(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るセンサ31の構成図である。
図2は、実施形態1に係るセンサ31の外観斜視図である。
図1は、
図2の断面模式図である。
図3は、発生部41、光学スケール11及び検出部35の配置の一例を説明する説明図である。
図4は、実施形態1に係る光学式エンコーダ2のブロック図である。
図5は、実施形態1に係る光学スケール11のパターンの一例を示す説明図である。センサ31は、電磁波(例えば光)からなる検出対象を発生させる発生部41と、被検出領域を挟んで発生部41により発生した検出対象を検出する検出部35と、発生部41及び検出部35が設けられる基板50と、を備える。実施形態1では、センサ31は、さらに、モータ等の回転機械に連結されたシャフト12及び当該シャフト12の端部に取り付けられて被検出領域で回転可能に設けられる回転体(光学スケール11)を有するロータ10と、ステータ20とを有している。なお、被検出領域とは、発生部41と検出部35との間の領域である。
【0023】
図6は、基板50の一例を示す斜視図である。
図7は、折り曲げられる前の基板50の一例を示す平面図である。基板50は、発生部41が設けられる第1部分51と検出部35が設けられる第2部分52とが一体である。
図8は、ステータ20のキャップ22に設けられている構成の一例を示す斜視図である。
図9は、回路実装前の基板の一例を示す平面図である。例えば
図6、
図7に示すように、基板50は、半円弧状の第1部分51、円状の第2部分52を含む一つの基板である。基板50は、例えばフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits:FPC)からなり、発生部41及び検出部35を含む各種の回路(例えば
図6に示す回路60〜62等)が実装されている。より具体的には、FPCは、例えばポリイミド膜又はフォトソルダーレジスト膜からなる絶縁体をベースフィルムとして、ベースフィルム上に接着層及び導体層を形成し、導体層のうち端子部(はんだ付け部を含む)を除く部分を絶縁体で被覆した可撓性を有する配線基板である。導体層は、銅等の電気伝導体からなり、導体層のパターンにより各種の回路等の部品に接続される信号線及び電力線が設けられる。本発明に採用可能なフレキシブル基板の具体的構成は、これに限られるものでなく適宜変更可能である。回路60〜62は、例えば後述する
図16に示すプリアンプAMP、差動演算回路DS、フィルター回路NR、逓倍回路AP等を構成する。
【0024】
基板50は、第1部分51と第2部分52とを接続する接続部53を有する。具体的には、例えば
図6、
図7に示すように、接続部53は、第1部分51と第2部分52との間で、第1部分51の円弧の外周部と第2部分52の円弧の外周部とを接続するよう設けられている。
【0025】
接続部53は、発生部41(又は検出部35)に接続される配線を有する。実施形態1では、接続部53は、発生部41に接続される信号線及び電力線を具備する。具体的には、接続部53の配線は、例えばFPCに実装された信号線及び電力線として設けられている。なお、実施形態1の接続部53には回路が設けられていないが、接続部53に回路等の部品を設けることもできる。
【0026】
図6、
図7に示すように、実施形態1の接続部53は、第1部分51及び第2部分52に比して、第1部分51と第2部分52との間での接続部53の延設方向に直交する方向であって基板50の板面に沿う方向の幅が小さい。
【0027】
基板50は、発生部41及び検出部35に接続される配線を含むハーネス部54を備える。具体的には、例えば
図6、
図7に示すように、ハーネス部54は、第2部分52から接続部53の反対側に延出されるよう設けられている。ハーネス部54は、発生部41、検出部35及び基板50に設けられた各種の回路に接続される信号線及び電力線を具備する。具体的には、ハーネス部54の配線は、例えばFPCに実装された信号線及び電力線として設けられている。実施形態1では、発生部41の配線は、第1部分51、接続部53及びハーネス部54に設けられている。また、検出部35の配線は、第2部分52及びハーネス部54に設けられている。
【0028】
また、ハーネス部54は、例えば
図1に示すように、コネクタCNTと接続されている。コネクタCNTは、センサ31と他の装置(例えば演算装置3)とを接続するインターフェースである。センサ31は、コネクタCNTを介して演算装置3と接続されている。すなわち、ハーネス部54は、基板50に設けられた各種の回路と他の装置(例えば演算装置3)とを接続する配線として機能する。なお、ハーネス部54に回路等の部品を設けてもよい。
【0029】
基板50は、第1部分51と第2部分52とが平行になるよう設けられる。具体的には、基板50は、
図1、
図6に示すように、発生部41と検出部35とが対向する形状(Uの字状)に折り曲げられる。実施形態1では、基板50は、第1部分51と接続部53との境目55a及び第2部分52と接続部53との境目55bで折り曲げられる。すなわち、実施形態1の基板50は、接続部53に対して第1部分51及び第2部分52が直角になるよう折り曲げられ、且つ第1部分51と第2部分52とが対向する位置に存する。これにより、第1部分51と第2部分52とが平行に設けられて、発生部41と検出部35とが対向する。
【0030】
第1部分51において発生部41が設けられる側の面と、第2部分52において検出部35が設けられる側の面とは、基板50における同一の面である。発生部41が設けられる側の面と検出部35が設けられる側の面とが対向するよう設けられることで、発生部41と検出部35との位置関係は、
図3等に示すように、発生部41により発生した検出対象(例えば光)が検出部35により検出可能な位置関係になる。また、対向する発生部41と検出部35の間の領域が被検出領域になる。
【0031】
図6、
図7に示すように、第1部分51は、第2部分52よりも小さい。より具体的には、実施形態1における円弧状の第1部分51の径は、円状の第2部分52の径と略同一である。ただし、第1部分51は半円弧状であり、半円状のFPCの内周側に半円状の切欠部51aが設けられている。このため、基板50に占める第1部分51の面積は、第2部分52の面積よりも小さい。また、第1部分51は、例えばハウジング21に接着等により固定されている。
【0032】
検出部35は、被検出領域における物理量の変化により生じる検出対象(例えば光等の電磁波)の変化を検出する。物理量の変化は、例えば被検出領域に存する回転体の回転による。具体的には、例えば
図1〜
図3に示すように、被検出領域にはロータ10の光学スケール11が設けられる。実施形態1に係るセンサ31は、回転体としての光学スケール11の回転による検出対象の検出結果の変化に応じた出力を行うセンサである。すなわち、実施形態1に係るセンサ31は、ロータ10に回転動作を伝達するよう接続された回転駆動体の角位置を検出するロータリエンコーダとして機能する。
【0033】
ロータ10は、
図5に示す円板形状(又は多角形形状)の部材である光学スケール11を有している。光学スケール11は例えば、シリコン、ガラス、高分子材料などで形成されている。光学スケール11は円輪状もしくは中空であってもよい。
図5に示す光学スケール11は、信号トラックT1を一方の板面に有している。また、ロータ10には、光学スケール11の取り付けられた板面に対し他方の板面にシャフト12が取り付けられている。光学スケール11は、傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転中心Zrと直交する平面に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
【0034】
ステータ20は、軸受26a,26bと、シャフト12と、シャフト12の端部に取り付けられた光学スケール11と、検出部35とを囲む、遮光性の部材でできている。このため、ステータ20の内部では、外来の光ノイズを抑制できる。
図8に示すように、ステータ20は、ハウジング21と、キャップ22と、カバー23とを備えている。ハウジング21は、筒状の部材であって、軸受26a,26bを介してシャフト12を回転可能に支持する。筒状であるハウジング21の軸方向は、シャフト12の軸方向に等しい。ハウジング21の内周が軸受26a,26bの外輪に固定されており、シャフト12の外周が軸受26a,26bの内輪に固定されている。シャフト12がモータ等回転機械からの回転により回転すると、シャフト12に連動して光学スケール11が回転中心Zrを軸中心として回転する。キャップ22は、基板50の第2部分52のうち、検出部35が設けられた側の反対側の面(裏面)の少なくとも一部分と当接して基板50を支持する。具体的には、基板50の裏面には、センサを構成する部品としての集積回路(例えばQFNパッケージ(Quad For Non-Lead Package)のIC(Integrated Circuit))が設けられている。キャップ22は、基板50の裏面の集積回路を外側から覆うとともに基板50の裏面の外周部と当接して基板50を支持する。Uの字状に折り曲げられた基板50の接続部53は、キャップ22に支持された第2部分52から立設するように位置する。このように、実施形態1では、基板50は、キャップ22に固定されている。カバー23は、ステータ20の円筒状の外周面の一部を形成する部材である。カバー23は、キャップ22からハーネス部54が延出される切欠部21bの反対側に設けられる。ハウジング21とキャップ22とが組み付けられた状態でカバー23が組み付けられることで、ハウジング21、キャップ22及びカバー23は円筒状のステータ20を形成し、ステータ20の内部を外部の光ノイズから遮光する。
【0035】
上述したロータ10のシャフト12が回転すると、
図3に示すように、光学スケール11が、例えばR方向に検出部35に対して相対的に移動する。これにより、光学スケール11の信号トラックT1が検出部35に対して相対的に移動する。光学スケール11は、面内における偏光子の偏光方向Pmが所定の方向を向いており、且つ偏光方向Pmが回転により変化する。検出部35は、発生部41の光源光71が光学スケール11に透過して入射する入射光(透過光)73を受光して、
図5に示す光学スケール11の信号トラックT1を読み取ることができる。
【0036】
光学式エンコーダ2は、上述したセンサ31と、演算装置3と、を備えており、
図4に示すように、センサ31と、演算装置3とが接続されている。演算装置3は、例えばモータ等の回転機械の制御部5と接続されている。
【0037】
光学式エンコーダ2は、光学スケール11に光源光71が透過して入射する入射光73を検出部35で検出する。演算装置3は、検出部35の検出信号からセンサ31のロータ10と検出部35との相対位置を演算し、相対位置の情報を制御信号として、モータ等の回転機械の制御部5へ出力する。
【0038】
演算装置3は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータであり、入力インターフェース4aと、出力インターフェース4bと、CPU(Central Processing Unit)4cと、ROM(Read Only Memory)4dと、RAM(Random Access Memory)4eと、内部記憶装置4fと、を含んでいる。入力インターフェース4a、出力インターフェース4b、CPU4c、ROM4d、RAM4e及び内部記憶装置4fは、内部バスで接続されている。なお、演算装置3は、専用の処理回路で構成してもよい。
【0039】
入力インターフェース4aは、センサ31の検出部35からの入力信号を受け取り、CPU4cに出力する。出力インターフェース4bは、CPU4cから制御信号を受け取り、制御部5に出力する。
【0040】
ROM4dには、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置4fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU4cは、RAM4eをワークエリアとして使用しながらROM4dや内部記憶装置4fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0041】
内部記憶装置4fには、光学スケール11による偏光方向Pmと検出部35の出力とを対応付けたデータベースが記憶されている。又は、内部記憶装置4fには、後述する距離Dの値と、光学スケール11の位置情報とを対応付けたデータベースが記憶されている。
【0042】
図5に示す信号トラックT1は、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線(ワイヤー)gの配列が
図1に示す光学スケール11に形成されている。光学スケール11は、信号トラックT1として、隣り合う金属細線gを平行に直線的に配置している。このため、光学スケール11は、光源光71が照射される位置によらず同じ偏光軸となり、面内における偏光子の偏光方向が一方向を向いている。
【0043】
また、ワイヤーグリッドパターンとよばれる金属細線gを有する光学スケール11は、光誘起の偏光板に比較して、耐熱性を高めることができる。また、光学スケール11は、局所的にも、交差するような部分のないラインパターンとなっているため、高精度で誤差の少ない光学スケール11とすることができる。また、光学スケール11は、一括した露光又はナノインプリント技術により安定して製造することもできるため、高精度で誤差の少ない光学スケール11とすることができる。なお、光学スケール11は、光誘起の偏光板としてもよい。
【0044】
複数の金属細線gは、交差せず配置されている。隣り合う金属細線gの間は、光源光71の全部又は一部が透過可能な透過領域dである。金属細線gの幅及び隣り合う金属細線gの間隔、つまり金属細線gの幅及び透過領域dの幅は、発生部41の光源光71の波長より十分小さくする場合、光学スケール11は、光源光71の入射光73を偏光分離することができる。このため、光学スケール11は、面内における偏光方向Pmが一様な偏光子を有している。光学スケール11は、回転する周方向において、検出部35へ入射する入射光73の偏光軸が光学スケール11の回転に応じて変化する。実施形態1において、偏光軸の変化は、光学スケール11の1回転に対して2回の増減を繰り返すことになる。
【0045】
光学スケール11は、偏光方向の異なるセグメントを細かくする必要がない。そして、光学スケール11は、一様な偏光方向Pmを有しているため、偏光方向Pmの異なる領域の境界がなく、この境界による入射光73の偏光状態の乱れを抑制できる。実施形態1の光学式エンコーダ2は、誤検出又はノイズを生じさせる可能性を低減することができる。
【0046】
図10は、実施形態1に係る検出部35の一例を説明するための説明図である。
図11は、実施形態1に係る検出部35の第1受光部PD1の一例を説明するための説明図である。
図12は、実施形態1に係る検出部35の第3受光部PD3の一例を説明するための説明図である。
図3及び
図10に示すように、検出部35は、ユニット基材30の表面30b上に、偏光層PP1を有する第1受光部PD1と、偏光層PP2を有する第2受光部PD2と、偏光層PP3を有する第3受光部PD3と、偏光層PP4を有する第4受光部PD4とを含む。
図10に示すように、平面視で第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、ユニット基材30の表面30bの配置中心S0から等距離に配置されている。
【0047】
発生部41は、例えば発光ダイオード、半導体レーザ光源である。
図3に示すように、発生部41から照射される光源光71は、上述した光学スケール11を透過して、入射光73として、偏光層PP1、偏光層PP2、偏光層PP3及び偏光層PP4を透過し、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4に入射する。
【0048】
図3に示すように、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
【0049】
また、第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と点対称の位置に配置され、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と点対称の位置に配置されている。第1受光部PD1が配置中心S0を介して第3受光部PD3と距離W離して配置されており、第2受光部PD2が配置中心S0を介して第4受光部PD4と距離W離して配置されている。なお、第1受光部PD1、第3受光部PD3、第2受光部PD2及び第4受光部PD4が有する幅wがあり、距離Wは、幅2wより小さくならない制約がある。実施形態1では、第1受光部PD1、配置中心S0及び第3受光部PD3を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をx軸とし、第2受光部PD2、配置中心S0及び第4受光部PD4を通過するユニット基材30の表面30b上の仮想軸をy軸とする。
図10において、x軸はy軸とユニット基材30の表面30b上で直交している。
図3に示すように、発生部41の出射面と、配置中心S0との距離をDとする。x軸とy軸とによるxy平面は、発生部41の出射面と配置中心S0とを結ぶz軸と直交している。
【0050】
図3に示すように、z軸方向から平面視でみると、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれが発生部41の周囲に配置されている。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれから配置中心S0までの距離を等しくすることが好ましい。この構造により、演算手段であるCPU4cの演算負荷を軽減することができる。
【0051】
図11に示すように、第1受光部PD1は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、
図12に示すように、第3受光部PD3は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、
図3に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光73を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0052】
同様に、
図11及び
図12を用いて説明すると、第2受光部PD2は、シリコン基板34と、受光部37と、第1偏光層39aとを含む。また、
図12に示すように、第4受光部PD4は、シリコン基板34と、受光部37と、第2偏光層39bとを含む。例えば、シリコン基板34はn型半導体であり、受光部37はp型半導体であり、シリコン基板34と受光部37とによりPN接合で形成されたフォトダイオードを構成することができる。第1偏光層39a及び第2偏光層39bは、光誘起の偏光層、又は金属細線を平行に配列したワイヤーグリッドパターン等で形成することができる。第1偏光層39aは、
図3に示す光学スケール11に光源光71から入射する入射光73を第1の偏光方向に分離し、第2偏光層39bは、上記入射光73を第2の偏光方向に分離する。これら第1の分離光の偏光軸と、第2の分離光の偏光軸とは、相対的に90°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0053】
第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4は、入射光73をそれぞれ異なる偏光方向に分離する偏光層PP1、PP2、PP3及びPP4を介して受光する。このため、偏光層PP1が分離する偏光軸と、偏光層PP2が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP2が分離する偏光軸と、偏光層PP3が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP3が分離する偏光軸と、偏光層PP4が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。偏光層PP4が分離する偏光軸と、偏光層PP1が分離する偏光軸とは、相対的に45°異なることが好ましい。この構成により、演算装置3のCPU4cは、偏光角度の演算を容易とすることができる。
【0054】
図13、
図14及び
図15は、実施形態1に係る光学スケール11による偏光成分の分離を説明するための説明図である。
図13のように、光学スケール11の信号トラックT1により偏光方向Pmに偏光された入射光が入射する。
図13において、センシング範囲には、異物D1及び異物D2がある。入射光の偏光方向Pmは、上述した第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)と、で表現することができる。上述したように、第1の偏光方向と、第2の偏光方向とは、90°異なる方向であることが好ましく、基準方向に対して例えば+45°成分と−45°成分のようになっている。
図13、
図14及び
図15において、ワイヤーグリッドの軸方向は、紙面に対して平行に示されているが、紙面に対して同一の角度で傾斜していても傾斜角度が小さい場合には偏光分離の機能に影響がない。すなわち、光学スケール11は、回転軸に対して傾斜していても、偏光分離素子として機能する。
【0055】
第1受光部PD1は、
図14に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第3受光部PD3は、
図15に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。同様に、第2受光部PD2は、
図14に示すように、入射光を第1の偏光方向に分離する第1偏光層39aを介して検知するため、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)を検知する。第4受光部PD4は、
図15に示すように、入射光を第2の偏光方向に分離する第2偏光層39bを介して検知するため、第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)を検知する。
【0056】
図16は、実施形態1に係る光学式エンコーダ2の機能ブロック図である。
図17は、実施形態1に係る光学スケール11の回転角度と各受光部の偏光成分の光強度変化を説明するための説明図である。
図16に示すように、発生部41は、基準信号に基づいた発光を行い、光学スケール11に光源光71を照射する。透過光である入射光73は、検出部35に受光される。差動演算回路DSは、検出部35から出力されてプリアンプAMPにより増幅された検出信号を用いた差動演算処理を行う。検出部35の出力の大きさに応じてプリアンプAMPは省略可能である。
【0057】
差動演算回路DSは、検出部35の検出信号である、第1の偏光方向の成分(第1分離光)の光強度PI(−)と、第2の偏光方向の成分(第2分離光)の光強度PI(+)とを取得する。この光強度PI(−)と、光強度PI(+)とに対応する、第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれの出力は、例えば、
図17のように、光学スケール11の回転に応じて、位相がずれた光強度I1、I2、I3及びI4である。
【0058】
差動演算回路DSは、式(1)及び式(2)に従って、第1の偏光方向の成分の光強度PI(−)及び第2の偏光方向の成分の光強度PI(+)から、光学スケール11の回転に依存した差動信号Vc及びVsを演算する。
Vc=(I1−I3)/(I1+I3)…(1)
Vs=(I2−I4)/(I2+I4)…(2)
【0059】
このように、差動演算回路DSは、光強度I1及び光強度I3に基づいて、光強度の和[I1+I3]と、光強度の差[I1−I3]を演算し、光強度の差[I1−I3]を光強度の和[I1+I3]で除した差動信号Vcを演算する。また、差動演算回路DSは、光強度I2及び光強度I4に基づいて、光強度の和[I2+I4]と、光強度の差[I2−I4]を演算し、光強度の差[I2−I4]を光強度の和[I2+I4]で除した差動信号Vsを演算する。式(1)及び式(2)により演算した差動信号Vc及びVsには、光源光71の光強度の影響を受けるパラメータが含まれておらず、センサ31の出力は、検出部35と光学スケール11との距離、発生部41の光強度のばらつき等の影響を低減することができる。差動信号Vc及びVsは、光学スケール11の回転角度となる光学スケール11の偏光軸の回転角度(以下、偏光角という)βの関数となる。ただし、発生部41に設けられた光源の光量を一定に制御するオートパワーコントロール(APC)を備えている場合は、上述の除算は不要である。
【0060】
図16に示すように、差動信号Vc及びVsは、フィルター回路NRに入力され、ノイズ除去される。次に、逓倍回路APでは、差動信号Vc及びVsから
図18に示すリサージュパターンを演算し、初期位置から回転したロータ10の回転角度の絶対角度を特定することができる。差動信号Vc及びVsは、λ/4位相がずれた差動信号であるので、差動信号Vcのコサインカーブを横軸へ、差動信号Vsのサインカーブを縦軸にとったリサージュパターンを演算し、回転角度に応じて、リサージュ角が定まることになる。例えば、
図18に示すリサージュパターンは、ロータ10が1回転すると2周する。演算装置3は、光学スケール11の回転位置が0°以上180°未満の範囲にあるか、180°以上360°未満の範囲にあるかを記憶する機能を有する。これにより、光学式エンコーダ2は、ロータ10の絶対位置が演算できるアブソリュートエンコーダとすることができる。
【0061】
図19は、実施形態1に係る発生部41を説明するための図である。
図19に示す発生部41は、発光ダイオード、垂直共振器面発光レーザ等のレーザ光源、フィラメント等の発光デバイス41Uをパッケージしたものである。発光デバイス41Uは、面発光型光源を用いている。発生部41は、ベース基板41Fと、スルーホールSHに埋め込まれた貫通導電層41Hと、貫通導電層41Hと電気的に接続された外部電極41Pと、ベース基板41Fに搭載された発光デバイス41Uと、発光デバイス41Uと貫通導電層41Hとを導通接続するボンディングワイヤ41Wと、発光デバイス41Uを保護する封止樹脂41Mと、遮光膜41Rとを備えている。
【0062】
発生部41の遮光膜41Rは、発光デバイス41Uが放射する光源光71を出射面41Tの範囲に絞る光源光71の絞りの機能を奏している。出射面41Tにはレンズ面がなく、光源光71の配光分布は、出射面41Tの断面に対して所定角度2θoの配光分布を示す。
図23は、実施形態1に係る検出部35の発生部41からの光の配光分布が一様な範囲以内にある受光部の位置を説明するための説明図である。配光分布の角度θoは、発生部41に依存する。角度θoは、例えば45°であるが、これより角度を大きくすることも小さくすることもできる。
【0063】
実施形態1に係るセンサ31は、レンズのついていない発生部41を使用することができる。発生部41の出射面と、配置中心S0(検出部35)との距離Dを接近させることでSN比を向上させることができる。第1受光部PD1、第2受光部PD2、第3受光部PD3及び第4受光部PD4のそれぞれまでの距離Wは、発生部41の拡散する光の影響を減じて受光できる範囲に配置可能となる。このためセンサ31及び光学式エンコーダ2は、測定精度が向上する。無論、レンズのついた発生部41を使用してもよい。
【0064】
次に、基板50の製造方法について説明する。まず、発生部41が設けられる第1部分51と、検出部35が設けられる第2部分52とが一体である基板50を形成する。具体的には、例えば
図9に示すように、半円弧状の第1部分51と、円状の第2部分52と、第1部分51と第2部分52とを接続する接続部53と、第1部分51から接続部53の反対側に延出されたハーネス部54とを有するFPCを形成する。この工程で、後の工程で基板50に実装される各種の回路に接続される信号線及び電力線等の配線が当該FPCに形成される。
【0065】
次に、基板50にセンサを構成する各種の回路を設ける。具体的には、
図7に示すように、基板50の第1部分51に発生部41を設け、基板50の第2部分52に検出部35を設ける。この他、前の工程で設けられた配線に応じて、センサを構成する各種の部品をこの工程で設ける。
【0066】
次に、発生部41と検出部35とを対向させるように基板50を折り曲げる。具体的には、例えば
図6に示すように、第1部分51と第2部分52とが平行になるようにUの字状に折り曲げられる。その後、基板50は、キャップ22に取り付けられる。
【0067】
次に、センサ31の組み立て方法について説明する。
図20〜
図25及び
図29は、実施形態1に係るセンサ31の組み立ての一工程を示す図である。
図26は、ハウジング21及びキャップ22並びに第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bを示す図である。
図27は、実施形態1に係るセンサ31を第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bを含む平面で切って示す図である。
図28は、実施形態1に係る第1ネジ部材8aの軸方向から見た本体部及び第1孔83aを示す図である。
【0068】
まず、
図20に示すように、シャフト12に軸受26aが取り付けられる。軸受26aは、例えば、圧入又は接着によりシャフト12に固定される。シャフト12は、表面に環状の突起部13を備える。例えば、突起部13は、シャフト12と一体に形成されている。軸受26aは、内輪が突起部13に接する位置でシャフト12に固定される。
【0069】
次に、
図21に示すように、ハウジング21に軸受26bは取り付けられる。軸受26bは、例えば、圧入又は接着によりハウジング21の凹部21cに固定される。
【0070】
次に、
図22に示すように、シャフト12及び軸受26aがハウジング21に取り付けられる。シャフト12及び軸受26aは、突起部13側から凹部21cに挿入される。突起部13は、凹部21c内の軸受26bの内輪に接する。軸受26aは、例えば、接着によりハウジング21の凹部21cに固定される。軸受26a、26bには、予圧が加えられていることが好ましい。軸受26aの内輪と軸受26bの内輪との間に突起部13が配置されているため、軸受26aの外輪と軸受26bの外輪との間には隙間が生じている。このため、シャフト12の軸方向の力がシャフト12を介して軸受26aに加えられると、軸受26a、26bに予圧が加えられる。
【0071】
次に、
図23に示すように、ハウジング21の開口部21aから光学スケール11がハウジング21内に配置される。光学スケール11は、例えば、シャフト12の端面に接着により固定される。光学スケール11は、光学スケール11の板面の中心とシャフト12の端面の中心とが合うように、シャフト12の端面に固定される。光学スケール11とシャフト12との位置合わせのために、例えば、光学スケール11及びシャフト12のそれぞれにマーキングが施される。そして、シャフト12の軸方向から見て、光学スケール11及びシャフト12のそれぞれに設けられたマーキングが合わさるように、光学スケール11とシャフト12とが固定される。
【0072】
次に、
図24に示すように、ハウジング21の開口部21aから基板50及びキャップ22がハウジング21内に配置される。基板50及びキャップ22がハウジング21内に配置される前の状態では、例えば所定の平面を基準として、折り曲げられた基板50の第1部分51及び第2部分52並びに光学スケール11の板面が当該所定の平面に沿うように配置される。この状態で、基板50及びハウジング21の少なくとも一方を当該所定の平面に沿う方向に移動させる。基板50は、開口部21aに対してハーネス部54側から挿入される。ハーネス部54は、ハウジング21の開口部21aと反対側に設けられた切欠部21bから延出する。なお、
図24においてはハーネス部54及び切欠部21bの記載は省略されている。基板50は、第1部分51及び第2部分52が光学スケール11を挟むように配置される。これにより、被検出領域に光学スケール11が配置される。
【0073】
基板50のうち第1部分51は、例えば、接着によりハウジング21に固定される。具体的には、
図24に示す第1部分51の端面51eがハウジング21の当接面21pに接して位置決めされた状態で、端面51eと当接面21pとが接着で固定される。当接面21pは、例えば光学スケール11の軸を含む平面でハウジング21を切った断面である。このため、半円弧状の第1部分51と光学スケール11とが容易に同軸に配置される。
【0074】
次に、
図25及び
図26に示すように、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bにより、ハウジング21にキャップ22が取り付けられる。又はハウジング21にキャップ22が取り付けられた状態で、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bの操作によりキャップ22の位置調整が行われる。
【0075】
図27に示すように、シャフト12の軸方向から見た場合、例えば、ハウジング21の形状は円環状であり、キャップ22の形状は円形である。キャップ22の側面22sは、ハウジング21の内壁21iに対向している。内壁21iと側面22sとの間には、円環状の隙間89が設けられている。ハウジング21は、第1孔83a及び第2孔83bを備える。第1孔83aは、ハウジング21の外壁をシャフト12の軸方向に対する直交方向に貫通する貫通孔である。第2孔83bは、シャフト12の軸方向に対する直交方向且つ第1孔83aの貫通方向に対する直交方向に外壁を貫通する貫通孔である。例えば、第1孔83a及び第2孔83bは、シャフト12の軸方向においては同じ位置に配置されている。以下の説明において、第1孔83aの貫通方向をx方向とし、第2孔83bの貫通方向をy方向としたxy平面が適宜用いられる。x方向のうち、ハウジング21の外部から隙間89に向かう方向は単に+x方向と記載され、+x方向とは反対方向は単に−x方向と記載される。y方向のうち、ハウジング21の外部から隙間89に向かう方向は単に+y方向と記載され、+y方向とは反対方向は単に−y方向と記載される。なお、第2孔83bは、第1孔83aの貫通方向に対して厳密に直交方向に外壁を貫通していなくてもよく、第1孔83aの貫通方向に対する直交方向から製作誤差の範囲内でずれた方向であってもよい。
【0076】
キャップ22は、側面22sに第1雌ネジ84a及び第2雌ネジ84b並びにバネ収納部87を備える。第1雌ネジ84a及び第2雌ネジ84bは、側面22sに設けられた円柱状の凹部であって、内壁にネジ山が形成されている。第1雌ネジ84aは、シャフト12の軸方向に対して直交方向から見て、第1孔83aに重なるように配置されている。第2雌ネジ84bは、シャフト12の軸方向に対して直交方向から見て、第2孔83bに重なるように配置されている。バネ収納部87は、側面22sに設けられた凹部である。例えば実施形態1において、バネ収納部87の内部にはコイルバネ86が配置されている。コイルバネ86の一端はハウジング21の内壁21iに接しており、コイルバネ86の他端はバネ収納部87の底に接している。
【0077】
第1ネジ部材8aは、第1孔83aに挿入され、第1雌ネジ84aに接合されている。具体的には、第1ネジ部材8aのうち雄ネジが形成された本体部82aが、第1孔83aを貫通し且つ第1雌ネジ84aに接合されている。第1ネジ部材8aは、本体部82aの端部に本体部82aよりも外周を有する頭部81aを備える。頭部81aの裏面81asは、ハウジング21の外壁に接している。また、第2ネジ部材8bは、第2孔83bに挿入され、第2雌ネジ84bに接合されている。具体的には、第2ネジ部材8bのうち雄ネジが形成された本体部82bが、第2孔83bを貫通し且つ第2雌ネジ84bに接合されている。第2ネジ部材8bは、本体部82bの端部に本体部82bよりも外周を有する頭部81bを備える。頭部81bの裏面82bsは、ハウジング21の外壁に接している。上述した第1孔83a、第2孔83b、第1雌ネジ84a及び第2雌ネジ84bの位置関係により、第1ネジ部材8aの軸方向は、第2ネジ部材8bの軸方向に対して直交している。
【0078】
図28に示すように、第1孔83aはx方向に長い長穴である。例えば、第1孔83aの長辺方向の長さd1は本体部82aの外径d3より大きい。これにより、第1ネジ部材8aはx方向に移動可能となっている。また、第1孔83aの短辺方向の長さd2は本体部82aの外径d3に等しい。これにより、xy平面に対する直交方向における第1ネジ部材8aのガタつきが抑制されている。第2孔83bは、
図28に示した第1孔83aと同様の形状であって、y方向に長い長穴である。例えば、第2孔83bの長辺方向の長さは本体部82bの外径より大きい。これにより、第2ネジ部材8bはy方向に移動可能となっている。また、第2孔83bの短辺方向の長さは本体部82bの外径に等しい。これにより、xy平面に対する直交方向における第2ネジ部材8bのガタつきが抑制されている。
【0079】
コイルバネ86は、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bに対して、ハウジング21の内側に向かう方向の力を加える付勢部材である。具体的には、コイルバネ86は、縮んだ状態でバネ収納部87の底とハウジング21の内壁21iとに固定されており、弾性力により+x方向且つ+y方向である方向にキャップ22を押している。より具体的には、コイルバネ86は、例えば+x方向から+y方向側に45°回転した方向(
図27における白抜き矢印の方向)に押している。これにより、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bがハウジング21の内側に向かって引き付けられる。このため、頭部81aの裏面81as及び頭部81bの裏面81bsがハウジング21の外壁に接している状態が保持される。
【0080】
第1ネジ部材8aが第1雌ネジ84aに接合され、第2ネジ部材8bが第2雌ネジ84bに接合された状態で、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが回転するとキャップ22の位置が移動する。具体的には、第1ネジ部材8aが第1雌ネジ84aに進入する方向に回転すると、キャップ22は、頭部81aに引き付けられる方向すなわち−y方向に移動する。第1ネジ部材8aが第1雌ネジ84aから抜ける方向に回転すると、キャップ22は、頭部81aから離間する方向すなわち+y方向に移動する。第2孔83bがy方向に長い長穴であることにより、キャップ22は、第2ネジ部材8bに動きを妨げられずにy方向の移動することができる。一方、第2ネジ部材8bが第2雌ネジ84bに進入する方向に回転すると、キャップ22は、頭部81bに引き付けられる方向すなわち−x方向に移動する。第2ネジ部材8bが第2雌ネジ84bから抜ける方向に回転すると、キャップ22は、頭部81bから離間する方向すなわち+x方向に移動する。第1孔83aがx方向に長い長穴であることにより、キャップ22は、第1ネジ部材8aに動きを妨げられずにx方向の移動することができる。これにより、キャップ22のx方向の位置及びy方向の位置は、それぞれ独立して調整される。
【0081】
上述したように、検出部35を有する第2部分52がキャップ22に固定されている一方で、発生部41を有する第1部分51はハウジング21に固定されている。また、接続部53は、FPCであって剛性が小さいので、第1部分51と第2部分52との相対移動を妨げない。これにより、キャップ22の移動に応じて第2部分52は移動するが、第1部分51は移動しない。このため、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが操作されると、発生部41と検出部35との相対位置が変化する。
【0082】
キャップ22の位置調整を行う際、例えば、センサ31に検査用設備(不図示)が接続される。そして、検査用設備は、発生部41及び検出部35に電源が投入され且つ光学スケール11が回転した状態で検出部35の出力を検出し、リサージュパターン(
図18参照)を演算する。第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが操作されると、発生部41と検出部35との相対位置が変化するので、検査用設備が出力するリサージュパターンが変化する。例えば、リサージュパターンの歪みが少なく、且つリサージュパターンが最も大きくなるように、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが操作される。その後、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bは、例えば接着によって固定される。これにより、キャップ22の移動が規制され、発生部41と検出部35との相対位置が決定される。また、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bが接着固定される替わりに、ハウジング21とキャップ22とが接着固定されていてもよい。または、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bが接着固定された後にハウジング21とキャップ22とが接着固定されていてもよい。これにより、キャップ22がさらに強固に固定されるので、センサ31は、長期間に亘って発生部41と検出部35との相対位置を適正な状態に維持することができる。
【0083】
次に、
図29に示すように、ハウジング21にカバー23が取り付けられる。カバー23は、遮光性の材料で形成されており、例えば、接着によりハウジング21に固定される。カバー23は、ハウジング21の内部を外部の光ノイズから遮光する。
【0084】
以上説明したように、実施形態1に係るセンサ31は、ハウジング21と、キャップ22と、第1部分51(第1基板)と、第2部分52(第2基板)と、発生部41と、検出部35と、第1ネジ部材8aと、第2ネジ部材8bと、コイルバネ86(付勢部材)と、を備える。ハウジング21は、筒状であって、外壁を貫通する第1孔83aと、第1孔83aとは異なる位置で外壁を貫通する第2孔83bとを備える。キャップ22は、ハウジング21の内壁21iと隙間89を空けて対向する側面22sを備え、側面22sに第1雌ネジ84a及び第2雌ネジ84bを備える。第1部分51(第1基板)は、ハウジング21に取り付けられている。第2部分52(第2基板)は、キャップ22に取り付けられて、第1部分51(第1基板)に対向している。発生部41は、第1部分51(第1基板)に取り付けられ、所定の検出対象(例えば光)を発生させる。検出部35は、第2部分52(第2基板)に取り付けられ、発生部41により発生した検出対象(例えば光)を検出する。第1ネジ部材8aは、第1孔83aを貫通し且つ第1雌ネジ84aに接合される本体部82a(第1本体部)と、ハウジング21の外壁に接する頭部81a(第1突出部)とを備える。第2ネジ部材8bは、第2孔83bを貫通し且つ第2雌ネジ84bに接合される本体部82b(第2本体部)と、ハウジング21の外壁に接する頭部81b(第2突出部)とを備える。コイルバネ86は、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bに対して、ハウジング21の内側に向かう方向の力を加える。
【0085】
これにより、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bがハウジング21の外壁を貫通しているので、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bに対してハウジング21の外部からの操作が可能である。第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが操作されると、キャップ22が移動する、すなわちハウジング21とキャップ22との相対位置が変化する。キャップ22の移動に応じて第2部分52(第2基板)が移動する。一方、ハウジング21に取り付けられた第1部分51(第1基板)は移動しない。このため、第1ネジ部材8a又は第2ネジ部材8bが操作されると、第1部分51(第1基板)と第2部分52(第2基板)との相対位置が変化する、すなわち発生部41と検出部35の相対位置が変化する。よって、実施形態1に係るセンサ31は、発生部41及び検出部35をハウジング21に組み付けた状態での、発生部41及び検出部35の相対位置の調整を容易にすることができる。
【0086】
また、実施形態1に係るセンサ31において、第2ネジ部材8bの軸方向は、第1ネジ部材8aの軸方向に対して直交する。
【0087】
これにより、第1ネジ部材8aを操作したときのキャップ22の移動方向と、第2ネジ部材8bを操作したときのキャップ22の移動方向とが直交する。このため、第1ネジ部材8aの操作による発生部41及び検出部35の相対位置の調整量と、第2ネジ部材8bの操作による発生部41及び検出部35の相対位置の調整量との干渉が抑制される。よって、実施形態1に係るセンサ31は、発生部41及び検出部35の相対位置の調整の精度を向上させることができる。
【0088】
また、実施形態1に係るセンサ31において、第1孔83aは、第2孔83bの貫通方向に長い長穴であり、第1孔83aの長辺方向の長さd1が本体部82a(第1本体部)の外径d3より大きく、第1孔83aの短辺方向の長さd2が本体部82a(第1本体部)の外径d3に等しい。第2孔83bは、第1孔83aの貫通方向に長い長穴であり、第2孔83bの長辺方向の長さが本体部82b(第2本体部)の外径より大きく、第2孔83bの短辺方向の長さが本体部82b(第2本体部)の外径に等しい。
【0089】
これにより、第1ネジ部材8aは第1孔83aの長辺方向に移動可能であり、且つ第1孔83aの短辺方向における第1ネジ部材8aの移動が規制される。また、第2ネジ部材8bは第2孔83bの長辺方向に移動可能であり、且つ第2孔83bの短辺方向における第2ネジ部材8bの移動が規制される。よって、実施形態1に係るセンサ31は、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bの操作による発生部41及び検出部35の相対位置の調整を可能とし、且つ第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bのガタツキを抑制することができる。
【0090】
また、実施形態1に係るセンサ31において、付勢部材は、一端がハウジング21の内壁21iに接し且つ他端がキャップ22のバネ収納部87の底に接するコイルバネ86(弾性体)である。
【0091】
これにより、コイルバネ86(付勢部材)は、キャップ22に対して一端から他端に向かう方向に力を加えることができる。よって、センサ31は、コイルバネ86(付勢部材)によってキャップ22に加えられる力の方向を調整しやすくすることができる。
【0092】
なお、
図20に示した突起部13は、必ずしもシャフト12と一体に形成されていなくてもよく、例えばシャフト12とは別体のワッシャ等の円環状部材であってもよい。なお、
図23に示した光学スケール11とシャフト12との固定の工程においては、光学スケール11の板面の中心とシャフト12の端面の中心とのずれ量を最小にするための治具が用いられてもよい。なお、キャップ22とカバー23とは一体であってもよい。
【0093】
なお、実施形態1に係るセンサ31において、第1ネジ部材8aは、第1突出部として本体部82aの端部に配置された頭部81aを備え、第2ネジ部材8bは、第2突出部として本体部82bの端部に配置された頭部81bを備えていたが、第1突出部及び第2突出部は必ずしも本体部82a及び本体部82bの端部に配置されていなくてもよい。例えば、第1突出部は、本体部82aの中間部分から本体部82aの軸方向に対する直交方向に突出していてもよいし、第2突出部は、本体部82bの中間部分から本体部82bの軸方向に対する直交方向に突出していてもよい。また、第1孔83a及び第2孔83bは、必ずしもシャフト12の軸方向において同じ位置に配置されていなくてもよく、シャフト12の軸方向で異なる位置に配置されていてもよい。ただし、第1孔83a及び第2孔83bがシャフト12の軸方向において同じ位置に配置されている方が、シャフト12の軸方向と直交する平面に対するキャップ22の傾斜が抑制されやすくなる点で好ましい。
【0094】
なお、第1部分51と第2部分52の位置関係は逆でもよい。すなわち、キャップ22側に発生部41及び第1部分51があり、被検出領域を挟んだ反対側に検出部35及び第2部分52があってもよい。
【0095】
また、第1部分51と第2部分52とが平行でなくてもよい。第1部分51と第2部分52との関係は、発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けることができ、第1部分51に設けられた発生部41により発生した検出対象を第2部分52に設けられた検出部35により検出することができる関係であればよく、第1部分51及び第2部分52の詳細な配置については適宜変更可能である。
【0096】
接続部53は、配線を具備していなくてもよい。また、当該一方が他方よりも小さいことは必須でない。第1部分51と第2部分52は同じ大きさであってもよいし、ハウジングに固定される側が大きくてもよい。また、必ずしも第1部分51がハウジング21に固定されていなくてもよく、第1部分51及び接続部53の少なくとも一方がハウジング21に固定されていればよい。また、第1部分51及び接続部53の少なくとも一方とハウジング21との固定方法は、接着でなくてもよく、他の構成(例えばテープ、突起等の係止部等)を用いた方法でもよい。
【0097】
基板50の折り曲げ位置は、第1部分51と接続部53との境目55a及び第2部分52と接続部53との境目55bに限らない。例えば、第1部分51と第2部分52との間に折り目を含む接続部53を別途設けてもよい。また、基板50の折り曲げは必須でない。例えば、基板50をU字状に湾曲させるようにして発生部41と検出部35とを対向させるようにしてもよい。
【0098】
基板50はフレキシブル基板に限らない。本発明における基板は、発生部41と検出部35との間に被検出領域を設けることができ、第1部分51に設けられた発生部41により発生した検出対象を第2部分52に設けられた検出部35により検出することができ、且つ第1部分51と第2部分52とが一体である基板であればよい。例えば、加熱等の処理により処理部分を折り曲げ又は湾曲可能な素材で構成された基板を採用し、第1部分と第2部分との間の部分(例えば接続部等)に当該処理を加えて折り曲げ又は湾曲させて第1部分と第2部分とを対向させるようにしてもよい。また、リジッドフレキシブル基板のように、変形しにくい部分と変形しやすい部分の両方を有する基板を採用してもよい。この場合、変形しにくい部分を第1部分と第2部分に用いると共に変形しやすい部分を第1部分と第2部分との間の部分(例えば接続部等)に用いることで、第1部分と第2部分とを対向させることができる。
【0099】
ハーネス部54は、適宜省略してもよい。また、ハーネス部として機能する延出部は、二つ以上であっても構わない。
【0100】
光学スケール11の信号トラックT1の具体的なパターン及び検出部35に設けられる偏光層PP1〜PP4のパターンは適宜変更可能である。係るパターンは、被検出領域に設けられて偏光を生じさせる構成(例えば光学スケール11)のパターンと、検出に際して光を通過させる構成(例えば偏光層)パターンとの関係を考慮して決定される。
【0101】
被検出領域に設けられる構成は、偏光を生じさせる光学スケール11に限られない。例えば、光学スケール11に代えて、ロータ10の回動角度に応じて選択的に光を通過又は透過させる孔又は透過部が設けられた板状の部材が設けられてもよい。この場合、ロータ10の回動角度の変化は、検出部により光が検出される位置やタイミングの変化として現れる。係る検出部は、偏光層PP1〜PP4を有しなくてもよい。センサから光が検出される位置を示す信号が出力されることで、シャフト12に連結された回転機械の角位置を検出することができる。
【0102】
また、検出対象としての電磁波は、発光ダイオードからの光やレーザ光に限られない。検出対象としての電磁波は、赤外線や紫外線等の不可視光、X線等であってもよい。また、検出対象は磁力であってもよい。この場合、発生部は、磁力による磁場、磁界を発生させる。検出部は、被検出領域における物理量の変化(例えば物体の通過等)により生じる磁力に係る変化を検出することで、センシングを行う。検出対象が磁力であることで、磁力の変化により被検出領域における変化を検出することができる。また、検出対象は、電磁波や磁力の他に、超音波を含む音波、プラズマ等のイオン、陰極線(電子線)等であってもよい。検出対象は、被検出領域に設けられる構成の物理量の変化により変化が生じるものであればよい。
【0103】
物理量の変化は、被検出領域に存する直動体の直動によってもよい。この場合、直動体の直動をセンサによるセンシングの対象にすることができる。また、センサは、リニアエンコーダとして機能することができる。具体的には、第1部分51及び第2部分52に対して相対的に被検出領域内を直動する構成(例えばスケール等)により生じる検出対象の変化を検出部が検出することでリニアエンコーダとして機能するセンサは、当該構成の直動に関するセンシングを行う。従って、本発明によりエンコーダに連結された直動体の動作の有無及び動作位置を検出することができる。
【0104】
また、物理量の変化は、被検出領域に存する気体、液体又は固体の濃度又は量の変化によってもよい。この場合、センサは、これらの濃度又は量(例えば被検出領域を通過する通過量、流量等)を検出するセンサとして機能する。なお、固体の濃度又は量は、例えば被検出領域を通過する粒子、粉じん、小片等の微小物の単位空間体積あたりの濃度又は量である。また、固体の濃度又は量は、液体中に含まれる微小物の量又は濃度であってもよい。この場合、検出対象には例えば光等の電磁波が用いられる。このように、本発明は、被検出領域に存する気体、液体又は固体の濃度又は量の変化をセンサによるセンシングの対象にすることができる。
【0105】
(実施形態2)
図30は、実施形態2に係るセンサ31Aを第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bを含む平面で切って示す図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0106】
図30に示すように、実施形態2に係るセンサ31Aは、実施形態1のキャップ22とは異なるキャップ22Aを備える。キャップ22Aは、側面22sの一部を切り欠いて形成された板バネ86Aを備える。すなわち、板バネ86Aは、キャップ22Aと一体となっている。板バネ86Aは、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bに対して、ハウジング21の内側に向かう方向の力を加える付勢部材である。具体的には、板バネ86Aがハウジング21の内壁21iに押えつけられた状態で、キャップ22Aがハウジング21に取り付けられている。板バネ86Aは、弾性力により+x方向且つ+y方向である方向にキャップ22Aを押している。より具体的には、板バネ86Aは、例えば+x方向から+y方向側に45°回転した方向(
図30における白抜き矢印の方向)にキャップ22Aを押している。これにより、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bがハウジング21の内側に向かって引き付けられる。このため、頭部81aの裏面81as及び頭部81bの裏面81bsがハウジング21の外壁に接している状態が保持される。
【0107】
上述したように、実施形態2に係るセンサ31Aにおいて、付勢部材は、キャップ22Aの側面22sと一体に設けられた板バネ86Aである。これにより、実施形態2に係るセンサ31Aは、付勢部材を構成する部品および加工を減らすことができ、組み立てをより容易にすることができる。
【0108】
(実施形態3)
図31は、実施形態3に係るセンサ31Bの外観斜視図である。
図32は、実施形態3に係るセンサ31Bの組み立ての一工程を示す図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0109】
図31に示すように、実施形態3に係るセンサ31Bは、実施形態1のキャップ22とは異なるキャップ22Bを備える。キャップ22Bは、側面22sから外側に向かって突出するフランジ28を備える。フランジ28の外周は、
図27で示したハウジング21の内壁21iの内周よりも大きく、例えばハウジング21の外周に略等しい。このため、フランジ28は、
図27で示した隙間89を覆っている。フランジ28は、ハウジング21の内部を外部の光ノイズから遮光する。
【0110】
図32に示すようにハウジング21にキャップ22Bを取り付ける際、フランジ28のハウジング21側に位置する表面28sとハウジング21の端面21eとが接することで、キャップ22Bが位置決めされる。実施形態3に係るセンサ31Bは、キャップ22Bの位置決めをより容易にすることができる。
【0111】
上述したように、実施形態3に係るセンサ31Bにおいて、キャップ22Bは、側面22sから外側に向かって突出するフランジ28を備え、フランジ28は、ハウジング21の端面21eに接し隙間89を覆う。これにより、実施形態3に係るセンサ31Bは、ハウジング21の内部を外部の光ノイズから遮光することができ、さらにキャップ22Bの位置決めをより容易にすることができる。
【0112】
(実施形態4)
図33は、実施形態4に係るセンサ31Cの外観斜視図である。
図34は、実施形態4に係るセンサ31Cの組み立ての一工程を示す図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0113】
図33及び
図34に示すように、実施形態4に係るセンサ31Cは、ハウジング21に取り付けられる予圧部材24を備える。予圧部材24は、例えば、ハウジング21の外周と等しい外周を有する円環状の部材である。予圧部材24は、ハウジング21のシャフト12が貫通する側の端面21fに重ねられる。シャフト12は、予圧部材24の内側を貫通する。予圧部材24は、例えばシャフト12の軸方向に貫通する2つの貫通孔241、242を備えている。また、実施形態4に係るハウジング21は、端面21fに2つの雌ネジ211、212を備える。例えば、貫通孔241を貫通し雌ネジ211に接合するネジ部材251と、貫通孔242を貫通し雌ネジ212に接合するネジ部材252とによって、予圧部材24とハウジング21とが固定される。
【0114】
図34に示すように、ハウジング21に予圧部材24を取り付ける前の状態において、軸受26aは、ハウジング21の端面21fからシャフト12の軸方向に突出している。これにより、ネジ部材251、252によって端面21fに予圧部材24が固定されると、軸受26a及び軸受26bに予圧が加えられる。このように、実施形態4に係るセンサ31Cは、予圧部材24を備えることで、軸受26a及び軸受26bに容易に予圧を加えることができる。
【0115】
(実施形態5)
図35は、実施形態5に係るセンサ31Dの構成図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0116】
図35に示すように、実施形態5に係るセンサ31Dは、実施形態1に係るセンサ31が有していた突起部13に代えて、スペーサ14を備える。スペーサ14は、例えば、円環状の部材であって、軸受26aと軸受26bとの間に配置されている。スペーサ14は、軸受26aの外輪及び軸受26bの外輪に接している。これにより、軸受26aの内輪と軸受26bの内輪との間には隙間が生じている。このため、シャフト12の軸方向の力がシャフト12を介して軸受26aに加えられると、軸受26a、26bに予圧が加えられる。または、シャフト12の軸方向の力が実施形態4で示した予圧部材24によって軸受26aに加えられると、軸受26a、26bに予圧が加えられる。
【0117】
(実施形態6)
図36は、実施形態6に係るセンサ31Eの組み立ての一工程を示す図である。
図37は、実施形態6に係るセンサ31Eの組み立ての一工程を示す図である。上述した実施形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0118】
実施形態6に係るセンサ31Eにおいて、第1部分51と第2部分52とは別体である。センサ31Eの組み立てにおいては、
図22で示した工程のあとの工程が実施形態1と異なる。
図22に示した工程の次に
図36で示す工程があり、その次に
図23で示す工程があり、その次に
図37で示す工程がある。
図37で示す工程の次は
図25で示した工程があり、その後の工程は実施形態1と同じである。
【0119】
具体的には、
図22で示した工程の次に、
図36に示すようにハウジング21の開口部21aから第1部分51がハウジング21内に配置される。第1部分51は、例えば、接着によりハウジング21に固定される。
図36に示す第1部分51の端面51eがハウジング21の当接面21pに接して位置決めされた状態で、端面51eと当接面21pとが接着で固定される。これにより、半円弧状の第1部分51と光学スケール11とが容易に同軸に配置される。
【0120】
次に、
図23で示した工程を経たあと、
図37に示すように、第2部分52がキャップ22に取り付けられた状態でハウジング21内に配置される。第2部分52は、開口部21aに対してハーネス部54側から挿入される。ハーネス部54は、ハウジング21の開口部21aと反対側に設けられた切欠部21bから延出する。なお、
図24においてはハーネス部54及び切欠部21bの記載は省略されている。第2部分52は、光学スケール11を挟んで第1部分51に対向するように配置される。これにより、被検出領域に光学スケール11が配置される。その後、
図25及び
図26で示したように、第1ネジ部材8a及び第2ネジ部材8bにより、ハウジング21にキャップ22が取り付けられる。