(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<0.導入>
本発明の実施形態は、小売店やスーパーマーケットなどの流通施設、商業施設、物流施設および各種サービス施設に設置される現金処理装置に適用される。本実施形態による現金処理装置は、例えば、物品配達の際の代引取引で用いられるつり銭準備金として紙幣及び硬貨を出金するつり銭出金、および上記取引により回収された紙幣および硬貨を入金する売上入金などの処理を実行可能である。以下、このような本実施形態による現金処理装置の構成および動作について順次詳細に説明する。
【0024】
<1.現金処理装置の構成>
図1は、本実施形態による現金処理装置1の構成を示す説明図である。
図1に示したように、本実施形態による現金処理装置1は、紙幣投入口101と、紙幣一時保留部103と、紙幣鑑別部105と、万券カセット107と、五千券カセット109と、千券カセット111と、回収カセット113と、リジェクト部115と、硬貨投入口117と、硬貨鑑別部119と、硬貨一時保留部121と、硬貨返却部123と、出金ホッパ125と、硬貨回収庫127と、硬貨出金箱129と、カードリーダ部131と、操作表示部133と、万券収納量検知部135と、五千券収納量検知部137と、千券収納量検知部139と、硬貨収納量検知部141と、制御部150と、を備える。
【0025】
紙幣投入口101は、現金処理装置1に入金される紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入口101は、紙幣の出金口でもあり、紙幣投入口101から売上入金の取り消しにより返却される紙幣、出金取引において選択された紙幣、および紙幣鑑別部105により正常ではないとしてリジェクトされた紙幣が出金される。
【0026】
紙幣一時保留部103には、入金計数時および売上金作成時に、一時的に紙幣が集積される。また、紙幣鑑別部105は、投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを各種センサによって鑑別する。
【0027】
万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を収納するリサイクルカセットである。具体的には、万券カセット107、五千券カセット109、および千券カセット111(各紙幣カセット)には、バラ状態の各種紙幣がつり銭準備金として収納される。また、各紙幣カセットには、売上として入金され、紙幣鑑別部105で正常と鑑別された各種紙幣が収納される。さらに、釣銭出金時には、各紙幣カセットから各種紙幣が出金される。
【0028】
回収カセット113は、売上回収のためのカセットである。具体的には、回収カセット113には、精算集計時に、各紙幣カセットから移動された紙幣が売上金として収納される。なお各紙幣カセットから移動して収納するタイミングは、運用によっては入金を行ったタイミングや回収を行ったタイミングとしてもよい。
【0029】
リジェクト部115には、紙幣鑑別部105によって正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣、すなわちリジェクトされた紙幣が集積される。具体的には、リジェクト部115には、売上入金時に紙幣一時保留部103から各紙幣カセットに紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、各紙幣カセットからつり銭出金を行う過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣、精算集計時に各紙幣カセットから回収カセット113に紙幣を搬送する過程で紙幣鑑別部105によってリジェクトされた紙幣などが集積される。
【0030】
硬貨投入口117は、硬貨が投入される開口である。また、硬貨鑑別部119は、投入された硬貨が正常な硬貨であるか否かを各種センサによって鑑別する。さらに、硬貨一時保留部121には、入金計数時および精算集計時に、一時的に硬貨が集積される。
【0031】
硬貨返却部123は、硬貨の返却口であり、計数が行われた硬貨、売上入金の取り消しがなされた硬貨が返却される。また、出金ホッパ125には、売上入金によって投入された各種硬貨が収納されており、つり銭出金時には出金ホッパ125から各種硬貨が出金される。
【0032】
硬貨回収庫127は、売上回収のためのカセットである。具体的には、硬貨回収庫127には、精算集計時に出金ホッパ125から移動された硬貨が売上金として収納される。また、硬貨出金箱129は、つり銭出金時に硬貨を出金するための硬貨出金口である。なお出金ホッパから移動して収納するタイミングは、運用によっては入金を行ったタイミングや回収を行ったタイミングとしてもよい。
【0033】
カードリーダ部131は、IDカード等に書き込まれた情報を読み取る。IDカード等に書き込まれる情報として、例えば、カードを利用するオペレータの識別情報、および許可されている取引の種類を示す情報が挙げられる。このカードリーダ部131から読み取られる情報が事前に登録されている情報と一致する場合、現金処理装置1の利用が制御部150により許可される。なお、現金処理装置1は、カードリーダ部131に加えて、あるいはカードリーダ部131に代えて、指紋認識を行う指紋認識部、または暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部を有してもよい。
【0034】
操作表示部133は、オペレータによる各種コマンドや商取引における請求金額などが操作入力される操作入力部としての機能、および各種画面を表示する表示部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作入力部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、以下の説明は、タッチパネルの例で行うが、表示部および操作入力部の機能は分離して構成されてもよい。また、操作入力部は、確認ボタンや訂正ボタンや取消ボタンのついたテンキーや、取引毎の専用キーとして構成されてもよい。
【0035】
万券収納量検知部135、五千券収納量検知部137および千券収納量検知部139は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣の収納量を検知する。具体的には、各種収納量検知部は、光学センサなどのセンサにより各種紙幣の収納量を検知する。
【0036】
硬貨収納量検知部141は、金種毎の硬貨の収納量を検知する。具体的には、硬貨収納量検知部は、光学センサなどのセンサにより金種毎の硬貨の収納量を検知する。
【0037】
制御部150は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)装置などのデータ格納用記憶装置等で構成される。
【0038】
制御部150は、現金処理装置1の動作全般を制御する。例えば、本実施形態による制御部150は、IDカードによる認証が終了すると、オペレータが所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させ、メニュー画面においてオペレータにより選択された処理を制御する。より具体的には、制御部150は、つり銭出金取引において、顧客からの受け取り金額を予想し、受け取り金額及び請求金額に応じ、つり銭準備金の金種別枚数を算出し、算出された金種別枚数の現金の出金を制御する。以下、
図2を参照してメニュー画面の具体例を説明した上で、制御部150の制御により実現される各処理の概要を説明する。
【0039】
<2.現金処理装置が行う各種処理>
図2は、操作表示部133に表示されるメニュー画面20の具体例を示す説明図である。
図2に示したように、メニュー画面20は、「01:つり銭出金」ボタン、「02:売上入金」ボタン、「03:計数」ボタン、「04:補充」ボタン、「05:精算集計」ボタン、「06:売上回収」ボタン、および「07:精査」ボタンなど、現金処理装置1が実行可能な処理と関連付けられた選択ボタンを含む。オペレータは、このメニュー画面20からの選択ボタンの選択により、所望の処理を現金処理装置1に実行させることが可能である。なお、以下の画面例においては、明示してない取消ボタンや訂正ボタンがあり、取消ボタン押下では取引を中断し、訂正ボタン押下では入力値の訂正や前画面への戻りを行うことが可能である。
【0040】
(つり銭出金)
つり銭出金は、各紙幣カセットおよび出金ホッパ125からつり銭準備金を出金するための処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「01:釣銭出金」ボタンが選択されると、制御部150は、
図3に示すつり銭出金方式の選択画面40を操作表示部133に表示させる。その後、制御部150は、オペレータにより選択された方式のつり銭出金の処理を行う。
【0041】
図3は、つり銭出金方式の選択画面40の具体例を示す説明図である。
図3に示したように、つり銭出金方式の選択画面40は、金種枚数指定出金ボタン41と、パターン出金ボタン42と、代引出金ボタン43と、を含む。なお、オペレータは、各種ボタンの選択により、金種枚数指定出金、パターン出金および代引出金のいずれかの方式のつり銭出金処理を現金処理装置1に実行させることが可能である。ここで、
図3〜
図8を参照し、各種つり銭出金の処理の具体例を説明する。
【0042】
金種枚数指定出金は、オペレータにより入力された金種別枚数のつり銭準備金を出金する、つり銭出金である。例えば、つり銭出金方式の選択画面40においてオペレータにより金種枚数指定出金ボタン41が選択されると、制御部150は、
図4に示す金種別枚数の入力画面410を操作表示部133に表示させる。
【0043】
図4は、金種枚数指定出金における、金種別枚数の入力画面410の具体例を示す説明図である。
図4に示したように、金種別枚数の入力画面410は、オペレータが各金種の枚数を入力するための入力ボタン411と、金種選択ボタン412と、オペレータにより入力された金種別枚数および上記金種別枚数に相当する合計金額を示す表示413と、確認ボタン414と、を含む。
【0044】
金種別枚数の入力画面410において確認ボタン414が選択されると、現金処理装置1は、金種別枚数の入力画面410においてオペレータが入力した金種別枚数のつり銭準備金を出金する。なお、確認ボタン414が選択された後に、制御部150は、後述する
図6及び
図8に示す最終確認画面60、80に相当する最終確認画面を操作表示部133に表示させてもよい。
【0045】
パターン出金は、予め現金処理装置1に出金パターンとして登録されており、オペレータにより選択された、金種別枚数のつり銭準備金を出金する、つり銭出金である。例えば、つり銭出金方式の選択画面40においてオペレータによりパターン出金ボタン42が選択されると、制御部150は、
図5に示す出金パターンの選択画面420を操作表示部133に表示させる。
【0046】
図5は、パターン出金における、出金パターンの選択画面420の具体例を示す説明図である。
図5に示したように、出金パターンの選択画面420は、つり銭準備金の合計金額を示す出金パターンボタン421と、確認ボタン422と、を含む。なお、本発明は本実施例に限定されるものではなく、例えば、出金パターンボタン421は、20,000円、15,000円、10,000円、5,000円以外の金額を表示してもよく、また、4個以外の個数のボタンを表示してもよい。
【0047】
出金パターンの選択画面420において出金パターンボタン421が選択され、確認ボタン422が選択されると、制御部150は、
図6に示す最終確認画面60を操作表示部133に表示させる。
【0048】
図6は、パターン出金における、つり銭準備金の金種別枚数の最終確認画面60の具体例を示す説明図である。
図6に示したように、最終確認画面60は、選択されたパターンに相当する金種別枚数を示す表示61と、確認ボタン62と、を含む。
【0049】
最終確認画面60において確認ボタン62が選択されると、現金処理装置1は、選択されたパターンに相当する金種別枚数のつり銭準備金を出金する。なお、選択画面420において出金パターンボタン421が選択された場合に、制御部150は、選択画面420に表示61を表示してもよく、さらに確認ボタン422が選択された場合に、現金処理装置1は、選択されたパターンに相当する金種別枚数のつり銭準備金を出金してもよい。
【0050】
代引出金は、制御部150が商取引における請求金額に応じて算出した金種別枚数のつり銭準備金を出金するつり銭出金である。例えば、つり銭出金方式の選択画面40においてオペレータにより代引出金ボタン43が選択されると、制御部150は、
図7に示す請求金額の入力画面430を操作表示部133に表示させる。
【0051】
図7は、代引出金における、請求金額の入力画面430の具体例を示す説明図である。
図7に示したように、請求金額の入力画面430は、オペレータが請求金額を入力するための入力ボタン431と、オペレータにより入力された請求金額を示す表示432と、確認ボタン433と、を含む。
【0052】
請求金額の入力画面430において確認ボタン433が選択されると、制御部150は、受け取り金額を予想し、受け取り金額およびオペレータにより入力された請求金額に応じ、つり銭準備金の金種別枚数を算出し、
図8に示す最終確認画面80を操作表示部133に表示させる。なお、つり銭準備金の金種別枚数の算出についての詳細は後述する。
【0053】
図8は、代引出金における、つり銭準備金の金種別枚数の最終確認画面80の具体例を示す説明図である。
図8に示したように、最終確認画面80は、制御部150が商取引における請求金額に応じて算出したつり銭準備金の金種別枚数を示す表示81と、確認ボタン82と、を含む。
【0054】
最終確認画面80において確認ボタン82が選択されると、現金処理装置1は、制御部150が商取引における請求金額に応じ算出した金種別枚数のつり銭準備金を出金する。なお、入力画面430において確認ボタン433が選択された場合に、制御部150は、入力画面430に表示81を表示してもよく、さらに確認ボタン433が選択された場合に、現金処理装置1は、選択されたパターンに相当する金種別枚数のつり銭準備金を出金してもよい。
【0055】
以上説明したように、金種枚数指定出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数をオペレータが算出した後に、上記金種別枚数を現金処理装置1に入力する必要があり、手間がかかるため、出金取引の効率化が図れない。その上、金種枚数指定出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数の算出において、計算間違えが生じる可能性もある。一方、代引出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数が自動で算出されるため、出金取引を効率化することが可能である。また、金種枚数指定出金においては、各金種に対する数字ボタン、金種選択ボタンおよび確認ボタンの押下が必要である。一方、代引出金においては、請求金額の各桁に対する数字ボタンおよび確認ボタンの押下で足りることから、金種枚数指定出金と比較しオペレータの入力操作の負担を軽減することが可能である。さらに、パターン出金においては、出金パターン数は有限であり、種々の受け取り金額に対応し得る金額として必要以上の金額の出金パターンが選択される場合が多く、その場合にオペレータは、実際に使用するより多くのつり銭準備金を出金することとなる。一方、代引出金においては、商取引における請求金額に応じて算出した金種別枚数のつり銭準備金を出金することができるので、現金処理装置1の現金運用を効率化することが可能である。
【0056】
(売上入金)
売上入金は、売上金の紙幣および硬貨を紙幣カセットおよび出金ホッパ125に収納するための処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「02:売上入金」ボタンが選択されると、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117のシャッタを開放し、紙幣および硬貨の投入を誘導する入金誘導画面を操作表示部133に表示させる。その後、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された紙幣および硬貨を計数する。ここで、紙幣鑑別部105により正常と判断された紙幣は紙幣一時保留部103に集積され、硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨は硬貨一時保留部121に集積される。また、紙幣鑑別部105によりリジェクトされた紙幣は紙幣投入口101から返却され、硬貨鑑別部119によりリジェクトされた硬貨は硬貨返却部123から返却される。
【0057】
さらに、制御部150は、計数により得られた入金合計金額を操作表示部133に表示させる。そして、オペレータにより入金合計金額の確認操作が行われると、紙幣一時保留部103から紙幣カセットに紙幣が搬送され、紙幣カセットが当該紙幣を収納する。同様に、硬貨一時保留部121から出金ホッパ125に硬貨が搬送され、出金ホッパ125が当該硬貨を収納する。なお、紙幣および硬貨の収納時点で売上(入金合計が出金合計を上回る金額)が発生している場合、高額な紙幣が優先的に回収カセット113に収納されるようにしてもよい。
【0058】
(計数)
計数は、投入された紙幣および硬貨の計数を行った後、紙幣および硬貨を返却する処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「03:計数」ボタンが選択されると、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117のシャッタを開放し、紙幣および硬貨の投入を誘導する入金誘導画面を操作表示部133に表示させる。その後、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された紙幣および硬貨を計数する。ここで、紙幣鑑別部105により正常と判断された紙幣は紙幣一時保留部103に集積され、硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨は硬貨一時保留部121に集積される。また、紙幣鑑別部105によりリジェクトされた紙幣は紙幣投入口101から返却され、硬貨鑑別部119によりリジェクトされた硬貨は硬貨返却部123から返却される。
【0059】
さらに、制御部150は、計数により得られた入金合計金額を操作表示部133に表示させる。そして、オペレータにより入金合計金額の確認操作が行われると、紙幣一時保留部103の紙幣が紙幣投入口101から返却され、硬貨一時保留部121の硬貨が硬貨返却部123から返却される。
【0060】
(補充)
補充は、つり銭用の紙幣および硬貨を紙幣カセットおよび出金ホッパ125に補充するための処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「04:補充」ボタンが選択されると、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117のシャッタを開放し、紙幣および硬貨の投入を誘導する入金誘導画面を操作表示部133に表示させる。そして、紙幣投入口101および硬貨投入口117に紙幣および硬貨が投入されると、制御部150は、投入された紙幣および硬貨を紙幣カセットおよび出金ホッパ125に収納するための制御を行う。
【0061】
(精算集計)
精算集計は、それまでの出金および入金取引を集計し、売上額(入金合計―出金合計)を算出する処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「05:精算集計」ボタンが選択されると、制御部150は、売上額と既に回収カセット113に収納した紙幣額との差分を売上移動金額として算出する。そして、制御部150は、高額券の紙幣を優先して紙幣カセットから回収カセット113に移動させ、出金ホッパ125から硬貨を回収カセット113に移動させ、売上金を作成するための制御を行う。なお、運用によっては、精算集計を設けず、入金を行ったタイミングや、売上回収を行ったタイミングで紙幣と硬貨を回収カセットに移動させてもよい。
【0062】
(売上回収)
売上回収は、オペレータによる売上金の回収を可能とするための処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「06:売上回収」ボタンが選択されると、制御部150は、現金処理装置1の扉を解錠し、回収カセット113の脱着誘導を操作表示部133に表示させる。回収カセット113が脱着され、売上金がオペレータにより回収され、空の回収カセット113がセットされると、処理が完了する。オペレータは、回収した売上金を例えば金融機関などに入金する。
【0063】
(精査)
精査は、現金処理装置1内の有高を確認するための処理である。例えば、メニュー画面20においてオペレータにより「07:精査」ボタンが選択されると、制御部150は、現金処理装置1の扉を解錠し、紙幣カセットからの紙幣の取り出し、および出金ホッパ125からの硬貨の取り出しを誘導する画面を操作表示部133に表示させる。その後、オペレータにより紙幣および硬貨の取り出しが行われ、現金処理装置1の扉が閉められると、制御部150は、紙幣および硬貨の投入を誘導する画面を操作表示部133に表示させる。
【0064】
その後、制御部150は、紙幣投入口101および硬貨投入口117から投入された紙幣および硬貨を計数する。ここで、紙幣鑑別部105により正常と判断された紙幣は紙幣一時保留部103に集積され、硬貨鑑別部119により正常と判断された硬貨は硬貨一時保留部121に集積される。また、紙幣鑑別部105によりリジェクトされた紙幣は紙幣投入口101から返却され、硬貨鑑別部119によりリジェクトされた硬貨は硬貨返却部123から返却される。
【0065】
さらに、制御部150は、計数により得られた合計金額を操作表示部133に表示させる。そして、オペレータにより合計金額の確認操作が行われると、紙幣一時保留部103から紙幣カセットに紙幣が搬送され、紙幣カセットが当該紙幣を収納する。同様に、硬貨一時保留部121から出金ホッパ125に硬貨が搬送され、出金ホッパ125が当該硬貨を収納する。
【0066】
(補足)
なお、現金処理装置1は、オフラインで運用されてもよいし、店舗会計システムなどの上位サーバと連携してオンラインで運用されてもよい。現金処理装置1は、オンラインで運用される場合、LANなどで接続される上位サーバに対して、処理すべき内容を電文として受信し、各処理の結果を電文として送信する。
【0067】
また、現金処理装置1は多くの処理に対応しているので、全ての処理に対応する選択ボタンを1または2以上のメニュー画面20に配置すると、オペレータが所望の処理に対応する選択ボタンを探すのに手間がかかる。そこで、制御部150は、カードリーダ部131により読み取られた情報から特定されるオペレータの権限に応じて、メニュー画面20の構成を変化させてもよい。例えば、メニュー画面20が複数画面で構成される場合、制御部150は、オペレータによる選択頻度が高い処理の選択ボタンを複数画面のうちで最初に表示される画面に配置してもよい。または、オペレータが一部の処理を行う権限しか有さない場合、制御部150は、オペレータが行う権限を有する処理に対応する選択ボタンを拡大表示してもよい。かかる構成により、メニュー画面20の視認性および操作性を改善することが可能である。
【0068】
また、現金処理装置1が電源OFFである間に現金処理装置1の扉が開けられた場合、現金処理装置1は、不正な操作があったことをポップアップ画面やブザーで警告してもよい。かかる構成により、現金処理装置1のセキュリティが向上する。
【0069】
<3.現金処理装置が行う第1の代引出金処理>
以上、現金処理装置1により実行される各処理の概要を説明した。続いて、
図9を参照し、本実施形態による現金処理装置1により行われる第1の代引出金処理の流れをより具体的に説明する。
【0070】
図9は、本実施形態による現金処理装置1により行われる第1の代引出金処理の流れを示したフローチャートである。
図3を参照して説明した選択画面40において代引出金取引が選択され(S502)、
図7を参照して説明した入力画面430において請求金額の入力および確認がされると(S504)、制御部150は、受け取り金額を予想する(S506)。
【0071】
S506の処理において、制御部150により予想される受け取り金額として、具体的には、10,000円の整数倍となる受け取り金額と、請求金額と同一の端数を有する受け取り金額と、請求金額と受け取り金額の差額の端数の最小の位が5になるような受け取り金額と、がある。例えば、請求金額が2,730円であった場合、制御部150により予想される受け取り金額として、10,000円と、2,730円と同一の端数を有する金額である10,030円および10,730円と、2,730円との差額の端数の最小の位が5になる10,230円と、がある。
【0072】
次に、制御部150は、受け取り金額の優先度を算出する(S508)。具体的には、制御部150は、受け取り金額と請求金額において値の等しい桁の個数が多くなるにつれて低くなる優先度を算出する。また、制御部150は、請求金額と受け取り金額の差額の端数の最小の位が5になるような受け取り金額の優先度を、上記最小の位の5の桁位置に応じて算出する。より具体的には、制御部150は、受け取り金額の端数の最大の位が一、十、百、千の位の場合に、優先度の第1変数として、それぞれ「1」、「2」、「3」、「4」を算出する。なお、制御部150は、受け取り金額の端数が無い場合には、優先度の第1変数として0を算出する。また、請求金額と受け取り金額の差額の端数の最小の位が5になるような受け取り金額について、制御部150は、端数の最小の位の5の桁位置が一、十、百、千の位の場合に、優先度の第2変数として、それぞれ「1」、「2」、「3」、「4」を算出する。例えば、請求金額が2,730円であり受け取り金額が10,030円である場合、受け取り金額の端数の最大の位は十の位であるため優先度の第1変数として「2」が算出され、請求金額と受け取り金額の差額の端数の最小の位は5とはならないため優先度の第2変数として「0」が算出される結果、制御部150は、優先度を「2−0」と算出する。同様に、制御部150は、10,000円、10,730円、10,230円の受け取り金額の優先度をそれぞれ「0−0」、「3−0」、「3−3」と算出する。
【0073】
次に、制御部150は、請求金額と受け取り金額との差額を算出する(S510)。例えば、制御部150は、2,730円の請求金額と10,000円、10,030円、10,730円、10,230円の受け取り金額との差額を、それぞれ7,270円、7,300円、8,000円、8,500円と算出する。
【0074】
次に、制御部150は、上記差額を構成し、合計枚数が最小となる現金の金種別枚数を算出する(S512)。例えば、制御部150は、7,270円の差額については五千円紙幣:1枚、千円紙幣:2枚、百円硬貨:2枚、五十円硬貨:1枚、十円硬貨:2枚を、7,300円の差額については五千円紙幣:1枚、千円紙幣:2枚、百円硬貨:3枚を、8,000円の差額については五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚を、8,500円の差額については五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚、五百円硬貨:1枚を、それぞれ金種別枚数として算出する。
【0075】
次に、予想された受け取り金額が一定以上の優先度である場合(S514/YES)、制御部150は、各金種について、S512の処理において算出された今回算出枚数と制御部150に保存されている前回算出枚数の大きい方を保存する(S516)。一方、予想された受け取り金額が一定以上の優先度でない場合(S514/NO)、制御部150は、S516の処理を行わず、S518の判断へ進む。例えば、優先度の閾値を3−0と設定し、算出された優先度の第1変数が小さい値であるほど優先度が高く、優先度の第1変数が同じであるときは、優先度の第2変数が小さい値であるほど優先度が高いとする場合、制御部150は、10,000円、10,030円、10,730円の受け取り金額については、S516の処理を行うが、10,230円の受け取り金額については、S516の処理を行わない。また、今回算出枚数が五千円紙幣:1枚、千円紙幣:2枚、百円硬貨:3枚であり、前回算出枚数が五千円紙幣:1枚、千円紙幣:2枚、百円硬貨:2枚、五十円硬貨:1枚、十円硬貨:2枚である場合、制御部150は、五千円紙幣:1枚、千円紙幣:2枚、百円硬貨:3枚、五十円硬貨:1枚、十円硬貨:2枚を金種別枚数として保存する。なお、本発明の実施形態による現金処理装置1の第1の代引出金処理が開始される時点における前回算出枚数は、各金種ともに0枚である。
【0076】
次に、受け取り金額の予想およびS508〜S516の処理が全て終了した場合(S518/YES)、制御部150は、
図8を参照して説明した、最終確認画面80において、金種別枚数と出金金額を操作表示部133に表示させる(S520)。一方、受け取り金額の予想およびS508〜S516の処理が全て終了していない場合(S518/NO)、S506の処理に戻り制御部150は、予想していない受け取り金額の予想をする。例えば、請求金額が2,730円であって、受け取り金額の予想およびS508〜S516の処理が全て終了した場合、
図8に示すように、制御部150は、五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚、百円硬貨:3枚、五十円硬貨:1枚、十円硬貨:2枚の金種別枚数と8,370円の合計金額を操作表示部133に表示させる。
【0077】
S520の処理の後、オペレータにより金種別枚数と出金金額の確認がされ(S522)、現金処理装置1は、確認された金種別枚数のつり銭準備金を出金し(S524)、代引出金処理が終了する。
【0078】
以上説明したように、金種枚数指定出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数をオペレータが算出した後に入力する必要があり、手間がかかるため、出金取引の効率化が図れない。その上、金種枚数指定出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数の算出において、計算間違えが生じる可能性もある。一方、代引出金においては、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数が自動で算出されるため、出金取引を効率化することが可能である。また、請求金額が2,730円である場合、パターン出金においては、
図5および
図6に示したように、10,000円の出金パターンが選択され、10,000円のつり銭準備金が出金される。一方、以上説明したように、代引出金においては、8,370円のつり銭準備金が出金されるため、パターン出金と比較し、1,630円分出金される現金を削減することができる。よって、現金処理装置1の現金運用を効率化することが可能である。
【0079】
なお、1回の代引出金取引に対し請求金額が複数である場合には、制御部150は、複数の請求金額各々について、つり銭準備金の金種別枚数を算出した後に、各々の金種別枚数の合計枚数を、現金処理装置1に出金させるつり銭準備金の金種別枚数として算出してもよい。また、制御部150は、複数の請求金額の合計金額を算出した後に、上記合計金額に応じたつり銭準備金の金種別枚数を、現金処理装置1に出金させるつり銭準備金の金種別枚数として算出してもよい。
【0080】
<4.現金処理装置が行う第2の出金処理>
続いて、
図10を参照し、本発明の実施形態による現金処理装置1の第2の代引出金処理の流れを説明する。
【0081】
図10は、本実施形態による現金処理装置1により行われる第2の代引出金処理の流れを示したフローチャートである。
図10に示したように、第2の代引出金処理の流れのS702〜S718、S724〜S728の処理は第1の代引出金処理の流れで説明したS502〜S518、S520〜S524の処理と実質的に同一である。一方、第2の代引出金処理の流れにおいては、5系金種の収納量が一定以下の場合の処理(S720およびS722)が第1の代引出金処理の流れと異なる。そこで、以下では第2の代引出金処理の流れにおいて第1の代引出金処理の流れと異なる処理を主に説明する。
【0082】
図10に示したように、受け取り金額の予想およびS708〜S716の処理が全て終了し(S718/YES)、5系金種の収納量が一定以下の場合(S720/YES)、制御部150は、つり銭準備金の金種別枚数のうちの収納量が一定以下の5系の金種の枚数を1系の金種の枚数に置き換える補正を行う(S722)。一方、5系金種の収納量が一定以下でない場合(S720/NO)は、制御部150は、
図8を参照して説明した、最終確認画面80において、金種別枚数と出金金額を操作表示部133に表示させる(S724)。例えば、補正前の金種別枚数が五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚、百円硬貨:3枚、五十円硬貨:1枚、十円硬貨:2枚であり、硬貨収納量検知部141によって検知される五十円硬貨の収納量が一定以下である場合に、制御部150は、金種別枚数のうちの五十円硬貨の枚数を十円硬貨の枚数に置き換え、金種別枚数を五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚、百円硬貨:3枚、五十円硬貨:0枚、十円硬貨:7枚へ補正する。なお、各金種の現金の収納量はカウンタにより計測されてもよい。
【0083】
以上のように、本発明の第2の代引出金処理において、5系金種の収納量が一定以下である場合に、現金処理装置1は、上記5系金種を1系金種に置き換えて出金することができる。よって、現金処理装置1の運用継続性を向上することが可能である。
【0084】
<5.現金処理装置が行う第3の出金処理>
続いて、
図11を参照し、本発明の実施形態による現金処理装置1の第3の代引出金処理の流れを説明する。
【0085】
図11は、本実施形態による現金処理装置1により行われる第3の代引出金処理の流れを示したフローチャートである。
図11に示したように、第3の代引出金処理の流れのS902〜S914、S918〜S926の処理は第1の代引出金処理の流れで説明したS502〜S514、S516〜S524の処理と実質的に同一である。一方、第3の代引出金処理の流れにおいては、収納量が一定以下の5系金種が今回算出枚数の最小額の金種である場合の処理(S916)が第1の代引出金処理の流れと異なる。そこで、以下では第3の代引出金処理の流れにおいて第1の代引出金処理の流れと異なる処理を主に説明する。
【0086】
図11に示したように、予想された受け取り金額が一定以上の優先度であっても(S914/YES)、収納量が一定以下の5系金種がS912において算出された今回算出枚数の最小額の金種である場合(S916/YES)は、制御部150は、各金種の今回算出枚数と前回算出枚数の大きい方を保存する処理(S918)を行わない。一方、収納量が一定以下の5系金種が算出された金種別枚数の最小額の金種ではない場合(S916/NO)は、制御部150は、各金種の今回算出枚数と前回算出枚数の大きい方を保存する(S918)。例えば、S912において算出された今回算出枚数が五千円紙幣:1枚、千円紙幣:3枚、五百円硬貨:1枚であり、硬貨収納量検知部141によって検知される五百円硬貨の収納量が一定以下である場合に、制御部150は、S918の処理を行わない。なお、受け取り金額が10,000円の整数倍である場合には、収納量が一定以下の5系金種がS912において算出された今回算出枚数の最小額の金種である場合(S916/YES)であっても制御部150は、S918の処理を行ってもよい。なお、各金種の現金の収納量はカウンタにより計測されてもよい。
【0087】
以上のように、本発明の第3の代引出金処理において、5系金種の収納量が一定以下である場合に、現金処理装置1による上記5系金種の出金量を低減することができる。よって、現金処理装置1の運用継続性を向上することが可能である。なお、第2の代引出金処理の流れにおける、5系金種の収納量が一定以下の場合の処理(S720およびS722)に相当する処理を第3の代引出金処理に適用してもよい。
【0088】
<6.応用例>
上記では、現金処理装置1を構成する制御部150が、代引出金処理におけるつり銭準備金の金種別枚数を算出する例を説明したが、現金処理装置1とは別の制御装置が、代引出金処理におけるつり銭準備金の金種別枚数を算出し、上記制御装置により現金処理装置1の現金の出金が制御されてもよい。例えば、現金処理装置1と制御装置とは、現金処理システムを構成してもよく、以下、
図12および
図13を参照して上記現金処理システムの構成について順次説明する。
【0089】
図12は、本発明の実施形態による現金処理システムの構成を示す説明図である。
図12に示したように、本発明の実施形態による現金処理システムは、現金処理装置1と、現金処理装置管理用PC(Personal Computer)3と、商取引情報入力端末5と、通信回線7と、サーバ9と、を備える。
【0090】
現金処理装置管理用PC3は、現金処理装置1に接続して現金処理装置1の制御を行い、また現金処理装置1と通信を行う。さらに、現金処理装置管理用PC3は、電話回線や専用回線等の通信回線7によりサーバ9に接続され、サーバ9と通信を行う。より具体的には、
図13に示したように、現金処理装置管理用PC3は、取得部301と、制御部302とを備える。
【0091】
取得部301は、サーバ9および現金処理装置1から送信された情報を取得する。例えば、取得部301は、商取引における請求金額を示す情報を、サーバ9から取得する。
【0092】
制御部302は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)装置などのデータ格納用記憶装置等で構成される。
【0093】
制御部302は、現金処理装置1の動作を制御する。例えば、制御部302は、現金処理装置1の出金処理を制御する。より具体的には、制御部302は、つり銭出金取引において、受け取り金額を予想し、受け取り金額及び請求金額に応じ、つり銭準備金の金種別枚数を算出し、算出された金種別枚数の現金の出金を制御する。
【0094】
商取引情報入力端末5は、オペレータにより入力された商取引情報を取得する。例えば、商取引情報入力端末5は、オペレータにより入力された商取引における請求金額およびオペレータを示す情報を取得する。また、商取引情報入力端末5は、電話回線や専用回線等の通信回線7によりサーバ9に接続され、サーバ9と通信を行う。
【0095】
サーバ9は、電話回線や専用回線等の通信回線7により現金処理装置管理用PC3および商取引情報入力端末5に接続され、現金処理装置管理用PC3および商取引情報入力端末5と通信を行う。また、サーバ9は、上記通信により取得した情報を格納する。
【0096】
以上、本実施形態による現金処理システムの構成について説明した。続いて、本実施形態による現金処理システムにより行われる代引出金処理の流れを整理する。
【0097】
まず、オペレータが商取引における請求金額を示す情報を商取引情報入力端末5へ入力すると、上記請求金額を示す情報及びオペレータの識別情報が商取引情報入力端末5からサーバ9へ送信され、サーバ9は上記請求金額を示す情報及びオペレータの識別情報を記憶する。次に、オペレータによる現金処理装置1への操作入力によりオペレータの識別情報が現金処理装置1に読み込まれると、現金処理装置1に読み込まれたオペレータの識別情報が現金処理装置管理用PC3へ送信される。次に、現金処理装置管理用PC3へ送信されたオペレータの識別情報に対応する上記請求金額を示す情報が、サーバ9から現金処理装置管理用PC3へ送信される。ここで、本実施形態による現金処理システムにおいて、
図3に示すつり銭出金方式の選択画面40は、簡易代引出金ボタンをさらに含んでもよく、オペレータにより簡易代引出金ボタンが選択されると、現金処理装置管理用PC3は、現金処理装置1による現金の出金を制御する。具体的には、現金処理装置管理用PC3は、本発明の第1〜第3の代引出金処理と同様に、受け取り金額を予想し、受け取り金額及び請求金額に応じたつり銭準備金の金種別枚数を算出し、現金処理装置1による算出された金種別枚数の現金の出金を制御する。
【0098】
次に、出金された金額及びオペレータの識別情報は現金処理装置管理用PC3を経由しサーバ9へ送信される。なお、オペレータが、出金された金額及びオペレータの識別情報を商取引情報入力端末5へ入力することにより、出金された金額及びオペレータの識別情報が商取引情報入力端末5からサーバ9または現金処理装置管理用PC3へ送信されてもよい。
【0099】
次に、商取引後、オペレータが、つり銭準備金の残金および商取引において回収した現金を現金処理装置1へ入金すると、入金された金額及びオペレータの識別情報は現金処理装置管理用PC3を経由しサーバ9へ送信される。
【0100】
また、現金処理装置管理用PC3は、サーバ9から商取引における請求金額を示す情報及びオペレータの識別情報と、出金された金額及びオペレータの識別情報と、入金された金額及びオペレータの識別情報と、を取得し、入出金処理の整合性を判断する。なお、現金処理装置管理用PC3は受信した情報を保持してもよく、現金処理装置管理用PC3に予め保持された商取引における請求金額を示す情報及びオペレータの識別情報と、出金された金額及びオペレータの識別情報と、入金された金額及びオペレータの識別情報と、によって、入出金処理の整合性を判断してもよい。
【0101】
以上のように、本実施形態による現金処理システムにおいて、オペレータにより商取引情報入力端末5へ入力された商取引における請求金額を示す情報を、オペレータが現金処理装置1へ重複して操作入力する手間を省くことができ、さらに入力操作の間違えが生じる可能性を低減できることから、出金取引を効率化することが可能である。
【0102】
<7.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、代引出金により、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数の算出をオペレータが行わなくても、種々の受け取り金額に対応し得る金種別枚数が自動で算出されるため、出金取引を効率化することが可能である。また、代引出金により、商取引における請求金額に応じて算出した金種別枚数のつり銭準備金を出金することができるので、現金処理装置1の現金運用を効率化することが可能である。
【0103】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
例えば、本明細書の現金処理装置1の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金処理装置1の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。例えば、本発明は、
図9に示す第1の代引出金処理の流において、S508〜S514の順番は本実施例に限られず、例えば、優先度の算出(S508)の次に受け取り金額が一定以上の優先度であるか否かの判定(S514)を行ってもよく、差額の算出(S510)の次に優先度の算出(S508)を行ってもよい。また、受け取り金額の予想(S506)、優先度の算出(S508)、差額の算出(S510),差額を構成し合計枚数が最小となる現金の金種別枚数の算出(S5121)は並列的に処理されてもよい。
【0105】
また、現金処理装置1に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した現金処理装置1の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。