部は部分的に重複し、該重複は、出口ガスが該一次ガス出口開口部から該二次ガス出口開口部に流れる共通するガス出口領域を画定する、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0035】
6.前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部を含む層が少なくとも1個のガス出口流ガイドを形成する少なくとも1個の突起をさらに備える、特徴5に係る固体酸化物電解セルスタック。
【0036】
7.前記少なくとも1個のガス出口流ガイドが前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部の一部と少なくとも部分的に重複し、それによって少なくとも1個の多チャネルガス出口を形成する、特徴6に係る固体酸化物電解セルスタック。
【0037】
8.前記ユニットが少なくとも1つのスペーサ層をさらに含む、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0038】
9.前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0039】
10.前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0040】
11.前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の一次ガス出口開口部がインターコネクト層に配置されている、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物セルスタック。
【0041】
12.前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部又は前記少なくとも1個の二次ガス出口開口部が少なくとも1つのスペーサ層に配置されている、前記特徴のいずれかに係る固体酸化物電解セルスタック。
【0042】
13.複数のスタックセルユニットを備える固体酸化物電解セルスタックにおいて流入ガスをセルユニットに導くための方法であって、各ユニットはセル層及びインターコネクト層を備え、1個のインターコネクト層が該セルスタック内において隣接するセルユニットから1個のセルユニットを分離し、少なくとも1個のセルユニット内における該層の少なくとも1つが少なくとも1個の一次ガス入口開口部を有し、そして同じセルユニット内における少なくとも1つの隣接層が少なくとも1個の二次ガス入口開口部を有し、該一次ガス入口開口部及び該二次ガス入口開口部は部分的に重複し、該重複は、共通するガス入口領域を画定し、該方法は、次の工程:
・該少なくとも1個の一次ガス入口開口部に入口ガスを供給し、
・該入口ガスを該一次ガス入口開口部を介して第1の方向に流し、
・該入口ガスを共通のガス入口領域を介して第2の方向に流し、
・該入口ガスを該少なくとも1個の二次入口ガス開口部を介して第3の方向に流すこと
を含む方法。
【0043】
14.前記第2の方向全体が前記第1及び第3の方向とは異なる、特徴13に係る方法。
【0044】
15.前記第3の方向全体が前記少なくとも1個のセル層と同一の二次元平面にある、特徴13又は14に係る方法。
【0045】
16.前記第2の方向全体と前記少なくとも1つのセル層との間の角度が少なくとも5°、好ましくは少なくとも30°である、特徴13〜15のいずれかに係る方法。
【0046】
17.前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部が前記インターコネクト層に配置される、特徴13〜16のいずれかに係る方法。
【0047】
18.前記ユニットが少なくとも1つのスペーサ層をさらに含む、特徴13〜17のいずれかに係る方法。
【0048】
19.前記少なくとも1個の二次ガス入口開口部が前記少なくとも1つのスペーサ層に配置される、特徴18に係る方法。
【0049】
20.前記少なくとも1個の一次ガス入口開口部が切断貫通口、切断開口部、くぼみ又はこれらの組み合わせである、特徴13〜19のいずれかに係る方法。
【0050】
21.前記入口ガスがアノードガス又はカソードガスである、特徴13〜20のいずれかに係る方法。
【0051】
本発明を、本発明の実施形態の例を示す図面によってさらに例示する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、底部層の一部を切断した、固体酸化物電池の組立反復要素の底面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の反復要素の一部の側面切断A−Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な説明
本発明の実施形態では、層、スペーサ、インターコネクト及びセルにおけるガスチャネルは、完全に貫通しており、1個の密着部品の状態となっている。
【0054】
図1は、底部層の一部を切断した、固体酸化物電池の組立反復要素の底面図を示す。同じ図が
図2に単に等角投影で示されている。図から分かるように、底部層は、電解質及び電極を備えるセルとすることができ、ガスチャネルについて6個の切り抜きが存在し、これらはガスの入口若しくは出口又はその両方であることができる。底部層の頂部にある層(この実施形態ではスペーサ)は、頂部層とは異なるチャネルを有する。スペーサにおける6個のガスチャネルの切り抜きのそれぞれは、底部層における密着切り抜きよりも小さいが、スペーサにおける切り抜きのそれぞれに関連して、底部層における大きな切り抜きと部分的に重複し、それによってこれらの層をセルスタックに組み立てると多チャネルの入口又は出口を形成する「ウイング」が存在する。
【0055】
図1では、底部層において切り抜きと重複する多チャネルの第1部分は、5個の切り抜きのそれぞれ(
図5において拡大図「C」でより明確に分かる)により表示され、「B」で示される図の部分における第6の切り抜きでは、底部層の一部の切り取りのため多チャネルの全てが見える。これは、
図4の拡大図「B」により明確に示されている。
【0056】
図3では、この多チャネル型のガス入口が矢印で示されたガス流と共に示されている。ガス流の主要部分が多チャネル入口を通り、さらにセルスタック(図示せず)の次の反復要素上で流れる。しかし、スタックの圧力プロファイルのため、ガス流の一部は、上記のようにスペーサ内に形成されたウイングによって与えられる多チャネルを介して示される要素に入る。
図6において、表示「D」は、示された反復要素、そしてさらには次の反復要素(図示せず)へのガス流路をより明確に示す。
図6において、複数の入口がガス流れを効果的かつ均一な分配を与えるように複数の方向でアクティブ領域に分配する方法は明らかである。また、たとえそれぞれの層が完全に切断されていたとしても、層の重複は、ウイングが部材を浮遊させることなく複数の入口を与える方法も明らかであり、これは、複数の入口の利点を得るにもかかわらず、簡単かつ安価な製造及び組立を与える。