特許第6361032号(P6361032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361032
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   H02B1/40 A
   H02B1/40 D
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-47594(P2014-47594)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-173522(P2015-173522A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 久典
(72)【発明者】
【氏名】東 久秀
(72)【発明者】
【氏名】水野 孝美
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】川畑 拓也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏泰
(72)【発明者】
【氏名】出原 侑昌
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−256848(JP,A)
【文献】 特開平09−117050(JP,A)
【文献】 特開2009−177969(JP,A)
【文献】 特開2006−014422(JP,A)
【文献】 特開平09−233623(JP,A)
【文献】 特開2002−199517(JP,A)
【文献】 特開2007−097307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏電検出機能を備えた主幹ブレーカと、分岐ブレーカと、感震器とが組み込まれた分電盤であって、
この感震器は、分電盤の母線バーに接続される電源端子と、分電盤のアース端子台に接続される接地端子と、振動を検出する感震センサと、感震センサが所定の震動を検出したときに電源端子と接地端子間を導通させて疑似漏電を発生させる漏電発生部とを備えたものであり、
上記感震器を、アース端子台に一体化したことを特徴とする分電盤。
【請求項2】
上記感震器は、震動を検出したときに制御信号を出力する出力端子を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の分電盤。
【請求項3】
上記感震器は、疑似漏電の発生に先立って制御信号を出力することを特徴とする請求項2記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震対応機能を備えた分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震発生時に家屋の破損に伴って発生する漏電火災や感電事故を防止するために、所定震度以上の地震を検出したときに、負荷への給電を停止することが望まれる。
【0003】
この要望に応えるために、特許文献1に示されるように、感震器が地震を検出したときに、主幹ブレーカを遮断する分電盤が提案されている。
【0004】
この特許文献1の分電盤は、感震器を分電盤の内部に組み込み、地震検出時に感震器から電圧信号を出力して主幹ブレーカを作動させる構造である。しかしこのためには主幹ブレーカを電圧引き外し機能を備えたものとする必要があるうえ、感震器から主幹ブレーカまで信号線を配線しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−233623公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、電圧引き外し機能を備えた特殊な主幹ブレーカを必要とせず、信号線の配線も不要な、地震対応型の分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、漏電検出機能を備えた主幹ブレーカと、分岐ブレーカと、感震器とが組み込まれた分電盤であって、この感震器は、分電盤の母線バーに接続される電源端子と、分電盤のアース端子台に接続される接地端子と、振動を検出する感震センサと、感震センサが所定の震動を検出したときに電源端子と接地端子間を導通させて疑似漏電を発生させる漏電発生部とを備えたものであり、上記感震器を、アース端子台に一体化したであることを特徴とするものである。
【0009】
なお請求項2のように、感震器を震動を検出したときに制御信号を出力する出力端子を備えたものとすることができ、この場合には請求項3のように、感震器は疑似漏電の発生に先立って制御信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分電盤は、感震センサが所定の震動を検出したときに電源端子と接地端子間を導通させて疑似漏電を発生させ、漏電検出機能を備えた主幹ブレーカが作動して電路を遮断するものであるから、地震発生後の漏電事故や感電事故を防止することができる。しかも本発明の分電盤は、電圧引き外し機能を備えた特殊な主幹ブレーカを必要としない。また、分電盤の内部で電源端子と接地端子を導通させるだけでよいため、信号線の配線も不要であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の参考形態の分電盤を示す斜視図である。
図2】第1の参考形態の分電盤を示す正面図である。
図3】感震器の外観を示す斜視図である。
図4】感震器の内部構成図である。
図5】第2の参考形態の分電盤を示す正面図である。
図6】第2の参考形態の要部説明図である。
図7】第3の参考形態の要部説明図である。
図8本発明の実施形態の要部説明図である。
図9第4の参考形態の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図4は本発明の第1の参考形態を示す図である。図1図2は本発明の分電盤の全体図であり、1は分電盤の筐体、2は漏電検出機能を備えた主幹ブレーカ(漏電ブレーカ)、3はその二次側に多数接続された分岐ブレーカである。これらの分岐ブレーカ3は主幹ブレーカ2の二次側に接続された3段の母線バー4にプラグイン接続されるプラグインブレーカである。母線バー4は母線バー支持部材5によって支持されている。6は筐体1の内側端部に設置されたアース端子台である。
【0013】
分岐ブレーカ設置位置の端部には、感震器10が設置されている。その設置位置は、アース端子台6の近傍であることが好ましい。実施形態の感震器10は分岐ブレーカ3と同一サイズであるが、幅が分岐ブレーカ3の幅の整数倍となっている。図3に感震器10の外観を示し、図4にその内部構成を示す。
【0014】
図3に示すように、感震器10はその片側にプラグイン式の電源端子11を備え、分岐ブレーカ3と同様に母線バー4にプラグイン接続される。このため分岐ブレーカ3と同じ取付具を共用することができる。電源端子11の反対側には、接地端子12が設けられている。この接地端子12はアース端子台6に接続される。
【0015】
図4に示すように、感震器10の内部には、感震センサ13、判定回路14、漏電発生部15、記憶部16が設けられている。また表面には、リセットボタン17、テストボタン18が設けられている。
【0016】
感震センサ13は地震の揺れを検出し、判定回路14に検出情報を出力する機能を有するものである。判定回路14は感震センサ13からの検出情報により震度を判定し、第1レベル以上(例えば震度5以上)の揺れであると判定した場合には、所定時間(例えば3分後)に漏電発生部15に出力信号を送る。しかし第2レベル以上(例えば震度6以上)の揺れと判定した場合には、直ちに漏電発生部15に出力信号を送る。
【0017】
漏電発生部15は、電源端子11と接地端子12との間を導通させて、擬似的な漏電を発生させる機能を有する。これにより交流の相間バランスが崩れるため、漏電検出機能を有する主幹ブレーカ2が漏電を検出し、電路を遮断する。
【0018】
感震器10は、震動を検出したときに制御信号を出力する出力端子19を備えたものとすることができる。この制御信号は疑似漏電の発生に先立って出力され、特定の分岐ブレーカ3を動作させ、その分岐回路を遮断する。この場合には分岐ブレーカ3を電圧引き外し機能を備えたものとし、第1レベル以上の震度の場合には、例えばIH機器のような容量の大きい負荷への通電を直ちに遮断する。このような大容量の負荷への通電を3分間継続すると、その間に火災発生の危険性があるためである。
【0019】
なお、感震センサ13から出力された検出情報は記憶部16に記憶される。これは判定回路14が漏電発生部15に出力信号を送る前に、停電が発生したときには主幹ブレーカ2を動作させることができず、その後に復電した際に記憶されている検出情報に基づいて震度を判定し、主幹ブレーカ2を動作させるためである。従って判定回路14が漏電発生部15に出力信号を送るとその必要がなくなるため、この記憶はクリアされる。
【0020】
上記したように、感震センサ13が地震の揺れを検出し、判定回路14が第1レベル以上の揺れであると判定すると、所定時間に漏電発生部15に出力信号を送り、第2レベル以上の揺れと判定した場合には、直ちに漏電発生部15に出力信号を送る。これにより主幹ブレーカ2が動作して給電を停止する。
【0021】
地震発生後、所定時間以内に停電した場合には、主幹ブレーカ2はオンの状態のままである。このため復電時に判定回路14が記憶部16の記憶を読み込み震度を判定し、第1レベル以上の検出情報が記憶されている場合には、復電直後に漏電発生部15に出力信号を送り、主幹ブレーカ2を動作させる。
【0022】
また、地震が発生したが、実際には構造物に損傷がないような場合には、電源を遮断する必要がない。このような場合にはリセットボタン17を押せば、判定回路14は漏電発生部15に出力信号を送ることを中止する。
【0023】
テストボタン18は、押されたときに漏電発生部15に信号を送り、疑似的な漏電を発生させる。これにより、主幹ブレーカ2が確実に動作することを確認することができる。
【0024】
以上に説明したように本発明によれば、電圧引き外し機能を備えた特殊な主幹ブレーカを必要とせずに、地震発生時に電路を遮断することができる。また電源端子11と接地端子12との間を導通させて擬似的な漏電を発生させるため、信号線の配線も不要である。
【0025】
上記した参考形態では感震器10を分電盤内の分岐ブレーカ取付け位置に配置したが、感震器10の設置位置については変更が可能である。図5図6に示す第2の参考形態では、感震器10を母線バー支持部材5に内蔵させ、母線バー支持部材5の支持部21を電源端子として利用する構造とした。この構造は分岐ブレーカ3の取付位置を減少させる必要がないうえ、電源接続部を支持部21と兼用できる利点がある。また母線バー支持部材5の側面にはリセットボタン17、テストボタン18を設けておいてもよい。
【0026】
図7に示す第3の参考形態では、感震器10を母線バー4の端部に配置した。すなわち、母線バー支持部材5の外側に感震器10を隣接配置し、母線バー支持部材5を電源端子として利用する構造とした。この構造は分岐ブレーカ3の取付位置を減少させる必要がないうえ、電源接続も容易である。この構造は感震器10を後付けする場合に有利である。
【0027】
図8に示す本発明の実施形態は、感震器10をアース端子台6に接続して一体化した構造である。この場合には電源端子を配線20によって分岐ブレーカ3に接続するか、母線バー4に接続するが、アース端子への接続は不要である。この構造も分岐ブレーカ3の取付位置を減少させる必要がない。なお、一体化した構造としては、アース端子台6の内部に感震器10を組み込んだものとしてもよい。
【0028】
図9に示す第4の参考形態では、感震器10を分電盤の筐体1の外側面に設置した。この場合には電源端子と接地端子とを分電盤に面する側面に配置し、分電盤の筐体1を貫通させて接続する。図9では感震器10を母線バー4の端部付近に配置したが、アース端子台6の近傍に配置することもできる。なお、リセットボタン17とテストボタン18は感震器10の外側面に配置することが好ましい。
【0029】
このほか、感震器10を母線バー4のカバーの上面に配置することもできる。この場合にも母線バー4からの電源供給が容易である。この構造も分岐ブレーカ3の取付位置を減少させる必要がない利点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 分電盤の筐体
2 主幹ブレーカ(漏電ブレーカ)
3 分岐ブレーカ
4 母線バー
5 母線バー支持部材
6 アース端子台
10 感震器
11 電源端子
12 接地端子
13 感震センサ
14 判定回路
15 漏電発生部
16 記憶部
17 リセットボタン
18 テストボタン
19 出力端子
20 配線
21 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9