(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
充電器又は車体であり、ポート及び係合部が形成された本体と、コネクタ部及び被係合部が形成された充電コネクタとの間で用いられ、前記ポートに前記コネクタ部を挿入しつつ前記係合部と前記被係合部とが係合した状態で前記充電コネクタを前記本体に固定するための給電用ロック装置であって、
前記給電用ロック装置は、前記本体に固定されたベース部材と、
前記ベース部材に揺動可能に設けられ、前記係合部と前記被係合部との係合を保持するラッチ位置と、前記係合部から前記被係合部が離脱することを許容するアンラッチ位置との間で変位可能なロック体と、
操作部へのロック操作によりアンロック位置からロック位置に変位して前記ロック体を前記アンラッチ位置から前記ラッチ位置に切り替え、前記操作部へのアンロック操作により前記ロック位置から前記アンロック位置に変位して前記ロック体を前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置に切り替える作動機構と、
前記ベース部材に揺動可能に設けられ、前記作動機構が前記アンロック位置から前記ロック位置に変位することにより、前記ロック体が前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置へ変位することをブロックするブロック位置と、前記作動機構が前記ロック位置から前記アンロック位置に変位することにより、前記ロック体が前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置へ変位することを許容するアンブロック位置との間で変位可能なポールとを備えていることを特徴とする給電用ロック装置。
前記ロック体は、前記ポートに対する前記コネクタ部の挿入方向に対して略直交する面内で揺動可能に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の給電用ロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の給電用ロック装置では、ポートにコネクタ部を挿入しつつ係合部と被係合部とが係合した状態において、作動機構の構成部品であるモータ、ウォーム、ウォームホイール及び駆動ギヤがロック体に直結し、それらによって、ロック体がラッチ位置に維持されている。このため、コネクタ部がポートに挿入された状態において、悪意のある者が工具等に用い、作動機構の構成部品の抵抗に抗して、ロック体をラッチ位置からアンラッチ位置に無理やり変位させ、充電コネクタを取り外すおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、確実性高く充電コネクタを本体に固定可能な給電用ロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の給電用ロック装置は充電器又は車体であり、ポート及び係合部が形成された本体と、コネクタ部及び被係合部が形成された充電コネクタとの間で用いられ、前記ポートに前記コネクタ部を挿入しつつ前記係合部と前記被係合部とが係合した状態で前記充電コネクタを前記本体に固定するための給電用ロック装置であって、
前記給電用ロック装置は、前記本体に固定されたベース部材と、
前記ベース部材に揺動可能に設けられ、前記係合部と前記被係合部との係合を保持するラッチ位置と、前記係合部から前記被係合部が離脱することを許容するアンラッチ位置との間で変位可能なロック体と、
操作部へのロック操作によりアンロック位置からロック位置に変位して前記ロック体を前記アンラッチ位置から前記ラッチ位置に切り替え、前記操作部へのアンロック操作により前記ロック位置から前記アンロック位置に変位して前記ロック体を前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置に切り替える作動機構と、
前記ベース部材に揺動可能に設けられ、前記作動機構が前記アンロック位置から前記ロック位置に変位することにより、前記ロック体が前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置へ変位することをブロックするブロック位置と、前記作動機構が前記ロック位置から前記アンロック位置に変位することにより、前記ロック体が前記ラッチ位置から前記アンラッチ位置へ変位することを許容するアンブロック位置との間で変位可能なポールとを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の給電用ロック装置では、ポートにコネクタ部を挿入しつつ係合部と被係合部とが係合した状態において、操作部にロック操作が行われれば、作動機構がアンロック位置からロック位置に変位することにより、ポールがブロック位置に変位し、ポールはロック体がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することをブロックする。こうして、この給電用ロック装置では、係合部と被係合部との係合が保持され、充電コネクタが本体に固定される。このため、たとえ使用者等が充電中に電気自動車等から離れたとしても、盗電等を防止することが可能になる。
【0012】
この状態において、この給電用ロック装置では、作動機構とは別のポールがブロック位置に変位してロック体をラッチ位置に維持している。このため、コネクタ部がポートに挿入された状態において、たとえ悪意のある者が工具等によってロック体をラッチ位置からアンラッチ位置に変位させようとしても、ポールがブロック位置にある限り、ロック体をラッチ位置に維持できるため、充電コネクタを取り外すことができない。
【0013】
一方、バッテリの充電が完了し、操作部にアンロック操作が行われれば、作動機構がロック位置からアンロック位置に変位することにより、ポールがアンブロック位置に変位し、ポールはロック体がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することを許容する。こうして、この給電用ロック装置では、係合部と被係合部とが離脱可能になり、充電コネクタが本体から離間可能になる。
【0014】
したがって、本発明の給電用ロック装置によれば、確実性高く充電コネクタを本体に固定することができる。
【0015】
また、この給電用ロック装置では、上記のように、ブロック位置に変位したポールがロック体をラッチ位置に維持する。このため、たとえば係合部や被係合部によってロック体が拘束された状態で操作部にアンロック操作が行われた場合であっても、作動機構はロック体とは独立してロック位置からアンロック位置に変位することができる。また、ポールについても、作動機構がアンロック位置に変位することにより、ロック体とは独立してアンブロック位置に変位することができる。
【0016】
本発明の給電用ロック装置において、作動機構は種々の構成を採用することができる。操作部は、使用者等によってロック操作又はアンロック操作が行われるスイッチやレバー等であり得る。また、作動機構は、操作部へのロック操作又はアンロック操作により、駆動されるモータやソレノイド等のアクチュエータの他、手動されるキーシリンダを有し得る。また、この作動機構は、ロック体をアンラッチ位置からラッチ位置に切り替えるとともに、ポールをアンブロック位置からブロック位置へ切り替えることが可能なクローズレバーと、ポールをブロック位置からアンブロック位置に切り替えるとともに、ロック体をラッチ位置からアンラッチ位置へ切り替えることが可能なオープンレバーとを有していてもよい。
【0017】
ロック体は、ラッチ位置からアンラッチ位置に付勢されていることが好ましい。ポールは、アンブロック位置からブロック位置に付勢されていることが好ましい。ロック体を付勢する付勢手段と、ポールを付勢する付勢手段とは、別々のものであってもよく、一つのものであってもよい。
【0018】
また、作動機構は、ベース部材にロック位置とアンロック位置との間で揺動可能に設けられた切替レバーを有することが好ましい。この切替レバーは、ロック操作によりアンロック位置からロック位置に揺動し、ロック体をアンラッチ位置からラッチ位置に切り替えるとともにポールをアンブロック位置からブロック位置に変位させ得る。また、切替レバーは、アンロック操作によりアンロック位置からロック位置に揺動し、ポールをブロック位置からアンブロック位置に変位させるとともにロック体をラッチ位置からアンラッチ位置に切り替え得る。
【0019】
この場合には、一つの切替レバーをロック位置とアンロック位置との間で変位させることによって、ロック体をラッチ位置とアンラッチ位置とに切り替えることができるとともに、ポールをブロック位置とアンブロック位置とに切り替えることができる。これにより、この給電用ロック装置では、構成を簡素化することが可能となり、小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0020】
ロック体には、ロック体及びポールを付勢するねじりコイルばねが同軸に設けられていることが好ましい。この場合には、一つのねじりコイルばねによって、ロック体をラッチ位置からアンラッチ位置に付勢することができるとともに、ポールをアンブロック位置からブロック位置に付勢することができる。これにより、この給電用ロック装置では、部品点数を削減することが可能となる。また、ねじりコイルばねがロック体及び切替レバーと同軸でベース部材に設けられるため、より好適に小型化を実現することが可能となる。
【0021】
切替レバーは、ロック体やポールとは別々にベース部材に設けられてもよい。切替レバーは、ロック体と同軸に設けられていることが好ましい。この場合には、ベース部材を小型化することが可能となり、給電用ロック装置をより小型化することが可能となる。
【0022】
本発明の給電用ロック装置において、本体は、ポートを車室外に露出可能な車体であり得る。また、作動機構は、切替レバーと連結され、車室外から車室内に延びる連結部材と、連結部材を挿通し、車室外と車室内とを封止する封止部材と、車室内に設けられて連結部材と接続され、切替レバーをロック位置とアンロック位置との間で揺動させるアクチュエータとを有していることが好ましい。
【0023】
この場合には、アクチュエータの作動によって、切替レバーをロック位置とアンロック位置との間で揺動させることが可能となる。ここで、アクチュエータは車室内に設けられており、切替レバーとは連結部材によって連結される。そして、この連結部材には、封止部材が設けられている。これにより、車室外と車室内とを封止することができ、車室内に雨水等が侵入することを好適に防止することができる。
【0024】
連結部材としては、例えばロッドやケーブルを採用することができる。また、封止部材としては、例えば、ロッドやケーブルを挿通させるゴム製のブーツを採用することができる。このブーツは、車室外と車室内とを連通する開口に保持される本体部と、この本体部と一体に形成され、切替レバーの変位時に伸縮する蛇腹部とを有することが好ましい。
【0025】
また、ロック体は、ポートに対するコネクタ部の挿入方向に対して略直交する面内で揺動可能に設けられていることが好ましい。この場合には、コネクタ部の挿入方向において、給電用ロック装置を小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の給電用ロック装置によれば、確実性高く充電コネクタを本体に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1、2に示すように、実施例の給電用ロック装置は、電気自動車1の車体1aに取り付けられている。この車体1aには、充電器3によって図示しないバッテリを充電するための給電口5が設けられている。この給電口5内にはメスコネクタ7が設けられている。また、車体1aには、給電用ロック装置を制御可能な制御装置101が設けられている他、車体1aの車室内には、ロックスイッチ103が設けられている。このロックスイッチ103が本発明における操作部に相当する。なお、ロックスイッチ103は、例えば給電口5の周囲に設けられても良く、また、電気自動車1の外部等に設けられても良い。
【0030】
図2に示すように、メスコネクタ7はポート7aと接点部70とを有している。ポート7aは、車室内側に向かって円柱状に凹設されている。接点部70は、ポート7a内に設けられている。接点部70は複数の電極によって構成されており、車体1a内においてバッテリと電気的に接続されている。
【0031】
また、メスコネクタ7の上面には、ポート7aの径方向の外側に向かって突出する凸部7bが形成されている。この凸部7bが本発明における係合部に相当する。
【0032】
図1に示す電気自動車1と充電器3、より具体的には、メスコネクタ7と充電器3とは、充電ケーブル9によって電気的に接続される。この充電ケーブル9は、ケーブル90aと、第1充電コネクタ90bと、第2充電コネクタ90cとからなる。ケーブル90aは、第1充電コネクタ90bと第2充電コネクタ90cとを電気的に接続している。第1充電コネクタ90bは、ケーブル90aの一端側に形成されている。この第1充電コネクタ90bが本発明における充電コネクタに相当する。第2充電コネクタ90cは、ケーブル90aの他端側に形成されている。この第2充電コネクタ90bは、充電器3に形成された接続部(図示略)に接続可能となっている。
【0033】
図3に示すように、第1充電コネクタ90bは略L字形状に形成されている。この第1充電コネクタ90bには、コネクタ部9aと操作レバー9bとが形成されている。コネクタ部9aは、第1充電コネクタ90bの先端側に形成されている。コネクタ部9aは、円柱状をなしており、ポート7aに挿入可能となっている。コネクタ部9aは、各接点部70に対応する図示しない接続ピンを有している。
【0034】
操作レバー9bは、一端側に形成された爪部901と、他端側に形成されたボタン部902と、両端側で爪部901とボタン部902とにそれぞれ連続するブリッジ部903とを有している。ブリッジ部903は第1充電コネクタ90b内において、連結ピン904周りで揺動可能となっている。また、操作レバー9bは、第1充電コネクタ90b内に設けられた図示しないねじりコイルばねによって、第1充電コネクタ90bの下方に向けて付勢されている。
【0035】
爪部901は、第1充電コネクタ90bの先端側からコネクタ部9aと同方向に突出している。この爪部901のコネクタ部9側の底面には、凹部901aが形成されている。凹部901は凸部7bと整合している。この凹部901aが本発明における被係合部に相当する。
【0036】
ボタン部902は、上部が第1充電コネクタ90bの上部に露出している。この操作レバー9bでは、使用者等がボタン部902を押下することにより、ねじりコイルばねの付勢力に抗して爪部901が上方に向かって揺動する。一方、使用者等がボタン部902の押下を終了すれば、爪部901が下方に向かって揺動する。
【0037】
図3に示すように、車体1aは、電気自動車1の側面を形成するボディパネル11aと、意匠用の樹脂パネル11bとを有している。なお、電気自動車1の側面は、ボディパネル11aの他、複数の図示しないボディパネルによって形成されている。
【0038】
給電口5内のボディパネル11aの上部には、車室外と車室内とを上下に連通する開口110が形成されている。また、樹脂パネル11bには、係合孔111が形成されている。メスコネクタ7は係合孔111内に位置している。なお、樹脂パネル11bは、図示しない固定部によりボディパネル11aに固定されている。
【0039】
給電用ロック装置は、メスコネクタ7の近傍に配置されている。
図4に示すように、給電用ロック装置は、ベースプレート13と、ロック体15と、ポール17と、ねじりコイルばね19と、ストッパ部材23と、第1、2ピン25、27と、作動機構100とからなる。ベースプレート13が本発明におけるベース部材に相当する。また、ねじりコイルばね19が本発明におけるねじりコイルばねに相当する。
【0040】
作動機構100は、切替レバー21と、アクチュエータ29と、ロッド31と、ブーツ33と、連結ブロック35とによって構成されている。ロッド31及び連結ブロック35が本発明における連結部材に相当する。また、ブーツ33が本発明における封止部材に相当する。
【0041】
図5に示すように、ベースプレート13は、金属製の板材をプレス加工することによって形成されている。このプレス加工により、ベースプレート13の上下方向の略中央には、メスコネクタ7を挿通可能な開口13aが形成されている。この開口13aの周囲には、四つのボルト孔13bが形成されている。また、ベースプレート13の外縁には、四つの固定片13cが形成されている。各固定片13cは、ベースプレート13から車室外側に向かって突出している。
【0042】
さらに、
図4に示すように、ベースプレート13の上端側には、第1、2挿通孔13d、13eが形成されている他、当接片13fが形成されている。当接片13fは、ベースプレート13から車室外側に向かって突出している。
【0043】
このベースプレート13は、開口13aにメスコネクタ7を挿通しつつ、各ボルト孔13bに挿通された図示しないボルト及び各固定片13cによりボディパネル11aに固定される。これにより、ベースプレート13は、
図3に示すように、メスコネクタ7を囲った状態で、ボディパネル11aの外側と樹脂パネル11bとの間に配置される。
【0044】
図4に示すように、ロック体15は、下端側に略矩形状の本体部15aが形成されているとともに、上端側に円筒部150が形成されている。本体部15aの車室外側は、上下方向に垂直に延びる段状に形成されている。円筒部150内には、挿通孔15bが形成されている。円筒部150と挿通孔15とは同軸である。また、
図6に示すように、ロック体15の上端側には、後方側に向かって突出するラッチ面15cが形成されている。また、ラッチ面15cと本体部15aとの間には、被押圧面15dが形成されている。さらに、ロック体15の背面には、挿通孔15b周りに収容部15eが凹設されている。本体部15aの背面側には、ストッパ部材23が取り付けられている。このストッパ部材23は樹脂製であり、その一部はロック体15の後方側に突出している。
【0045】
ポール17は、略中央に挿通孔17aが形成されている。また、ポール17は、上端側に当接部17bが形成されており、下端側にストッパ面17cが形成されている。
【0046】
ねじりコイルばね19は、コイル部19aと第1アーム部19bと第2アーム部19cとからなる。このねじりコイルばね19は、第1付勢力と第2付勢力とを有している。
図4に示すように、コイル部19aは、車室内側から車室外側に向かって延びている。第1アーム部19bは、コイル部19aから下方側に向かって延びている。また、第2アーム部19cは、コイル部19aから後方側に向かって延びている。第2アーム部19cは第1アーム19bよりも長い。
【0047】
切替レバー21は、前端側に第1挿通孔21aが形成されており、後端側に第2挿通孔21bが形成されている。また、
図6に示すように、切替レバー21の前端側の背面には、押圧面21cが形成されている。切替レバー21の後端側の背面には、第2挿通孔21bと同軸をなす円筒部21dが形成されている。
図4に示すように、この円筒部21dは、切替レバー21の背面から車室内側に向かって延びている。
【0048】
これらのロック体15、ねじりコイルばね19及び切替レバー21は、第1ピン25によってベースプレート13に取り付けられている。より詳細には、第1ピン25は、切替レバー21の第1挿通孔21aと、ロック体15の挿通孔15bと、ねじりコイルばね19のコイル部19aに挿通された状態で、ベースプレート13の第1挿通孔13dに挿通されている。この際、第1挿通孔21aは、ロック体15の円筒部150を回動可能に嵌合している。これにより、切替レバー21、ロック体15及びねじりコイルばね19は同軸でベースプレート13に取り付けられている。
【0049】
また、ポール17は、第2ピン27によってベースプレート13に取り付けられている。より詳細には、第2ピン27は、ポール17の挿通孔17aに挿通された状態で、ベースプレート13の第2挿通孔13eに挿通されている。
【0050】
こうして、
図5に示すように、ロック体15、ポール17、ねじりコイルばね19及び切替レバー21は、ベースプレート13の上端側に配置される。また、ロック体15及びポール17は、切替レバー21の背面側に位置している。そして、ねじりコイルばね19は、
図6に示すように、コイル部19aが第1ピン25と同軸でロック体15の収容部15e内に収容されている。また、第1アーム部19bは、収容部15e内でロック体15に係止されている。一方、第2アーム部19cは、ポール17の当接部17bと当接している。
【0051】
また、ロック体15は、第1ピン25周りで揺動することにより、
図10に示すラッチ位置と、
図8に示すアンラッチ位置との間で変位可能となっている。同様に、切替レバー21は、第1ピン25周りで揺動することにより、同図に示すアンロック位置と、
図10に示すロック位置との間で変位可能となっている。また、ポール17は、第2ピン27周りで揺動することにより、同図に示すブロック位置と、
図8に示すアンブロック位置との間で変位可能となっている。そして、ねじりコイルばね19は、第1付勢力によって、ロック体15をラッチ位置からアンラッチ位置に付勢するとともに、第2付勢力によって、ポール17をアンブロック位置からブロック位置に付勢する。
【0052】
ここで、切替レバー21がアンロック位置とロック位置との間で変位する際の揺動方向は、給電用ロック装置の上下方向となる。これに対して、ロック体15がラッチ位置とアンラッチ位置との間で変位する際の揺動方向と、ポール17がブロック位置とアンブロック位置との間で変位する際の揺動方向とは、給電用ロック装置の前後方向となる。つまり、ロック体15及びポール17は、ポート7aに対するコネクタ部9aの挿入方向に対して略直交する仮想の面内で揺動する。
【0053】
ロック体15がラッチ位置へ変位すれば、
図10に示すように、本体部15aは係合孔111内における前後方向の略中央に位置する。一方、ロック体15がアンラッチ位置へ変位すれば、
図8に示すように、本体部15aは係合孔111内の後方側へ移動する。また、切替レバー21がアンロック位置に変位している状態では、円筒部21dがポール17の当接部17bと当接する。これにより、ポール17はアンブロック位置からブロック位置へ変位することが規制される。つまり、切替レバー21がアンロック位置に変位している状態では、ポール17はアンブロック位置を維持する。
【0054】
図4に示すアクチュエータ29は、図示しないモータを収容するケース29aと、ケース29aに揺動可能に取り付けられた揺動部29bとを有している。ケース29aの後端には、接続部29cが設けられている。接続部29cは、
図2に示す制御装置101に電気的に接続されている。また、
図4に示すように、ケース29aの上端側及び下端側には、アクチュエータ29を図示しないボディパネルに固定するための固定部29d、29eがそれぞれ形成されている。
【0055】
図2に示す制御装置101は、ロックスイッチ103と電気的に接続されている。ロックスイッチ103は、ON状態とすることによって使用者がロック操作を行うとともに、OFF状態とすることによって使用者がアンロック操作を行う。制御装置101は、ロックスイッチ103がON状態にあればロック開始信号をアクチュエータ29のモータに送信し、ロックスイッチ103がOFF状態にあればロック解除信号をモータに送信する。これにより、アクチュエータ29では、揺動部29bが上下動する。なお、制御装置101とロックスイッチ103とは、無線接続されていても良い。
【0056】
図4に示すように、ロッド31は、給電用ロック装置の上下方向に延びている。ロッド31の上端側は、揺動部29bに取り付けられている。一方、ロッド31の下端側には、
図7に示すように、フランジ31aが形成されている。また、ロッド31の下端側端部には、雄ねじ31bが形成されている。
【0057】
ブーツ33は合成ゴム製である。このブーツ33は、筒状をなしており、上端側に本体部33aを有しているとともに、下端側に蛇腹部33bを有している。また、ブーツ33には、ロッド31を挿通可能な挿通孔33cが貫設されている。
【0058】
本体部33aの外周面には、水平方向で環状をなす固定溝330が形成されている。この固定溝330にボディパネル11aを嵌め込むことにより、本体部33aは開口110に保持されている。ブーツ33aは、蛇腹部33bにより上下方向に伸縮可能となっている。また、蛇腹部33bの下端の内側には、水平方向で環状をなすフランジ固定溝331が凹設されている。
【0059】
ロッド31は、ブーツ33の挿通孔33cに挿通される。この際、ロッド31のフランジ31aがフランジ固定溝331に嵌め込まれる。これにより、ロッド31は、雄ねじ31bを蛇腹部33bの下端側から突出させた状態で、ブーツ33に組み付けられている。
【0060】
連結ブロック35は、略矩形状をなす本体部35aと、本体部35aに一体に形成された固定爪部35bとを有している。本体部35aには、ロッド31の雄ねじ31bと螺合可能な雌ねじ35cが形成されている。この雌ねじ35cにロッド31の雄ねじ31bが螺合されることにより、別途に接着等を行うことなく本体部35aとロッド31とが固定される。こうして、ロッド31と連結ブロック35とが連結されている。
【0061】
連結ブロック35は、固定爪部35bが
図4に示す連結レバー21の第2挿通孔21b内に固定されることにより、切替レバー21に組み付けられる。こうして、ロッド31及び連結ブロック35を通じて、アクチュエータ29と切替レバー21とが連結され、揺動部29bの上下動を切替レバー21に伝達可能となっている。
【0062】
以上のように構成された給電用ロック装置は、電気自動車1のバッテリを充電する際、以下のように作動する。ここで、この給電用ロック装置は、充電器3によってバッテリを充電していない状態、すなわち、
図3に示すポート7aにコネクタ部9aが挿通されていない状態では、使用者は
図2に示すロックスイッチ103をOFF状態とする。このため、
図8に示すように、ロック体15は、ねじりコイルばね19の第1付勢力によって、アンラッチ位置に変位しており、ロック体15の本体部15aは、上記のように、挿入孔111内の後方側へ移動した状態となっている。また、ポール17はアンブロック位置に変位しており、切替レバー21はアンロック位置に変位している。
【0063】
そして、充電器3によって、電気自動車1のバッテリを充電するに当たっては、使用者は、
図1に示すように、充電器3の接続部に充電ケーブル9の第2充電コネクタ部90cを接続する。また、使用者は、メスコネクタ7のポート7aに第1充電コネクタ90bのコネクタ部9aを挿入する。この際、
図3に示すように、操作レバー9bの爪部901は、係合孔111内を車室内側へ侵入する。そして、係合孔111内で凸部7bと爪部901の凹部901aとが係合する。こうして、ポート7a内では、接点部70とコネクタ部9aとが電気的に接続され、充電ケーブル9を通じて、充電器3によるバッテリの充電が開始される。
【0064】
ここで、この給電用ロック装置では、上記のように、ロック体15がアンラッチ位置に変位しているため、ポート7aにコネクタ部9aを挿入する際、係合孔111内において爪部901とロック体15の本体部15aとが接触することがない。このため、爪部901や本体部15aが損傷することが好適に防止されている。
【0065】
このように、ポート7aにコネクタ部9aを挿通した後、使用者は、
図2に示すロックスイッチ103をON状態とすることにより、ロック操作を行う。これにより、制御装置101はロック開始信号を送信する。このため、アクチュエータ29では、モータが作動し、揺動部29bが下方に揺動する。このため、ロッド31及び連結ブロック35を通じて、切替レバー21の後端側が下方に押し下げられる。これにより、切替レバー21は第1ピン25周りで揺動し、
図8に示すアンロック位置から、
図9の破線矢印で示すように、ロック位置に向けて変位し始める。この際、ブーツ33は下方側に伸長する。なお、
図8〜11では、説明を容易にするため、ロッド31及び連結ブロック35等の図示を省略している。
【0066】
切替レバー21がロック位置に向けて変位し始めることにより、切替レバー21の押圧面21cがロック体15の被押圧面15dを押圧する。これにより、ロック体15は、ねじりコイルばね19の第1付勢力に抗して揺動し、同図の破線矢印で示すように、アンラッチ位置からラッチ位置へ変位し始める。
【0067】
また、ポール17では、切替レバー21がロック位置に向けて変位し始めたことにより、当接部17bと切替レバー21の円筒部21dとが当接しなくなる。このため、切替レバー21による規制が解除され、ポール17は、ねじりコイルばね19の第2付勢力によって、同図の破線矢印で示すように、アンブロック位置からブロック位置へ変位し始める。
【0068】
そして、
図10に示すように、切替レバー21がロック位置まで変位することにより、ロック体15がラッチ位置へ切り替わる。また、ポール17がブロック位置へ変位することにより、ロック体15のラッチ面15cと、ポール17のストッパ面17cとが係合する。これにより、ブロック位置に変位したポール17は、ロック体15がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することをブロックする。このため、ロック体15はラッチ位置を維持する。
【0069】
ロック体15がラッチ位置に変位することにより、本体部15aは係合孔111内において、爪部901のほぼ直上に位置する。このため、ロック体15がラッチ位置に変位している状態では、本体部15aによって爪部の上方への揺動が規制させる。このため、たとえ使用者や第三者等が
図3に示す操作レバー9bのボタン部902を押下したとしても、挿通孔111内で爪部901は上方へ僅かに揺動することできるのみとなり、凸部7bと凹部901aとの係合を解除することができなくなる。
【0070】
こうして、給電用ロック装置により、バッテリの充電中は、凸部7bと凹部901aとが係合した状態が保持され、第1充電コネクタ90bがメスコネクタ7、ひいては車体1aに固定される。
【0071】
一方、バッテリの充電が完了した後、使用者は、
図2に示すロックスイッチ103をOFF状態とすることにより、アンロック操作を行う。これにより、制御装置101はロック解除信号を送信する。これにより、アクチュエータ29では、モータが作動し、揺動部29bが上方に揺動する。このため、ロッド31及び連結ブロック35を通じて、切替レバー21の後端側が上方に押し上げられる。これにより、切替レバー21は第1ピン25周りで揺動し、
図10に示すロック位置から、
図11の破線矢印で示すようにアンロック位置へ変位し始める。この際、ブーツ33は上方側へ圧縮される。
【0072】
切替レバー21がアンロック位置に向けて変位し始めることにより、押圧面21cと、ロック体15の被押圧面15dとが当接しなくなり、押圧面21cは被押圧面15d
を押圧しなくなる。また、切替レバー21の円筒部21dがポール17の当接部17bと当接し、当接部17bを上方に押し上げる。これにより、ポール17は、同図の破線矢印で示すように、ねじりコイルばね19の第2付勢力に抗してブロック位置からアンブロック位置へ変位し始める。このため、ストッパ面17cとラッチ面15cとの係合が解除され、ロック体15はねじりコイルばね19の第1付勢力によって、ラッチ位置かアンラッチ位置へ変位し始める。つまり、アンブロック位置にポール17が変位することにより、ロック体15がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することが許容される。
【0073】
そして、
図8に示すように、切替レバー21がアンロック位置まで変位することにより、ロック体15はアンラッチ位置へ切り替わる。この際、ロック体15では、ストッパ部材23がベースプレート13の当接片13fと当接する。これにより、ロック体15がアンラッチ位置を越えてさらに揺動することが防止される。また、ストッパ部材23が当接片13fに当接することにより、ロック体15が当接片13fと直接当接する場合と比較して、当接時の衝撃や打撃音が低減されている。
【0074】
このように、ロック体15がアンラッチ位置に切り替わることにより、本体部15aが係合孔111内において後方へ移動する。このため、使用者が
図3に示すボタン部902を押下することにより、爪部901が上方へ揺動することが可能となる。これにより、凸部7bと凹部901の係合を解除して、凸部7bから凹部901aが離脱することが許容される。
【0075】
こうして、使用者は、ボタン部902を押下しつつ、第1充電コネクタ90bを車室外側へ引き抜くことにより、ポート7aからコネクタ部9aを脱出させて、第1充電コネクタ90bとメスコネクタ7との接続を解除することが可能となる。また、使用者は、充電器3の接続部から第2充電コネクタ90cを引き抜くことにより、充電器3と充電ケーブル9との接続も解除する。
【0076】
また、切替レバー21がアンロック位置まで変位することにより、ポール17は、アンブロック位置へ変位する。そして、切替レバー21の円筒部21とポール17の当接部17bとが当接した状態が維持されるため、アンブロック位置へ変位したポール17は、上記のように、ブロック位置へ変位することが規制される。
【0077】
これらのように、この給電用ロック装置では、ポート7aにコネクタ部9aを挿入しつつ凸部7bと凹部901aとが係合した状態において、ロックスイッチ103をON状態としてロック操作が行われれば、切替レバー21がアンロック位置からロック位置に変位する。これにより、ポール17がブロック位置に変位し、ポール17はロック体15がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することをブロックする。こうして、この給電用ロック装置では、凸部7bと凹部901aとの係合が保持され、第1充電コネクタ90bが車体1aに固定される。このため、たとえ使用者等が充電中に電気自動車1から離れたとしても、盗電等を防止することが可能になる。
【0078】
この状態において、この給電用ロック装置では、切替レバー21とは別のポール17がブロック位置に変位してロック体15をラッチ位置に維持している。アクチュエータ29、ロッド31及び切替レバー21は、ロック体15に直結されてはいない。このため、コネクタ部9aがポート7aに挿入された状態において、たとえ悪意のある者が工具等によってロック体15をラッチ位置からアンラッチ位置に変位させようとしても、ポール17がブロック位置にある限り、ロック体15をラッチ位置に維持できるため、第1充電コネクタ90bを取り外すことができない。
【0079】
一方、バッテリの充電が完了し、ロックスイッチ103をOFF状態としてアンロック操作が行われれば、切替レバー21がロック位置からアンロック位置に変位する。これにより、ポール17がアンブロック位置に変位し、ポール17はロック体15がラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することを許容する。こうして、この給電用ロック装置では、凸部7bと凹部901aとが離脱可能になり、第1充電コネクタ90bが車体1aから離間可能になる。
【0080】
したがって、実施例の給電用ロック装置によれば、確実性高く第1充電コネクタ90bを車体1aに固定することができる。
【0081】
ここで、この給電用ロック装置では、例えば、アンロック操作を行う前に使用者がボタン部902を押下することにより、
図12の実線矢印で示すように、挿通孔111内で僅かに上方に揺動した爪部901がロック体15の本体部15aと当接し、爪部901によってロック体15が拘束された状態となり得る。これにより、ロック体15はラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することが規制される。
【0082】
この点、この給電用ロック装置では、上記のように、ブロック位置に変位したポール17がロック体15をラッチ位置に維持している。このため、たとえ爪部901によってロック体15が拘束された状態でアンロック操作が行われた場合であっても、切替レバー21はロック体15とは独立してロック位置からアンロック位置に変位することができるため、アクチュエータ29のモータ等に不必要な負荷が作用することがない。また、ポール17についても、切替レバー21がアンロック位置に変位することにより、ロック体15とは独立してブロック位置からアンブロック位置に変位することができる。そして、ロック体15は、爪部901による拘束が解かれることにより、ねじりコイルばね19の第1付勢力によって、ラッチ位置からアンラッチ位置へ変位することができる。
【0083】
また、この給電用ロック装置では、一つの切替レバー21をロック位置とアンロック位置との間で変位させることによって、ロック体15をラッチ位置とアンラッチ位置とに切り替えることができるとともに、ポール17をブロック位置とアンブロック位置とに切り替えることができる。また、この給電用ロック装置では、一つのねじりコイルばね19によって、ロック体15をアンラッチ位置に向けて付勢することができるとともに、ポール17をブロック位置に向けて付勢することができる。これらにより、この給電用ロック装置では、部品点数を削減でき、低コスト化を実現することが可能となっている。
【0084】
そして、この給電用ロック装置では、切替レバー21と、ロック体15と、ねじりコイルばね19とが同軸でベースプレート13に設けられている。このため、この給電用ロックでは、ペースプレート13を小型化することが可能となっている。
【0085】
さらに、この給電用ロック装置では、ロック体15及びポール17がポート7aに対するコネクタ部9aの挿入方向に対して略直交する仮想の面内で揺動可能に設けられている。このため、この給電用ロックでは、コネクタ部9aの挿入方向、すなわち、給電用ロック装置の奥行き方向においても小型化することが可能となっている。これらのため、この給電用ロック装置は、取り付けられる車体1aの設計の自由度を高くすることができる。
【0086】
また、この給電用ロック装置では、アクチュエータ29の作動によって、切替レバー21をロック位置とアンロック位置との間で揺動させることが可能となっている。このため、この給電用ロック装置では、使用者がロックスイッチ103をON状態又はOFF状態とすれば、その後は、自動で切替レバー21をアンロック位置からロック位置へ変位させたり、ロック位置からアンロック位置へ変位させたりすることが可能となっている。
【0087】
ここで、アクチュエータ29は車室内、すなわち、ボディパネル11aの内側に設けられており、ベースプレート13に設けられた切替レバー21は、ボディパネル11aの外側に位置している。そして、アクチュエータ29と切替レバー21とは、ロッド31及び連結ブロック35によって連結される。このロッド31にはブーツ33が設けられているため、車室外と車室内とを封止することが可能となっている。これにより、ボディパネル11aの開口110を通じて、車室内に雨水等が侵入することを好適に防止することが可能となっている。また、ブーツ33には蛇腹部33bが形成されているため、ロッド31の上下動に応じて好適に変形することが可能となっている。
【0088】
また、この給電用ロック装置におけるロック体15では、本体部15aが略矩形状とされ、車室外側が上下方向に垂直に延びる段状に形成されている。このため、ロック体15がラッチ位置に変位することにより、本体部15aは挿通孔111内を塞ぐような状態となる。このため、たとえロックスイッチ103がON状態のままで使用者がポート7aにコネクタ部9aを挿入しようとしても、使用者は、爪部901によっては、本体部15aを動かすことができないということを認識し易い。この点においても、この給電用ロック装置では、爪部901や本体部15aが損傷することが好適に防止されている。
【0089】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0090】
例えば、給電用ロック装置を充電器3に設け、給電用ロック装置により、充電器3の接続部に挿通された第2充電コネクタ90cと充電器3との固定を行ってもよい。
【0091】
また、アクチュエータ29に換えて、施錠及び開錠することによって作動するキーシリンダと切替レバー21とを接続し、使用者がロック操作としてキーシリンダを施錠したり、アンロック操作としてキーシリンダを開錠したりすることによって、切替レバー21をアンロック位置とロック位置とに変位させても良い。