特許第6361280号(P6361280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6361280シース型測温抵抗体、これに用いるホルダーブロック、並びにシース型測温抵抗体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361280
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】シース型測温抵抗体、これに用いるホルダーブロック、並びにシース型測温抵抗体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20180712BHJP
   G01K 1/08 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   G01K7/18 A
   G01K1/08 R
【請求項の数】25
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-102684(P2014-102684)
(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公開番号】特開2015-219102(P2015-219102A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007744
【氏名又は名称】山里産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸三
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−123641(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3157595(JP,U)
【文献】 特開昭58−047230(JP,A)
【文献】 特公昭58−006893(JP,B2)
【文献】 実公昭61−011622(JP,Y2)
【文献】 英国特許出願公告第01503872(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/08,7/18
H05B 3/48
H01C 1/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースケーブルの芯線と測温抵抗素子のリード線とを結線することで、前記シースケーブルの先端部に前記測温抵抗素子を設けてなるシース型測温抵抗体において、
前記シースケーブルの先端から所定長さに剥き出された前記芯線の端部に、基端方向に突出している前記測温抵抗素子の前記リード線の端部を結線し、
前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部を備え、且つ前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記リード線と前記芯線との結線部に渡る長さを有する絶縁材よりなるホルダーブロックを、当該測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装し、
前記ホルダーブロックを覆う金属製の筒体を該ホルダーブロックに外装するとともに、該筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合し、
前記筒体の先端側の開口部を封止してなることを特徴とするシース型測温抵抗体。
【請求項2】
前記シースケーブルの前記先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設け、前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装されるホルダーブロック基端側部分を前記空隙部に挿着してなる請求項1記載のシース型測温抵抗体。
【請求項3】
前記筒体の内周面が、前記ホルダーブロックの外周面にほぼ密着する形状である請求項1又は2記載のシース型測温抵抗体。
【請求項4】
前記凹溝部に対し、前記測温抵抗素子を少なくとも軸方向に移動不能に係合又は接着してなる請求項1〜3の何れか1項に記載のシース型測温抵抗体。
【請求項5】
前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、当該凹溝部に対して前記測温抵抗素子、前記リード線および前記結線部が軸方向に移動不能に係合される請求項4記載のシース型測温抵抗体。
【請求項6】
前記凹溝部の側方の開放部分を塞ぎ、当該ホルダーブロックと組み合わせることで前記筒体の内周面に外周面がほぼ密着する円柱形状を為す同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材を設けてなる請求項5記載のシース型測温抵抗体。
【請求項7】
前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、該ホルダーブロックが前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有してなる請求項4記載のシース型測温抵抗体。
【請求項8】
前記ホルダーブロックが、前記絶縁材の粉末成形体である請求項1〜7の何れか1項に記載のシース型測温抵抗体。
【請求項9】
前記絶縁材が、窒化ホウ素又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物との混合物よりなる請求項8記載のシース型測温抵抗体。
【請求項10】
前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部を収容した前記凹溝部の内側の隙間に、絶縁粉末を充填してなる請求項1〜9の何れか1項に記載のシース型測温抵抗体。
【請求項11】
請求項1記載のシース型測温抵抗体に用いるホルダーブロックであって、
前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の前記凹溝部を備え、
前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に渡る長さを有する、 前記絶縁材よりなるホルダーブロック。
【請求項12】
外周面が、前記筒体の内周面にほぼ密着する形状である請求項11記載のホルダーブロック。
【請求項13】
前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、
当該凹溝部に対して前記測温抵抗素子、前記リード線および前記結線部が軸方向に移動不能に係合される請求項11又は12記載のホルダーブロック。
【請求項14】
前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、
前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有してなる請求項11又は12記載のホルダーブロック。
【請求項15】
前記絶縁材の粉末成形体である請求項11〜14の何れか1項に記載のホルダーブロック。
【請求項16】
前記絶縁材が、窒化ホウ素又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物との混合物よりなる請求項15記載のホルダーブロック。
【請求項17】
シースケーブルの芯線と測温抵抗素子のリード線とを結線することで、前記シースケーブルの先端部に前記測温抵抗素子を設けてなるシース型測温抵抗体の製造方法において、
前記シースケーブルの先端から所定長さに剥き出された前記芯線の端部に、基端方向に突出している前記測温抵抗素子の前記リード線の端部を結線し、
前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部を備え、且つ前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記リード線と前記芯線との結線部に渡る長さを有する絶縁材よりなるホルダーブロックを、当該測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装し、
前記ホルダーブロックを覆う金属製の筒体を該ホルダーブロックに外装するとともに、該筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合し、
前記筒体の先端側の開口部を封止することを特徴とするシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項18】
前記シースケーブルの前記先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設けておき、
前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装する際、該ホルダーブロックの基端側部分を前記空隙部に挿着する請求項17記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項19】
前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装することにより、前記凹溝部に対し前記測温抵抗素子を少なくとも軸方向に移動不能に係合又は接着させる請求項17又は18記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項20】
前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、 前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装することにより、前記凹溝部に対し前記測温抵抗素子、前記リード線および前記結線部を軸方向に移動不能に係合させる請求項19記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項21】
前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装した後、前記凹溝部の側方の開放部分を塞ぎ且つ当該ホルダーブロックと組み合わせることで前記筒体の内周面に外周面がほぼ密着する円柱形状を為す同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材を設け、これら前記ホルダーブロック及び前記蓋材に対して前記筒体を外装する請求項17〜20の何れか1項に記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項22】
前記シースケーブルの先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設けておき、
前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装する際、該ホルダーブロックの基端側部分を前記空隙部に挿着し、
その後、前記蓋材を前記ホルダーブロックの前記開放部分に被せて組み合わせる際、該蓋材の基端側部分を前記空隙部に挿着し、
双方の前記基端側部分が前記空隙部に挿着された状態で組み合わされた前記ホルダーブロック及び前記蓋材に対し、前記筒体を外装する請求項21記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項23】
前記ホルダーブロックを前記測温抵抗素子、前記リード線及び前記結線部に外装した後、前記凹溝部の内側の隙間に絶縁粉末を充填し、その後、前記蓋材を前記ホルダーブロックの前記開放部分に被せて組み合わせる請求項21又は22記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項24】
前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、該ホルダーブロックが前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有してなる請求項19記載のシース型測温抵抗体の製造方法。
【請求項25】
前記筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合した後、該筒体の先端側の開口部より、前記ホルダーブロックの前記凹溝部の内側の隙間に絶縁粉末を充填し、その後、前記開口部を封止する請求項24記載のシース型測温抵抗体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シースケーブル端部に測温抵抗素子を収納し、素子リード線とケーブル芯線とを結線して構成されるシース型測温抵抗体に係り、特に製造容易で品質も安定し、耐振・耐久性に優れたシース型測温抵抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシース型測温抵抗体の製造は、従来、特許文献1の第1図、特許文献2の第1図に示すように、シースケーブルの端部から芯線を剥き出し、これに測温抵抗素子の基端側に伸びるリード線の端部を結線し、カバーパイプをシースケーブル端部に溶接して測温抵抗素子を囲み、その内部の隙間に無機絶縁粉末を充填してカバーパイプ先端を溶接封止してなるものや、特許文献1の第2図、特許文献2の第2図に示すように、シースケーブルの端部から絶縁粉末を掻き出した空隙部に測温抵抗素子をリード線が先端側に延びるように逆さまに挿入し、シースケーブルの金属管の開口近くで芯線とリード線を結線し、内部の隙間に絶縁粉末を埋め戻して金属管先端を溶接封止してなるものが提供されている。
【0003】
前者の構造、すなわちシースケーブルの先端側に接続されるカバーパイプ内に測温抵抗素子を収める構造は、芯線と測温抵抗素子のリード線との結線作業をシースケーブル外部で行える点で作業性は良いが、カバーパイプ内部の隙間に無機絶縁粉末を充填する際、細い芯線が屈曲しやすく、測温抵抗素子の姿勢が安定せず、作業が難しいうえ、充填密度を上げるには限界があり、したがって耐振性の向上にも一定の限界があった。
【0004】
後者の構造、すなわちシースケーブル先端部の内側に測温抵抗素子を逆さに挿入して結線する構造は、絶縁粉末の埋戻しの作業は前者の構造に比べて作業性がよいが、充填密度は隙間が小さいことから、同じく限界があり、耐振性の向上に一定の限界があるとともに、芯線とリード線の結線作業がシースケーブルの金属管内での作業となり、内径10mm以下の細い金属管のケースも多々あることから作業性がきわめて悪く、コスト高や品質のばらつきが生じるという課題があった。
【0005】
更に、いずれの構造においても、特にディーゼルエンジン等の振動の大きな所で使用する場合、その大きな振動によって測温抵抗素子が内部で動きやすく、リード線や結線部の短絡や断線といった信頼性についての課題があった。また、いずれも絶縁粉末の充填の際に測温抵抗素子等に直接加圧力が加わる為、同じく各線や測温抵抗素子が動いたり、断線が生じる可能性があり、品質が安定しないという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭58−47230号公報
【特許文献2】特開昭59−200933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、製造時の作業性が良く、品質を安定させることができ、使用時の振動によっても素子やリード線、芯線、結線部分の破損、断線等を防止でき、耐振性・耐久性を向上させることができるシース型測温抵抗体、これに用いるホルダーブロック、及びシース型測温抵抗体の製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、シースケーブルの芯線と測温抵抗素子のリード線とを結線することで、シースケーブルの先端部に測温抵抗素子を設けてなるシース型測温抵抗体において、前記シースケーブルの先端から所定長さに剥き出された芯線の端部に、基端方向に突出している測温抵抗素子のリード線の端部を結線し、前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部を備え、且つ前記測温抵抗素子、リード線及びリード線と芯線との結線部に渡る長さを有する絶縁材よりなるホルダーブロックを、当該測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装し、前記ホルダーブロックを覆う金属製の筒体を該ホルダーブロックに外装するとともに、該筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合し、前記筒体の先端側の開口部を封止してなることを特徴とするシース型測温抵抗体を構成した。
【0009】
ここで、前記シースケーブルの先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設け、前記測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装されるホルダーブロック基端側部分を前記空隙部に挿着したものが好ましい。
【0010】
また、前記筒体の内周面が、前記ホルダーブロックの外周面にほぼ密着する形状であるものが好ましい。
【0011】
更に、前記凹溝部に対し、前記測温抵抗素子を少なくとも軸方向に移動不能に係合又は接着したものが好ましい。
【0012】
特に、前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、当該凹溝部に対して前記測温抵抗素子、リード線および結線部が軸方向に移動不能に係合されるものが好ましい。
【0013】
更に、前記凹溝部の側方の開放部分を塞ぎ、当該ホルダーブロックと組み合わせることで前記筒体の内周面に外周面がほぼ密着する円柱形状を為す同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材を設けたものが好ましい。
【0014】
また、前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、該ホルダーブロックが前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有したものが好ましい。
【0015】
また、前記ホルダーブロックが、前記絶縁材の粉末成形体であることが好ましく、特に、前記絶縁材が、窒化ホウ素又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物との混合物よりなるものが好ましい。
【0016】
また、前記測温抵抗素子、リード線及び結線部を収容した前記凹溝部の内側の隙間に、絶縁粉末を充填したものが好ましい。
【0017】
また本発明は、上記したシース型測温抵抗体に用いるホルダーブロックであって、前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部を備え、前記測温抵抗素子、リード線及び結線部に渡る長さを有する、絶縁材よりなるホルダーブロックをも提供する。
【0018】
ここで、外周面が、前記筒体の内周面にほぼ密着する形状であるものが好ましい。
【0019】
特に、前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、当該凹溝部に対して前記測温抵抗素子、リード線および結線部が軸方向に移動不能に係合されるものが好ましい。
【0020】
或いは、前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有してなるものも好ましい。
【0021】
また、前記絶縁材の粉末成形体であることが好ましく、特に前記絶縁材が、窒化ホウ素又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物との混合物よりなるものが好ましい。
【0022】
また本発明は、シースケーブルの芯線と測温抵抗素子のリード線とを結線することで、シースケーブルの先端部に測温抵抗素子を設けてなるシース型測温抵抗体の製造方法において、前記シースケーブルの先端から所定長さに剥き出された芯線の端部に、基端方向に突出している測温抵抗素子のリード線の端部を結線し、前記測温抵抗素子が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部を備え、且つ前記測温抵抗素子、リード線及びリード線と芯線との結線部に渡る長さを有する絶縁材よりなるホルダーブロックを、当該測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装し、前記ホルダーブロックを覆う金属製の筒体を該ホルダーブロックに外装するとともに、該筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合し、前記筒体の先端側の開口部を封止することを特徴とするシース型測温抵抗体の製造方法をも提供する。
【0023】
ここで、前記シースケーブルの先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設けておき、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装する際、該ホルダーブロックの基端側部分を前記空隙部に挿着することが好ましい。
【0024】
また、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装することにより、前記凹溝部に対し前記測温抵抗素子を少なくとも軸方向に移動不能に係合又は接着させることが好ましい。
【0025】
特に、前記凹溝部が、前記測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、前記リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、前記結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、前記芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装することにより、前記凹溝部に対し前記測温抵抗素子、リード線および結線部を軸方向に移動不能に係合させることが好ましい。
【0026】
また、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装した後、前記凹溝部の側方の開放部分を塞ぎ且つ当該ホルダーブロックと組み合わせることで前記筒体の内周面に外周面がほぼ密着する円柱形状を為す同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材を設け、これらホルダーブロック及び蓋材に対して前記筒体を外装することが好ましい。
【0027】
特に、前記シースケーブルの先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設けておき、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装する際、該ホルダーブロックの基端側部分を前記空隙部に挿着し、その後、前記蓋材をホルダーブロックの前記開放部分に被せて組み合わせる際、該蓋材の基端側部分を前記空隙部に挿着し、双方の基端側部分が前記空隙部に挿着された状態で組み合わされたホルダーブロック及び蓋材に対し、前記筒体を外装することが好ましい。
【0028】
更に、前記ホルダーブロックを測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装した後、前記凹溝部の内側の隙間に絶縁粉末を充填し、その後、前記蓋材をホルダーブロックの前記開放部分に被せて組み合わせることが好ましい。
【0029】
また、前記凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、前記凹溝部の内面に前記測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、該ホルダーブロックが前記凹溝部より基端側に筒状のベース部を有してなることが好ましい。
【0030】
特に、前記筒体の基端部を前記シースケーブルの先端部に溶接接合した後、該筒体の先端側の開口部より、前記ホルダーブロックの前記凹溝部の内側の隙間に絶縁粉末を充填し、その後、前記開口部を封止することが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
以上にしてなる本願発明によれば、ホルダーブロックにより測温抵抗素子、リード線及び結線部が一体的に拘束され、使用時の振動によりこれら素子、リード線、ケーブル芯線が内部で互いに相対的に大きく振動することがなく、各部へのストレス入力が防止される。したがって耐振性、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0032】
製造に関しても、シースケーブル先端から所定長さに剥き出された芯線の端部に、基端方向に突出している測温抵抗素子のリード線の端部を結線するので、シースケーブルの外部で容易に結線を行うことができ、ホルダーブロックの測温抵抗素子、リード線及び結線部への外装や、筒体のホルダーブロックへの外装、シースケーブル先端部への溶接接合、開口部の封止も作業は容易であり、製造コスト上昇を抑え、品質も一定に保つことができる。
【0033】
また、シースケーブルの先端部の内側に、当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部を設け、前記測温抵抗素子、リード線及び結線部に外装されるホルダーブロック基端側部分を前記空隙部に挿着したので、ホルダーブロックの筒体内での姿勢も安定し、耐振性をより向上させることができるとともに、筒体を外装する際の作業性も向上する。
【0034】
また、筒体の内周面がホルダーブロックの外周面にほぼ密着する形状であれば、ホルダーブロックの筒体内での姿勢をさらに安定、一体化させることができ、耐振性をさらに向上させることができる。
【0035】
また、ホルダーブロックの凹溝部に対して測温抵抗素子を少なくとも軸方向に移動不能に係合又は接着したので、使用時の測温抵抗素子の相対的な振動、これに伴う各部へのストレスをより確実に防止することができる。
【0036】
また、ホルダーブロックの凹溝部が、測温抵抗素子が側方から挿入される素子収容溝と、リード線が側方から挿入されるリード線収容溝と、結線部が側方から挿入される結線部収容溝と、芯線が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝とが連続的に形成された連通溝からなり、当該凹溝部に対して測温抵抗素子、リード線および結線部が軸方向に移動不能に係合されるので、測温抵抗素子、リード線、結線部、芯線の一体化がより確実となり、耐振性をさらに向上させることができる。
【0037】
また、ホルダーブロックの凹溝部の側方の開放部分を塞ぎ、当該ホルダーブロックと組み合わせることで筒体の内周面に外周面がほぼ密着する円柱形状を為す同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材を設けたので、筒体内でのホルダーブロックの姿勢をより安定に保つことができ、耐振性をさらに向上させることができる。
【0038】
また、ホルダーブロックの凹溝部が、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であり、凹溝部の内面に測温抵抗素子が耐熱性の接着材で接着されるとともに、該ホルダーブロックが凹溝部より基端側に筒状のベース部を有したので、測温抵抗素子の相対移動を防止して優れた耐振性を有するとともに、製造も容易であり、コストを低減することができる。
【0039】
また、ホルダーブロックが、絶縁材の粉末成形体、特に、窒化ホウ素又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物との混合物の粉末成形体であるが、窒化ホウ素は粒径2μm前後と非常に小さい上に丸みを帯びた形状であり、成形体の粉末間の空洞容積を顕著に少なくすることが可能で、絶縁破壊発生のリスクを低減させることができ、機械的強度も向上できる。
【0040】
また、測温抵抗素子、リード線及び結線部を収容した凹溝部の内側の隙間に、絶縁粉末を充填したので、従来のカバーパイプ内への充填に比べ、ホルダーブロックが存在するので充填時の圧力で測温抵抗素子等が動いてしまうといったことを回避でき、品質を維持しつつ充填密度を高めることが可能となり、したがって耐振性・耐久性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態に係るシース型測温抵抗体の要部を示す縦断面図。
図2】(a)はホルダーブロックの平面図、(b)はそのA−A縦断面図。
図3】ホルダーブロックに測温抵抗素子を挿着する様子を示す説明斜視図。
図4】(a)〜(c)はシース型測温抵抗体の製造手順を示す説明図。
図5】(a)〜(c)は図4に続く同じくシース型測温抵抗体の製造手順を示す説明図。
図6】(a)はホルダーブロックの変形例を示す平面図、(b)はそのB−B横断面図。
図7】第2実施形態に係るシース型測温抵抗体の製造手順に沿った説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0043】
本発明のシース型測温抵抗体1は、図1に示すように、シースケーブル2の芯線20と測温抵抗素子3のリード線30とを結線することでシースケーブル先端部2aに測温抵抗素子3を設けたものであり、シースケーブル2先端から所定長さに剥き出された芯線20の端部に、基端方向に突出している測温抵抗素子3のリード線30の端部が結線されるとともに(結線部10)、当該測温抵抗素子3、リード線30及び結線部10に対して絶縁材よりなるホルダーブロック4が外装され、更にホルダーブロック4を覆う金属製の筒体5が外装された構造である。
【0044】
本発明のシース型測温抵抗体1の構成によれば、測温抵抗素子3(素子本体)、そのリード線30のみならず、これに結線されるケーブル芯線20及び結線部10もホルダーブロック4によってホールドされるため、少なくとも測温抵抗素子3や細いリード線30、結線部10にストレスが生じることを防止することができる。さらに、ホルダーブロック4は筒体5内でしっかり保持されるため、芯線20に対してもストレスが生じることを防止することができる。
【0045】
本例では、二本のリード線の各々に芯線一本ずつ結線する二芯線式の例を示しているが、本発明はこれに何ら限定されず、三芯線式や四芯線式等の他の方式も可能である。また、素子のリード線も二本以外にダブル素子式として四本のものでもよく、二つ以上の素子を重ねて装着することも可能である。これら種々の方式に対して共通のホルダーブロック4を用いることができるようにするために、ホルダーブロック4の芯線20や結線部10等を収容する後述の凹溝部4cの寸法は深めに設定されている。
【0046】
シースケーブル2は、従来から公知のシース型測温抵抗体に用いられているシースケーブルを広く用いることができ、本例ではステンレスの金属管21内部に複数の芯線20を平行に収納し、隙間に酸化マグネシウム(MgO)などの耐熱性粒子状絶縁物22を充填したものが用いられている。また、測温抵抗素子3についても、同じく従来から公知の素子を広く用いることができ、本例では白金測温抵抗体のボビン型とした例であるが、薄膜型の素子でもよいし、またサーミスタ測温体素子でもよい。
【0047】
ホルダーブロック4は、測温抵抗素子3、リード線30及びリード線30と芯線20との結線部10に渡る長さを有しており、絶縁材である窒化ホウ素、又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物(酸化マグネシウムなど)との混合物の粉末成形体である。窒化ホウ素は粒径2μm前後と非常に小さい上に丸みを帯びた形状をしているので、成形体の粉末間の空洞容積を顕著に少なくすることが可能であり、絶縁破壊発生のリスクを低減させることができ、強度的にも好ましい。
【0048】
また、ホルダーブロック4は、図2及び図3にも示すように、測温抵抗素子3が収容される側方に開放された半割り状の凹溝部4cを備えており、凹溝部4cは、具体的には測温抵抗素子3が側方から挿入される素子収容溝41と、リード線30が側方から挿入されるリード線収容溝42と、結線部10が側方から挿入される結線部収容溝43と、芯線20が側方から挿入される基端側が開放された芯線収容溝44とが連続的に形成された連通溝であり、この凹溝部4cに対し、測温抵抗素子3、リード線30および結線部10が側方から嵌め込まれ、軸方向に移動不能に係合される。
【0049】
より詳しくは、図2に示すように凹溝部4cを構成する素子収容溝41、リード線収容溝42、結線部収容溝43、芯線収容溝44の形状は、平面視でそれぞれ収容する測温抵抗素子3、リード線30、結線部10、芯線20と略同じ形状であり、深さは三芯線式や四芯線式、ダブル素子式などに対応できるように深めに設定されている。そして、芯線やリード線よりも太い測温抵抗素子3、結線部10は、素子収容溝41、結線部収容溝43の内部にそれぞれ軸方向に移動不能に係合され、これに伴い、芯線やリード線も移動不能とされている。
【0050】
本例では、凹溝部4cが収容する各部の形状に合わせた平面視の形状とされているが、例えば図6に示すように、少々形状が違っても収容できるように大き目の収容溝4cとすることも好ましい。図6の例では、素子収容溝41と結線部収容溝43が矩形に形成されており、素子の形状が異なったり、結線部の形状のばらつき等に対応できるように構成されている。
【0051】
また、凹溝部4cは測温抵抗素子3、リード線30および結線部10を側方から挿入する連通溝とされているが、測温抵抗素子3のみ収容する開放溝とし、ホルダーブロックのリード線30や結線部10に対応する部分はこれらを軸方向の孔に収容する筒状部としてもよい。この場合、後述の第2実施形態のごとく測温抵抗素子3を凹溝部内面に接着してもよいが、凹溝部内面又はこれに連続する筒状部との境に測温抵抗素子3を軸方向に係止する係合段部を設けたものが好ましい。
【0052】
ホルダーブロック4には、図3にも示すように凹溝部4cの側方の開放部分を塞ぎ、当該ホルダーブロック4とともに筒体5の内周面5cに外周面がほぼ密着する円柱形状を為す、同じく絶縁材よりなる半割状の蓋材6が組み合わされ、この状態で後述の空隙部2sへ基端側が挿着され且つ外側に筒体5が装着される。蓋材6は、ホルダーブロック4と同様、絶縁材である窒化ホウ素、又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物(酸化マグネシウムなど)との混合物の粉末成形体である。
【0053】
蓋材6を組み合わせて凹溝部4cを塞ぐ際には、図4(c)に示すように測温抵抗素子3、リード線30及び結線部10を収容した凹溝部4cの内側の隙間に耐熱性の絶縁粉末7が充填される。この絶縁粉末7も、ホルダーブロック4や蓋材6と同様の素材、具体的には窒化ホウ素の粉末、又は窒化ホウ素と絶縁性金属酸化物(酸化マグネシウムなど)との混合粉末とすることが好ましい。また、絶縁粉末7の代わりに耐熱性接着材(セラミック接着材)を隙間に充填してもよい。
【0054】
シースケーブル2の先端部2aの内側には、図1及び図4(a)に示すように当該先端から所定の深さだけ絶縁粉末を取り除いてなる空隙部2sが設けられ、ホルダーブロック4と蓋材6の基端側部分4b、6bが空隙部2sに挿着されている。そして、この状態のホルダーブロック4及び蓋材6の外側に筒体5が装着され、筒体5の基端部5bがシースケーブル2の先端部2aに付き合わせで溶接接合されている(溶接部11)。
【0055】
このようにホルダーブロック4及び蓋材6の基端側部分4b、6bがシースケーブル2の先端部2aの空隙部2sに一部挿入された状態で組み付けられるので、外部振動によってもホルダーブロック4、蓋材6、シースケーブル2の一体性が保持され、組み付けの強度が向上するとともに筒体5とシースケーブル2の溶接部11への負担も小さくなり、耐振性のより優れた構造となるとともに、組み付けや溶接の作業性も容易となる。尚、蓋材6を省略することも勿論可能である。
【0056】
ホルダーブロック4の外周面4dや蓋材6の外周面は、図1に示すように筒体5の内周面5cにほぼ密着する形状であり、これら三者の一体性が高められ、振動によってもホルダーブロック4がガタつくことはなく、優れた耐振性及び熱応答性を有する。したがって、絶縁粉末や接着材などの充填も不要で、製造コストも大幅に削減できる。筒体5の先端側の開口部5aは溶接により封止されている(溶接封止部12)。
【0057】
以下、図4及び図5の製造手順に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【0058】
まず、図4(a)に示すように、シースケーブル先端部2aから絶縁粉末22を取り除いて芯線20を露出させるとともに金属管を切断し、露出させた芯線20を突出させる。金属管は絶縁粉末22の底部よりも若干長めに切断され、これにより絶縁粉末22が取り除かれた空隙部2sが維持される。空隙部2sの深さは3〜4mmに設定される。
【0059】
そして、このようにシースケーブル2の先端から所定長さに剥き出された芯線20の端部に、基端方向に突出している測温抵抗素子3のリード線30の端部を溶接やろう接により結線する(結線部10)。このようにシースケーブル2の金属管の外で結線を行うことができ、容易かつ確実に結線作業を行うことができる。
【0060】
次に、ホルダーブロック4を、図4(b)に示すように凹溝部4cに測温抵抗素子3、リード線30、結線部10及び芯線20を側方から収納しつつ、基端側部分4bをシースケーブル2の空隙部2sに挿着する。
【0061】
この際、空隙部2sは蓋材6の基端側部分も挿着できる寸法に設定されており、また挿着するのも基端側部分4bだけであるので、ホルダーブロック4を斜めにして空隙部2sに容易に挿し込むことができるし、また芯線20やリード線30は容易に屈曲するため、これらの可撓性を利用して測温抵抗素子3をホルダーブロックと反対側に逃がしながらホルダーブロック4を空隙部2sに軸方向に容易に挿し込むこともできる。
【0062】
尚、本例では芯線20の端部に測温抵抗素子のリード線30を結線してからホルダーブロック4を挿し込んでいるが、結線前の芯線20だけの状態で先にホルダーブロック4を挿し込んでおき、斜めに曲げる等して凹溝部4cの外側に出された芯線20の端部に、上記リード線30を結線し、接続された測温抵抗素子3、リード線30、結線部10及び芯線を、ホルダーブロック4の凹溝部4c内に収容してなることも好ましい例である。
【0063】
次に、図4(c)に示すように、凹溝部4cの内側に係合された測温抵抗素子3、リード線30、結線部10、芯線20の隙間に、耐熱性の絶縁粉末7が充填されたうえ、当該凹溝部4cの開放部分を塞ぐように蓋材6が組み付けられる。
【0064】
ホルダーブロック4の凹溝部4cの各収容溝41〜44は、それぞれ収容する測温抵抗素子3、リード線30及び結線部10、芯線20が開放されている溝開口から突出しないように完全に埋没するような深さを有している。したがって、蓋材6の前記開放されている溝開口を塞ぐ面はフラット面に構成され、シースケーブル2の空隙部2sにすでにセットされたホルダーブロック4の開放面上を軸方向にスライドさせ、基端側部分6bを同じく空隙部2sに対して簡単に挿着して組み付けることができる。
【0065】
次に、図5(a)に示すように、双方の基端側部分が前記空隙部に挿着された状態でシースケーブル2の先端部に組み付けられたホルダーブロック4及び蓋材6に対し、筒体5を外装するとともに、図5(b)に示すように該筒体5の基端部をシースケーブル2の先端部に付け合せて全周溶接により接合し(溶接部11)、次に図5(c)に示すように筒体5の先端側の開口部を溶接により封止(溶接封止部12)して完成する。
【0066】
次に、図7に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。
【0067】
本実施形態では、ホルダーブロック4の凹溝部4cが、軸方向にわたりほぼ均一な内面形状を有する半割り状の部分円筒体よりなる先端開放溝であって、凹溝部4cの内面に測温抵抗素子3が耐熱性接着材(セラミック接着材)で接着されるとともに、該ホルダーブロック4が凹溝部4cより基端側に筒状のベース部40を有し、結線部10及び芯線20は当該ベース部40に収容される構造とされている。
【0068】
これにより、接着材9が必要であるが凹溝部4c自体の構成はシンプル化でき、シースケーブル先端の空隙部2sへの挿着も容易である。また、筒体5を装着した後に、開口部5aから凹溝部4cの内部の隙間に耐熱性絶縁粉末7を充填することが可能となり、作業性が向上する。本例では蓋材が省略されているが、第1実施形態と同様、さらに蓋材を設けてもよい。
【0069】
筒体5は、図7(c)に示すように、第1実施形態と同様、ホルダーブロック4に装着した後、基端部をシースケーブル2の先端部に溶接接合される(溶接部11)。先端の封止は、第1実施形態と異なり、ホルダーブロック4の先端側が開放され、絶縁粉末7も存在することから、別途の栓部材8を挿着して開口部5aに溶接することで封止されている。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 シース型測温抵抗体
2 シースケーブル
2a 先端部
2s 空隙部
3 測温抵抗素子
4 ホルダーブロック
4b 基端側部分
4c 凹溝部
4d 外周面
5 筒体
5a 開口部
5b 基端部
5c 内周面
6 蓋材
6b 基端側部分
7 絶縁粉末
8 栓部材
9 接着材
10 結線部
11 溶接部
12 溶接封止部
20 芯線
21 金属管
22 絶縁粉末
30 リード線
40 ベース部
41 素子収容溝
42 リード線収容溝
43 結線部収容溝
44 芯線収容溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7