(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0009】
[全体のハードウェア構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る状態推定装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
状態推定装置1は、3軸角速度センサ及び3軸加速度センサを備えるセンサユニット1Aと、センサユニット1Aによって検出された角速度及び加速度に基づき状態推定処理(後述)を実行する処理ユニット1Bとを含んで構成される。
【0010】
状態推定装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、センサ部16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、を備えている。これらのうち、CPU11、ROM12、RAM13、バス14、入出力インターフェース15、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21はPC(Personal Computer)等からなる処理ユニット1Bに備えられ、センサ部16はセンサユニット1Aに備えられている。センサユニット1Aと処理ユニット1Bとは、有線あるいは無線による通信インターフェース(不図示)によって通信可能に構成されている。
【0011】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0012】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0013】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21が接続されている。なお、センサユニット1Aの3軸角速度センサ16a及び3軸加速度センサ16bも、不図示の通信インターフェースを介して、入出力インターフェース15に接続される。
【0014】
センサ部16は、3軸角速度センサ16aと、3軸加速度センサ16bとを備えている。センサ部16は、センサユニット1A側に備えられ、テニスラケット2に設置される。
【0015】
3軸角速度センサ16aは、テニスラケット2のスイングにおけるXYZ軸方向それぞれの角速度を検出する。そして、3軸角速度センサ16aは、検出した角速度を示す信号を処理ユニット1Bに出力する。
3軸加速度センサ16bは、テニスラケット2のスイングにおけるXYZ軸方向それぞれの加速度を検出する。そして、3軸加速度センサ16bは、検出した加速度を示す信号を処理ユニット1Bに出力する。
【0016】
入力部17は、各種釦等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部18は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部19は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
通信部20は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0017】
ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ21によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部19に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0018】
[センサユニットの構成]
図2は、テニスラケット2に設置されたセンサユニット1Aの構成を示す模式図である。
図2において、
図2(a)は、センサユニット1Aを設置したテニスラケット2の全体図、
図2(b)及び
図2(c)は、テニスラケット2に設置されたセンサユニット1Aの拡大図である。なお、
図2(b)においては、センサユニット1Aに設定されるXYZ軸を併せて示している。
【0019】
図2に示すように、センサユニット1Aは、テニスラケット2のスロート(シャフトの二股部分)内に設置されている。センサユニット1Aをスロート内に設置することで、プレーヤー(ユーザ)によるテニスラケット2のスイングが妨げられることを抑制できる。また、スイングバランスへの影響を抑えるため、センサユニット1Aの重さは例えば20g以下とすることが望ましい。なお、センサユニット1Aは、プレーヤーのスイングを妨げない位置であれば、テニスラケット2のグリップエンド側またはグリップ内に内蔵することも可能である。
【0020】
このように設置されたセンサユニット1Aは、3軸角速度センサ16a及び3軸加速度センサ16bによって、テニスラケット2がスイングされた場合に、フェイスと平行な方向(X軸方向)、グリップエンドからラケットヘッドに向かう方向(Y軸方向)及びフェイスと垂直な方向(Z軸方向)の角速度及び加速度をそれぞれ検出する。
例えば、テニスラケット2のフェイスを地面に対して垂直に維持したまま、右利きのプレーヤーがフォアハンドのスイングを行うと、3軸角速度センサ16aは、X軸周りの回転角速度(−Gx)成分が主成分となる。
そして、センサユニット1Aは、検出した角速度及び加速度を示す信号を状態推定装置1の処理ユニット2に送信する。処理ユニット2において、プレーヤーのスイングに関する各種パラメータが算出され、スイングの状態が推定される。本実施形態において、状態推定装置1は、スイングの状態として、プレーヤーのスイングの半径を推定するものとする。
【0021】
[機能的構成]
図3は、このような状態推定装置1の機能的構成のうち、状態推定処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
状態推定処理とは、テニスラケット2のスイングにおける角速度及び加速度に基づき、プレーヤーのスイングに関する各種パラメータを算出し、プレーヤーのスイングの状態を推定する一連の処理をいう。
【0022】
状態推定処理が実行される場合、CPU11においては、状態推定部51と、出力制御部52と、が機能する。
なお、状態推定部51の機能の少なくとも一部を、センサユニット1A側に移譲させてもよい。
状態推定部51は、3軸角速度センサ16aによって検出されたテニスラケット2のXYZ軸方向の角速度を取得する。また、状態推定部51は、3軸加速度センサ16bによって検出されたテニスラケット2のXYZ軸方向の加速度を取得する。そして、状態推定部51は、取得した角速度及び加速度に基づき、プレーヤーによるテニスラケット2のスイングの状態を推定する。
【0023】
図3は、テニスラケット2によってボールがインパクトされた前後の3軸角速度センサ16aの検出結果を示す図である。
図3において、実線はX軸方向の角速度、破線はY軸方向の角速度、一点鎖線はZ軸方向の角速度を示している。
ボールのインパクト時におけるX軸方向の角速度Gx(
図3中の実線)の値が大きいほど、打たれたボールの速度は速くなる。なお、Y軸方向の角速度Gy(
図3中の破線)は、テニスラケット2のグリップ軸に対する回転成分であり、インパクト後のテニスラケット2のぶれを表す。また、Z軸方向の角速度Gz(
図3中の一点鎖線)の値が大きいほど、打たれたボールのスピン量が多くなる。
【0024】
図4は、プレーヤーがボールをインパクトする瞬間のスイングの状態を示す模式図である。なお、
図4においては、右利きのプレーヤーによるフォアハンドのスイングを上面視した状態を示している。
図4に示すように、テニスラケット2のスイング動作は相手のプレーヤーの打球に応じた運動となり個人差もあるが、ボールインパクト直前の運動に着目すると、個人差によらず近似的に右肩関節を中心とした回転運動であるとみなすことができる。さらに、
図3におけるボールインパクト直前のX軸方向の角速度Gxの波形を参照すると、マイナス側の最大値付近でほぼ平坦となっている。即ち、インパクトの直前の微小時間においては、X軸方向の角速度Gxは一定であり、テニスラケット2の運動は、等速円運動によって近似可能であることがわかる。
【0025】
図5は、インパクトの直前におけるテニスラケット2の運動を近似した等速円運動のモデルを示す図である。
図5に示すように、センサユニット1Aにおける等速円運動の半径をr、角速度をω、質点とみなしたテニスラケット2の質量をmとすると、時間tの間に回転する角度(回転角度)はωt、速度vはrωと表される。また、向心力をF、回転の中心に向かう加速度をaとすると、運動方程式は、以下の(1)式によって表すことができる。
ma=mrω
2 (1)
【0026】
(1)式より、加速度a=rω
2となり、したがって、センサユニット1Aの回転半径rは、以下の(2)式によって表すことができる。
r=a/ω
2 (2)
即ち、(2)式において、センサユニット1Aの角速度及び加速度が判明すれば、センサユニット1Aの回転半径rを算出することができる。
ここで、角速度ωについては、3軸角速度センサ16aの検出結果(Gx)を用いることができる。
一方、加速度aについては、テニスラケット2をプレーヤーがスイングする際には、手首を返して固定した状態となることから、3軸加速度センサ16bの検出結果を以下のように適用する。
【0027】
図6は、インパクト時におけるプレーヤーの腕とテニスラケット2との位置関係を示す図であり、
図6(a)はインパクト時におけるプレーヤーの全体図、
図6(b)はインパクト時におけるプレーヤーの腕とテニスラケット2との位置関係を示す模式図である。
図6(a)に示すように、プレーヤーの腕とテニスラケット2とは一直線にはなっておらず、手首を返して打点が右肩よりも前に位置する状態になる。
仮に手首を返していない状態、即ち、プレーヤーの腕とテニスラケット2とが一直線となっている場合には、3軸加速度センサ16bの座標成分のうち、Y軸成分ayのみを参照すれば足りる。
これに対し、プレーヤーの腕とテニスラケット2とが一直線とはなっていない場合には、回転半径の方向とセンサユニット1Aの座標系とがずれた状態となり、
図6(b)に示すように、参照すべき3軸加速度センサ16bの座標成分は、Y軸成分ay及びZ軸成分azである。
【0028】
図7は、回転半径の方向とずれたセンサユニット1Aの座標系における向心力を示す模式図である。
図7に示すように、手首の返しにより、回転半径の方向とセンサユニット1Aの座標系とがθずれているとすると、向心力Fは、Y軸成分FyとZ軸成分Fzとに分解される。このとき、Fy及びFzは以下の(3)式及び(4)式によって表される。
Fy=−Fcosθ (3)
Fz=Fsinθ (4)
【0029】
また、Y軸成分Fy及びZ軸成分Fzと、全体の向心力Fとの関係は、以下の(5)式によって表される。
F=(Fy
2+Fz
2)
1/2 (5)
(1)式より、向心力F=maであることから、ma=(Fy
2+Fz
2)
1/2と表すことができ、さらに、ma=m(ay
2+az
2)
1/2と表すことができる。
したがって、(1)式の右辺を適用して、回転半径rは以下の(6)式によって表される。
r=(ay
2+az
2)
1/2/ω
2 (6)
(6)式の角速度ωは、3軸角速度センサ16aの検出結果(Gx)を用いることができるため、状態推定部51は、3軸角速度センサ16a及び3軸加速度センサ16bの検出結果から、センサユニット1Aの回転半径を算出することができる。
【0030】
図8は、回転半径の実測例を示す模式図であり、
図8(a)は、身体に近い位置でテニスラケット2がスイングされた場合、
図8(b)は、身体から遠い位置でテニスラケット2がスイングされた場合を示している。
図8(a)の例と
図8(b)の例とでは、
図8(a)の例の方が、
図8(b)の例よりも小さい回転半径が算出され、その差は、実測値に近い値となる。
なお、(6)式から算出される回転半径rは、センサユニット1Aが設置された位置の回転半径であるため、スイングの状態を示す指標として、この回転半径rをそのまま用いることの他、スイートスポットの位置の回転半径等に変換して用いることも可能である。
【0031】
状態推定部51は、算出した回転半径をスイングの状態の推定結果とし、予め設定された表示形態の推定結果を示すデータ(以下、「結果表示データ」と呼ぶ。)を生成する。また、状態推定部51は、算出した回転半径を示すデータや生成した結果表示データを記憶部19に記憶させる。
【0032】
図9は、スイングの状態の推定結果をイラストで表した表示形態例を示す図である。
図9においては、プレーヤーの右肩を中心としたスイングの回転半径を示す円と、インパクト時のテニスラケット2の位置及びボールが示されている。また、推定結果であるスイングの回転半径の例として、「60cm」が示されている。
なお、このようなイラストをフォアハンドのスイング及びバックハンドのスイングそれぞれについて表示することができる。
この場合、例えば、フォアハンドのスイングの平均回転半径及びバックハンドのスイングの平均回転半径を併せて表示することとしてもよい。
【0033】
図10は、スイングの状態の推定結果をヒストグラムで表した表示形態例を示す図である。
図10においては、プレーヤーのスイング(ここではフォアハンドのスイング)について、回転半径の区分毎に、度数(ショット数)が示されている。
図10のような表示形態とする場合、状態推定部51が複数回のスイングについて、回転半径のばらつきを示すデータ(ヒストグラム)を生成し、プレーヤーのスイングの評価(スイングの安定性等)を示す情報を提示することができる。
【0034】
なお、プレーヤーのスイングとして、フォアハンドのスイング及びバックハンドのスイングそれぞれについてスイングの状態を推定し、フォアハンドのスイング及びバックハンドのスイングそれぞれについて、
図10に示すヒストグラムを生成することとしてもよい。
フォアハンドのスイングとバックハンドのスイングとでは、フォームの特性上、その回転半径が大きく異なることから、フォアハンドのスイングとバックハンドのスイングとを分けてスイングの状態を推定することで、より適切な推定を行うことができる。
【0035】
図11は、スイングの状態の推定結果を標準偏差で表した表示形態例を示す図である。
図11においては、プレーヤーのスイング(フォアハンド及びバックハンドのスイング)それぞれについて、回転半径の区分に対する度数の分布の標準偏差が示されている。
具体的には、プレーヤーが、常に同程度の回転半径でスイングを行った場合、回転半径は1つの区分に集中することになり、標準偏差は最大値“10”となる。
図11のような表示形態とする場合も、状態推定部51が複数回のスイングについて、回転半径のばらつきを示すデータ(標準偏差)を生成し、プレーヤーのスイングの評価を示す情報を提示することができる。
【0036】
図3に戻り、出力制御部52は、状態推定部51によって生成された結果表示データに基づいて、出力部18に推定結果を表示させるための制御を実行する。
【0037】
[動作]
次に、動作を説明する。
図12は、
図3の機能的構成を有する
図1の状態推定装置1が実行する状態推定処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
状態推定処理は、処理ユニット1Bの入力部17を介して状態推定処理の起動が指示入力されることに対応して開始される。
【0038】
状態推定処理が開始されると、ステップS1において、状態推定部51は、センサユニット1Aの3軸角速度センサ16a及び3軸加速度センサ16bから、テニスラケット2のスイングにおける角速度及び加速度の検出結果を取得する。
ステップS2において、状態推定部51は、(6)式に基づいて、取得した角速度及び加速度の検出結果からスイングの回転半径を算出する。
【0039】
ステップS3において、状態推定部51は、算出した回転半径を用いて、予め設定された表示形態の結果表示データを生成する。
ステップS4において、出力制御部52は、結果表示データに基づいて、出力部18に推定結果を表示させる。
このとき、出力部18には、予め設定された表示形態の推定結果が表示される(
図9〜
図11参照)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の状態推定装置1は、3軸角速度センサ16aと、3軸加速度センサ16bと、状態推定部51と、出力制御部52とを備えている。
3軸角速度センサ16aは、ユーザの動作(テニスラケット2のスイング)に起因する加速度を取得し、3軸加速度センサ16bは、ユーザの動作に起因する角速度を取得する。
状態推定部51は、3軸角速度センサによって取得された角速度及び3軸加速度センサによって取得された加速度に基づいて、ユーザの動作の状態を推定する。
そのため、ユーザの動作に起因する角速度及び加速度からユーザの動作の回転半径を算出することができる。
したがって、運動器具を用いてユーザが相手プレーヤーの打球に応じた動作を行う場合に、当該ユーザの動作をより適切に評価することが可能となる。
【0041】
また、状態推定部51は、推定された動作の状態を評価し、出力制御部52は、状態推定部51による評価結果を報知する。
したがって、ユーザの動作に関する評価結果を提示することが可能となる。
【0042】
また、状態推定部51は、推定された複数の動作の状態から、ユーザの動作に関する評価を行う。
したがって、複数の動作における安定性を適切に評価した結果を提示することができる。
【0043】
また、状態推定部51は、3軸角速度センサ16aによって取得された角速度と、3軸加速度センサ16bによって取得された加速度に基づいて、動作の種類を推定する。
したがって、ユーザの動作の種類を適切に推定することができる。
【0044】
状態推定部51は、推定された動作の種類毎に、動作の状態を評価する。
したがって、ユーザの動作の種類に応じて、より適切にユーザの動作を評価することができる。
【0045】
また、状態推定部51は、動作の状態として、スイング動作の回転半径を推定する。
したがって、スイングを伴う動作において、回転半径をより適切に推定することができる。
即ち、本実施形態の状態推定装置1では、プレーヤーの動作の状態(スイングの回転半径)を推定することで、当該プレーヤーのスイング動作の安定性を評価する。
そのため、打たれたボールの振る舞いとして表れる結果ではなく、その過程におけるユーザのスイングの適否をより適切に評価することができる。
【0046】
[変形例]
上述の実施形態において、スイングの状態を推定する際に、フォアハンドのスイングあるいはバックハンドのスイングを区別して行うこととした。即ち、上述の実施形態では、プレーヤーがフォアハンドあるいはバックハンドのスイングを自ら選択して、状態推定の対象とした。これに対し、プレーヤーによって行われたスイングを、状態推定装置1の状態推定部51が、フォアハンドのスイングであるか、バックハンドのスイングであるかを自動的に判定することで、それぞれのスイング毎に状態を推定することができる。
【0047】
図13及び
図14は、3軸角速度センサ16a及び3軸加速度センサ16bの検出結果の組み合わせと、スイングの種類との関係を示す図である。
図13に示すように、静止時(ラケットを構えた姿勢)において、X軸方向の加速度が“+”であり、スイング時のX軸方向の角速度が“+”である場合、フォアハンドのスイングであると判定できる。一方、静止時(ラケットを構えた姿勢)において、X軸方向の加速度が“+”であり、スイング時のX軸方向の角速度が“−”である場合、バックハンドのスイングであると判定できる。
同様に、
図14に示すように、静止時(ラケットを構えた姿勢)において、X軸方向の加速度が“−”であり、スイング時のX軸方向の角速度が“+”である場合、バックハンドのスイングであると判定できる。一方、静止時(構えた姿勢)において、X軸方向の加速度が“−”であり、スイング時のX軸方向の加速度が“−”である場合、フォアハンドのスイングであると判定できる。
【0048】
即ち、構えた姿勢と同様のX軸の上下関係が維持されたままスイングが行われると、フォアハンドのスイングであると判定され、構えた姿勢とX軸の上下関係が反転してスイングが行われると、バックハンドのスイングであると判定される。
このような構成とすることにより、プレーヤーはフォアハンド及びバックハンドのスイングを意識することなく、テニスラケット2のスイングを行うことで、フォアハンド及びバックハンドそれぞれのスイングの状態を推定することができる。
また、プレーヤーがプレー中にフォアハンドのスイング及びバックハンドのスイングを行った回数を自動的に計数することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0050】
上述の実施形態では、テニスラケット2に設置するセンサユニット1Aと、状態推定処理を実行する処理ユニット1Bとを別体として、状態推定装置1を構成した。これに対し、センサユニット1Aと処理ユニット1Bとを一体のユニットとして構成することができる。この場合、本実施形態における処理ユニット1Bの記憶部19を半導体メモリで構成する等、状態推定装置1が小型・軽量となり、衝撃に対する耐性の高いハードウェアを選択して構成することが適当である。
【0051】
また、上述の実施形態において、スイング状態の推定結果として、複数回のスイングの半径を算出し、これら算出した半径が理想的なスイングの半径と合致する割合を表示することとしてもよい。理想的なスイングの半径については、そのプレーヤーにおいて適切な打球を行えたと判断されるスイングの半径を予め取得しておくことができる。また、このような推定結果をフォアハンドのスイング及びバックハンドのスイングそれぞれについて表示することとしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、プレーヤーのスイングの状態を示す指標として、回転半径を算出する場合を例に挙げて説明した。これに対し、スイングの状態を示す指標として、角速度及び加速度から把握可能な種々のパラメータを算出することができる。
例えば、スイングの速度vはv=rωとして算出することができるため、状態推定部51が、テニスラケット2のスイングの速度vを指標として算出し、速度vに関する結果表示データを生成することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、センサユニット1Aをテニスラケット2に設置する場合を例に挙げて説明した。これに対し、センサユニット1Aは、バドミントンのラケット、卓球のラケット、ソフトテニスのラケット、野球のバットあるいはゴルフクラブ等、種々の運動器具に設置することができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される状態推定装置1の処理ユニット1Bは、PCを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、情報処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、スマートフォン、携帯電話機、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0054】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が状態推定装置1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0055】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0056】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図2のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),BD(Blu−ray Disc)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3のROM12や、
図3の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0057】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0059】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
ユーザの動作に起因する角速度を取得する角速度取得手段と、
前記ユーザの前記動作に起因する加速度を取得する加速度取得手段と、
前記角速度取得手段によって取得された角速度及び前記加速度取得手段によって取得された加速度に基づいて、前記ユーザの前記動作の状態を推定する状態推定手段と、
を備えることを特徴とする状態推定装置。
[付記2]
前記状態推定手段により推定された動作の状態を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価結果を報知する報知手段と、
を更に備えることを特徴とする付記1に記載の状態推定装置。
[付記3]
前記評価手段は、前記状態推定手段により推定された複数の前記動作の状態から、前記ユーザの動作に関する評価を行うことを特徴とする付記2に記載の状態推定装置。
[付記4]
前記報知手段は、前記評価結果を表示手段に表示させることを特徴とする付記1から3の何れか1つに記載の状態推定装置。
[付記5]
前記状態推定手段は、
前記角速度取得手段によって取得された角速度及び前記加速度取得手段によって取得された加速度に基づいて、前記動作の種類を推定する種類推定手段を有することを特徴とする付記1から4の何れか1つに記載の状態推定装置。
[付記6]
前記評価手段は、前記種類推定手段により推定された動作の種類毎に、前記動作の状態を評価することを特徴とする付記1から5の何れかに1つに記載の状態推定装置。
[付記7]
前記状態推定手段は、前記動作の状態として、スイング動作の回転半径を推定することを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の状態推定装置。
[付記8]
ユーザの動作に起因する角速度を取得する角速度取得ステップと、
前記ユーザの前記動作に起因する加速度を取得する加速度取得ステップと、
前記角速度取得ステップにおいて取得された角速度及び前記加速度取得ステップにおいて取得された加速度に基づいて、前記ユーザの前記動作の状態を推定する状態推定ステップと、
を含むことを特徴とする状態推定方法。
[付記9]
コンピュータに、
ユーザの動作に起因する角速度を取得する角速度取得機能と、
前記ユーザの前記動作に起因する加速度を取得する加速度取得機能と、
前記角速度取得機能によって取得された角速度及び前記加速度取得機能によって取得された加速度に基づいて、前記ユーザの前記動作の状態を推定する状態推定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。