特許第6361382号(P6361382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361382
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20180712BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20180712BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B60R21/00 991
   B60R1/00 A
   G08G1/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-176069(P2014-176069)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49868(P2016-49868A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一矢
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大橋 いつ子
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−052555(JP,A)
【文献】 特開2001−347911(JP,A)
【文献】 特開2013−060128(JP,A)
【文献】 特開2002−274214(JP,A)
【文献】 特開平07−117521(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0230176(US,A1)
【文献】 特開2005−262956(JP,A)
【文献】 特開2010−156608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00
B60R 1/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ当該車両の周辺を撮像する撮像部から出力された撮像画像データを取得する第1の取得部と、
前記車両に設けられた車両状態検出部から出力された車両の状態情報に基づいて車両の傾斜角度を取得する第2の取得部と、
前記撮像画像データと、前記車両の傾斜角度を表した傾斜角度表示情報と、を含む出力画像データを一つの表示装置に出力し、当該車両の傾斜角度に応じて出力画像データ内の表示態様を異ならせて出力する出力部と、
を備える車両の制御装置。
【請求項2】
前記出力部は、当該車両の傾斜角度に応じて異ならせる前記出力画像データ内の表示態様として、色を変更する、
請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第2の取得部により取得された前記車両の傾斜角度データを用いて、重力方向に垂直な水平面に含まれた方向である水平方向に対する、前記車両の傾斜角度に基づいて、回転制御された前記撮像画像データを含む出力画像データを出力する、
請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記車両の傾斜角度が第1の角度より小さい場合に、前記撮像画像データを含む出力画像データを出力し、前記車両の傾斜角度が第1の角度以上の場合に、前記撮像画像データと、傾斜角度表示情報と、を含む出力画像データを出力し、前記車両の傾斜角度が、前記第1の角度より大きい第2の角度以上の場合に、さらに出力画像データの表示領域内の表示態様を異ならせる、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駐車を支援する技術として、車両に設置された複数のカメラで、車両の周辺環境として撮像された画像データを運転者に提供する技術がある。また、運転者に対して、車両の傾きに応じて報知する技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−210225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、運転者は、車両に設置されたカメラで撮像された画像データを視認するだけでは、車両の傾きを認識できない場合がある。また、傾きに応じた報知は、所定のタイミングで行われるため、当該タイミング以外で運転者が車両の傾きを認識するのは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の車両の制御装置は、一例として、車両に設けられ当該車両の周辺を撮像する撮像部から出力された撮像画像データを取得する第1の取得部と、前記車両に設けられた車両状態検出部から出力された車両の状態情報に基づいて車両の傾斜角度を取得する第2の取得部と、前記撮像画像データと、前記車両の傾斜角度を表した傾斜角度表示情報と、を含む出力画像データを一つの表示装置に出力し、当該車両の傾斜角度に応じて出力画像データ内の表示態様を異ならせて出力する出力部と、を備える。よって、一例としては、表示装置を参照した際に車両の周辺状況と車両の傾きとを認識できるので、車両周辺の状況把握が容易になるという効果を奏する。
【0006】
また、実施形態の車両の制御装置は、一例として、前記出力部は、当該車両の傾斜角度に応じて異ならせる前記出力画像データ内の表示態様として、色を変更する。よって、一例としては、色で車両の傾きを把握できるので、操舵負担を軽減できるという効果を奏する。
【0007】
また、実施形態の車両の制御装置は、一例として、前記出力部は、前記第2の取得部により取得された前記車両の傾斜角度データを用いて、重力方向に垂直な水平面に含まれた方向である水平方向に対する、前記車両の傾斜角度に基づいて、回転制御された前記撮像画像データを含む出力画像データを出力する。よって、一例としては、撮像画像データで車両の周辺状況が把握できるので、操舵負担を軽減できるという効果を奏する。
【0008】
また、実施形態の車両の制御装置は、一例として、前記出力部は、前記車両の傾斜角度が第1の角度より小さい場合に、前記撮像画像データを含む出力画像データを出力し、前記車両の傾斜角度が第1の角度以上の場合に、前記撮像画像データと、傾斜角度表示情報と、を含む出力画像データを出力し、前記車両の傾斜角度が、前記第1の角度より大きい第2の角度以上の場合に、さらに出力画像データの表示領域内の表示態様を異ならせる。よって、一例としては、表示装置に表示された表示態様で、傾斜角度表示情報を参照せずとも、車両の傾きを認識できるので、車両周辺の状況把握が容易になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかる車両の車室の一部が透視された状態の一例が示された斜視図である。
図2図2は、実施形態にかかる車両の一例が示された平面図(俯瞰図)である。
図3図3は、実施形態にかかる車両の周辺監視システムの一例が示されたブロック図である。
図4図4は、実施形態にかかる加速度センサの検出方向の一例を示した図である。
図5図5は、実施形態にかかる周辺監視ECU内に実現される周辺監視部の構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態にかかる撮像部により撮像された撮像画像データの一例とする。
図7図7は、レンズの中心に対応する位置座標を原点とした場合に、撮像画像データの表示領域を表した2次元の直交座標系の一例を示した図である。
図8図8は、実施形態にかかる回転制御部により回転補正を行った後の撮像画像データの一例を示した図である。
図9図9は、実施形態にかかる合成部が合成した後の出力用画像データの一例を示した図である。
図10図10は、実施形態にかかる周辺監視部における、表示装置への表示処理の手順を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態にかかる周辺監視部における、表示装置に表示するための画像データの合成処理の手順を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態にかかる合成部が合成した後の出力用画像データの一例を示した図である。
図13図13は、実施形態にかかる合成部が合成した後の出力用画像データの一例を示した図である。
図14図14は、変形例1にかかる合成部が合成した後の出力用画像データの一例を示した図である。
図15図15は、変形例2にかかる合成部が合成した後の出力用画像データの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付与される。また、重複する説明が省略される。
【0011】
以下に示す実施形態では、車両1は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であっても良いし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であっても良いし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であっても良い。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0012】
図1に示されるように、実施形態の車体2は、乗員(図示されず)が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。本実施形態では、一例として、操舵部4は、ダッシュボード(インストルメントパネル)から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、センターコンソールから突出したシフトレバーであるが、これらには限定されない。
【0013】
また、車室2a内には、表示装置8(表示出力部)や、音声出力装置9(音声出力部)が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、一例として、スピーカである。また、本実施形態では、一例として、表示装置8は、透明な操作入力部10(例えば、タッチパネル等)で覆われている。乗員等は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される映像(画像)を視認することができる。また、乗員等は、表示装置8の表示画面に表示される映像(画像)に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力(指示入力)を実行することができる。また、本実施形態では、一例として、表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、ダッシュボードの車幅方向(左右方向)の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の操作入力部(図示されず)を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に音声出力装置(図示されず)を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。また、本実施形態では、一例として、モニタ装置11は、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されているが、周辺監視装置用のモニタ装置を、これらシステムとは別に設けても良い。また、音声出力装置9の他に、ブザー24(図3参照)等の音声出力部から、警報音等が出力されるように構成することができる。
【0014】
また、図1、2に示されるように、本実施形態では、一例として、車両1は、四輪車(四輪自動車)であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。さらに、本実施形態では、これら四つの車輪3は、いずれも操舵されうるように(転舵可能に)構成されている。具体的には、図3に示されるように、車両1は、前輪3F又は後輪3Rを操舵する操舵システム12を有している。なお、操舵システム12は、前輪3F及び後輪3Rを同時に操舵可能としてもよい。
【0015】
また、本実施形態では、一例として、図2に示されるように、車両1(車体2)には、複数(本実施形態では、一例として四つ)の撮像部16(16a〜16d)が設けられている。撮像部16は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部16は、所定のフレームレートで画像データ(動画データ、フレームデータ)を出力することができる。撮像部16は、それぞれ、広角レンズを有し、水平方向には140°〜220°の範囲(視野角)を撮影することができる。また、撮像部16の光軸は下方(斜め下方)に向けて設定されている。よって、撮像部16は、車両1が移動可能な路面を含む車体2の周辺の外部の環境を撮影する。
【0016】
なお、水平方向とは、重力方向(鉛直方向)に対して垂直な水平面に含まれている方向である。
【0017】
本実施形態では、一例として、撮像部16aは、車体2の前側(車両前後方向の前方側)の端部2c(平面視での端部)に位置され、フロントバンパー上部の等に設けられている。撮像部16bは、車体2の左側(車幅方向の左側)の端部2dに位置され、左側のドアミラー2g(突出部)に設けられている。撮像部16cは、車体2の後側(車両前後方向の後方側)の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部16dは、車体2の右側(車幅方向の右側)の端部2fに位置され、右側のドアミラー2g(突出部)に設けられている。なお、本実施形態は、カメラの車載方法を制限するものではなく、車両に対してフロント方向の画像データ、左右サイド方向の画像データ、リア方向の画像データを取得できるように設置されればよい。
【0018】
周辺監視ECU14は、複数の撮像部16で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1(車体2)を上方から見た仮想的な鳥瞰図画像(平面画像)を生成したりすることができる。
【0019】
また、本実施形態では、一例として、図3に示されるように、周辺監視システム100では、周辺監視ECU14や、モニタ装置11、操舵システム12等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19(角度センサ)、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22、加速度センサ26等が、車内ネットワーク23(電気通信回線)を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、一例としては、CAN(controller area network)として構成されている。周辺監視ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、操舵システム12、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、周辺監視ECU14は、車内ネットワーク23を介して、アクチュエータ18a、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19(前輪3F用)、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22、加速度センサ26等の検出結果、ならびに、操作入力部10等の指示信号(制御信号、操作信号、入力信号、データ)を受け取ることができる。
【0020】
本実施形態では、車両1に2個の加速度センサ26(26a、26b)が設けられているものとする。なお、本実施形態は、車両1をESC(Electronic Stability Control)搭載車両とする。そして、ESC(Electronic Stability Control)搭載車両に従来から搭載されている加速度センサ26(26a、26b)を用いる。なお、本実施形態は、加速度センサを制限するものではなく、車両1の左右方向の加速度を検出可能なセンサであれば良い。
【0021】
図4は、加速度センサ26a、26bの検出方向の例を示した図である。検出方向401は、加速度センサ26aの検出方向であり、検出方向402は、加速度センサ26bの検出方向とする。図4に示す検出方向401は、地面(車両1が移動可能な平面)に平行な平面上で、車両1の進行方向(前後方向)から45°傾いた方向とする。また、検出方向402は、地面に平行な平面上であり、検出方向401との間の角度は90°とする。このように地面に平行な平面上に異なる2つの検出方向を有しているため、前後方向の加速度及び左右方向の加速度を導出することができる。なお、本実施形態は、検出方向を制限するものではなく、少なくとも車両の前後方向又は左右方向の傾きを導出できれば良い。なお、前後方向の加速度及び左右方向の加速度の算出は、周辺監視ECU14で行われる。
【0022】
車両1の前後方向とは、車両1の進行方向及び進行方向の反対方向を示し、車両1の左右方向とは、車両1の進行方向に垂直な面に含まれている方向とする。
【0023】
図3に戻り、周辺監視ECU14は、一例として、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断等の各種の演算処理を実行する。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムに従って演算処理を実行する。
【0024】
RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、周辺監視ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部16で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの画像処理(一例としては合成等)等を実行する。また、音声制御部14eは、周辺監視ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、周辺監視ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されることができる。また、周辺監視ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であっても良い。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられても良いし、SSD14fやHDDは、周辺監視ECU14とは別に設けられても良い。
【0025】
図5は、本実施形態にかかる周辺監視ECU14内に実現される周辺監視部500の構成を示すブロック図である。図5に示す周辺監視部500内の各構成は、図3の周辺監視ECU14として構成されたCPU14aが、ROM14b内に格納されたソフトウェアを実行することで実現される。
【0026】
周辺監視部500は、ROM14b(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)内に格納されたソフトウェアを実行することで、取得部501と、角度取得部502と、フィルタリング制御部503と、画像処理部504と、出力部505と、を実現する。なお、ソフトウェア(プログラム)は、コンピュータ読み取り可能な他の記録媒体を介して提供されてもよい。
【0027】
そして、本実施形態にかかる周辺監視部500は、車両1が傾斜や凹凸のある路面を走行する際に、撮像部16から入力された撮像画像データ、加速度センサ26(加速度検出部)から取得した、加速度データに基づいて、車両1の周辺の状況を認識できる画像データを表示することで、運転者の運転を支援する。なお、本実施形態は、車両状態検出部の一例として加速度センサ26を用いて、加速度データを用いた例について説明するが、車両の状態データを加速度データに制限するものではなく、他のデータでも良い。
【0028】
取得部501は、車両1が備える各種センサ等から、様々な情報を取得する。本実施形態にかかる取得部501は、車両1に設けられ当該車両1の周辺を撮像する撮像部16a〜16dから出力された撮像画像データと、当該車両1に設けられた加速度センサ26a、26bから出力された加速度データと、を取得する。さらには、取得部501は、操作入力部10に設けられたスイッチで設定されているモードが、オフロードモードであるか否かを示す情報も取得する。取得部501は、取得した情報を角度取得部502及び画像処理部504に出力する。
【0029】
また、取得部501は、撮像された時刻と加速度が検出された時刻とが略一致する撮像画像データと加速度データとを対応付けておく。
【0030】
角度取得部502は、車両1に設けられた車両状態検出部の一例である、加速度センサ26a、26bから出力された車両の加速度データに基づいて、車両の傾斜角度(ピッチ角及びロール角)を取得する。本実施形態は、加速度センサ26a、26bから出力された加速度データに基づいて車両1の傾斜角度を算出する例について説明するが、車両1の傾斜角度を取得できればどのような手法でも良い。
【0031】
ピッチ角とは、車両1の左右軸(図4の軸412)周りの傾きを示した角度とする。水平な(地)面上に車両1が存在する場合に、ピッチ角が0度となる。
【0032】
ロール角とは、車両1の前後軸(図4の軸411)周りの傾きを示した角度とする。水平な(地)面上に車両1が存在する場合に、ロール角が0度となる。そして、角度取得部502は、ピッチ角及びロール角を算出するために、まず車両1の前後方向の加速度a1と、左右方向の加速度a2と、を算出する。
【0033】
なお、角度取得部502は、前後方向の加速度a1を、以下の式(1)を用いて算出する。検出方向401の加速度をGL1とし、検出方向402の加速度をGL2とする。なお、ピッチ角は、前後方向の加速度a1と重力加速度から求め、ロール角は、左右方向の加速度a2と重力加速度から求める。
【0034】
a1=GL1×cos45°−GL2×cos45°…(1)
【0035】
次に、角度取得部502は、左右方向の加速度a2を、以下の式(2)を用いて算出する。
【0036】
a2=−(GL1×sin45°+GL2×sin45°)…(2)
【0037】
さらに、角度取得部502は、以下の式(3)を用いて、ピッチ角PAを算出する。
【0038】
PA=sin-1(a1/1G)…(3)
【0039】
さらに、角度取得部502は、以下の式(4)を用いて、ロール角RAを算出する。
【0040】
RA=sin-1(a2/1G)…(4)
【0041】
また、角度取得部502は、加速度データから算出したロール角及びピッチ角を、当該加速度データと対応付けられている撮像画像データと対応付けておく。これにより撮像画像データが撮像された時の車両1のロール角及びピッチ角を認識できる。
【0042】
フィルタリング制御部503は、角度取得部502により算出されたロール角RA及びピッチ角PAに対して、ローパスフィルタによるフィルタリングを行う。
【0043】
本実施形態では、ローパスフィルタをかけることで、ロール角RA及びピッチ角PAが急峻に変化すること、換言すれば表示装置8に表示される画像データが急峻に切り替わることを抑止する。これにより、運転者は快適に表示装置8に表示される画像データを視聴することができる。なお、本実施形態では、周辺監視部500内に設けられたフィルタリング制御部503によるデジタルフィルタを用いる例について説明するが、例えば、加速度センサ26から出力された信号に対して行うアナログフィルタ等であっても良い。
【0044】
画像処理部504は、回転制御部521と、縮小・拡大制御部522と、移動制御部523と、合成部524と、を備え、表示装置8に表示するための画像データを生成する。
【0045】
回転制御部521は、撮像部16aにより撮像された、車両1の前方周辺を写した撮像画像データに対して、回転補正を行う。なお、回転補正の対象は、撮像部16aにより撮像された撮像画像データに制限するものではなく、例えば、撮像部16cにより撮像された、車両1の後方周辺を写した撮像画像データであっても良い。
【0046】
図6は、撮像部16aにより撮像された撮像画像データの例とする。図6に示す撮像画像データは、傾いた車両1から撮像されている。運転者は、表示装置8に表示される映像は客観的なものとして捉える傾向が高く、表示装置8に表示された撮像画像データで、縦軸方向で同じ高さの領域であれば、実際の高さも同じ又は実際の高低差ほどないと認識する傾向になる。図6に示す例では、領域601と領域602とが同じ高さであると認識する可能性がある。
【0047】
そこで、本実施形態にかかる回転制御部521は、加速度センサ26から求められるロール角に応じて、撮像画像データを回転補正する。言い換えれば、回転制御部521は、車両状態データから算出される、重力方向に垂直な水平面に含まれた方向である水平方向に対する、車両の左右方向の傾きに基づいて、撮像画像データを回転補正(制御)する。例えば、回転制御部521は、撮像画像データに写っている被写体に含まれる水平線が、出力先の表示領域に横方向の辺に略平行になるように回転補正(制御)する。
【0048】
本実施形態にかかる回転制御部521は、撮像部16が撮像に用いるレンズの中心に対応する、撮像画像データの表示領域内の位置座標を原点として、当該撮像画像データと対応付けられているロール角に応じた回転補正を行う。
【0049】
図7は、レンズの中心に対応する位置座標を原点とした場合に、撮像画像データの表示領域を表した2次元の直交座標系の例を示した図である。図7に示す座標系に含まれている各位置座標について、回転制御部521が、以下に示す式(5)で位置座標を変換することで、撮像画像データの回転補正を実現できる。なお、dx0、dy0は、レンズ中心を原点とした座標値とする。また、θは、算出されたロール角とする。
【0050】
【数1】
【0051】
図8は、回転制御部521により回転補正を行った後の撮像画像データの例を示した図である。図8に示す例では、撮像画像データに写っている被写体(車両1外部の環境)に含まれている水平線が、表示装置8の表示領域の横方向の辺に略平行になるように回転補正されている。換言すれば、撮像画像データの下方向が、当該撮像画像データに写っている被写体(車両1外部の環境)の重力方向になるように回転補正されている。なお、下方向と重力方向とを完全に一致させる必要はなく、撮像画像データ内の高さ関係が認識可能な程度に一致させれば良い。
【0052】
例えば、図6では同じ高さに見えた領域601と領域602について、図8では領域602が領域601より高い位置に存在することが認識できる。このため、運転者は、車両1の周辺の環境について、客観的な高さを認識できる。これにより適切な運転が可能となり、安全性を向上させることができる。
【0053】
縮小・拡大制御部522は、回転制御部521により回転補正が行われた後の撮像画像データに対して拡大処理又は縮小処理を行う。縮小・拡大制御部522が、以下に示す式(6)で位置座標を変換することで、撮像画像データの拡大補正又は縮小補正を実現できる。なお、dx1、dy1は、回転補正が行われた後のレンズ中心を原点とした座標値とする。なお、magX、magYは、縦、横の拡大、縮小率とする。なお、拡大・縮小率は、撮像画像データの表示サイズと、表示装置8の表示領域の画素数との関係に基づいて決定される。
【0054】
【数2】
【0055】
移動制御部523は、縮小・拡大制御部522により拡大又は縮小処理が行われた後の撮像画像データに対して、レンズの中心に対応する位置座標を、表示装置8の表示領域の中心から移動させる制御を行う。本実施形態においては、移動制御部523は、レンズの中心に対応する位置座標を、表示装置8の表示領域の中心から、表示領域内の上方向に移動させる制御を行う。
【0056】
つまり、車両1が傾くような状況では、運転者は、地面の状況を確認したい傾向が高い。このため、移動制御部523が、レンズの中心に対応する位置座標を、表示装置8の表示領域の中心から、表示領域内の上方向に移動させる処理を行うこととした。これにより、例えば、撮像画像データに写っている空など、車両1より上方の状況よりも、車両1より下方の状況を重視して表示することになる。よって、利用者は、表示装置8に表示された撮像画像データを参照することで、車両1周辺の地面の状況を認識できる。これにより、適切な操舵支援を実現できる。
【0057】
移動制御部523は、以下に示す式(7)で位置座標を変換することで、撮像画像データの位置座標の移動を実現できる。なお、dx2、dy2は、拡大、縮小補正を行った後のレンズ中心を原点とした座標値とする。なお、移動前のレンズの中心の位置座標の移動先を(cx、cy)とする。
【0058】
【数3】
【0059】
合成部524は、移動制御部523が移動制御を行った後の撮像画像データに対して、表示装置8の表示領域に合わせて切り出しした後、運転手の操舵を支援するための表示情報を合成する。
【0060】
図9は、合成部524が合成した後の出力用画像データの例を示した図である。図9に示す例では、表示領域901には、撮像部16bにより撮像された、車両1の左側の前輪3F周辺の状況が映し出されている。また、表示領域902には、撮像部16dより撮像された、車両1の右側の前輪3F周辺の状況が映し出されている。さらに、表示領域903には、車両1のピッチ角及びロール角が認識可能な表示情報(傾斜計906)が表示されている。つまり、車両1を示したアイコン921の傾きでロール角を示す一方、当該アイコン921を通る中心線912と線911と間の距離でピッチ角を示している。このように、本実施形態では、ロール角及びピッチ角を認識可能な情報を示しているが、このような表示態様に制限するものではなく、他の表示態様であっても良い。
【0061】
また、表示領域904には、合成部524により切り出された後の撮像画像データが映し出されている。撮像画像データ内の映像内の水平線が、表示装置8の横枠と略平行になるように補正されている。換言すれば、撮像画像データ内の映像の下方向が、重力方向になるように補正されている。これにより、運転者は周辺の状況を認識するのが容易になる。
【0062】
しかしながら、運転者が、表示装置8に表示されている撮像画像データで、車両1の周囲の状況を確認しようとした際、車両1の周囲の状況によっては、撮像画像データから当該車両1の傾きを認識するのが難しい場合がある。また、表示装置8には、車両1のピッチ角及びロール角を示す傾斜計906が示されているが、ピッチ角及びロール角を認識するためには、傾斜計906を注視する必要がある。運転者が撮像画像データに注視している場合、傾斜計906に表示されている内容を認識するのは難しい場合がある。
【0063】
そこで、本実施形態では、表示領域903及び表示領域908の背景色を、車両1の傾斜角度(ピッチ角又はロール角)に応じて異ならせることとした。これにより、運転者は、傾斜計906を注視せずとも、車両1の現在の傾斜角度をおおよそ認識することができる。これにより、運転者は、車両1の現在の傾斜角度をおおよそ認識した際に、より正確な傾斜角を知りたい場合には、傾斜計906を見れば良い。これにより、運転者は、車両1の周辺の状況を認識するのが容易になる。
【0064】
そして、出力部505は、合成部524により合成された出力用画像データを、表示装置8に出力する。これにより、補正処理が行われた後の撮像画像データと共に、ロール角及びピッチ角が認識可能な情報が、表示装置8に表示される。
【0065】
図8、9の例では、前輪3Fの予想進路線905が含まれている。周辺監視ECU14(CPU14a)は、舵角センサ19の検出結果等に基づいて予定進路を算出することができ、出力される画像に予定進路に対応した予想進路線905を含める(重畳する)ことができる。予想進路線905は、予定された進路を示す表示要素の一例である。周辺監視ECU14は、上述した回転、拡大・縮小、移動補正に対応して、予想進路線905の表示位置や、大きさ、姿勢(傾き)等を補正する。また、周辺監視ECU14は、予想進路線905の位置が画面の中央から大きくずれるような場合には、ずれが減る方向に表示領域と予想進路線905の位置を補正することも可能である。
【0066】
また、図9の例では、表示領域903、904の横方向の辺(図9の上辺または下辺)に対するアイコン921の傾きが、車両1のロール角となる。したがって、周辺監視ECU14は、出力される画像に、アイコン921の周囲を取り囲む角度スケール906a(傾斜スケール)を、表示領域903に対して角度が不変となる状態に含めることにより、アイコン921を利用した傾斜計906(ロール角度表示部)を構成することができる。例えば、表示領域904の表示のみでは、水平方向、鉛直方向、車両1の姿勢(ロール角度やピッチ角)が分かり難い場合がある。この点、図9の例のように、ロール角度やピッチ角に応じて画面に対して回転(ロール)やピッチングされるアイコン921が表示されたり、傾斜計906が表示されたりすることで、表示領域904の画像の状態によらず、水平方向、鉛直方向、車両1の姿勢(ロール角度)が分かり易くなる。このように、表示領域904と表示領域903を一緒に表示する(同一画面内に表示するまたは並列して表示する)ことにより、車両周辺の状況や車両の姿勢の状況がいっそう理解し易くなる。
【0067】
また、本実施形態は、上述した回転、拡大・縮小、移動補正を常に行うものではなく、車両1がオフロードモードになった場合に行うように設定しても良い。例えば、取得部501が取得したオフロードモードであるか否かを示す情報を参照し、オフロードモードの場合に、画像処理部504が、上述した回転、拡大・縮小、移動補正を行う。
【0068】
なお、オフロードモードとは、オフロード走行において、車両1の4WDの性能を引き出すためのモードとし、トランスファーギアの全体を低く設定するモードとする。つまり、本実施形態は、オフロード走行を行う際の操作に連動して、表示装置8に表示される撮像画像データが切り替わることとする。なお、本実施形態は、表示装置8に表示される映像の切替は、オフロードモードに切り替えられた場合に制限するものではなく、例えば、2−4WD切替で4WDに切り替えられた場合に、回転補正が行われた映像を表示するように制御を行っても良い。
【0069】
さらに、本実施形態においては、オフロードモードにおいて、傾斜計906が常に表示されていることに制限するものではなく、車両1の傾斜角度が所定の角度以上になった場合に、傾斜計906が表示されるようにしても良い。本実施形態では、出力部505が、車両1の傾斜角度が10度より小さい場合に、撮像画像データのみ配置された出力用画像データを出力し、車両1の傾斜角度が10度以上の場合に、撮像画像データと傾斜計906とが組み合わさった出力用画像データを出力する。さらに、出力部505は、車両1の傾斜角度が30度以上の場合に、撮像画像データと傾斜計906とが組み合わさった上、出力用画像データの表示態様を異ならせる。
【0070】
次に、本実施形態にかかる周辺監視部500における、表示装置8への表示処理について説明する。図10は、本実施形態にかかる周辺監視部500における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
まず、取得部501が、撮像部16から撮像画像データを取得する(ステップS1001)。次に、取得部501が、加速度センサ26から加速度データを取得する(ステップS1002)。
【0072】
そして、角度取得部502が、加速度データから、車両1のロール角及びピッチ角を算出する(ステップS1003)。
【0073】
次に、フィルタリング制御部503が、算出されたロール角及びピッチ角に対して、ローパスフィルタによるフィルタリングを行う(ステップS1004)。
【0074】
そして、回転制御部521が、撮像画像データに対して、ロール角に応じた回転制御を行う(ステップS1005)。
【0075】
次に、縮小・拡大制御部522及び移動制御部523が、回転制御が行われた後の撮像画像データに対して、拡大制御及び移動制御を行う(ステップS1006)。
【0076】
そして、合成部524が、拡大制御及び移動制御が行われた後の撮像画像データに対して、表示装置8で表示される表示領域に応じた切り出しを行う(ステップS1007)。
【0077】
次に、合成部524が、切り出した撮像画像データに対して、前輪周辺の状況を示した撮像画像データや、ピッチ角及びロール角を認識可能な表示情報を合成する(ステップS1008)。なお、実際の合成手順については後述する。
【0078】
そして、出力部505が、合成部524により合成された後の出力用画像データを、表示装置8に出力する(ステップS1009)。
【0079】
次に、本実施形態にかかる周辺監視部500における、図10のステップS1008における、表示装置8に表示するための画像データの合成処理について説明する。図11は、本実施形態にかかる周辺監視部500における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0080】
まず、合成部524が、フィルタリング制御部503から入力された傾斜角度(ロール角又はピッチ角)が、10度以上か否かを判定する(ステップS1101)。合成部524が10度より小さいと判定した場合(ステップS1101:No)、合成部524は、撮像部16a、16b、16dで撮像された撮像画像データを組み合わせて、出力用画像データを生成する(ステップS1102)。
【0081】
図12は、ステップS1102において、合成部524により生成された出力用画像データを例示した図である。図12に示されるように、撮像部16aで撮像された撮像画像データ1201と、撮像部16bにより撮像された撮像画像データ1203と、撮像部16dにより撮像された撮像画像データ1202と、が組み合わされている。そして、表示領域1204には、傾斜計等は表示されていない。図12に示される例では、運転者は撮像画像データのみ参照すれば良いため、負担を軽減できる。
【0082】
一方、ステップS1101で合成部524が、フィルタリング制御部503から入力された傾斜角度(ロール角又はピッチ角)が、10度以上と判定した場合(ステップS1101:Yes)、傾斜角度(ロール角又はピッチ角)が、30度以上か否かを判定する(ステップS1103)。30度より小さいと判定した場合(ステップS1103:No)、合成部524は、撮像画像データと傾斜計とを組み合わせて、出力用の画像データを生成する(ステップS1104)。
【0083】
図13は、ステップS1104において、合成部524により生成された出力用画像データを例示した図である。図13に示されるように、撮像部16aで撮像された撮像画像データ1301と、撮像部16bにより撮像された撮像画像データ1303と、撮像部16dにより撮像された撮像画像データ1302と、傾斜計1306と、が組み合わされている。また、図13に示される出力用画像データにおいて、表示領域1304、1305は、車両1の傾斜角が10度〜30度用に設定された背景色が表示されている。背景色はどのような色でも良いが、例えば青色などが考えられる。
【0084】
一方、ステップS1103で合成部524が、フィルタリング制御部503から入力された傾斜角度(ロール角又はピッチ角)が、30度以上と判定した場合(ステップS1103:Yes)、合成部524は、撮像画像データと傾斜計とを組み合わせた上で、背景色を注意喚起用の色に変更された出力用画像データを生成する(ステップS1105)。
【0085】
上述した図9は、傾斜角度(ロール角又はピッチ角)が、30度以上の場合に生成される出力用画像データであって、上述したように撮像画像データ901、902、904と傾斜計906と、を組み合わせた上で、表示領域907、908の背景色が、注意喚起用の色に変更されている。注意喚起用の色としては、例えば、赤や黄などが考えられる。
【0086】
なお、本実施形態は、車両1の傾斜角に応じて表示装置8に表示される表示領域の色の変更としては、輝度値や、色調、色味などの変化を含めても良い。
【0087】
このように、背景色が注意喚起用の色に変更されているので、運転者は傾斜計を注視せずとも、車両1の傾斜状態を認識することができる。つまり、運転者は、表示装置8に表示されている撮像画像データに注視して周囲の状況を把握しながら、表示装置8の背景色から、車両1の傾斜状態を把握できる。つまり、表示装置8に表示されている撮像画像データのみ参照していると、車両1の現状を認識するのが難しくなるが、本実施形態では、表示装置8に撮像画像データを表示する際に、車両1の傾斜角の状況を背景色として、表示することで、運転者は表示装置8を参照しているだけで、車両1に関する様々な状況を認識できる。これにより、運転者が操舵する際の負担を軽減できる。
【0088】
上述したように、本実施形態の合成部524は、車両1の傾斜状況に応じて、背景色を異ならせた出力用画像データを合成している。これにより、出力部505は、車両1の傾斜角度に応じて、背景色を異ならせた出力用画像データを出力する。
【0089】
(変形例1)
なお、上述した実施形態では、表示態様として、背景色を異ならせた例について説明した。しかしながら、傾斜角度に応じて異ならせる表示態様を背景色に制限するものではない。そこで、変形例1では、車両1の傾斜角が30度以上の場合に、表示態様として、警告マークを表示する場合について説明する。
【0090】
図14は、本変形例の合成部524が、車両1の傾斜角が30度以上の場合に生成する画像データを例示した図である。図14に示される画像データでは、撮像画像データ901、902、904と、傾斜計906と、を組み合わせた上で、警告マーク1401が表示されている。この警告マーク1401は、車両1の傾斜角が30度以上の場合に、合成部524が出力する画像データに付与される。
【0091】
本変形例では、運転者が、表示装置8を参照した際に、撮像画像データ901、902、904と傾斜計906とに加えて、警告マーク1401(アイコン)が表示されているため、運転者に対して車両1の状況を認識させることができる。
【0092】
(変形例2)
上述した実施形態及び変形例では、車両1の傾斜角が30度以上になった場合に、撮像画像データと傾斜計とを除いた表示領域の背景色を異ならせる、又は当該表示領域に警告マークを表示する例について説明した。しかしながら、撮像画像データと傾斜計の表示態様を異ならせても良い。そこで変形例2では、撮像部16b、16dで撮像された撮像画像データの表示態様を異ならせる例について説明する。
【0093】
図15は、本変形例の合成部524が、車両1の傾斜角が30度以上の場合に生成する画像データを例示した図である。図15に示される画像データでは、撮像画像データ904、1501、1502と、傾斜計906と、を組み合わせている。さらに、撮像画像データ1501、1502に対して、傾斜角が30°より小さい場合と比べて、表示態様を異ならせている。図15で示す例では、撮像画像データ1501、1502の輝度値を、水平面に対する高さに応じて異ならせている。つまり、撮像画像データ1501、1502の暗い部分ほど低く、明るい部分ほど高いことが示されている。図15に示される例では、車両1の左側が低く、右側が高いことを示している。当該表示を、車両1の傾斜角が30度以上の場合に行うことで、ユーザに対して、車両1の傾き状況を認識させることができる。
【0094】
本変形例では、傾斜角が30°以上の場合に、撮像部16b、16dで撮像された撮像画像データの表示態様(例えば色味や、輝度値)を異ならせた画像データを、出力部505が出力する例について説明したが、表示態様を異ならせる撮像画像データを、撮像部16b、16dで撮像された撮像画像データに制限するものではなく、撮像部16aにより撮像された撮像画像データの表示態様(例えば色味や、輝度値)を異ならせても良い。
【0095】
(変形例3)
上述した実施形態及び変形例では、車両1の傾斜角が30°以上の場合に表示態様を異ならせる例について説明した。しかしながら、上述した実施形態及び変形例では、傾斜角がピッチ角であるか、ロール角であるかを特に考慮しなかった。そこで、本変形例の合成部524は、ロール角に応じて異ならせる出力用画像データの表示領域内の表示態様と、ピッチ角に応じて異ならせる出力用画像データの表示領域内の表示態様と、を異ならせる例とする。例えば、ロール角が30°以上の場合に、出力用画像データの所定の表示領域の色を赤に変更し、ピッチ角が30°以上の場合に、出力用画像データの所定の表示領域の色を黄色に変更する等が考えられる。そして、ロール角が30°以上且つピット角が30°以上の場合に、所定の表示領域の色をオレンジに変更する。これにより、運転者は、傾斜計を注視することなく、車両1の傾き状態を認識できる。
【0096】
上述した実施形態及び変形例においては、表示装置8に撮像画像データと傾斜計とが表示される際、車両1の傾斜角に応じて表示態様を異ならせている。これにより、運転者は、傾斜計を参照せずとも、撮像画像データを見ながら、車両1の傾き状態を認識することができる。これにより、車両周辺の状況把握が容易になる。つまり、運転者は車両1の周囲の状況の把握が容易になるので、操舵負担を軽減できる。
【0097】
以下に、上述した実施形態及び変形例に基づく技術の例を付記する。
【0098】
(付記1)
出力部は、さらに、車両の第1の傾斜角度である、ロール角に応じて異ならせる出力画像データの表示領域内の第1の表示態様と、車両の第2の傾斜角度であるピッチ角に応じて異ならせる出力画像データの表示領域内の第2の表示態様と、を異ならせる。
【0099】
(付記2)
出力部は、表示態様として、撮像画像データの色、表示領域のうち撮像画像データ及び傾斜角度表示情報を除いた領域の色、及び傾斜角度表示情報内の色のうちいずれか一つ以上を異ならせる。
【0100】
(付記3)
表示部は、表示態様として、表示領域内にアイコンを表示する。
【0101】
(付記4)
表示部は、表示態様として、撮像画像データ内の撮像された領域における、水平面に対する高さの違いに応じて色を異ならせて表示する。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
500…周辺監視部、501…取得部、502…角度取得部、503…フィルタリング制御部、504…画像処理部、505…出力部、521…回転制御部、522…縮小・拡大制御部、523…移動制御部、524…合成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15