特許第6361124号(P6361124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361124
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G05D1/02 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-253286(P2013-253286)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-111348(P2015-111348A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】太田 沙織
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康司
(72)【発明者】
【氏名】直江 淳
(72)【発明者】
【氏名】今泉 真人
(72)【発明者】
【氏名】西村 徹
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 実公平04−049683(JP,Y2)
【文献】 特開平04−059464(JP,A)
【文献】 特開平11−194823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 − 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個の車輪と、前記各車輪にそれぞれ対応して設けられ前記各車輪を支持すると共にそれぞれ別々に駆動する2個のモータと、前記各モータの間に取り付けられるモータ支持部材と、前記モータ支持部材に揺動ピンを介して連結され前記各車輪を前記モータ支持部材と共に前記揺動ピンを中心に上下に揺動可能に支持する第1支持部材と、本体に支持され前記第1支持部材を上下動自在かつ回転自在に支持する第2支持部材とを有する無人搬送車。
【請求項2】
請求項1記載の無人搬送車において、
前記モータ支持部材には前記車輪の回転軸と係合する軸穴部が形成されていることを特徴とする無人搬送車。
【請求項3】
請求項1または2記載の無人搬送車において、
前記モータ支持部材の内部には8角形の揺動ブロックが揺動自在に備えられ、前記第1支持部材と前記モータ支持部材とが前記揺動ブロックを介して接続されていることを特徴とする無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人搬送車の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内の生産ライン等における物品の搬送手段として無人搬送車(オートガイドビークル:AGV)が広く使用されている。この無人搬送車は主にバッテリが搭載された自走式が使用されており、運行システムには予め記憶しているプログラムに従って走行するもの、あるいは無線通信によって統括制御されたもの等がある。
【0003】
このような無人搬送車には、バッテリ等の電源部、電源部からの電力を受けて駆動力を発生させる駆動部、駆動部の動作を制御する制御部、他の台車等を牽引する牽引部等が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−194823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の無人搬送車では、駆動部に設けられた2個の車輪がモータからの駆動力によって回転して走行するが、各車輪それぞれにモータが設けられており各モータの回転速度差によって無人搬送車の方向制御が行われている。また、各車輪が路面の凹凸に追従して上下動するが、各車輪がそれぞれ別々のモータによって駆動されているために両方の車輪が常時接地している必要があり、従来はその構成が複雑で部品点数も多くなりコストアップしてしまうという問題点があった。
本発明は上述の問題点を解決し、構造が簡単で部品点数が少なく、コストアップすることなく各車輪を接地させつつ上下動自在に支持することが可能な無人搬送車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、2個の車輪と、前記各車輪にそれぞれ対応して設けられ前記各車輪を支持すると共にそれぞれ別々に駆動する2個のモータと、前記各モータの間に取り付けられるモータ支持部材と、前記モータ支持部材に揺動ピンを介して連結され前記各車輪を前記モータ支持部材と共に前記揺動ピンを中心に上下に揺動可能に支持する第1支持部材と、本体に支持され前記第1支持部材を上下動自在かつ回転自在に支持する第2支持部材とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の無人搬送車において、さらに前記モータ支持部材には前記車輪の回転軸と係合する軸穴部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の無人搬送車において、さらに前記モータ支持部材の内部には8角形の揺動ブロックが揺動自在に備えられ、前記第1支持部材と前記モータ支持部材とが前記揺動ブロックを介して接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータ支持部材に各モータを取り付け、これを第1支持部材によって揺動自在に支持したので、簡単な構造で部品点数を少なくすることができコストアップすることなく各車輪を接地させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を適用した無人搬送車の概略正面図である。
図2】本発明の一実施形態を適用した無人搬送車の概略平面図である。
図3】本発明の一実施形態に用いられる駆動部の概略正面図である。
図4】本発明の一実施形態に用いられる駆動部の概略側面図である。
図5】本発明の一実施形態に用いられる駆動部の概略平面図である。
図6】本発明の一実施形態に用いられる揺動ブロックの概略3面図である。
図7】本発明の一実施形態に用いられるモータ支持部材の概略3面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の一実施形態に用いられる無人搬送車1の正面図を、図2は同平面図をそれぞれ示している。この無人搬送車1は、床面2に貼られた図示しない磁気ガイドテープに沿って走行し、生産ラインでは無人搬送車1に載置したボディ本体に各種艤装部品を順次組み付ける方法が知られている。この際、無人搬送車の走行が種々の方法で制御され、例えば多数の無人搬送車の走行が中央のコントローラによって一括して制御される。
【0013】
無人搬送車1は、図1及び図2に示すように、制御部3、牽引部4、駆動部5、電源部6を有しており、制御部3は箱型のフレーム3aに、牽引部4は同フレーム4aに、駆動部5は同フレーム5aに、電源部6は同フレーム6aにそれぞれ収納されている。各フレーム3a,4a,5a,6aはそれぞれ着脱自在に構成されており、各フレーム3a,4a,5a,6aはそれぞれ組み合わせ自在に構成されている。
【0014】
制御部3は無人搬送車1の動作制御を行っており、複数のスイッチやモニタ等が設けられた制御板3bを有している。牽引部4は無人搬送車1に牽引される台車等の一部が係合する係合部4bを有している。駆動部5は制御部3によって動作制御される図示しないモータによって回転駆動される駆動輪7を有している。電源部6は駆動部5に供給するための電力を発生させるバッテリ6bを有している。また制御部3の前方にはバンパ3cが、制御部3と電源部6の下方には従動輪3d,6cがそれぞれ設けられている。
【0015】
ここで、本発明の特徴部である駆動部5について、図3図5を用いて説明する。車輪である2個の駆動輪7は、それぞれに対応する速度可変型のモータ8が発生する駆動力を車輪へ出力する出力軸8a(図4参照)にそれぞれ一体的に取り付けられている。各出力軸8aは、中央に穴部9aを有するブロック状のモータ支持部材9にそれぞれ固定されており、穴部9a内には穴部10aを有する8角形の揺動ブロック10が配設され、穴部10a内には第1支持部材であるセンタシャフト11が嵌合されている。モータ支持部材9、揺動ブロック10、センタシャフト11には各部材を組み合わせた状態で各部材を貫通するように穴がそれぞれ設けられており、この穴には揺動ピン12が抜けないように嵌合されている。この構成により各駆動輪7は、各モータ8、モータ支持部材9、揺動ブロック10と共に、センタシャフト11によって揺動ピン12を中心に、図4に矢印で示す方向へ揺動自在に支持されている。
【0016】
図6は揺動ブロック10を示している。揺動ブロック10は、8角形の角柱の中央部を円筒状にくりぬいて穴部10aが形成されている。揺動ブロック10の側面には穴部10bが形成されており、穴部10bの中心軸は穴部10aの円心を通るように形成されている。揺動ブロック10が8角形であるため、揺動ブロック10が回転しても隙間を大きく取る必要がないことから、モータ支持部材9の大型化を防止でき軽量化を図ることができる。さらに、荷重のかかる駆動輪7を支持するために8箇所の角部が荷重を受け止める肉厚部となり、十分な剛性を得ることができる。また、揺動自在に支持されているため駆動輪7の移動自由度が向上し、移動可能量が増加するために路面追従性が向上する。
【0017】
図7はモータ支持部材9を示している。モータ支持部材9は中央部が角を面取りした4角形状にくりぬかれて穴部9aが形成されており、穴部9aに揺動ブロック10が嵌合するように形成されている。またモータ支持部材9の側面には、揺動ブロック10を嵌合した際に穴部10bとその軸心が同一となるように形成された穴部9bが設けられており、その中に揺動ピン12が挿入されてモータ支持部材9と揺動ブロック10とが一体化される。またモータ支持部材9には、駆動輪7の回転軸(出力軸8a)と係合する軸穴部9cが形成されている。これによりモータ支持部材9と駆動輪7との結合が強固なもとなり、耐久性が向上する。
【0018】
センタシャフト11の中心には穴部11aが形成されており、穴部11aには圧縮ばね13が嵌入されている。またセンタシャフト11は、本体である駆動部5のフレーム5aに支持された第2支持部材であるシャフト支持部材14によって上下動自在かつ回転自在に支持され、圧縮ばね13もブラケット15によってフレーム5aに対して固定されている。この構成により、各駆動輪7が上下動可能及びセンタシャフト11を中心として回転可能となっている。
【0019】
上述したように本願発明によれば、モータ支持部材9に各モータ8を取り付け、これをセンタシャフト11によって揺動自在に支持したので、簡単な構造で部品点数を少なくすることができコストアップすることなく各駆動輪7を接地させることができる。また、各駆動輪7をモータ8の出力軸8aに一体的に取り付けたので、駆動力伝達手段であるギヤやベルトを省略することができ、さらに部品点数を削減してコストダウン及び省スペース化を図ることができる。また、シャフト支持部材14によってセンタシャフト11を回転自在に支持したので、各駆動輪7を進行方向に向けて回動させることができ、無人搬送車1をスムーズに走行させることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 無人搬送車
5a 本体(フレーム)
7 車輪(駆動輪)
8 モータ
9 モータ支持部材
9c 軸穴部
10 揺動ブロック
11 第1支持部材(センタシャフト)
14 第2支持部材(シャフト支持部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7