(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の第1の反射層の配置を示す、第1の電極側から見た模式的な底面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の透光性樹脂の構造例を示す模式的な断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その3)。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その4)。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その5)。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その6)。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その7)。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その8)。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その9)。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その10)。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その11)。
【
図15】本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図16】本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図17】本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図18】本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の構造を示す、第1の電極側から見た模式的な底面図である。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
【
図23】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
【
図24】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その3)。
【
図25】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その4)。
【
図26】本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である(その5)。
【
図27】本発明のその他の実施形態に係る発光装置の構造を示す、発光素子の主面と垂直な方向に沿った模式的な断面図である。
【
図28】本発明のその他の実施形態に係る発光装置の構造を示す、発光素子の主面と垂直な方向に沿った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る発光装置1は、
図1に示すように、上部に凹部が設けられた支持樹脂10と、第1の半導体層21を最下層とし第2の半導体層23を最上層とする積層構造を有し、支持樹脂10の凹部内に埋め込まれた発光素子20と、第1の半導体層21の凹部の底面と対向する主面に接して配置された、発光素子からの出射光を反射する第1の反射層31とを備える。
図1に示した第1の反射層31は、導電性を有し、且つ、第1の半導体層21と低抵抗のオーミック接触をしている。第1の反射層31は、
図2に示すように、支持樹脂10の凹部の底面と対向する第1の半導体層21の主面の略全体にわたって配置されている。
【0010】
発光素子20は、第1導電型の第1の半導体層21と第2導電型の第2の半導体層23を有する積層構造であり、この積層構造の側面は支持樹脂10の凹部の側壁面と対向している。第1導電型と第2導電型とは互いに反対導電型である。即ち、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型であり、第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型である。以下では、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合を例示的に説明する。つまり、第1の半導体層21がp型半導体層であり、第2の半導体層23がn型半導体層である。
【0011】
発光素子20は、例えば、第1の半導体層21をp型クラッド層、第2の半導体層23をn型クラッド層とするLED素子である。
図1に示した例では、第1の半導体層21、発光層22、第2の半導体層23が積層されたダブルへテロ構造を発光素子20に採用している。例えば、薄いGaAs層からなる発光層22を、発光層22よりもバンドギャップエネルギーの大きなAlGaAs層からなる第1の半導体層21と第2の半導体層23とで挟んだ構造などを採用可能である。
【0012】
発光装置1は、発光素子20に電流を供給する第1の電極41及び第2の電極42を備える。更に、発光装置1は、発光素子20の第2の半導体層23の上方に配置された透光性樹脂60を備える。透光性樹脂60は、支持樹脂10の凹部の開口部に蓋をするように配置されている。
【0013】
第1の半導体層21に接続するため、第1の電極41の一部は支持樹脂10の凹部の内部に配置されている。即ち、
図1に示すように、第1の電極41は、支持樹脂10の下部側から支持樹脂10を貫通して、支持樹脂10の凹部内で第1の反射層31を介して第1の半導体層21と電気的に接続する。
【0014】
第2の電極42は、支持樹脂10の下部側から支持樹脂10を貫通し、支持樹脂10の凹部の内部で第2の半導体層23と電気的に接続する。より具体的には、第2の半導体層23が、平面視で第1の半導体層21及び発光層22の配置されていない領域まで凹部内を水平方向に延伸する延伸領域231を有する。そして、第2の電極42が、第1の電極41が支持樹脂10を貫通する位置と離間した位置で支持樹脂10の下部側から支持樹脂10を貫通して、支持樹脂10の凹部内で第2の半導体層23の延伸領域231と接続している。
【0015】
なお、支持樹脂10の凹部の内部では、絶縁膜50によって、第2の電極42と、発光層22、第1の半導体層21、第1の反射層31及び第1の電極41とが絶縁分離されている。絶縁膜50には、例えば酸化シリコン(SiOx)膜などを採用可能である。
【0016】
第1の電極41から第1の半導体層21に正孔が供給され、第2の電極42から第2の半導体層23に電子が供給される。そして、発光層22に、第1の半導体層21から正孔が注入され、第2の半導体層23から電子が注入される。注入された正孔と電子が発光層22で再結合することにより、発光層22で光が発生する。
【0017】
なお、
図1に示した発光装置1では、第1の電極41が第1の半導体層21と接触する面積は、第2の電極42が第2の半導体層23と接触する面積よりも広い。つまり、n型半導体層よりも電気抵抗の大きいp型半導体層の第1の半導体層21において、電極との接触面積を大きくしている。これにより、第1の半導体層21と第1の電極41間の電気抵抗が低減され、発光素子20の順方向電圧Vfを小さくできる。更に、発光素子20で発生する熱を第1の電極41を介して効率よく放熱することができる。
【0018】
発光素子20は、第2の半導体層23の主面を光取り出し面200としている。つまり、発光素子20からの出射光は、透光性樹脂60を透過して発光装置1から出力光Lとして出力される。このように、発光装置1は面実装型発光装置である。
【0019】
図1に示した発光装置1では、第1の電極41及び第2の電極42が共に支持樹脂10の下部側に配置され、光取り出し面200が定義された第2の半導体層23側には電極が配置されていない。このため、発光装置1では、光取り出し面200の面積を広く確保できる。
【0020】
発光素子20の底面及び側面は、支持樹脂10によって囲まれている。このように支持樹脂10によって発光素子20の光取り出し面200以外を覆うことにより、発光素子20から出射された光は、発光素子20の上方に配置された一定の厚みを有する透光性樹脂60を通過する。このため、出力光Lの色安定性が向上する。更に、支持樹脂10には、白色樹脂を使用することが好ましい。白色の支持樹脂10によれば、支持樹脂10での反射効率を向上させることができる。その結果、発光装置1の輝度が向上する。
【0021】
支持樹脂10には、フィラー入りのエポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂を採用可能である。また、これらの樹脂に白色顔料を加えることによって、白色の支持樹脂10を実現できる。
【0022】
なお、第2の半導体層23の光取り出し面200を粗面化することにより、発光素子20の出射光が散乱され、出力光Lの輝度を向上させることができる。ただし、色安定性のために、光取り出し面200の粗面化を実施しなくてもよい。
【0023】
更に、
図1に示した発光装置1では、第1の半導体層21の主面に第1の反射層31が配置されている。このため、発光素子20から出射されて光取り出し面200とは逆方向に進行する出射光を、光取出し面200方向に反射させることができる。例えば、発光素子20から第1の電極41方向に進行した出射光や、光取り出し面200から第1の半導体層21側に反射された出射光を、第1の電極41の表面において反射する。
【0024】
このため、発光装置1によれば、出力光Lの輝度を向上することができる。特に、
図1に示した発光装置1では、第1の反射層31が第1の半導体層21の主面の略全体にわたって配置され、第1の電極41の第1の半導体層21と接続する面全体が第1の反射層31によって覆われている。このため、第1の電極41で出射光が吸収されず、発光効率の低下を抑制できる。
【0025】
第1の反射層31には、発光素子20からの出射光に対する反射率が高く、且つ、第1の半導体層21とオーミック接触の可能な導電性材料が使用される。例えば、銀パラジウム合金などの銀系合金など、白色系の金属膜が第1の反射層31の材料に好適に使用される。
【0026】
透光性樹脂60は、発光素子20の封止材及び発光装置1のレンズとして機能する。発光素子20の出射光を透過する樹脂であれば、透光性樹脂60に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を採用可能である。透光性樹脂60に透明樹脂を使用することによって、発光素子20の出射光と同色の出力光Lを発光装置1から出力できる。
【0027】
或いは、発光素子20の出射光によって励起されて励起光を放射する蛍光体を含有する蛍光体樹脂を透光性樹脂60に採用してもよい。透光性樹脂60に蛍光体樹脂を採用することにより、所望の色の出力光Lを発光装置1から出力できる。また、発光装置1から、発光素子20の出射光と励起光とが混色された出力光Lを出力させることも可能である。なお、
図3に示すように、蛍光体樹脂61と透明樹脂62とを積層して透光性樹脂60を構成してもよい。
【0028】
上記のように、発光装置1の出力光Lに対する所望の色に応じて、透光性樹脂60の構造、材料を任意に選択可能である。
【0029】
例えば、出射光が青色光の発光素子20を使用した場合に、青色光に励起されて黄色光を放射するイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)などを透光性樹脂60に含まれる蛍光体として用いる。このとき、発光素子20から出射された青色光の一部が蛍光体を励起することにより、黄色光に波長変換される。蛍光体から放射された黄色光と発光素子20から出射された青色光とが混合されることにより、白色の出力光Lが発光装置1から出力される。
【0030】
なお、白色の出力光Lを得るための発光素子20の出射光と蛍光体との組み合わせはこれに限られるものではない。例えば、近紫外光を出射する発光素子20と、近紫外光によって励起されて赤色光、緑色光、及び青色光を放射する蛍光体を透光性樹脂60に含有させてもよい。もちろん、発光装置1の出力光Lが白色光以外の場合にも、発光素子20の出射光と蛍光体との種々の組み合わせを採用可能である。透明樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを採用可能である。また、蛍光体樹脂として前記の透明樹脂に蛍光材料を混合したものなどを採用可能である。
【0031】
また、透光性樹脂60の各層に散乱剤を混入させてもよい。これにより透光性樹脂60内で光が散乱され、出力光Lの輝度が向上する。また、透光性樹脂60に蛍光体が含有される場合に、透光性樹脂60に散乱剤を混入することによって効率よく蛍光体を励起させることができる。
【0032】
本発明の第1の実施形態に係る発光装置1では、
図1に示すように、側面及び底面を覆う支持樹脂10によって、発光素子20を構成する半導体層からなる積層構造体が支持されている。つまり、シリコン基板などの支持基板によって発光素子20を支持する必要がない。このため、発光素子20からの出射光を吸収する支持基板を備えない発光装置1の出力光Lの輝度は、支持基板を有する発光装置と比べて高い。
【0033】
また、発光装置1では、支持基板を介さずに第1の電極41と第1の半導体層21とを接続することにより、第1の電極41と第1の半導体層21間の電気抵抗を低減することができる。このため、発光素子20の順方向電圧Vfの低減が可能である。更に、p型半導体層である第1の半導体層21の面積を広くすることにより、電気抵抗が更に低減される。
【0034】
また、発光装置1では、発光素子20の半導体層で発生した熱を支持基板を介さずに効率よく外部に放熱できる。これにより、発光装置1の特性の劣化が抑制され、信頼性が向上する。
【0035】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る発光装置1では支持樹脂10によって発光素子20が支持されるため、支持基板のない発光素子20を使用可能である。このため、発光装置1は小型化が容易である。また、発光素子20からの出射光が支持基板によって吸収されず、更に、第1の反射層31によって反射されて第1の電極41での出射光の吸収が抑制される。その結果、発光装置1によれば、小型化が容易であり、且つ発光効率の低下が抑制された発光装置を提供できる。本発明者らの検討によれば、支持基板を有し、且つ第1の反射層31が第1の半導体層21上に配置されない発光装置と比べて、
図1に示した発光装置1の輝度は2倍程度に向上する。
【0036】
以下に、
図4〜
図14を参照して、本発明の第1の実施形態に係る発光装置1の製造方法を説明する。なお、以下に述べる発光装置1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
【0037】
まず、
図4に示すように、犠牲基板100上に発光素子20を構成する各層をエピタキシャル成長法などによって形成する。具体的には、第2の半導体層23、発光層22及び第1の半導体層21を犠牲基板100上に順次積層する。
【0038】
次に、
図5に示すように、第2の半導体層23、発光層22及び第1の半導体層21を貫通し、先端が犠牲基板100に達する分離溝110を形成する。この分離溝110は、後述するように発光装置1の素子分離に利用される。次いで、
図6に示すように、第1の半導体層21及び発光層22の一部を除去して、第2の半導体層23の一部を露出させる。この露出された部分が延伸領域231である。そして、第1の半導体層21の主面の略全域に、第1の反射層31を形成する。次いで、第1の反射層31の上面に第1の電極41の接続部411を形成する。また、延伸領域231上に第2の電極42の接続部421を形成する。
【0039】
接続部411及び接続部421には、例えば、ニッケル(Ni)層と金(Au)層を積層したNi−Au膜などを採用可能である。或いは、接続部411及び接続部421の半導体層と接触する部分のみにNi−Au膜などを使用し、他の部分を銅(Cu)膜としてもよい。Ni−Au膜のNi層は発光素子20の素子電極との接合に寄与し、Au層は第1の電極41及び第2の電極42の酸化防止に寄与する。
【0040】
その後、
図7に示すように、第2の半導体層23の延伸領域231上及び第1の半導体層21上に、接続部411及び接続部421を覆って絶縁膜50を形成する。
【0041】
そして、
図8に示すように、絶縁膜50の一部を選択的に除去して、接続部411が底部に露出したコンタクト孔501と、接続部421が底部に露出したコンタクト孔502を形成する。そして、
図9に示すように、コンタクト孔501及びコンタクト孔502を埋め込むようにして、第1の電極41と第2の電極42それぞれの絶縁膜50を貫通する部分である貫通部412と貫通部422を形成する。貫通部412及び貫通部422には、例えば銅(Cu)材などが使用される。例えば、貫通部412及び貫通部422に膜厚の厚い銅めっきを採用することによって、発光素子20で発生する熱の放熱性が向上する。
【0042】
次いで、
図10に示すように、分離溝110を埋め込むようにして、絶縁膜50や貫通部412、貫通部422を覆って支持樹脂10を形成する。支持樹脂10の形成には、例えばトランスファーモールド(TRM)法などを採用可能である。なお、支持樹脂10と発光素子20との密着性を向上させるために、半導体層の表面に薄く有機膜や無機膜をコーティングする表面処理を行ってもよい。
【0043】
その後、
図11に示すように、支持樹脂10の厚みが所定値になるまで、支持樹脂10の表面を膜厚方向にバックグラインド工程によってエッチングする。
【0044】
更に、支持樹脂10の表面の一部を選択的にエッチング除去して、貫通部412と貫通部422の上面を露出させる。そして、
図12に示すように、貫通部412と接続する露出部413と、貫通部422に接続する露出部423を形成する。露出部413及び露出部423は、発光装置1の実装時に外部電極として使用される。この外部電極は、例えばプリント基板などに発光装置1を実装する場合などに、プリント基板の電極と発光装置1との電気的な接続に使用される。
【0045】
その後、
図13に示すように、犠牲基板100を除去する。なお、
図13〜
図14では、
図12までとは図面の向きを上下反転している。例えばバックグラインド工程によって、犠牲基板100を除去する。これにより、第2の半導体層23の表面が露出する。この後、露出した第2の半導体層23の表面を粗面化してもよい。
【0046】
次いで、
図14に示すように、第2の半導体層23上に透光性樹脂60を形成する。透光性樹脂60の形成には、TRM法などを採用可能である。その後、
図14に破線で示したように、ダイス分離工程において分離溝110に形成された支持樹脂10を垂直方向に切断する。以上により、
図1に示す発光装置1が完成する。
【0047】
上記のような本発明の第1の実施形態に係る発光装置1の製造方法によれば、発光素子20が支持樹脂10によって支持され、第1の半導体層21上に第1の反射層31が配置された発光装置1が製造される。これにより、支持基板がなく小型化が容易で、且つ、第1の反射層31での出射光の反射によって発光効率の低下が抑制された発光装置1を提供することができる。
【0048】
なお、シリコン基板を発光装置の支持基板に使用した場合、シリコン基板による光吸収によって発光効率が低下する。しかし、発光装置1では安価なシリコン基板を犠牲基板100に使用することによって製造コストを下げつつ、シリコン基板を除去した構造によって発光効率を向上できる。シリコン基板を犠牲基板100に使用した場合、エッチングや研磨などによって、容易に犠牲基板100を除去できる。
【0049】
<第1の変形例>
本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る発光装置1を、
図15に示す。
図15に示した発光装置1は、第2の電極42の第2の半導体層23と対向する主面に配置され、発光素子20からの出射光を反射する第2の反射層32を更に備える。第2の反射層32は、第2の半導体層とオーミック接触し、且つ導電性を有する材料が使用される。したがって、第2の半導体層23がn型半導体層である場合には、n型半導体層とオーミック接触する金属膜などが第2の反射層32に使用される。
【0050】
図15に示した発光装置1によれば、発光素子20からの出射光が、第1の反射層31と共に第2の反射層32によって反射される。例えば、光取り出し面200から第2の半導体層23側に反射された出射光を、第2の電極42の表面において反射する。これにより、出射光が第2の電極42に吸収されることが防止され、発光装置1の発光効率を更に向上できる。
【0051】
第2の電極42の主面上に第2の反射層32を配置するためには、例えば
図6を参照して説明した工程において、延伸領域231上に第2の電極42の接続部421を形成する前に延伸領域231上に第2の反射層32を形成する。その後、第2の反射層32上に接続部421を形成する。第1の反射層31と第2の反射層32とが同一材料である場合には、第1の反射層31と同時に第2の反射層32を形成できる。
【0052】
<第2の変形例>
図16に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る発光装置1を示す。
図16に示した発光装置1では、支持樹脂10の凹部の内壁面に側壁反射膜35が配置されている。これにより、発光素子20から出射された光が支持樹脂10の凹部の内壁面においても反射する。その結果、発光装置1の出力光Lを更に明るくすることができる。
【0053】
支持樹脂10の凹部の内壁面に側壁反射膜35を配置するためには、例えば
図10に示した分離溝110を支持樹脂10で埋め込む工程の前に、分離溝110の側面に露出した発光素子20の側面及び絶縁膜50の側面に側壁反射膜35を形成する工程を追加する。このとき、発光素子20の側面と側壁反射膜35との間に、絶縁ために絶縁膜50を形成しておく。側壁反射膜35には、例えばAl膜、Al合金膜、Ag膜、Ag合金膜などを採用可能である。なお、
図15に示した発光装置1と同様に、第2の電極42上に第2の反射層32を配置してもよい。
【0054】
<第3の変形例>
図17に、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係る発光装置1を示す。
図17に示した発光装置1では、支持樹脂10の凹部の側壁面が底面に対して傾斜している。つまり、支持樹脂10の凹部が、底部で狭く開口部で広いテーパ形状である。これにより、発光素子20から凹部の側壁面方向に出射された光が、光取り出し面200に向けて効率的に反射される。なお、
図15に示した発光装置1と同様に第2の電極42上に第2の反射層32を配置してもよいし、
図16に示した発光装置1と同様に凹部の内壁面に側壁反射膜35を配置してもよい。
【0055】
支持樹脂10の凹部の側壁面を傾斜させるためには、例えば
図5に示した分離溝110の形成工程において、
図18に示すように開口部で広く底部で狭いように分離溝110を台形状に形成する。
【0056】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る発光装置1は、
図19に示すように、第1の半導体層21の主面の法線方向から見て第1の反射層31が櫛形状である。即ち、第1の半導体層21の主面の略前面に第1の反射層31が配置された第1の実施形態と比べて、第1の半導体層21の主面が第1の反射層31を介さずに支持樹脂10の凹部底面と対向する領域が広い。
【0057】
図19に示した発光装置1では、櫛形状の第1の反射層31において発光素子20からの出射光が反射されると共に、第1の反射層31の櫛の歯部分を通過した出射光が支持樹脂10の内壁面で反射される。なお、第1の反射層31の櫛の柄部分に形成されたコンタクト領域311おいて、第1の電極41と第1の半導体層21とが電気的に接続される。
【0058】
第1の電極41の接続部411は、第1の反射層31の形状に合わせて櫛形状に形成してもよい。
図20に、
図19のII−II方向に沿った第1の電極41及び第1の反射層31の断面形状を示す。一方、
図19のI−I方向に沿った第1の反射層31及び第1の電極41の断面構造は、
図1と同様である。
【0059】
第2の実施形態に係る発光装置1は、例えば以下のようにして製造される。即ち、
図6を参照して説明した第1の反射層31及び第1の電極41の接続部411を形成する工程において、フォトリソグラフィ技術などを用いて第1の反射層31及び接続部411を櫛形状にパターニングする。そして、
図9に示した第1の電極41の貫通部412をコンタクト領域311上に形成する。これにより、櫛形状の第1の反射層31を有する発光装置1が製造される。
【0060】
なお、第2の反射層32も第1の反射層31と同様に形成可能である。
図19は第2の反射層32を配置した例である。
図9に示した第2の電極42の貫通部422をコンタクト領域321上に形成することによって、第2の電極42と第2の半導体層23とが電気的に接続される。
【0061】
第1の実施形態のように第1の反射層31によって第1の半導体層21の主面の実質的に全面を覆った場合、発光装置1の出力光Lの輝度を高くすることができる。しかしながら、出力光Lの照射によって茶色や黄色に変色するなどの光劣化が支持樹脂10に発生する場合がある。その場合、支持樹脂10の反射率の低下が進むなどの信頼性の問題が生じる。
【0062】
これに対し、
図19に示した櫛形状の第1の反射層31を有する発光装置1では、第1の実施形態に係る発光装置1ほどは輝度が高くならない。このため、支持樹脂10の光劣化が抑制される。したがって、輝度の低い低パワー系の発光装置1には、櫛形状の第1の反射層31が好適に使用される。なお、第1の反射層31の配置されていない領域を進行した出射光は、支持樹脂10の凹部の内壁面で反射される。このため、第1の反射層31が櫛形状の場合にも出力光Lの輝度が著しく低下することはなく、一定の輝度を確保できる。
【0063】
一方、輝度の高い高パワー系の発光装置1の場合には、第1の実施形態のように第1の反射層31によって第1の半導体層21の主面の全面を覆うことが好ましい。
【0064】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る発光装置1は、
図21に示すように、第2の電極42が、発光素子20を挟んで第1の電極41に対向して配置されている。即ち、第2の電極42が発光装置1の光取り出し面200側に配置されていることが第1の実施形態と異なる点である。
【0065】
具体的には、
図21に示した発光装置1では、支持樹脂10の上部に設けられた凹部に、第1の半導体層21、発光層22及び第2の半導体層23が順に積層されている。そして、第1の半導体層21の底面上に第1の反射層31が配置され、第1の電極41が支持樹脂10の凹部の下部に埋め込まれて第1の反射層31に接続している。一方、第2の半導体層23上に、支持樹脂10の凹部に蓋をするように透光性樹脂60が配置されている。そして、透光性樹脂60に設けられた開口部において、透光性樹脂60上に配置された第2の電極42と第2の半導体層23とが接続されている。
【0066】
図21に示した発光装置1では、
図1に示した発光装置1に比べて第1の電極41の面積を広くすることができる。このため、第1の半導体層21がp型半導体層である場合に、第1の半導体層21と第1の電極41間の電気抵抗が低減され、発光素子20の順方向電圧Vfを小さくできる。更に、発光素子20で発生する熱の放熱性が向上する。
【0067】
図22〜
図26を参照して、
図21に示した発光装置1の製造方法を説明する。なお、以下に述べる発光装置1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。
【0068】
図4〜
図6を参照して説明した方法と同様にして、犠牲基板100上に第2の半導体層23、発光層22及び第1の半導体層21を順次積層した後、分離溝110を形成する。その後、
図22に示すように、第1の半導体層21上に第1の反射層31を形成し、第1の反射層31上に第1の電極41を形成する。第1の電極41の材料は、例えば第1の反射層31と接触する部分をNi−Au膜とし、他の部分を銅膜とする。
【0069】
次いで、
図23に示すように、分離溝110を埋め込むようにして、第1の電極41を覆って支持樹脂10を形成する。そして、
図24に示すように、第1の電極41の表面が露出するまで、支持樹脂10の表面をバックグラインド工程によってエッチングする。
【0070】
その後、
図25に示すように、犠牲基板100を除去する。なお、
図25〜
図26では、
図24までとは図面の向きを上下反転している。例えばバックグラインド工程によって犠牲基板100を除去して、第2の半導体層23の表面を露出させる。この後、露出した第2の半導体層23の表面を粗面化してもよい。
【0071】
次に、第2の半導体層23上に透光性樹脂60を形成する。そして、
図26に示すように、透光性樹脂60の一部を選択的に除去して開口部600を設け、第2の半導体層23の表面の一部を露出させる。そして、透光性樹脂60の開口部600を埋め込んで第2の電極42を形成する。第2の電極42の材料は、例えば第1の反射層31と接触する部分をNi−Au膜とし、他の部分を銅膜とする。次いで、
図26に破線で示したように、ダイス分離工程において分離溝110に形成された支持樹脂10を垂直方向に切断する。
【0072】
以上により、第2の電極42が第2の半導体層23上に配置され、第1の電極41と第2の電極42とが発光素子20を挟んで配置された、
図21に示した発光装置1が完成する。
【0073】
本発明の第3の実施形態に係る発光装置1によれば、第1及び第2の実施形態に係る発光装置1よりも製造工程を削減することができる。つまり、支持基板がなく小型化が容易で、且つ発光効率の向上した発光装置1を容易に製造することができる。他は、第1及び第2の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
【0074】
例えば、第2の電極42の発光素子20と対向する主面に、発光素子20からの出射光を反射する第2の反射層32を配置してもよい。第2の反射層32は第2の半導体層23とオーミック接触し、且つ導電性を有する材料を選択する。第2の反射層32により、第2の電極42の表面に進行した光は、第2の電極42で吸収されずに反射される。第2の反射層32で反射された光は、例えば第1の反射層31によって更に反射されて発光装置1の外部に出力される。このようにして、発光装置1の輝度の低下が抑制される。
【0075】
また、
図16に示した発光装置1と同様に、支持樹脂10の凹部の内壁面に側壁反射膜35を配置してもよい。更に、
図17に示した発光装置1と同様に、支持樹脂10の凹部をテーパ形状にしてもよい。また、第2の実施形態と同様に、第1の反射層31を櫛形状に形成してもよい。
【0076】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0077】
例えば、支持樹脂10の凹部に埋め込まれた発光素子20が1つである例を示したが、発光装置1が複数の発光素子20を備えてもよい。
【0078】
また、
図1では透光性樹脂60が平板形状の角型である例を示したが、透光性樹脂60の形状は角型に限られない。発光装置1に要求される配光特性に応じて、透光性樹脂60の形状を任意に設定できる。例えば、透光性樹脂60の形状が
図27に示すように逆円錐型であったり、
図28に示すようにドーム型であったりしてもよい。
【0079】
なお、透光性樹脂60の形状が角型の場合には、
図1に示すように出力光Lは発光装置1の上方に放射状に出力される。これに対し、透光性樹脂60の形状が逆円錐型の場合には、
図27に示したように、出力光Lは発光装置1の上方に更に放射状に広がって出力される。また、透光性樹脂60の形状がドーム型の場合には、
図28に示したように、出力光Lは透光性樹脂60の頂点方向に出力される。
【0080】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。