(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態の投影装置について、図面を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明に係る実施形態の投影装置10は、例えば矩形箱状の筐体20を有し、筐体20の一端面(第1の面)21には、筐体20の外側に突出する脚部40(図示せず)を有している。なお、脚部40については後ほど詳細に説明する。
筐体20の上面22における一端面21と反対側の他端面の端部には、蓋部材23が開閉可能に設けられている。また、筐体20の側面24には、電源スイッチ25や接続コネクタ26等が設けられている。
【0010】
図3及び
図4に示すように、筐体20の内部には画像を投影する投影部31が収容されており、投影部31の前方(
図3及び
図4において左側)には投影レンズ32が筐体20の厚み方向に沿って設けられている。投影レンズ32の前方には、平面反射ミラー33が筐体20の上面22(
図1参照)と略平行に設けられている。
蓋部材23は、筐体20の内部の端部付近に設けられている回転軸34により、回転可能に支持されている。蓋部材23には、凹面の反射面を有する自由曲面ミラー35が設けられており、蓋部材23と一体で回転する。
【0011】
従って、
図4に示すように、投影時には蓋部材23を回転させて開き(
図4中矢印A参照)、投影部31から投影レンズ32を通して自由曲面ミラー35に画像を投影する(矢印BM1参照)。画像は自由曲面ミラー35で反射して平面反射ミラー33に投影され(矢印BM2参照)、平面反射ミラー33で反射して投影面11(
図5及び
図6参照)に投影される(矢印BM3参照)。
【0012】
なお、投影時には、
図5に示すように、投影装置10を机面12に縦置きして、机面12の投影面11に画像を投影する縦置き使用、及び、
図6に示すように、投影装置10を机面12に横置きして、壁面13の投影面11に画像を投影する横置き使用の両方が可能となっている。
図5、
図6は、どのように投影されるかについての概略を示す図になっており、
図1から
図4で示した詳細な形状に関しては図示を省略している。このため、蓋部材23が開いている状態なども省略しているが、実際には、
図2及び
図4に示したように蓋部が開いた状態になる。
図3及び
図4に示すように、筐体20の一端面21と反対側の他端面の端部の下面(第2の面)27には、横置き状態で机面12に接触する凸部28が筐体20の幅方向中央部に設けられている。凸部28は部分球状をしており、机面12に接触している。
【0013】
次に、
図7及び
図8を参照しながら、縦置き使用時及び横置き使用時における筐体20の傾きを調整して投影方向の調整を行うための脚部40について説明する。
なお、
図7及び
図8も
図5及び
図6と同様に詳細な外観形状については省略し、概略形状を示した図になっている。
図8に示すように、脚部40は、筐体20の内部201に設けられて雌ネジが形成された筒状部材(部材)41と、筒状部材41に螺合される雄ネジ421が形成された脚部材42と、を有する。脚部材42の一方の先端側は、筐体20の一端面21に設けられている開口211から外側に突出しており、脚部材42の一方の先端422は半球状に形成されている。
従って、脚部材42を筒状部材41に対して回転させることにより、筐体20の一端面21からの脚部材42の突出量(高さ)が調整可能となっている。筒状部材41及び脚部材42は、ここでは、例えば3組設けられており(
図7(A)参照)、各脚部材42の突出量を調整することにより、縦置き使用時における筐体20の傾斜を調整する。
なお、本実施形態では、3つの脚部材42の全てが突出量(高さ)の調整が可能となっている例を示しているが、これに限定されるものではない。
例えば、
図7(A)の図面奥側ある2つの脚部材42が突出量の調整が可能になっているだけでもよい。
【0014】
図8に示すように、筐体20の内部201における所定位置には、回転部材45が脚部材42を中心として回転可能に取り付けられている。回転部材45は、脚部材42に回転力のみを伝達し、脚部材42に対して脚部材42の長手方向に相対的に移動可能となっている。回転部材45と脚部材42との接続は、例えば、脚部材42の外周に軸と平行な溝423を設けるとともに、回転部材45の中心の貫通孔455に凹部を設け、溝423と凹部の間に凹部から脱落しないボールを設けることにより、回転部材45から回転力のみを脚部材42に伝達することができる。
なお、凹部は、脚部材42の溝423と平行に複数個設けることができる。また、凹部にかわって溝423と平行な溝を設けることもできる。
【0015】
回転部材45の外周面には、滑り止め451が施されており、外周面の一部は、筐体20の上面22及び下面27において各脚部材42に対応して設けられている窓202から露出している(
図1及び
図2参照)。
また、回転部材45における筐体20の一端面21側の側面には、山452と谷453とが交互に配置された噛合せ部454が設けられている。噛合せ部454は、脚部材42を中心としたリング状に設けられている。
【0016】
筐体20の内部201における回転部材45の一端面21側には、非回転部材46が回転部材45と対向して設けられている。非回転部材46は、中心に脚部材42の外径よりも大きい内径を有する貫通孔461を有しており、脚部材42が長手方向に移動可能に貫通孔461を貫通している。非回転部材46の回転部材45に対向する側面には、山462と谷463とが交互に配置された噛合せ部464が設けられている。噛合せ部464は、脚部材42を中心としたリング状に設けられており、回転部材45の噛合せ部454に対向している。
【0017】
筐体20の一端面21から筐体20の内部201に向かって、回転阻止材47が設けられており、回転阻止材47は非回転部材46の外周部に設けられているスライド孔465を長手方向に沿って移動可能に貫通する。これにより、非回転部材46は、回転が阻止される。
非回転部材46と一端面21との間には、非回転部材46を回転部材45側に付勢する付勢部材48が設けられている。付勢部材48は、ここでは、脚部材42の周囲に巻回された1個のスプリングバネを示しているが、この他、径が小さな複数のスプリングバネを脚部材42の周囲に配置することもできる。
【0018】
従って、付勢部材48の付勢力により、非回転部材46は回転部材45に押し付けられる。このとき、回転部材45の噛合せ部454と、非回転部材46の噛合せ部464が噛み合うので、回転部材45は、常時は回転しない。回転部材45に、付勢部材48の付勢力に抗して互いの山452、462同士を乗り越えることができる回転力を付与したときのみ、回転部材45は非回転部材46に対して回転可能となる。
【0019】
図7(A)に示すように、筐体20において脚部材42が突出する一端面21には、支柱43が外側に突出して取り付けられている。支柱43は、一端面21の略中央に配置されており、
図7(B)に示すように、先端に外径が大きな例えば半球状の膨出部431を有する。
支柱43の先端部には、筐体20の断面と同様の大きさ及び形状を有する平板状の台44が取り付けられる。一端面21の中央部に対応する台44の中央部には、台44の外側面441から内側面442に向かって凹部443が形成されている。
【0020】
凹部443は、内側面442側端部に、例えば半球状の係止面444が形成されており、係止面444の中央には、内側面442に貫通する貫通孔445が形成されている。貫通孔445の内径は、支柱43の外径よりも大きく、膨出部431の外径よりも小さい。
従って、支柱43は、台44の貫通孔445を貫通して、膨出部431が凹部443に収容されることにより、台44は、支柱43に対してあらゆる方向に回動可能に支持される。
なお、凹部443の外側面441側端部には、ネジ蓋446が着脱可能に取り付けられており、支柱43の膨出部431が台44の凹部443から脱落しないようにしている。
【0021】
なお、支柱43を筐体20側に付勢するバネ部材(図示省略)を設けることにより、台44を筐体20側に付勢して、脚部材42の先端422に押し付けることができる。
これにより、3本の脚部材42の突出量(高さ)を調整することにより、台44を筐体20に対して傾斜させた状態で保持することができる。
【0022】
図8及び
図10に示すように、筐体20の外側に突出している脚部材42には、偏心部材49が脚部材42と一体的に回転するように設けられている。偏心部材49は、円形、楕円形、長円形、滴形、涙形等、種々の形状が考えられるが、外周面が凸状の曲面であるのが望ましい。偏心部材49は、円の中心以外の偏心した位置に設けられている取付孔491において脚部材42に取り付けられる。
図10に示すように、偏心部材49は横置き使用時に筐体20の傾斜(高さ)を調整するものである。このため、偏心部材49を取り付ける脚部材42は、横置き使用時に載置面側となる筐体20の下面27側に2本配置し、上面22側に1本配置するのが望ましい。
【0023】
次に、投影時における筐体20の傾き調整の動作について説明する。
まず、縦置き使用時には、台44が机面12等の載置面に載置されるので(
図7(A)参照)、筐体20の一端面21から突出する脚部材42の突出量(高さ)を調整することにより、台44に対して筐体20を傾ける。
脚部材42の突出量の調整は、筐体20の上面22及び下面27に露出している回転部材45を回転させることにより行われる。すなわち、
図8に示すように、回転部材45を回転させると、脚部材42が回転され、脚部材42と螺合している筒状部材41に対して脚部材42が軸方向に往復移動する。このとき、筒状部材41は筐体20の内部201において固定されているので、脚部材42が軸方向に移動して、一端面21からの突出量が調整される。
【0024】
回転部材45は、噛合せ部454が非回転部材46の噛合せ部464と噛み合っているので、一定以上の回転力で回転させることにより、互いの山452、462を乗り越える角度だけ回転して、保持される。
各脚部材42について突出量を調整することにより、支柱43を中心として台44を首振り状に回転させて傾斜状態で保持することができる。
【0025】
なお、台44は筐体20の一端面21と同程度の大きさしか有していないので、台44を机面12等に直接載置しただけでは、投影装置10が安定しない場合がある(
図7(A)参照)。
このような場合には、
図9(A)及び(B)に示すように、台44が嵌合して固定される台用凹部(凹部)61を有し、机面12に対して大きな接触面積を有する電源部材60を用いればよい。電源部材60は、比較的重量が有るので接触面積が増えるのに加え、その重量によっても、投影装置10の載置状態を安定させることができる。電源部材60は、商用電源に接続するプラグ62を有しており、台44を台用凹部61に嵌合させることにより、フック等で係止されるとともに、投影部31等を商用電源と電気的に接続することができる。
【0026】
次に、
図10を参照して、横置き使用時について説明する。
図10(A)は、投影装置10を
図10(B)に示すA−A断面で切断した台44を除いた図であり、
図10(B)の紙面左方向から見た図である。
図10(A)及び(B)に示すように、脚部材42に取り付けられている偏心部材49が筐体20の下面27から突出しない状態で机面12に載置すると、筐体20は、凸部28と台44によって支持される。
図10(C)は、投影装置10を
図10(D)に示すC−C断面で切断した台44を除いた図であり、
図10(D)の紙面左方向から見た図である。
図10(C)及び(D)に示すように、筐体20の一端面21側を持ち上げる場合には、筐体20の下面27側の脚部材42に取り付けられ、下面27から露出している回転部材45を回転させて脚部材42を回転させることにより、偏心部材49を回転させる。これにより、筐体20の下面27から偏心部材49の一部が突出するので、筐体20は横置きした際に、偏心部材49と凸部28により支持され一端面21側が持ち上げられる。
図10(E)は、投影装置10を
図10(F)に示すE−E断面で切断した台44を除いた図であり、
図10(F)の紙面左方向から見た図である。
図10(E)及び(F)には、偏心部材49により筐体20の一端面21側を最も高く持ち上げた場合が示されている。
【0027】
なお、上記では、筐体20の一端面21(第1の面)側に脚部40を設ける場合について説明してきたが、筐体20の一端面21(第1の面)側に脚部40を設けるのに変えて、例えば、
図7(A)の手前の脚部材42(脚部40)を
図3及び
図4に示した凸部28のようにしておき、
図7(A)の奥側の2つの脚部材42に近い位置となる下面27(第1の面に隣接する第2の面)に上述してきた脚部40を設けるようにしてもよい。この場合、台44の大きさを少しだけ下面27に出るようにしておく。このようにしておけば、横置き使用時には下面27(第1の面に隣接する第2の面)に設けた脚部40によって高さが調節でき、縦置き使用時には、その脚部40の偏心部材49が下面27に出ている台44に当たるので偏心部材49によって、やはり、傾きの調節が可能となる。
【0028】
次に、本発明の投影装置10の作用効果について説明する。
投影面11に画像を投影する投影部31を収納する筐体20の一端面21若しくは一端面21に隣接する下面27のいずれか一方の面には、脚部40が突出して設けられている。ここでは、一端面21に脚部40が設けられている。
脚部40は、筐体20内に設けられる雌ネジの形成された筒状部材41と、筒状部材41に螺合される雄ネジ421が形成され筐体20内から筐体20外に突出するように取り付けられる脚部材42とを有する。また、筐体20外に突出した脚部材42の外周の一部には、偏心部材49が設けられている。
【0029】
従って、脚部材42が突出する一端面21が底面側に選択された縦置き使用の場合には、脚部材42を回転させることにより脚部材42の突出量が調整されるので、一端面21の傾斜角度を調整することができる。一方、一端面21ではない下面27が底面側に選択された横置き使用の場合には、脚部材42を回転させることにより脚部材42の外周に取り付けられている偏心部材49が回転するので、筐体20の下面27の傾斜角度を調整することができる。
これにより、筐体20の一端面21及び下面27のどちらの面が底面側に選択されて載置されても、脚部材42を回転させることで底面側の面の高さの調整が可能であり、必要となる調節機構の数を削減して縦置き及び横置きの両方で使用可能となる投影装置10を提供することができる。
【0030】
また、本発明の投影装置10では、筐体20内に脚部材42と一体的に回転する回転部材45が設けられるとともに、筐体20内の脚部材42の外周には、脚部材42に対して非回転で脚部材42の長手方向に移動可能な非回転部材46が設けられている。非回転部材46は、回転部材45に当接させるように付勢部材48によって回転部材45側に付勢されている。
【0031】
そして、回転部材45及び非回転部材46の互いに対向する面には、それぞれ山452,462と谷453,463が交互に形成されている。
このため、山452,462と谷453,463とが噛み合うことにより、回転部材45は常時は非回転部材46に対して回転が止められる。したがって、回転部材45を回転させていないような場合に、投影装置10の自重によって、回転が起きるようなことが回避される。一方、回転部材45を一定の力以上の力で回転させると、付勢部材48の付勢力に抗して非回転部材46を押し離して、山452,462を乗り越えることができ、脚部材42を回転させて突出量を調整することができる。
【0032】
また、本発明の投影装置10では、脚部40が複数設けられているので、各脚部40における脚部材42の突出量を調整することにより、脚部40が設けられている面を傾斜させることができる。
【0033】
また、本発明の投影装置10では、脚部40が設けられている筐体20の面と同じ面には、支柱43が突出して設けられており、支柱43の突出した端部には、台44が回転自在に連結されている。
このため、台44は、支柱43に対して任意の角度で傾斜することが可能であり、投影装置10を載置する机面12等の載置面に対して任意の角度に傾斜させた状態で投影装置10を載置することができる。
【0034】
さらに、本発明の投影装置10では、台44を嵌合させる台用凹部61を有する電源部材60を用いて、脚部材42の突出量を調整した台44を台用凹部61に嵌合させることにより、電源部材60に対して投影装置10を所望の角度で傾斜させることができる。
電源部材60は、一般的に投影装置10を使用する時に必要な部材であり、その部材を流用しているので投影装置10の持ち運び時に新たに投影装置10を載置する部材を加えるのと異なり、部品点数としては従来と変わらなくて済む。
【0035】
本発明の投影装置は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0036】
(付記1)
投影面に画像を投影する投影部と、
前記投影部を収納する筐体と、
前記筐体内に設けられ雌ネジが形成された部材と、前記筐体内から前記筐体外に突出するように設けられ前記部材に螺合される雄ネジが形成された脚部材と、前記筐体外に突出した前記脚部材の外周の一部に設けられる偏心部材と、を含む脚部と、
を備え、
前記脚部は、前記筐体の第1の面若しくは前記第1の面に隣接する第2の面のいずれか一方の面から突出されており、
前記第1の面及び前記第2の面のどちらの面が前記筐体を載置する際の底面側に選択されても、前記脚部材を回転させることで前記底面側の面の高さの調整を行えることを特徴とする投影装置。
(付記2)
前記筐体内の所定位置において回転可能に設けられ、前記脚部材を回転させる回転部材と、
前記筐体内の前記脚部材の外周に設けられ、前記脚部材の長手方向に移動可能な非回転部材と、
前記非回転部材を前記回転部材側に付勢し、前記非回転部材の一方の面を前記回転部材の他方の面に当接させる付勢部材と、を備え、
前記一方の面及び前記他方の面が、交互に形成された山と谷を有することを特徴とする付記1に記載の投影装置。
(付記3)
前記脚部が複数であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の投影装置。
(付記4)
前記筐体の前記脚部の突出する面と同じ面から突出する支柱と、
前記支柱の突出した端部に回転自在に連結された台と、を備えることを特徴とする付記1から付記3のいずれか1項に記載の投影装置。
(付記5)
前記台を嵌合させる凹部を有する電源部材を備えることを特徴とする付記4に記載の投影装置。