(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記除濁装置は、前記濾材床における水の流量を検知可能な流量検知部と、前記流量検知部により検知された水の流量に基づいて積算通水流量を算出する積算通水流量算出手段とを有し、前記積算通水流量算出手段により算出された前記積算通水流量が予め設定された上限通水量に達した場合に、前記逆洗浄プロセスを実行可能であり、
前記遠隔制御部は、管理対象となる前記複数の除濁装置それぞれの前記仕様情報と、前記分析データの前記分析データ情報とに基づいて、[上限通水量=除去可能量÷汚濁物質濃度]の計算式により、前記複数の除濁装置それぞれにおける上限通水量を計算し、前記複数の除濁装置それぞれに対し、予め設定された上限通水量が前記計算した上限通水量に更新されるように遠隔制御により設定変更する、
請求項1に記載の除濁装置の遠隔管理制御システム。
前記除濁装置は、前記濾材床における水の流通を検知可能な流通検知部と、前記流通検知部により検知された水の流通状態に基づいて積算通水時間を算出する積算通水時間算出手段とを有し、前記積算通水時間算出手段により算出された前記積算通水時間が予め設定された上限通水時間に達した場合に、前記逆洗浄プロセスを実行可能であり、
前記遠隔制御部は、管理対象となる前記複数の除濁装置それぞれの前記仕様情報と、前記分析データの前記分析データ情報とに基づいて、[上限通水時間=除去可能量÷汚濁物質濃度÷最大負荷流量]の計算式により、前記複数の除濁装置それぞれにおける上限通水時間を計算し、前記複数の除濁装置それぞれに対し、予め設定された上限通水時間が前記計算した上限通水時間に更新されるように遠隔制御により設定変更する、
請求項1に記載の除濁装置の遠隔管理制御システム。
前記除濁装置は、前回の逆洗浄タイミングからの経過日数を計時するタイマー部を有し、前記タイマー部により計時された経過日数が予め設定された逆洗浄周期日数になった場合に、前記逆洗浄プロセスを実行可能であり、
前記遠隔制御部は、管理対象となる前記複数の除濁装置それぞれの前記仕様情報と、前記分析データの前記分析データ情報とに基づいて、[逆洗浄周期日数<除去可能量÷汚濁物質濃度÷1日の最大使用水量]の計算式により、前記複数の除濁装置それぞれにおける逆洗浄周期日数を計算し、前記複数の除濁装置それぞれに対し、予め設定された逆洗浄周期日数が前記計算した逆洗浄周期日数に更新されるように遠隔制御により設定変更する、
請求項1に記載の除濁装置の遠隔管理制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の除濁装置の遠隔管理制御システム1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の除濁装置の遠隔管理制御システム1の全体構成図である。
図2は、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1の制御に係る機能ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1は、ネットワーク3を介して、遠隔地から通信により複数の除濁装置2a〜2cを遠隔制御する。ネットワーク3は、有線通信又は無線通信による広域の通信網である。
【0016】
除濁装置の遠隔管理制御システム1は、水源4と、複数の除濁装置2a〜2cと、遠隔制御装置5と、複数の原水ラインL1a〜L1cと、複数の処理水ラインL2a〜L2cと、複数の原水流量計6a〜6cと、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0017】
複数の除濁装置2a〜2cは、同一の水源4の地域内に設置される。同一の水源4の地域内とは、同一の水源4からの原水W1を供給可能な地域内をいう。同一の水源4の地域内に設置される複数の除濁装置2a〜2cには、例えば、同一会社における地理的に離間した異なる事業所や離間した敷地内に設置される複数の除濁装置や、地理的に離間した地域において複数のユーザに使用される複数の除濁装置や、別会社における地理的に離間した地域に設置される複数の除濁装置が含まれる。なお、複数の除濁装置2a〜2cは、全てが離間して設置されていなくてもよく、一部又は全部が近くに設置されていてもよい。
【0018】
除濁装置2aは、例えば、ユーザXの使用する除濁装置である。除濁装置2bは、例えば、ユーザYの使用する除濁装置である。除濁装置2cは、例えば、ユーザZの使用する除濁装置である。なお、複数の除濁装置2a〜2cを使用するユーザは、これに限定されず、例えば、除濁装置2a及び2bがユーザXの使用する除濁装置であってもよく、除濁装置2cがユーザYの使用する除濁装置であってもよい。この場合において、例えば、ユーザXの使用する除濁装置2a及び2bが近接した位置に設置され、ユーザYの使用する除濁装置2cがユーザXの使用する除濁装置2a及び2bから地理的に離間した位置に設置されてもよい。
【0019】
複数の除濁装置2a〜2cは、それぞれ、濾材床21a〜21cと、除濁制御部22a〜22cと、不図示のコントロールバルブと、を備える。複数の除濁装置2a〜2cそれぞれには、原水ラインL1a〜L1cを介して、同一水源4(例えば、井戸,河川,貯水池等)から、原水W1が供給される。一般的な原水ラインL1a〜L1cは、地方自治体や地方公共団体等が敷設・管理する水道管網(例えば、工業用水道や上水道等)と、各ユーザが敷設・管理する給水管路とから構成されている。原水ラインL1a〜L1cは、上流側において水源4に接続されており、下流側において複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに接続されている。
【0020】
原水ラインL1a〜L1cには、それぞれ、流通検知部及び流量検知部としての原水流量計6a〜6cが設けられる。原水流量計6a〜6cそれぞれは、接続部J1a〜J1cを介して、原水ラインL1a〜L1cに接続されている。
【0021】
原水流量計6a〜6cは、除濁装置2a〜2cの水の流通の有無を原水W1の流量パルスにより検知可能であり、流通検知部として機能する。また、原水流量計6a〜6cは、除濁装置2a〜2cの流入水量を、原水W1の流量パルスにより検知可能であり、流量検知部としても機能する。原水流量計6a〜6cからの流通検知信号は、除濁装置2a〜2cへ入力される。原水流量計6a〜6cは、瞬間流量及び積算流量を検出可能に構成された流量センサであり、例えば、接線式流量センサや軸流式流量センサを利用することができる。なお、本実施形態での原水流量計6a〜6cは、流通検知部としての機能のみを求める場合には、流量センサに替えて、接点信号をオンオフ出力するフロースイッチを採用することもできる。
【0022】
また、本実施形態での流量計(原水流量計6a〜6c)は、複数の原水ラインL1a〜L1cに替えて、複数の処理水ラインL2a〜L2cに設けることもできる。流量計を処理水ラインL2a〜L2cに設けた場合には、除濁装置2a〜2cの流出水量を処理水W2の流量パルスにより検知する流量検知部して機能する。つまり、任意の除濁装置2に対して、流量計は、原水ラインL1又は処理水ラインL2のいずれか一方に設けられていればよい。
【0023】
複数の除濁装置2a〜2cそれぞれは、同一水源4から原水W1を濾材床21a〜21cに導入することで、原水W1に含まれる汚濁物質を除去して処理水W2a〜W2cを製造する。複数の除濁装置2a〜2cそれぞれは、製造された処理水W2a〜W2cを、処理水ラインL2a〜L2cを介して、需要箇所へ供給する。処理水ラインL2a〜L2cは、上流側において複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに接続されており、下流側において需要箇所に接続されている。汚濁物質としては、濁質(例えば、微粒子、溶存鉄の酸化析出物等の懸濁物質)や、全有機物炭素(以下「TOC」ともいう)として把握される有機物が挙げられる。
【0024】
なお、以下の説明において、複数又は単数を区別する必要がない場合には、複数の除濁装置2a〜2c、複数の濾材床21a〜21c、複数の除濁制御部22a〜22c、処理水W2a〜2cの識別記号である「a」、「b」、「c」については省略して、単に「除濁装置2」、「濾材床21」及び「除濁制御部22」及び「処理水W2」と記載する。
【0025】
除濁装置2としては、例えば、砂濾過装置、除鉄除マンガン装置、活性炭濾過装置及び長毛繊維濾過装置などを挙げることができる。また、本実施形態における複数の除濁装置2a〜2cは、砂濾過装置、除鉄除マンガン装置、活性炭濾過装置及び長毛繊維濾過装置などのいずれでもよく、一部又は全てが同じ種類であってもよく、全てが異なる種類であってもよい。
【0026】
除濁装置2が砂濾過装置の場合には、砂濾過装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質を濾材床(図示せず)により捕捉して除去するものである。砂濾過装置としては、例えば、硅石等の粗粒濾材と、アンスラサイト、濾過砂等の細粒濾材と、から形成された濾材床(図示せず)を有する塔式のものが挙げられる。除濁装置2として、砂濾過装置が使用される場合には、原水W1に含まれる懸濁物質を凝集(フロック化)させて除去し易くする必要がある。そのため、濾過塔の上流側に配置された薬剤添加装置(不図示)によって、凝集剤を添加する。凝集剤としては、例えば、無機系凝集剤を用いることができ、具体的には、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウム等が挙げられる。
【0027】
除濁装置2が除鉄除マンガン装置の場合には、除鉄除マンガン装置は、原水W1に含まれる微粒子等の懸濁物質と共に、溶存鉄及び溶存マンガンを濾材床(図示せず)により捕捉して除去するものである。除鉄除マンガン装置は、この濾材床が充填された濾過塔を備えている。濾材床には、通常、粒子状のマンガンシャモットやマンガンゼオライト等のマンガン砂(二酸化マンガン担持の細粒)が使用される。また、除濁装置2として、除鉄除マンガン装置が使用される場合には、原水W1に含まれる溶存鉄及び溶存マンガンを酸化してから除去する。そのため、濾過塔の上流側に配置された薬剤添加装置(不図示)によって、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)を添加する。
【0028】
具体的には、原水W1に含まれる溶存鉄は、上記酸化剤の作用により酸化され、不溶性の水酸化第一鉄を経て水酸化第二鉄へと変化(すなわち、懸濁物質化)し、上記濾材床によって濾過される。原水W1に含まれる溶存マンガンは、上記酸化剤の作用により上記濾材床と接触したときに、酸化が進行し、濾材床によって吸着され除去される。
【0029】
除濁装置2が活性炭濾過装置の場合には、活性炭濾過装置は、原水W1に含まれる懸濁物質と共に、有機物、色度成分及び臭気成分等の不純物を吸着材からなる濾材床で除去するものであり、この吸着材が充填された濾過塔を備えている。吸着材には、通常、粒子状又は繊維状の活性炭が使用される。
【0030】
除濁装置2が長毛繊維濾過装置の場合には、長毛維濾過装置は、原水W1中に含まれる濁質を、長毛繊維束の濾材床で除去するものであり、この長毛繊維束が収容された濾過塔を備えている。長毛繊維束には、例えば、合成樹脂素材で構成された紐状の束が使用される。
【0031】
複数の除濁装置2a〜2cは、それぞれ、コントロールバルブ(不図示)を切り替えることで、同一水源4から原水W1を濾材床21a〜21cに導入することで原水W1に含まれる汚濁物質を除去して処理水W2a〜W2cを製造する水処理プロセスと、内部の濾材床を洗浄する洗浄プロセス(逆洗浄プロセス及び水洗プロセス)と、を実行可能である。
【0032】
洗浄プロセスの逆洗浄プロセスにおいては、逆洗水(例えば、処理水W2)が濾材床に対して上昇するように流される。これにより、除濁装置2における濾材床が展開される。洗浄後の逆洗水は、排水ライン(不図示)を介して、系外に排出される。洗浄プロセスの水洗プロセスにおいては、濯ぎ水(例えば、原水W1)が濾材床に対して下降するように流される。これにより、除濁装置2における濾材床が濯がれる。水洗後の濯ぎ水は、排水ライン(不図示)を介して、系外に排出される。
【0033】
除濁制御部22は、
図2に示すように、プロセス実行部221と、積算通水流量算出手段としての積算通水流量算出部222と、積算通水時間算出手段としての積算通水時間算出部223と、タイマー部224と、を有する。
【0034】
プロセス実行部221は、除濁装置2に設けられる不図示のコントロールバルブの開閉を制御することにより、水処理プロセスや、洗浄プロセス(逆洗浄プロセス及び水洗プロセス)を実行する。
【0035】
積算通水流量算出部222は、原水流量計6により検知された水の流量に基づいて積算通水流量を算出する。積算通水流量算出部222は、原水流量計6からの流量パルスの入力がある状態が所定時間(例えば、10秒間)継続した場合に、積算流量の計測を開始する。積算通水流量算出部222は、原水流量計6からの流量パルスの入力信号を計数して、除濁装置2に導入される原水W1の積算流量を算出する。また、積算通水流量算出部222は、逆洗浄プロセスが実行された場合に、それまで積算された積算流量をリセットする。
【0036】
積算通水時間算出部223は、原水流量計6により検知された水の流通状態(水の流通の有無)に基づいて積算通水時間を算出する。積算通水時間算出部223は、原水流量計6からの流量パルスの入力の積算時間を内部時計により計数して、除濁装置2に導入される原水W1の積算通水時間を算出する。また、積算通水時間算出部223は、逆洗浄プロセスが実行された場合に、それまで積算された積算時間をリセットする。
【0037】
タイマー部224は、前回の逆洗浄タイミングからの経過日数を計時する。タイマー部224には、カレンダータイマーやインターバルタイマーなどがある。タイマー部224がカレンダータイマーの場合には、現在の日時(現在時刻)をカウントする時計機能を有する。タイマー部224がインターバルタイマーの場合には、逆洗浄タイミングの周期をカウントする機能を有する。
【0038】
プロセス実行部221は、逆洗浄プロセスにおいて、流量逆洗浄、時間逆洗浄又は周期逆洗浄を実行可能である。プロセス実行部221の逆洗浄プロセスにおいて実行される流量逆洗浄(流量再生)は、積算通水流量算出部222により算出された積算通水流量が予め設定された上限通水量に達した場合に、実行される。プロセス実行部221の逆洗浄プロセスにおいて実行される時間逆洗浄(時間再生)は、積算通水時間算出部223により算出された積算通水時間が予め設定された上限通水時間に達した場合に、実行される。プロセス実行部221の逆洗浄プロセスにおいて実行される周期逆洗浄(周期再生)は、タイマー部224により計時された経過日数が予め設定された逆洗浄周期日数になった場合に、実行される。
流量逆洗浄における上限通水量、時間逆洗浄における上限通水時間及び周期逆洗浄における逆洗浄周期日数は、予め設定されており、原水W1の水質に応じて、後述する遠隔制御装置5の遠隔制御部51により計算されて、計算された値に設定変更される。
【0039】
遠隔制御装置5は、複数の除濁装置2a〜2cを遠隔制御する。遠隔制御装置5は、遠隔制御部51と、分析データ格納部52と、を有する。
分析データ格納部52は、取得された複数の除濁装置2a〜2cに導入される原水W1の汚濁物質濃度の分析データを格納する。例えば、取得された分析データとしては、除濁装置2に導入される原水W1をサンプル水として採水し、その採水したサンプル水を分析センター(不図示)で分析した分析データや、除濁装置2に導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により現場測定した分析データなどがある。
【0040】
分析センターは、サンプル水の手動分析を採水現場以外で行うものであり、送付されたサンプル水を所要の分析機器を使用して分析する施設である。サンプル水の採水と送付は、例えば、各ユーザX〜Zと除濁装置2のメンテナンス契約を締結している管理会社のサービスエンジニアが定期的に客先を訪問して行う。分析センターで得られた分析データは、分析センターに備え付けの専用端末を介して遠隔制御装置5に送信され、分析データ格納部52に記録される。
一方、濃度検出センサは、サンプル水の自動分析を採水現場で行うものであり、複数の除濁装置2a〜2cの据付現場、具体的には原水ラインL1a〜L1cに設けられる機器である。濃度検出センサで測定された分析データは、ネットワーク3を介して遠隔制御装置5に送信され、分析データ格納部52に記録される。
【0041】
汚濁物質濃度とは、濁度や、全有機炭素濃度(以下「TOC濃度」ともいう)を含むものである。
濁度は、JIS K0101「工業用水試験方法」において、「濁度とは水の濁りの程度を表すもので、視覚濁度、透過光濁度、散乱光濁度及び積分球濁度に区分し表示する」とされている。採水したサンプル水の濁度を分析する濁度センサ及び除濁装置2a〜2cにおいて濁度を検出する濁度センサとしては、例えば、JIS K0101に示されているような、試料水の濁り度合を透過光強度から判定する透過光式センサや、散乱光強度から判定する散乱光式光センサや、散乱光強度と透過光強度との比から判定する積分球式センサなどを用いることができる。
TOC濃度は、水中に存在する有機物中の全量を炭素量で示したものである。採水したサンプル水のTOC濃度及び除濁装置2a〜2cにおいて検出されるTOC濃度は、全有機炭素センサ(不図示)(「TOCセンサ」ともいう)により分析又は検出される。TOCセンサは、水中の有機物中の炭素量を検出する機器である。
なお、全有機炭素濃度は、適当な換算係数を用いて基準物質(例えば、濁度の基準物質であるカオリンやホルマジン等)の濃度(単位:g/m
3)に換算するのが望ましい。基準物質の濃度に換算することにより、汚濁物質濃度として統一的に表示したり、後述する所定の計算式に適用したりすることが可能になる。
【0042】
遠隔制御部51は、遠隔地から通信により複数の除濁装置2a〜2cを遠隔制御する。遠隔制御部51は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の経時変動幅が所定の範囲外の場合に、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける仕様情報と、汚濁物質濃度に係る分析データの近時情報とに基づいて、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算する。
【0043】
ここで、経時変動幅が所定の範囲外とは、例えば、毎日午前0時に最新(又は直近N個)の水質データを抽出し、前回の逆洗浄タイミングの設定変更時の水質データに対して±10%超過の変動がある場合が該当する。この場合には、遠隔制御部51は、逆洗浄タイミングを見直す計算を実行する。
【0044】
仕様情報とは、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける汚濁物質の除去可能量の情報を含む概念である。汚濁物質の除去可能量の情報は、濾材床21a〜21cにおける汚濁物質の除去性能や除去容量等により決定される情報である。例えば、仕様情報としては、一回の逆洗浄プロセスで除去可能な汚濁物質量〔g/逆洗浄〕や、汚濁物質量と関連付けられた管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの機種名などである。仕様情報は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの不図示のマイコンのメモリや、遠隔制御装置5の不図示のデータベースなどに記憶されている。
【0045】
分析データの近時情報とは、最新データだけに限定されず、ある程度日付の古いデータ(例えば、直近N個分のデータ)も含む概念である。分析データの近時情報は、例えばサンプル水の分析センター(不図示)への送付に日数を要する場合もあることから、後述する分析データ格納部52に格納された順序ではなく、サンプル水の採水日の順序に基づいて判断される。なお、サンプル水の分析データと、原水W1に含まれる汚濁物質濃度の検出値の分析データとが混在して分析データ格納部52に格納されている場合においても、原水W1の検出日及びサンプル水の採水日の順序に基づいて判断される。
【0046】
例えば、サンプル水の採水日と格納日との順序が異なる場合において、直近の2個分の分析データを近時情報として利用する場合について説明する。ここで、前回の逆洗浄タイミングの設定時には、原水の汚濁物質濃度が、30g/m
3であったとする。
【0047】
下記の2月8日時点において格納されている分析データのように、例えば2月8日の時点では、分析データ格納部52に格納された分析データの格納日の順序は、日付が新しい順に、分析データN1、分析データN3である。採水日の順序は、日付が新しい順に、分析データN3、分析データN1である。
【0048】
◎2月8日時点において格納されている分析データ
N1:採水日(1月5日)、汚濁物質濃度30g/m
3、格納日(1月10日)
N3:採水日(2月2日)、汚濁物質濃度32g/m
3、格納日(2月7日)
【0049】
2月10日には、下記の2月10日時点において格納されている分析データのように、分析データ格納部52には、新たに2月10日に分析データN2が格納された。これにより、分析データ格納部52に格納された分析データの格納日の順序は、日付が新しい順に、分析データN2、分析データN3、分析データN1である。採水日の順序は、格納日の順序とは異なっており、日付が新しい順に、分析データN3、分析データN2、分析データN1である。
【0050】
◎2月10日時点において格納されている分析データ
N1:採水日(1月5日)、汚濁物質濃度30g/m
3、格納日(1月10日)
N2:採水日(1月20日)、汚濁物質濃度34g/m
3、格納日(2月10日)
N3:採水日(2月2日)、汚濁物質濃度32g/m
3、格納日(2月7日)
【0051】
ここで、例えば2月8日の時点では、直近の2個の分析データN1(経時変動幅0%:〔(30−30)/30〕×100=0%)、分析データN3(経時変動幅7%:〔(32−30)/30〕×100=7%)が近時情報となる。2月8日の時点では、分析データN1(経時変動幅0%)及びN3(経時変動幅7%)の経時変動幅は、前回の逆洗浄タイミングの設定時の汚濁物質濃度30g/m
3に対して、±10%の範囲内である。
一方、例えば2月10日の時点では、直近の2個の分析データN2(経時変動幅13%:〔(34−30)/30〕×100=13%)、分析データN3(経時変動幅7%:〔(32−30)/30〕×100=7%)が近時情報となる。2月10日の時点では、分析データN2(経時変動幅13%)の経時変動幅は、前回の逆洗浄タイミングの設定時の汚濁物質濃度30g/m
3に対して、±10%の範囲外である。
このように、近時情報を判断するタイミングによって、サンプル水の採水日と格納日との順序が異なる場合があるが、サンプル水の採水日の順序に基づいて、サンプル水の分析データの近時情報とする。
【0052】
遠隔制御部51は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように遠隔制御により設定変更する。
遠隔制御部51は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの逆洗浄プロセスの逆洗浄タイミングに関して、以下に述べるように、流量逆洗浄における上限通水量、時間逆洗浄における上限通水時間及び周期逆洗浄における逆洗浄周期日数を計算して、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対して遠隔制御により設定変更を行う。
【0053】
<流量逆洗浄における上限通水量の計算>
遠隔制御部51は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれが流量逆洗浄(流量再生)を実行する場合において、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、下記の式(1)の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける上限通水量を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された上限通水量が計算した上限通水量に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
上限通水量〔m
3〕=除去可能量〔g〕÷汚濁物質濃度〔g/m
3〕 (1)
【0054】
<時間逆洗浄における上限通水時間の計算>
遠隔制御部51は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれが時間逆洗浄(時間再生)を実行する場合において、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、下記の式(2)の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける上限通水時間を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された上限通水時間が計算した上限通水時間に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
上限通水時間〔h〕=除去可能量〔g〕÷汚濁物質濃度〔g/m
3〕÷最大負荷流量〔m
3/h〕 (2)
【0055】
<周期逆洗浄における再生周期日数の計算>
遠隔制御部51は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれが周期逆洗浄(周期再生)を実行する場合において、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、下記の式(3)の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける逆洗浄周期日数を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された逆洗浄周期日数が計算した逆洗浄周期日数に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
逆洗浄周期日数〔日〕<除去可能量〔g〕÷汚濁物質濃度〔g/m
3〕÷1日の最大使用水量〔m
3/日〕 (3)
【0056】
ここで、例えば、除濁装置2の下流側の需要箇所において、蒸気ボイラ(不図示)が設置されている場合には、1日の最大使用水量〔m
3/日〕は、次の式により求められる。
1日の最大使用水量〔m
3/日〕=ボイラの蒸発量〔t/h〕×ボイラの稼働時間〔h/日〕+ボイラのブロー水量〔t/日〕
【0057】
除濁装置2が濁質のみを除去対象にしている場合には、上記の式(1)〜(3)における「汚濁物質濃度」を「原水濁度」に置き換えることにより、上限通水量、上限通水時間、及び逆洗浄周期日数が計算される。通常、濁度1度は、基準物質(カオリン又はホルマジン)1g/m
3に相当する。
また、除濁装置2が濁質及びTOCを除去対象にしている場合には、上記の式(1)〜(3)における「汚濁物質濃度」を次の式を用いて「換算原水濁度」に置き換えることにより、上限通水量、上限通水時間、及び逆洗浄周期日数が計算される。
換算原水濁度〔g/m
3〕=原水濁度〔g/m
3〕+原水TOC〔gC/m
3〕×換算係数
【0058】
次に、除濁装置の遠隔管理制御システム1の第1動作例について説明する。
図3は、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1の第1動作例の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートの処理は、除濁装置の遠隔管理制御システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図3に示すフローチャートによる制御においては、複数の除濁装置2a〜2cの種類は、砂濾過装置、除鉄除マンガン装置、活性炭濾過装置及び長毛繊維濾過装置などのいずれでもよい。また、一部又は全てが同じ種類であってもよく、全てが異なる種類であってもよい。例えば、除濁装置2a,2cが砂濾過装置であり、除濁装置2bが除鉄除マンガン装置である場合を例示することができる。また、複数の除濁装置2a〜2cは、水処理プロセス及び洗浄プロセス(逆洗浄プロセス及び水洗プロセス)を実行している。
【0059】
図3に示す除濁装置2aにおけるステップS121において、除濁装置2aに導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出する。検出された汚濁物質濃度のデータは、分析データとして、遠隔制御装置5へ送信される。
【0060】
遠隔制御装置5におけるステップS111において、除濁装置2aのステップS121で検出された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0061】
除濁装置2bにおけるステップS131において、除濁装置2bに導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出する。検出された汚濁物質濃度のデータは、分析データとして、遠隔制御装置5へ送信される。
【0062】
遠隔制御装置5におけるステップS112において、除濁装置2bのステップS131で検出された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0063】
除濁装置2cにおけるステップS141において、除濁装置2cに導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出する。検出された汚濁物質濃度のデータは、分析データとして、遠隔制御装置5へ送信される。
【0064】
遠隔制御装置5におけるステップS113において、除濁装置2cのステップS141で検出された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0065】
遠隔制御装置5におけるステップS114において、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の経時変動幅が所定の範囲外であるか否かを判定する。ここで、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の分析データにおいて、分析データ格納部52に格納された順序ではなく、除濁装置2a〜2cにおける原水W1の検出日の時系列の分析データによる近時情報に基づいて、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。例えば、近時情報として、直近の2個の分析データが使用される。具体的には、直近の2個の分析データとして、除濁装置2cにおいてステップS141で検出されたサンプル水の分析データと、除濁装置2bにおいてステップS131で検出されたサンプル水の分析データと、について、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外であると判定された場合(YES)には、処理は、ステップS115に移行する。一方、遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外でないと判定された場合(NO)には、処理は終了する。
【0066】
遠隔制御装置5におけるステップS115において、遠隔制御装置5は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算する。具体的には、遠隔制御装置5は、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける汚濁物質の除去可能量の情報を含む仕様情報と、汚濁物質濃度に係る分析データの近時情報とに基づいて、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算する。例えば、除濁装置2において、流量逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(1)の計算式により、除濁装置2の上限通水量を計算する。また、除濁装置2において、時間逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(2)の計算式により、除濁装置2の上限通水時間を計算する。また、除濁装置2において、周期逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(3)の計算式により、除濁装置2の逆洗浄周期日数を計算する。
【0067】
遠隔制御装置5におけるステップS116において、遠隔制御装置5は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対して、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように遠隔制御により設定変更を行う。ステップS116の処理の後に、遠隔制御装置5の処理は終了する(ステップS111へリターンする)。
【0068】
除濁装置2a,2b,2cにおけるステップS122,S132,S142において、除濁装置2a,2b,2cの逆洗浄タイミングは、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように、遠隔制御装置5の遠隔制御により設定変更される。ステップS122,S132,S142の処理の後に、除濁装置2a,2b,2cの処理は終了する(ステップS121,S131,S141へリターンする)。
【0069】
次に、除濁装置の遠隔管理制御システム1の第2動作例について説明する。
図4は、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1の第2動作例の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示す第2動作例は、分析データの取得方法について、
図3に示す第1動作例において原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出して得るのに対して、採水された原水W1のサンプル水から分析センター(不図示)において汚濁物質濃度の分析データとして分析されて得る点において主に異なる。第2動作例は、その他の点において、第1動作例と同様である。
【0070】
図4に示す除濁装置2aにおけるステップS221において、除濁装置2aに導入される原水W1のサンプル水を採水する。採水された原水W1のサンプル水は、分析センター(不図示)に送付され、原水W1の採水時点における汚濁物質濃度の分析データとして分析される。
【0071】
遠隔制御装置5におけるステップS211において、除濁装置2aのステップS221で採水された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0072】
除濁装置2bにおけるステップS231において、除濁装置2bに導入される原水W1のサンプル水を採水する。採水された原水W1のサンプル水は、分析センター(不図示)に送付され、原水W1の採水時点における汚濁物質濃度の分析データとして分析される。
【0073】
遠隔制御装置5におけるステップS212において、除濁装置2bのステップS231で採水された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0074】
除濁装置2cにおけるステップS241において、除濁装置2cに導入される原水W1のサンプル水を採水する。採水された原水W1のサンプル水は、分析センター(不図示)に送付され、原水W1の採水時点における汚濁物質濃度の分析データとして分析される。
【0075】
遠隔制御装置5におけるステップS213において、除濁装置2cのステップS241で採水された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0076】
遠隔制御装置5におけるステップS214において、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の経時変動幅が所定の範囲外であるか否かを判定する。ここで、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の分析データにおいて、分析データ格納部52に格納された順序ではなく、複数の除濁装置2a〜2cにおける原水W1の採水日の時系列の分析データによる近時情報に基づいて、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。例えば、近時情報として、直近の2個の分析データが使用される。具体的には、直近の2個の分析データとして、除濁装置2cにおいてステップS241で採水されたサンプル水の分析データと、除濁装置2bにおいてステップS231で採水されたサンプル水の分析データと、について、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外であると判定された場合(YES)には、処理は、ステップS215に移行する。一方、遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外でないと判定された場合(NO)には、処理は終了する。
【0077】
遠隔制御装置5におけるステップS215及びS216、除濁装置2aにおけるステップS222、除濁装置2bにおけるステップS232、除濁装置2cにおけるステップS242の動作は、第1動作例の遠隔制御装置5におけるステップS115及びS116、除濁装置2aにおけるステップS122、除濁装置2bにおけるステップS132、除濁装置2cにおけるステップS142の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
次に、除濁装置の遠隔管理制御システム1の第3動作例について説明する。
図5は、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1の第3動作例の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートの処理は、除濁装置の遠隔管理制御システム1の運転中において、繰り返し実行される。
図5に示すフローチャートによる制御においては、
図3及び
図4に示すフローチャートによる制御と同様に、複数の除濁装置2a〜2cの種類は、砂濾過装置、除鉄除マンガン装置、活性炭濾過装置及び長毛繊維濾過装置などのいずれでもよい。また、一部又は全てが同じ種類であってもよく、全てが異なる種類であってもよい。例えば、除濁装置2a,2cが砂濾過装置であり、除濁装置2bが除鉄除マンガン装置である場合を例示することができる。また、複数の除濁装置2a〜2cは、水処理プロセス及び逆洗浄プロセスを実行している。
図5における第3動作例は、
図3及び
図4における第1動作例及び第2動作例と比べて、分析データの取得方法や取得時期や取得回数が異なる。
【0079】
図5に示す除濁装置2aにおけるステップS321において、除濁装置2aに導入される原水W1のサンプル水を採水する。採水された原水W1のサンプル水は、分析センター(不図示)に送付され、原水W1の採水時点における汚濁物質濃度の分析データとして分析される。
【0080】
遠隔制御装置5におけるステップS312において、除濁装置2aのステップS321で採水された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、例えばサンプル水の採水日から数日遅れて、分析データ格納部52に格納される。
【0081】
除濁装置2aにおけるステップS322において、除濁装置2aに導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出する。検出された汚濁物質濃度のデータは、分析データとして、遠隔制御装置5へ送信される。
【0082】
遠隔制御装置5におけるステップS311において、例えばステップS312よりも早い時期に、除濁装置2aのステップS322で検出された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0083】
除濁装置2bにおけるステップS331において、除濁装置2bに導入される原水W1のサンプル水を採水する。採水された原水W1のサンプル水は、分析センター(不図示)に送付され、原水W1の採水時点における汚濁物質濃度の分析データとして分析される。
【0084】
遠隔制御装置5におけるステップS314において、除濁装置2bのステップS331で採水された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、例えばサンプル水の採水日から数日遅れて、分析データ格納部52に格納される。
【0085】
除濁装置2bにおけるステップS332において、除濁装置2bに導入される原水W1に含まれる汚濁物質濃度を濃度検出センサ(不図示)により検出する。検出された汚濁物質濃度のデータは、分析データとして、遠隔制御装置5へ送信される。
【0086】
遠隔制御装置5におけるステップS313において、例えばステップS314よりも早い時期に、除濁装置2bのステップS332で検出された原水W1の汚濁物質濃度の分析データは、分析データ格納部52に格納される。
【0087】
遠隔制御装置5におけるステップS315において、
図3に示す動作例1におけるステップS114と同様に、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の経時変動幅が所定の範囲外であるか否かを判定する。ここで、遠隔制御装置5は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の分析データにおいて、分析データ格納部52に格納された順序ではなく、複数の除濁装置2a〜2cにおける原水W1の採水日又は検出日の時系列の分析データによる近時情報に基づいて、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。例えば、近時情報として、直近の2個の分析データが使用される。具体的には、直近の2個の分析データとして、除濁装置2bにおいてステップS332で検出された汚濁物質濃度の検出値の分析データと、除濁装置2bにおいてステップS331で取得されたサンプル水の分析データと、について、汚濁物質濃度の経時変動幅を算出する。遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外であると判定された場合(YES)には、処理は、ステップS316に移行する。一方、遠隔制御装置5により経時変動幅が所定の範囲外でないと判定された場合(NO)には、処理は終了する。
【0088】
遠隔制御装置5におけるステップS316において、
図3に示す動作例1におけるステップS115と同様に、遠隔制御装置5は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算する。具体的には、遠隔制御装置5は、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける汚濁物質の除去可能量の情報を含む仕様情報と、汚濁物質濃度に係る分析データの近時情報とに基づいて、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算する。例えば、除濁装置2において、流量逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(1)の計算式により、除濁装置2の上限通水量を計算する。また、除濁装置2において、時間逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(2)の計算式により、除濁装置2の上限通水時間を計算する。また、除濁装置2において、周期逆洗浄の逆洗浄プロセスが実行されている場合には、上記の式(3)の計算式により、除濁装置2の逆洗浄周期日数を計算する。
【0089】
遠隔制御装置5におけるステップS317において、
図3に示す動作例1におけるステップS116と同様に、遠隔制御装置5は、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対して、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように遠隔制御により設定変更を行う。ステップS317の処理の後に、遠隔制御装置5の処理は終了する(ステップS311へリターンする)。
【0090】
除濁装置2a,2b,2cにおけるステップS323,S333,S341において、除濁装置2a,2b,2cの逆洗浄タイミングは、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように、遠隔制御装置5の遠隔制御により設定変更される。ステップS323,S333,S341の処理の後に、除濁装置2a,2b,2cの処理は終了する(ステップS321,S331,S341へリターンする)。
【0091】
ここで、除濁装置2cにおいては、ステップS341よりも前の時点で、原水W1の汚濁物質濃度の分析データが個別には取得されていない。しかし、除濁装置2cは、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように、遠隔制御装置5の遠隔制御により設定変更される。ここでは、複数の除濁装置2a〜2cのいずれにおいても、同一水源から原水W1が導入されている。そのため、個別の分析データが取得されていない除濁装置2cにおいても、遠隔制御により逆洗浄タイミングの設定を変更する。これにより、複数の除濁装置2a〜2cを、一群の除濁装置として、総合的に管理することができる。
【0092】
本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1によれば、例えば、以下に示す効果が奏される。
本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1は、同一水源4から原水W1を濾材床21a〜21cに導入することで原水W1に含まれる汚濁物質を除去して処理水W2a〜W2cを製造する複数の除濁装置2a〜2cと、遠隔地から通信により複数の除濁装置2a〜2cを遠隔制御する遠隔制御部51と、取得された原水W1の汚濁物質濃度の分析データを格納する分析データ格納部52と、を備え、遠隔制御部51は、分析データ格納部52に格納された汚濁物質濃度の経時変動幅が所定の範囲外の場合に、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける汚濁物質の除去可能量の情報を含む仕様情報と、汚濁物質濃度に係る分析データの近時情報とに基づいて、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれで逆洗浄プロセスを実行させる逆洗浄タイミングを計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された逆洗浄タイミングが計算した逆洗浄タイミングとなるように遠隔制御により設定変更する。
【0093】
そのため、同一水源4の原水水質が変動した場合に、複数の除濁装置2a〜2cの逆洗浄タイミングの設定を、遠隔制御により変更して、複数の除濁装置2a〜2cを、一群の除濁装置として、総合的に管理することができる。この結果、複数の除濁装置の全てにおいて、最適なタイミングでの逆洗浄が常に行われることになり、洗浄水の無駄な消費が抑制されると共に、処理水W2の品質が維持される。
【0094】
また、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1においては、除濁装置2は、濾材床21における水の流量を検知可能な原水流量計6と、原水流量計6により検知された水の流量に基づいて積算通水流量を算出する積算通水流量算出部222とを有し、積算通水流量算出部222により算出された積算通水流量が予め設定された上限通水量に達した場合に、逆洗浄プロセスを実行可能であり、遠隔制御部51は、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、[上限通水量=除去可能量÷汚濁物質濃度]の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける上限通水量を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された上限通水量が前記計算した上限通水量に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
【0095】
そのため、除濁装置2において流量逆洗浄が実行される場合において、複数の除濁装置2a〜2cは、原水W1の水質変動に応じて上限通水量が最適値になるように更新される。この結果、流量逆洗浄が実行される除濁装置の全てにおいて、最適なタイミングでの逆洗浄が常に行われることになり、洗浄水の無駄な消費が抑制されると共に、処理水W2の品質が維持される。
【0096】
また、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1においては、除濁装置2は、濾材床21における水の流通を検知可能な原水流量計6と、原水流量計6により検知された水の流通状態に基づいて積算通水時間を算出する積算通水時間算出部223とを有し、積算通水時間算出部223により算出された積算通水時間が予め設定された上限通水時間に達した場合に、逆洗浄プロセスを実行可能であり、遠隔制御部51は、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、[上限通水時間=除去可能量÷汚濁物質濃度÷最大負荷流量]の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける上限通水時間を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された上限通水時間が計算した上限通水時間に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
【0097】
そのため、除濁装置2において時間逆洗浄が実行される場合において、複数の除濁装置2a〜2cは、原水W1の水質変動に応じて上限通水時間が最適値になるように更新される。この結果、時間逆洗浄が実行される除濁装置の全てにおいて、最適なタイミングでの逆洗浄が常に行われることになり、洗浄水の無駄な消費が抑制されると共に、処理水W2の品質が維持される。
【0098】
また、本実施形態の除濁装置の遠隔管理制御システム1においては、除濁装置2は、前回の逆洗浄タイミングからの経過日数を計時するタイマー部224を有し、タイマー部224により計時された経過日数が予め設定された逆洗浄周期日数になった場合に、逆洗浄プロセスを実行可能であり、遠隔制御部51は、管理対象となる複数の除濁装置2a〜2cそれぞれの仕様情報と、分析データの近時情報とに基づいて、[逆洗浄周期日数<除去可能量÷汚濁物質濃度÷1日の最大使用水量]の計算式により、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれにおける逆洗浄周期日数を計算し、複数の除濁装置2a〜2cそれぞれに対し、予め設定された逆洗浄周期日数が計算した逆洗浄周期日数に更新されるように遠隔制御により設定変更する。
【0099】
そのため、除濁装置2において周期逆洗浄が実行される場合において、複数の除濁装置2a〜2cは、原水W1の水質変動に応じて逆洗浄周期日数が最適値になるように更新される。この結果、周期逆洗浄が実行される除濁装置の全てにおいて、最適なタイミングでの逆洗浄が常に行われることになり、洗浄水の無駄な消費が抑制されると共に、処理水W2の品質が維持される。
【0100】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、複数の除濁装置として、3台の除濁装置について説明したが、これに制限されない。本発明は、同一水源からの原水が導入される除濁装置群の遠隔制御を対象にしているので、数十台から数百台規模の除濁装置群に対しても適用することが可能となっている。
【0101】
また、前述の実施形態においては、複数の除濁装置2a〜2cの全ての装置の逆洗浄タイミングを遠隔制御により設定変更したが、これに制限されない。複数の除濁装置2a〜2cの一部の装置の逆洗浄タイミングを遠隔制御により設定変更してもよい。
【0102】
また、前述の実施形態においては、近時情報として、直近の2個の分析データを使用する例について説明したが、これに制限されず、例えば、直近の3個以上の分析データを使用してもよい。
【0103】
また、前述の実施形態において、第1動作例においては、原水の汚濁物質濃度の検出の回数が装置毎に各1回であって、分析データを取得して分析データ格納部52に格納する回数は、計3回であった。第2動作例においては、サンプル水の採水の回数が装置毎に各1回であって、分析データを取得して分析データ格納部52に格納する回数は、計3回であった。第3動作例においては、除濁装置2aにおいてサンプル水の採水の回数及び原水の汚濁物質濃度の検出の回数が各1回であり、除濁装置2bにおいてサンプル水の採水の回数及び原水の汚濁物質濃度の検出の回数が各1回であって、分析データを取得して分析データ格納部52に格納する回数は、計4回であった。しかし、分析データを分析データ格納部52に格納する回数は、これに制限されない。本発明は、複数の除濁装置における分析データが得られたときには、分析データの取得の回数に制限はなく、複数の除濁装置における分析データを、逐次、分析データ格納部52に格納する。