(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360178
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】リソグラフ印刷版の提供方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/00 20060101AFI20180709BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20180709BHJP
G03F 7/039 20060101ALI20180709BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20180709BHJP
G03F 7/32 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
G03F7/00 503
G03F7/004 507
G03F7/039
G03F7/027 502
G03F7/32
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-546159(P2016-546159)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2016-533541(P2016-533541A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2014070760
(87)【国際公開番号】WO2015055409
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年4月5日
(31)【優先権主張番号】13188632.7
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507253473
【氏名又は名称】アグファ・ナームローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】AGFA NV
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】カラント,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ステーナツケルス,マリン
(72)【発明者】
【氏名】ベルブリユツゲ,サム
【審査官】
高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−204261(JP,A)
【文献】
特開平07−013330(JP,A)
【文献】
特開2003−084432(JP,A)
【文献】
特開2005−047181(JP,A)
【文献】
特開2006−015740(JP,A)
【文献】
特開2004−314471(JP,A)
【文献】
特開2011−237780(JP,A)
【文献】
特開2008−015504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)リソグラフ印刷版前駆体を画像様曝露する段階であって、該印刷版前駆体は親水性支持体およびその上に提供される着色剤前駆体を含んでなるコーティングを含んでなり、それにより印刷領域および印刷しない領域よりなるリソグラフ画像を形成する段階;ならびに
b)3.0ないし10.0のpHを有しかつ界面活性剤を含んでなる溶液によって版前駆体を現像して、それにより印刷しない領域のコーティングを支持体から除去する段階;ならびに
c)版前駆体を乾燥する段階;ならびに
d)リソグラフ版を熱若しくは放射にさらしてそれにより印刷領域のコーティングの色変化を誘発する段階を含んでなり、
ここで
−段階b)の前に、印刷しない領域のコーティングおよび支持体は、5.0若しくはそれ未満であるCIE 1976色差ΔE1を特徴とし;
−段階d)の後に、現像により現れる印刷領域のコーティングと支持体の間のCIE 1976色差ΔE2が6.8より上である、
リソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項2】
段階d)後に印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間のΔE2が13.6より上
である、請求項1に記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項3】
段階d)後に印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間のΔE2が20.4より上
である、請求項1または2に記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項4】
溶液が4.0ないし9.0のpHを有する、請求項1ないし3のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項5】
溶液がゴム現像剤である、請求項1ないし4のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項6】
段階d)の放射がUV放射である、請求項1ないし5のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項7】
UV放射が1個若しくはそれ以上のLEDにより発射される、請求項6に記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項8】
段階d)の放射がIR放射である、請求項1ないし5のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項9】
リソグラフ印刷版前駆体が増感色素を含んでなり、該増感色素が350nmから450nmまでの波長範囲に吸収極大を有する、請求項1ないし8のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項10】
リソグラフ印刷版前駆体が増感色素を含んでなり、該増感色素が700nmから1200nmまでの波長範囲に吸収極大を有する、請求項1ないし9のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項11】
版前駆体がネガティブ作用性である、請求項1ないし10のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項12】
コーティングが、増感色素、ラジカル重合開始剤、ラジカルで重合可能な化合物および結合剤ポリマーを含んでなる、請求項11に記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【請求項13】
版前駆体がポジティブ作用性である、請求項1ないし10のいずれかに記載のリソグラフ印刷版の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像化印刷版前駆体の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフ印刷は、典型的に、輪転印刷機の胴上に据え付けられる印刷版のようないわゆる印刷マスターの使用を必要とする。該マスターはその表面上にリソグラフ画像を担持し、そして、印刷物は、前記画像にインクを塗布すること、およびその後該インクをマスターから典型的には紙である受領体素材上に転写することにより得られる。慣習的リソグラフ印刷において、インクならびに水性湿し水(給湿液ともまた呼ばれる)が、親油(若しくは疎水性、すなわちインクを受容し水をはじく)領域ならびに親水(若しくは油分をはじく、すなわち水を受容しインクをはじく)領域よりなるリソグラフ画像に供給される。いわゆるドリオグラフ(driographic)印刷において、リソグラフ画像は、インクを受容するおよびインクがすべりやすい(インクをはじく)領域よりなり、そしてドリオグラフ印刷中はインクのみがマスターに供給される。
【0003】
リソグラフ印刷マスターは、一般に、リソグラフ支持体上の放射線感受性層の画像様曝露および処理により得られる。画像化および処理は、いわゆるリソグラフ印刷版前駆体を印刷版若しくはマスターに描画する。典型的にはレーザーのようなディジタルで調節される曝露装置による、放射線感受性コーティングの熱若しくは光への画像様曝露が、アブレーション、重合、ポリマーの架橋による若しくは熱可塑性ポリマーラテックスの粒子凝集による不溶化、分子間相互作用の破壊による若しくは現像障壁層の浸透性を増大させることによる可溶化のような(物理)化学的過程を誘発する。数種の版前駆体は曝露直後にリソグラフ画像を生じることが可能であるとは言え、最も一般的なリソグラフ版前駆体は湿処理を必要とする。当該曝露が、コーティングの曝露されるおよび曝露されない領域の間の
現像剤(developer)の溶解性の差違若しくは溶解速度の差違を生じるためである。ポジティブ作用性リソグラフ版前駆体において、コーティングの曝露される領域が
現像剤に溶解する一方、曝露されない領域は
現像剤に抵抗性のままである。ネガティブ作用性リソグラフ版前駆体において、コーティングの曝露されない領域は
現像剤に溶解する一方、曝露される領域は
現像剤に抵抗性のままである。大部分のリソグラフ版前駆体は親水性支持体上に疎水性コーティングを含有し、その結果
現像剤に抵抗性のままである領域が、該版のインクを受容する、これゆえに印刷領域を規定する一方、親水性支持体は、印刷しない領域での
現像剤へのコーティングの溶解により現れる。
【0004】
生じるリソグラフ印刷版を、それらを印刷機に据え付ける前に画像の解像度および詳細なレンダリング(通常光学式濃度計で測定される)のような画質について評価することが可能であるために、リソグラフ印刷版前駆体は放射線感受性コーティング中に着色剤(染料若しくは色素)を含有する。こうした着色剤は画像と親水性支持体(コーティングが除去されている)の間のコントラストを提供する。画質の評価を可能にすることのほかに、画像と親水性支持体の間の高いコントラストが、画像の鮮明さ(解像度)および存在する画像中の色の正しいレンダリングを確実にするために、多色印刷における多様な印刷版の良好な画像レジストレーション(アライメント)を得るために必要とされる。
【0005】
処理後に目に見えかつ測定可能である画像部分を有する印刷版を生成するために十分な着色を伴うコーティングを含有するオフセットリソグラフ印刷版前駆体が、
現像剤ユニット、リンスユニットおよびゴム引き(gumming)ユニット内に着色染料若しくは色素のかなりの汚染物質を残し得ることは、公知の現象である。染料残滓は、
現像剤、リンス溶液若しくはゴムである処理溶液を着色させ、そしてそれほど容易に除去され得ない。ある量のリソグラフ印刷版前駆体を処理した後、処理溶液中の着色剤の蓄積は非常に濃い着色した溶液につながり、それは、最終的に、処理溶液の活性がなお十分でありながら操作者による時期尚早の交換に至ることがある。これは顧客の場所での増大された量の廃棄物に至る。印刷版前駆体の処理を1つの単一段階で実施する場合、単一の処理溶液が、印刷しない領域のコーティングを主に除去することにより画像化印刷版前駆体を現像するため、およびまた版表面全体にわたり保護層すなわちゴムコーティングを提供するための双方に使用される。この点に関して、印刷しない領域は版表面上に残される着色したゴムにより着色される傾向がある。加えて、パンチベンダーへのコンベヤのストリート(street)およびベルトの着色したゴムによる汚染が観察され得る。また版スタッカーも視覚的に汚されたようになる。さらに、濃い着色された処理溶液と接触する処理装置部品は、処理溶液の溶媒の蒸発後に着色した残滓の蓄積を示す。これは全部、処理設備の高頻度の洗浄を必要とする。
【0006】
高温酸発生装置の存在下で着色されたようになるロイコ染料から得られるコントラストを提供する着色剤の使用は、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記述されている。ネガティブ作用性印刷版前駆体の印刷領域の着色は、版前駆体のオンプレス現像を実施する前の画像の良好な可視性を得るために、画像様曝露により開始される。これゆえ、印刷版は全部、処理装置中でアルカリ現像を受けることを伴わないオンプレス現像のため設計される。この溶液は、しかしながらポジティブ作用性リソグラフ印刷版前駆体と適合性でない。放射線感受性コーティングの曝露される部分が
現像剤に溶解され、そしてなお
現像剤およびリンス溶液の着色を生じるとみられるからである。さらに、印刷領域のコーティングは、それがレーザーにより曝露されないため着色されず、そして結果として不良な画像コントラストが得られる。
【0007】
かように、印刷版前駆体の処理による処理溶液の着色に関する問題を引き起こすことなく、ポジティブおよびネガティブ作用性リソグラフ印刷版中でカラー画像コントラストを提供する必要性が存在する。
【0008】
画像化リソグラフ印刷前駆体中のカラーコントラスト画像は、特許文献4に開示されるところの無色の形態の光発色化合物を含有する着色溶液と画像化前駆体を接触させることにより処理後に得ることができる。画像化前駆体の親油性表面に付着された残留量の本化合物は、UV光に曝露される場合にその着色した形態に変化され得る。この溶液は、しかしながら、着色溶液を含有するための余分のタンクを有する処理装置を必要し、それは処理装置の費用および複雑さを増大させる。
【0009】
特許文献5において、画像化かつ処理された前駆体に着色液を塗布することによるリソグラフ印刷版の画像とバックグラウンドの間のコントラストの改良方法が提供される。またこの場合も、着色されていなければならない付加的な処理溶液が版作成工程中に必要とされる。
【0010】
特許文献6および特許文献7は、曝露および現像後のベークに際して色変化を受ける染料を含有する放射線感受性組成物を開示する。該色変化は、加熱が十分になされたかどうかの指標を得るためである。全部の放射線感受性組成物は、しかしながら着色剤を損なうのであって、それは
現像剤の強い着色につながることができる。
【0011】
特許文献8は、加熱される場合に色を変えることができる色素および染料を含んでなる放射線感受性の画像化可能な層をその上に有する画像化可能な要素を特許請求する。この組合せは、同時に、目視点検のための印刷版の高い視覚的画像コントラストおよび色密度の低下によるポストベーク段階の指標を与える。画像化可能な層の高い視覚的コントラストは
現像剤の強い着色につながることができる。
【0012】
特許文献9および特許文献10は、画像様加熱直後に目に見える画像を提供することが可能であるネガティブ作用性感熱リソグラフ印刷版前駆体を記述する。このいわゆる「プリントアウト画像」は、印刷版前駆体の現像前に形成され、そして現像段階前の印刷版前駆体の品質管理を可能にする。
【0013】
特許文献11において、画像曝露後の光への全体的曝露および放射線感受性要素の現像段階を含んでなるリソグラフ印刷版の製造方法が開示される。全体的曝露中の重合反応に対するいかなる阻害効果も予防する、酸素を遮断するある量の
現像剤による感光層の被覆は、生じる印刷版の良好な現像特性および優れた印刷耐久性につながる。
【0014】
特許文献12は、赤外線放射画像化ネガティブ作用性リソグラフ印刷版前駆体を、9未満のpHを有しかつUV光開始剤を含んでなる処理溶液と接触させること、次いで生じる版の画像化感度および印刷寿命を増大させるためのUV放射での洪水様(flood−wise)曝露による、リソグラフ印刷版を得る方法を記述する。UV光開始剤の存在下の前駆体のUV放射での洪水様曝露は、放射線感受性層をさらに重合してそれにより前駆体の感度および版の画像領域のコーティングの堅さを改良するための後処理と見られるべきである。処理溶液の着色を低減するための溶液は提供されない。
【0015】
処理溶液の着色に関する問題を引き起こすことなくネガティブおよびポジティブ作用性リソグラフ印刷前駆体から製造されるリソグラフ印刷版の画像とバックグラウンドの間のコントラストを提供するための改良された手段に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】第US 7402374号明細書
【特許文献2】第US 7425406号明細書
【特許文献3】第US 7462440号明細書
【特許文献4】第US 20120045720 A号明細書
【特許文献5】第US 20100316956 A号明細書
【特許文献6】第EP 0419095 A号明細書
【特許文献7】第EP 0127477 A号明細書
【特許文献8】第WO2010/101632A号明細書
【特許文献9】第WO2006/005688A号明細書
【特許文献10】第EP1614541A号明細書
【特許文献11】第EP 1865382 A号明細書
【特許文献12】第US 2010/0310989 A号明細書
【発明の概要】
【0017】
従って、ポジティブ若しくはネガティブ作用性印刷版前駆体を処理することに際して処理溶液の低下された着色のための溶液を提供しかつこれゆえに印刷版の印刷および印刷しない領域の間の高い画像コントラストを保存することが、本発明の一目的である。該目的は、a)リソグラフ印刷版前駆体を画像様曝露する段階であって、ここで該印刷版前駆体は親水性支持体および着色剤前駆体を含んでなるコーティングを含んでなり、印刷領域および印刷しない領域よりなるリソグラフ画像を形成し、該印刷しない領域および支持体は5.0若しくは未満であるCIE 1976 色差ΔE
1を特徴とし;b)版前駆体を現像してそれにより印刷しない領域のコーティングを支持体から除去する段階;c)版前駆体を乾燥する段階、ならびに最後にd)リソグラフ版を、印刷領域のコーティングの色変化を誘発する熱若しくは放射にさらして、6.8以上の印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間のCIE 1976色差ΔE
2を得る段階、を含んでなる、リソグラフ印刷版の作成方法により達成された。
【0018】
本発明の他の顕著な特徴、要素、段階、特性および利点は、本発明の好ましい態様の以下の詳細な記述からより明らかになるであろう。本発明の特定の態様は、付随する請求項にもまた定義されている。
【0019】
[発明の詳細な記述]
A.リソグラフ印刷版前駆体
本発明は、1種若しくはそれ以上の着色剤前駆体を含んでなるリソグラフ印刷版前駆体の使用方法に関する。着色剤前駆体は、UV光、IR光に曝露されるおよび/若しくは加熱される場合に本質的に無色若しくは薄く着色したから着色したに変化し得る化合物である。全部の公知のロイコ染料を着色前駆体として使用し得、そして制限されない。それらは例えば慣習的な感圧、感光若しくは感熱記録素材で広範に使用されている。ロイコ染料についてのさらなる情報については例えば“Chemistry and Applications of Leuco Dyes”、Ramaiah Muthyala、Plenum Press、1997を参照されたい。
【0020】
多数の分類のロイコ染料が本発明のために好ましい。すなわち、スピロベンゾピラン(例えばスピロインドリノベンゾピラン、スピロベンゾピラノベンゾピラン、2,2−ジアルキルクロメン)のようなスピロピランロイコ染料、例えばCASRN 160451−52−5およびCASRN 393803−36−6、スピロナフトオキサジンならびにスピロチオピラン;ロイコキノン色素;オキサジン、ジアジン、チアジン、および第EP
174054 A号明細書に示されるようなフェナジン(CASRN104434−37)のようなアジン;トリアリールメタンフタリド(例えばクリスタルバイオレットラクトン)、ジアリールメタンフタリド、モノアリールメタンフタリド、複素環置換フタリド、アルケニル置換フタリド、架橋フタリド(例えばスピロフルオレンフタリドおよびスピロベンズアントラセンフタリド)ならびにビスフタリドのようなフタリドおよびフタルイミジン型ロイコ染料;フルオレセイン、ローダミンおよびロードールのようなフルオランロイコ染料;ロイコクリスタルバイオレットのようなトリアリールメタン;ケタジン;バルビツール酸ロイコ染料およびチオバルビツール酸ロイコ染料。
【0021】
本発明のための好ましいロイコ染料の付加的な一分類は「IR−ロイコ染料」よりなる。本明細書で使用されるところの「IR−ロイコ染料」という用語は、UV光、IR光で照射されかつ/若しくは加熱される場合に本質的に無色若しくは薄く着色したから着色したに変化し得る、可視光波長範囲に実質的吸収を有しない赤外染料を指す。好ましい多数のIRロイコ染料が、第WO 2009/080689号明細書p.26−33、第WO 2006/136543号明細書p.5、第12行ないしp.8、第8行、第EP 1736312 A号明細書[0014]−[0021]、第US 20070212643 A号明細書[0014]−[0029]、ならびに第US 20130101938
A号明細書[0026]−[0027]および[0030]−[0031]に開示されている。
【0022】
本発明において、ロイコ染料は、好ましくは適切な層のコーティング溶液にそれらを添加することにより、リソグラフ印刷版前駆体のコーティングのいずれの層にも組み込み得る。ロイコ染料の濃度は、好ましくは、
現像剤若しくはゴムの着色が可能な限り低くなるような方法で選ばれるべきである。研究は、処理溶液(
現像剤、ゴム
現像剤、リンス溶液、ゴム)の着色が、コーティング中の着色剤前駆体すなわちこうしたロイコ染料の量が、画像様曝露後の印刷しない領域のコーティングと支持体の間の色差ΔEが5.0に等しい若しくはそれ未満であるようである場合に、従来技術と比較して実質的に低下されることを示した。ΔEは、CIE L
*a
*b色座標のペアのユークリッド距離により定義されるCIE 1976色差ΔEである。CIE L
*a
*b色座標は、CIE 2°視野観測者および発光体としてD50を使用して45/0ジオメトリ(偏光されない)での反射測定から得られる。CIE S 014−4/E:2007 Colourimetry−Part 4:CIE 1976 L
*a
*b
* Colour Spaces and C
IE publications:CIE S 014−1/E:2006、CIE Standard Colourimetric Observersを参照されたい。下で、画像様曝露後の印刷しない領域のコーティングのL
*a
*b値および支持体のL
*a
*b値から計算される、印刷しない領域のコーティングと支持体の間の色差は、ΔE
1により
示される。支持体のL
*a
*b値の測定を行い得る前に、リソグラフ印刷版前駆体のコーティングを除去して支持体の表面を現さなければならない。コーティングの除去は、好ましくは、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、ブタノン、プロパノン、水、それらの混合物のような溶媒若しくはViolet CFゴムNPのような
現像剤によってなされる。支持体からのコーティングの完全な除去は、分析技術によって、例えばGC−MSにより確認し得る。
【0023】
ロイコ染料が組み込まれているコーティングの総乾燥重量に関するロイコ染料の濃度は、好ましくは0.1wt.%から20.0wt.%まで、より好ましくは0.5wt.%から15.0wt.%まで、最も好ましくは1.0wt%から10.0wt%までである。
【0024】
ロイコ染料は、場合によっては感光色素および/若しくは光酸発生剤と組合せ得る。全部の公知の光酸発生剤を本発明に使用し得る。それらは、場合によっては感光色素と組合せることができる。光酸発生剤は例えば慣習的フォトレジスト素材で広範に使用されている。これらの光酸発生剤および感光色素についてのさらなる情報については、HINSBERG,W.D.ら Encyclopedia of Polymer Science and Technology:Lithographic resists.JOHN WILEYにより編、2012.p.13−16.、若しくはGREEN,W.Arthur.Industrial Photoinitiators,A technical Guide.CRC PRESS.NW:Taylorにより編、2010.p.83、150−164.、Photoacid Generator Selection Guide from BASFを参照されたい。多数の分類の光酸発生剤およびH供与体前駆体が本発明に好ましい。例えば:ヨードニウム塩、スルホニウム塩、フェロセニウム塩、スルホニルオキシム、ハロメチルトリアジン、ハロメチルアリールスルホン、α−ハロアセトフェノン、スルホン酸エステル、t−ブチルエステル、アリル置換フェノール若しくはt−ブチルカーボネート。
【0025】
光酸発生剤が組み込まれているコーティングの総乾燥重量に関する光酸発生剤の濃度は、好ましくは0.1wt.%から20.0wt.%まで、より好ましくは0.5wt.%から15.0wt.%まで、最も好ましくは1.0wt.%から10.0wt.%までである。
【0026】
本発明のより好ましい一態様において、ロイコ染料としてCASRN 50292−95−0、CASRN 89331−94−2、CASRN1552−42−7(クリスタルバイオレットラクトン)、CASRN148716−90−9若しくはCASRN 132467−74−4よりなる群から選択される最低1種の化合物、および光酸発生剤としてCASRN 58109−40−3、CASRN 300374−81−6、CASRN 1224635−68−0、CASRN 949−42−8、CASRN 69432−40−2、CASRN 3584−23−4、CASRN 74227−35−3若しくはCASRN6542−67−2よりなる群から選択される最低1種の化合物の組合せを使用する。
【0027】
A.1.ネガティブ作用性印刷版前駆体
ネガティブ作用性リソグラフ印刷版前駆体は、典型的に、フォトポリマーコーティングの光若しくは熱誘発性の化学的架橋若しくは重合により、または熱可塑性ポリマー粒子の熱誘発性の合体、融合若しくは溶融による物理的不溶化により、画像を形成する。特別に設計されたネガティブ版は、例えば中性若しくは低いpHのゴム若しくは湿し水を使用することにより、危険なすなわち高いpHの若しくは大量の有機溶媒を含有する
現像剤を伴わない処理を可能にする。
【0028】
熱可塑性ポリマー粒子の合体に基づく版前駆体
本発明で使用し得るコーティングを得るために着色剤前駆体および場合によっては光酸発生剤を添加し得る適するコーティング組成物は、第WO 02/21215号明細書p.6−9、第WO 2006/037716号明細書p.8−10、第EP 1614538 A号明細書[0017]−[0039]に記述されている。
【0029】
コーティング組成物を塗布して本発明で使用し得る放射線感受性コーティングを形成し得る基板は、一般に1親水性表面、若しくは画像化側の塗布された放射線感受性組成物より親水性である最低1表面を有する。該基板は、リソグラフ印刷版を製造するのに慣習的に使用されるいずれの素材からも構成され得る支持体を含んでなる。それは通常シート、薄膜若しくは箔(または織物)の形態にあり、そして強く、安定かつ柔軟であり、および色記録がフルカラー画像を登録することができるように使用の条件下で寸法変化に抵抗性である。典型的に、支持体は、ポリマー薄膜(ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースエステルポリマーおよびポリスチレン薄膜のような)、ガラス、セラミック、金属シート若しくは箔、または剛性紙(樹脂被覆および金属化紙を包含する)、あるいはこれらの素材のいずれかの貼合せ(ポリエステル薄膜上へのアルミニウム箔の貼合せのような)を包含するいずれの自己支持素材でもあり得る。金属支持体は、アルミニウム、銅、亜鉛、チタンおよびそれらの合金のシート若しくは箔を包含する。
【0030】
ポリマー薄膜支持体は、親水性を高めるために「下塗り」層で一方若しくは双方の平坦表面上で改変しうるか、または、紙支持体を平面性を高めるために同様に被覆してもよい。下塗り層の素材の例は、限定されるものでないがアルコキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシジオキシプロピル−トリエトキシシランおよびエポキシ官能性ポリマー、ならびに銀ハロゲン化物写真フィルムで使用される慣習的親水性下塗り素材(ゼラチン、ならびに他の天然に存在するおよび合成の親水コロイド、および塩化ビニリデンコポリマーを包含するビニルポリマーのような)を挙げることができる。
【0031】
1つの有用な基板は、物理的(機械的)しぼ付、電気化学的しぼ付若しくは化学的しぼ付、通常次いで酸陽極酸化処理による何らかの種類の粗化を包含する、当該技術分野で既知の技術を使用して処理しうるアルミニウム支持体から構成される。アルミニウム支持体を、物理的若しくは電気化学的しぼ付により粗化し得、そしてその後リン酸若しくは硫酸および慣習的手順を使用して陽極酸化し得る。有用な一基板は、親水性表面を提供する電気化学的にしぼ付かつ硫酸陽極酸化処理されたアルミニウム支持体である。
【0032】
中間層は、親水性を増大させるために例えばケイ酸塩、デキストリン、フッ化ジルコニウムカルシウム、ヘキサフルオロケイ酸、ポリ(ビニルホスホン酸)(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマー、ポリ[(メタ)アクリル酸]若しくは(メタ)アクリル酸コポリマーでのアルミニウム支持体の処理により形成しうる。なおさらに、アルミニウム支持体を、無機フッ化物(PF)をさらに含有しうるリン酸塩溶液で処理しうる。アルミニウム支持体は、表面の親水性を改良するための既知の手順を使用して、電気化学的しぼ付け、リン酸陽極酸化され得かつポリ(アクリル酸)で処理され得る。
【0033】
フォトポリマーコーティングの版前駆体に基づく化学的架橋若しくは重合
本発明で使用し得るコーティングを得るために着色剤前駆体および場合によっては光酸発生剤を添加し得る光重合可能な層の適するコーティング組成物は、第US 2012045720号明細書[0053]−[0109]、第WO 2008/145528号明細書p.5、l.11−p.23、l.29、第WO 2006/048443号明細書p.6、l.4−p.63、l.8に記述されている。
【0034】
フォトポリマーの化学的架橋若しくは重合に基づく版前駆体は、通常は保護オーバーコート層を有する。適するオーバーコート層を得るためのコーティング組成物の例は、第US 2012045720号明細書[0110]−[0115]、第WO 2008/145528号明細書p.23、l.31−p.25、l.3、第WO 2006/048443号明細書p.64、l.14−p.68、l.17に開示されている。
【0035】
加えて、中間層を、例えば稼働長さを改良するために支持体と放射線感受性コーティングの間に組み込み得る。これらの中間層のための適する組成物は第WO 2008/145528号明細書p.25、l.5−p.26、l.22に記述されている。着色剤前駆体および場合によっては光酸発生剤は、ネガティブ作用性印刷版前駆体のすべての層に、しかし好ましくは放射線感受性層若しくは光重合可能な層に存在し得る。
【0036】
放射線感受性コーティング若しくは中間コーティングが塗布される支持体は上述されたと同一である。
【0037】
A.2.ポジティブ作用性印刷版前駆体
ポジティブ作用性リソグラフ印刷前駆体は、適する照射に際して、アルカリ性
現像剤を包含する処理溶液中に可溶性、分散可能若しくは除去可能である1種若しくはそれ以上のポリマー結合剤内に分散されている放射線吸収化合物に一般に頼る、単若しくは多層の画像化可能要素であり得る。ロイコ染料および任意の光酸発生剤が組み込まれるはずであるポジティブ作用性版前駆体の組成物および作成方法は、例えば第US 20090197206号明細書[0171]−[0284]、第US 2012045720号明細書[0120]−[0138]、第EP 1826001 A号明細書[0012]−[0047]および第EP 2366545 A号明細書[0011]−[0090]に記述されている。
【0038】
ロイコ染料および光酸発生剤は、ポジティブ作用性リソグラフ印刷版前駆体のコーティングの層の1つのコーティング溶液に若しくは全部の層中に添加し得る。
【0039】
放射線感受性層若しくは中間層が塗布される支持体は上述されたと同一である。
【0040】
B.画像様曝露
本発明の方法は、印刷領域および印刷しない領域よりなるリソグラフ画像を得るためのリソグラフ印刷版前駆体の画像様曝露を含んでなる。曝露により得られるリソグラフ画像は、印刷領域および印刷しない領域が印刷しない領域のコーティングの除去により現像後に現れる潜在的画像である。該画像化は、約150から約1500nmまでの波長のUV放射、可視光、近赤外若しくは赤外線放射のような放射に版前駆体を曝露することによりなされる。いくつかの態様において、画像化は、最低150nmからかつ475nmまでおよびそれを包含する波長、典型的には200nmからかつ450nmまでおよびそれを包含する波長、ならびにより典型的には35nmからかつ450nmまでおよびそれを包含する波長のUV放射すなわち「紫」画像化若しくは曝露放射源を使用して実施する。本発明の別の態様において、画像化は、最低700nmかつ約1400nmまでおよびそれを包含する、ならびに典型的には最低700nmかつ約1200nmまでおよびそれを包含する波長の赤外線放射発射レーザーからの画像化すなわち曝露放射を使用して実施し得る。画像化は、所望の場合は同時に複数波長の画像化放射を使用して実施し得る。
【0041】
画像様曝露は、慣習的イメージマスク(薄膜)および水銀蒸気放電電球、若しくはDMD技術(Texas Instruments)に基づくディジタル画像マスクを使用して、類似の紫外線感応印刷版前駆体でと同一の方法でもまた実施し得る。適する装置の例は、BasysPrint UVセッター(Xeikon)、Cron CTcPイメジャー、およびLuscher Xpose UVエンジンである。この画像化は、放射線
感受性層の感度に依存して、最低30mJ/cm
2かつ500mJ/cm
2までおよびそれを包含する、ならびに典型的には最低50かつ300mJ/cm
2までおよびそれを包含
するエネルギーでなされる。
【0042】
放射線感受性層を曝露するのに使用されるレーザーは、ダイオードレーザー系の信頼性および低メンテナンスのために通常ダイオードレーザーであるが、しかしガス若しくは固体レーザーのような他のレーザーもまた使用しうる。レーザー画像化の出力、強度および曝露時間の組合せは当業者に容易に明らかであるとみられる。現在、商業的に入手可能なイメージセッターで使用される高性能レーザー若しくはレーザーダイオードは、最低800nmかつ850nmまでおよびそれを包含する、若しくは最低1060かつ1120nmまでおよびそれを包含する波長で赤外線放射を発射する。
【0043】
該画像化装置は、平台記録計として、若しくは画像化可能な部材がドラムの内若しくは外胴表面に据え付けられているドラム式記録計として構成し得る。
【0044】
有用なUV放射および「紫」画像化装置は、ProSetter(Heidelberger Druckmaschinen)、Luxel V−8(富士フィルム)、MakoNews、Mako 2、Mako 4、Mako 8若しくはNautilius(ECRM)、Micra(Screen)、PolarisおよびAdvantage(Agfa)、Avalon V4(Agfa)、LaserJet(Krause)ならびにAndromeda A750M(Lithotech)、Alinte 8(FFEI)イメージセッターを包含する。UV放射を用いる画像化は、放射線感受性コーティングの感度に依存して、一般に最低1μJ/cm
2かつ500μJ/cm
2までおよびそれを包含する、ならびに典型的には最低20かつ300μJ/cm
2までおよびそれを包
含する画像化エネルギーで実施し得る。
【0045】
サーマルイメージング装置ともまた呼ばれる有用なIR放射に基づく画像化装置の一例は、約830nmの波長の近赤外線放射を発射するレーザーダイオードを含有する、Kodakから入手可能なCreo Trendsetter(登録商標)プレートセッターである。他の適する画像化装置は、1064nmの波長で作動するCrescent 42Tプレートセッター(Gerberから入手可能)およびScreen PlateRite 4300シリーズ若しくは8600シリーズプレートセッター(Screenから入手可能)を包含する。赤外線放射を用いる画像化は、放射線感受性層の感度に依存して、最低30mJ/cm
2かつ500mJ/cm
2までおよびそれを包含する、ならびに典型的には最低50かつ300mJ/cm
2までおよびそれを包含する画像化エネルギーで
一般に実施し得る。
【0046】
レーザー画像化が本発明の実務において望ましい一方、画像化は、画像様様式で熱エネルギーを提供するいずれの他の手段によっても実施し得る。例えば、画像化は、例えば米国特許第5,488,025号明細書(Martinら)に記述される「感熱印刷」としてとして知られるものにおいて熱抵抗性ヘッド(感熱印刷ヘッド)を使用して達成し得る。感熱印刷ヘッドは商業的に入手可能である(例えば、富士通サーマルヘッドFTP−040MCSOO1およびTDKサーマルヘッドF415 HH7−1089)。
【0047】
C.予熱
画像様曝露段階後に、前駆体を、好ましくは約80℃ないし150℃の温度でかつ好ましくは約5秒ないし1分の滞留時間の間、予熱ユニット中で予熱しうる。この予熱ユニットは、加熱要素、好ましくはIRランプ、UVランプ、高温空気若しくはホットロールを含みうる。こうした予熱段階を、重合および/若しくは架橋反応を高める若しくは加速するために、光重合可能な組成物を含んでなる印刷版前駆体に使用し得る。予熱中は、好ましくは印刷しない領域のコーティングの色変化は発生しない。これは処理中の処理溶液の着色を増大させるとみられるからである。
【0048】
本発明の別の態様において、前駆体は画像様曝露段階後に予熱されない。
【0049】
D.リソグラフ印刷版前駆体の処理
現像装置
本発明により、画像様曝露段階、若しくは予熱段階が存在する場合は予熱段階後に、版前駆体が処理される。該処理は現像段階を含んでなる。画像化前駆体を現像する前に、プレリンス段階を、とりわけ保護的酸素障壁若しくはトップコートを有するネガティブ作用性リソグラフ印刷前駆体について実施しうる。このプレリンス段階は、独立型装置中で若しくは水で画像化前駆体を手動でリンスすることにより実施し得るか、または、プレリンス段階は、画像化前駆体を現像するのに使用される処理装置に組み込まれる洗浄ユニットで実施し得る。
【0050】
現像は、画像様に曝露された印刷版前駆体の印刷しない領域のコーティングのみを主に除去して支持体の親水性表面を現すのに十分な、しかし印刷領域のコーティングのかなりの量を除去するのに十分長くない時間、実施する。支持体の現れた親水性表面はインクをはじく一方、印刷領域はインクを受容する。
【0051】
本発明の画像化要素は、「手動」現像として知られるもの、「浸漬」現像、または自動現像装置若しくは処理装置での処理を使用して現像し得る。
【0052】
自動現像装置の使用は当該技術分野で公知であり、そして一般に現像タンクに
現像剤若しくはゴムをポンプで送ることまたはスプレーノズルからそれを押出すことを包含する。現像装置は、現像後に印刷版前駆体をリンスするためのリンスタンク、および(例えば酸化、指紋、ほこり若しくは引っ掻きからの)汚染若しくは破損に対し印刷版上のリソグラフ画像を保護することが可能なゴムを塗布するためのゴムタンクを包含し得る。該処理ユニットは、適する摩擦機構(例えばブラシ若しくはローラー)および適する数の運搬ローラーもまた包含しうる。例えば、処理溶液は、摩擦すること、噴霧すること、噴射すること、浸漬すること(dipping)、浸漬すること(immersing)、スロットダイコーティング(例えば米国特許第6,478,483号明細書の
図1および2を参照されたい)、リバース・ロール塗布(米国特許第5,887,214号明細書の
図4に記述されるところの)、処理溶液を含有するローラー、含浸パッド若しくはアプリケ−ターとそれを接触させることにより、画像化要素に塗布し得る。例えば、画像化印刷版前駆体は、処理溶液を用いてブラシをかけることができるか、または、それは、例えば第EP 1,788,431A2号明細書の[0124]および米国特許第6,992,688号明細書に記述されるところのスプレーノズル系を使用して放射線感受性層の印刷しない領域を除去するのに十分な力で画像化表面上に注ぎ得るか若しくはそれを噴霧することにより塗布し得る。
【0053】
本発明の好ましい一態様において、リソグラフ印刷版前駆体は、ゴム
現像剤ともまた呼ばれるゴム溶液のみでもまた処理し得る。ゴム
現像剤を用いる現像は、曝露されない領域の版上の残存するゴムにより付加的なゴム引き段階が印刷しない領域の支持体の表面を保護するために必要とされないという付加的な利点を有する。結果として、該前駆体は、
現像剤タンク、リンス区分およびゴム引き区分を含んでなる現像装置より少なく複雑な現像装置を必要とする1つの単一段階で処理かつゴム引きされる。本発明の好ましい一態様において、熱可塑性ポリマー粒子を含んでなるネガティブ作用性感熱版、若しくは光重合可能な組成物を含んでなるネガティブ作用性フォトポリマー前駆体が、ゴム溶液のみで処理される。単一段階処理のための処理装置の例は、第WO 2013/034474号明細書p.31、第6−27行および第EP 1788442 A号明細書に見出し得る。
【0054】
現像剤
本発明の方法の一態様において、アルカリ性
現像剤若しくは溶媒に基づくを使用しうる。溶媒に基づく
現像剤はネガティブ作用性版前駆体を現像するのに主に使用されている一方、ポジティブ作用性版前駆体は典型的に高度にアルカリ性の
現像剤を必要とする。
【0055】
適するアルカリ性
現像剤は第US2005/0162505号明細書に記述されている。アルカリ性
現像剤は、最低11、より典型的には最低12、好ましくは12から14までのpHを有する水性溶液である。
【0056】
高pH値を得るためのアルカリ剤は無機若しくは有機アルカリ剤であることができる。好ましい高pH
現像剤は、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウムおよび/若しくはケイ酸カリウムのような最低1種のアルカリ金属ケイ酸塩を含んでなる。ケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウムが好ましく、そしてケイ酸カリウムが最も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩の混合物を所望の場合は使用しうる。とりわけ好ましい高pH
現像剤は、最低0.3のSiO
2対M
2O重量比を有するアルカリ金属ケイ酸塩を含んでなり、ここでMはアルカリ金属である。好ましくは、該比は0.3から1.2までである。より好ましくはそれは0.6から1.1までであり、そして最も好ましくはそれは0.7から1.0までである。
【0057】
他の無機アルカリ剤例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムおよびホウ酸アンモニウム、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウムならびにクエン酸ナトリウムを使用し得る。
【0058】
アルカリ剤のさらなる例は、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミンおよびピリジンのような有機アルカリ剤を包含する。
【0059】
ポジティブ作用性リソグラフ印刷版前駆体を処理するための適する一代替
現像剤は、第EP1403716A号明細書に記述されるところの非還元糖および塩基を含んでなる。「非産生(nonproducing)糖」という用語は、遊離アルデヒド若しくはケトン基を含まずかつ従って還元しない糖、例えばトレハロース型オリゴ糖、グリコシド、ならびに糖を水素化および還元することにより得られる糖アルコールを意味している。トレハロース型オリゴ糖の例はショ糖およびトレハロースを包含する。グリコシドの例はアルキルグリコシド、フェノールグリコシドおよびマスタードオイルグリコシドを包含する。糖アルコールの例は、D,L−アラビトール、リビトール、キシリトール、D,L−ソルビトール、D,L−マンニトール、D,L−イジトール、D,L−タリトールおよびズルシトールを包含する。さらに、二糖の水素化により得られるマルチトール、若しくはオリゴ糖の水素化により得られる還元された物質(還元デンプンシロップ)を使用しうる。これらの非還元糖のなかで糖アルコールおよびショ糖が好ましい。これらの非還元糖のなかでD−ソルビトール、ショ糖、および還元デンプンシロップがなおより望ましい。それらは適正pH範囲内で緩衝作用を有するからである。前述の非還元糖は上述された群から適正に選択される塩基としてのアルカリ剤とともに使用しうる。
【0060】
溶媒に基づくアルカリ性
現像剤は典型的に10.5より下、とりわけ10.2より下(25℃で測定される)のpHを有する。溶媒に基づく
現像剤は水および有機溶媒若しくは有機溶媒の混合物を含んでなる。それらは、典型的にはケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、ならびにケイ酸塩およびアルカリ金属水酸化物の混合物を含まない。
現像剤は好ましくは単一相である。結果、有機溶媒若しくは有機溶媒の混合物は、好ましくは、層分離が発生しないように水と混合可能若しくは
現像剤に十分に可溶性のいずれかである。任意の成分は、陰イオン性、非イオン性および両性界面活性剤(総組成物重量に対し3%まで)ならびに殺生物剤(抗菌および/若しくは抗真菌剤)を包含する。
【0061】
以下の溶媒およびそれらの混合物が溶媒に基づく
現像剤での使用に適する。すなわち、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)のような、フェノールのエチレンオキシド(フェノールエトキシレート)およびプロピレンオキシド(フェノールポロポキシレート)との反応生成物;ベンジルアルコール;エチレングリコールおよびプロピレングリコールの6若しくはより少ない炭素原子を有する酸とのエステル、ならびに、2−エトキシタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノールおよび2−ブトキシエタノールのような、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールの6若しくはより少ない炭素原子を有するアルキル基とのエーテル。フェノキシエタノールを含んでなる
現像剤が好ましい。
現像剤は、典型的に、
現像剤の重量に基づき0.5wt%ないし15wt%、好ましくは3wt%ないし5wt%の有機溶媒(1種若しくは複数)を含んでなる。
【0062】
現像剤の組成物は陰イオン性、非イオン性および両性界面活性剤(総組成物重量に対し3%まで)を含み得る。
【0063】
陰イオン性界面活性剤の例は、ヒドロキシアルカンスルホネート、アルキルスホネート、ジアルキルスルホサクシネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、分枝状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテルの塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム、石油スルホネート、硫酸化ヒマシ油、硫酸化獣脂油、脂肪アルキルエステルの硫酸エステルの塩、アルキル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、脂肪モノグリセリドの硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、アルキルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステルの塩、スチレンマレイン酸無水物コポリマーの部分的鹸化化合物、オレフィン−マレイン酸無水物コポリマーの部分的鹸化化合物、ならびにナフタレンスルホネートホルマリン縮合物を包含する。これらの陰イオン性界面活性剤のなかで、ジアルキルスルホサクシネート、アルキル硫酸エステルの塩およびアルキルナフタレンスルホネートがとりわけ好ましい。適する陰イオン性界面活性剤の特定の例は、ドデシルフェノキシベンゼン二スルホン酸ナトリウム、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルホネート、メチレンジナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホン化アルキルジフェニルオキシド、パーフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム若しくはカリウム、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを包含する。
【0064】
非イオン性界面活性剤の適する例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、グリセリン脂肪族酸の部分エステル、ソルビタン脂肪族酸の部分エステル、ペンタエリトリトール脂肪族酸の部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪族エステル、ショ糖脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪族酸の部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪族エステル、ポリグリセリン脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪族酸の部分エステル、脂肪族ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪族エステル、およびトリアルキルアミンオキシドを包含する。これらの非イオン性界面活性剤のなかで、アルキレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーがとりわけ好ましい。さらに、フルオリニック(fluorinic)およびシリコニック(siliconic)陰イオン性および非イオン性界面活性剤を同様に使用しうる。
【0065】
両性界面活性剤の例は、アミノ酸型両性界面活性剤、イミダゾリニウム塩、イミダゾリン、およびスルホベタインのようなベタイン型両性界面活性剤を包含する。
【0066】
現像剤の任意の成分は、殺生物剤(抗菌および/若しくは抗真菌剤)、消泡剤またはキレート化剤(アルカリグルコネートのような)、ならびに増粘剤(グリセリン若しくはポリエチレングリコールのような水溶解性若しくは水に分散可能なポリヒドロキシ化合物)である。
【0067】
第US2012/0129033号明細書に記述されるところの別の代替のケイ酸を含まないおよび糖を含まないアルカリ性水性
現像剤組成物は、最低12のpHを有し、そして(a)水酸化物、(b)バリウム、カルシウム、ストロンチウムおよび亜鉛陽イオンから選択される金属陽イオンM2’、(c)金属陽イオンM+のためのキレート化剤、ならびに(d)上のa、bおよびcの全部と異なるアルカリ金属塩、を含んでなる。
【0068】
ゴム
現像剤
本発明により使用されるべき好ましい
現像剤はゴムを含んでなり、そして単一段階で版を現像かつゴム引きすることが可能である。こうしたゴム
現像剤は第EP1342568A号明細書および第WO2005/111727号明細書に記述されている。ゴムは、典型的には、汚染、酸化若しくは破損に対し印刷版のリソグラフ画像を保護することが可能である1種若しくはそれ以上の表面保護化合物を含んでなる水性液体である。こうした化合物の適する例は薄膜形成親水ポリマー若しくは界面活性剤である。ゴム溶液での処理および乾燥後に版上に留まる層は、好ましくは0.1と20g/m
2の間の表面保護化合物
を含んでなる。この層は、典型的に、版が印刷機上に据え付けられかつ印刷機の運転が開始された場合にインクおよび/若しくは湿し水により除去されるまで、版上に留まる。
【0069】
ゴム溶液中の保護化合物としての使用のための好ましいポリマーは、アラビアゴム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース若しくはメチルセルロースのようなセルロース誘導体、(シクロ)デキストリン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、多糖、アクリル酸、メタクリル酸若しくはアクリルアミドのホモおよびコポリマー、ビニルメチルエーテルおよびマレイン酸無水物のコポリマー、ビニルアセテートおよびマレイン酸無水物のコポリマー、またはスチレンおよびマレイン酸無水物のコポリマーである。高度に好ましいポリマーは、カルボキシル、スルホン若しくはホスホン基を含有するモノマーまたはそれらの塩、例えば(メタ)アクリル酸、ビニルアセテート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸若しくはアクリルアミドプロパンスルホン酸のホモ若しくはコポリマーである。
【0070】
表面保護剤としての使用のための界面活性剤の例は、陰イオン性、陽イオン性、両性および非イオン性界面活性剤を包含する。ゴム溶液は、表面保護剤としての上の親水ポリマーの1種若しくはそれ以上、および加えて被覆される層の表面特性を改良するための1種若しくはそれ以上の界面活性剤もまた含みうる。ゴム溶液の表面張力は好ましくは40から50mN/mまでである。
【0071】
表面保護剤として使用されるべき適する陰イオン性界面活性剤は、上の
現像剤の組成物で記述される陰イオン性界面活性剤を包含する。特定の例は、ドデシルフェノキシベンゼンジスルホン酸ナトリウム、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルホネート、メチレンジナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホン化アルキルジフェニルオキシド、パーフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム若しくはカリウム、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを包含する。
【0072】
ゴム溶液中での使用のための適する陽イオン性界面活性剤は、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩およびポリエチレンポリアミン塩を包含する。
【0073】
表面保護剤として使用されるべき適する両性界面活性剤は、上の
現像剤の組成物で記述される両性界面活性剤を包含する。両性界面活性剤の非常に適する一例はRaluphon DCH(すなわちココアルキル、約53%のC12)を包含する。
【0074】
表面保護剤として使用されるべき適する非イオン性界面活性剤は、上の
現像剤の組成物で記述される非イオン性界面活性剤を包含する。特別の例は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーを包含する。
【0075】
上の界面活性剤の2種若しくはそれ以上をゴム中で組合せで使用しうる。例えば、2種若しくはそれ以上の異なる陰イオン性界面活性剤の組合せまたは1種の陰イオン性界面活性剤および1種の非イオン性界面活性剤の組合せが好ましいことができる。こうした界面活性剤の量はとりわけ制限されないが、しかし好ましくは0.01から20wt.%までである。
【0076】
ゴム溶液およびゴム
現像剤は好ましくは3.0から10.0まで、より好ましくは4.0から9.0までのpHを有する。ゴム溶液のpHは通常、0.01から2wt.%までの量の鉱酸、有機酸 無機塩若しくはアルカリ剤で調節される。鉱酸の例は、硝酸、硫酸、リン酸およびメタリン酸を包含する。とりわけ有機酸はpH制御剤および減感剤として使用される。有機酸の例は、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸若しくはそれらの塩、例えばコハク酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩を包含する。有機酸の特定の例は、クエン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸および有機ホスホン酸を包含する。無機塩の例は、硝酸マグネシウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、硫酸ニッケル、ヘキサメタリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムを包含する。使用し得るアルカリ剤の例は
現像剤の節に記述されている。
【0077】
他の無機塩例えば硫酸マグネシウム若しくは硝酸亜鉛を腐食阻害剤として使用し得る。鉱酸、有機酸若しくは無機塩は単独でまたはそれらの1種若しくはそれ以上と組合せで使用しうる。
【0078】
前述の成分のほかに、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンおよびジグリセリンのような湿潤剤もまたゴム溶液中に存在しうる。湿潤剤は単独でまたはそれらの1種若しくはそれ以上と組合せで使用しうる。一般に、前述の湿潤剤は好ましくは1から25wt.%までの量で使用される。
【0079】
さらなる任意の成分は、キレート化合物、防腐剤、消泡剤およびインク受容剤を包含する。これらの化合物の例は未公開の第EP 131581738 A号明細書[0073−0074]に開示されている。
【0080】
ゴム溶液の粘度は、例えば10
5と10
7の間の分子量を有するポリ(エチレンオキシド)のような粘度増大化合物を添加することにより、例えば1.7と5cPの間の値に調節し得る。こうした化合物は0.01ないし10g/lの濃度で存在し得る。
【0081】
ベーキングゴムは、通常のベーク温度で蒸発しない化合物に対する付加的な好みを伴い、上述されたと同様の組成を有する。適するベーキングゴム溶液の特定の例は、例えば第EP−A 222 297号明細書、第EP−A 1 025 992号明細書、第DE−A 2 626 473号明細書および第US 4,786,581号明細書に記述されている。
【0082】
E.乾燥
本発明の方法により、現像段階を含んでなる処理段階後に印刷版前駆体は乾燥される。好ましい一態様において、版は、IRランプ、UVランプ、加熱金属ローラー若しくは高温空気から選択される最低1種の加熱要素を含有しうる乾燥ユニットで版を加熱することにより乾燥される。本発明の好ましい一態様において、版は、古典的現像機械の乾燥ユニット中で知られるところの高温空気で乾燥される。
【0083】
F.色変化を誘発するためのリソグラフ印刷版の処理
本発明の方法により、乾燥段階後に、リソグラフ印刷版は、印刷領域のコーティングの色変化を誘発するため熱および/若しくは放射にさらされる。これは好ましくは後曝露(post exposure)装置中で行われる。後曝露装置はオフラインに置くことができるか、若しくは処理装置装置(processor apparatus)に組み込み得る。乾燥ユニットは加熱要素を含んでなるため、色変化は、版が乾燥された後に乾燥ユニット中でもまた起こり得る。印刷版は、実質的に処理液が版前駆体の印刷領域の上部に存在しない場合に乾燥しているとみなされる。
【0084】
現像段階でコーティングの除去後に得られる印刷しない領域に対する印刷領域の視覚的コントラストが、リソグラフ印刷版を製造若しくは印刷機を設定する場合に、操作者による版の取り扱いにおいて発生する誤りの見込みのレベルを決定する。視覚的コントラストのこれらのレベルが、熟練し経験を積んだ操作者を考慮して9名の応用専門家の一団によりAgfa社内研究内で評価されている[Agfa社内研究、2003。版の取り扱いにおける誤りの例の包括的でない一覧は、例えば:i)画質の評価およびアーチファクト制御;ii)曝露線量設定の関数としてのいわゆる「正しい曝露ツール」(例えば2×2および10×10ピクセル構造をもつ隣接領域の視覚的比較)、iii)画像内容(の完全性)を制御すること;iv)色チャネル(CMYK)につき正しい版を特定すること;v)インクキープリセットを正しく設定すること、を包括する]。該研究に基づき、リソグラフ印刷版の印刷領域と印刷しない領域の間の最小の必要とされる視覚的コントラストは6.8というΔE値に対応し、これは色の変化についての視覚的グレースケール物差し(ISO 105A−02 ISO:1993 織物−色の堅牢性についての試験−A02部:色の変化を評価するためのグレースケール、により定義される)のグレード2を表す。下で、色変化を誘発する処理後の印刷版の印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間の色差は、ΔE
2により表される。リソグラフ印刷版の印刷領域のコーティングと印刷
しない領域の間の視覚的コントラストのより好ましいレベルは、13.6より高いΔE
2
値と対応し、これは、視覚的グレースケール物差しのグレード2のコントラストの2倍と同等である前述の視覚的グレースケール物差しのグレード1を表す。これが誤った取り扱いの見込みをさらに低下させるからである。最後に、視覚的グレースケール物差しのグレード2のコントラストの3倍に同等である20.4より高いΔE
2値に対応する、リソグ
ラフ印刷版の印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間の認識される視覚的コントラストのレベルが、なおより好ましい。このレベルからずっと、誤った取り扱いが大きく克服されるからである。
【0085】
印刷版を熱にさらすことは、例えば、IRランプ、UVランプ、加熱金属ローラー若しくは高温空気から選択される最低1種の加熱要素を含有するベークユニットを用いて行うことができる。版は、好ましくは、110℃より上の温度かつコーティングの分解温度未満、より好ましくは200℃と295℃の間、最も好ましくは250℃と290℃の間でベークユニット中で加熱される。より長い加熱時間が、通常、より低い加熱温度が使用される場合に使用され、そして、より短い加熱時間はより高い加熱温度が使用される場合に使用される。版は、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満、最も好ましくは2分未満の時間の期間にわたり加熱される。加熱は、第EP−A 1 506 854号明細書に開示されるところの赤外光を発射するランプを用いる照射により行うことができる。本発明の好ましい一態様において、その画像記録層中に第EP−A 1 767 349号明細書に定義されるところの疎水性熱可塑性ポリマー粒子を含有する版は、第EP−A 1 767 349号明細書に記述されるところの方法により加熱される。
【0086】
本発明の好ましい一態様において、版は第EP−A 1 506 854号明細書に記述されるところの方法により加熱される。本発明の別の好ましい態様において、版は第WO 2005/015318号明細書に記述されるところの方法により加熱される。
【0087】
色変化を誘発するための放射に印刷版をさらすことは、高若しくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外発光ダイオード(LED)、紫外レーザーおよび閃光のような放射源によって行うことができる。放射源を選択する場合の重要なパラメータはUV放射のスペクトルおよび強度である。双方のパラメータが色変化の速度に影響しうる。水銀蒸気放電電球はUV−AおよびUV−C放射源を包含する適するUV放射源である。典型的なUV−C放射源は、エネルギーの小さなスペクトル分布を有しUVスペクトルの短波長領域にのみ1つの強いピークをもつ低圧水銀蒸気放電電球である。典型的なUV−A放射源は中若しくは高圧水銀蒸気放電電球である。放電電球中の水銀ガスに鉄若しくはガリウムをドープすることにより、UV−AおよびUV−C双方のスペクトルを包括する発光を得ることができる。最近、UV−Aスペクトルでもまた発射しかつガス放電電球UV源を置き換える可能性を有するUV−LEDが商業的に入手可能となった。LEDは、それらが硬化装置のより小型の設計を可能にするため好ましい。
【実施例】
【0088】
1.印刷版前駆体の製造
アルミニウム支持体S−01の製造
0.3mm厚アルミニウム箔を、26g/l NaOHを含有する水性溶液を用い65℃で2秒間噴霧することにより脱脂し、そして脱塩水で1.5秒間リンスした。箔をその後、37℃の温度および約100A/dm
2の電流密度で、15g/l HCl、15g
/l SO
42-イオンおよび5g/l Al
3+イオンを含有する水性溶液中で交流電流を
使用して10秒間電気化学的にしぼ付した。後に、アルミニウム箔をその後、5.5g/lのNaOHを含有する水性溶液を用いて36℃で2秒間エッチングすることによりスマット除去し、そして脱塩水で2秒間リンスした。箔をその後、145g/lの硫酸を含有する水性溶液中、50℃の温度かつ17A/dm
2の電流密度で15秒の間陽極酸化にか
け、その後脱塩水で11秒間洗浄し、そして2.2g/l PVPAを含有する溶液で70℃で(噴霧により)3秒間後処理し、脱塩水で1秒間リンスしそして120℃で5秒間乾燥した。
【0089】
かように得られる支持体を、0.35〜0.4μmの表面粗さRa(干渉計NT1100により測定される)により特徴づけし、そして3.0g/m
2の酸化物重量を有した。
【0090】
印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−04の製造
光重合可能な層
印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−04を、溶液PL−01ないしPL−04を上述された支持体S−01上に被覆することにより製造した。
表1に定義されるところの成分を、38容量%のMEKおよび62容量%のDowanol PM(1−メトキシ−2−プロパノール、Dow Chemicalから商業的に入手可能の混合物に溶解する。該コーティング溶液を20μmの湿コーティング厚で塗布し、そしてその後高温空気循環オーブン中120℃で1分間乾燥した。光重合可能な層中の有効成分のmg/m
2での
乾燥コーティング重量を
表1に表示する。
【0091】
【表1】
【0092】
1.Polyacetal 175は、ブチルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒドおよびオクタナールでのPVAの修飾により得られるポリアセタール結合剤であり、そしてAZ Electronicsから固形物として商業的に入手可能である。
2.Monomer FST 510は、1モルの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび2モルのヒドロキシエチル−メタクリレートからの反応生成物である。MEK中82wt%溶液としてAZ Electronicsから商業的に入手可能。
3.Mono Z1620:30.1wt%の、1モルのヘキサメチレンジイソシアネート、1モルの2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび0.5モルの2−(2−ヒドロキシエチル−ピペリジンからの反応生成物を含有するMEK中の溶液(粘度 25℃で1.7mm
2)。
4.Hostanox 03:フェノール性抗酸化剤、Clariantから商業的に入手可能。
5.Edaplan LA411:MUNZING CHEMIEから商業的に入手可能な修飾シロキサン−グリコールコポリマーEdaplan LA 411のDowanol PM中の10wt%溶液。
6.Fluomixは、以下の化合物よりなる紫増感剤混合物であり、そして第WO2008145528号明細書に開示されるとおり製造された。すなわち
【0093】
【化1】
【0094】
7.HABI:2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルビスイミダゾール、Sumitomoから商業的に入手可能。
8.MBT:2−メルカプトベンズヒアゾール(mercaptobenzhiazole)、Lanxessから商業的に入手可能。
9.Wincon Red:3,3−ビス(2−メチル−1オクチル−1H−インドル−3イル)フタリド。Connect Chemicalsから入手可能。
【0095】
【化2】
【0096】
10.Triazine MP:Sanwa Chemicalから商業的に入手可能な2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン。
11.Heliogene Blue:第EP 1072956 A号明細書の実施例7に定義されるところの、BASF AGから商業的に入手可能なHeliogene Blue D 7490分散系(9.9wt%、粘度 25℃で7.0mm
2/s)。
12.IR−染料−1:以下の化学構造をもつサーモクロミックIR−染料(IR−ロイコ染料)。すなわち
【0097】
【化3】
【0098】
保護オーバーコート層
保護オーバーコート(OC)層は水性溶液から塗布した。湿コーティング厚は40μmであった。110℃で2分間乾燥した後、1.15g/m
2の乾燥コーティング重量を得
た。各有効成分の乾燥コーティング重量(mg/m
2で)を
表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
1.Mowiol 4−88はクラレからの部分的に加水分解されたポリビニルアルコールである。
2.Mowiol 4−98はクラレからの完全に加水分解されたポリビニルアルコールである。
3.Acticide LA1206はThorから商業的に入手可能な殺生物剤である。
4.Lutensol A8はBASFから商業的に入手可能な表面活性剤である。
【0101】
印刷版前駆体PPP−05の製造
印刷版前駆体PPP−05を、
表3に列挙される成分を含有するコーティング溶液を上述された支持体S−01上に被覆することにより製造した。これらは、1.6重量%のMEK、45.8重量%のDowanol PM(1−メトキシ−2−プロパノール)および22.6重量%のTHFの混合物中に溶解され、Dow Chemicalから商業的に入手可能であった。コーティング溶液を20μmの湿コーティング厚で塗布し、そしてその後高温空気循環オーブン中120℃で1分間乾燥した。有効成分のmg/m
2での得られる乾燥コーティング重量を
表3に列挙する。
【0102】
【表3】
【0103】
1.Polyacetal 955溶液は、AZ Electronicsから商業的に入手可能な、2−ブタノン中のポリビニルアセタールの20重量%の溶液である。
2.9900LBは、Dowanol PM中のBakelite PF9900LBの50重量%の溶液であり;Bakelite PF9900LBは、Hexion Specialty Chemicalsから商業的に入手可能なフェノール樹脂である。
3.QuadrolはDowanol PM中のN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンの10重量%の溶液であり;この化合物はBASFから「Quadrol L」として商業的に入手可能であり、そして以下の化学構造を有する。すなわち
【0104】
【化4】
【0105】
4.SOO94はFEW CHEMICALSから商業的に入手可能なIR吸収シアニン染料であり;SOO94は以下の化学構造を有する。すなわち
【0106】
【化5】
【0107】
5.Polyfox PF652NFは、Omnova Solutionsから商業的に入手可能な、Dowanol PM中のパーフルオロ界面活性剤の50重量%の溶液であり;このパーフルオロ界面活性剤は以下の化学構造を有する。すなわち
【0108】
【化6】
【0109】
およそ10に等しい数平均重合度x+yおよびおよそ17.8に等しい数平均重合度p+qをもち;
6.Tegoglide 410は、EVONIK INDUSTRIESから商業的に入手可能な、Dowanol PM中のTego Glide410の1重量%の溶液である。
7.Wincon Red:Connect Chemicalsから入手可能な3,3−ビス(2−メチル−1オクチル−1H−インドル−3イル)フタリド。
【0110】
2.印刷版前駆体の画像様曝露
印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−04を、0.15のくさび定数を有するUGRA Step Wedgeにより、50μJ/cm
2で、Agfa Graphics
から商業的に入手可能なPolaris XCVプレートセッター(紫レーザーヘッド)上で画像化した。
【0111】
感熱性前駆体PPP−04は、感熱プレートセッターすなわちKodakから商業的に入手可能なTrendsetter 3244で75mJ/cm
2でもまた画像化した。
【0112】
感熱ポジティブ印刷版前駆体PPP−05を、感熱プレートセッターすなわちKodakから商業的に入手可能なTrendsetter 3244で125mJ/cm
2で画
像化した。
【0113】
3.印刷しない画像領域のコーティングと支持体の間のΔE
1の測定
ΔE
1は画像様曝露後の印刷しない領域のコーティングと支持体の間の色差であり、そして画像化曝露後の印刷しない領域のコーティングのL
*a
*b値および支持体のL
*a
*b値から計算され、双方は設定すなわちD50(光源)、2°視野観測者、フィルターなし、を用いてGretag Mecbeth SpectroEyeで測定される。支持体のL
*a
*b値はコーティングの除去後に測定する。印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−04のコーティングの除去は、Violet CFゴムNPに浸漬された綿パッドで拭うことにより行う。印刷版前駆体PPP−05のコーティングの除去はブタノンに浸漬された綿パッドで拭うことにより行う。ΔE
1の値を
表4に列挙する。
【0114】
4.印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−05の現像
画像様曝露後に、ネガティブ作用性印刷版前駆体PPP−01ないしPPP−04を、AGFAのVCF 85 Clean Out Unitで処理する。オンライン予熱処理を、1.2m/minの速度および印刷版前駆体の裏側で測定されるところの110℃の温度で、VCF85 Clean Out Unitの予熱ユニットで実施した。この測定は、版を予熱する直前に、KAGER GMBHから入手可能なサーモストリップを88℃ないし138℃の間の温度範囲Bで版前駆体の裏側に突き刺すことによって行った。
【0115】
予熱した後に、版を、Agfaから商業的に入手可能な「Violet CFゴムNP」ゴム引き溶液を用いて1.2m/minの速度および24℃のゴム温度で現像した。版を、VCF 85 Clean Out Unitの乾燥機ユニット中50℃の高温空気で乾燥する。
【0116】
画像様曝露後、印刷版前駆体PPP−05を、28℃および16秒の滞留時間でTP
現像剤(Agfa)を用いてElantrix 85H処理装置(Agfa)で現像する。現像後に版前駆体をリンス区分中で水道水を用いリンスしかつ乾燥する。
【0117】
5.色変化を誘発するためのIR若しくはUV放射への印刷版の全体的曝露。
乾燥した後、印刷版を、
表4に従ってIR放射若しくはUV放射にさらす。IR放射への曝露は、30rpmのドラム速度での1000mJ/cm
2の曝露で、Kodakから商業的に入手可能なサーマルヘッド型TH1.7を装備されたCreo Trendsetter 3244で実施する。UV放射への曝露はAgfa Printon CDL1502i Contactフレーム(Agfa)で実施する(真空は適用されない)。版前駆体をガラスプレートの上面に置き、そして3の曝露レベル(200mJ/cm
2の曝露密度に対応する)で1000ユニットの間曝露する。ΔE
2は、UV若しくはIR放射への全体的曝露後の印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間の色差を表す。ΔE
2値は、設定すなわちD50(光源)、2°視野(観測者)、フィルターなしを用いるGretag Macbeth SpectroEye反射分光光度計を用いた測定に基づく、それぞれ全体的曝露後の印刷領域のコーティングと印刷しない領域のL
*a
*b値から計算した。ΔE
2の値を
表4に列挙する。
【0118】
【表4】
【0119】
本発明の実施例は、全部、現像、乾燥およびUV若しくはIR放射への全体的曝露後の印刷版の印刷領域のコーティングと印刷しない領域の間の高い視覚的コントラストを示す。
【0120】
6.
現像剤の着色
リソグラフ印刷版前駆体の処理による
現像剤の着色をN94VCFプレート(Agfa)および印刷版前駆体PPP−01を用いて評価する。従って、1.35m
2の印刷版前駆体を90mlのゴム
現像剤Violet CF Gum NP(Agfa Graphics)に浸漬し、そしてゴム製ブレードではがしてコーティング成分の全部をゴム
現像剤中に収集する。結果は15m
2/l負荷されたゴム
現像剤である。ゴム
現像剤を石英製キュベット(100μmの光路長)に入れ、そして610nmでの透過率を分光光度計Perkin Elmer Lambda 950を用い透過で(in transmission)測定する。値を、測定されたものより16倍より高い光路に外挿して、
現像剤の溶媒の蒸発後の処理装置部品および版上の着色を模倣する。結果を
表5に要約する。
【0121】
【表5】
【0122】
Violet CF Gum NPゴム
現像剤中での本発明の版前駆体(印刷版前駆体PPP−01)の処理は、参照版前駆体での処理より
現像剤のはるかにより低い着色につながる。