特許第6361341号(P6361341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361341
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】見守り装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20180712BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20180712BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A61G7/05
   G08B21/02
   G08B25/04 K
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-143903(P2014-143903)
(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-19584(P2016-19584A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】政木 康生
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康也
(72)【発明者】
【氏名】石本 好一
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−290154(JP,A)
【文献】 特開平07−320181(JP,A)
【文献】 特開2005−304942(JP,A)
【文献】 特開2000−325409(JP,A)
【文献】 特開2007−190269(JP,A)
【文献】 特開2008−206868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00− 7/16,
12/00
G08B 19/00−31/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床上の被見守り者を見守る見守り装置であって、
前記寝床上の複数の領域における前記被見守り者の動きをそれぞれ検出する複数の検出部を含む第1のセンサと、
前記寝床上における前記被見守り者の存否を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの出力信号である第1の信号及び前記第2のセンサの出力信号である第2の信号に基づいて、前記被見守り者の状態を判定し、前記状態を示す状態信号を出力する制御部とを備え
前記複数の領域は、前記寝床上の中央の領域と、前記寝床上の端部の領域とを含み、
前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居る時間が所定時間以上であることを検知し、かつ、前記第1の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上の中央の領域から前記寝床上の端部の領域へ移動したことを検知した場合に、前記被見守り者が離床準備状態であることを示す前記状態信号を出力する
見守り装置。
【請求項2】
寝床上の被見守り者を見守る見守り装置であって、
前記寝床上の複数の領域における前記被見守り者の動きをそれぞれ検出する複数の検出部を含む第1のセンサと、
前記寝床上における前記被見守り者の存否を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの出力信号である第1の信号及び前記第2のセンサの出力信号である第2の信号に基づいて、前記被見守り者の状態を判定し、前記状態を示す状態信号を出力する制御部とを備え
前記複数の領域は、前記寝床上の中央の領域と、前記寝床上の端部の領域とを含み、
前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居ること、及び、前記被見守り者が前記寝床上に居る時間が所定時間未満であることを検知し、かつ、前記第1の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上の端部の領域から前記寝床上の中央の領域へ移動したことを検知した場合に、前記被見守り者が帰床状態であることを示す前記状態信号を出力する
見守り装置。
【請求項3】
前記寝床上の環境を検出する第3のセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第3のセンサの出力信号である第3の信号に基づいて、前記寝床上の環境が、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサを使用可能な環境であることを検知した場合に、前記被見守り者の状態を判定する
請求項1又は2に記載の見守り装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居ないことを検知した場合に、前記複数の検出部の少なくとも一部の動作を停止させる
請求項1〜のいずれか1項に記載の見守り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝床上の被見守り者を見守る見守り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設、介護施設などでは、患者、入居者などの被見守り者が横臥するベッド付近にナースコールボタンが備えられている。被見守り者が離床したい場合には、被見守り者が当該ナースコールボタンを押すことによって、看護師などの見守り者を呼び出す。そして、被見守り者は、駆けつけた見守り者の介助を受けて安全に離床することができる。
【0003】
しかしながら、被見守り者は、ナースコールボタンを押すことなく、自力でベッドを離れようとすることがある。その場合、被見守り者が離床後に転倒するなどの事故が発生する可能性がある。そこで、従来から、被見守り者の離床を検知するために、ベッド付近に敷かれた離床センシング用のマットを用いる見守り装置が知られている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−94525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された見守り装置においては、ベッド付近の床に離床センシング用のマットを敷いて、被見守り者が離床時に当該マットを踏んだことを検知して、見守り者に通報しようとしている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された離床センシング用のマットを用いても、被見守り者が当該マットを踏む前に、ベッドから転落する事故を防ぐことはできない。したがって、被見守り者の安全を十分に確保するためには、被見守り者の離床を事後的に検知することだけでなく、被見守り者のベッド上での状態を把握して、離床を事前に検知することも必要とされる。また、ベッド以外の布団などの寝床上における被見守り者を見守る場合にも、離床をなるべく早く検知するために、被見守り者の寝床上での状態を把握して、離床を事前に検知することが望ましい。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、被見守り者の寝床上での状態を高い確度で判定できる見守り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る見守り装置は、寝床上の被見守り者を見守る見守り装置であって、前記寝床上の複数の領域における前記被見守り者の動きをそれぞれ検出する複数の検出部を含む第1のセンサと、前記寝床上における前記被見守り者の存否を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサの出力信号である第1の信号及び前記第2のセンサの出力信号である第2の信号に基づいて、前記被見守り者の状態を判定し、前記状態を示す状態信号を出力する制御部とを備える。
【0009】
これにより、被見守り者の寝床上における状態を高い確度で判定できる。例えば、本発明の一態様に係る見守り装置においては、寝床上における被見守り者の存否だけでなく、動きについても判定できる。また、被見守り者の寝床上での動きが検出されない場合でも、被見守り者が、不在であるか、あるいは、寝床上で静止しているか、を判別できる。
【0010】
例えば、前記複数の領域は、前記寝床上の中央の領域と、前記寝床上の端部の領域とを含んでもよい。
【0011】
これにより、被見守り者の動きの方向を判定することができる。したがって、被見守り者の、寝床の中央から端部への移動を検知すれば、寝床から離れようとしていることなどの判定を行うことができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居る時間が所定時間以上であることを検知し、かつ、前記第1の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上の中央の領域から前記寝床上の端部の領域へ移動したことを検知した場合に、前記被見守り者が離床準備状態であることを示す前記状態信号を出力してもよい。
【0013】
これにより、被見守り者が離床の準備をしている状態(離床準備状態)であることを判定できる。したがって、見守り装置から離床準備状態を示す状態信号が出力されたことを見守り者に通知することにより、見守り者は被見守り者の離床をいち早く検知することができるため、事故などの発生が抑制される。さらに、見守り装置では、第2のセンサによって、被見守り者が寝床上に所定時間以上居ることを検知していることを条件として離床準備状態であることを示す状態信号を出力している。これにより、被見守り者が不在であるときに、見守り者などが寝床を整えるなどの作業を行っている場合などに、誤って離床準備状態と判定することが低減される。
【0014】
また、前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居ること、及び、前記被見守り者が前記寝床上に居る時間が所定時間未満であることを検知し、かつ、前記第1の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上の端部の領域から前記寝床上の中央の領域へ移動したことを検知した場合に、前記被見守り者が帰床状態であることを示す前記状態信号を出力してもよい。
【0015】
これにより、離床していた被見守り者が寝床に戻った状態(帰床状態)であることを判定できる。したがって、見守り装置から帰床状態を示す状態信号が出力されたことを見守り者に通知することにより、見守り者は被見守り者の帰床をいち早く検知することができる。さらに、見守り装置では、第2のセンサによって、被見守り者がベッド上に居る時間が所定時間未満であることを検知していることを条件として帰床状態であることを示す状態信号を出力している。これにより、被見守り者が不在でなかったにも関わらず、被見守り者の動きだけによって誤って帰床状態と判定されることが低減される。
【0016】
また、前記寝床上の環境を検出する第3のセンサをさらに備え、前記制御部は、前記第3のセンサの出力信号である第3の信号に基づいて、前記寝床上の環境が、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサを使用可能な環境であることを検知した場合に、前記被見守り者の状態を判定してもよい。
【0017】
これにより、第1のセンサが被見守り者の動きを検出できない環境である場合に、見守り装置の制御部が被見守り者の状態を判定して、誤った情報を出力することが低減される。
【0018】
また、前記制御部は、前記第2の信号に基づいて、前記被見守り者が前記寝床上に居ないことを検知した場合に、前記複数の検出部の少なくとも一部の動作を停止させてもよい。
【0019】
これにより、第1のセンサによる電力消費量、及び、制御部における信号処理量を低減することができる。
【0020】
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える見守り装置として実現することができるだけでなく、見守り装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする見守り方法として実現することができる。また、見守り装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは見守り装置の制御方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、被見守り者の寝床上での状態を高い確度で判定できる見守り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係る見守り装置の設置例を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る見守り装置を水平方向に見た場合における各センサの検知領域を示す図である。
図3】実施の形態1に係る見守り装置を上方から見た場合における検出部の検知領域を示す図である。
図4】実施の形態1に係る見守り装置を上方から見た場合における第2のセンサの検知領域を示す図である。
図5】実施の形態に係る見守り装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係る見守り装置の動作を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る見守り装置の第1の信号及び第2の信号の時間波形の一例を模式的に示した図である。
図8】実施の形態2に係る見守り装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0024】
(実施の形態1)
[見守り装置の設置例]
まず、実施の形態1に係る見守り装置の設置例について図1〜4を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る見守り装置の設置例を示す斜視図である。
【0026】
図2は、本実施の形態に係る見守り装置を水平方向に見た場合における各センサの検知領域を示す図である。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る見守り装置を上方から見た場合における検出部の検知領域を示す図である。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る見守り装置を上方から見た場合における第2のセンサの検知領域を示す図である。
【0029】
図1に示されるように、本実施の形態に係る見守り装置10は、被見守り者が横臥するためのベッド100(寝床)の近傍に配置される。本実施の形態においては、見守り装置10は、ベッド100の長辺方向端部の上方に配置されている。
【0030】
また、見守り装置10は、図1に示されるように、ベッド100の短辺方向にアレイ状に配置された四つの検出部111、112、113及び114から構成される第1のセンサ11、第2のセンサ12、並びに、第3のセンサ13を備える。
【0031】
第1のセンサ11は、ベッド100上における被見守り者の動きを検出するためのセンサであり、ベッド100の上面の四つの領域における被見守り者の動きをそれぞれ検出する四つの検出部111、112、113及び114を含む。図2及び図3において、点線で示されるように、検出部111、112、113及び114は、それぞれ、ベッド100の上方の空間を短辺方向において分割した空間における見守り者の動きを検出する。すなわち、検出部111、112、113及び114は、それぞれ、図3において破線で囲まれた領域A、B、C及びD上における被見守り者の動きを検出する。本実施の形態においては、各検出部は、焦電型人感センサから構成される。なお、本実施の形態においては、四つの検出部を用いる例を示すが、検出部の個数はこれに限られない。検出部の個数は三つ以上であればよい。
【0032】
第2のセンサ12は、被見守り者の存否を検出するためのセンサであり、本実施の形態においては、被見守り者の体動を検出できるミリ波ドップラーレーダから構成される。また、第2のセンサ12が検出できる領域は、図2及び図4において一点鎖線で示されるようなベッド100上の空間である。すなわち、第2のセンサ12は、図4に示される破線で囲まれた領域E上における被見守り者の存在を検出する。ミリ波ドップラーレーダから構成される第2のセンサ12を用いて、ベッド100上の領域Eにおける被見守り者の体動を検出することによって、ベッド100上における被見守り者の存否を検出することができる。
【0033】
第3のセンサ13は、ベッド100上の環境温度を検出する温度センサである。第3のセンサ13は、第1のセンサ11による検出の可否を検知するために備えられる。例えば、空調設備の故障などにより、ベッド100上の環境温度が被見守り者の体温程度となる場合、被見守り者とベッド100上面との温度差が小さくなるため、第1のセンサ11によって、被見守り者の動きを検出できない可能性がある。そこで、第3のセンサ13は、ベッド100上の環境温度が体温程度(例えば35〜37℃程度)となった場合に、第1のセンサ11によって被見守り者の動きを検出できないことを示す信号を出力する。
【0034】
[見守り装置の機能構成]
次に、本実施の形態に係る見守り装置10の機能構成について図5を参照しながら説明する。
【0035】
図5は、本実施の形態に係る見守り装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0036】
図5に示されるように、見守り装置10は、第1のセンサ11、第2のセンサ12、第3のセンサ13、通信部14、制御部16及び出力部18を備える。なお、図5には、見守り装置10から被見守り者の状態を示す状態信号が入力されるナースコールシステム50も合わせて示されている。
【0037】
第1のセンサ11、第2のセンサ12及び第3のセンサ13については、上述したとおりである。
【0038】
通信部14は、各センサから入力された出力信号を制御部16に出力し、かつ、制御部16から入力された制御信号を各センサへ出力する処理部である。
【0039】
制御部16は、通信部14から入力された各センサの出力信号に基づいて、被見守り者の状態を判定し、当該状態を示す状態信号を出力部18に出力する処理部である。また、制御部16は、各センサの動作の制御を行うための制御信号を、通信部14を介して各センサに伝える。また、制御部16は、内部にメモリを備え、当該メモリに各センサの出力信号及び状態信号の少なくとも一方を一時的に記録することで、一定期間の被見守り者の状態の履歴を残して状態の判定に利用する。
【0040】
出力部18は、制御部16から出力された被見守り者の状態を示す状態信号を外部に出力するための処理部である。本実施の形態においては、状態信号をナースコールシステム50に出力する例が示されている。ナースコールシステム50が、見守り者に被見守り者の状態を通知することにより、見守り者が被見守り者の状態を見守ることができる。
【0041】
ナースコールシステム50は、見守り装置10から被見守り者の状態を示す状態信号を受けて、見守り者に通知するシステムである。
【0042】
[見守り装置の動作]
次に、見守り装置10の動作について図6を参照しながら説明する。
【0043】
図6は、本実施の形態に係る見守り装置10の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図6に示されるように、見守り装置10の制御部16は、通信部14を介して第3のセンサ13から出力される第3の信号を受信する。そして、制御部16は第3の信号に基づいてベッド100上の環境温度を検知し、第1のセンサ11によって被見守り者の動きを検出できるか否か、すなわち、被見守り者の状態を判定できるか否かを判断する(S10)。ここで、制御部16は、環境温度が体温程度であることを検知すると、状態の判定をできる環境でないと判断して(S10でNo)、状態の判定を終了する。一方、制御部16は、環境温度が体温程度でないことを検知すると、状態を判定できる環境であると判断して(S10でYes)、状態の判定を続ける。
【0045】
次に、制御部16は、通信部14を介して第2のセンサ12から出力される第2の信号を受信する。そして、制御部16は、第2の信号に基づいて、被見守り者がベッド100上に居ないことを検知した場合(S11でNo)、被見守り者が不在であることを示す状態信号を出力する(S21)。一方、制御部16は、第2の信号に基づいて、被見守り者がベッド100上に居ることを検知した場合(S11でYes)、制御部16のメモリに記録された状態信号の履歴から、被見守り者がベッド100上に居る時間が所定時間以上であるか否かを判断する(S12)。ここで、当該所定時間は、被見守り者がベッド100上に入って間もないか否かを判断するための閾値である。当該所定時間は、特に限定されないが、例えば、10分としてよい。
【0046】
制御部16は、被見守り者が所定時間以上ベッド100上に居ると判断しなかった場合(S12でNo)、通信部14を介して第1のセンサ11から出力される第1の信号を受信する。制御部16は、第1の信号に基づいて、ベッド100上の端部の領域(図3の領域A及び領域D)から中央の領域(図3の領域B及び領域C)への被見守り者の動きがあるか否かを判断する(S14)。ここで、制御部16は、被見守り者のベッド100上の端部の領域から中央の領域への動きがあると判断した場合(S14でYes)、被見守り者がベッド100に戻ったこと(以下、「帰床」という)を示す状態信号を出力する(S19)。一方、制御部16は、ベッド100上の端部の領域から中央の領域への被見守り者の動きがあると判断しなかった場合(S14でNo)、被見守り者がベッド100の端部付近において帰床の準備(以下、「帰床準備」という)をしていることを示す状態信号を出力する(S20)。ここで、ベッド100上の端部の領域から中央の領域への動きがあると判断しない場合としては、例えば、被見守り者が端部の領域に留まっている場合などがある。なお、この場合、各センサは、短時間ベッド100上に存在し得る見守り者などの動きを検出している可能性もある点に留意する必要がある。例えば、被見守り者がベッド100上に居ないときに、見守り者がベッド100を整える場合にも、各センサは同様の信号を出力する。
【0047】
また、制御部16は、被見守り者が所定時間以上ベッド100上に居ると判断した場合(S12でYes)、通信部14を介して第1のセンサ11から出力される第1の信号を受信する。制御部16は、第1の信号に基づいて、ベッド100上における被見守り者の動きがないと判断した場合(S13でNo)、被見守り者が安静状態であることを示す状態信号を出力する(S18)。なお、ここで、「安静状態」との記載によって、横臥している状態で静止している場合だけでなく、ベッド100上で座った状態で静止している場合など、ベッド100上の中央の領域でほぼ静止している全ての状態が含まれ得る。
【0048】
また、制御部16は、第1の信号に基づいて、ベッド100上における被見守り者の動きがあると判断した場合(S13でYes)、さらに、ベッド100上の中央の領域から端部の領域への被見守り者の動きがあるか否かを判断する(S15)。ここで、制御部16は、ベッド100上の中央の領域から端部の領域への被見守り者の動きがあると判断した場合(S15でYes)、被見守り者が離床準備をしている状態であることを示す状態信号を出力する(S16)。一方、制御部16は、ベッド100上の中央の領域から端部の領域への被見守り者の動きがあると判断しなかった場合(S15でNo)、被見守り者が寝返りを打っている状態であることを示す状態信号を出力する(S17)。
【0049】
以上の動作が完了すると、状態の判定を終了する。なお、このような判定は、所定の周期で定期的に行われる。当該周期は、被見守り者の容体などに応じて適宜決定されればよく、例えば、10秒程度としてもよい。
【0050】
ここで、第1のセンサ11及び第2のセンサ12からそれぞれ出力される第1の信号及び第2の信号の波形と被見守り者の状態との関係について図7を用いて説明する。
【0051】
図7は、本実施の形態に係る見守り装置10の第1の信号及び第2の信号の時間波形の一例を模式的に示した図である。
【0052】
まず、図7の期間T1について説明する。図7に示されるように、被見守り者が帰床する場合、第2のセンサ12から大きな振幅の信号が出力される。さらに、第1のセンサ11の、端部の領域Dに対応する検出部114、中央部の領域Cに対応する検出部113、中央部の領域Bに対応する検出部112から、順に、被見守り者の動きに対応する信号が出力される。これらの信号に対応する第1の信号及び第2の信号が制御部16に伝えられることにより、制御部16は、被見守り者が帰床したことを示す状態信号を出力する。
【0053】
次に、図7の期間T2及びT4について説明する。図7に示されるように、被見守り者が、ベッド100上で安静状態である場合には、第1のセンサ11の信号は、ほぼ変動せず、第2のセンサ12は、被見守り者がベッド100上に安静状態で居ることを示す小さい振幅の信号を出力する。これらの信号に応じて、制御部16は、被見守り者が安静状態であることを示す状態信号を出力する。
【0054】
次に、図7の期間T3について説明する。当該期間の開始時点で被見守り者が所定時間以上ベッド100上に居ると仮定する。図7に示されるように、被見守り者が寝返りを打っている場合には、第1のセンサ11から、中央の領域B及びCにおける被見守り者の動きを示す第1の信号が出力される。さらに、第2のセンサ12からベッド100上に被見守り者が居ることを示す第2の信号が出力される。ここで、第1の信号が示す被見守り者の動きは中央の領域から端部の領域への動きとは認められないので、制御部16は、当該信号、第2の信号、及び、メモリに記録された履歴情報に基づいて、被見守り者が寝返りを打っている状態であることを示す状態信号を出力する。
【0055】
最後に、図7の期間T5について説明する。当該期間の開始時点においても被見守り者が所定時間以上ベッド100上に居ると仮定する。図7に示されるように、被見守り者が離床準備をしている場合には、第1のセンサ11から、被見守り者の中央の領域B及びCから端部の領域Dへの動きを示す第1の信号が出力される。さらに、第2のセンサ12からベッド100上に被見守り者が居ることを示す第2の信号が出力される。したがって、制御部16は、これらの各信号及びメモリに記録された履歴情報に基づいて、被見守り者が離床準備をしている状態であることを示す状態信号を出力する。
【0056】
[効果など]
以上に述べたように、本実施の形態に係る見守り装置10は、ベッド100上の複数の領域における被見守り者の動きをそれぞれ検出する複数の検出部を含む第1のセンサ11と、ベッド100上における被見守り者の存否を検出する第2のセンサ12とを備える。また、見守り装置10は、さらに第1のセンサ11の出力信号である第1の信号及び第2のセンサ12の出力信号である第2の信号に基づいて、被見守り者の状態を判定し、当該状態を示す状態信号を出力する制御部16とを備える。
【0057】
これにより、被見守り者のベッド100上における状態を高い確度で判定できる。例えば、本実施の形態に係る見守り装置10においては、ベッド100上における被見守り者の存否だけでなく、動きについても判定できる。また、被見守り者のベッド100上での動きが検出されない場合でも、被見守り者が、不在であるか、あるいは、ベッド100上で静止しているか、を判別できる。
【0058】
また、本実施の形態に係る見守り装置10において、上記複数の領域は、ベッド100上の中央の領域と、端部の領域とを含む。
【0059】
これにより、被見守り者の動きの方向を判定することができる。したがって、被見守り者の、寝床の中央から端部への移動を検知すれば、寝床から離れようとしていることなどの判定を行うことができる。
【0060】
また、制御部16は、被見守り者がベッド100上に居る時間が所定時間以上であることを検知し、かつ、被見守り者がベッド100上の中央の領域から端部の領域へ移動したことを検知した場合に、被見守り者が離床準備状態であることを示す状態信号を出力する。
【0061】
これにより、被見守り者が離床準備状態であることを判定できる。したがって、見守り装置10から離床準備状態を示す状態信号が出力されたことを見守り者に通知することにより、見守り者は被見守り者の離床をいち早く検知することができるため、事故などの発生が抑制される。さらに、見守り装置10では、第2のセンサ12によって、被見守り者がベッド100上に居る時間が所定時間以上であることを検知していることを条件として離床準備状態であることを示す状態信号を出力している。これにより、被見守り者が不在であるときに、見守り者などがベッド100を整えるなどの作業を行っている場合などに、誤って離床準備状態と判定することが低減される。
【0062】
また、制御部16は、被見守り者がベッド100上に居ること、及び、被見守り者がベッド100上に居る時間が所定時間未満であることを検知し、かつ、被見守り者がベッド100上の端部の領域から中央の領域へ移動したことを検知した場合に、被見守り者が帰床状態であることを示す状態信号を出力する。
【0063】
これにより、被見守り者が帰床状態であることを判定できる。したがって、見守り装置10から帰床状態を示す状態信号が出力されたことを見守り者に通知することにより、見守り者は被見守り者の帰床をいち早く検知することができる。さらに、見守り装置10では、第2のセンサ12によって、被見守り者がベッド100上に居る時間が所定時間未満であることを検知していることを条件として帰床状態であることを示す状態信号を出力している。これにより、被見守り者が不在でなかったにも関わらず、被見守り者の動きだけによって誤って帰床状態と判定されることが低減される。
【0064】
また、本実施の形態に係る見守り装置10において、ベッド100上の環境を検出する第3のセンサ13をさらに備え、制御部16は、第3のセンサ13の出力信号である第3の信号に基づいて、ベッド100上の環境が、第1のセンサ11及び第2のセンサ12を使用可能な環境であることを検知した場合に、被見守り者の状態を判定する。
【0065】
これにより、第1のセンサ11が被見守り者の動きを検出できない環境である場合に、見守り装置10の制御部16が被見守り者の状態を判定して、誤った情報を出力することが低減される。
【0066】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る見守り装置について説明する。
【0067】
本実施の形態に係る見守り装置は、センサの構成において、上記実施の形態1に係る見守り装置10と相違し、その他の構成において一致する。したがって、ここでは、主に、本実施の形態に係るセンサの構成について図8を参照しながら説明する。
【0068】
図8は、本実施の形態に係る見守り装置の機能構成を示すブロック図である。
【0069】
図8に示されるように、本実施の形態に係る見守り装置10aは、第1のセンサ11a、第2のセンサ12a、通信部14a、制御部16a及び出力部18aを備える。ここで、第1のセンサ11a、通信部14a、制御部16a及び出力部18aは、上記実施の形態1に係る見守り装置10の第1のセンサ11、通信部14、制御部16及び出力部18とそれぞれ同様の構成であるため説明を省略する。
【0070】
本実施の形態に係る見守り装置10aにおいては、第2のセンサ12aが、振動センサから構成され、第3のセンサが備えられない。
【0071】
第2のセンサ12aを構成する振動センサは、ベッド100の底部などに備えられて、ベッド100の振動を検出することにより、ベッド100上の被見守り者の存在を検知する。
【0072】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、第1のセンサ11a及び第2のセンサ12aからの各信号に基づいて、制御部16aが被見守り者の状態を示す状態信号が出力する。ただし、本実施の形態に係る見守り装置10aの動作は、第3のセンサによる判断を行わない点において、上記実施の形態1に係る見守り装置10の動作と異なる。
【0073】
したがって、本実施の形態に係る見守り装置10aにおいても、第3のセンサによる効果を除いて、上記実施の形態1に係る見守り装置10と同様の効果が得られる。
【0074】
さらに、本実施の形態に係る見守り装置10aにおいては、被見守り者の存否を検出するための第2のセンサ12aとして、振動センサを用いている。これにより、被見守り者が不在のときに見守り者などがベッド100付近で作業をする場合に、被見守り者がベッド100上に居ると誤って検出されることが、ミリ波ドップラーレーダなどを第2のセンサとして用いる場合より低減される。
【0075】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る見守り装置について説明する。
【0076】
本実施の形態に係る見守り装置は、第2のセンサの構成において、上記実施の形態2に係る見守り装置10aと相違し、その他の構成において一致する。したがって、ここでは、主に、第2のセンサについて説明する。
【0077】
本実施の形態に係る見守り装置においては、第2のセンサがマット状の圧力センサから構成される。
【0078】
第2のセンサを構成するマット状の圧力センサは、例えば、ベッド100のマットレスの下に敷かれ、当該マットレス上に被見守り者が乗った場合に印加される圧力を検出して、被見守り者の存在を検知する。
【0079】
本実施の形態においても、上記実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0080】
また、本実施の形態に係る見守り装置においては、被見守り者の存否を検出するための第2のセンサとして、マット状の圧力センサを用いている。これにより、被見守り者が不在のときに見守り者などがベッド100付近で作業をする場合に、被見守り者がベッド100上に居ると誤って検出されることが、ミリ波ドップラーレーダなどを第2のセンサとして用いる場合より低減される。
【0081】
(変形例など)
以上、本発明の各実施の形態に係る見守り装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記各実施の形態においては、見守り装置をベッド100に適用する例を示したが、見守り装置の適用対象は、ベッド100に限られない。見守り装置の適用対象は、被見守り者が横臥する寝床であればよく、例えば、床上などに敷かれる布団であってもよい。
【0083】
また、上記各実施の形態においては、第1のセンサが常時検出を行う構成を用いているが、第2の信号に基づいて、被見守り者が寝床上に居ないことを検知した場合に、第1のセンサの複数の検出部の少なくとも一部の動作を停止させてもよい。これにより、第1のセンサによる電力消費量、及び、制御部における信号処理量を低減することができる。
【0084】
また、上記実施の形態1においては、第3のセンサ13は、第1のセンサ11による検出の可否を検知するものであるが、第3のセンサはこれに限られない。第3のセンサは、第1のセンサ及び第2のセンサの少なくとも一方の検出の可否を検知できるものとしてもよい。
【0085】
また、上記各実施の形態においては、第1のセンサとして、焦電型人感センサを用いる例を示したが、第1のセンサはこれに限られない。第1のセンサとしては、被見守り者の動きを検出できる任意のセンサが使用可能である。例えば、第1のセンサとして、ベッド100の領域毎に分割されたマット状の圧力センサなどを利用することができる。
【0086】
また、上記各実施の形態においては、第1のセンサ及び第2のセンサをベッド100に設置する構成を示したが、各センサの設置位置はこれに限られない。各センサは、被見守り者を検出することができる任意の場所に設けられてよく、例えば天井などに設けられてもよい。
【0087】
また、上記各実施の形態においては、第2のセンサとして、ミリ波ドップラーレーダなどを用いる例を示したが、第2のセンサはこれらに限られない。例えば、第2のセンサとして、レーザ測距センサ、赤外線アレイセンサ、音響センサ(マイク)などを用いることができる。
【0088】
また、上記の見守り装置を構成する制御部、通信部及び出力部は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0089】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムを含む。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0090】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0091】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0092】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0093】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0094】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0095】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0096】
さらに、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の一態様に係る見守り装置は、例えば、被見守り者の離床を見守り者に通知することができる見守り装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0098】
10、10a 見守り装置
11、11a 第1のセンサ
12、12a 第2のセンサ
13 第3のセンサ
14、14a 通信部
16、16a 制御部
18、18a 出力部
50 ナースコールシステム
100 ベッド
111、112、113、114 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8