(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361363
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/28 20060101AFI20180712BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20180712BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
G01D11/28 L
G01D11/28 B
B60K35/00 Z
G09F13/20 L
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-162920(P2014-162920)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-38336(P2016-38336A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大越 徹
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−117402(JP,A)
【文献】
特開2003−159960(JP,A)
【文献】
特開2008−196908(JP,A)
【文献】
特開2006−71283(JP,A)
【文献】
特開2008−134263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28,13/04
B60K 35/00
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状透光部を有する表示板と、前記環状透光部を透過照明する発光素子と、前記環状透光部を透過した光によって光輝するリング部材と、前記リング部材の前面を所定幅で露出させる開口部を有する遮光部材と、を備え、前記環状透光部の幅は、前記所定幅よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
環状透光部を有する表示板と、前記表示板を指示する指針と、前記指針を回動させる指針駆動部と、前記環状透光部を透過照明する発光素子と、前記環状透光部を透過した光によって光輝するリング部材と、前記リング部材の前面を所定幅で露出させる開口部を有する遮光部材と、を備え、前記環状透光部の幅は、前記所定幅よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記環状透光部の内側直径は、前記開口部の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記リング部材は、傾斜反射面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝するリング部材を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示板を透過した光によってリング部材を光輝させる表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1,特許文献2に開示されている。斯かる表示装置は、リング部材を所定幅で光輝させることにより、装飾性を向上させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−257602号公報
【特許文献2】特開2002−228493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リング部材の幅が若干大きいため、必ずしも装飾性が高いものではなかった。つまり、リング部材を幅狭で光輝させるようなデザインが望まれているが、光輝させる幅が狭い場合、全体の光量が少なくなるため、装飾性が低下するという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、リング部材を幅狭で、且つ、高輝度で光輝させることができる表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、環状透光部42を有する表示板40と、前記環状透光部42を透過照明する発光素子26,27と、前記環状透光部42を透過した光によって光輝するリング部材80と、前記リング部材80の前面81dを所定幅W1で露出させる開口部72を有する遮光部材70と、を備え、前記環状透光部42の幅W2は、前記所定幅W1よりも大きいものである。
【0006】
また、本発明は、環状透光部42を有する表示板40と、前記表示板40を指示する指針10と、前記指針10を回動させる指針駆動部22と、前記環状透光部42を透過照明する発光素子26,27と、前記環状透光部42を透過した光によって光輝するリング部材80と、前記リング部材80の前面81dを所定幅W1で露出させる開口部72を有する遮光部材70と、を備え、前記環状透光部42の幅W2は、前記所定幅W1よりも大きいものである。
【0007】
また、本発明は、前記環状透光部42の内側直径D2は、前記開口部72の直径D1よりも大きいものである。
【0008】
また、本発明は、前記リング部材80は、傾斜反射面81bを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
リング部材の前面の一部を遮光部材で隠すことにより、リング部材が幅狭で光輝しているように視認させることができる。且つ、表示板の環状透光部の幅を、リング部材を露出させる所定幅よりも大きくすることにより、リング部材を高輝度で光輝させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態を説明する。車両用表示装置は、指針10と、回路基板20と、ケース体30と、表示板40と、液晶表示器50と、ハウジング60と、見返し部材70と、リング部材80と、を備えている。
【0012】
指針10は、透光性樹脂からなる指示部11と、不透明な樹脂からなる指針キャップ12と、回動軸22aが圧入されるボス部13と、指示部11を載置する指針座14とを有している。指針10は、表示板40の指標部41を指示部11にて指示する。指針10のボス部13及び指針座14は、黒色樹脂にて一体形成されている。回路基板20は、基板本体21と、基板本体21の後面側に実装された指針駆動部22と、基板本体21の表面側に実装された発光素子24,25,26と、を備えており、表示板40の後側に配置されている。
【0013】
基板本体21は、平板状のガラスエポキシ系基材に、指針駆動部22を駆動させる駆動回路、発光素子24,25,26を発光させる発光回路等を形成した硬質プリント基板からなる。駆動回路及び発光回路は、夫々、配線パターン,抵抗,コンデンサ等によって構成される。駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動する。発光回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、発光素子24,25,26を発光させる。
【0014】
指針駆動部22は、可動磁石式駆動装置,ステッピングモータ等からなるものである。指針駆動部22の回動軸22aは、基板本体21に形成された貫通孔21aに挿入され、指針駆動部22の回動軸22aには、指針10が取り付けられる。指針10のボス部13は、表示板40に形成された貫通孔40cに挿入される。表示板40の貫通孔40cは、指針駆動部22の回動軸22aに対応する個所に形成されており、正面視で円形状になっている。
【0015】
基板本体21の駆動回路は、制御部から供給される制御信号に基づいて、指針駆動部22を駆動して、指針10は、制御信号に応じた回転角度で回動軸22aを回転させる。これによって、指針10が車両速度に応じた所定の回転角度で回転し、指針10の指示部11が表示板40の指標部41を指示する。
【0016】
発光素子24,25,26は、夫々、1個以上の発光ダイオード等によって構成される。発光素子24は、表示板40の指標部41を透過照明する。発光素子25は、指針10の指示部11を光輝させる。発光素子26は、表示板40の環状透光部42を透過照明する。発光素子24,25,26は、制御部から供給される制御信号に基づいて駆動され、車両運転者によって操作されるイルミネーションスイッチ等に応じてオン/オフされる。
【0017】
ケース体30は白色の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、このケース体30に回路基板20が固定されている。ケース体30は、垂直部31,傾斜部32,傾斜部34,垂直部35,36を有している。ケース体30の垂直部31は、円筒形状になっており、前端が表示板40の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。
【0018】
ケース体30の垂直部31は、発光素子24が発する照明光と、発光素子25が発する照明光とが混合されることを防ぐ遮光壁になっている。ケース体30の傾斜部32は、垂直部31の外周面から逆円錐状に広がる形状になっている。ケース体30の傾斜部32は、発光素子24が発した照明光を傾斜部34に向けて反射させる。ケース体30の傾斜部34は、逆円錐状になっている。ケース体30の傾斜部34は、発光素子24が発した照明光を表示板40に向けて反射させる。
【0019】
ケース体30の垂直部35,36は、円筒形状になっており、後端が回路基板20の前面に当接している。ケース体30の垂直部35,36は、発光素子26の照明室を形成している。ケース体30の垂直部35は、傾斜部34の外周端に連なっている。ケース体30の垂直部35,36は、前端が表示板40の後面に当接し、後端が回路基板20の前面に当接している。
【0020】
表示板40は、指標部41と、環状透光部42とを有している。表示板40には、複数の指標部41が、貫通孔40cを中心とした円弧状に配置されている。表示板40の指標部41は、発光素子24が発した照明光によって透過照明される。表示板40の環状透光部42は、貫通孔40cを中心とした円環状になっており、発光素子26が発した照明光によって透過照明される。
【0021】
表示板40は、ポリカーボネート等の透光性樹脂からなる透光性基板43の前後面に各種印刷層を形成したものである。透光性基板43の前面には、白色層44,スモーク層45,遮光層46がスクリーン印刷にて形成されている。遮光層46には開口46aが形成されており、この開口46aが指標部41になっている。また、遮光層46には開口46bが形成されており、この開口46bが環状透光部42になっている。表示板40の環状透光部42の内側直径D2は、見返し部材70の開口部72の直径よりも大きくなっている。
【0022】
表示板40の指標部41及び環状透光部42には、遮光層46は形成されていない。表示板40の指標部41は、白色層44によって、白色で視認される。表示板40には、見返し部材70の位置決めピン75が挿通される円形の貫通孔40aが形成されている。表示板40の貫通孔40aの直径は、位置決めピン75の直径よりも大きくなっている。
【0023】
透光性基板43の後面には、薄青色層47がスクリーン印刷にて形成されている。薄青色層47は、環状透光部42よりも若干大きい範囲に形成されており、透光性基板43を介してスモーク層45に対向している。表示板40の環状透光部42は、透光性基板43の前面に形成されたスモーク層45と、透光性基板43の後面に形成された薄青色層47とを有する。
【0024】
液晶表示器50は、TFT型液晶表示モジュールからなるものであり、積算走行距離等の車両情報が表示される。液晶表示器50は、2個の指針式計器(速度計及び回転計)の間に配置されている。液晶表示器50は、回路基板20に搭載されたマイコンにより表示制御される。
【0025】
見返し部材70は、不透明な樹脂からなるものであり、表示板40の前側に配設されている。見返し部材70には、液晶表示器50の画像を視認するための矩形の開口部71と、2個の指針式計器(速度計及び回転計)を視認するための円形の開口部72とが形成されている。見返し部材70には、リング部材80を位置決めするための位置決めピン75が形成されている。見返し部材70の位置決めピン75は、細い略円柱形状になっている。
【0026】
リング部材80は、乳白色の透光性樹脂からなるものであり、表示板40の前側に配設されている。リング部材80は、円環状のリング部81と、このリング部81を見返し部材70に位置決めするための4個の位置決め部82と、を有している。リング部材80のリング部81は、表示板40の環状透光部42を透過してきた照明光を反射させる傾斜反射面81bを有している。リング部81の傾斜反射面81bは、円錐面になっている。
【0027】
リング部81の内周面81cは、円筒面になっている。リング部81の内周面81cの直径D3は、開口部72の直径D1よりも小さくなっている。リング部81の後面81fと、位置決め部82の後面82fとは、同一平面になっており、リング部81の後面81f及び位置決め部82の後面82fは、表示板40の前面に当接している。
【0028】
リング部材80の位置決め部82には、円形の貫通孔82aが形成されており、この貫通孔82aに見返し部材70の位置決めピン75が挿通される。リング部81の前面81dは、見返し部材70のフランジ部76に当接している。リング部81の前面81dは、所定幅W1だけ露出するように、見返し部材70のフランジ部76で覆われる。表示板40の環状透光部42の幅W2は、リング部81の所定幅W1よりも大きくなっている。
【0029】
発光素子26が発した照明光は、表示板40の環状透光部42を透過し、リング部81の後面81fから入射し、リング部材80のリング部81を薄青色で光輝させる。見返し部材70の開口部72にて、リング部81の前面81dを所定幅W1で露出させることにより、リング部材80が所定幅W1で光輝しているように視認させることができる。
【0030】
リング部材80の前面81dの一部を見返し部材70で隠すことにより、リング部材70が幅狭で光輝しているように視認させることができる。表示板40の環状透光部42の半径方向の幅W2を、リング部81を露出させる所定幅W1よりも大きくすることにより、リング部81の後面81fに入射する光量を多くすることができ、リング部材80を高輝度で光輝させることができる。
【0031】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態は、表示板40の指標部41及び環状透光部42を別個の発光素子24,26で透過照明するものであったが、
図6に示す他の実施形態のように、表示板40の指標部41及び環状透光部42を発光素子27で透過照明する構造にしても良い。また、遮光部材は、不透明な樹脂からなる装飾リングであっても良い。
【符号の説明】
【0032】
10 指針
20 回路基板
22 指針駆動部
26 発光素子
27 発光素子
30 ケース体
40 表示板
41 指標部
42 環状透光部
43 透光性基板
44 白色層
45 スモーク層
46 遮光層
47 薄青色層
50 液晶表示器
60 ハウジング
70 見返し部材(遮光部材)
71 開口部
72 開口部
75 位置決めピン
80 リング部材
81 リング部
81b 傾斜反射面
81d 前面
82 位置決め部
W1 所定幅
D1 直径
D2 内側直径