特許第6361263号(P6361263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361263
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20180712BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20180712BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F25B1/00 391
   F25B1/00 396A
   F25B49/02 520M
   F25B13/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-89379(P2014-89379)
(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公開番号】特開2015-209979(P2015-209979A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】湯本 孔明
(72)【発明者】
【氏名】星加 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匡史
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−228281(JP,A)
【文献】 特開平09−138016(JP,A)
【文献】 特開2004−003717(JP,A)
【文献】 特開2004−085019(JP,A)
【文献】 特開2004−069295(JP,A)
【文献】 特開平10−009692(JP,A)
【文献】 特開2013−257072(JP,A)
【文献】 特開2002−061996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00 − 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷房運転および暖房運転が可能な空気調和装置(100)において、
圧縮機(11)と、熱源側熱交換器(13)と、レシーバ(18)と、利用側熱交換器(62、66)が順に接続された冷媒回路(3)と、
前記圧縮機から吐出される冷媒を前記利用側熱交換器に導く暖房運転状態と前記圧縮機から吐出される冷媒を前記熱源側熱交換器に導く冷房運転状態とを切り換える切換部(12)と、
前記利用側熱交換器と前記レシーバとの間に設けられた第1膨張弁(16)と、
前記熱源側熱交換器と前記レシーバとの間に設けられた第2膨張弁(15)と、
前記冷媒回路において冷媒の漏洩が生じたことを検知する漏洩検知手段(55)と、
前記レシーバの上方部分と、前記切換部と前記圧縮機の吸入側と、をバイパス接続するバイパス回路(17)と、
前記バイパス回路の途中に設けられたバイパス弁(17b)と、
前記漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に、
前記冷媒回路が冷房運転状態である場合には、前記第1膨張弁を閉じて前記バイパス弁を開けた状態で前記レシーバ内に液冷媒を溜める冷房冷媒回収運転を行い、
前記冷媒回路が暖房運転状態である場合には、前記第2膨張弁を閉じて前記バイパス弁を開けた状態で前記レシーバ内に液冷媒を溜める暖房冷媒回収運転を行う、
制御部(7)と、
を備えた空気調和装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記冷房冷媒回収運転では前記冷房運転時に行われていた前記第2膨張弁の制御を続けるかもしくは前記冷房運転時に行われていた前記第2膨張弁の制御と比べて前記第2膨張弁の開度がより開くことになるように制御を行い、前記暖房冷媒回収運転では前記暖房運転時に行われていた前記第1膨張弁の制御を続けるかもしくは前記暖房運転時に行われていた前記第1膨張弁の制御と比べて前記第1膨張弁の開度がより開くことになるように制御を行う、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記冷媒回路が冷房運転状態である場合には前記熱源側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が冷房時目標値となるように前記第2膨張弁の開度制御を行い、
前記冷媒回路が暖房運転状態である場合には前記利用側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が暖房時目標値となるように前記第1膨張弁の開度制御を行い、
前記漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に前記冷媒回路が冷房運転状態である場合には、前記熱源側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が前記冷房時目標値以下の値になるように前記第2膨張弁の開度制御を行い、
前記漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に前記冷媒回路が暖房運転状態である場合には、前記利用側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が前記暖房時目標値以下の値になるように前記第1膨張弁の開度制御を行う、
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷房冷媒回収運転もしくは前記暖房冷媒回収運転において、前記冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合に前記圧縮機を停止する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記冷房冷媒回収運転において前記冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合に前記バイパス弁を閉じた後に前記第2膨張弁を閉じるように制御し、前記暖房冷媒回収運転において前記冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合に前記バイパス弁を閉じた後に前記第1膨張弁を閉じるように制御する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記冷媒回路内を流れる冷媒は、R32である、
請求項1からのいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置において冷媒の漏洩が生じた場合には、冷媒回路外への冷媒の漏洩を抑えるために、冷媒を一箇所に集める回収運転が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2002−228281号公報)に記載の空気調和機では、室内機が設置されている部屋において冷媒の漏洩を検知した場合に、冷媒回路における四路切換弁の接続状態を冷房運転状態としつつ、レシーバの下流に設けられた開閉弁を閉じることで、レシーバ内に液冷媒を溜めて、冷媒を回収することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような特許文献1に示された空気調和機では、冷房運転状態においてレシーバに液冷媒を回収している。このため、暖房運転中に冷媒の漏洩が検知されると、冷媒回路を冷房運転状態に切り換えて、冷媒を回収する必要がある。
【0005】
このように、暖房運転状態から冷房運転状態に切り換えるためには、冷媒回路における均圧作業を行う必要がある。このため、均圧を終えるまでに時間を要してしまうだけでなく、均圧作業によって冷媒回路内の液冷媒の分布が広がってしまうため液冷媒の回収を終えるまでに時間を要することになってしまう
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、冷媒漏洩が冷房運転時に生じても暖房運転時に生じても、迅速にレシーバに冷媒を回収することが可能な空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る空気調和装置は、冷房運転および暖房運転が可能な空気調和装置において、冷媒回路と、切換部と、第1膨張弁と、第2膨張弁と、漏洩検知手段と、制御部と、バイパス回路と、バイパス弁と、を備えている。冷媒回路は、圧縮機と、熱源側熱交換器と、レシーバと、利用側熱交換器が順に接続されて構成されている。切換部は、圧縮機から吐出される冷媒を利用側熱交換器に導く暖房運転状態と、圧縮機から吐出される冷媒を熱源側熱交換器に導く冷房運転状態と、を切り換える。第1膨張弁は、利用側熱交換器とレシーバとの間に設けられている。第2膨張弁は、熱源側熱交換器とレシーバとの間に設けられている。漏洩検知手段は、冷媒回路において冷媒の漏洩が生じたことを検知する。バイパス回路は、レシーバの上方部分と、切換部と圧縮機の吸入側と、をバイパス接続する。バイパス弁は、バイパス回路の途中に設けられている。制御部は、漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に、冷媒回路が冷房運転状態である場合には、第1膨張弁を閉じてバイパス弁を開けた状態でレシーバ内に液冷媒を溜める冷房冷媒回収運転を行う。制御部は、漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に、冷媒回路が暖房運転状態である場合には、第2膨張弁を閉じてバイパス弁を開けた状態でレシーバ内に液冷媒を溜める暖房冷媒回収運転を行う。
【0007】
この空気調和装置では、冷媒漏洩が冷房運転時に生じても暖房運転時に生じても、運転状態を切り換えることなく、迅速にレシーバに冷媒を回収することが可能になる。
【0008】
また、この空気調和装置では、バイパス回路を介してレシーバ内のガス冷媒を圧縮機の吸入側に引き込むことで、レシーバにさらに液冷媒を送り込みやすくなり、液冷媒をより多く溜めやすくなる。
【0009】
第2観点に係る空気調和装置は、第1観点に係る空気調和装置において、制御部は、冷房冷媒回収運転では、冷房運転時に行われていた第2膨張弁の制御を続けるかもしくは冷房運転時に行われていた第2膨張弁の制御と比べて第2膨張弁の開度がより開くことになるように制御を行う。制御部は、暖房冷媒回収運転では、暖房運転時に行われていた第1膨張弁の制御を続けるかもしくは暖房運転時に行われていた第1膨張弁の制御と比べて第1膨張弁の開度がより開くことになるように制御を行う。
【0010】
この空気調和装置では、レシーバの上流側で凝縮された冷媒をできるだけ液冷媒の状態のままでレシーバに導くことで、多くの冷媒をレシーバ内に溜めることが可能になる。
【0011】
第3観点に係る空気調和装置は、第1観点または第2観点に係る空気調和装置において、制御部は、冷媒回路が冷房運転状態である場合には熱源側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が冷房時目標値となるように第2膨張弁の開度制御を行う。制御部は、冷媒回路が暖房運転状態である場合には利用側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が暖房時目標値となるように第1膨張弁の開度制御を行う。制御部は、漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に冷媒回路が冷房運転状態である場合には、熱源側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が冷房時目標値以下の値になるように第2膨張弁の開度制御を行う。制御部は、漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した際に冷媒回路が暖房運転状態である場合には、利用側熱交換器の出口を流れる冷媒の過冷却度が暖房時目標値以下の値になるように第1膨張弁の開度制御を行う。
【0012】
この空気調和装置では、冷媒漏洩が生じていた場合に、レシーバのより上流側に位置している膨張弁(冷房運転時であれば第2膨張弁であり、暖房運転時であれば第1膨張弁)の弁開度が開き気味になるように制御されるため、上流側に位置している膨張弁よりもさらに上流側に存在する液冷媒の量を減らして、より多くの液冷媒をレシーバ内に導いて溜めることが可能になる。
【0013】
第4観点に係る空気調和装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る空気調和装置において、制御部は、冷房冷媒回収運転もしくは暖房冷媒回収運転において、冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合に圧縮機を停止する。
【0014】
この空気調和装置では、冷媒の漏洩が生じにくい状態にして冷媒回収運転を終了させることが可能になる。
【0015】
観点に係る空気調和装置は、第観点に係る空気調和装置において、制御部は、冷房冷媒回収運転において冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合にバイパス弁を閉じた後に第2膨張弁を閉じるように制御し、暖房冷媒回収運転において冷媒回路における低圧部分を流れる冷媒の状態が所定条件を満たした場合にバイパス弁を閉じた後に第1膨張弁を閉じるように制御する。
【0016】
この空気調和装置では、バイパス回路のバイパス弁を先に閉じることで、レシーバに溜まった液冷媒が圧縮機側に引き込まれることを抑制して、できるだけレシーバ内に多くの液冷媒が溜まっている状態で回収運転を終了することが可能になる。
【0017】
観点に係る空気調和装置は、第1観点から第観点のいずれかに係る空気調和装置において、冷媒回路内を流れる冷媒は、R32である。
【0018】
この空気調和装置では、R32冷媒が漏洩した場合であっても、燃焼を生じさせにくくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
第1観点に係る空気調和装置では、冷媒漏洩が冷房運転時に生じても暖房運転時に生じても、運転状態を切り換えることなく、迅速にレシーバに液冷媒を送り込みやすくなり、レシーバに液冷媒をより多く溜めやすくして冷媒を回収することが可能になる。
【0020】
第2観点に係る空気調和装置では、多くの冷媒をレシーバ内に溜めることが可能になる。
【0021】
第3観点に係る空気調和装置では、上流側に位置している膨張弁よりもさらに上流側に存在する液冷媒の量を減らして、より多くの液冷媒をレシーバ内に導いて溜めることが可能になる。
【0022】
第4観点に係る空気調和装置では、冷媒の漏洩が生じにくい状態にして冷媒回収運転を終了させることが可能になる。
【0023】
観点に係る空気調和装置では、できるだけレシーバ内に多くの液冷媒が溜まっている状態で回収運転を終了することが可能になる。
【0024】
観点に係る空気調和装置では、R32冷媒が漏洩した場合であっても、燃焼を生じさせにくくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】冷凍装置の冷媒回路図である。
図2】冷凍装置のブロック構成図である。
図3】冷媒漏洩時の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の空気調和装置が採用された一実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
(1)全体概略構成
図1に、空気調和装置100の冷媒回路図を示す。
【0028】
本実施形態の空気調和装置100は、室外ユニット10と、第1室内ユニット61および第2室内ユニット65を有する室内ユニット60と、を備えている。
【0029】
これらの室外ユニット10と室内ユニット60とは、冷媒配管を介して互いに接続されることで、冷媒回路3を構成している。
【0030】
(2)室内ユニット60
室内ユニット60は、本実施形態では、互いに並列に接続された第1室内ユニット61と第2室内ユニット65とを有している。
【0031】
第1室内ユニット61は、第1室内熱交換器62と、第1室内ファン63と、第1室内ファンモータ63aと、第1ガス側温度センサ71と、第1液側温度センサ72と、を有している。
【0032】
第1室内熱交換器62は、冷媒回路3の一部を構成しており、ガス側連絡配管6にガス側の端部が接続されている。第1室内熱交換器62の液側には、液側連絡配管5が接続されている。第1室内ファン63は、第1室内ファンモータ63aが駆動することにより、第1室内熱交換器62に対して空気流れを供給する。第1ガス側温度センサ71は、第1室内熱交換器62のガス側端部を通過する冷媒の温度を検知することができる。第1液側温度センサ72は、第1室内熱交換器62の液側端部を通過する冷媒の温度を検知することができる。
【0033】
第2室内ユニット65は、第1室内ユニット61と同様であり、第2室内熱交換器66と、第2室内ファン67と、第2室内ファンモータ67aと、第2ガス側温度センサ73と、第2液側温度センサ74と、を有している。
【0034】
第2室内熱交換器66は、冷媒回路3の一部を構成しており、ガス側連絡配管6に対して、第1室内熱交換器62側とは別に、ガス側の端部が接続されている。第2室内熱交換器66の液側の端部には、第1室内熱交換器62とは別に、液側連絡配管5が接続されている。第2室内ファン67は、第2室内ファンモータ67aが駆動することにより、第2室内熱交換器66に対して空気流れを供給する。第2ガス側温度センサ73は、第2室内熱交換器66のガス側端部を通過する冷媒の温度を検知することができる。第2液側温度センサ74は、第2室内熱交換器66の液側端部を通過する冷媒の温度を検知することができる。
【0035】
(3)室外ユニット10
室外ユニット10は、圧縮機11、逆止弁11a、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外ファンモータ14a、第1室外膨張弁16、第2室外膨張弁15、レシーバ18、インジェクション部17、アキュームレータ19、吐出温度センサ51a、吐出圧力センサ51b、吸入温度センサ52a、吸入圧力センサ52b、室外熱交温度センサ53、外気温度センサ54、漏洩検知センサ55を有している。
【0036】
圧縮機11は、周波数制御が可能な圧縮機であり、運転容量が可変である。逆止弁11aは、圧縮機11の吐出側であって、四路切換弁12との間に設けられており、圧縮機11から四路切換弁12に向かう冷媒流れのみを許容する。四路切換弁12は、4つの接続ポートを有しており、そのうちの2つずつを互いに接続する。この四路切換弁12は、この接続状態を切り換えることで、圧縮機11から吐出された冷媒を室外熱交換器13側に導く冷房運転状態と、圧縮機11から吐出された冷媒を室内ユニット60の室内熱交換器62や第2室内熱交換器66に導く暖房運転状態と、を切り換えることができる。室外熱交換器13は、冷媒の放熱器もしくは蒸発器として機能することが可能な熱交換器であって、例えば、複数の伝熱フィンと伝熱管によって構成されている。室外ファン14は、室外ファンモータ14aが駆動することによって回転し、室外熱交換器13に向かう空気流れを生じさせる。第1室外膨張弁16は、レシーバ18よりも室内ユニット60の液側に設けられており、通過する冷媒の減圧程度を調節することができる。第2室外膨張弁15は、室外熱交換器13の液側とレシーバ18の間に設けられており、通過する冷媒の減圧程度を調節することができる。室外レシーバ18は、第1室外膨張弁16と第2室外膨張弁15の間に設けられた冷媒容器であり、冷媒回路3における余剰冷媒を調節することができる。インジェクション部17は、インジェクション回路17aと、インジェクション開閉弁17bと、キャピラリーチューブ17cと、を有している。インジェクション回路17aは、レシーバ18のガス領域部分(上方部分)から延び出して、四路切換弁12と圧縮機11の吸入側との間(本実施形態では四路切換弁12とアキュームレータ19の間)に接続されている。インジェクション開閉弁17bは、インジェクション回路17aの途中に設けられており、冷媒の通過を許容する状態と許容しない状態とを切り換えることができる。キャピラリーチューブ17cは、インジェクション開閉弁17bと、四路切換弁12と圧縮機11の吸入側(アキュームレータ19)の間の接続部分と、の間に設けられており、通過する冷媒の圧力を減圧させる。
【0037】
吐出温度センサ51aは、圧縮機11の吐出側と四路切換弁12の間を流れる冷媒の温度を検知する。吐出圧力センサ51bは、圧縮機11の吐出側と四路切換弁12の間を流れる冷媒の圧力を検知する。吸入温度センサ52aは、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の間(本実施形態では圧縮機11の吸入側とアキュームレータ19との間)を流れる冷媒の温度を検知する。吸入圧力センサ52bは、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の間(本実施形態では圧縮機11の吸入側とアキュームレータ19との間)を流れる冷媒の圧力を検知する。室外熱交温度センサ53は、室外熱交換器13を流れる冷媒の温度を検知する。外気温度センサ54は、室外熱交換器13を通過する前の空気の温度を外気温度として検知する。
【0038】
漏洩検知センサ55は、室外ユニット10内に設けられており、作動冷媒としてのR32が漏洩したことを検知する。
【0039】
圧縮機11、四路切換弁12、室外ファンモータ14a、第1室外膨張弁16、第2室外膨張弁15、インジェクション開閉弁17bは、後述する制御部7に接続され、制御される。吐出温度センサ51a、吐出圧力センサ51b、吸入温度センサ52a、吸入圧力センサ52b、室外熱交温度センサ53、外気温度センサ54、漏洩検知センサ55は、後述する制御部7に接続され、制御部7は各検知値を把握し、室外ユニット10において漏洩が生じたことを把握する。
【0040】
(4)液側連絡配管5およびガス側連絡配管6
室外ユニット10は、液側連絡配管5およびガス側連絡配管6を介して室内ユニット60に対して並列に接続されている。
【0041】
具体的には、第1室内ユニット61の第1室内熱交換器62から伸びる配管、および、第2室内ユニット65の第2室内熱交換器66から伸びる配管は、液側連絡配管5の室内ユニット60側の端部に接続されている。
【0042】
室外ユニット10の第1室外膨張弁16から室内ユニット60側に伸びる配管は、液側連絡配管5の室内ユニット60側とは反対側の端部に接続されている。
【0043】
第1室内ユニット61の第1室内熱交換器62から伸びる配管、および、第2室内ユニット65の第2室内熱交換器66から伸びる配管は、ガス側連絡配管6の室内ユニット60側の端部と接続されている。
【0044】
室外ユニット10の四路切換弁12から室内ユニット60のガス側に伸びる配管は、ガス側連絡配管6の室内ユニット60側とは反対側の端部に接続されている。
【0045】
(5)冷房運転状態
通常運転としての冷房運転が行われている状態では、制御部7は、四路切換弁12の接続状態を、圧縮機11から吐出された冷媒を室外熱交換器13側に導き、室内ユニット60のガス側から流れてくる冷媒を圧縮機11の吸入側に導く接続状態として冷凍サイクルを行う。
【0046】
ここでは、室外熱交換器13が冷媒の放熱器として機能し、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66が冷媒の蒸発器として機能する。
【0047】
冷房運転状態では、制御部7は、第2室外膨張弁15を全開状態とし、インジェクション開閉弁17bを閉じた状態とする。
【0048】
圧縮機11の駆動周波数は、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66における蒸発温度が目標蒸発温度となるように制御部7によって制御される。
【0049】
室外ファンモータ14aは、圧縮機11の駆動周波数に基づいて定まる風量を室外熱交換器13に供給できるように制御部7によって制御される。
【0050】
第1室外膨張弁16の弁開度は、圧縮機11の吐出冷媒温度(吐出温度センサ51aにより検知される温度)に基づいて制御部7によって制御され、室内ユニット60側に送られる冷媒の量が調節される。具体的には、室内ユニット60のガス側を流れる冷媒の乾き度を目標乾き度にすることができるように、当該目標乾き度に対応するものとして予測される圧縮機11の吐出冷媒温度が実現されるように、第1室外膨張弁16の弁開度が制御される。
【0051】
第1室内ファンモータ63aおよび第2室内ファンモータ67aは、第1室内ユニット61および第2室内ユニット65の各設定温度に基づいて制御部7が出力制御を行う。
【0052】
(6)暖房運転状態
通常運転としての暖房運転が行われている状態では、制御部7は、四路切換弁12の接続状態を、圧縮機11から吐出された冷媒を室内ユニット60のガス側に導き、室外熱交換器13のガス側から流れてくる冷媒を圧縮機11の吸入側に導く接続状態として冷凍サイクルを行う。
【0053】
ここでは、室外熱交換器13が冷媒の蒸発器として機能し、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66が冷媒の放熱器として機能する。
【0054】
暖房運転状態では、制御部7は、第1室外膨張弁16を全開状態とし、インジェクション開閉弁17bを閉じた状態とする。
【0055】
圧縮機11の駆動周波数は、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66における凝縮温度が目標凝縮温度となるように制御部7によって制御される。
【0056】
室外ファンモータ14aは、圧縮機11の駆動周波数に応じた風量を室外熱交換器13に供給できるように制御部7によって制御される。
【0057】
第2室外膨張弁15の各弁開度は、圧縮機11の吐出冷媒温度(吐出温度センサ51aにより検知される温度)に基づいて制御部7によって制御され、室外熱交換器13に送られる冷媒の量が調節される。具体的には、室外熱交換器13のガス側を流れる冷媒の乾き度を目標乾き度にすることができるように、当該目標乾き度に対応するものとして予測される圧縮機11の吐出冷媒温度が実現されるように、第2室外膨張弁15の弁開度が制御される。
【0058】
第1室内ファンモータ63aおよび第2室内ファンモータ67aは、第1室内ユニット61および第2室内ユニット65の各設定温度に基づいて制御部7が出力制御を行う。
【0059】
(7)冷媒漏洩時の処理フローチャート
図3に、冷媒漏洩時の処理フローチャートを示す。
【0060】
本実施形態の空気調和装置100では、室外ユニット10において冷媒が漏洩し、以下に述べる冷媒回収運転を行う場合を例に挙げて説明する。
【0061】
まず、制御部7は、ステップS11において、漏洩検知センサ55において、冷媒の漏洩を検知したか否かを判断する。ここで、冷媒の漏洩を検知した場合には、ステップS12に移行する。
【0062】
ステップ12では、制御部7は、図示しないコントローラの液晶ディスプレイ等の表示部に対して、冷媒が漏洩している旨を表示出力させ、ステップS13に移行する。
【0063】
ステップS13では、制御部7は、四路切換弁12の接続状態が冷房運転状態であるか暖房運転状態であるかを判断する。ここで、冷房運転状態であればステップS14に移行し、暖房運転状態であればステップS17に移行する。
【0064】
ステップS14では、制御部7は、四路切換弁12の接続状態を冷房運転状態に維持したままで、レシーバ18の下流側に位置している第1室外膨張弁16を全閉状態とし、インジェクション開閉弁17b開けて、第2室外膨張弁15は全開状態を維持したままで、圧縮機11を駆動させ、ステップS15に移行する。ここで、第1室内ファンモータ63aおよび第2室内ファンモータ67aについては、第1室内熱交換器62や第2室内熱交換器66に存在していた冷媒を蒸発させるために、冷房運転時の動作を継続させる。なお、特に限定されないが、凝縮速度を上げる観点から、室外ファンモータ14aの出力を最大に制御することが好ましい。
【0065】
これにより、室外熱交換器13において凝縮して液化した冷媒は、第1室外膨張弁16が閉じられているため室内ユニット60側に流れていくことができず、レシーバ18内に集められる。さらに、インジェクション開閉弁17bが開けられていることで、レシーバ18内のガス冷媒が圧縮機11の吸入側に引き抜かれていくため、室外熱交換器13を通過した冷媒をレシーバ18に流し込みやすくなっている。
【0066】
ステップS15では、制御部7は、圧縮機11の吸入圧力(吸入圧力センサ52bの検知圧力)が所定の圧力以下になっているか否かを判断する。ここで、所定の圧力以下になっている場合には、冷媒の回収が終了したとしてステップS16に移行する。所定の圧力以下になっていない場合には、ステップS15を継続させる。
【0067】
ステップS16では、制御部7は、インジェクション開閉弁17bを閉じた後に第2室外膨張弁15を閉じて、その後に圧縮機11を停止させる。
【0068】
ステップS17では、制御部7は、四路切換弁12の接続状態を暖房運転状態に維持したままで、レシーバ18の下流側に位置している第2室外膨張弁15を全閉状態とし、インジェクション開閉弁17b開けて、第1室外膨張弁16は全開状態を維持したままで、圧縮機11を駆動させ、ステップS18に移行する。ここで、室外ファンモータ14aについては、室外熱交換器13に存在していた冷媒を蒸発させるために、暖房運転時の動作を継続させる。なお、特に限定されないが、凝縮速度を上げる観点から、第1室内ファンモータ63aおよび第2室内ファンモータ67aの出力を最大に制御することが好ましい。
【0069】
これにより、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66において凝縮して液化した冷媒は、液側連絡配管5を通過した後、第2室外膨張弁15が閉じられているため室外熱交換器13側に流れていくことができず、レシーバ18内に集められる。さらに、インジェクション開閉弁17bが開けられていることで、レシーバ18内のガス冷媒が圧縮機11の吸入側に引き抜かれていくため、第1室内熱交換器62や第2室内熱交換器66を通過した冷媒をレシーバ18に流し込みやすくなっている。
【0070】
ステップS18では、制御部7は、圧縮機11の吸入圧力(吸入圧力センサ52bの検知圧力)が所定の圧力以下になっているか否かを判断する。ここで、所定の圧力以下になっている場合には、冷媒の回収が終了したとしてステップS19に移行する。所定の圧力以下になっていない場合には、ステップS17を継続させる。
【0071】
ステップS19では、制御部7は、インジェクション開閉弁17bを閉じた後に第1室外膨張弁16を閉じて、その後に圧縮機11を停止させる。
【0072】
(8)特徴
本実施形態に係る空気調和装置100では、冷媒漏洩が冷房運転時に生じても四路切換弁12の接続状態を変更させること無く冷房運転状態を維持させたままで冷媒回収運転を行うことができ、冷媒漏洩が暖房運転時に生じても同様に四路切換弁12の接続状態を変更させること無く運転状態を維持させたままで冷媒回収運転を行うことができる。
【0073】
このため、冷媒の漏洩が検知された時に、四路切換弁12の接続状態を切り換えるような処理を行うことなく、迅速に冷媒回収運転を行うことが可能になっている。
【0074】
特に、四路切換弁12の接続状態を切り換えるために冷媒回路3における均圧処理が必要な場合には、当該均圧処理を行った後で四路切換弁12の接続状態を切り換えて、その後にようやく冷媒回収運転を開始することが可能になるが、本実施形態の空気調和装置100では、このような均圧処理の時間を待つこと無く冷媒回収運転を開始することができる。したがって、このような時間の間に冷媒の漏洩が進行してしまうことを抑制することができている。
【0075】
また、本実施形態の空気調和装置100では、冷媒をガス状態よりも密度が高い液状態にしてレシーバ18に回収することができており、レシーバ18には冷凍サイクルにおける高圧側の圧力が作用した状態になっている。このため、レシーバ18において、できるだけ多くの冷媒を蓄えさせることが可能になっている。
【0076】
さらに、本実施形態の空気調和装置100では、圧縮機11の吸入圧力の低下を把握することで回収を終えたと判断した後に、インジェクション開閉弁17bおよび閉じられていなかった室外膨張弁(冷房運転時では第2室外膨張弁15、暖房運転時では第1室外膨張弁16)を閉じている。これにより、レシーバ18の室内ユニット60側は第1室外膨張弁16が閉じられることで、レシーバ18の室外熱交換器13側は第2室外膨張弁15が閉じられることで、レシーバ18のインジェクション回路17a側はインジェクション開閉弁17bが閉じられることで、回収した冷媒を完全に封止させることが可能になっている。これにより、冷媒回収運転が終了して圧縮機11が停止した後であっても、冷媒が漏れ出すことを抑制できている。
【0077】
しかも、本実施形態の空気調和装置100では、圧縮機11の吸入圧力の低下を把握することで回収を終えたと判断した後に、インジェクション開閉弁17bを先に閉じた後に、閉じられていなかった室外膨張弁(冷房運転時では第2室外膨張弁15、暖房運転時では第1室外膨張弁16)を閉じている。これにより、レシーバ18に溜まった液冷媒が圧縮機11側に引き込まれることを抑制して、できるだけレシーバ18内に多くの液冷媒が溜まっている状態を維持したままでレシーバ18を封止することが可能になっている。
【0078】
(9)他の実施形態
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
【0079】
(9−1)他の実施形態A
上記実施形態では、通常運転である冷房運転時や暖房運転時には、レシーバ18の上流側に位置している室外膨張弁の弁開度を全開とする場合を例に挙げて説明した。
【0080】
これに対して、例えば、通常運転である冷房運転時や暖房運転時において、レシーバ18の上流側に位置している室外膨張弁について、制御部7が開度制御するようにしてもよい。
【0081】
例えば、冷房運転時におけるレシーバ18の上流側に位置する第2室外膨張弁15の弁開度について、ある程度開いた状態を確保するために、室外熱交換器13の出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の冷房時目標値以下になるように制御部7が制御してもよい。この場合には、室外熱交換器13と第2室外膨張弁15との間に温度センサを設け、当該温度センサの検知温度および冷媒回路3の高圧圧力(例えば、吐出圧力センサ51bにより把握される圧力)に基づいて過冷却度を把握するようにしてもよい。
【0082】
また、暖房運転時におけるレシーバ18の上流側に位置する第1室外膨張弁16の弁開度について、ある程度開いた状態を確保するために、第1室内熱交換器62および第2室内熱交換器66を通過した冷媒の過冷却度が所定の暖房時目標値以下になるように制御部7が制御してもよい。この場合には、第1液側温度センサ72や第2液側温度センサ74の検知温度および冷媒回路3の高圧圧力(例えば、吐出圧力センサ51bにより把握される圧力)に基づいて過冷却度を把握するようにしてもよい。
【0083】
(9−2)他の実施形態B
上記実施形態の冷媒回収運転では、レシーバ18の下流側の室外膨張弁を閉じて、レシーバ18の上流側の室外膨張弁は開度状態を維持させる場合を例に挙げて説明した。
【0084】
これに対して、例えば上記他の実施形態Aにおいて述べたように、通常運転時においてレシーバ18の上流側の室外膨張弁が開度制御されている場合には、通常運転時ではなく冷媒回収運転時には、通常運転時に制御されていたレシーバ18の上流側の室外膨張弁の制御弁開度よりも以上の弁開度もしくはさらに大きな弁開度となるように制御部7によって制御されてもよい。
【0085】
この場合には、冷媒回収運転において、レシーバ18の上流側における室外膨張弁で冷媒が減圧されることを防ぎ、凝縮された液状態の冷媒をできるだけ液冷媒の状態のままで(上流側の室外膨張弁において減圧されることで気液二相状態にしてしまうことなく)レシーバ18に導くことが可能になる。これにより、通常運転時にレシーバ18の上流側の室外膨張弁の弁開度を制御する場合であっても、より効率的に冷媒を回収することが可能になる。
【0086】
(9−3)他の実施形態C
上記実施形態の冷媒回収運転では、レシーバ18の下流側の室外膨張弁を閉じて、レシーバ18の上流側の室外膨張弁は開度状態を維持させる場合を例に挙げて説明した。
【0087】
これに対して、例えば上記他の実施形態Aにおいて述べたように、通常運転時において、放熱器の出口を流れる冷媒の過冷却度が目標値以上(冷房時目標値以上もしくは暖房時目標値以上)となるように制御されている場合には、通常運転ではなくて冷媒回収運転が行われる際には、当該過冷却度が通常運転時の目標値以下になるように、もしくは、当該過冷却度が通常運転時の目標値よりも小さくなるように、レシーバ18の上流側の室外膨張弁の開度制御を行ってもよい。
【0088】
具体的には、通常運転時である冷房運転時には、室外熱交換器13から第2室外膨張弁15に向けて流れる冷媒の過冷却度が冷房時目標値以上になるように第2室外膨張弁15の弁開度が制御されている場合に、冷媒回収運転時には、室外熱交換器13から第2室外膨張弁15に向けて流れる冷媒の過冷却度が冷房時目標値以下もしくは冷房時目標値よりも小さい値になるように第2室外膨張弁15の弁開度を制御してもよい。
【0089】
また、通常運転時である暖房運転時には、第1室内熱交換器62や第2室内熱交換器66から第1室外膨張弁16に向けて流れる冷媒の過冷却度が暖房時目標値以上になるように第1室外膨張弁16の弁開度が制御されている場合に、冷媒回収運転時には、第1室内熱交換器62や第2室内熱交換器66から第1室外膨張弁16に向けて流れる冷媒の過冷却度が暖房時目標値以下もしくは暖房時目標値よりも小さい値になるように第1室外膨張弁16の弁開度を制御してもよい。
【0090】
このように、レシーバ18の上流側の室外膨張弁の弁開度を制御されると、冷媒回収運転時には、レシーバ18のより上流側の室外膨張弁の弁開度は開き気味に調節されることになる。これにより、レシーバ18の上流側の室外膨張弁よりもさらに上流側に存在する液冷媒について、レシーバ18の上流側の室外膨張弁を通過させやすくして、室外膨張弁よりもさらに上流側に存在する液冷媒の量を減らすことができる。したがって、より多くの液冷媒をレシーバ18内に導くことが可能になる。
【0091】
(9−4)他の実施形態D
上記実施形態では、冷媒回路3から冷媒が漏洩していることを漏洩検知センサ55によって把握する場合を例に挙げて説明した。
【0092】
これに対して、例えば、漏洩検知センサを用いるのではなく、冷媒回路3において通常の冷房運転や暖房運転が行われている際に、圧縮機11の吸入圧力が所定値よりも低い値になっていることや吐出圧力を所定値よりも高くなっていない等の冷媒の状態量の変化によって冷媒の漏洩が生じていることを推測するようにしてもよい。
【0093】
(9−5)他の実施形態E
上記実施形態では、冷媒種がR32かR410Aである場合を例に挙げて説明した。
【0094】
これに対して、例えば、R1234yf、R717(アンモニア)、R290(プロパン)、およびこれらの混合物またはこれらのR32との混合物としての冷媒が漏洩した場合にも、上記R32冷媒が漏洩した場合と同様に取り扱うようにしてもよい。
【0095】
(9−6)他の実施形態F
上記実施形態では、室外ユニット10において漏洩検知センサ55が設けられ、室外ユニット10における冷媒の漏洩を検知する場合を例に挙げて説明した。
【0096】
これに対して、例えば、漏洩検知センサは、室内ユニット60側に設けられていてもよい。また、漏洩検知センサは、室外ユニット10と室内ユニット60の両方に設けられていてもよい。
【0097】
特に、室内ユニット60に漏洩検知センサが設けられており、室内での冷媒の漏洩を検知した場合には、室内における冷媒の濃度を発火点以下にするために第1室内ファンモータ63aおよび第2室内ファンモータ67aの駆動を続けるように制御されてもよい。
【0098】
(9−7)他の実施形態G
上記実施形態では、圧縮機11の吸入圧力が所定値以下まで低下したことにより冷媒の回収が終了していると判断する場合を例に挙げて説明した。
【0099】
これに対して、例えば、圧縮機11の吸入温度が所定温度以下に低下したこと(吸入温度センサ5aの検知温度が所定温度以下になったこと)、もしくは、圧縮機11の吸入温度が周囲の外気温度に近づいたこと(例えば、吸入温度センサ5aの検知温度と外気温度センサ54の検知温度の差が所定値以下になったこと)により、冷媒の回収が終了していると判断するようにしてもよい。
【0100】
(9−8)他の実施形態H
上記実施形態では、インジェクション回路17を有する冷媒回路3を例に挙げて説明した。
【0101】
これに対して、例えば、冷媒回路は、インジェクション回路を有していなくてもよい。この場合であっても、冷房運転状態を継続させたままで冷媒回収運転を行うこと、および、暖房運転状態を継続させたままで冷媒回収運転を行うことは可能である。
【0102】
(9−9)他の実施形態I
上記実施形態では、インジェクション回路17においてキャピラリーチューブ17cおよび開閉制御されるインジェクション開閉弁17bが直列に設けられている場合を例に挙げて説明した。
【0103】
これに対して、例えば、インジェクション回路では、キャピラリーチューブ17cおよび開閉制御されるインジェクション開閉弁17bの代わりに、開度制御が可能なインジェクション膨張弁が設けられていてもよい。この場合には、インジェクション膨張弁を通過する冷媒の圧力を減圧できるだけでなく、通過する冷媒量を弁開度に応じて調節することも可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、同じ運転状態を継続させたままで冷媒回収運転を行うことができるため、冷房運転と暖房運転を切り換えて行うことが可能な空気調和装置において特に有用である。
【符号の説明】
【0105】
3 冷媒回路
7 制御部
11 圧縮機
13 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
15 第2室外膨張弁(第2膨張弁)
16 第1室外膨張弁(第1膨張弁)
17 インジェクション
17a インジェクション回路(バイパス回路)
17b インジェクション開閉弁(バイパス弁)
18 レシーバ
55 漏洩検知センサ(漏洩検知手段)
62 第1室内熱交換器(利用側熱交換器)
66 第2室内熱交換器(利用側熱交換器)
100 空気調和装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2002−228281号公報
図1
図2
図3