特許第6361044号(P6361044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6361044洗浄用スポンジの製造装置および洗浄用スポンジの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6361044
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】洗浄用スポンジの製造装置および洗浄用スポンジの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/52 20060101AFI20180712BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20180712BHJP
   A47L 13/16 20060101ALI20180712BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20180712BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   B29C43/52
   B29C43/58
   A47L13/16 B
   B29K75:00
   B29K105:04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-77876(P2017-77876)
(22)【出願日】2017年4月10日
【審査請求日】2017年4月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、ワコー株式会社が、株式会社ナフコに、石田 侃が発明した「洗浄用スポンジの製造装置または洗浄用スポンジの製造方法」で製造された洗浄用スポンジを卸した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504135505
【氏名又は名称】ワコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141748
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 浩司
(72)【発明者】
【氏名】石田 侃
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0264549(US,A1)
【文献】 特開2007−029178(JP,A)
【文献】 米国特許第05640737(US,A)
【文献】 特開2003−053850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/52
A47L 13/16
B29C 43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用スポンジの製造方法であって、
(a) 板状のポリウレタンフォームの第1および第2主面を加圧する工程と、
(b) 前記工程(a)により加圧されている前記ポリウレタンの前記第1および第2主面を、それぞれ第1および第2加熱面により加熱する工程と、
を備え、
加熱前における前記ポリウレタンフォームのセル数は、25mmあたり6〜15個であり、
前記第2主面は、前記第1主面と逆側の面であり、
加圧前における前記第1および第2主面の間の距離を、前記ポリウレタンフォームの第1厚さと、
加圧時における前記第1および第2主面の間の距離を、前記ポリウレタンフォームの第2厚さと、
前記第1厚さに対する前記第2厚さの比率を、圧縮率と、
それぞれ定義する場合、
前記工程(a)により、前記圧縮率が0.4以上0.8以下となるように、前記ポリウレタンフォームが加圧され、
前記工程(b)により、前記第1および第2加熱面の温度が170℃以上210℃以下となるように設定されることによって、
前記ポリウレタンフォームに、
圧縮および硬化させられた第1および第2硬化層と、
前記第1および第2硬化層の間に挟まれており、前記第1および第2硬化層のそれぞれより単位長さ当たりのセル数が少ない起泡層と、
が形成されるとともに、
前記工程(b)は、前記第1および第2加熱面のうちの一方の温度が他方の温度より高くなるように設定することを特徴とする洗浄用スポンジの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄用スポンジの製造方法において、
前記工程(b)は、加熱時間が8分以上12分以下となるように、前記ポリウレタンフォームを加熱することを特徴とする洗浄用スポンジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄用スポンジの製造装置および洗浄用スポンジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三層の積層構造を有する清掃具が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−112122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の清掃具は、独立した各層を接着剤で接着することによって製造される。すなわち、この清掃具を製造するためには、(1)各層を製造(または準備)する工程と、(2)各層を接着して組み立てる工程と、が必要となる。
【0005】
そこで、本発明では、簡便な手法によって三層構造を有する洗浄用スポンジの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、請求項1の発明は、洗浄用スポンジの製造方法であって、(a)板状のポリウレタンフォームの第1および第2主面を加圧する工程と、(b)前記工程(a)により加圧されている前記ポリウレタンの前記第1および第2主面を、それぞれ第1および第2加熱面により加熱する工程とを備え、加熱前における前記ポリウレタンフォームのセル数は、25mmあたり6〜15個であり、前記第2主面は、前記第1主面と逆側の面であり、加圧前における前記第1および第2主面の間の距離を、前記ポリウレタンフォームの第1厚さと、加圧時における前記第1および第2主面の間の距離を、前記ポリウレタンフォームの第2厚さと、前記第1厚さに対する前記第2厚さの比率を、圧縮率と、それぞれ定義する場合、前記工程(a)により、前記圧縮率が0.4以上0.8以下となるように、前記ポリウレタンフォームが加圧され、前記工程(b)により、前記第1および第2加熱面の温度が170℃以上210℃以下となるように設定されることによって、前記ポリウレタンフォームに、圧縮および硬化させられた第1および第2硬化層と、前記第1および第2硬化層の間に挟まれており、前記第1および第2硬化層のそれぞれより単位長さ当たりのセル数が少ない起泡層と、が形成されるとともに、前記工程(b)は、前記第1および第2加熱面のうちの一方の温度が他方の温度より高くなるように設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の洗浄用スポンジの製造方法において、前記工程(b)は、加熱時間が8分以上12分以下となるように、前記ポリウレタンフォームを加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、加圧時において圧縮率が0.4以上0.8以下とされ、かつ、加熱時において第1および第2加熱面の温度が170℃以上210℃以下となるように設定される。これにより、(1)起泡層より引張強度を有しており、洗浄対象に付着した汚れの除去に適した第1および第2硬化層と、(2)第1および第2硬化層より保水性および界面活性剤の起泡性に優れた起泡層と、を1回の加圧・加熱処理により形成することができる。そのため、洗浄用スポンジの製造工数を低減させることができ、洗浄用スポンジの製造時におけるコストを低減させることができる。
【0013】
また請求項1および請求項2に記載の発明によれば、洗浄用スポンジの製造工数を増加させることなく、厚さの異なった2つの第1および第2硬化層を形成することができる。これにより、洗浄対象の汚れの状況に応じて第1および第2硬化層のいずれかを選択することができる。このように、洗浄対象の汚れの状況に応じた洗浄を可能とする洗浄用スポンジを、製造コストの増加を伴うことなく提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1および第2の実施の形態における製造装置の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1および第2の実施の形態における洗浄用スポンジの製造工程を説明するための図である。
図3】本発明の第1の実施の形態における洗浄用スポンジの製造工程を説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施の形態における洗浄用スポンジの製造工程を説明するための図である。
図5】本発明の第2の実施の形態における洗浄用スポンジの製造工程を説明するための図である。
図6】本発明の第2の実施の形態における洗浄用スポンジの製造工程を説明するための図である。
図7】本発明の第2の実施の形態において製造された洗浄用スポンジの一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<1.第1の実施の形態>
<1.1.製造装置の構成>
図1は、本実施の形態における製造装置1の構成の一例を示す図である。製造装置1は、板状(平板状)のポリウレタンフォーム10から洗浄用スポンジ15を製造するための装置である。図1に示すように、製造装置1は、主として、第1および第2加圧部21、22と、昇降部25と、第1および第2加熱部31、32と、制御部90と、を備える。
【0017】
ここで、本実施の形態におけるポリウレタンフォーム10(軟質ポリウレタンフォーム)としては、ポリオールとポリイソシアネートを主成分として、発泡剤、整泡剤、または触媒等を撹拌混合して発泡した軟質発泡材料が、採用されている。
【0018】
また、本実施の形態におけるポリウレタンフォームの密度について、好ましくは15〜50(さらに好ましくは20〜30)(kg/m3)の範囲である。また、本実施の形態におけるポリウレタンフォームのセル数について、好ましくは6〜30(さらに好ましくは6〜15)(単位:個/25mm)の範囲である。
【0019】
さらに、ポリウレタンフォーム10に対して用いられる「主面」(第1および第2主面11、12)と言う用語は、ポリウレタンフォーム10の外面のうち主だった面を意味する。例えば、図1において、第1および第2加圧部21、22の間にポリウレタンフォーム10が配置される場合において、第1主面11は、第1加圧部21と対向するとともに、第2主面12は、第1加圧部21と逆側の面であり、第2加圧部22と対向する。
【0020】
第1および第2加圧部21、22は、対応する第1および第2加熱面21a、22aが互いに対向するように、配置されている。また、第1加圧部21は、昇降部25により第2加圧部22に対して上下に昇降するように構成されている。これにより、第1加圧部21が第2加圧部22側に移動させられることによって、第1および第2加圧部21、22は、各々の間に配置されたポリウレタンフォーム10を加圧可能とされている。
【0021】
第1および第2加熱部31、32は、図1に示すように、それぞれ第1および第2加圧部21、22に設けられており、第1および第2加圧部21、22の間に配置されたポリウレタンフォーム10を加熱する。
【0022】
より具体的には、第1および第2加圧部21、22の間にポリウレタンフォーム10が配置される場合において、ポリウレタンフォーム10の第1主面11と対向する第1加圧部21の面を第1加熱面21aとするとき、第1加熱部31は、この第1加熱面21aを加熱する。
【0023】
また、第1および第2加圧部21、22の間にポリウレタンフォーム10が配置される場合において、ポリウレタンフォーム10の第2主面12と対向する第2加圧部22の面を第2加熱面22aとするとき、第2加熱部32は、この第2加熱面22aを加熱する。
【0024】
ここで、第1および第2加熱部31、32としては、電熱線により対応する第1および第2加熱面21a、22aを加熱するものが採用されても良い。また、第1および第2加熱部31、32としては、熱媒体(例えば、オイル)を循環させることによって第1および第2加熱面21a、22aを加熱するものが採用されても良い。
【0025】
制御部90は、主として、第1および第2加熱部31、32、並びに昇降部25の動作を制御する。図1に示すように、制御部90は、主として、CPU91と、メモリ92と、を有している。CPU91は、メモリ92に格納されているプログラム92aにしたがい、第1および第2加熱部31、32、並びに昇降部25の動作制御を所定のタイミングで実行する。これにより、制御部90は、第1および第2加圧部21、22の間に挟まれたポリウレタンフォーム10の第1および第2主面11、12を、加圧させつつ加熱させることができる。
【0026】
<1.2.洗浄用スポンジの製造工程>
図2から図4のそれぞれは、本実施の形態における洗浄用スポンジ15の製造工程を説明するための図である。ここでは、図1から図4を参照しつつ、製造装置1で実行される洗浄用スポンジ15の製造工程を説明する。
【0027】
まず、ポリウレタンフォーム10の供給に先立って、制御部90により第1および第2加熱部31、32を動作させることによって、対応する第1および第2加熱面21a、22aが加熱される。ここで、本実施の形態における第1および第2加熱面21a、22aの温度について、好ましくは170〜210(さらに好ましくは180〜200)(℃)の範囲である。
【0028】
次に、制御部90により昇降部25を動作させることによって、第1および第2加圧部21、22の間の距離が十分確保された状態(図1参照)で、ポリウレタンフォーム10が第1および第2加圧部21、22の間に供給される。
【0029】
ここで、図1に示すように、供給時(すなわち、加圧前)におけるポリウレタンフォーム10の厚さ(第1厚さ)は、「TH1」(mm)とされている。また、本実施の形態においてポリウレタンフォーム10の「厚さ」とは、ポリウレタンフォーム10における第1および第2主面11、12の間の距離を言うものとする。
【0030】
続いて、昇降部25により第1加圧部21が下降させられることによって、第1加圧部21の第1加熱面21aとポリウレタンフォーム10の第1主面11とが、第2加圧部22の第2加熱面22aとポリウレタンフォーム10の第2主面12とが、それぞれ接触する(図2参照)。そして、さらに第1加圧部21が下降させられることによって、ポリウレタンフォーム10の厚さ(第2厚さ)は、「TH2」(mm)とされる(図3参照)。
【0031】
これにより、ポリウレタンフォーム10の第1熱影響領域11aが第1加熱面21aからの熱影響を、第2熱影響領域12aが第2加熱面22aからの熱影響を、それぞれ受ける(図3参照)。
【0032】
このように、本実施の形態では、(1)ポリウレタンフォーム10の第1および第2主面11、12を加圧する工程と、(2)ポリウレタンフォーム10の第1および第2主面11、12を、それぞれ対応する第1および第2加熱面21a、22aにより加熱する工程と、が同時期に実行される。
【0033】
ここで、厚さTH1(加圧前におけるポリウレタンフォーム10の厚さ)に対する厚さTH2(加圧時におけるポリウレタンフォーム10の厚さ)の比率を圧縮率Rc(=TH2/TH1)とする場合、この圧縮率Rcの範囲は、好ましくは0.4≦Rc≦0.8(さらに好ましくは0.5≦Rc≦0.7)である。
【0034】
また、制御部90により設定されるポリウレタンフォーム10の加熱時間Htについて、好ましくは8≦Ht≦12(さらに好ましくは9≦Ht≦11)(単位:分)の範囲である。
【0035】
続いて、図4に示すように、昇降部25により第1加圧部21がポリウレタンフォーム10から離隔されると、第1および第2熱影響領域11a、12aには、それぞれ熱硬化に起因した収縮により形成された第1および第2硬化層16、17が形成される。この硬化収縮の影響によって、第1および第2硬化層16、17のセル数(単位:個/25mm)は、加熱前のポリウレタンフォーム10のセル数より大きくなる。
【0036】
また、第1および第2硬化層16、17の間には、第1および第2加熱面21a、22aからの熱影響が小さい起泡層18が形成される。この起泡層18のセル数(単位:個/25mm)は、加熱前のポリウレタンフォーム10のセル数と同程度となる。
【0037】
このように、本実施の形態の製造工程では、ポリウレタンフォーム10に、
(1)圧縮および硬化させられた第1および第2硬化層16、17と、
(2)第1および第2硬化層16、17の間に挟まれており、第1および第2硬化層16、17のそれぞれより単位長さ当たりのセル数が少ない起泡層18と、
を形成するように構成されており、これにより、単一のポリウレタンフォーム10から洗浄用スポンジ15が製造される。
【0038】
そして、製造装置1で製造された洗浄用スポンジ15は、後工程(例えば、所望のサイズに洗浄用スポンジ15を裁断する工程)に搬送される。なお、図4に示すように、本製造工程後の洗浄用スポンジ15の厚さTH31(第3厚さ)は、加圧前の厚さTH1より小さく、かつ、加圧時の厚さTH2より大きい値となる。
【0039】
<1.3.第1の実施の形態で実行される製造工程の利点>
以上のように、第1の実施の形態において製造装置1で実行される製造工程では、(A)加圧時において圧縮率Rcが、少なくとも0.4以上0.8以下とされ、かつ、(B)加熱時において第1および第2加熱面の温度が、少なくとも170℃以上210℃以下となるように設定される。これにより、(1)起泡層18より引張強度を有しており、洗浄対象に付着した汚れの除去に適した第1および第2硬化層16、17と、(2)第1および第2硬化層16、17より保水性および界面活性剤の起泡性に優れた起泡層18と、を1回の加圧・加熱処理により形成することができる。そのため、洗浄用スポンジ15の製造工数を低減させることができ、洗浄用スポンジ15の製造時におけるコストを低減させることができる。
【0040】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1および第2の実施の形態は、制御部90で実行される第1および第2加圧部21、22、並びに第1および第2加熱部31、32の動作制御が異なる点を除いては、同様な構成を有する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明する。
【0041】
なお、第1および第2の実施の形態で同様な構成要素には、同一符号が付されており、この同一符号が付された構成要素は、第1の実施の形態で説明済みである。そのため、本実施の形態では説明を省略する。
【0042】
<2.1.洗浄用スポンジの製造工程>
図5および図6のそれぞれは、本実施の形態における洗浄用スポンジ115の製造工程を説明するための図である。図7は、本実施の形態において製造された洗浄用スポンジ115の一例を示す写真である。ここでは、図1図2、および図5から図7を参照しつつ、製造装置1で実行される洗浄用スポンジ115の製造工程を説明する。
【0043】
まず、ポリウレタンフォーム10の供給に先立ち、制御部90により第1および第2加熱部31、32を動作させることによって、対応する第1および第2加熱面21a、22aが加熱される。
【0044】
ここで、本実施の形態では、第2加熱面22aの温度より第1加熱面21aの温度が高くなるように設定されている。また、第1および第2加熱面21a、22aの温度の範囲は、第1の実施の形態と同様に、好ましくは170〜210(さらに好ましくは180〜200)(℃)である。
【0045】
次に、第1および第2加圧部21、22の間に供給されたポリウレタンフォーム10に加圧・加熱処理が実行される。これにより、ポリウレタンフォーム10の第1熱影響領域111aが第1加熱面21aからの熱影響を、第2熱影響領域112aが第2加熱面22aからの熱影響を、それぞれ受ける(図3参照)。
【0046】
ここで、図5に示すように、第1加熱面21aの温度が第2加熱面22aの温度より高くなるように設定されている。そのため、第1熱影響領域111aの深さ(第1加熱面21aの法線方向に沿ったサイズ)は、第2熱影響領域112aの深さ(第2加熱面22aの法線方向に沿ったサイズ)より大きくなる。
【0047】
また、加圧時における圧縮率Rcの範囲は、第1の実施の形態と同様に、好ましくは0.4≦Rc≦0.8(さらに好ましくは0.5≦Rc≦0.7)である。さらに、ポリウレタンフォーム10の加熱時間Htの範囲も、第1の実施の形態と同様に、好ましくは8≦Ht≦12(さらに好ましくは9≦Ht≦11)(単位:分)である。
【0048】
続いて、図6に示すように、昇降部25により第1加圧部21がポリウレタンフォーム10から離隔されると、第1および第2熱影響領域111a、112aには、それぞれ熱硬化に起因した収縮により形成された第1および第2硬化層116、117が形成される。
【0049】
この硬化収縮の影響によって、第1および第2硬化層116、117のセル数(単位:個/25mm)は、加熱前のポリウレタンフォーム10のセル数より大きくなる。また、第1および第2熱影響領域111a、112aの深さが相違するため、第1硬化層116の厚さは、第2硬化層117の厚さより大きくなる(図7参照)。
【0050】
さらに、第1および第2硬化層116、117の間には、第1および第2加熱面21a、22aからの熱影響が小さい起泡層18が形成される。この起泡層18のセル数(単位:個/25mm)は、加熱前のポリウレタンフォーム10のセル数と同程度となる。
【0051】
このように、本実施の形態の製造工程では、単一のポリウレタンフォーム10を原料として、第1および第2硬化層116、117と、起泡層18と、を有する洗浄用スポンジ115が製造される。そして、製造装置1で製造された洗浄用スポンジ115は、第1の実施の形態と同様に、後工程(例えば、所望のサイズに洗浄用スポンジ115を裁断する工程)に搬送される。なお、図6に示すように、本製造工程後の洗浄用スポンジ115の厚さTH32(第3厚さ)は、加圧前の厚さTH1より小さく、かつ、加圧時の厚さTH2より大きい値となる。
【0052】
<2.2.第2の実施の形態で実行される製造工程の利点>
以上のように、第2の実施の形態において製造装置1で実行される製造工程では、洗浄用スポンジ115の製造工数を増加させることなく、厚さの異なった2つの第1および第2硬化層116、117を形成することができる。これにより、洗浄対象の汚れの状況に応じて第1および第2硬化層116、117のいずれかを選択することができる。
【0053】
このように、第2の実施の形態で実行される製造工程では、洗浄対象の汚れの状況に応じた洗浄を可能とする洗浄用スポンジ115を、製造コストの増加を伴うことなく提供することができる。
【0054】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0055】
(1)第1および第2の実施の形態において、昇降部25は、第2加圧部22に対して第1加圧部21を上下に昇降させるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、昇降部25は、第1加圧部21に対して第2加圧部22を昇降させても良いし、第1および第2加圧部21、22のそれぞれを昇降させても良い。すなわち、昇降部25は、第2加圧部22に対して第1加圧部21を相対的に昇降(上下移動)させるものであれば十分である。
【0056】
(2)また、第1および第2の実施の形態において、第1加圧部21は、第2加圧部22に対して上下に移動させられるものとして説明したが、第1加圧部21の移動方向はこれに限定されるものでない。例えば、第1加圧部21の移動方向が図1の紙面における左右方向(水平方向)となるように、第1および第2加圧部21、22が設けられても良い。すなわち、第1加圧部21は、第2加圧部22に対して相対的に水平移動させられるものであっても良い。
(3)さらに、第2の実施の形態において、第2加熱面22aの温度より第1加熱面21aの温度が高くなるように設定されているものとして説明したが、第1および第2加熱面21a、22aの設定温度はこれに限定されるものでない。例えば、第2加熱面22aの温度より第1加熱面21aの温度が低くなるように設定されても良い。すなわち、第1および第2加熱面21a、22aのうちの一方が他方より高くなるように設定されれば十分である。
【符号の説明】
【0057】
1 製造装置
10 ポリウレタンフォーム
11、12 第1および第2主面
11a、111a 第1熱影響領域
12a、112a 第2熱影響領域
15、115 洗浄用スポンジ
16、116 第1硬化層
17、117 第2硬化層
18、118 起泡層
21、22 第1および第2加圧部
21a、22a 第1および第2加熱面
31、32 第1および第2加熱部
90 制御部
TH1、TH2 厚さ(第1および第2厚さ)
【要約】
【課題】簡便な手法によって三層構造を有する洗浄用スポンジの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】加圧・加熱処理において、ポリウレタンフォーム10の圧縮率が0.4以上0.8以下に設定された状態で、第1および第2第2加熱面21a、22aの温度が170℃以上210℃以下となるように加熱される。これにより、(1)起泡層より引張強度を有しており、洗浄対象に付着した汚れの除去に適した第1および第2硬化層と、(2)第1および第2硬化層より保水性および界面活性剤の起泡性に優れた起泡層と、を1回の加圧・加熱処理により形成することができる。
【選択図】図1
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図2
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図7