特許第6360166号(P6360166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6360166リード部品装着機およびリード部品装着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360166
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】リード部品装着機およびリード部品装着方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   H05K13/04 K
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-520833(P2016-520833)
(86)(22)【出願日】2014年5月20日
(86)【国際出願番号】JP2014063285
(87)【国際公開番号】WO2015177854
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】特許業務法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 信幸
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−289193(JP,A)
【文献】 特公平02−049558(JP,B2)
【文献】 特許第3246453(JP,B2)
【文献】 特開平06−037492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B23P 19/00
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード部品が有する2本のリード線を保持して、回路基板に形成された2つの貫通穴に、それぞれ、前記回路基板の一方の側から挿入する部品挿入装置と、
前記2つの貫通穴の各々に挿入された前記2本のリード線の、前記回路基板の他方の側から突出させられた部分である突出部を切断して曲げるカットアンドクリンチ装置と
を含むリード部品装着機であって、
前記リード部品が前記2本のリード線と一体的に設けられた1つの部品本体を有し、
前記部品挿入装置が、(a)前記2本のリード線の各々を両側から挟んで保持する少なくとも一対の爪部と、(b)前記2本のリード線が前記2つの貫通穴にそれぞれ挿入された状態で、前記1つの部品本体を前記回路基板に向かって押し込む押込装置と、(c)その押込装置に、前記1つの部品本体を、前記少なくとも一対の爪部に当接するまで押し込ませる押込装置制御部とを含み、
前記カットアンドクリンチ装置が、前記少なくとも一対の爪部によって前記2本のリード線が保持された状態で、前記2本のリード線の前記回路基板の他方の側からの突出部を切断して曲げるものであるリード部品装着機。
【請求項2】
前記カットアンドクリンチ装置が、前記2本のリード線の各々が、前記回路基板の一方の側の面と前記1つの部品本体との間の部分において前記少なくとも一対の爪部によって両側から挟まれて保持された状態で、前記2本のリード線の前記突出部を切断して曲げるものである請求項1に記載のリード部品装着機。
【請求項3】
前記部品挿入装置が、前記少なくとも一対の爪部を、前記2本のリード線が前記2つの貫通穴に挿入された状態で、前記回路基板の前記一方の側の面に当接させる爪部移動制御部を含む請求項1または2に記載のリード部品装着機。
【請求項4】
前記部品挿入装置が、前記少なくとも一対の爪部を互いに接近・離間させる装置を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリード部品装着機。
【請求項5】
前記部品挿入装置が、前記2本のリード線が前記2つの貫通穴にそれぞれ挿入され、かつ、前記少なくとも一対の爪部による前記2本のリード線の各々の保持強度が設定強度より小さくされた状態で、前記押込装置に、前記1つの部品本体を押し込ませるものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載のリード部品装着機。
【請求項6】
リード部品が有する2本のリード線を保持して、回路基板に形成された2つの貫通穴に、それぞれ、前記回路基板の一方の側から挿入する部品挿入装置と、
前記2つの貫通穴の各々に挿入された前記2本のリード線の、前記回路基板の他方の側から突出させられた部分である突出部を切断して曲げるカットアンドクリンチ装置と
を含み、
前記部品挿入装置が、前記2本のリード線の各々を両側から挟んで保持する少なくとも一対の爪部を含み、前記2本のリード線が、前記少なくとも一対の爪部によって両側から挟まれて保持された状態で前記2つの貫通穴にそれぞれ挿入され、かつ、前記少なくとも一対の爪部による前記2本のリード線の各々の保持強度が、前記2本のリード線の前記爪部の各々に対する摺動を許容する大きさである設定強度まで小さくされた状態で、前記2本のリード線が前記爪部に対して摺動させられつつ、前記リード部品を押し込むものであり、
前記カットアンドクリンチ装置が、前記少なくとも一対の爪部による前記2本のリード線の各々の保持強度が、前記設定強度より大きくされた状態で、前記2本のリード線の前記回路基板の他方の側からの突出部を切断して曲げるものであるリード部品装着機。
【請求項7】
少なくとも一対の爪部が、リード部品が有する2本のリード線の各々を挟んで保持した状態で、前記2本のリード線を回路基板に形成された2つの貫通穴に、それぞれ、前記回路基板の一方の側から挿入する部品挿入工程と、
前記2本のリード線が前記少なくとも一対の爪部によって保持された状態で、前記2つの貫通穴の各々に挿入された2本のリード線の、前記回路基板の他方の側から突出させられた部分である突出部を切断して曲げるカットアンドクリンチ工程と
を含むリード部品装着方法であって、
前記部品挿入工程が、前記リード部品が有する1つの部品本体を、前記回路基板に向かって、前記少なくとも一対の爪部に当接するまで押し込む工程を含み、
前記カットアンドクリンチ工程が、前記部品本体が前記一対の爪部に当接するまで押し込まれた後に、実行されるリード部品装着方法。
【請求項8】
少なくとも一対の爪部が、リード部品が有する2本のリード線の各々を挟んで保持した状態で、前記2本のリード線を回路基板に形成された2つの貫通穴に、それぞれ、前記回路基板の一方の側から挿入する部品挿入工程と、
前記2本のリード線が前記少なくとも一対の爪部によって保持された状態で、前記2つの貫通穴の各々に挿入された2本のリード線の、前記回路基板の他方の側から突出させられた部分である突出部を切断して曲げるカットアンドクリンチ工程と
を含むリード部品装着方法であって、
前記部品挿入工程が、前記2本のリード線が前記2つの貫通穴にそれぞれ挿入された状態で、前記少なくとも一対の爪部による前記2本のリード線の保持強度を、前記2本のリード線の前記爪部の各々における摺動を許容する大きさである設定強度まで小さくする工程と、前記設定強度で前記少なくとも一対の爪部により前記2本のリード線が保持された状態で、前記2本のリード線をそれぞれ前記爪部に対して摺動させつつ、前記リード部品を回路基板に向かって押し込む工程とを含み、
前記カットアンドクリンチ工程が、前記保持強度を前記設定強度より大きくする工程と、前記設定強度より大きくされた保持強度で、前記2本のリード線が前記少なくとも一対の爪部により両側から挟まれて保持された状態で、前記2本のリード線の前記突出部を切断して曲げる工程とを含むリード部品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リード部品を回路基板に装着して電子回路を組み立てるリード部品装着機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、リード部品のリード線を、回路基板の貫通穴に一方の側から挿入する部品挿入装置と、リード線の回路基板の他方の側から突出させられた突出部を切断して曲げるカットアンドクリンチ装置とを備えたリード部品装着機が記載されている。
特許文献1に記載のリード部品装着機においては、アキシャルリード部品のリード線が、部品本体の両側に対向する部分においてチャックにより保持されて貫通穴に挿入される。チャックによりリード線と部品本体とが保持された状態で、他方の側からリード線の突出部が切断されて曲げられる。特許文献2に記載のリード部品装着機においては、リード部品のリード線が一対の爪部によって挟まれた状態で保持されて、貫通穴に挿入される。その後、一対の爪部による保持が解除されるとともに押込装置により部品本体が下方へ押し込まれる。部品本体が押込装置により押し込まれた状態で、リード線の突出部が切断されて曲げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−175696号公報
【特許文献2】特開2002−261493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、リード部品のリード線がカットアンドクリンチされる場合に、リード部品が受ける負荷を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るリード部品装着機においては、リード線が爪部によって両側から挟まれた状態で、カットアンドクリンチされる。
カットアンドクリンチ作動に起因してリード線に引張力が加えられるが、リード線が爪部によって両側から挟まれた状態にあるため、引張力がリード部品の部品本体側に伝達され難くされる。その結果、部品本体のリード線の取付部に加えられる引張力を小さくすることができるのであり、リード部品が受ける負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態であるリード部品装着機を示す斜視図である。本リード部品装着機において、本発明の一実施形態であるリード部品装着方法が実施される。
図2】上記リード部品装着機に含まれるカットアンドクリンチ装置と基板搬送装置の斜視図である。
図3】(a)上記カットアンドクリンチ装置に含まれるカットアンドクリンチユニットの斜視図である。(b)上記カットアンドクリンチユニットの一部断面図である。
図4】上記リード部品装着機に含まれる部品挿入装置を示す斜視図である。
図5】(a)上記部品挿入装置の作業ヘッドに取り付けられたチャックの側面図である。(b)上記チャックの背面図である。(c)上記チャックの正面図である。
図6】上記リード部品装着機の制御装置を概念的に示すブロック図である。
図7】(a)〜(c)上記チャックとカットアンドクリンチ装置の作動図である。
図8】上記カットアンドクリンチ装置によりカットアンドクリンチが行われる場合にリード部品Aに作用する力を示す図である。
図9】(a)上記作業ヘッドに取り付けられた別のチャックを示す側面図である。(b)上記チャックの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、本発明は、下記実施形態の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
図1に示すように、自動組立装置の一種であるリード部品装着機は、(a)組立装置本体10,(b)基板搬送装置12,(c)部品供給装置14,(d)部品挿入装置16,(e)カットアンドクリンチ装置18等を含む。
基板搬送装置12は、回路基板P(以後、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものである。図1において、xは基板搬送装置12による基板Pの搬送方向であり、yは基板Pの幅方向であり、zは基板Pの厚み方向、すなわち、リード部品装着機の上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。
【0008】
部品供給装置14は、基板Pに装着される部品を供給するものであり、例えば、複数のテープフィーダを含むものとしたり、複数のトレイを含むものとしたりすること等ができる。本実施形態においては、複数のリード線と部品本体とが一体的に形成されたリード部品が供給される。
部品挿入装置16は、基板搬送装置12の上方に設けられたものであり、部品供給装置14において供給されたリード部品を受け取って、リード部品のリード線を基板搬送装置12に保持された基板Pに形成された複数の貫通穴のうち予め定められた位置に設けられた貫通穴に挿入するものである。部品挿入装置16については後述する。
【0009】
カットアンドクリンチ装置18は、基板搬送装置12の下方に設けられたものであり、基板Pに形成された複数の貫通穴のうちの予め定められた貫通穴に上方(一方の側)から挿入されたリード部品のリード線の基板Pの下方(他方の側)から突出した部分を所定の長さに切断するとともに、基板Pの裏面に沿って曲げることにより、リード部品を基板Pに仮止めする装置である。カットアンドクリンチ装置18は、図2,3に示すように、カットアンドクリンチユニット20と、カットアンドクリンチユニット20を移動(直線移動と回転とを含む)させるユニット移動装置22とを含む。
【0010】
カットアンドクリンチユニット20は、図3(a)に示すように、(a)ユニット本体28、(b)ユニット本体28に水平方向に直線的に移動可能に保持された一対の第1可動部30a,b、(c)第1可動部30a,bの各々に、水平方向に相対移動可能に保持された一対の第2可動部32a,b、(d)ユニット本体28に設けられ、一対の第1可動部30a,bを互いに接近・離間させることにより、これら一対の第1可動部30a,bの間隔(ピッチ)を変更するピッチ変更装置34、(e)第2可動部32a,bをそれぞれ第1可動部30a,bに対して相対移動させる可動刃駆動装置36a,b等を含む。
【0011】
一対の第1可動部30a,bは、図3(b)に示すように、鉛直方向に延びるリード線挿入穴38a,bを有する。リード線挿入穴38a,bは、第1可動部30a,bの上端面に開口を有し、その開口縁が固定刃40a,bとされる。それに対して、第2可動部32a,bの上端部は概してL字形状を成し、上方に延びた部分とほぼ直角に曲げられた部分とを有する。その直角に曲げられた部分である刃形成部44a,bは、第1可動部30a,bの上端面の上方に位置し、リード線挿入穴38a,bの開口に対向する部分に、上下方向に貫通したリード線案内穴46a,bが形成される。刃形成部44a,bのリード線案内穴46a,bの下端開口縁が可動刃48a,bとされる。一対の第2可動部32a,bが可動刃駆動装置36a,bにより互いに接近、離間させられることによりリード線挿入穴38a,bに延びたリード線が切断されるとともに、折り曲げられる。
ユニット移動装置22は、図2に示すように、カットアンドクリンチユニット20を、x方向に移動させるx方向移動装置52、y方向へ移動させるy方向移動装置53、z方向へ移動させるz方向移動装置54、鉛直線回りに回転させるθ回転装置55等を含む。
【0012】
部品挿入装置16は、図4に示すように、2つの作業ヘッド60,61および作業ヘッド移動装置62を含む。作業ヘッド移動装置62は、x方向移動装置64,y方向移動装置65およびz方向移動装置66,67を含む。作業ヘッド60,61は、x方向移動装置64およびy方向移動装置65により水平面内の任意の位置へ一体的に移動させられ、z方向移動装置66,67によりそれぞれ、個々に独立してz方向に移動させられ得る。2つの作業ヘッドのうちの一方の作業ヘッド60は、リード部品を保持する部品保持ツール68(例えば、チャックや吸着ノズル等とすることができる)を備えたものである。なお、カメラ70は作業ヘッド60と一体的に移動可能に設けられる。
【0013】
本実施例においては、リード部品保持ツール(リード部品実装ツールと称することもできる)として、図5(a)〜(c)に示すチャック68が取り付けられる。リード部品Aはラジアルリード部品であり、2本のリード線La,bが平行に部品本体hに取り付けられたものである。チャック68は、リード部品Aの2本のリード線La,bを、これら2本のリード線La,bが並ぶ方向の両側から挟んで保持するものである。チャック68は、(a)チャック本体72、(b)チャック本体72に回動可能に取り付けられた一対の爪部74a,b、(c)一対の爪部74a,bを回動させる回動装置76、(d)リード部品Aを押し込む押込装置78等を含む。
【0014】
爪部74a,bは、概してL字型を成し、z方向に延びた基端部80a,bと、基端部80a,bからほぼ水平方向に延び出した保持部82a,bとを有する。図5(a)に示すように、平面視において、保持部82a,bの互いに対向する側の一方(本実施例においては、保持部82bの保持部82aに対向する側)に凸状に凹んだ凹部83bが形成され、リード線La,bが、凹部83bに収容された状態で、一対の保持部82a,bによって挟まれた状態で保持される。詳細には、凹部83bを構成する2つの面83p,qと他方(保持部82aの保持部82bに対向する側)の面83aとがリード線La,bの接面とされるのであり、リード線La,bと3つの接面83p,q,83aとの間の摩擦力により保持されるのである。
【0015】
回動装置76は、図示しない駆動源としてのエアシリンダと、回動機構84とを含む。回動機構84は、(a)水平方向に延び、エアシリンダの出力部材としてのロッドに固定的に設けられた駆動部材85、(b)駆動部材85の両端部に相対回動可能に連結された2つの第1部材86p,q、(c)概してL字状を成し、それぞれの一端部において2つの第1部材86p,qに回動可能に連結され、他端部において爪部74a,bが一体的に回動可能に固定され、中間部においてチャック本体72に設けられた回動軸87に回動可能に連結された第2部材88p,q等を含む。
エアシリンダにより駆動部材85がz方向に移動させられると、第2部材88p,qが回動軸87の回りに回動させられ、一対の爪部74a,bが接近・離間させられる。駆動部材85を上方へ移動させることにより、一対の爪部74a,bが互いに接近させられ、下方へ移動させることにより、一対の爪部74a,bが互いに離間させられる。エアシリンダへのエアの供給状態を制御することにより、一対の爪76a,bの接近・離間が制御される。
【0016】
押込装置78は、(a)チャック本体72にz方向に移動可能(昇降可能)に設けられた押込装置本体90と、(b)押込装置本体90の下端部に取り付けられた押圧部材92と、(c)押込装置本体90をチャック本体72に対して昇降させる昇降装置94とを含む。昇降装置94は、例えば、図示しない駆動源としてのエアシリンダと、チャック本体72と押込装置本体90との間に設けられた一対のガイド機構96r,sとを含むものとすることができる。ガイド機構96r,sは、チャック本体72、押込装置本体90の水平方向の両端部に設けられ、z方向に延びた長孔97r,sと、チャック本体72に取り付けられた2つずつの係合突部98r,sとを備え、長孔97r,sと係合突部98r,sとが互いに相対移動可能に係合させられる。駆動源であるエアシリンダにおけるエアの供給状態を制御することにより、本体90をガイド機構96r,sに沿って昇降させ、押圧部材92を昇降させることができる。
なお、回動装置76、昇降装置94は、駆動源としてエアシリンダに限らず、電動モータを含むものとすること等もできる。
【0017】
リード部品装着機は、図6に示すように、コンピュータを主体とするメイン制御装置100によって制御される。メイン制御装置100にはコンピュータを主体とする部品供給制御部102,基板搬送制御部104,部品挿入制御部106およびカットアンドクリンチ制御部108等が互いに通信可能に接続されている。これら制御部102〜108は、前述の部品供給装置14,基板搬送装置12,部品挿入装置16,カットアンドクリンチ装置18をそれぞれ制御する。
なお、リード部品装着機において、部品供給装置14等の各装置毎に制御部が設けられることは不可欠ではなく、メイン制御装置100の指令に基づいてすべての装置が制御されるようにすることができる等、制御装置の構成は本実施形態におけるそれに限らない。
【0018】
リード部品装着機においては、基板搬送装置12によって搬送された基板Pの上方から、部品挿入装置16によってリード部品Aの2本のリード線La,bが、基板Pの予め定められた位置に形成された2つの貫通穴Qa,bに挿入される。一方、カットアンドクリンチ装置18により、基板Pの下方から2本のリード線La,bが所定の長さで切断されて、曲げられる。
<特許文献2に記載のカットアンドクリンチ作動>
特許文献2に記載のリード部品装着機においては、図8(a)、(b)に示すように、リード部品Aの部品本体hが押込装置78により基板Pの上面S1に当接するまで押し込まれ、その状態で、カットアンドクリンチが行われる。カットアンドクリンチ装置18において、第2可動部32a,bが水平方向へ移動させられる。固定刃40a,bと可動刃48a,bとによりリード線La,bが切断され、第2可動部32a,bのリード線案内孔46a,bの開口周辺部と基板Pの下面S2とによりリード線La,bが曲げられる。しかし、第2可動部32a,bの上端面は基板Pの下面S2に近接した位置にある。また、リード線La,bには厚み(径)があり、貫通穴Qa,bとの間に隙間がある。そのため、リード線La,bが曲げられる場合に、リード線La,bに下向きの引張力が作用する一方、基板Pには上向きの押上力Fupが作用し、部品本体hに上向きの押上力Fupが作用する。そのため、部品本体hのリード線La,bの取付部周辺には下向きの大きな力が作用するのであり、リード部品Aに大きな負荷が加えられる。例えば、部品本体hの強度が弱い場合には部品本体hの取付部周辺等が破損することがある。また、部品本体hに対するリード線La,bの取付強度が弱い場合にはリード線La,bが外れることがある。
【0019】
<本実施例におけるカットアンドクリンチ作動>
それに対して、本実施例においては、図7(a)〜(c)に示すように、チャック68によりリード線La,bが基板Pより上方の部分において両側から挟まれた状態で、カットアンドクリンチが行われる。
(1)図7(a)に示すように、チャック68により基板Pの予め定められた位置に形成された2つの貫通穴Qa,bにリード線La,bがそれぞれ挿入された後、チャック68が、一対の爪部74a,bの保持部82a,bの下面が基板Pの上面S1に当接するまで下降させられる。リード線La,bは、カットアンドクリンチ装置18のリード線案内孔46a,bを経てリード線挿入穴38a,bに達する。
(2)回動装置76の制御により一対の爪74a,bの回動角度がわずかに大きくされる。一対の爪部74a,bによるリード線La,bの保持が緩められるのであり、保持強度が設定強度以下、すなわち、リード線La,bの爪部74a,bに対する相対移動(摺動)を許容する大きさとされる。図7(b)に示すように、押込装置78の制御により押圧部材92が下方へ移動させられる。リード線La,bが保持部82a,bに対して摺動させられつつ、部品本体hの下面が爪部74a,bの保持部82a,bの上面に当接するまで、リード部品Aが下方へ移動させられる。
(3)回動装置76の制御により一対の爪部74a,bの回動角度が小さくされ、リード線La,bが強固に保持される。一対の爪部74a,bによる保持強度が、カットアンドクリンチ作動に起因して、リード線La,bの保持部82a,bに対する相対移動(摺動)が良好に抑制される大きさとされる。
【0020】
(4)図7(c)に示すように、カットアンドクリンチ装置18により、リード線La,bが切断されるとともに曲げられる。この場合において、基板Pには押上力Fupが作用するとともにリード線La,bには引張力Fpが加えられるが、リード線La,bが一対の爪部74a,bにより挟まれて保持された状態にあるため、引張力Fpが部品本体側へ、換言すれば、リード線La,bの部品本体hに対する取付部へ伝わり難くされる。また、爪部74a,bの保持部82a,bには基板Pから押上力Fupが作用するが、押上力Fupは爪部74a,b、回動機構84を介してチャック本体72において受けられる。その結果、押上力Fupが部品本体hに伝達され難くされる。
このように、一対の爪部74a,bによりリード線La,bが挟まれた状態で、カットアンドクリンチが行われるため、リード線La,bの部品本体hへの取付部周辺に作用する力を小さくすることができ、リード部品Aに加えられる負荷を軽減することができる。
それにより、リード線La,bの部品本体hへの取付強度が弱いものであってもリード線La,bが部品本体hから外れ難くすることができる。また、部品本体hの強度が小さいものであっても部品本体hが取付部周辺において破損し難くすることができる。
さらに、部品本体hが脆く、押込装置78によって部品本体hを押し込むことが困難である場合であっても、一対の爪部74a,bによってリード線La,bが保持された状態でカットアンドクリンチが行われるため、カットアンドクリンチ作動時にリード部品Aが傾くことを回避し、リード部品Aの姿勢を維持した状態でカットアンドクリンチを行うことができる。
【0021】
(5)カットアンドクリンチが終了した後、押圧部材92は上方へ移動させられ、一対の爪74a,bが開かれ、リード線La,bの保持が解除される。部品本体hは爪部74a,bの厚み分だけずり落ちる場合があるが、ずり落ちる量は少ない。また、カットアンドクリンチ作動の後、はんだ付け等が行われることにより、隙間が埋められる場合もある。
【0022】
本実施例においては、部品挿入制御部106等により爪部移動制御部、押込装置制御装置が構成される。また、図7(a)に示す上記(1)の作動が部品挿入工程に対応し、図7(c)に示す上記(4)の作動がカットアンドクリンチ工程に対応する。
【0023】
リード部品保持ツールは、図9(a)、(b)に示す構造を成したものとすることもできる。
本実施例においては、リード部品保持ツールとしてチャック110が取り付けられる。チャック110はスライド型のものであり、(a)互いに接近・離間可能な一対の爪部112a,b、(b)一対の爪部112a,bの間に位置するスペーサ114、(c)一対の爪部112a,bを接近・離間させる接近・離間装置116、(d)押込装置118等を含む。接近・離間装置116は、図示しないエアシリンダ等の駆動源と、駆動源により水平方向へ互いに接近・離間させられる一対のスライダ120a,b等とを含み、一対のスライダa,bに、爪部112a,bがそれぞれ一体的に移動可能に取り付けられる。スペーサ114は、図9(a)に示すように、リード部品Aの2本のリード線La,bの間に位置するものであり、スペーサ114の幅はリード部品Aのリード線La,bの間隔に対応する大きさのものである。スペーサ114は、リード部品Aの形状に適したものが取り付けられる。
また、本実施例においては、図9(a)に示すように、平面視において、一対の爪部112a,bのスペーサ側には、それぞれ凸状の凹部が設けられ、リード線La,bは、凹部に収容された状態で、爪部112a,bとスペーサ114とにより保持される。2本のリード線La,bが、それぞれ、スペーサ114と爪部112a,bとにより、すなわち、2対の爪部(112a、114)、(112b、114)により両側から挟まれた状態で保持されるのである。
【0024】
なお、本リード部品装着機によって装着されるリード部品の形状は問わない。例えば、3本以上のリード線を有するものであってもよい。その場合においては、3本以上のリード線のうちの2本が一対または2対の爪部によって挟まれて保持された状態でカットアンドクリンチされる。
また、リード部品のリード線が短い場合等にはカットアンドクリンチ装置により、リード線が切断されることなく、曲げられる場合もある。カットアンドクリンチ装置が有する切断部にリード線が達しない場合には、そのリード線は切断されることなく曲げられるのである。
【符号の説明】
【0025】
16:部品挿入装置 18:カットアンドクリンチ装置 30:第1可動部 32:第2可動部 68:チャック 74a,b:爪部 76:回動装置 78:押込装置 82a,b:挟持部 112a,b:爪部 114:スペーサ
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