特許第6361188号(P6361188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特許6361188無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル
<>
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000002
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000003
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000004
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000005
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000006
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000007
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000008
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000009
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000010
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000011
  • 特許6361188-無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361188
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラル
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20180712BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20180712BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20180712BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W84/10 110
   H04W4/80
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-51547(P2014-51547)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-177297(P2015-177297A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮
(72)【発明者】
【氏名】冨田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 努
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智洋
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0259230(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0090061(US,A1)
【文献】 特表2007−522725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段と、
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段と、
を備え、
前記告知情報送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記告知情報送信手段は、前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報がないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記告知情報送信手段は、予め定められたチャンネルで告知情報を送信し、
前記取得手段は、前記予め定められたチャンネル以外のチャンネルで接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存ステップと、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信ステップと、
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定ステップと、
を備え、
前記告知情報送信ステップは、前記受信判定ステップで前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信することを特徴とする無線通信方法。
【請求項5】
コンピュータを、
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定手段、
前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段、
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段、
として機能させるプログラムであって、
前記告知情報送信手段は、前記受信判定手段で前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信することを特徴とするプログラム。
【請求項6】
無線通信装置と、該無線通信装置と無線通信を行う他の無線通信装置と、から構成される無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
前記他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段と、
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段と、
を備え、
前記告知情報送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信することを特徴とし、
前記他の無線通信装置は、
自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記無線通信装置から送信される告知情報を受信する告知情報受信手段と、
前記告知情報受信手段が受信した告知情報が、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により前記告知情報が前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記無線通信装置に接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
セントラルとBluetooth(登録商標)low energyに基づく無線通信を行うペリフェラルであって、
前記セントラルから接続後に変更した該セントラルの識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記セントラルの識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とするセントラルの識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とするセントラルの識別情報があると判定した場合、該接続対象とするセントラルの識別情報を含むアドバタイズメントを送信するアドバタイズメント送信手段と、
前記アドバタイズメントを送信後、前記接続対象とするセントラルからの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段と、
を備え、
前記アドバタイズメント送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とするセントラルの識別情報を含まないアドバタイズメントを送信することを特徴とするペリフェラル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信方法、プログラム、無線通信システム及びペリフェラルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力を抑えた近距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)low energy(以下、BLEという)の普及が進んでいる。
このBLEに基づく無線通信は、サービスを提供する無線通信機器であるペリフェラルと、そのサービスを利用する無線通信機器であるセントラルと、の間で行われる。
【0003】
具体的には、まず、ペリフェラルは、自己の保有するサービス概要や自己の存在を知らしめるためのアドバタイズメントと呼ばれる告知情報を間欠的に送信する。次に、セントラルは、アドバタイズメントを受信すると、ペリフェラルに対して接続要求信号を送信する。次に、ペリフェラルは、接続要求信号を受信すると、サービスに係るデータをセントラルに送信する(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−142877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記ペリフェラルは、アドバタイズメントの中に接続対象とするセントラルの識別情報(例えば、アドレスなど)を含めたダイレクトアドバタイズメントを送信することができる。これにより、ペリフェラルは、特定のセントラルとの間でデータの送受信を行うことができる。
【0006】
しかしながら、セントラルには、定期的に識別情報が変わるRandom Addressの端末(例えば、i Phoneなど)が存在する。このRandom Addressのセントラルは、固定の識別情報を持たないので、ペリフェラルがダイレクトアドバタイズメントを送信しても接続できない場合があった。このため、ペリフェラルとセントラルとの間で不要な通信が発生していた。
このようなことから、ペリフェラルとセントラルとの間の不要な通信を避けて、接続の精度を向上させる無線通信技術が望まれている。
【0007】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、不要な通信を避けて、接続の精度を向上させることが可能な無線通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る無線通信装置は、
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段と、
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受
信したか否か判定する受信判定手段と、
を備え、
前記告知情報送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判
定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信
することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るペリフェラルは、
セントラルとBluetooth(登録商標)low energyに基づく無線通信を行うペリフェラルであって、
前記セントラルから接続後に変更した該セントラルの識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記セントラルの識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とするセントラルの識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とするセントラルの識別情報があると判定した場合、該接続対象とするセントラルの識別情報を含むアドバタイズメントを送信するアドバタイズメント送信手段と、
前記アドバタイズメントを送信後、前記接続対象とするセントラルからの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段と、
を備え、
前記アドバタイズメント送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とするセントラルの識別情報を含まないアドバタイズメントを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不要な通信を避けて、接続の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るペリフェラルの構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るセントラルの構成例を示すブロック図である。
図4】アドバタイズメント送信処理のフローチャートの一例を示す図である。
図5】アドバタイズメント受信処理のフローチャートの一例を示す図である。
図6】実施形態に係るシーケンスの一例を示す図である。
図7】ペリフェラルが保存するセントラルのアドレスの一例を示す図である。
図8】セントラルが保存する自装置のアドレスの履歴の一例を示す図である。
図9】変形例に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図10】ペリフェラルが保存するセントラルのアドレスの別例を示す図である。
図11】セントラルが保存する自装置のアドレスの履歴の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図1に示す構成例において、無線通信システム1は、無線通信装置であるペリフェラル200と、ペリフェラル200とは異なる無線通信装置であるセントラル100とから構成される。なお、理解を容易にするための便宜上、ペリフェラル200とセントラル100とが何れも1台の場合を例にとって説明する。何れも複数台ある場合は、変形例として後述する。
【0015】
ペリフェラル200とセントラル100とは、BLEに基づいて、互いに無線通信を行う。BLEとは、Bluetoothと呼ばれる近距離無線通信規格において、低消費電力を目的として策定された規格(モード)である。
ここで、セントラル100は、ペリフェラル200から提供されたサービス(例えば、測定されたデータなど)を利用する。一方、ペリフェラル200は、セントラル100にサービスを提供する。
【0016】
本実施の形態において、ペリフェラル200は、サービスとして測定した所定のデータを提供する。具体的には、ペリフェラル200は、温度、湿度を測定したい場所、例えば、工場や建設現場、体育館、運動場などに設置される。
【0017】
一方、セントラル100は、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等の持ち運びが可能であって、BLEに基づく無線通信機能を有する端末である。本実施の形態では、一例として、セントラル100はスマートフォンから構成される。
【0018】
図2は、この実施形態に係るペリフェラル200の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、ペリフェラル200は、制御部202、ROM(Read Only Memory)204、RAM(Random Access Memory)206、無線通信処理部210、アンテナ212、操作部220、温度センサ230及び湿度センサ240を備える。
【0019】
制御部202は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。制御部202は、ROM204に記憶されたプログラム(例えば、後述するアドバタイズメント送信処理などを実現するためのプログラム)に従ってソフトウェア処理を実行することにより、ペリフェラル200が具備する各種機能を制御する。
【0020】
ROM204は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成され、上述したように制御部202が各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。データとしては例えば、セントラル100の識別情報であるBD(Bluetooth Device)アドレスのデータなどを記憶する。なお、ROM204は、記憶手段に相当する。また、BDアドレスは、以下単にアドレスと呼ぶ。
RAM206は、揮発性メモリから構成され、制御部202が各種処理を行うためにデータを一時的に記憶するための作業領域として用いられる。
【0021】
無線通信処理部210は、例えば無線周波数(RF:Radio Frequency)回路やベースバンド(BB:Base Band)回路等を用いて構成される。無線通信処理部210は、アンテナ212を介して、BLEに基づく無線信号の送信及び受信を行う。
【0022】
操作部220は、例えばスイッチ等から構成され、電源のON・OFFなどのユーザの操作内容を入力するために用いられる。
【0023】
温度センサ230は、例えば、測温抵抗体や熱電対などを用いて構成される。温度センサ230は、ペリフェラル200の周辺温度、即ち、ペリフェラル200が設置された場所の温度を測定し、測定結果を示すデータを制御部202に送る。
【0024】
湿度センサ240は、例えば、高分子膜を用いて構成される。湿度センサ240は、ペリフェラル200の周辺の湿度、即ち、ペリフェラル200が設置された場所の湿度を測定し、測定結果を示すデータを制御部202に送る。
【0025】
次に、ペリフェラル200の制御部202の機能的構成について説明する。図2に示すように、制御部202は、アドレス判定部250、アドバタイズメント送信部251、受信判定部252、データ送信部253、アドレス取得部254、アドレス保存部255、として機能する。
【0026】
アドレス判定部250は、ROM204に接続対象とするセントラル100のアドレスがあるか否か判定する。なお、アドレス判定部250は、判定手段に相当する。
【0027】
アドバタイズメント送信部251は、アドレス判定部250が接続対象とするセントラル100のアドレスがあると判定した場合、そのセントラル100のアドレスを含むアドバタイズメントを一斉同報送信する。なお、接続対象とするセントラル100のアドレスを含めたアドバタイズメントをダイレクトアドバタイズメントと呼ぶ。
【0028】
また、アドバタイズメント送信部251は、アドレス判定部250が接続対象とするセントラル100のアドレスがないと判定した場合、そのセントラル100のアドレスを含まないアドバタイズメントを一斉同報送信する。なお、接続対象とするセントラル100のアドレスを含まないアドバタイズメントをアンダイレクトアドバタイズメントと呼ぶ。
【0029】
また、以下ではダイレクトアドバタイズメントとアンダイレクトアドバタイズメントとを特段区別する必要がない場合は、まとめてアドバタイズメントと称して説明する。また、アドバタイズメント送信部251は、告知情報送信手段に相当する。
【0030】
受信判定部252は、ダイレクトアドバタイズメント又はアンダイレクトアドバタイズメントを送信後、接続対象とするセントラル100からの接続要求信号を受信したか否か判定する。なお、受信判定部252は、受信判定手段に相当する。
【0031】
データ送信部253は、接続要求信号を受信したセントラル100との接続確立後、所定のデータをそのセントラル100に送信する。この実施形態では、一例として、データは温度センサ230や湿度センサ240で測定した温度や湿度などの測定データである。
【0032】
アドレス取得部250は、接続確立したセントラル100から、そのセントラル100のアドレスを接続切断前に取得する。なお、アドレス取得部250は、取得手段に相当する。
【0033】
アドレス保存部255は、アドレス取得部254が取得したアドレスをROM204に保存する。なお、アドレス保存部255は、保存手段に相当する。
【0034】
以上、ペリフェラル200は、セントラル100の接続要求信号に応じて、そのセントラル100と接続確立すると、データを送信する。そして、ペリフェラル200は、セントラル100と接続切断する前にそのセントラル100のアドレスを取得して保存する。これにより、一度接続したセントラル100のアドレスはROM204に記憶され、一方で未接続のセントラル100のアドレスはROM204に記憶されない。このため、接続対象とするセントラル100が未接続のセントラル100である場合を除き、アドバタイズメント送信部251は、過去接続時に取得したセントラル100のアドレスを含めたダイレクトアドバタイズメントを送信する。
【0035】
次に、図3を参照しながら、この実施形態に係るセントラル100の構成について説明する。図3は、セントラル100の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、セントラル100は、制御部102、ROM104、RAM106、無線通信処理部110、アンテナ112、スピーカ124、ドライバ126、表示部128及びタッチパネル130を備える。
【0036】
なお、このセントラル100の識別情報であるアドレスは、秘匿性などの観点から、定期的にアドレスがランダムに変わるランダムアドレス(Random Address)である。このため、セントラル100は、固定のアドレスを持たない。
【0037】
制御部102は、例えばCPUによって構成される。制御部102は、ROM104に記憶されたプログラム(例えば、後述するアドバタイズメント受信処理を実現するためのプログラム)に従ってソフトウェア処理を実行することにより、セントラル100が具備する各種機能を制御する。
【0038】
ROM104は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成され、上述したように制御部102が各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。データとしては、例えば、自装置のアドレスの履歴のデータを記憶する。なお、ROM104は、履歴記憶手段に相当する。
RAM106は、揮発性メモリから構成され、制御部102が各種処理を行うためにデータを一時的に記憶するための作業領域として用いられる。
【0039】
無線通信処理部110は、例えば無線周波数回路やベースバンド回路等を用いて構成される。無線通信処理部110は、アンテナ112を介して、BLEに基づく無線信号の送信及び受信を行う。
【0040】
スピーカ124は、制御部102からの音声データに基づいて、アラーム等の音声を出力する。ドライバ126は、制御部102から出力された画像データに基づく画像信号を表示部128へ出力する。表示部128は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)ディスプレイ等によって構成される。表示部128は、ドライバ126から出力された画像信号に従って画像(例えば、受信した測定データの値など)を表示する。
【0041】
タッチパネル130は、表示部128の上面に配置され、ユーザの操作内容を入力するために用いられるインタフェースである。タッチパネル130は、例えば図示しない透明電極を内蔵し、ユーザの指等が接触した場合に、電圧が変化した位置を接触位置として検出し、その接触位置の情報を入力指示として制御部102へ出力する。
【0042】
次に、セントラル100の制御部102の機能的構成について説明する。図3に示すように、制御部102は、アドバタイズメント受信部150、自装置アドレス判定部151、接続要求信号送信部152、データ受信部153、アドレス保存部154として機能する。
【0043】
アドバタイズメント受信部150は、ユーザ操作等によるスキャン指示があると、アドバタイズメントを受信する。具体的には、アドバタイズメント受信部152は、スキャン指示の後に、アドバタイズメントのパケットが送信される周波数帯域のチャンネルをスキャンしてアドバタイズメントを受信する。
なお、スキャン指示のためのユーザ操作としては、例えば、ペリフェラル200の提供する測定データの提供サービスを利用するためのアプリケーションの起動などが考えられる。また、スキャン指示は、ユーザ操作に限らずアプリケーション起動後、所定時間経過後に自動で行ってもよい。またアドバタイズメント受信部150は、告知情報受信手段に相当する。
【0044】
自装置アドレス判定部151は、アドバタイズメント受信部150が受信したアドバタイズメントに自装置のアドレスが含まれているか否か判定する。なお、このアドレス判定の具体的な手法については後述する。また、自装置アドレス判定部151は、判定手段に相当する。
【0045】
接続要求信号送信部152は、アドバタイズメントに自装置のアドレスが含まれている判定された場合、ペリフェラル200に接続要求を行うための接続要求信号を送信する。なお、接続要求信号送信部152は、接続要求信号送信手段に相当する。
【0046】
データ受信部153は、接続要求信号の送信に基づいてペリフェラル200と接続確立した後、そのペリフェラル200から送信される所定のデータ(この実施形態では測定データ)を受信する。
【0047】
アドレス保存部154は、接続確立したペリフェラル200から所定のデータを受信後、接続を切断する前に、自装置のアドレスをROM104に保存する。アドレス保存部154は、ペリフェラル100と接続する都度、ROM104に自装置のアドレスを保存する。このため、ROM104には、ランダムに生成される自装置のアドレスの履歴が保存されていく。
【0048】
以上、セントラル100は、ペリフェラル200に接続要求信号を送信してそのペリフェラル200と接続確立後、データを受信する。そして、セントラル100は、ペリフェラル200と接続切断する前に自装置のアドレスを保存する。一方で、ペリフェラル200もセントラル100からアドレスを取得して保存する。これにより、接続確立して対になったペリフェラル200とセントラル100は何れも、そのセントラル100のアドレスを保存する。
【0049】
次に、ペリフェラル200が行うアドバタイズメント送信処理について、図4を参照しながら説明する。このアドバタイズメント送信処理は、ペリフェラル200が接続対象とするセントラル100を決定することを契機として開始される。この接続対象とするセントラル100の決定は、例えば、ユーザによる操作部220の操作や予めセントラル100によって設定された測定データの送信条件(例えば、温度が25℃以上など)を満たすなどに基づいて決定する。
【0050】
まず、ペリフェラル200のアドレス判定部250は、ROM204に接続対象とするセントラル100のアドレスがあるか否か判定する(ステップS101)。
【0051】
ここで、接続対象とするセントラル100のアドレスがある場合(ステップS101;Yes)、すなわち、過去接続対象とするセントラル100と接続したことがあって、その接続時に取得したアドレスがある場合、アドバタイズメント送信部251は、ダイレクトアドバタイズメントを送信する(ステップS102)。具体的には、アドバタイズメント送信部251は、セントラル100のアドレスを含むアドバタイズメントを一斉同報送信する。なお、アドバタイズメント送信部251は、過去複数回、接続対象とするセントラル100と接続したことがある場合、直近の接続時に取得したアドレスをアドバタイズメントに含めるようにする。
【0052】
次に、受信判定部252は、ダイレクトアドバタイズメントを送信後、接続対象とするセントラル100からの接続要求信号を受信したか否か判定する(ステップS103)。
【0053】
ここで、接続対象とするセントラル100がペリフェラル200と無線通信可能な距離内にあって、かつ、スキャン指示があった場合、ペリフェラル200の受信判定部252は、接続対象とするセントラル100から接続要求信号を受信する(ステップS103;Yes)。
【0054】
そして、データ送信部253は、接続対象のセントラル100と接続確立後、データを送信する(ステップS104)。次に、アドレス取得部254は、
接続確立したセントラル100からアドレスを取得後、アドレス保存部255は、その取得したアドレスをROM204に保存する(ステップS105)。
【0055】
なお、アドレスの取得は、任意の手法で取得する。例えば、ペリフェラル200のアドレス取得部254が、セントラル100に対してアドレス送信要求信号を送信して、セントラル100がアドレス送信要求信号の受信に応じて自装置のアドレスをペリフェラル200に送信することで取得することができる。
【0056】
その後、セントラル100との接続を切断するかを判定し(ステップS106)、切断しないと判定すると(ステップS106;No)、アドレス取得部254は、セントラル100からアドレス変更通知を受信したかを判定する(ステップS107)。
セントラル100からアドレス変更通知を受信していない場合は(ステップS107;No)、ステップS106に戻る。セントラル100からアドレス変更通知を受信した場合は(ステップS107;Yes)、アドレス取得部254は、アドレス変更通知からセントラル100の変更後のアドレスを取得し、かつ、アドレス保存部255は、その変更後のアドレスをROM204に保存する(ステップS108)。その後、ステップS106に戻る。
【0057】
一方、セントラル100との接続を切断すると判定した場合(ステップS106;Yes)、ペリフェラル200の制御部202は、接続を切断して(ステップS109)、処理を終了する。
【0058】
一方、接続対象とするセントラル100のアドレスがない場合(ステップS101;No)、及びダイレクトアドバタイズメントを送信したものの接続対象とするセントラル100から接続要求信号を受信できない場合(ステップS103;No)、アドバタイズメント送信部251は、アンダイレクトアドバタイズメントを送信する(ステップS110)。具体的には、アドバタイズメント送信部251は、セントラル100のアドレスを含まないアドバタイズメントを一斉同報送信する。
【0059】
そして、ペリフェラル200の制御部202は、不特定多数のセントラル100から接続対象とするセントラル100を検索する(ステップS111)。
この検索の手法は公知の手法により行われる。例えば、制御部202は、アンダイレクトアドバタイズメント送信後に、不特定多数のセントラル100のうちの何れか1つのセントラル100から送信されるそのセントラル100を識別するパラメータと、予めROM204に記憶しておいた接続対象とするセントラル100のパラメータと、を比較して、パラメータ同士が一致するか否かにより接続対象とするセントラル100を検索する。なお、接続対象とするセントラル100を識別するパラメータの記憶は、例えば、セントラル100とのペアリング時にROM204に登録しておく。
【0060】
そして、制御部202は、パラメータ同士が一致しない場合は接続対象とするセントラルを発見できなかったとして(ステップS112;No)、アンダイレクトアドバタイズメントの送信を行って再度検索を行う(ステップS110及びS111)。制御部202は、接続対象とするセントラル100を発見するまで、間欠的にアンダイレクトアドバタイズメントを繰り返し送信してパラメータ同士の比較を繰り返す(ステップS110乃至112)。
【0061】
そして、制御部202は、パラメータ同士が一致すると接続対象とするセントラル100を発見したとして(ステップ112;Yes)、そのセントラル100に対して接続対象である旨の通知を含むアドバタイズメントを行って、そのセントラル100から接続要求信号を受信する(ステップS113)。その後、そのセントラル100との間で上述したステップS104乃至109の処理を行って、アドバタイズメント送信処理を終了する。
【0062】
なお、上述した公知の手法による検索は、不特定多数のセントラル100と個々に無線通信しなければならず、検索を行って接続要求信号を受信するまでにかかる時間は、一般的に、ダイレクトアドバタイズメントの送信を行って接続要求信号を受信するまでにかかる時間と比べて長い。
【0063】
次に、セントラル100が行うアドバタイズメント受信処理について、図5を参照しながら説明する。このアドバタイズメント受信処理は、セントラル100が、ペリフェラル200により送信されたアドバタイズメントを受信することを契機として開始される。なお、このセントラル100は、ペリフェラル200と無線通信可能な距離内にあって、かつ、スキャン指示がなされているものとする。
【0064】
まず、アドバタイズメント受信部150は、受信したアドバタイズメントはダイレクトアドバタイズメントか否か判定する(ステップS201)。アドバタイズメント受信部150は、例えば、アドバタイズメントにアドレスが含まれるか否かによりダイレクトアドバタイズメントか否かを判定することができる。
【0065】
ここで、アドバタイズメントがダイレクトアドバタイズメントの場合(ステップS201;Yes)、自装置アドレス判定部151は、受信したアドバタイズメントが含むアドレスと、現在の自装置のアドレスと、が一致するか否か判定する(ステップS202)。この現在の自装置のアドレスとは、例えば、アドバタイズメントを受信時の自装置のアドレスである。
【0066】
ここで、受信したアドバタイズメントが含むアドレスと、現在の自装置のアドレスと、が一致する場合(ステップS202;Yes)、接続要求信号送信部152は、ペリフェラル200に接続要求信号の送信を行う(ステップS204)。この接続要求信号に自装置のアドレスを付加する。そして、データ受信部153は、ペリフェラル200と接続確立後にそのペリフェラル200から送信されるデータを受信する(ステップS205)。
その後、ペリフェラル200との接続を切断するか否かを判定し(ステップS206)、切断すると判定された場合は(ステップS206;Yes)、ステップS209へ進む。そして、アドレス保存部154は、接続の切断前に、現在の自装置のアドレスを保存する(ステップS209)。その後、制御部102は、接続の切断を行って(ステップS210)、アドバタイズメント受信処理を終了する。
【0067】
一方、ペリフェラル200との接続を切断しないと判断された場合(ステップS206;No)、自装置のアドレスが変更したかを判定する(ステップS207)。自装置のアドレスが変更していない場合(ステップS207;No)、ステップS206に戻る。自装置のアドレスが変更していた場合、(ステップS207;Yes)、変更後のアドレスを含んだアドレス変更通知をペリフェラル200に送信する(ステップS208)。その後、ステップS206に戻る。なお、アドレス変更通知は、送信するデータと共に送っても良いし、単独で送っても良い。
【0068】
一方、受信したアドバタイズメントが含むアドレスと、現在の自装置のアドレスと、が一致しない場合(ステップS202;No)、自装置アドレス判定部151は、受信したアドバタイズメントが含むアドレスが、自装置のアドレスの履歴の何れかと一致するか否か判定する(ステップS203)。具体的には、自装置アドレス判定部151は、ROM104に保存された自装置のアドレスの履歴を参照して、受信したアドバタイズメントが、履歴中のアドレスを含むか否か判定する。
【0069】
ここで、自装置のアドレスの履歴の何れかと一致する場合(ステップS203;Yes)、上述したステップS204乃至210の処理を行って、アドバタイズメント受信処理を終了する。一方、自装置のアドレスの履歴全てと一致しない場合(ステップS203;No)、セントラル100は、ペリフェラル200の接続対象ではないとして、アドバタイズメント受信処理を終了する。
【0070】
一方、アドバタイズメントがダイレクトアドバタイズメントでない場合(ステップS201;No)、すなわち、アンダイレクトアドバタイズメントの場合、制御部102は、自装置がペリフェラル200の接続対象か否か判定する(ステップS211)。具体的には、制御部102は、アンダイレクトアドバタイズメントを受信後に自装置を識別するパラメータをペリフェラル200に送信する。そして、制御部102は、ペリフェラル200から接続対象である旨の通知を含むアドバタイズメントを受信した場合は自装置が接続対象であると判定して(ステップS211;Yes)、ステップS204乃至S210の処理を行った後、アドバタイズメント受信処理を終了する。
【0071】
一方、制御部102は、ペリフェラル200から接続対象である旨の通知を含むアドバタイズメントを受信しなかった場合は自装置が接続対象でないと判定して(ステップS211;No)、アドバタイズメント受信処理を終了する。
【0072】
以上、図4及び図5を参照しながら説明したアドバタイズメント送受信処理の具体例について、図6を参照しながら説明する。図6のシーケンスを示す図は、ペリフェラル200とセントラル100間のアドバタイズメントの送受信を示す。また、セントラル100は、ペリフェラル200と無線通信可能な距離内にあって、かつ、スキャン指示がなされているものとする。また、ペリフェラル200とセントラル100とはペアリングを除き、過去接続がない場面を想定している。
【0073】
まず、ペリフェラル200は、接続対象とするセントラル100のアドレスがないので、アンダイレクトアドバタイズメントを間欠的に送信して、接続対象とするセントラル100の検索を行う。そして、セントラル100を発見すると、そのセントラル100からの接続要求信号を受信して、接続を確立する。そして、ペリフェラル200とセントラル100との間でデータの送受信を行った後、ペリフェラル200は、セントラル100からアドレスa1を取得する。
【0074】
この際、ペリフェラル200は、図7の左図に示すように、取得したアドレスa1をセントラル100と対応付けて、ROM204に保存する。一方で、セントラル100は、図8の左図に示すように、自装置のアドレスa1を履歴としてROM104に保存する。
【0075】
図6に戻って、ペリフェラル200は、1度接続したセントラル100にアドバタイズメントを送信する場合、取得したアドレスa1を含めたダイレクトアドバタイズメントを送信する。このダイレクトアドバタイズメントを受信時のセントラル100のアドレスがa1からa2に変わっていたとする。
【0076】
この場合、セントラル100の現在のアドレスa2と、ダイレクトアドバタイズメントに含まれるセントラル100のアドレスa1と、が一致しない。このため、セントラル100は、図8の左図に示した自装置のアドレスの履歴を参照する。そして、セントラル100は、自装置の過去のアドレスa1とダイレクトアドバタイズメントに含まれるアドレスa1とが一致すると判定して、自装置がペリフェラル200の接続対象であると判定する。
【0077】
次に、セントラル100は、接続要求信号を送信して、ペリフェラル200とセントラル100との間でデータの送受信が行われる。そして、ペリフェラル200は、セントラル100からアドレスa2を取得する。
【0078】
この際、ペリフェラル200は、図7の右図に示すように、取得したアドレスa2をアドレスa1に上書きして、ROM204に保存する。ペリフェラル200は、直近のアドレスを含めてダイレクトアドバタイズメントを送信するため、直近の接続より前の接続の際に取得したアドレスは使用しないからである。一方で、セントラル100は、図8の右図に示すように、自装置のアドレスa2を履歴としてROM104に保存する。
【0079】
なお、ダイレクトアドバタイズメントを受信時のセントラル100のアドレスがa1のままの場合、既に自装置のアドレスの履歴にアドレスa1がある。この場合、セントラル100は、アドレスa1をa1で上書き又は保存処理をスキップする。
【0080】
なお、BLEでこの実施形態を適応した場合、セントラル100が接続要求を送信するまでと、ペリフェラル200が接続要求を受信するまでは、予め定められたチャンネルで行い、接続確立後から切断までの処理は予め定められたチャンネルで通信を行う。
【0081】
以上、この実施形態によれば、ペリフェラル200は、接続対象とするセントラル100のアドレスがある場合は、そのアドレスを含むダイレクトアドバタイズメントを送信する。このため、そのダイレクトアドバタイズメントを受信したセントラル100のアドレスが直近接続した際のアドレスのままの場合、接続の精度が向上する。
【0082】
また、セントラル100は、ダイレクトアドバタイズメントを受信して、それに含まれるアドレスと現在のアドレスとが一致しない場合は、自装置のアドレスの履歴を参照して、履歴中のアドレスと一致するか判定する。このため、セントラル100のアドレスが変わっていた場合であっても、過去接続したことがあるペリフェラル200からのダイレクトアドバタイズメントであれば接続をすることができる。このため、ダイレクトアドバタイズメント送信時の接続の失敗を減らすことができるので、ペリフェラル200とセントラル100間の不要な通信を避けつつ、接続の精度を向上することができる。
【0083】
なお、上述した実施形態においては、ペリフェラル200は、セントラル100からアドレスを取得すると上書きするようにしたが、これに限られない。例えば、ペリフェラル200は、ROM204の記憶容量が大きければ、セントラル100の直近のアドレスだけでなく、全アドレスを保存するようにしてもよい。この際、接続対象とするセントラル100には、全アドレスを含めたダイレクトアドバタイズメントを送信してもよい。これにより、セントラル100への接続の精度をさらに向上することができる。
【0084】
以上で実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例であり、ペリフェラル200とセントラル100の具体的な構成や処理の内容などが上記実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0085】
(変形例)
上述した実施形態では、理解を容易にするための便宜上、図1に示したセントラル100とペリフェラル200との無線通信を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、セントラル100とペリフェラル200とが複数ある場合の無線通信に上述したアドバタイズメント送受信処理を適用することができる。
【0086】
図9にペリフェラル200a及びb(まとめて、ペリフェラル200とも呼ぶ)と、セントラル100a乃至c(まとめて、セントラル100とも呼ぶ)と、で構成される無線通信システム1′を示す。また、具体例として、図10にペリフェラル200aのROM204が記憶する各セントラル100a乃至cのアドレスを、図11にセントラル100aの自装置のアドレスの履歴を、それぞれ示す。
【0087】
図10の左図の例では、ペリフェラル200aは、アドバタイズメント送信処理をセントラル100a及び100cに行って、それぞれアドレスa1とc1とを取得し、ROM204に保存したことが分かる。そして、ペリフェラル200aは、アドバタイズメント送信処理を繰り返して、図10の右図の例で示すような、それぞれ直近の接続時に取得したアドレスa3、c2及びb1をROM204に保存する。
【0088】
このようにペリフェラル200aは、アドバタイズメント送信処理によって各セントラル100a乃至cの何れかと接続する都度、アドレスを取得してROM204に保存する。
このため、ペリフェラル200は、何れかのセントラル100を次回接続対象とする場合に、そのセントラル100のアドレスを含めたダイレクトアドバタイズメントを送信できるので、接続の精度が向上する。
【0089】
一方、セントラル100aは、ペリフェラル200a又は200bと接続の都度、自装置のアドレスをROM104に履歴として保存していく。図11の左図の例では最初の接続時に自装置のアドレスa1を履歴として保存し、直近の接続時においては自装置のアドレスa4を履歴として保存したことが分かる。
【0090】
このように、セントラル100が複数のペリフェラル200と接続を行う場合であっても、その接続の都度、自装置のアドレスを履歴として保存していく。これにより、接続の精度が向上する。
例えば、ペリフェラル200aがアドレスa3を含めたダイレクトアドバタイズメントを送信した場合を考える。この場合、セントラル100aは、自装置の現在のアドレスがa3とは異なるa4であっても、履歴中にアドレスa3があるので、接続要求信号をペリフェラル200aに送信する。このため、接続の精度を向上することができる。
【0091】
また、本発明に係るセントラル100及びペリフェラル200は、専用の装置によらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、コンピュータがプログラムを実行することで、セントラル100の機能及びペリフェラル200の機能を実現してもよい。セントラル100の機能及びペリフェラル200の機能を実現するためのプログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Video Disc)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされてもよい。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0093】
(付記1)
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【0094】
(付記2)
前記告知情報を送信後、前記接続対象とする他の無線通信装置からの接続要求信号を受信したか否か判定する受信判定手段を備え、
前記告知情報送信手段は、前記受信判定手段が前記接続要求信号を受信していないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0095】
(付記3)
前記告知情報送信手段は、前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報がないと判定した場合、前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含まない告知情報を送信する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の無線通信装置。
【0096】
(付記4)
前記告知情報送信手段は、予め定められたチャンネルで告知情報を送信し、
前記取得手段は、前記予め定められたチャンネル以外のチャンネルで接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を取得する、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか一つに記載の無線通信装置。
【0097】
(付記5)
自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
他の無線通信装置から送信される告知情報を受信する告知情報受信手段と、
前記告知情報受信手段が受信した告知情報が、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する判定手段と、
前記判定手段により前記告知情報が前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記他の無線通信装置に接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【0098】
(付記6)
前記自装置の識別情報は、可変であり、
前記他の無線通信装置に前記接続要求信号を送信して該他の無線通信装置と接続する都度、前記履歴記憶手段に自装置の識別情報を保存する保存手段を備えた、
ことを特徴とする付記5に記載の無線通信装置。
【0099】
(付記7)
前記判定手段は、前記告知情報受信手段が受信した告知情報が含む識別情報と、該告知情報を受信時の自装置の識別情報と、が一致しない場合、該告知情報が、前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する、
ことを特徴とする付記5又は6に記載の無線通信装置。
【0100】
(付記8)
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存ステップと、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信ステップと、
を備えたことを特徴とする無線通信方法。
【0101】
(付記9)
他の無線通信装置から送信される告知情報を受信する告知情報受信ステップと、
前記告知情報受信ステップにおいて受信した告知情報が、自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記告知情報が前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記他の無線通信装置に接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信ステップと、
を備えたことを特徴とする無線通信方法。
【0102】
(付記10)
コンピュータを、
他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する判定手段、
前記判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【0103】
(付記11)
コンピュータを、
自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段、
他の無線通信装置から送信される告知情報を受信する告知情報受信手段、
前記告知情報受信手段が受信した告知情報が、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する判定手段、
前記判定手段により前記告知情報が前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記他の無線通信装置に接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信手段、
として機能させるためのプログラム。
【0104】
(付記12)
無線通信装置と、該無線通信装置と無線通信を行う他の無線通信装置と、から構成される無線通信システムであって、
前記無線通信装置は、
前記他の無線通信装置から接続後に変更した該他の無線通信装置の識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記他の無線通信装置の識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があるか否か判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段が前記接続対象とする他の無線通信装置の識別情報があると判定した場合、該接続対象とする他の無線通信装置の識別情報を含む告知情報を送信する告知情報送信手段と、を備え、
前記他の無線通信装置は、
自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記無線通信装置から送信される告知情報を受信する告知情報受信手段と、
前記告知情報受信手段が受信した告知情報が、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により前記告知情報が前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記無線通信装置に接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【0105】
(付記13)
セントラルとBluetooth(登録商標) low energyに基づく無線通信を行うペリフェラルであって、
前記セントラルから接続後に変更した該セントラルの識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した接続後に変更した前記セントラルの識別情報を記憶手段に保存する保存手段と、
前記記憶手段に接続対象とするセントラルの識別情報があるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段が前記接続対象とするセントラルの識別情報があると判定した場合、該接続対象とするセントラルの識別情報を含むアドバタイズメントを送信するアドバタイズメント送信手段と、
を備えたことを特徴とするペリフェラル。
【0106】
(付記14)
ペリフェラルとBluetooth(登録商標) low energyに基づく無線通信を行うセントラルであって、
自装置の識別情報の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記ペリフェラルから送信されるアドバタイズメントを受信するアドバタイズメント受信手段と、
前記アドバタイズメント受信手段が受信したアドバタイズメントが、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴中の識別情報を含むか否か判定する判定手段と、
前記判定手段により前記アドバタイズメントが前記履歴中の識別情報を含むと判定した場合、前記ペリフェラルに接続要求を行うための接続要求信号を送信する接続要求信号送信手段と、
を備えたことを特徴とするセントラル。
【符号の説明】
【0107】
1、1′…無線通信システム、100(100a乃至100c)…セントラル、102…制御部、104…ROM、106…RAM、110…無線通信処理部、112…アンテナ、124…スピーカ、126…ドライバ、128…表示部、130…タッチパネル、150…アドバタイズメント受信部、151…自装置アドレス判定部、152…接続要求信号送信部、153…データ受信部、154…アドレス保存部、200(200a及び200b)…ペリフェラル、202…制御部、204…ROM、206…RAM、210…無線通信処理部、212…アンテナ、220…操作部、230…温度センサ、240…湿度センサ、250…アドレス判定部、251…アドバタイズメント送信部、252…受信判定部、253…データ送信部、254…アドレス取得部、255…アドレス保存部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11