(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電子機器を投影装置に適用した場合の実施形態の一例を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0009】
図1は、投影装置1の概略構成を主面側から示す斜視図である。
図2は投影装置1の概略構成を背面側から示す斜視図である。なお、本実施形態に係る投影装置1は、天井に吊られて設置される天吊り(壁吊り)可能な投影装置であり、ここでは天吊りされた状態で下方を向く面を主面とし、上方を向く面を背面とする。また、机や台などに投影装置1が背面を下方にして載置された場合には主面が上方を向くことになる。つまり、載置された場合及び天吊りされた場合のいずれにおいても、投影装置1の背面は主面よりもユーザーによって視認され難い面となる(後述の
図10参照)。
【0010】
図1及び
図2に示すように投影装置1には、電子機器本体である投影装置本体2と、投影装置本体2の一側面を覆うカバー3と、投影装置本体2及びカバー3を固定する例えばねじなどの第一固定具4とが備えられている。
【0011】
図3は投影装置本体2及びカバー3を模式的に示した分解図であり、(A)は背面図、(B)は側面図である。
図4は投影装置本体2の概略構成を主面側から示す斜視図である。
図5は投影装置本体2の概略構成を背面側から示す斜視図である。
図3〜
図5に示すように投影装置本体2には、配線が接続される端子群51を一側面52で露出させるとともに背面が開放した筐体本体5と、筐体本体5の背面を覆う背面部6とが備えられている。
【0012】
筐体本体5には、映像を投影するための図示しない投影部が内蔵されている。この投影部から照射された映像光は投影口58を通して投影される。この映像光を妨げないように筐体本体5の主面略中央には凹部53が全幅に亘って形成されている。筐体本体5の一側面52の主面側縁部には、内側に窪んだ一対の嵌合穴54が形成されている。
【0013】
背面部6の周縁部及び中央部には複数の挿入穴61が設けられている。この挿入穴61には、背面部6を筐体本体5に固定するための例えばねじなどの第二固定具62が挿入される。複数の挿入穴61のうち、一つの挿入穴61aは一側面52側の一方の角部に設けられている。
また、背面部6の中央部には天吊り治具101(後述の
図10参照)を接続するための治具固定用のねじ穴64が設けられている。
また、筐体本体5における一側面52側の他方の角部には、第一固定具4が係合する第一係合部55が形成されている。具体的には第一係合部55は、一側面52とともに他方の角部をなす側面56に対して凹むように形成されていて、その底面に第一固定具4が係合する雌ねじ部57が形成されている。
【0014】
図6はカバー3の概略構成を示す斜視図である。
図7はカバー3の概略構成を示す正面図である。
図3,
図6,
図7に示すようにカバー3の背面には、端子群51に接続された配線を外部に引き出すための開口部31が設けられている。カバー3を筐体本体5に装着した際においては、開口部31以外の部分が筐体本体5と連続するようになる。
また、カバー3の主面には、投影部から照射された映像光を筐体本体5の凹部53とともに妨げないように、当該凹部53に連続する凹部32が形成されている。凹部53及び凹部32の形状は、映像光を妨げないのであれば如何様でも構わない。
【0015】
カバー3の背面側における一端部には、背面部6の一方の角部に設けられた挿入穴61aに係合して、投影装置本体2に対しカバー3を開閉するように回転させるフック7が設けられている。
【0016】
図8は、一方の角部に設けられた挿入穴61aとフック7との係合直前の状態を拡大して示す斜視図である。
図8に示すように、フック7には、外側に向けて突出した台座71と、台座71から主面側に向けて突出した突起72とが設けられている。この突起72が挿入穴61a内に進入して当該挿入穴61aに係合することになる。突起72は、挿入穴61aの内周面に沿って回転するため、この突起72がカバー3の回転軸となる。
ここで、カバー3が投影装置本体2に装着された状態の突起72がなす回転軸(
図8中、一点鎖線で示す。)に直交する平面Dに対し、各挿入穴61が設けられた表面Eは外側に行くにつれて主面に近づくように傾いている。この傾斜角度αは、前記平面Dに対して略45度となっている。
他方、挿入穴61の近傍には、カバー3が投影装置本体2に装着される際に台座71が嵌合する凹部63が形成されている。
【0017】
カバー3の主面側の縁部には、筐体本体5の一対の嵌合穴54(第三係合部)にそれぞれ嵌合する一対の嵌合突起33(第四係合部)が設けられている。
カバー3の他端部には、フック7によってカバー3が閉状態となった際に、第一係合部55とともに第一固定具4と係合可能な状態となる第二係合部34が形成されている。具体的には、第二係合部34は、第一係合部55に収まるような形状で突出している。そして、第二係合部34には、第一係合部55の雌ねじ部57に連通する貫通孔35が設けられている。第二係合部34が第一係合部55内に収まると、雌ねじ部57と貫通孔35とが連通することになる。この状態が、第一固定具4が係合可能な状態である。そして、第一固定具4を貫通孔35から雌ねじ部57に螺合させると、第一固定具4が第一係合部55及び第二係合部34に係合するため、カバー3が投影装置本体2に固定されることになる。
【0018】
次に、カバー3の取付方法について具体的に説明する。
図9は、取付方法の一工程を示す説明図である。
まず、
図8に示すように、作業者は、フック7の突起72が挿入穴61aに係合するようにカバー3を投影装置本体2に対して位置合わせをする。
そして、突起72が挿入穴61aに係合した後、
図9に示すように作業者は、カバー3が閉状態となるようにフック7によってカバー3を回転させる。
閉状態になると、フック7の台座71が背面部6の凹部63に嵌合するとともに、嵌合突起33が筐体本体5の嵌合穴54に嵌合する。また、閉状態になると第二係合部34が第一係合部55内に収まって、第一係合部55と第二係合部34とが第一固定具4と係合可能な状態となる。
その後、作業者は、第一固定具4を貫通孔35から雌ねじ部57に螺合させ、カバー3を投影装置本体2に固定する。これにより
図1及び
図2に示す状態となる。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、カバー3のフック7が投影装置本体2の挿入穴61aに係合しているため、フック7と挿入穴61aとの係合によってカバー3と投影装置本体2との一体性を維持することができる。また、その反対側では、カバー3の第二係合部34と投影装置本体2の第一係合部55とに第一固定具4が係合してカバー3が投影装置本体2に固定される。
したがって、カバー固定用の第一固定具4が一つであってもカバー3と投影装置本体2との一体性を安定化することができる。
また、挿入穴61aには、背面部6を筐体本体5に固定するための第二固定具62が挿入されるとともに、フック7の突起72も挿入される。つまり、挿入穴61aは、背面部6を筐体本体5に固定するための機能と、カバー3が係合される機能とを兼ね備えている。これにより、個別に設けた場合と比しても構造を簡素化することが可能となる。
また、カバー固定用の第一固定具4が一つであるので、カバー3の着脱作業も容易となる。
【0020】
また、カバー3の安定性を優先するならば、第二係合部34に対向する側面でカバー3の一部を投影装置本体2に係合させることが望ましい。他方、カバー3の回転性を優先するならば、フック7が係合する挿入穴61aが形成された部分の表面を、フック7の回転軸に直交する平面に平行にすることが望ましい。このようにカバー3の安定性及び回転性は互いに相反する性質である。
しかしながら、本実施形態では、背面部6における、フック7が係合する挿入穴61aが形成された部分の表面と、フック7の回転軸に直交する平面との角度が略45度であるので、カバー3の安定性及び回転性をバランスよく満たすことができる。
【0021】
また、筐体本体5の背面が、当該筐体本体5の主面よりも、ユーザーによって視認され難い面であるので、この背面を覆う背面部6及び背面部6に係合するフック7も視認されにくくなり、外観上好ましい。
【0022】
そして、カバー3の取付作業が困難になることが想定される天吊り可能な投影装置1の取付作業を効率化することが可能となる。
【0023】
投影装置1の天吊り(壁吊り)時の状態を
図10に示す。投影装置1は、側面から見てL字状の天吊り治具101に、治具固定用の穴64、治具固定用のねじ102により取り付けられる。
このように天吊り時には、フック7が筐体本体5に対し上側から係合するので、カバー3がより落下しにくい構造となっている。
【0024】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0025】
例えば、上記実施形態では、第一係合部55が凹状に形成されて、第二係合部34が凸状に形成されている場合を例示して説明したが、これとは反対に第一係合部が凸状、第二係合部が凹状に形成されていてもよい。
また、筐体本体5の一対の嵌合穴54と、当該嵌合穴54にそれぞれ嵌合する一対の嵌合突起33とからなる係合部の凹凸の関係は、それぞれ逆となる凸凹である構成であってもよく、また、その数は2でなく1又は3以上であってもよい。
また、第一固定具4及び第二固定具62は上述したねじ以外の固定具であっても構わない。
【0026】
また、上記実施形態では、カバー3が配線用である場合を例示して説明したが、本発明はその他の用途のカバーにも適用可能であることはいうまでもない。
【0027】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0028】
〔付記〕
<請求項1>
電子機器本体と、前記電子機器本体の一側面を覆うカバーと、前記電子機器本体及び前記カバーを固定する第一固定具とを有する電子機器であって、
前記電子機器本体は、背面が開放した筐体本体と、前記筐体本体の前記背面を覆う背面部とを備え、
前記背面部には、当該背面部を前記筐体本体に固定するための第二固定具が挿入される挿入穴が少なくとも前記一側面側の一方の角部に設けられ、
前記筐体本体における前記一側面側の他方の角部には、前記第一固定具が係合する第一係合部が形成されていて、
前記カバーは、
前記一方の角部に設けられた前記挿入穴に係合するように前記カバーの一端部に設けられ、前記電子機器本体に対して開閉するように前記カバーを回転させるフックと、
前記カバーの他端部に設けられ、前記フックによって前記カバーが閉状態となった際に、前記第一係合部とともに前記第一固定具と係合可能な状態となる第二係合部とを備え、
前記第一固定具は、前記第一係合部及び前記第二係合部に係合することで、前記カバーを前記電子機器本体に固定することを特徴とする電子機器。
<請求項2>
請求項1記載の電子機器において、
前記フックが係合する挿入穴が形成された部分の表面は、前記フックの回転軸に直交する平面に対して略45度の角度で傾いていることを特徴とする電子機器。
<請求項3>
請求項1又は2記載の電子機器において、
前記筐体本体は、前記カバーに係合する穴又は突起からなる第三係合部を更に有し、
前記カバーは、縁部に前記第三係合部に係合する突起又は穴からなる第四係合部を更に有することを特徴とする電子機器。
<請求項4>
請求項1〜3のいずれか一項記載の電子機器において、
前記筐体本体の前記背面は、当該筐体本体の主面よりも、ユーザーによって視認され難い面であることを特徴とする電子機器。
<請求項5>
請求項1〜4のいずれか一項記載の電子機器において、
前記電子機器本体は、前記一側面に配線が接続される端子群を備え、
前記カバーは、前記一側面を覆う配線用のカバーであることを特徴とする電子機器。
<請求項6>
請求項1〜5のいずれか一項記載の電子機器において、
当該電子機器は、天吊り可能な投影装置であることを特徴とする電子機器。
<請求項7>
請求項1〜6のいずれか一項記載の電子機器のカバーの取付方法であって、
前記電子機器本体の前記挿入穴に対して前記フックを係合させてから、当該フックによって閉状態となるように前記カバーを回転させることで、前記第一係合部と前記第二係合部とが前記第一固定具と係合可能な状態となった後に、前記第一固定具を前記第一係合部及び前記第二係合部に係合させて、前記カバーを前記電子機器本体に固定することを特徴とする電子機器のカバーの取付方法。