(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第2の解放弁を具え、前記第1の解放弁と前記第2の解放弁は各々単一作動部材と流体連通し、および複数の液体リザーバから液体の並列解放を提供するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の回転デバイス。
前記作動部材は該作動部材の上流に設けられた複数の弁と流体連通し、前記作動部材の作動は前記上流の複数の弁から液体の解放を通じて動作可能に作用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の回転デバイス。
複数の解放弁と複数の制御弁とを具え、前記複数の解放弁および制御弁は当該装置の回転速度の変化に応答するように構成され、前記複数の解放弁および制御弁の個々の1つの選択的作動は当該装置の回転速度を変化させることによって作用することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記マイクロ流体デバイス内での個々の流体チャネルの連続的な開口および前記マイクロ流体デバイス内での前記液体の流れの選択的な制御を提供するように、前記作動部材の作動が、前記第1の解放弁の開口に作用するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記作動部材の開口が前記空気チェンバへの孔を作成しおよび減圧により前記液体が前記解放弁に到達するように構成されたことを特徴とする請求項11記載の回転デバイス。
前記第1の解放弁と接触する前記液体による動作可能な行為は、該弁を溶解し、および前記マイクロ流体ネットワークの別のマイクロチャネルへの前記液体の通路を開くことを特徴とする請求項9又は10記載の回転デバイス。
ネットワークを定義する複数の流体通路を具え、および前記ネットワークは前記第1の解放弁と前記作動部材との間の流体連通路を定義するチャネルを含み、前記チャネルは前記作動部材を通じて液体の流れを制限するように形作られていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記チャネルは、液体が前記作動部材を通して遠心的に吸い上げられることを防ぐように幾何学的バリアを提供するように、当該装置の回転軸に対して径方向内方向に向けて延在していることを特徴とする請求項16記載の回転デバイス。
前記ネットワークは前記第1の解放弁と前記作動弁との間の流体連通路を定義するチャネルを含み、前記チャネルはガス透過性であるが液体不透過性であることを特徴とする請求項15ないし19のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記作動部材は、機械、圧力、音響、化学、熱、および照射などの外的刺激を通して、又はいくつかの液体若しくはガスを通して作動可能であることを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記作動部材の開口は、前記膜の上流領域から離れた前記流体スペーサの消滅に作用し、および前記流体を動作可能に前進させて前記膜と接触させて、これによって前記膜の溶解をもたらすように構成されたことを特徴とする請求項1ないし23のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記流体スペーサの破壊速度は、前記流体スペーサと前記流体スペーサに流体連通する孔を提供することによって制御されることを特徴とする請求項1ないし24のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記液体は当該装置の作業液体であり、当該装置は前記作動部材の作動をもたらすように動作可能に使用される補助液体をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし32のいずれか1つに記載の回転デバイス。
前記バリアは、物理的バリア、前記第1の解放弁と前記作動部材との間の流体通路の形状から得られたもの、前記第1の解放弁と前記作動部材との間の流体通路の表面処理、ガス透過性・液体不透過性膜、の少なくとも1つであり、前記バリアは、前記流体通路内の圧力を等しくするために、気体の行き来を可能にするように配置されたことを特徴とする請求項34記載の回転デバイス。
前記流体チャネルのネットワークは複数のセットの連通ネットワークを含み、各連通ネットワークは第1の解放弁と作動部材とを含み、1つの連通ネットワークから別の連通ネットワークへの液体の流れは、1つ以上の作動部材の活性化によって制御されることを特徴とする請求項38記載の回転デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改善されたマイクロ流体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらおよび他の問題は、当該デバイスを介して流体の流れを選択的に制御するための弁を備えたマイクロ流体デバイスによって扱われる。本教示に従って用語「流体」は、せん断応力下で継続的に変形する(流れる)物質を定義することを意図する。流体は、物質の相のスーパーセットであり、および液体、ガス、プラズマ、プラスチック固体のいくつかを含む。従って、全ての液体は流体であるが、全ての流体が液体ではない、ということが理解される。
【0009】
第1の構成において本教示は、第2の弁によって提供される作動部材と流体連通する第1の弁を備える。第1の弁は該第1の弁の上流に流体スペーサが設けられており、該流体スペーサは第1の弁の溶解性膜を液体から分離する。作動部材の作動は、流体スペーサの収縮を引き起こし、および液体が溶解性膜と接触するようにして第1の弁の開口をもたらすようにする。このように第1の弁の作動は、該第1の弁と流体連通している作動部材の作動によって制御される。
【0010】
いずれの破裂膜も同様に認識され、弁は、本教示に従って提供され、および当該デバイスのある回転周波数よりも上で機械的に又は含気的にバーストする犠牲弁をも含む。本教示に従って提供される回転可能なマイクロ流体デバイスの標準的動作周波数は「破壊的」周波数よりも低い方がよく、および本教示に従ったそれ自体の回転周波数の増加は、犠牲膜を溶解するという効果をもたらすようには使用されない。当該デバイスの回転周波数を増加させることによって膜上の破壊圧力を単に増加させることとは対照的に、本教示に従った膜は、液体との少なくとも接触に起因して溶解する。
【0011】
ある用途として、第1の弁の開口を達成するためには膜の濡れ性と回転周波数との両方が必要となるが、その用途においても、第1の弁の開口はやはり作動部材の作動を必要とするということが認識される。
【0012】
1つの実施では、デバイスの回転の周波数は事前設定された周波数に維持されることができるが、作動部材の作動によって、第1の弁の破裂周波数が低下させられるように、第1の弁によって経験される状態を変化させるために、作動部材の作動が、使用されることができる。このように、第1の弁は、デバイスの回転の周波数を変化させることなく、作動部材の作動後に、開く。
【0013】
作動部材がシステムの第2の弁である例では、第2の弁も、事前決定された液体と接触して選択的に溶解する溶解性膜を備える。
【0014】
作動部材と流体連通し、作動部材の作動が第1の弁の開放を達成するように互いに関して構成された、第1の弁を提供することによって、本発明の教示は、マイクロ流体デバイス内の個々の流体チャネルの順次的な開放、およびマイクロ流体デバイス内における液体の流れの選択的な制御を提供する。
【0015】
望ましくは、第1の弁の開放は、いかなる追加の第三者または外部刺激なしに達成される。このように、順次的な弁操作の受動制御が、達成され、作動部材の作動は、マイクロ流体ネットワーク内の追加の弁の後続する開放をトリガするのに役立つ。
【0016】
第1の弁または解放弁は、望ましくは、気密性の、液体に溶解性フィルムを備え、この弁は、流出口に接続される。システムの第2の弁または制御弁の形態で提供される作動部材は、気密性バリアを備える。弁が、通常は閉じられている構成で提供される場合、作用液体である液体は、解放弁の上流の空気チェンバ/マイクロチャネル内に押し出されることができるが、通常の動作状態の下では、圧縮された気体によって形成された流体スペーサによってそれは分離されているので、解放弁に到達することができない。このように、圧縮された気体は、解放弁の犠牲膜とそれがなければ前進する作用液体との間に気体ポケットを提供し、作用液体が犠牲膜と接触するのを妨げる。第1の弁と第2の弁を互いに関して適切に配置することによって、制御弁の開放は、通常の作用状態を変化させて、空気チェンバに排出口を作り、低下させられた圧力は、作用液体が、解放弁に到達することを可能にする。同様のケースでは、排出口は、システムを大気に向かって開く。作用液体を解放弁と接触させることは、この弁を溶解させ、作用液体がマイクロ流体ネットワークの別のマイクロチャネルに入るための経路を開く。
【0017】
ある構成では、第1の弁と第2の弁との間の流体連通経路を定めるチャネルは、液体が制御弁から出て行くことができないように、成形される。この結果は、気体は透過させるが、液体は透過させない膜を使用して、第1の弁と第2の弁との間の流体連通経路を定めるチャネルを閉鎖することを通しても、具体化されることができる。
【0018】
作動部材または制御弁の作動メカニズムは、様々であり、制御弁の開放を提供するために互いに協力する、1または複数の異なるメカニズムを含む。例えば、作動部材は、機械的、圧力、音響的、化学的、熱的、および放射線刺激などの外部刺激を通して、または何らかの液体もしくは気体との接触を通して、開かれる。
【0019】
別の構成では、制御弁は、液体との接触を通して開かれることができる、溶解性フィルムを備える。溶解は、崩壊とは異なり、後者は、一般に、弁に印加される圧力の増加と、それに続く弁の破裂の結果であるが、前者は、弁の一部が液体に包含されて、溶液を形成することに関連することが認識される。
【0020】
別の構成では、制御弁は、流体スペーサの後退を達成するために、膜の反対側の圧力を低下させるのに役立つ、(機械的、電気的、または空気的刺激などの)、外部刺激を通して変形させられる変形可能膜を備える。別の例では、外部刺激は、圧力を低下させ、流体スペーサの除去を達成して、液体が犠牲膜と接触し、それを溶解させることを可能にする、化学反応をトリガすることができる。
【0021】
第1の弁を犠牲弁として提供することによって、本発明の教示は、生産技法と良好に統合され、周辺作動メカニズムの必要性を排除する方法で、物理的バリアの強さを提供する、能動弁を可能にする。
【0022】
1つの構成によれば、マイクロ流体デバイスは、チャネル内における犠牲膜を備える第1の弁の存在によって、第1の領域と第2の領域とに分離されるチャネルを備える。液体は、弁の上流のチャネルの第1の領域において提供され、膜は、弁の下流の第2の領域に液体が流れ込むのを妨げるバリアを提供する。流体スペーサが、膜と液体との間に提供され、2つの接触を妨げる。第1の弁と流体連通し、通常は閉じられている構成で提供される第2の弁は、第1の弁の上流において流体スペーサの体積を維持するのに役立つ。第2の弁を開くことによって、流体スペーサは、膜の上流の領域から遠ざかって消散し、液体が動作可能に前進して、膜と接触し、それによって、膜の溶解を達成することを可能にする。液体が第1の弁の犠牲膜に向かって流れることを動作可能に誘起することによって、第2の弁の開放は、液体の犠牲膜との接触を開始させ、その結果、犠牲膜が、溶解し、その後、液体は、第1の領域から第1の弁によってそれまで封鎖されていた第2の領域に流れる。
【0023】
そのような構成によれば、デバイスは、例えば、液体と弁の犠牲部材との間に提供される気体ポケットの形態で流体スペーサを含むように、呼び水される。誘起された流体フローがない場合、気体ポケットは、液体が犠牲部材と接触するのを妨げ、すなわち、気体ポケットは、液体と犠牲部材との間の栓または緩衝物を提供する。一般に、気体ポケットは、第1の側では、第1の領域からの液体のメニスカスによって、第2の側では、気密性の犠牲膜によって縁どられる。
【0024】
第2の弁の作動と第1の弁の開放との間の時間遅延は、一般に、第2の弁が開くのにかかる時間、気体ポケットの破壊の速度、およびその後の犠牲膜の溶解速度に依存する。作動から解放までの時間遅延を達成する他の要因は、両方のフィルムの溶解および排出速度を含むことが認識される。加えて、順次的な解放の間の時間も、溶解流体が第1の弁に到達するのにかかる時間に依存する。
【0025】
第2の弁は、制御弁の作動に続いて、第1の弁の順次的な解放が、ディスク回転周波数の変化、レーザアブレーション技法の使用などの、いかなる外部介入もなしに、達成されるように、第1の弁、解放弁に関して配置される制御弁として機能することが認識される。これは、この構造を、非常に柔軟で、試薬の順次的な解放が望ましい多種多様な生物医学的検定に非常に適したものにする。さらに、流体ネットワーキングとの関連において、互いに流体連通する複数の弁を提供して、様々なAND/OR関係を提供することが可能である。実際には、1つの弁の作動によって解放された液体は、第2の弁の開放を達成するための作動流体として働くことができる。このカスケード挙動は、弁が定められたシーケンスでトリガされることができるような方法で、弁がネットワーク接続されることを可能にすることができる。これは、サンプルおよび試薬を洗い流すステップが定められたシーケンスで行われる、免疫学的検定などの、生物学的分析法には特に有益であることができる。試薬格納容器とともに、弁も、計量、混合、およびデカントなどの実験室ユニット操作を表す構造内に組み込まれることができる。
【0026】
流体の順次的な解放に加えて、より複雑な関係も、実施されることができる。例えば、デバイスが、2つ以上の制御弁と、1つの解放弁とを有するように構成される場合、解放弁は、制御弁のうちの1つの作動によって作動させられることができ、したがって、OR関係をもたらす。同様に、2つ以上のリザーバからの液体の並列的なほぼ同時の解放は、1つの制御弁と、2つ以上の解放弁とを有するように構成された弁を実施することによって達成される。
【0027】
ネットワーク関係は、流体リザーバ内における制御弁の位置を定めることによっても実施されることができる。2つの弁の並列的なほぼ同時のトリガは、2つの制御弁を、それらが各々同時にトリガされて開くことができるように、位置付けることによって、達成されることができる。同様に、AND関係は、制御弁を、制御弁の上流で提供される2つ以上の弁に対して、制御弁の作動が2つ以上の上流の弁の各々の作動を必要とするように配置することによって、実施されることができる。
【0028】
制御弁または第2の弁も、犠牲膜を備える。このように、デバイスは、犠牲膜を備える2つ以上の弁を備える。
【0029】
デバイスは、望ましくは、デバイス内での液体の流れを誘起するために、遠心力/回転で誘起された人工重力状態を提供するように構成された、駆動手段を備える。
【0030】
作動部材の作動は、第1の弁の開放をトリガするのに役立つことが認識される。第1の弁の開放を実際に達成するのに要する時間は、気体ポケットが第1の弁の犠牲膜から遠ざかって消散するための時間と、弁自体の溶解時間とによって統制される。
【0031】
別の構成では、本発明の教示は、マルチレイヤマイクロ流体デバイスの第1のレイヤにおいて提供される第1のチャネルと、第2のレイヤにおいて提供される第2のチャネルとを備える、マルチレイヤマイクロ流体デバイスを提供する。第1のチャネルと第2のチャネルの各々は、垂直スルーホールを通して、互いに流体連通する。犠牲弁が、スルーホール内に、またはスルーホールに隣接して提供され、通常は閉じられている構成では、スルーホールを通り抜ける液体の通過を妨げるのに役立つ。犠牲弁を選択的に開くことによって、第1のチャネルから第2のチャネルへの液体の流れを可能にすることが可能である。第1のチャネルおよび第2のチャネルは、望ましくは、犠牲弁を開いたときに、第1のチャネル内を移動する液体が、優先的にスルーホールを通り抜けて、第2のチャネルに入るように、マイクロ流体デバイス内において構成される。
【0032】
犠牲弁は犠牲膜を備え、望ましくは、弁と接触する液体の特性に応じて、選択的に溶解するように構成される。液体固有の膜を使用することによって、弁を通り過ぎる異なる液体を順次的に流し、利用される特定の犠牲膜をターゲットにした特定の液体にさらされた場合にだけ、弁は開くことが可能である。例えば、ある膜は、水溶液にさらされたときには溶解しない疎水性を有する。他の膜は、水溶液と接触した場合に溶解するように、親水性のものが選択される。
【0033】
一態様では、犠牲弁は、薄いフィルム構造を備える。これは、溶解性フィルムの単一のレイヤとして提供される。溶解性フィルムは、様々なセルロース誘導体、親水コロイド、アクリレート共重合体(acrylate copolymers)、ゴム、多糖類(polysaccharides)、または可塑剤などのうちの1または複数を含む、水溶性ポリママトリックスとして提供される。
【0034】
ある構成では、マルチレイヤ機能性フィルム構成が、弁を製作するために利用される。そのようなマルチレイヤ構造は、異なる特性を有する個々のレイヤを含む。例えば、第1のレイヤは、疎水性であり、一方、第2のレイヤは、親水性である。疎水性レイヤは、水による溶解に抵抗し、そのため、弁を通り過ぎる水溶液の通過にもかかわらず、弁の完全性を保持することが認識される。それは、例えば、有機溶剤にひとたびさらされると、溶解するが、その第1のレイヤの下に提供される、有機溶剤に耐性がある第2のレイヤの性質によって、弁の完全な開放を妨げる。このように、弁の個々のレイヤは、弁を通り過ぎる液体内の溶剤の性質に応じて溶解させられる。弁の開放のタイミングは、その場合、特定の検定に望ましい流体フローのシーケンスに個々のレイヤが一致する弁を慎重に選択することによって制御される。
【0035】
そのようなマルチレイヤ構造は、感圧接着フィルム(PSAフィルム)を備える第1のレイヤと、PSA上に接着される、または他の方法で提供される、溶解性フィルムの第2のレイヤとを備える。製作するために、PSAフィルムは、スルーホールを有する輪郭が描かれた単一のシートとして提供され、カッタ−プロッタマシンを使用してカットされる。次に、特殊な溶解性フィルムからなる2次レイヤが、PSA上に押し付けられる。次に、これらのタブが、完全な組立体からカットされる。
【0036】
マイクロ流体デバイスのチャネル内に組立体を埋め込むことが、弁を作成し、PSAの粘着性が、組立体をシステム特徴に単純に差し込むことによって、マイクロチャネルを閉鎖することを可能にする。ひとたび準備されると、弁は、絶縁されて保たれ、弁は、液体が溶解性フィルム表面に接触するまで、基本的に「閉じられた状態」にある。液体がひとたび界面に圧送されると、決定された時間期間の後、フィルムは、溶解し、弁は、「開いた状態」になり、さらなるポンピングが、弁サイトを通り抜けて液体を進ませる。
【0037】
弁用のハイブリッドフィルムの使用は、静止構成および遠心構成の両方を含む、多様なマイクロ流体設計に対する応用を有する。特に、例えば、混合、血液分離、計量、分取(aliquot)、相分離、希釈、オンボード液体貯蔵などの、遠心ベースのシステムは、溶解性フィルムベースの弁によって著しく改善される。
【0038】
溶解性フィルムを備える弁を提供して、液体フローに対する効率的なバリアを形成することによって、フィルムが液体試薬と直接接触するまで、デバイスの領域間での流体封鎖は、完全に維持される。流れを進めさせるのと同じポンピングメカニズムが、弁も作動させるので、弁のそれとは別の作動は、必要とされない。ここで説明された犠牲弁は、例えば、プログラム可能な流れ制御要素として、またオンボード液体試薬貯蔵のための蒸気バリアとして、多様な応用例にとって特に興味深い。
【0039】
そのような弁構成の使用は、特定の分析を達成するために、事前決定されたシーケンスのステップにおいて複数の液体を使用する、ストップゴー液体ベースの検定デバイスのために特に有利である。そのような溶剤ベースの経路指定構成は、様々な応用例において使用される。例えば、そのような弁の使用は、連続する水溶液、有機溶液、および/または混合溶液の流れの行先変更および分離を提供する。1つの構成では、これは、2つの弁システムがその上で統合された、遠心マイクロ流体プラットフォームを使用する、全血からのヌクレオチド精製(トータルRNA)を容易にするために使用される。
【0040】
別の構成では、本発明の教示は、液体の計量と、計量チェンバからサンプルチェンバへの液体の分取との組み合わせを提供するように構成された、弁構成を提供する。望ましくは、計量チェンバは、流体サンプルチャネル内に提供される弁のすぐ上流に提供される。
【0041】
流体サンプルチャネルは、流体チャネルから分かれたブランチとして提供される。このように、流体チャネル内を通過する液体は、計量チェンバ内に集まり、弁が開かれる時間まで、そこに保持される。計量チェンバの寸法は、後で計量チェンバからサンプルチェンバに分取される、液体の最大体積を定める。
【0042】
1つの構成では、本発明の教示のこの構成は、遠心マイクロ流体ラボオンディスクプラットフォーム上で使用するための、セルロース/紙ベースまたは膜ベースの計量構造を含む、弁構成を提供する。最初は閉じられている構成で弁を提示すると、有限の体積の液体が、弁の上流の計量チェンバ内に集まることが可能にされる。弁の開放は、下流に配置されたサンプルまたは混合チェンバへの、この計量された体積の流れを可能にする。
【0043】
液体を吸収し、最大で、ある圧力バリアまで液体を食い止める、紙または疎水性膜などの膜を使用して、弁を提供することによって、膜の特性を使用して、弁の開放の時間を決定することが可能である。例えば、ディスクがさらされるスピン速度を増加させることによって、液体は、紙/膜を通り抜けて、混合チェンバ内に入るように強制されることができる。このように、疎水性膜は、破裂可能弁の疎水性を増加させるために、有益に利用されることができる。
【0044】
1つの構成では、弁が開かれたときに、ディスクの回転が計量チェンバから混合チェンバへの流体フローを誘起するように、計量チェンバは、混合チェンバよりもディスクの回転軸の近くに配置される。
【0045】
望ましくは、デバイスは、デバイスの異なるレイヤ内に提供される第1の流体チャネルおよび第2の流体チャネルを備える、マルチレイヤマイクロ流体デバイスとして提供される。流体チャネルは、計量および分取が組み合わされた構成を提供するように互いに関して構成され、第1および第2の流体チャネルの各々から提供される第1および第2の計量されたサンプルが、検定において使用するために、共通混合チェンバに送られる。
【0046】
マイクロチャネルのネットワークおよびこれらの構造を使用することによって、液体を組み合わせ方式で混合することが可能である。M×N種の流体要素を勢揃いさせるこの能力は、DNA遺伝子型決定などの領域において大きな応用を有する。この応用例では、流体を注入口チェンバに充填するステップ(M+N回のピペットステップ)が、M×N種の組み合わせ調合液という結果を生じさせるが、従来の液体処理方法では、これには、M×N×2回のピペットステップが必要とされていた。
【0047】
単一のDNAサンプルとともに使用される場合、この手法は、dPCRの分野においても大きな可能性を有する。
【0048】
これらおよび他の特徴は、本発明の教示の理解の助けとなるように提供され、以下の特定の例に範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない、以下の例示的な構成を参照することで、より良く理解される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の教示が、マイクロ流体デバイス、特に、デバイス内の液体の流れを制御するために異なる弁構成を提供されたマイクロ流体デバイスを備える遠心システムを参照して、今から説明される。これらの構成は、純粋に本発明の教示の理解を助けるために提供され、決して限定として解釈されるべきではないことが認識される。1または複数の要素が、1または複数の図を参照して説明される場合、そのような要素は、本発明の教示から逸脱することなく、他の要素と置き換えられる、または交換されることが認識される。
【0051】
図1Aおよび
図1Bは、本発明の教示に従って提供される犠牲弁100の例示的な構成を示している。そのような弁は、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる、発明者らの先の出願(例えば、特許文献1参照)において説明された。その出願において説明されたように、そのような犠牲弁は、望ましくは液体と接触して溶解可能なものである、犠牲レイヤ105を備え、レイヤ105は、一般に、薄いフィルムの形態で提供される。フィルムは、望ましくは、フィルムと接触する前はバリアを提供し、液体がひとたび表面に導入されると、フィルムが溶解し始め、以前はフィルムによって閉鎖されていた開口を液体が通過することができる種類のものである。このように、フィルムまたは膜は、それが溶解させられ、流体が弁を通過することを可能にするためには、液体と実際に接触することが必要である。液体との接触と、フィルムの分解との間の時間遅延は、フィルムの物理的な構成または組成に依存して制御され、したがって、液体が、弁と最初に接触した後、そのような弁を備えるデバイスに行き渡ることができる時間を選択的に制御するために、適切なフィルムの慎重な選択が使用されることができる。
【0052】
フィルムは、一般に、様々なセルロース誘導体、親水コロイド、アクリレート共重合体、ゴム、多糖類、可塑剤などからなる、水溶性ポリママトリックスから得られ、溶解の速度は、混合に依存し、フィルム溶解時間の範囲が、作り出され、利用されることができる。
【0053】
図1Cは、溶解性フィルム弁に対する変更を説明している。この構成では、組み合わせ弁が、提供され、それは、上で説明されたような、溶解性フィルム弁の要素を含むが、この構成では、1または複数の追加レイヤを備える。
図1Cの例示的な構成では、弁は、5つのレイヤを、すなわち、1つの接着レイヤ101と、水に溶解可能なフィルム102と、別の接着レイヤ101と、疎水性膜103と、第2の接着レイヤ101とを備える。スタックの最上部に、感圧接着(PSA)フィルム102があり、それは、スタックを固定し、漏れを防止する。
【0054】
そのようなマルチレイヤ組立体を製作するために、PSAフィルムは、スルーホール115を有する輪郭が描かれた単一のシートとして提供され、例えば、カッタ−プロッタマシンを使用してカットされる。次に、特殊な溶解性フィルムからなる第1のレイヤが、
図1に示されるように、PSA上に押し付けられる。組み合わされた組立体は、タブを形成し、次に、それが、複数のそのようなタブをもつ完全なシートからカットされる。
【0055】
図1Bは、液体120の溶解性レイヤ105との接触が、レイヤをどのように分解させ、それによって、液体が弁構造を通過することを可能にするかを示している。実際には、分解前には、弁100の犠牲レイヤ105は、PSAレイヤに形成されたスルーホール115への到達を妨げるバリアを提供する。
【0056】
弁をチャネル内に固定することを可能にするために、第2のレイヤを何らかの接着剤を用いて形成することが望ましいが、他の構成は、第2のレイヤの不可欠な接着特性を不要にし、単にそのテンプレートまたは支持機能に依存することが認識される。
【0057】
図1Dに示される、別の構成では、本発明の教示は、紙またはセルロース媒体などの吸収膜への流体のウィッキング(wicking)が、溶解性フィルムを溶解させる、弁構成を提供する。これは、リザーバからの、および空気チェンバへの液体(例えば、試薬液体)の排出および解放を、試薬流体がウィッキング流体/紙ストリップと接触することなく、空気チェンバに行わせるために使用される。これは、これらの弁を開くシーケンスおよびタイミングが、紙への流体のウィッキングを通して制御されることを可能にする。そのような構造は、非常に柔軟であり、試薬の順次的な解放が望ましい多種多様な生物医学的検定に非常に適していることが認識される。
【0058】
そのようなウィッキング構成は、
図1Cを参照して上で説明されたものなどの、組み合わせ弁の一部として使用される。セルロースレイヤは、液体がその液体で溶解するレイヤと実際に接触するのを遅延させるのに役立つので、ウィッキング構成を使用することによって、溶解性膜の溶解を遅延させることが可能である。
【0059】
図2Aに示されるように、そのような弁は、液体が前進し、溶解性膜と接触し、弁の開放を達成することを可能にするために、空気チェンバの排出を使用する、マイクロ流体デバイスにおいて使用される。
図2は、第2の弁によって提供される作動部材220と流体連通している第1の弁210を備える、マイクロ流体デバイス200の部分の例を示している。第1の弁および第2の弁の各々は、流体チャネル211、212内に配置される。第1の流体チャネル211は、第1の弁210の上流で提供される、流体スペーサ213を提供する。この構成における流体スペーサは、気体ポケットによって提供され、それは、第1の弁210の溶解性膜を液体214から隔てるのに役立つ。
【0060】
作動部材220の作動は、今では開いている作動部材220を通して流体(この例では、気体)を排出して、第1の弁210から遠ざけることを可能にすることによって、流体スペーサ213の後退を引き起こす。流体スペーサの体積は、液体が弁210と接触するのを防いでいたので、スペーサの後退は、液体214が、溶解性膜と接触することを可能にし、それが、第1の弁の開放を達成する。このように、第1の弁の作動は、第1の弁と流体連通している作動部材の作動によって制御される。
【0061】
第1の弁は、上で
図1を参照して説明されたものなど、数々の異なる方法のうちのいずれか1つで製作されることが認識される。作動部材がシステムの第2の弁である例では、第2の弁も、事前決定された液体と接触して選択的に溶解する溶解性膜を備える。
【0062】
作動部材と流体連通し、作動部材の作動が第1の弁の開放を達成するように互いに関して構成された、第1の弁を提供することによって、本発明の教示は、マイクロ流体デバイス内の個々の流体チャネルの順次的な開放、およびマイクロ流体デバイス内における液体の流れの選択的な制御を提供する。
【0063】
望ましくは、第1の弁の開放は、いかなる追加の第三者または外部刺激なしに達成される。このように、順次的な弁操作の受動制御が、達成され、作動部材の作動は、マイクロ流体ネットワーク内の追加の弁の後続する開放をトリガするのに役立つ。
【0064】
流体ネットワーキングとの関連において、互いに流体連通する複数の弁を提供して、様々なAND/OR関係を提供することが可能である。実際には、1つの弁の作動によって解放された液体は、第2の弁の開放を達成するための作動流体として働くことができる。このカスケード挙動は、弁が定められたシーケンスでトリガされることができるような方法で、弁がネットワーク接続されることを可能にすることができる。これは、サンプルおよび試薬を洗い流すステップが定められたシーケンスで行われる、免疫学的検定などの、生物学的分析法には特に有益であることができる。試薬格納容器とともに、弁も、計量、混合、およびデカントなどの実験室ユニット操作を表す構造内に組み込まれることができる。
【0065】
流体の順次的な解放に加えて、より複雑な関係も、実施されることができる。例えば、デバイスが、2つ以上の制御弁と、1つの解放弁とを有するように構成される場合、解放弁は、制御弁のうちの1つの作動によって作動させられることができ、したがって、OR関係をもたらし、その例は、
図2Bに示されている。同様に、2つ以上のリザーバからの液体の並列的なほぼ同時の解放は、
図2Cまたは
図2Dに示されるもののような構成を使用して、1つの制御弁と、2つ以上の解放弁とを有するように構成された弁を実施することによって達成される。
【0066】
ネットワーク関係は、流体リザーバ内における制御弁の位置を定めることによっても実施されることができる。2つの弁の並列的なほぼ同時のトリガは、2つの制御弁を、それらが各々同時にトリガされて開くことができるように、位置付けることによって、達成されることができる。同様に、AND関係は、制御弁を、制御弁の上流で提供される2つ以上の弁に対して、制御弁の作動が2つ以上の上流の弁の各々の作動を必要とするように配置することによって、実施されることができ、その例は、
図2Eに示されている。
【0067】
図3は、一連のカスケード弁が、この例では、2つの弁300、301が、本発明の教示に従って、どのように実施されるかを示している。弁300、301は、遠心力で誘起された人工重力状態を提供する駆動手段に結合される、図示されていない、回転可能な基板上に組み込まれる、マイクロ流体デバイス302の部品として提供される。第1の弁300は、
図2の第1の弁210に対応し、一方、第2の弁301は、
図2の作動部材220に対応する。
【0068】
第1の弁300は、チャネル305内に提供され、閉じられている場合は、チャネルを封鎖するのに役立つ。弁の位置は、チャネルの上流部310および下流部311を定め、上流および下流は、チャネル305内における弁の位置に対して定められる。この例示的な構成では、チャネルの上流部は、第1のブランチ310aと、第2のブランチ310bとを含む。
【0069】
第1の弁は、望ましくは、
図1および
図2を参照して上で説明されたような、気密性の、液体に溶解可能なフィルムとして提供され、犠牲弁と見なされる。この弁300は、流出または受入チェンバ320に接続される。これは、解放弁または出口弁とも呼ばれる。
【0070】
作動部材の役割を果たす第2の弁301も、最初は気密性バリアとして提供され、制御弁と見なされる。この例では、この第2の弁も、液体と接触して溶解する犠牲膜を備えるが、制御弁のためには、この種類の犠牲弁は必要ではないことが認識される。他の作動技法も、利用されることができ、例えば、弁は、弁に印加される圧力を増加させたときに、単純に破裂することができる。
【0071】
両方の弁300、301が、閉じられているとき、気体ポケット327が、第1の弁300のすぐ上流に提供され、流体リザーバ326からの液体325が、第1の弁300の犠牲膜と接触することを妨げる。気体ポケット327は、第1のブランチ310Aおよび第2のブランチ310Bを通って延びており、そのため、第1の弁および第2の弁の各々と密に接触している。
【0072】
弁構成にいかなる変化もない場合、気体ポケットは、元の位置に留まっており、液体326が弁300と接触して、犠牲膜を溶解させることを妨げる。
【0073】
弁が封鎖された、または閉じられたこの構成では、この例において作用液体と呼ばれる液体は、流体スペーサを形成する気体体積の対抗圧力のせいで、解放弁300に到達することができず、したがって、それを溶解させ、開くことができない。作用液体は、気体ポケット327内の加圧気体の存在を通り抜けて、解放弁300に到達することができない。
【0074】
制御弁301を開くことによって、大きい加圧されていないリザーバ313または大気への排出312が、行われる。制御弁301の開放は、それによって、流体スペーサと液体326との間のそれまで均衡していた力関係を変化させる。システム内の他のいかなる変数も変化させずに、この排出は、作用流体が弁300に向かって前進することを妨げるのにそれまで役立っていた対抗力を取り除き、作用流体が弁300に到達することを実際に可能にする。
【0075】
図1および
図2を参照して上で説明されたように、作用流体が解放弁と接触した場合、液体は、弁の犠牲膜を溶解させるのに役立ち、作用流体のために別のマイクロチャネル311への経路を開き、そこを通過して、受入チェンバ320に到る。
【0076】
第2の弁301の作動と、その後の第1の弁300の作動のこのシーケンスが、
図4の概略図に示されている。弁300、301の両方が、閉じられている場合、液体は、溶解性解放弁300に到達することができない。制御弁301が開かれ、したがって、捕えられた気体がより大きな体積を取ることを可能にする。したがって、気体圧力が、低下させられ、流体スペーサの後退を引き起こし、液体が(溶解可能)解放弁301に到達して、その結果、それを溶解させることを可能にする。流体が受入チェンバ320に入るための経路が、開かれる。
【0077】
この実施では、解放弁300の開放を統制する2つの時間定数が、存在する。第1のものは、解放弁300から遠ざかる流体スペーサの移動を達成し、液体が解放弁300と接触することを可能にするのに役立つ、制御弁301の開放をいつ行うかを選択することによって、自由にプログラムされることができる。これは、次に、解放弁300の開放をトリガするのに役立ち、任意の遅延が、液体325が移動して解放弁300の犠牲膜と接触することを可能にするのに要する時間と、弁自体の溶解時間とによって決定される。セルロースベースのウィッキング効果の使用に関して上で説明されたように、セルロースまたは他の何らかのウィッキング素材を組み込むことによって、この時間遅延は、増加させられることができる。
【0078】
図3および
図4の例では、制御弁は、マイクロ流体デバイスの回転の速度を増加させることによって、弁301に印加される圧力を増加させることを通して、単純に弁を破裂させることによって、作動させられることができる。
図5Aは、制御弁も犠牲膜501を含む、別の例を示している。同じ参照番号が、類似の構成要素に対して使用される。この実施は、補助液体によって作動される弁メカニズムと見なされる。このシナリオでは、補助液体525が、制御弁501と流体連通するチェンバ500内に提供される。制御弁501を開放することが意図された場合、マイクロ流体デバイスの回転が、補助液体525が制御弁301と接触し、それを(後側から)開く原因となる。これが、チャネル310B内の捕えられた気体の体積を(大気中に排出される場合とほぼ同様に)膨張させ、したがって、液体325が解放弁300と接触し、それを溶解させることを可能にする。
図5Bは、制御弁501と解放弁300が、同じ場所に配置され、補助流体525が、デバイスの第2のレイヤ内に提供されるチャネル530を通って流れることができる、代替的な構成を示している。制御弁501の犠牲膜は、第2のチャネル530を通る補助液体525の流れが、膜の溶解と、その後の解放弁300の開放とを達成するように、その第2のレイヤ530に面して配置される。
【0079】
図6のプロセスフローに示されるように、制御弁501がひとたび開かれると、補助液体も、制御弁501を通って上流に流れることができ、そこにおいて、それは、作用流体325と接触する。これは、2つの液体が混ざり合い、したがって、少量の補助液体も受入チェンバ320に流れ込むという点で、潜在的な難点を表す。もちろん、流体を混合するそのようなシナリオが有益である様々な実施が、存在する。
図6の簡略化された概略図には示されていないが、各々が制御弁構成によって選択的に制御される、受入チェンバの上流に提供される複数の流体経路と流体連通する受入チェンバ320を提供することによって、2つ以上の流体の混合が、有利に提供されることができる。このように、1または複数の検定ステップを提供するために、複数の液体を同じ受入チェンバ320に順次的またはまったく同時に導入することが可能である。実際に、受入チェンバは、受入チェンバ内の液体(または液体の混合物)を下流の別の混合チェンバに制御しながら解放することを可能にするために、受入チェンバ320の下流の1または複数の流体経路とも流体連通して提供されることができる。
【0080】
作用流体325だけが受入チェンバ320に流れ込むような、補助液体を作用流体と混合することが望まれない場合、第1の弁300と第2の弁501との間に流れバリア700を、本発明の教示に従って、提供することが可能である。
図7は、第2のブランチ310Bが、2つの弁の間の流れバリアを定めるように構成された、そのような例を示している。この流れバリアは、液体が一方の側から別の側に通過するのを妨げる。バリアは、任意の開いたマイクロチャネル内の圧力を等しくするために、気体の行き来を可能にするように配置される。バリアの単純な実施では、第2のブランチ310Bの向きは、蛇行する経路を定めるように構成される。そのような蛇行する経路の例は、遠心ディスク上で半径方向内側に延びるサイフォン管の形状である。ブランチ310Bの上流の液体によって印加される圧力は、必要な上部圧力に打ち勝って、サイフォン管の曲部を越えるには十分ではなく、混合が、防止される。別の潜在的な実施形態では、バリアは、気体は透過させるが、作用液体は透過させない、膜である。
【0081】
図8は、制御弁の開放の後に続くシーケンスを示している。補助液体が、制御弁と接触する。制御弁は、溶解され、そのことが、作用流体が解放弁に到達することを可能にする。解放弁が、開かれ、流体のために受入チェンバへの経路を開く。バリア700は、作用液体が制御弁を通って出て行くこと、または補助液体と混ざり合うことを防止する。
【0082】
図9は、本発明の教示による、カスケード弁を含むマイクロ流体デバイスの動作を示す別の概略図を示している。
図9aでは、流体が、リザーバ326に充填される。マイクロ流体デバイスを回転させることによって、遠心力が発生し、
図9bに示されるように、この遠心分離の影響下で、流体は、均衡に達するまで、空気チェンバ内に押し出される。ある閾値周波数より下では、気体は、十分には圧縮されず、流体が犠牲弁または解放弁に到達することを可能にしない。
図9cは、制御弁の大気または大きいリザーバへの開放の結果を示している。
図9dでは、空気チェンバが、今では基本的に開いているので、液体は、
図9eに示されるように、前進して、犠牲解放弁と接触することができる。解放弁は、溶解し、液体が出口チャネル311を通って排出されることを可能にし、
図9fに示されるように、リザーバ326は、出口チャネルを通じて、完全に空にされる。
【0083】
図10は、2つのカスケード弁からなる先に説明された例示的な構成が、第1の弁の作動が第2の弁の開放のためのトリガを達成することを可能にするように順次的に配置された2つ以上の弁を備えるシステムにどのように拡張されるかについてのシステム概略図を示している。
図10aでは、マイクロ流体構造は、2つのリザーバ1001、1002と、2つの収集チェンバ1003、1004とを示しており、各々は、弁1005、1006、1007、1008によって分離されている。
図10bでは、液体が、2つのリザーバ1001、1002の各々に充填される。
図10cでは、液体が、第1の制御弁1005を含むチェンバに充填され、ディスクが、遠心力の作用下に置かれる。この回転によって発生させられた遠心力は、第1のリザーバ1001および第2のリザーバ1002内の液体が、解放弁1007、1008の上流の気体に圧力を印加する原因となるが、液体がこれらの解放弁と接触して、それらを溶解させるには十分ではない。
図10dの構成では、第1の制御弁1005が、開かれ、その結果、
図10eに示されるように、第1のリザーバ1001内の液体は、今では、自由に(今は開いている)空気チェンバ内に流れ込み、解放(溶解性フィルム)弁1007と接触する。
図10fでは、この解放弁1007は、犠牲膜の溶解の結果である開いた状態で示されている。
【0084】
図10gに示されるように、第1の収集チェンバ1003への液体経路は、今では、開かれている。第1の収集チェンバ1003は、満たされ始める。次に、第2の制御弁1006が、
図10hに示されるように、開かれることができ、その結果、
図10iに示されるように、第2のリザーバ1002内の液体は、開いた経路を有し、第2の解放弁1008と接触する。接触は、この弁1008を溶解させ(
図10j)、その結果、液体は、第2の収集チェンバ1003に入るための自由経路を有する(
図10k)。
図10iに示されるように、流体経路内にいかなる制約もない場合、流体は、今では、第2の収集チェンバ1004内に完全に排出される。
【0085】
本明細書で説明されるものよりも複雑なデバイスが、本発明の教示との関連において利用されることができることが認識される。
【0086】
例えば、2つ以上の弁を備えるデバイスは、異なる動作特性を有する弁の各々を提供される。特定の弁の弁作動は、デバイスの回転の周波数に慎重に関連させられるので、特定の弁の作動がディスク/ロータのスピン周波数によって制御される、複数の弁構成を、本発明の教示に従って提供することが可能である。このように、周波数閾値が、導入されることができ、デバイス内に貯えられた1または複数の試薬は、後の段階で反応に入るように計画されることができ、全体として、デバイスの回転および加速が激しく、高周波数であっても、引き留められることができる。
【0087】
本発明の教示に従って提供される弁システムは、ポイントオブケアの生物学的検定をオンチップ実施で提供することと関連付けられた多くの問題に対処する。(卓上における複数のピペットステップと等価な)サンプルおよび液体試薬の貯蔵および順次的な解放を可能にするシステムにそのようなデバイスを提供することとの関連において、要望が存在する。典型的な実施は、細胞ベースの検定、希釈系列、および免疫学的検定プロトコルである。ラボオンディスクでは、これらの検定は、熱的に作動される相変化弁など、オフディスクで作動されるものと、(回転の速度を変化させることによって)ディスク上における遠心力を変化させることによって作動されるものとに分類されることができる、弁技法に基づいて実施される。後者の弁の例は、破裂弁、毛細管サイフォン、空気サイフォン、および溶解フィルム弁を含む。これらの弁を正しい遠心力で開くために、事前に定められた速度プロファイルを実施することによるプロファイルが、必要とされる。上側および下側速度プロファイルの限界は、弁の数および位置を制限することができる。例えば、ディスクRPMの減少およびその後の増加を通して作動される、一連のサイフォンは、ディスク上のかなりの空間を占めることができる。弁のカスケードが提供される本発明の教示によれば、システムダイナミックの他のいかなる変化も必要とせずに、第1の弁の開放が、第2の弁の開放をトリガする。この順次的/カスケード解放では、カスケードがひとたび開始すると、ディスクRPMまたは外部入力のいかなる変化もなしに、次の弁が、トリガされる。したがって、この弁戦略に従って提供されるデバイスは、他の戦略よりもはるかに容易で柔軟性のあるラボオンディスクプラットフォーム上での複雑な生物学的検定の実施を可能にする、重要なイネーブリング技術を表すことが認識される。
【0088】
カスケードシーケンスに配置された第1の弁と第2の弁の単純な構成は、より複雑な構成に拡張されることができる。例えば、順次的な解放弁は、マイクロ流体ネットワーク内で提供される統合された吸収素材の使用を通して、流体が吸収され、犠牲弁から離れた場所から犠牲弁に近い場所まで運ばれることによって開かれる。この素材は、数々の異なる種類の素材のうちの1つであることができ、例えば、それは、紙または別のセルロースベースの素材であることができ、実際の弁に固着させること、またはあるいは、弁と流体連通して提供されることができる。素材は、流体を弁の近くのリザーバに運び、次に、弁のその後の開放を可能にするために使用される。このように、吸収性素材は、吸収性素材が湿らされてから、犠牲膜の溶解を通して弁が開くまでの間に、かなりの時間遅延を設けるために使用される。
【0089】
考察される第2の原理は、ディスク上のある地点のリザーバ内に(ポンピング流体と呼ばれる)流体を保持するために、順次的な解放弁が使用される、方法である。半径方向より外側の位置では、特定の地点における流体(作用流体)の存在は、ポンピング流体の解放を引き起こす。ポンピング流体は、遠心力のせいで、また作用流体(または後で作用流体を変位させる気体)の変位を通して、半径方向外側に流れ、作用流体の一部/すべてを半径方向内側に著しく変位させる。このように、マイクロ流体ネットワークは、誘起された遠心力に従ってデバイスの回転軸から外側に向かって流れるように流体を方向付ける流体経路を含む。同時に、その誘起された力とは反対に流れるように流体を方向付ける流体経路も、提供される。このポンピング流体は、作用流体とは混合せず、および/または作用流体よりも大きい密度を有する。流体の求心性変位は、サイフォン弁に呼び水するために使用される。
【0090】
流体経路がどのように誘起された遠心力とは反対に流体を方向付けるかについての例が、本発明の教示に従って提供されることができる一般的な技法の特定の例であると理解される、
図11に示されている。
図11は、各々が異なる時間における流体の場所を示す、4つの異なるパネルについて詳述している。リザーバ1100が、提供され、流体/仕掛けの正味の体積が増加するように、流体と接触したときに、素材/構造の体積の増加という結果を生じさせる、素材/物質/仕掛け1105を保持するために使用される。
図11の例では、素材は、ベイキングパウダであるが、例えば、非酸化金属粒子などの他の代替的な素材、例えば、ホウ素も、使用されることができる。液体1115を含む液体リザーバ1110が、リザーバ1100と、ならびに第1の弁1120および第2の弁1125と流体連通して提供される。
【0091】
第1の弁および第2の弁の選択的な作動によって、液体リザーバからベイキングパウダを格納するリザーバ内に液体が流れ込むことを可能にすることが可能である。第2のパネルおよび第3のパネルに示されるように、液体1115がひとたびベイキングパウダと接触すると、反応が生じ、それが、次に、変位を生じさせ、リザーバ1100内の気体圧力を増加させ、液体1115を、それがリザーバ1100に入ってきた経路を辿って退却させる。リザーバ1100内の気体の体積のこの増加は、
液体の計量/第2のチェンバへの移転、
液体のかなりの部分を求心的に(半径方向外側に)圧送すること、
サイフォン弁に呼び水すること
を含む様々な目的で、使用されることができる。
【0092】
図11には示されていないが、一連のチェンバが、提供され、異なる速度で発生することができる流体膨張の異なるソースが提供されて、順次的な弁/ポンピングプロセスの作動という結果を生じさせるように、互いに関して配置される。そのような構成では、弁(すなわち、溶解性フィルムの後方に配置される素材)の作動をずらすために、流体が素材/仕掛けと接触するタイミングをずらすことが可能である。
【0093】
発生させられた気体は、変形可能な膜の後方に捕えられ、2次流体を変位させるために使用される。リザーバ内の選択された素材が、弁の作動のタイミングと、結果の圧力増加によって生じさせられる気体の実際の体積とを決定する。1つの構成では、リザーバ1105の容積は、弁の作動のタイミングを決定するために使用される。1つの構成では、弁の作動は、流体が素材と接触するようにする、ディスク回転のスピードの増減を通してトリガされる。これらの作動技法のすべてが一緒に実施されること、またはどれも一緒に実施されないことが認識される。
【0094】
第1の原理に従って実施される技法は、ラボオンディスクシステムのエッジから内側に向かって流体を圧送する能力が、複雑な検定を実行するために重要である点で、有利であることが認識される。これは、ディスク上の物理的領域が限られており、流体がディスクの内側から外側に移動する場合、限られた数のプロセスしか実行されることができないためである。ここで説明される手法は、それが、特定の地点における流体の存在を通してトリガされることができ、ほとんどの実施では、ディスクrpmのいかなる変化も必要としないので、特に有益である。加えて、(ポンプの代わりに)弁に適用される場合、これは、特定の時間の後の、弁の自動的な作動を可能にすることができる。
【0095】
本発明の教示によれば、液体と弁との間に提供される気体ポケットを有するマイクロ流体デバイス内に、犠牲弁が最初に提供されることが理解される。誘起される流れが存在しない場合、気体ポケットの存在は、液体が弁と接触するのを妨げる流体バリアを定める。デバイスのチャネルは、本質的にマイクロ流体的であるので、気体ポケットの保持は、本発明の教示との関連において、有利に可能にされる。以下でより詳細に説明されるように、液体移動が遠心力によって誘起されるように、回転可能な基板上で利用される場合、各弁は、一般に、それを上回ると弁が破裂する関連する破裂周波数を有するが、本発明の教示は、これらの弁の開放を達成するために、回転可能な基板の回転の周波数が増加させられることを必要としない。もっぱら回転周波数に依存して弁の開放を命じる代わりに、本発明の教示は、気体ポケットを犠牲膜から遠ざけて消散させるのに必要とされる時間と、液体と接触した膜の溶解速度との両方に関連するパラメータに基づいて、弁の開放を提供する。気体ポケットによって提供される流体スペーサのこの変更は、回転可能基板の回転周波数を増加させることによっては達成されず、むしろ犠牲膜弁と流体連通する別の作動部材の作動によって達成される。
【0096】
気体ポケットを消散させるのに必要とされる時間は、ポケットを収容するチャネルの寸法に関連する気体ポケット内の気体の量に依存することが認識される。本発明の教示との関連において、まず第1に、安定した気体ポケットの生成を可能にするのは、マイクロ流体デバイスのマイクロ寸法であることが理解される。犠牲膜の上流の位置にチャネルの第1の領域を適切に構成することによって、デバイスがひとたび呼び水されると、犠牲膜と第1の領域内の前進する流体との間に、気体ポケットが形成されることを保証することが可能である。実際には、第1の領域の入口ポートへの液体の導入が、液体が第1の領域内で前進することを可能にする。前進する液体は、第1の領域を通って移動して、気体を液体の前方に押し進める。気体は、犠牲膜に向かって移動する。犠牲膜の性質は、気体が膜を通り抜けて移動する際に少なくとも時間遅延を提供するようなものである。ある構成では、膜は、気体を透過させず、膜の構造を通り抜けるいかなる気体の通過も妨げる。他の構成では、膜は、流れ抵抗を提供し、それによって、気体は、時間をかけて、膜の構造を通って浸透する。どちらの状況でも、犠牲膜と第1の領域内の前進する流体との間に最終的に気体ポケットを形成するために、膜は、弁を通過する気体の進行を遅滞させ、または完全に停止させる。
【0097】
気体ポケットの体積は、気体を犠牲膜から遠ざけて消散させ、液体が膜に接触することを可能にするのに最終的に必要とされる持続時間に影響を有する。
【0098】
それによって気体ポケットが消散する使用される原理は、利用される構成に応じて様々であるが、本発明の教示によれば、すべての状況において、犠牲弁と流体連通して提供される弁の作動によってトリガされる。第1の構成では、デバイスを適切に構成することによって、液体と弁との間の気体ポケットの存在は、弁作動が必要とされるような時間まで保持される。作動の時間は、作動部材の作動時間、気体ポケットの破壊の速度、およびその後の弁の溶解速度に依存する。そのような構成は、オンボード試薬貯蔵に特に有益であることが認識される。そのような応用例では、犠牲膜は、特定の耐蒸気特性を有するように選択されることが望ましい。しかしながら、この耐性の重要さは、意図された貯蔵状態の特性に依存する。
【0099】
本発明の教示による弁構成を提供することによって、保持される気体ポケットとチャネルの第1の領域内の液体とによって、デバイス内に液体−気体界面を提供することが可能である。この界面は、有効に安定しており、その安定性を乱す印加される力がない場合、元の場所に留まることが理解される。安定性は、2つの隣接する流体相(液体と気体)の間の幾何学的形状および表面張力によって少なくとも部分的に統制され、犠牲弁と流体連通する、一般には第2の弁によって形成される、作動部材の作動によってトリガされる。一般に、気体ポケットは、前進する流体と弁との間の場所に動作可能に保持され、気体ポケットに対して液体の栓を押し付ける圧力がある臨界値に取って代わるような時間まで、その場所に留まる。例えば、上昇させられたポンプ圧力を提供し、弁の下流の圧力を低下させることによってなど、メニスカスを動作可能に不安定化することによって、流体を弁に接触させ、弁を湿らせ、その後の弁の溶解をもたらすことが可能である。
【0100】
その例が
図12に示された、本発明の教示に従って提供される別の構成では、本発明の教示は、マルチレイヤマイクロ流体デバイス205の第1のレイヤ201Aにおいて提供される第1のチャネル201と、第2のレイヤ202Aにおいて提供される第2のチャネル202とを備える、マルチレイヤマイクロ流体デバイスを提供する。第1のチャネルと第2のチャネルの各々は、垂直スルーホール203を通して、互いに流体連通する。犠牲弁100が、スルーホール内に、またはスルーホールに隣接して提供され、通常は閉じられている構成では、スルーホールを通り抜ける液体の通過を妨げるのに役立つ。犠牲弁を選択的に開くことによって、第1のチャネルから第2のチャネルへの液体の流れを可能にすることが可能である。第1のチャネルおよび第2のチャネルは、望ましくは、犠牲弁を開いたときに、第1のチャネル201内を移動する液体が、優先的にスルーホール203を通り抜けて、第2のチャネル202に入るように、マイクロ流体デバイス内において構成される。
【0101】
犠牲弁100は、望ましくは、
図1Cを参照して上で説明されたような種類に属し、犠牲膜102を備え、望ましくは、弁と接触する液体の特性に応じて、選択的に溶解するように構成される。液体固有の膜を使用することによって、弁を通り過ぎる異なる液体を順次的に流し、利用される特定の犠牲膜をターゲットにした特定の液体にさらされた場合にだけ、弁は開くことが可能である。例えば、ある膜は、水溶液にさらされたときには溶解しない疎水性を有する。他の膜は、水溶液と接触した場合に溶解するように、親水性のものが選択される。
【0102】
図1Cを参照して上で説明されたように、一態様では、犠牲弁100は、薄いフィルム構造を備える。これは、溶解性フィルムの単一のレイヤとして提供される。溶解性フィルムは、様々なセルロース誘導体、親水コロイド、アクリレート共重合体、ゴム、多糖類、または可塑剤などのうちの1または複数を含む、水溶性ポリママトリックスとして提供される。
【0103】
ある構成では、マルチレイヤ機能性フィルム構成が、弁を製作するために利用される。そのようなマルチレイヤ規約は、異なる特性を有する個々のレイヤを含む。例えば、第1のレイヤは、疎水性であり、一方、第2のレイヤは、親水性である。疎水性レイヤは、水による溶解に抵抗し、そのため、弁を通り過ぎる水溶液の通過にもかかわらず、弁の完全性を保持することが認識される。それは、例えば、有機溶剤にひとたびさらされると、溶解するが、その第1のレイヤの下に提供される、有機溶剤に耐性がある第2のレイヤの性質によって、弁の完全な開放を妨げる。このように、弁の個々のレイヤは、弁を通り過ぎる液体内の溶剤の性質に応じて溶解させられる。弁の開放のタイミングは、その場合、特定の検定に望ましい流体フローのシーケンスに個々のレイヤが一致する弁を慎重に選択することによって制御される。
【0104】
そのようなマルチレイヤ構造は、感圧接着フィルム(PSAフィルム)101を備える第1のレイヤと、PSA上に接着される、または他の方法で提供される、溶解性フィルム102の第2のレイヤとを備える。製作するために、PSAフィルムは、スルーホールを有する輪郭が描かれた単一のシートとして提供され、カッタ−プロッタマシンを使用してカットされる。次に、特殊な溶解性フィルムからなる2次レイヤが、PSA上に押し付けられる。次に、これらのタブが、完全な組立体からカットされる。
【0105】
マイクロ流体デバイスのチャネル内に組立体を埋め込むことが、弁を作成し、PSAの粘着性が、組立体をシステム特徴に単純に差し込むことによって、マイクロチャネルを閉鎖することを可能にする。ひとたび準備されると、弁は、絶縁されて保たれ、弁は、液体が溶解性フィルム表面に接触するまで、基本的に「閉じられた状態」にある。液体がひとたび界面に圧送されると、決定された時間期間の後、フィルムは、溶解し、弁は、「開いた状態」になり、さらなるポンピングが、弁サイトを通り抜けて液体を進ませる。
【0106】
弁用のハイブリッドフィルムの使用は、静止構成および遠心構成の両方を含む、多様なマイクロ流体設計に対する応用を有する。特に、例えば、混合、血液分離、計量、分取、相分離、希釈、オンボード液体貯蔵などの、遠心ベースのシステムは、溶解性フィルムベースの弁によって著しく改善される。
【0107】
溶解性フィルムを備える弁を提供して、液体フローに対する効率的なバリアを形成することによって、フィルムが液体試薬と直接接触するまで、デバイスの領域間での流体封鎖は、完全に維持される。流れを進めさせるのと同じポンピングメカニズムが、弁も作動させるので、弁のそれとは別の作動は、必要とされない。ここで説明された犠牲弁は、例えば、プログラム可能な流れ制御要素として、またオンボード液体試薬貯蔵のための蒸気バリアとして、多様な応用例にとって特に興味深い。例えば、
図12の概略図では、水溶液の第1の流体フローは、弁の完全性に影響を有さず、水溶液は、弁の上部レイヤの溶解を達成しない。しかしながら、溶液をIPA/EtOHなどの有機溶液に変えることによって、その後、液体フローがスルーホール203を通過して、第2のチャネル202に入るように、弁の溶解を達成することが可能である。
【0108】
そのような弁構成の使用は、特定の分析を達成するために、事前決定されたシーケンスのステップにおいて複数の液体を使用する、ストップゴー液体ベースの検定デバイスのために特に有利である。そのような溶剤ベースの経路指定構成は、様々な応用例において使用される。例えば、そのような弁の使用は、連続する水溶液、有機溶液、および/または混合溶液の流れの行先変更および分離を提供する。1つの構成では、これは、2つの弁システムがその上で統合された、遠心マイクロ流体プラットフォームを使用する、全血からのヌクレオチド精製(トータルRNA)を容易にするために使用される。
【0109】
第1の構成では、弁100は、弁シート204内に配置され、第1の領域201の断面積よりも大きい断面積を有するチャネル203を通して接続される。
【0110】
図12Aに示されるように、マイクロ流体デバイスのチャネル内に弁組立体を埋め込むことが、チャネルの2つの領域の間にバリアを作成し、PSAの粘着性が、弁組立体を形成するタブをマイクロ流体デバイス内に形成された凹み204に単純に差し込んで、弁を据え付けることによって、個々のマイクロチャネルを閉鎖することを可能にする。ひとたび配置されると、弁のスルーホールは、絶縁されて保たれ、弁は、液体が溶解性フィルム表面に接触するまで、基本的に「閉じられた状態」にある。液体がひとたび界面に圧送されと、決定された時間期間の後、フィルムは、溶解し、弁は、「開いた状態」になり、さらなるポンピングが、弁サイトを通り抜けて液体を進ませる。
【0111】
動作中、流体は、弁100の上流のチャネル201の第1の領域において提供され、弁は、流体が第2のチャネルに流れ込むのを妨げるバリアを提供する。マイクロ流体デバイスは、流体を弁に向かって動作可能に進ませる、流体内に流体フローを誘起するように構成された、駆動メカニズムに結合される。弁が特定の流体と接触すると、弁は、溶解し、その後、流体は、第1の領域から第2の領域に流れる。
【0112】
本発明の教示のこの態様によれば、マルチレイヤ弁内における疎水性膜と溶解性フィルムのレイヤ化は、弁上の特定の流体種類の流れが、弁の特性を変化させるために使用されることができる、調節可能な弁を提供することが認識される。例えば、レイヤ化は、
1.膜
2.溶解性フィルム
である。
【0113】
その場合、最初、水溶液は、弁上を流れるが、その理由は、1次的には、膜が疎水性だからであり、また2次的にすぎないが、ポケット(飛跡エッチ膜内の約0.3μmピット)内に捕えられた気体が存在するからである。通過する第2の流体であるIPAは、膜を湿らせ、その表面の特性を変化させる。変化させられた特性のせいで、水性の第3の流体も、膜を湿らせ、溶解性フィルムと接触する。これは、流体が溶解性フィルムを溶解させ、流体を通り抜けて流れるという結果を生じさせる。
【0114】
弁100が高く立ちすぎると、下側チャネル202への流れをそらせるまたは阻害することができるので、そうならないことを保証するために、弁は、一般に、ステップ204の下に提供される。
図1Cを参照して説明されたものに類似したコンボ弁のこの例では、PSAレイヤ101の上側に、疎水性(PTFE)膜103が存在する。膜は、このスタックの上の第2のPSAレイヤ101および水溶性フィルム102によって覆われる。
【0115】
図12Bは、本発明の教示による少なくとも1つのマルチレイヤ弁を含む、カスケード弁を使用して達成される、別の複雑な分析の例を、具体的には、細胞ホモジネートからのガラスビーズ上での固相ヌクレオチド抽出および全血からの粗抽出を提供するように構成されたシステムを示している。
図12Bに示されるように、チャネルのマイクロ流体ネットワーク1200は、回転可能な基板1201上に製作される。基板は、回転軸1202を有し、当業者によって理解されるように、ディスクの回転は、回転軸1201の近位に配置された流体が、矢印が示す方向に基板の周縁1203へと外側に向かう原因となる。
【0116】
この例では、ガラスビーズのリザーバ1205が、提供される。リザーバは、4つの異なる流体注入口1206、1207、1208、1209に結合される。これら4つの注入口は、チャネル1206、1207、1208、1209の各々を通して、それぞれ、RNA、IPA、EtOH、および水を含む、水溶液の順次的な導入を可能にする。
【0117】
第1の弁1210が、リザーバ1205の下流に提供される。この弁は、望ましくは、上で説明され、
図1Cに詳細に示される種類のコンボ弁として提供される。コンボ弁は、流量制限器1213を介して、第2の弁1211と流体連通して提供され、流量制限器は、
図7を参照して上で説明されたものに類似するサイフォンを生み出す蛇行する流体経路によって提供される。第2の弁1211も、望ましくは、犠牲フィルムを備える。
【0118】
最初に、2つの弁は、閉じられた構成で提供される。RNA水溶液が、流体経路1206を通して、ガラスビーズを有するチェンバ1205内に導入される。酸洗浄されたガラスビーズと接触した後、水相が、コンボ弁1210−詳細については
図1Cを参照−の上で圧力駆動される。この画分中の水が、弁の第1のレイヤを溶解し、PTFE膜の上に留まる。ある角速度を上回ると、液体の流れに対するサイフォン1213によって与えられる圧力が、遠心力によって打ち勝たれ、液体が、第2の弁1211に流れ込んで、それと接触し、それによって、この弁の溶解性犠牲膜を溶解させる。
【0119】
RNA沈殿および洗浄のために使用される、すべての連続する有機相であるIPAおよびEtOHは、疎水性膜を通過して、有機廃棄物チェンバ1221に入るので、サイフォン1213の前で収集される。トータルRNAをビーズから除去するために、流体注入口1209からの1つの最後の洗浄水が、チェンバ1205を通過させられる。この画分中では、トータルRNAが、再懸濁させられる。それは、コンボ弁1210の膜の上を通過し、サイフォン1213を通り、第2の弁1211は、第1の含水相によって開かれており、その結果、液体は、優先的にこの流れ経路を取るので、収集チェンバ1222に入る。第2の溶解性フィルム弁1211は、最初の水相によって開かれたことが認識される。すべての連続する流れは、ビアホール開口を通って、生成物(RNA)収集チェンバ1223内に送られる。
【0120】
誘起される遠心力の方向と実質的に直交する平面内に犠牲膜が配置される、垂直なスタック配列を含む構成は、複雑な弁構成の製造を容易にすることが認識される。そのようなスタック配列を使用して、弁構造内に他の素材を含めることが可能である。例は、製造の複雑さを著しく増加させることなく、同じ方法で統合される、機能性膜を含む。
【0121】
溶解性レイヤの破壊は、本明細書で破裂周波数と呼ばれる、デバイスの回転の周波数で発生することが認識される。
【0122】
そのような特徴は、非常に激しい流体力学的状態に耐えることができる弁技術が、下流の機能を維持しながら、弁の上側の処理を(半径方向に)可能にするので、遠心プラットフォームに対する改善である。例えば、そのような高速における弁の保持は、一連のスピンプロトコルにわたって試薬を貯蔵し、引き止め、オンデマンドで絶好の動作タイミングで開く可能性を示している。これは、全血からの血漿分離または激しい混合および均質化ステップのために高速遠心分離が必要である、臨床診断などの応用例において有益である。上清中に残留する成分を分析または処理するのに必要とされる試薬/緩衝液を保持する弁は、血液成分が分離された後まで持ちこたえることが可能である。
【0123】
本発明の教示との関連における弁を含むマイクロ流体デバイスは、生物学的検定、例えば、臨床的応用における免疫学的検定にも有益である。
【0124】
混合リザーバは、室温では固体であり、高温では(水よりも軽い)流体になる素材などの、相変化素材を提供される。例えば、適切な素材は、パラフィンまたはワックスである。ディスクがスピンしている間に、ディスクの温度を上昇させることによって、そのような素材を融解させ、それによって、計量チェンバ内の流体が、混合リザーバ内の流体を変位させ、その後、混ざり合うことを可能にすることが可能である。そのような高温は、PCR/等温DNA増幅の一部として提供される。
【0125】
犠牲レイヤ弁の使用は、(最大で約1000RPMまで耐えることができるにすぎない、従来の受動弁技法とは対照的に)他のプロセスを妨げることなく、高速回転が実行されることができるので、遠心プラットフォーム上において混合を提供するための先行技術の努力に対する著しい改善を表すことが認識される。
【0126】
上の図には示されていない別の実施形態では、溶解性フィルム技術は、血液分離において使用されることができる。この応用例では、全血が、ディスク上のチェンバ内に導入される。本発明の教示との関連において提供される弁は、血液分離チェンバに接続された出口チャネルの終端に配置される。溶解するのに数分かかる「ゆっくりと溶解する」フィルムレイヤは、遠心沈降中に全血と接触する(高速沈降の下では、プロセスは約3分かかる)。弁と接触した、純粋な分離された血漿は、弁を溶解させ、したがって、それを開く。さらなるポンピングが、ディスク上でのさらなる処理のために、弁サイトを通り抜けて純粋な血漿を進ませる。
【0127】
図12Cは、本発明の教示に従って提供されるさらなる構成を示している。a)デバイスの概略図は、充填チェンバ(L)と、有機廃棄物(W
org)を保持するチェンバ2と、溶出トータルRNAを収集する次のチェンバ(E
aq)と、水性廃棄物(W
aq)を保持するチェンバ4とを示している。疎水性膜弁(HMV)および溶解性フィルム弁(DFV)の位置も、示されている。この構成は、指定されたマイクロ流体ネットワーク内に様々な弁種類を戦略的に配置することによって、複数の、この例では、4つの液体分取の順次的な処理が可能である溶剤選択性ルータを提供することが、本発明の教示に従って、いかにして可能であるかについての例示である。これらの分取は、別々のチェンバ内にオンディスクで自動的に収集される。
図12Cに示されるデバイスは、固相および試薬を充填するためのチェンバ(チェンバL)と、固相抽出プロトコルの第1のステップにおける水性廃棄物(W
aq)のためのチェンバと、第2および第3のステップにおける有機廃棄物(W
org)を収集するためのチェンバと、最終ステップにおける抽出されたRNA(E
aq)を溶出するためのチェンバとの、4つの異なるチェンバを示している。充填チェンバ内には、レーザアブレーションされた100μm幅の放射状の溝が、流れの圧力中でビーズを保持するために提供された。
【0128】
相を別々に収集するために、2つの溶剤固有の弁スキームが、使用される。弁は、
図1を参照して先に説明されたように、2片のPSAを使用して、タブ構造に組み立てられた。第1のものは、有機溶剤に侵されない、溶解性フィルム弁(DFV)であり、すなわち、それは、4つの抽出ステップのうちの2つの間は、すなわち、IPAおよびEtOHの存在下では溶解しない。第2の弁は、有機相の通過を可能にしたが、水の透過を阻み続けた、疎水性膜弁(HMV)であった。この使い捨てのDFVは、ひとたび水と接触すると開いたが、HMVは、無傷のままであり、水が通過するのを妨げた。全部で、ルータは、異なる機能を有する4つの弁(HMV、サイフォン弁、DFV、HM)を利用する。
図12Cに示される水性廃棄物の放出口における疎水性膜(HM)は、2つの役割を果たし、第1に、それは、溶液がチェンバ4から流れ出すのを防止する選択性バリアとして働き、第2に、それは、排出口として働く。周波数作動サイフォン弁は、水性画分を通過させ、IPAおよびEtOHを制限することを可能にし、有機溶剤による汚染のリスクを最小化する。
【0129】
処理時間を短縮すること、およびRNAサンプルの準備中の外部RNaseによる汚染の可能性を低減することの両方のために、試薬および溶出液の指定されたリザーバへの順次的な充填を用いる、固相抽出および精製が、デバイスに統合された。最初に、均質化された生物サンプル(MCF7細胞)からの粗水性抽出物が、充填チェンバ(L)内のビーズ上に導入された。溶液からのRNAは、当技術分野において知られるような、電荷間相互作用の結果として、酸洗浄されたガラスビーズ上に保持された。特定のスピン周波数を使用して、RNA枯渇画分が、サイフォン弁を通して、水性廃棄物チェンバ(W
aq)内に送られた。この流れは、通常は閉じられているDFVを作動させ、それは、垂直チャネルを開き、サイフォン頂部を通過した連続する液体フローをRNA溶出チェンバ内に向かわせる。次に、ディスクが、停止させられ、いずれの残留非結合RNAも沈殿させるために、2−プロパノール(IPA)が、充填チェンバ内にピペットで移された。高い回転周波数(75Hz)では、IPAは、疎水性弁を通って、有機廃棄物チェンバ(W
org)内に進ませられた。エタノールが、連続的に充填され、それは、ビーズから塩をすすぎ落とし、ヌクレオチドを沈殿させる。戦略的に位置付けられて、サイフォンは、その頂部に液体が到達することができる前に、有機溶剤の流れを制限した。最後に、100μLの水性緩衝液が、ビーズからRNAを溶出させるために、オンディスクで導入された。事前に定められた回転周波数の使用が、流体を、HMVの上、サイフォン頂部を経て、開いた垂直チャネルを通して、RNA水性溶出リザーバE
aq内に進めさせた。したがって、溶剤固有の弁が、水性廃棄物および有機廃棄物からの、精製されたRNAを含有する画分の別個の収集を可能にした。これは、本発明の教示に従って提供されるストップゴー検定の例であることが認識される。
【0130】
図12Dは、本発明の教示が、異なる流体の経路指定をどのように提供するかについての例を示している。この構成では、2つの放出口チェンバに分岐を介して接続された充填チェンバを備える、単純な「逆Y」構造が、提供される。これらのマルチレイヤディスクの3次元(3D)アーキテクチャは、異なるチャネルが、別々のレイヤにおいて提供され、溶剤選択性弁のうちの1つを、このケースでは、HMVを使用して封鎖された、垂直スルーホールを介して接続されることを可能にする。このHMVがない場合、すなわち、垂直ビアが開いている場合、液体は、この通路のより低い流れ抵抗のせいで、優先的に左側の収集チェンバに進む。しかしながら、HMVは、水溶液の透過を阻み続け、それによって、流れを右側の収集チェンバに送った。あるいは、有機溶液は、HMVを自由に通過することができ、したがって、左側の収集チェンバに送られた。我々が導入した選択性バリア(DFV、HMV)は、最初の流れの間、チャネルの幾何学的形状に依存しないロバストなシステムを可能にした。基本的に、経路指定は、液体のシーケンスに従うこと、および前進する液体と静止した液体の間に形成される空気ポケット内での圧力バランスを維持することに強く結合された。
【0131】
本発明の教示の弁技術は、希釈機能を実施するためにも使用されることができる。弁は、希釈チェンバに接続された空気チェンバ内に配置される。希釈チェンバ内でサンプルに希釈緩衝液を追加した後、希釈されたサンプルは、空気チェンバ内に進められ、そこで、それは、弁を溶解させて、それを開く。したがって、さらなるポンピングが、さらなる処理のために、弁サイトを通り抜けて液体を進ませる。
【0132】
本発明の教示による弁を使用する別の応用例では、弁は、遠心マイクロ流体プラットフォーム上で完全な検定を実施するために使用される。この応用例では、弁は、最初に血液分離のために、次に試薬緩衝液と全血から抽出された血漿との混合のために使用されるディスク上の異なる位置に順次的に配置される。試薬緩衝液および血漿は、インキュベーションされることが可能にされる。インキュベーションの後、それらは、光学的検出領域に進められ、そこで、捕捉抗体とのインキュベーションおよび光学的検出が、行われる。
【0133】
本発明の教示による弁を使用する別の応用例では、その使用は、オンボード液体貯蔵のためのものである。この応用例では、液体貯蔵チェンバに接続された空気チェンバ内に配置された弁は、液体および蒸気バリアの両方を貯蔵された液体に提供する。液体は、このチェンバ内に、必要なだけ長く、例えば、保存可能期間の間、貯蔵される。液体が使用されることになった場合、ディスクが、空気チェンバの破裂周波数でスピンさせられ、これが、液体を空気チェンバ内に解放し、そこで、それは、弁膜を溶解させる。さらなるポンピングが、さらなる処理のために、弁サイトを通り抜けてそれを進ませる。
【0134】
本発明の教示の生物学的検定への応用を有益に実証する、別の例示的な応用例では、完全に自動化された、均質な、すなわち、溶液相の硝酸塩/亜硝酸塩の蛍光定量的検定を、もっぱら回転周波数プロトコルを通して提供することが可能である。
【0135】
上述のことは、本発明の教示によるDF弁が、ディスク上での弁の半径方向位置によって、広範なスピン速度にわたって調整されることができる幾何学的に良好に定められた破壊周波数において、空気圧縮チェンバ内の捕えられた空気の体積および注入口チャネルの長さを生じるように構成される、本発明の教示の応用例を実証していることができることが認識される。破裂周波数の広い範囲および鋭い精細度のおかげで、本発明の発明者らは、回転のみで作動される溶解性フィルム(DF)ベースの遠心空気弁スキームによって、4つの試薬の順次的な解放を含む、総合的なマルチステップ検定プロトコルを統合し、自動化した。ドナーの全血における臨床的に意義のある濃度で開始する硝酸塩/亜硝酸塩の検出の例示的な応用は、通常のウェルプレート上で検定を実行することによって獲得された結果と定量的に良好に一致する結果を示す。
【0136】
したがって、上述のことから、弁のための本発明の教示によるハイブリッドフィルムの使用が、静止構成および遠心構成の両方を含む、多様なマイクロ流体設計に対して応用を有することが認識される。特に、例えば、混合、血液分離、計量、相分離、希釈、オンボード液体貯蔵などの、遠心ベースのシステムは、溶解性フィルムベースの弁によって強化される。そのような弁の開放を、ネットワーク内の第2の弁の開放によって生み出されるトリガによって達成する、カスケード弁ネットワークの提供は、個々の弁の開放を達成するために追加の外部刺激を必要としない、マイクロ流体ネットワーク内の非常に複雑な弁システムに役立つ。
【0137】
溶解性フィルムを備える弁を提供して、液体フローに対する効率的なバリアを形成することによって、フィルムが液体試薬と接触するまで、デバイスの領域間の封鎖は、完全に維持される。流れを進めさせるのと同じポンピングメカニズムが、弁も作動させるので、弁のそれとは別の作動は、必要とされない。ここで説明された犠牲弁は、例えば、プログラム可能なフロー制御要素として、またオンボード液体試薬貯蔵のための蒸気バリアとして、多様な応用例にとって特に興味深い。本発明の教示との関連において、膜の破裂を引き起こすのは、液体の膜との直接的な接触であることが認識される。液体は、すでに開かれている弁を通って流れず、液体は、弁の開放を引き起こす。このように、液体と膜との間に最初に提供される気体ポケットは、液体の膜との接触を遅延させる。作動プロセス中の気体の圧力の増加は、膜の伸張を引き起こすが、それは、膜の破壊を必ずしも達成するとは限らない。デバイスは、膜が破壊点まで伸張される前に、気体が膜から遠ざかるように変位させられて、液体が膜と接触し、弁の両側間の流体通過路の開放を達成することを可能にするように構成される。膜の伸張は、液体が膜と接触して、膜の溶解を達成するのに必要とする時間期間を短縮するが、液体接触は、必須である。
【0138】
上述のことから、本発明の教示に従って提供される弁は、少なくとも次の点で有利である。
1)大量生産技法との統合が容易である
弁タブは、事前作成され、デバイスの製作/組み立てにおける複数の時点に、システム内に配置されることができる。ワックス弁などの方法とは対照的に、分注のためにワックスを液体温度に保つための、特別な機械は必要とされない。例えば、熱的に制御される反応を実行するための、デバイスの(適度な)加熱も、弁の完全性を損なうことなく可能である。
2)周辺作動メカニズムの必要性を排除する
試薬液体自体の回転制御が、作動のためのメカニズムである。ワックス弁などの方法とは対照的に、例えば、作動のためにワックスを加熱するための、(周辺または他の方法の)特別な機械は必要とされない。液体が最初はポケットによって弁から分離されている変形では、作動は、マイクロ流体チップを通り抜けて液体を進ませるのと同じアクチュエータによって、例えば、ポンプまたは遠心力場によって、実施される。
【0139】
本発明の教示の別の態様によれば、ディスク上でm×n種のサンプル/試薬を検定するために使用されることができる、計量弁およびマイクロチャネルの構成を提供するために有益に利用されることができる、弁構成を提供することが可能である。そのような応用例は、遺伝子型決定および創薬などの生物医学的な応用例との関連において、有利に使用される。
【0140】
上で説明されたものと同様に、マイクロ流体ネットワークは、回転させられるように構成された基板上に提供される。そのような基板は、カートリッジまたはディスクの形態で提供され、基板の回転から生じる誘起された力の結果として、流体は、半径方向外側に圧送され、底部に放出口を有する構造内に捕えられて、計量される。そのような構成を使用して、基板の回転のRPMの増加が、流体が放出口を通って構造から出て行き、集水/混合リザーバに入るという結果を生じさせる、システムを実施することが可能である。この方法は、混合リザーバが、大気に向けて排出される、または大気に対して閉じられている、構成において実施される。それは、複数の混合リザーバがチップ上に存在するシナリオにおいても提供されることができる。そのような実施では、各混合チェンバは、少なくとも2つの計量/弁構造からの供給を受ける。
【0141】
そのような構成の例が、液体の計量と、計量チェンバ1300からサンプルチェンバ1301への液体の分取との組み合わせを提供するように構成された、弁構成を例示する、
図13に示されている。望ましくは、計量チェンバは、流体サンプルチャネル1302内に提供される弁または他の何らかの流れ制御1303のすぐ上流に提供される。
【0142】
図13に示されるように、流体サンプルチャネル1302は、メイン流体チャネル1304から分かれたブランチとして提供される。このように、流体チャネル内を通過する液体は、計量チェンバ1300内に集まり、弁が開かれる時間まで、そこに保持される。計量チェンバの寸法は、後で計量チェンバからサンプルチェンバに分取される、液体の最大体積を定める。
【0143】
1つの構成では、本発明の教示のこの構成は、遠心マイクロ流体ラボオンディスクプラットフォーム上で使用するための、セルロース/紙ベースまたは膜ベースの計量構造を含む、弁構成を提供する。最初は閉じられている構成で弁を提示すると、有限の体積の液体が、弁の上流の計量チェンバ内に集まることが可能にされる。弁の開放は、下流に配置されたサンプルまたは混合チェンバへの、この計量された体積の流れを可能にする。
【0144】
液体を吸収し、最大で、ある圧力バリアまで液体を食い止める、紙または疎水性膜などの犠牲膜を使用して、弁を提供することによって、膜の特性を使用して、弁の開放の時間を決定することが可能である。例えば、ディスクがさらされるスピン速度を増加させることによって、液体は、紙/膜を通り抜けて、混合チェンバ内に入るように強制されることができる。
【0145】
1つの構成では、弁が開かれたときに、ディスクの回転が計量チェンバから混合チェンバへの流体フローを誘起するように、計量チェンバは、混合チェンバよりもディスクの回転軸の近くに配置される。
【0146】
望ましくは、デバイスは、デバイスの異なるレイヤ内に提供される第1の流体チャネル1304Aおよび第2の流体チャネル1304Bを備える、マルチレイヤマイクロ流体デバイスとして提供される。流体チャネルは、計量および分取が組み合わされた構成を提供するように互いに関して構成され、第1および第2の流体チャネルの各々から提供される第1および第2の計量されたサンプルが、検定において使用するために、共通混合チェンバ1301に送られる。
【0147】
図13の例は、マイクロチャネル1304が、図示されていない、2つのリザーバをどのように接続するかについての例を示している。流体は、一方のリザーバから他方に遠心力を介して圧送される。マイクロチャネル内の与えられた地点において、流体は、紙タブ1303と接触する。この紙タブは、部分的に流体にさらされる。ある量の液体が、(紙の吸収度、流体が紙と接触する時間、さらされる紙の表面積、および紙タブの全体サイズ/体積の関数として)吸収され、次に、タブ内に保持される。残りの量の流体は、定められた量の流体をタブ内に残して、下側リザーバへと進み続ける。
【0148】
紙タブが、吸収度を通して、その量の流体をもはや保持することができないように、スピン速度の速度が増加させられる。流体は、紙から、成形されたマイクロチャネル内に、次に、容器1301内にウィッキングする。
【0149】
1つの構成では、複数のレイヤ内のマイクロチャネル/紙タブは、2つ以上の紙タブが、遠心分離状態の下で、混合リザーバと液体によって連結するように構成される。したがって、液体サンプルまたは試薬は、M種の流体サンプルの要素がN種の試薬要素と混合されて、M×N種のサンプル−試薬混合物を作成するように、離散化されることができる。
【0150】
類似の構成要素に対して同じ参照番号が使用される、
図14に示される別の構成では、マイクロチャネルは、特定の量の流体を保持する、小さい集水構造1300を含む。(疎水性または親水性)多孔質膜または(紙などの)吸収性素材が、集水構造の下側部分に配置され、弁1303としての役割を果たす。流体(サンプルまたは試薬)が、1つのリザーバから別のリザーバに圧送される場合、遠心力は、流体を強制的にこれらの膜を通り抜けさせるのに不十分である。しかしながら、遠心力を増加させると、流体は、流体の大部分が混合チェンバ1301に入るように、これらの膜または吸収性素材を通り抜けて進ませられる。
【0151】
別の構成では、計量体積1300が、混合液体よりも低密度の(おそらくは非混合性の)液体によって事前充填される。低い遠心分離率では、表面張力は、検定液体が混合チェンバに入るのを妨げるのに十分である。しかしながら、より高い率では、サンプル/試薬液体と事前充填された流体との間の密度差が、流体が逆流し、サンプル/検定試薬が混合チェンバに入るという結果を生じさせる。
【0152】
別の構成では、個々の混合チェンバのうちの1または複数は、低い温度(<60℃)で相変化(固体から液体)を起こす素材、例えば、パラフィンによって事前充填されることができる。この素材は、流体が計量構造に入ることを妨げるのに使用されることができるが、相変化が起こると、流体と入れ替わり、それらが混ざり合うことを可能にする。特定の検定を実行するために必要な高められた温度状況、例えば、PCRのための予熱、LAMPのための予熱および定温に相変化特性が関連する素材を使用することによって、検定プロトコル内における他の目的で使用される特定の温度状況に弁の開放を結び付けることが可能である。別の構成では、実質的に混合チェンバを占有し、液体が出会うことを妨げる、溶解可能固体またはゲルを使用することが可能である。この溶解可能固体/ゲルは、反応の一部、例えば、ゼリー状にされたPCR試薬であることもできる。
【0153】
これらの構成の各々は、液体を組み合わせ方式で混合することが可能であるという結果を、マイクロチャネルのネットワークに提供するという共通の特徴を共有することが認識される。M×N種の流体要素を勢揃いさせるこの能力は、DNA遺伝子型決定などの領域において大きな応用を有する。この応用例では、流体を注入口チェンバに充填するステップ(M+N回のピペットステップ)が、M×N種の組み合わせ調合液という結果を生じさせるが、従来の液体処理方法では、これには、M×N×2回のピペットステップが必要とされていた。
【0154】
単一のDNAサンプルとともに使用される場合、この手法は、dPCRの分野においても大きな可能性を有する。
【0155】
個々のマイクロチャネルの実際のレイアウトは、基板の回転の方向に平行して走っていない、またはそれに合わされた、経路に従う。例えば、
図15および
図16に示されるように、マイクロチャネルは、螺旋/逆螺旋フォーマットで形成される。
図18に示される別の例では、マイクロチャネルは、マイクロウェルプレートベースの構成で提供される。96ウェルフォーマットの使用は、48×48、24×72などを可能にする。384ウェルフォーマットの使用は、192×192、2つの96×96を可能にする。これは、異なる軸から回転することによって、従来のマイクロウェルプレートと同じフォームファクタに構成されることもできる。
【0156】
マルチレイヤ構成の、示され上で説明されたものなどの、マイクロ流体デバイスを製作することによって、交差を回避するためにレイヤ間を移動するマイクロチャネルを製作することが可能である。
【0157】
個々のマイクロチャネルの複雑なネットワークを使用し、カスケード弁構造の使用を通してこのネットワークを通り抜ける流体の流れを制御することによって、流体の個々の体積を制御可能に計量するための正確な計量システムを所望の時間に所望の場所に提供することが可能である。そのような組立体は、デバイスを流れる液体の制御された流れを可能にする弁からの供給を受ける計量構造を使用して実施される。例えば、流体は、分岐させられ/離散化され、事前に定められた検定プロトコル毎に混合される十分に小さい要素にまたしても分岐させられる。
【0158】
そのような複雑なネットワークは、複数の混合リザーバを含む。リザーバの各々は、1または複数の単一のソースからの供給を受ける。例えば、PCRとの関連においては、単一の回転可能な基板上の混合構成が、m種のサンプル、n種のプライマ/プローブ、およびTaqポリメラーゼマスタミックスの単一のソース)のために提供される。
【0159】
複数の個々の流体経路を提供し、個々の経路間の流体フローを制御することによって、複数の流体ソースから充填される構成を提供することが可能である。1つの構成では、チェンバのための充填カートリッジまたは注入口は、一般に使用されるマイクロ滴定プレートと同様/同一のピッチ(9mmまたは3.5mmピッチ)で並べられる。
【0160】
本発明の教示によれば、デバイス内の液体フローが、1または複数の順次的解放弁構成を使用して制御される、構成を提供することが可能である。加えて、デバイスおよびその内容物を、空間的もしくは時間的熱サイクルまたは等温増幅に委ねることが可能である。これらの技法は、ループ媒介等温増幅(LAMP)およびNASBAなどの、PCR、DNA増幅方法の提供において、有益に利用されることができる。
【0161】
図12を参照して上で説明されたように、セルロース素材は、個々のマイクロチャネルのうちの1または複数内に含まれ、その場合、計量構造として使用される。使用中、流体は、セルロース素材の上を流れ、離散体積が、吸収される。過剰な流体は、次の計量構造/廃棄物へと流れ続ける。遠心分離の速度の増加は、流体を、強制的に紙を通り抜けて下側に向かわせ、混合リザーバに入らせる。
【0162】
図13を参照して説明されたような計量構造を含むネットワークを提供することによって、膜を使用して、計量構造を混合リザーバから分離することが可能である。基板の回転の速度を増加させることによって、流体を強制的にこの膜を通り抜けさせることが可能である。膜は、セルロースまたは紙ベースの素材などの様々な素材から形成される。他の任意の吸収性素材も、使用されることができる。疎水性膜または親水性膜の特性を利用することも可能である。(一般に、0.1μmないし5μmまたは5μmないし50μmの範囲内の)これらの膜の小さい細孔サイズは、従来の遠心マイクロ流体において使用される、開いたチャネルまたは典型的な毛細管弁と比較して、明確に定められ、増加させられた流れ抵抗を、弁に提供する。これらの増加させられた破裂周波数は、遠心力が著しく増加させられるまで、弁が破裂しないことを意味する。この大きいステップ変化は、毛細管破裂弁のディスク上の半径方向位置に対する一般的な依存性が緩和されることを保証する。
【0163】
越流構造を兼務する、計量を提供するこの例では、それを混合リザーバから分離する溶解性フィルムを提供することが可能である。犠牲弁の犠牲膜を参照して上で説明されたものと同様に、特定のRPMにおいて溶解性フィルムが流体と接触することを妨げる働きをする空気ポケットが、提供される。RPMを増加させることによって、流体を強制的に溶解性フィルムと接触させ、それを除去し、液体が混合リザーバに流れ込むことを可能にすることが可能である(
図14)。
【0164】
それを混合リザーバから分離する溶解性フィルムを有する越流構造として、計量構造を提供することも可能である。そのようなシナリオでは、チェンバの寸法は、溶解性フィルムが溶解し、流体が混合リザーバに入ることを可能にする前に、流体が計量構造を満たし、越流を起こすだけの十分な時間を有するように、選択される。そのような構成は、デバイスに印加される動力にいかなる変化もなしに、例えば、ディスクのRPMにいかなる増加もなしに、提供される。
【0165】
本発明の教示は、膜が使用されず、混合チェンバが非混合流体/素材で事前充填される/満たされる構成も提供する。そのような素材は、水性液/水よりも軽い。計量構造と混合チェンバとを結び付けるチャネルの幾何学的形状を慎重に提供することによって、非混合流体の存在は、水性流体が非混合流体を変位させることを妨げるのに十分である。そのような非混合流体の選択肢は、油を含む。油が使用される場合、油は、ひとたび混合チェンバ内に入ると、サンプル流体の蒸発を有利に防止し、または油を背景とした水性液滴の合体のせいで、試薬の改善された混合という結果を生じさせる。これは、PCR遺伝子型決定、またはスクリーニングのためのqPCRなどの技法において、特に有利に利用される。
【0166】
上述の開示は、遠心プラットフォーム上で提供され、1または複数の弁を使用して事前決定された経路を通して選択的に液体を送るように構成された、回転可能なマイクロ流体デバイスの例示的な構成を提供することが認識される。1つの構成では、デバイスは、デバイスの制御弁として機能する作動部材と空気連通する、第1の弁を備える。デバイスは、作動部材の作動が、第1の弁の前または上流に提供される気体スペーサの後退を達成して、液体が第1の弁と接触し、それを溶解させることを可能にするように構成される。望ましくは、作動部材の作動、ならびに第1の弁のその後の溶解および開放は、検定における事前決定された数のステップを反映した、カスケードするイベントを可能にために、イベントトリガされることができる。この順次的な開放は、マイクロ流体デバイス内における液体の流れの選択的な制御を提供する。イベントトリガされる構成との関連において、複数の個々の弁が、同じデバイス上に提供され、あるパラメータまたは満たされた条件に応じて、個別に作動される。
【0167】
例えば、個々の弁が、回転可能デバイスまたはディスクの回転周波数の変化に応答して、律動的に作動される、構成を提供することが可能である。このように、弁作動のタイミングは、弁の性質によって、すなわち、それらが作成される素材、および全体的なディスクアーキテクチャ内でのそれらの向きによって統制されるが、弁が作動する時間は、ディスクスピン速度の変化によって統制される。複数の弁を直列に配置することによって、ディスクスピン速度を使用して、弁をトリガすることが可能である。
【0168】
ハイパス構成に類似していると考えられることができる、1つの構成の例では、制御弁および解放弁の両方によって封鎖された空気チェンバを備える、弁構成が、提供される。解放弁は、先に説明されたものに類似する、溶解性膜を備えることができる。膜は、デッドエンドチェンバ内の奥まった場所に配置され、制御弁は、最初は閉じられた構成で提供されており、液体は、膜を湿らせ、溶解させるほど十分には、空気チェンバに入ることができない。しかしながら、制御弁がひとたび作動されて、開いた構成を取ると、弁は、実際上、破裂弁になり、スピン速度が、臨界周波数を超えて増加しない限り、膜は、湿らせられない。したがって、制御弁の開放は、解放弁を開放可能な状態に置き、または少なくとも、解放弁に呼び水する。これら2つのパラメータが満たされる(制御弁が開かれ、ディスク回転が臨界スピン速度を超える)ことがない限り、解放弁は、開かない。このように、律動的な回転速度でのディスクの回転は、弁のうちの個々の1つを選択的に作動させるために、使用されることができる。
【0169】
図19は、複数(3つ)の弁構成が提供され、3つの弁構成の各々が制御弁および解放弁を備える、そのような例を、概略的な形で示している。両方の弁が封鎖されている場合、液体は、いずれの典型的なディスクスピン速度でも、弁の溶解性フィルムと接触せず、それを開かない。典型的なスピン速度よりも下で、制御弁が開かれた場合、解放弁は、開かない。しかしながら、制御弁が開かれている場合、ディスクスピン速度の増加は、この解放弁の開放を達成する。ディスクの回転速度を律動させることによって、個々の弁が、作動されることができることが、
図19のタイミングシーケンスから明らかである。
【0170】
ローパス構成に類似する別の構成では、回転可能ディスクは、イベントトリガされる流れ制御を実施するように構成される。そのような構成は、拘束された液体と溶解性フィルムを含む解放弁との間に提供される、例えば、古典的なサイフォンの幾何学的形状の形をした、空気チェンバを含む。制御弁が封鎖されている場合、液体は、いずれのスピン速度でも、空気チェンバに入って、溶解性フィルムを溶解させることができない。同様に、制御弁が開かれており、ディスクが臨界周波数よりも上でスピンしている場合、遠心力は、サイフォンの呼び水を妨げるほど十分に強い。ハイパス構成に関して上で説明されたものと同様に、この時点でスピン速度を低下させることによって、制御弁が開かれたサイフォンベースの弁に呼び水することが可能であるが、無傷の制御弁を有するいずれのサイフォン弁も、呼び水されない。電気的クロックのタイミングの喩えを使用すると、弁の作動は、弁がその上で提供されるディスクの回転速度を変化させる、パルス信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジと一致するように、タイミングが取られる。ディスクの回転またはスピン速度の増加は、立ち上がりエッジと同様に、低いレベルから高いレベルへのスピン速度の増加によって達成されると考えられることができる。(マイクロチャネルの形状のせいで素早くプロトタイプされた幾何学的形状にはつきものの)サイフォンと溶解性フィルムとの間への毛細管弁の統合によって、溶解性フィルムがパルスの立ち上がりエッジにおいてのみ湿らせられることを意味し、したがって、さらに優れたプロセス制御を提供する。
【0171】
別の構成では、本発明の教示は、弁を通過させられる異なる液体の順次的な通過によって促進される、選択的な作動メカニズムを備える、弁構成を提供する。また別の構成では、本発明の教示は、デバイスの異なるレイヤ内に提供され、各々が共通の行先に到る第1のチャネルおよび第2のチャネルを備え、統合された計量および分取構成を提供する、マルチレイヤマイクロ流体デバイスを提供する。
【0172】
1つの図を参照して上で説明された要素または特徴は、本発明の教示の範囲から逸脱することなく、別の図と関連付けられた要素もしくは特徴と交換されること、またはそれらとともに使用されることができることが認識および理解される。
【0173】
本明細書において使用される場合の「含む(comprises/comprising)」という語は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するが、1または複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を妨げない。