特許第6361248号(P6361248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361248
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/237 20180101AFI20180712BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180712BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20180712BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20180712BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20180712BHJP
【FI】
   F21S43/237
   F21Y115:10
   F21Y115:15
   F21W103:10
   F21W103:55
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-80503(P2014-80503)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-201392(P2015-201392A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小城 洋
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−146722(JP,A)
【文献】 特開2012−064533(JP,A)
【文献】 特開2010−103034(JP,A)
【文献】 特開2008−147032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている第1ランプユニットおよび第2ランプユニットと、
を備え、
前記第1ランプユニットは、光源と、導光部材と、を備え、
前記導光部材は、
内部での全反射を利用して光を導く棒形状をなし、
前記光源からの光を入射させる入射面と、
入射した光を出射させる出射面と、
入射した光を前記出射面側に反射させる反射面と、
を備え、
前記第2ランプユニットの光照射方向の前方に位置していて、
前記第2ランプユニットからの照射光の一部を遮る位置には、平面が設けられており
前記反射面と前記反射面との間には、段差面が設けられていて、
前記反射面と前記段差面とは、プリズムを構成し、
前記入射面側の部分から前記照射光の一部を遮る部分までの前記プリズムと前記プリズムとの間には、平面部が設けられており、
前記平面部は、前記入射面から離れるに従って大きくなり、かつ前記反射面および前記段差面の高さおよび幅が小さくなる、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光部材の前記出射面のうち少なくとも前記照射光の一部を遮る部分、もしくは、前記導光部材の前記反射面のうち少なくとも前記照射光の一部を遮る部分、のうち少なくともいずれか一方には、前記平面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記出射面は、前記導光部材の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面形状がほぼ円弧の円弧面からなり、
前記反射面は、前記導光部材の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面形状がほぼ直線の平面からなり
弧面の前記出射面のうち少なくとも前記照射光の一部を遮る部分には、前記照射光を出射させる平面の出射面が設けられていて、
もしくは、
前記プリズムのうち少なくとも前記照射光の一部を遮る部分には、前記照射光を入射させる平面の入射面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
少なくとも前記照射光の一部を遮る部分の前記プリズムと前記プリズムとの間には、前記平面の入射面が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導光部材を備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導光部材を備える車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、特許文献1の従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、ヘッドランプユニット(HLユニット)と、デイタイムランニングランプユニット(DRLユニット)と、を備え、HLユニットは、光源と導光レンズとを備え、導光レンズは、入射面と、前部反射面と、後部反射面と、出射面と、透光部と、を有するものである。
【0003】
従来の車両用灯具は、光源からの光が入射面から導光レンズ内に入射し、その入射光が前部反射面で反射してかつ後部反射面で反射して出射面から前方に出射し、DRLユニットからの光は、導光レンズの透光部を透過して前方に照射するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−29775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる車両用灯具においては、DRLユニットからの光が導光レンズの透光部を透過する際に、光が損失する場合がある。この光損失を最小限に抑制することが重要である。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、光損失を最小限に抑制することが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されている第1ランプユニットおよび第2ランプユニットと、を備え、第1ランプユニットは、光源と、導光部材と、を備え、導光部材が、内部での全反射を利用して光を導く棒形状をなし、光源からの光を入射させる入射面と、入射した光を出射させる出射面と、入射した光を出射面側に反射させる反射面と、を備え、第2ランプユニットの光照射方向の前方に位置していて、第2ランプユニットからの照射光の一部を遮る位置には平面が設けられており反射面と反射面との間には、段差面が設けられていて、反射面と段差面とは、プリズムを構成し、入射面側の部分から照射光の一部を遮る部分までのプリズムとプリズムとの間には、平面部が設けられており、平面部は、入射面から離れるに従って大きくなり、かつ反射面および段差面の高さおよび幅が小さくなる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、導光部材の出射面のうち少なくとも照射光の一部を遮る部分、もしくは、導光部材の反射面のうち少なくとも照射光の一部を遮る部分、のうち少なくともいずれか一方には、平面が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項3にかかる発明)は、出射面が、導光部材の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面形状がほぼ円弧の円弧面からなり、反射面が、導光部材の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面形状がほぼ直線の平面からなり、円弧面の出射面のうち少なくとも照射光の一部を遮る部分には、照射光を出射させる平面の出射面が設けられていて、もしくは、プリズムのうち少なくとも照射光の一部を遮る部分には、照射光を入射させる平面の入射面が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項4にかかる発明)は、少なくとも照射光の一部を遮る部分のプリズムとプリズムとの間には、平面の入射面が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明の車両用灯具は、出射面の照射光の一部を遮る部分もしくは反射面の照射光の一部を遮る部分のうち少なくともいずれか一方に平面を設ける。これにより、第1ランプユニットの導光部材が第2ランプユニットからの照射光の一部を遮る位置に配置されていても、第2ランプユニットからの照射光が導光部材の反射面の平面もしくは出射面の平面を透過するので、照射光の光損失を最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示す正面図である。
図2図2は、第1ランプユニットの導光部材および第2ランプユニットを示す縦断面図(図1におけるII−II線断面図)である。
図3図3は、第1ランプユニットの導光部材および第2ランプユニットを示す横断面図(図1におけるIII−III線断面図)である。
図4図4は、導光部材の反射面と段差面とから構成されているプリズムと平面部とを示す断面図(図3に対応する断面図)である。
図5図5は、インナーパネルの一部と第1ランプユニットの光源および導光部材の入射面側の部分を示す断面図である。
図6図6は、導光部材の入射面側の部分を示す横断面図(図5におけるVI−VI線断面図)である。
図7図7は、導光部材の入射面側の部分を示す縦断面図(図5におけるVII−VII線断面図)である。
図8図8は、実施形態の導光部材と2つの変形例の導光部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態の1例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0015】
図1において、符号「I」は、車両の内側を示す。符号「O」は、車両の外側を示す。また、図2図7において、導光部材のハッチングを省略し、かつ、図2図3において、レンズ部材部材のハッチングを省略する。さらに、光は、図中の実線矢印にて示す。
【0016】
(実施形態の構成の説明)
図1図8(A)は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示す。以下、この実施形態にかかる車両用灯具の構成について説明する。図1中、符号1は、この実施形態にかかる車両用灯具である。前記車両用灯具1は、たとえば、車両用前照灯やヘッドランプなどのフロントコンビネーションランプのクリアランスランプおよびデイタイムランニングランプである。
【0017】
前記車両用灯具1は、車両(図示せず)の前部の左右両側に搭載されている。車両の前部の意匠面は、車両の前方に向かって(車両の後側から前側に向かって)、上下方向(車両の上側から下側)および左右方向(車両の外側Oから内側I)に向かって傾斜している。
【0018】
車両の右側に搭載される右側の車両用灯具1において、車両の外側Oは右側であり、車両の内側Iは左側である。一方、車両の左側に搭載される左側の車両用灯具において、車両の外側Oは左側であり、車両の内側Iは右側である。
【0019】
以下、車両の右側に搭載される右側の車両用灯具1について説明する。なお、車両の左側に搭載される左側の車両用灯具は、右側の車両用灯具1と左右逆でその他がほぼ同様の構成をなすので、説明を省略する。
【0020】
(車両用灯具1の説明)
前記車両用灯具1は、図1に示すように、クリアランスランプとしての第1ランプユニット11と、デイタイムランニングランプとしての第2ランプユニット12と、その他のランプユニットとしてのロービーム用ヘッドランプ4およびハイビーム用ヘッドランプ5と、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(たとえば、素通しのアウターカバー、アウターレンズなど)6と、インナーパネル(インナーハウジング)7と、を備えるものである。
【0021】
前記第1ランプユニット11および前記第2ランプユニット12および前記ロービーム用ヘッドランプ4および前記ハイビーム用ヘッドランプ5および前記インナーパネル7は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズ6により区画されている灯室内に配置されている。
【0022】
なお、前記灯室内には、前記第1ランプユニット11および前記第2ランプユニット12および前記ロービーム用ヘッドランプ4および前記ハイビーム用ヘッドランプ5以外に、フォグランプ、コーナリングランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニット(図示せず)が配置されている場合がある。
【0023】
(第1ランプユニット11の説明)
前記第1ランプユニット11は、1個の光源としての半導体型光源2と、1個(1本)の導光部材3と、を備える。前記半導体型光源2および前記導光部材3の一部は、前記インナーパネル7により、前記ランプレンズ6から見て覆い隠されている。なお、図1に示すように、前記導光部材3の大部分および前記ロービーム用ヘッドランプ4および前記ハイビーム用ヘッドランプ5および前記インナーパネル7は、前記ランプレンズ6を通して見える。
【0024】
(半導体型光源2の説明)
前記半導体型光源2は、図1図5に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源2は、発光部20と、基板21と、から構成されている。前記半導体型光源2は、前記灯室内の車両の外側Oでかつ後側でかつ下側の箇所に配置されている。前記半導体型光源2は、前記ランプハウジングに直接もしくは他の部材(図示せず)を介して取り付けられている。
【0025】
(導光部材3の説明)
前記導光部材3は、前記半導体型光源2からの光を、内部での全反射(内面反射)を利用して、入射面30から出射面31に導く部材である。前記導光部材3は、この例では、アクリル樹脂やPC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂)などの透明樹脂材から構成されている。前記導光部材3は、一端から他端にかけて同等もしくはほぼ同等の断面(前記導光部材3の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面)円形の円柱形状すなわち丸棒形状をなす。前記導光部材3の直径は、この例では、約6〜8mmである。
【0026】
前記導光部材3の導光方向すなわち光を導く方向は、断面円形の円柱形状をなす前記導光部材3の図示しない中心線(中心軸線)方向である。
【0027】
前記導光部材3は、図1に示すように、車両の前部の意匠面および前記ランプレンズ6の意匠面に沿っている。すなわち、前記導光部材3は、正面視、ほぼ横一文字形状をなす。前記導光部材3は、前記灯室内の下側の辺に沿って車両の外側Oから内側Iにかけて配置されている。前記導光部材3は、前記ランプハウジングに直接もしくは他の部材(図示せず)を介して取り付けられている。たとえば、前記導光部材3に一体に設けられている取付片(図示せず)が前記ランプハウジングに直接もしくは他の部材(図示せず)を介して取り付けられている。
【0028】
前記導光部材3は、内部での全反射を利用して光を導くものである。前記導光部材3は、一端面の前記入射面30と、前記出射面31と、他端面32と、反射面33と、を備えるものである。前記導光部材3は、図2図3に示すように、前記第2ランプユニット12からの照射光L4の一部を遮る位置に配置されている。
【0029】
(入射面30の説明)
前記入射面30は、前記導光部材3の一端面に設けられている。前記入射面30は、前記半導体型光源2の前記発光部20に対向する。前記入射面30の中心と前記発光部20の中心とは、一致もしくはほぼ一致する。前記入射面30は、平面もしくは曲面もしくは平面および曲面の組み合わせからなる。前記入射面30は、前記発光部20から放射される光を前記導光部材3中に入射させるものである。前記入射面30および前記半導体型光源2は、図1に示すように、車両の外側Oでかつ下側に配置されている。
【0030】
(出射面31の説明)
前記出射面31は、前記導光部材3の前側の一側面(すなわち、正面)から上側の一側面(すなわち、上面)および下側の一側面(すなわち、下面)にかけて設けられている。前記出射面31は、前記ランプレンズ6に対向する。前記出射面31は、断面(前記導光部材3の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面)形状がほぼ円弧の円弧面からなる。前記出射面31は、前記入射面30から前記導光部材3中に入射した入射光L1を出射光L2として前記導光部材3中から外部に出射させるものである。
【0031】
図2図3図8(A)に示すように、円弧面の前記出射面31のうち少なくとも前記照射光L4の一部を遮る部分39(以下、遮る部分39と称する)には、前記照射光L4を出射させる平面の出射面34が設けられている。
【0032】
(反射面33の説明)
前記反射面33は、前記導光部材3の後側の一側面(すなわち、背面)に設けられている。前記反射面33は、断面(前記導光部材3の導光方向に対して垂直もしくはほぼ垂直な断面)形状が直線の平面からなる。前記反射面33は、前記入射面30から前記導光部材3中に入射した前記入射光L1の一部を、反射光L3として前記出射面31側に反射させる。
【0033】
前記反射面33は、図3図4図6図7に示すように、前記導光部材3の一端面から前記他端面32にかけて、導光方向に多数個連続して設けられている。前記反射面33は、前記導光部材3の前記入射面30側の一端部であって、前記インナーパネル7により覆い隠されている部分には、設けられていない。前記反射面33の幅は、この例では、約2mmである。
【0034】
前記反射面33と前記反射面33との間には、平面(もしくは曲面)の段差面35が設けられている。すなわち、前記反射面33は、前記段差面35を介して多数個連続して設けられている。1個の前記反射面33と1個の段差面35とで1個のプリズムを構成する。前記反射面33は、後側から前側にかけて、車両の外側Oから内側Iに傾斜している。
【0035】
図2図3に示すように、前記プリズムのうち少なくとも前記遮る部分39には、前記照射光L4を入射させる平面の入射面36が設けられている。前記平面の入射面36は、前記プリズムの前記反射面33と前記プリズムの前記段差面35との間に設けられている。
【0036】
図4に示すように、前記入射面30側の部分から前記遮る部分39までの前記プリズムの前記反射面33と前記プリズムの前記段差面35との間には、平面部37が設けられている。前記平面部37の幅W1、W2、W3、W4、W5、W6は、前記入射面30から離れるに従って大きくなる。なお、前記平面部37の幅が大きくなるに従って、前記反射面33および前記段差面35の幅および高さが小さくなる。
【0037】
前記遮る部分39の前記平面の出射面34と前記平面の入射面36との間の両側面は、図8(A)に示すように、平面の両側面38からなる。
【0038】
(第2ランプユニット12の説明)
前記第2ランプユニット12は、1個の光源としての半導体型光源8と、1個のレンズ部材9と、を備える。前記第2ランプユニット12は、2個のユニットが前記灯室内の車両の内側Iでかつ後側でかつ下側の箇所に配置されている。
【0039】
(半導体型光源8の説明)
前記半導体型光源8は、前記第1ランプユニット1の前記半導体型光源2とほぼ同様の半導体型光源を使用する。前記半導体型光源8は、図2図3に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源8は、発光部80と、基板81と、から構成されている。前記半導体型光源8は、前記ランプハウジングに直接もしくは他の部材(図示せず)を介して取り付けられている。
【0040】
(レンズ部材9の説明)
前記レンズ部材9は、図1に示すように、正面視の形状が前記半導体型光源8を中心もしくはほぼ中心とするほぼ円形状をなす。また、前記レンズ部材9は、図2図3に示すように、前記半導体型光源8を通る縦断面の形状および横断面の形状がほぼ杯形状をなす。
【0041】
前記レンズ部材9は、前記導光部材3とほぼ同様な透明樹脂材、この例では、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂)などの透明樹脂材からなる。前記レンズ部材9は、取付部材など(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。すなわち、前記半導体型光源8と前記レンズ部材9とは、相対取付位置が維持されている状態で前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0042】
前記レンズ部材9は、入射面90と、第1出射面91と、第2出射面92と、第3出射面93と、第4出射面94と、反射面95と、第1段差面96と、第2段差面97と、第3段差面98と、を有するものである。
【0043】
前記入射面90は、前記半導体型光源8の前記発光部80から放射される光を入射光として前記レンズ部材9中に入射させる面である。
【0044】
前記第1出射面91および前記第2出射面92および前記第3出射面93および前記第4出射面94は、前記入射光を平行光の前記照射光L4として外部に出射させる面である。前記第1出射面91は、正面視の形状が前記半導体型光源8を中心もしくはほぼ中心とするほぼ円形状をなす。前記第2出射面92および前記第3出射面93および前記第4出射面94は、正面視の形状が前記半導体型光源8を中心もしくはほぼ中心とするほぼ円環形状をなす。
【0045】
前記反射面95は、前記入射光の一部を前記第2出射面92および前記第3出射面93および前記第4出射面94側に平行な反射光として反射させる面である。
【0046】
前記第1段差面96は、前記第1出射面91と前記第2出射面92との間に設けられている傾斜面と前記照射光L4と平行な垂直面からなる。前記第2段差面97は、前記第2出射面92と前記第3出射面93との間に設けられている前記照射光L4と平行な垂直面からなる。前記第3段差面98は、前記第3出射面93と前記第4出射面94との間に設けられている前記照射光L4と平行な垂直面からなる。
【0047】
前記第1出射面91は、前記半導体型光源8からの比較的強い光の直射光を前記照射光L4として出射させる。前記第1出射面91の前方には、前記導光部材3の前記遮る部分39が遮るようにして配置されている。前記第2出射面92および前記第3出射面93および前記第4出射面94は、前記半導体型光源8からの比較的弱い光であって前記反射面95からの反射光を前記照射光L4として出射させる。
【0048】
(ロービーム用ヘッドランプ4およびハイビーム用ヘッドランプ5の説明)
前記ロービーム用ヘッドランプ4は、前記ランプレンズ6から車両の前方にロービーム配光パターンを照射するものである。前記ハイビーム用ヘッドランプ5は、前記ランプレンズ6から車両の前方にハイビーム配光パターンを照射するものである。
【0049】
(ランプレンズ6の説明)
前記ランプレンズ6の意匠面は、車両の前部の意匠面に沿って、車両の後側から前側に向かって、車両の上側から下側および車両の外側Oから内側Iに向かって傾斜している。
【0050】
(インナーパネル7の説明)
前記インナーパネル7は、前記ランプハウジングに直接もしくは他の部材(図示せず)を介して取り付けられている。前記インナーパネル7は、前記半導体型光源2および前記導光部材3の一部すなわち前記入射面30側の一端部を、前記ランプレンズ6から見て覆い隠すものである。
【0051】
前記インナーパネル7には、前記導光部材3の前記入射面30側の一端部が挿通する挿通孔70が設けられている。前記インナーパネル7のうち前記導光部材3および前記第2ランプユニット12が位置する箇所には、収納溝部71が設けられている。前記収納溝部71中には、前記導光部材3および前記第2ランプユニット12が収納されている。前記収納溝部71は、前記ランプレンズ6と対向する側の一方が開口し、三方が立壁により閉塞されたものである。前記収納溝部71の立壁を反射面とする。なお、前記反射面は、前記インナーパネル7の素材のままから形成されている。ここで、前記収納溝部71の立壁にアルミや銀などの金属塗装や金属蒸着を施すことにより、反射効率が高い反射面が得られるように構成しても良い。
【0052】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0053】
第1ランプユニット11の半導体型光源2の発光部20を点灯する。このとき、第2ランプユニット12の半導体型光源8の発光部80は、消灯状態にある。すると、発光部20から放射された光は、導光部材3の入射面30から導光部材3中に入射する。導光部材3中に入射した入射光L1は、導光部材3中を、一端の入射面30から他端面32側に、全反射を繰り返しながら導かれる。
【0054】
導光部材3中を一端から他端に導かれる入射光L1の一部は、反射面33で反射光L3として円弧面の出射面31および平面の出射面34(以下、出射面31、34と称する)の正面側に反射される。その反射光L3は、出射光L2として出射面31、34の正面からランプレンズ6を透過して外部すなわち車両の前方に出射される。これにより、導光部材3のライン状(図1の正面視ほぼ横一文字形状のライン状)の出射面31、34の正面が発光する。この出射光L2は、クリアランスランプ配光パターンとして車両の前方に出射される。クリアランスランプ配光パターンは、車両の外側O約80°、車両の内側I約40°車両の上下約15°の範囲を照明する。
【0055】
第2ランプユニット12の半導体型光源8の発光部80を点灯する。このとき、第1ランプユニット11の半導体型光源2の発光部20は、消灯状態にある。すると、発光部80から放射された光は、レンズ部材9の入射面90からレンズ部材9中に入射する。レンズ部材9中に入射した入射光の一部は、第1出射面91から平行光の照射光L4として外部すなわち車両の前方に出射される。
【0056】
レンズ部材9中に入射した入射光の一部は、反射面95で第2出射面92および第3出射面93および第4出射面94側に平行な反射光として反射する。平行な反射光は、第2出射面92および第3出射面93および第4出射面94から平行光の照射光L4として外部すなわち車両の前方に出射される。
【0057】
レンズ部材9の第1出射面91および第2出射面92および第3出射面93および第4出射面94から出射した平行光の照射光L4は、デイタイムランニングランプ配光パターンとして車両の前方やや上方に照射される。
【0058】
ここで、図2図3に示すように、照射光L4の一部は、第1ランプユニット11の導光部材3で遮られている。この照射光L4の一部は、遮る導光部材3の部分の平面の入射面36から導光部材3中に入射しかつ平面の出射面34から平行な照射光L4のまま出射して、デイタイムランニングランプ配光パターンを形成する。なお、照射光L4の一部であって、導光部材3の反射面33および段差面35から導光部材3中に入射した光は、拡散されて平面の出射面34から拡散光(図示せず)として出射される。
【0059】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0060】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、第1ランプユニット11の導光部材3の円弧面の出射面31のうち第2ランプユニット12からの照射光L4の一部を遮る部分39に平面の出射面34を設け、かつ、第1ランプユニット11の導光部材3の反射面33と段差面35とから構成されるプリズムのうち第2ランプユニット12からの照射光L4の一部を遮る部分39のプリズムとプリズムとの間に平面の入射面36を設ける。これにより、第1ランプユニット11の導光部材3が第2ランプユニット12からの照射光L4の一部を遮る位置に配置されていても、第2ランプユニット12からの照射光L4が導光部材3の反射面33側の平面の入射面36および出射面31側の平面の出射面34を透過するので、照射光L4の光損失を最小限に抑制することができる。
【0061】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、導光部材3の入射面30側の部分から第2ランプユニット12からの照射光L4の一部を遮る部分39までのプリズムの反射面33とプリズムの段差面35との間には、平面部37が設けられていて、その平面部37の幅W1〜W6が入射面30から離れるに従って大きくなる。このために、導光部材3の出射面31から出射する出射光L2の光量は、入射面30側の部分から照射光L4の一部を遮る部分39までの間において、徐々に少なくなるように調整されている。このために、明るい入射面30側の部分と暗い照射光L4の一部を遮る部分39との明暗差を徐々に変化させることができるので、発光状態の導光部材3の見栄えを低下させることがない。
【0062】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、インナーパネル7の収納溝部71の立壁を反射面とするものである。このために、収納溝部71中に収納されている導光部材3からの光(たとえば、漏れ光など)を反射面で反射させて、半導体型光源2からの光を有効に利用することができる。
【0063】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、第1ランプユニット11の導光部材3が第2ランプユニット12のレンズ部材9の第1出射面91の前方を遮るように配置されているものである。このために、第1出射面91から照射される比較的強い光の照射光L4は、導光部材3を透過するので、第2ランプユニット12の半導体型光源8の点光感を抑制することができ、見栄え上好ましい。
【0064】
(導光部材301、302の変形例の説明)
図8(B)は、第1変形例の導光部材301を示す。第1変形例の導光部材301は、遮る部分39の平面の出射面34と平面の入射面36との間の両側面が円弧面の両側面381からなる。
【0065】
図8(C)は、第2変形例の導光部材302を示す。第2変形例の導光部材302は、入射面側の部分の出射面が平面の出射面310からなり、かつ、入射面側の部分の平面の出射面310と反射面と段差面とから構成されているプリズムとの間の両側面が平面の両側面382からなる。
【0066】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、フロントコンビネーションランプのクリアランスランプやデイタイムランニングランプについて説明するものである。ところが、この発明においては、フロントコンビネーションランプのクリアランスランプやデイタイムランニングランプ以外の車両用灯具、たとえば、フロントコンビネーションランプのクリアランスランプ、リヤコンビネーションランプのターンシグナルランプやクリアランスランプやテールランプやストップランプなどにも適用することができる。
【0067】
また、前記の実施形態においては、導光部材3が断面円形の円柱形状をなすものである。ところが、この発明においては、導光部材が断面三角形、断面四角形、断面多角形などの柱形状であっても良い。
【0068】
さらに、前記の実施形態においては、導光部材3の直径が約6〜8mmであり、反射面33の幅が約2mmである。ところが、この発明においては、導光部材の直径の寸法および反射面の幅の寸法を特に限定しない。
【0069】
さらにまた、前記の実施形態においては、導光部材3が正面視ほぼ横一文字形状をなすものである。ところが、この発明においては、導光部材の形状を特に限定しない。たとえが、縦一文字形状、L字形状等であっても良い。
【0070】
さらにまた、前記の実施形態においては、ランプレンズ6が素通しのレンズから構成されているものである。ところが、この発明においては、ランプレンズに拡散系プリズムたとえば魚眼プリズムなどを設けても良い。
【0071】
さらにまた、前記の実施形態においては、導光部材3の一端面の入射面30側に半導体型光源2を配置するものである。ところが、この発明においては、導光部材3の他端面32側にも半導体型光源2を配置しても良い。
【0072】
さらにまた、前記の実施形態においては、第1ランプユニット11の導光部材3の出射面31の遮る部分39に平面の出射面34を設け、かつ、第1ランプユニット11の導光部材3の反射面33の遮る部分39に平面の入射面36を設けるものである。ところが、この発明においては、平面の出射面34もしくは平面の入射面36のうち少なくともいずれか一方を設けるものであっても良い。
【0073】
さらにまた、前記の実施形態においては、導光部材3の入射面30側の部分から遮る部分39までのプリズムの反射面33とプリズムの段差面35との間に、幅W1〜W6が入射面30から離れるに従って大きくなる平面部37を設けるものである。ところが、この発明においては、平面部37を設けなくても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用灯具
11 第1ランプユニット
12 第2ランプユニット
2 半導体型光源
20 発光部
21 基板
3 導光部材
30 入射面
31 出射面
310 平面の出射面
32 他端面
33 反射面
34 平面の出射面
35 段差面
36 平面の入射面
37 平面部
38 平面の両側面
381 円弧面の両側面
382 平面の両側面
39 遮る部分
4 ロービーム用ヘッドランプ
5 ハイビーム用ヘッドランプ
6 ランプレンズ
7 インナーパネル
70 挿通孔
71 収納溝部
8 半導体型光源
80 発光部
81 基板
9 レンズ部材
90 入射面
91 第1出射面
92 第2出射面
93 第3出射面
94 第4出射面
95 反射面
96 第1段差面
97 第2段差面
98 第3段差面
I 内側
O 外側
L1 入射光
L2 出射光
L3 反射光
L4 照射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8