(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル部材(79)の上面には、前記ノズル孔(79b)よりも大径の凹み部分であるノズル凹部(79d)が形成されており、前記ノズル凹部が形成する空間によって前記分流空間(75)が構成されている、
請求項2に記載の冷媒蒸発器(23)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる冷媒蒸発器の実施形態及びその変形例について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる冷媒蒸発器の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0022】
(1)空気調和装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる冷媒蒸発器としての室外熱交換器23を有する空気調和装置1の概略構成図である。
【0023】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット4とが接続されることによって構成されている。ここで、室外ユニット2と室内ユニット4とは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続されている。すなわち、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4とが冷媒連絡管5、6を介して接続されることによって構成されている。
【0024】
<室内ユニット>
室内ユニット4は、室内に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室内ユニット4は、主として、室内熱交換器41を有している。
【0025】
室内熱交換器41は、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。室内熱交換器41の液側は液冷媒連絡管5に接続されており、室内熱交換器41のガス側はガス冷媒連絡管6に接続されている。
【0026】
室内ユニット4は、室内ユニット4内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン42を有している。すなわち、室内ユニット4は、室内熱交換器41を流れる冷媒の加熱源又は冷却源としての室内空気を室内熱交換器41に供給するファンとして、室内ファン42を有している。ここでは、室内ファン42として、室内ファン用モータ42aによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等が使用されている。
【0027】
<室外ユニット>
室外ユニット2は、室外に設置されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液側閉鎖弁25と、ガス側閉鎖弁26とを有している。
【0028】
圧縮機21は、冷凍サイクルの低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21は、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を圧縮機用モータ21aによって回転駆動する密閉式構造となっている。圧縮機21は、吸入側に吸入管31が接続されており、吐出側に吐出管32が接続されている。吸入管31は、圧縮機21の吸入側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。吐出管32は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22とを接続する冷媒管である。
【0029】
四路切換弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れの方向を切り換えるための切換弁である。四路切換弁22は、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を室外熱交換器23において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる冷房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、冷房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(
図1の四路切換弁22の実線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(
図1の四路切換弁22の実線を参照)。また、四路切換弁22は、暖房運転時には、室外熱交換器23を室内熱交換器41において放熱した冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、室内熱交換器41を圧縮機21において圧縮された冷媒の放熱器として機能させる暖房サイクル状態への切り換えを行う。すなわち、四路切換弁22は、暖房運転時には、圧縮機21の吐出側(ここでは、吐出管32)とガス冷媒連絡管6側(ここでは、第2ガス冷媒管34)とが接続される(
図1の四路切換弁22の破線を参照)。しかも、圧縮機21の吸入側(ここでは、吸入管31)と室外熱交換器23のガス側(ここでは、第1ガス冷媒管33)とが接続される(
図1の四路切換弁22の破線を参照)。ここで、第1ガス冷媒管33は、四路切換弁22と室外熱交換器23のガス側とを接続する冷媒管である。第2ガス冷媒管34は、四路切換弁22とガス側閉鎖弁26とを接続する冷媒管である。
【0030】
室外熱交換器23は、冷房運転時には室外空気を冷却源とする冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には室外空気を加熱源とする冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、液側が液冷媒管35に接続されており、ガス側が第1ガス冷媒管33に接続されている。液冷媒管35は、室外熱交換器23の液側と液冷媒連絡管5側とを接続する冷媒管である。
【0031】
膨張弁24は、冷房運転時には、室外熱交換器23において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。また、膨張弁24は、暖房運転時には、室内熱交換器41において放熱した冷凍サイクルの高圧の冷媒を冷凍サイクルの低圧まで減圧する弁である。膨張弁24は、液冷媒管35の液側閉鎖弁25寄りの部分に設けられている。ここでは、膨張弁24として、電動膨張弁が使用されている。
【0032】
液側閉鎖弁25及びガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、液冷媒管35の端部に設けられている。ガス側閉鎖弁26は、第2ガス冷媒管34の端部に設けられている。
【0033】
室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン36を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン36を有している。ここでは、室外ファン36として、室外ファン用モータ36aによって駆動されるプロペラファン等が使用されている。
【0034】
<冷媒連絡管>
冷媒連絡管5、6は、空気調和装置1を建物等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒管であり、設置場所や室外ユニット2と室内ユニット4との組み合わせ等の設置条件に応じて種々の長さや管径を有するものが使用される。
【0035】
(2)空気調和装置の基本動作
次に、
図1を用いて、空気調和装置1の基本動作について説明する。空気調和装置1は、基本動作として、冷房運転及び暖房運転を行うことが可能である。
【0036】
<冷房運転>
冷房運転時には、四路切換弁22が冷房サイクル状態(
図1の実線で示される状態)に切り換えられる。
【0037】
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0038】
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。
【0039】
室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。
【0040】
室外熱交換器23において放熱した高圧の液冷媒は、膨張弁24に送られる。
【0041】
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁25及び液冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器41に送られる。
【0042】
室内熱交換器41に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却され、その後に、室内に供給されることで室内の冷房が行われる。
【0043】
室内熱交換器41において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管6、ガス側閉鎖弁26及び四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0044】
<暖房運転>
暖房運転時には、四路切換弁22が暖房サイクル状態(
図1の破線で示される状態)に切り換えられる。
【0045】
冷媒回路10において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。
【0046】
圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26及びガス冷媒連絡管6を通じて、室内熱交換器41に送られる。
【0047】
室内熱交換器41に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器41において、室内ファン42によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気は加熱され、その後に、室内に供給されることで室内の暖房が行われる。
【0048】
室内熱交換器41で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管5及び液側閉鎖弁25を通じて、膨張弁24に送られる。
【0049】
膨張弁24に送られた高圧の液冷媒は、膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。膨張弁24で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。
【0050】
室外熱交換器23に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒蒸発器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン36によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。
【0051】
室外熱交換器23で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0052】
(3)室外ユニットの基本構成
次に、
図1〜
図4を用いて、室外ユニット2の基本構成について説明する。ここで、
図2は、室外ユニット2の外観を示す斜視図である。
図3は、室外ユニット2の天板57を取り外した状態を示す平面図である。
図4は、室外熱交換器23の概略斜視図である。尚、以下の説明においては、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」や「前面」、「側面」、「背面」、「天面」、「底面」等の文言は、特にことわりのない限り、ファン吹出グリル55b側の面を前面とした場合における方向や面を意味する。
【0053】
室外ユニット2は、ユニットケーシング51の内部が上下方向に延びる仕切板58によって送風機室S1と機械室S2とに仕切られた構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。室外ユニット2は、ユニットケーシング51の背面及び側面の一部から室外空気を内部へと吸い込んだ後に、ユニットケーシング51の前面から空気を排出するように構成されている。室外ユニット2は、主として、ユニットケーシング51と、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを有している。尚、ここでは、送風機室S1がユニットケーシング51の左側面寄りに形成され、機械室S2がユニットケーシング51の右側面寄りに形成された例を説明するが、左右が逆であってもよい。
【0054】
ユニットケーシング51は、略直方体状に形成されており、主として、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、閉鎖弁25、26及びこれらの機器を接続する冷媒管31〜35を含む冷媒回路10を構成する機器・配管類と、室外ファン36及び室外ファン用モータ36aとを収容している。ユニットケーシング51は、冷媒回路10を構成する機器・配管類21〜26、31〜35や室外ファン36等が載置される底フレーム52と、送風機室側側板53と、機械室側側板54と、送風機室側前板55と、機械室側前板56と、天板57と、2つの据付脚59とを有している。
【0055】
底フレーム52は、ユニットケーシング51の底面部分を構成する板状部材である。
【0056】
送風機室側側板53は、ユニットケーシング51の送風機室S1寄りの側面部分(ここでは、左側面部分)を構成する板状部材である。送風機室側側板53は、その下部が底フレーム52に固定されている。送風機室側側板53には、室外ファン36によってユニットケーシング51の側面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するための側面ファン吸入口53aが形成されている。
【0057】
機械室側側板54は、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの側面部分(ここでは、右側面部分)の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2寄りの背面部分とを構成する板状部材である。機械室側側板54は、その下部が底フレーム52に固定されている。送風機室側側板53の背面側の端部と機械室側側板54の送風機室S1側の端部との間には、室外ファン36によってユニットケーシング51の背面側からユニットケーシング51内に室外空気を吸入するためのされる背面ファン吸入口53bが形成されている。
【0058】
送風機室側前板55は、ユニットケーシング51の送風機室S1の前面部分を構成する板状部材である。送風機室側前板55は、その下部が底フレーム52に固定され、その左側面側の端部が送風機室側側板53の前面側の端部に固定されている。送風機室側前板55には、室外ファン36によってユニットケーシング51内に吸入された室外空気を外部に吹き出すためのファン吹出口55aが設けられている。送風機室側前板55の前面側には、ファン吹出口55aを覆うファン吹出グリル55bが設けられている。
【0059】
機械室側前板56は、ユニットケーシング51の機械室S2の前面部分の一部と、ユニットケーシング51の機械室S2の側面部分の一部とを構成する板状部材である。機械室側前板56は、その送風機室S1側の端部が送風機室側前板55の機械室S2側の端部に固定され、その背面側の端部が機械室側側板54の前面側の端部に固定されている。
【0060】
天板57は、ユニットケーシング51の天面部分を構成する板状部材である。天板57は、送風機室側板53や機械室側側板54、送風機室側前板55に固定されている。
【0061】
仕切板58は、底フレーム52上に配置される鉛直方向に延びる板状部材である。仕切板58は、ここでは、ユニットケーシング51の内部を左右に分割することによって、左側面寄りの送風機室S1と、右側面寄りの機械室S2とを形成している。仕切板58は、その下部が底フレーム52に固定され、その前面側の端部が送風機室側前板55に固定され、その背面側の端部が室外熱交換器23の機械室S2寄りの側端部まで延びている。
【0062】
据付脚59は、ユニットケーシング51の前後方向に延びる板状部材である。据付脚59は、室外ユニット2の据付面に固定される部材である。ここでは、室外ユニット2は、2つの据付脚59を有しており、1つは、送風機室S1寄りに配置されており、もう1つは、機械室S2寄りに配置されている。
【0063】
室外ファン36は、複数の翼を有するプロペラファンであり、送風機室S1内において、室外熱交換器23の前面側の位置に、ユニットケーシング51の前面(ここでは、ファン吹出口55a)に対向するように配置されている。室外ファン用モータ36aは、送風機室S1内において、室外ファン36と室外熱交換器23との前後方向間に配置されている。室外ファン用モータ36aは、底フレーム52上に載置されたモータ支持台36bによって支持されている。そして、室外ファン36は、室外ファン用モータ36aに軸支されている。
【0064】
室外熱交換器23は、平面視略L字形状の熱交換器パネルであり、送風機室S1内において、ユニットケーシング51の側面(ここでは、左側面)及び背面に対向するように底フレーム52上に載置されている。
【0065】
圧縮機21は、ここでは、縦型円筒形状の密閉式圧縮機であり、機械室S2内において、底フレーム52上に載置されている。
【0066】
(4)室外熱交換器の基本構成
次に、
図1〜
図7を用いて、室外熱交換器23の構成について説明する。ここで、
図5は、
図4の熱交換部60の部分拡大図である。
図6は、伝熱フィン64として波形フィンを採用した場合の
図5に対応する図である。
図7は、室外熱交換器23の概略構成図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
【0067】
室外熱交換器23は、主として、室外空気と冷媒との熱交換を行う熱交換部60と、熱交換部60の一端側に設けられた冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80と、熱交換部60の他端側に設けられた中間ヘッダ90とを有している。室外熱交換器23は、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80、中間ヘッダ90及び熱交換部60のすべてが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されたオールアルミ熱交換器であり、各部の接合は、炉中ロウ付け等のロウ付けによって行われている。
【0068】
熱交換器60は、室外熱交換器23の上部を構成する複数(ここでは、12個)のメイン熱交換部61A〜61Lと、室外熱交換器23の下部を構成する複数(ここでは、12個)のサブ熱交換部62A〜62Lとを有している。メイン熱交換部61A〜61Lにおいては、最上段にメイン熱交換部61Aが配置されており、その下段側から鉛直方向下向きに沿って順にメイン熱交換部61B〜61Lが配置されている。サブ熱交換部62A〜62Lにおいては、最下段にサブ熱交換部62Aが配置されており、その上段側から鉛直方向上向きに沿って順にサブ熱交換部62B〜62Lが配置されている。
【0069】
熱交換部60は、扁平管からなる多数の伝熱管63と、差込フィンからなる多数の伝熱フィン64とにより構成された差込フィン式の熱交換器である。伝熱管63は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、伝熱面となる鉛直方向を向く平面部63aと、冷媒が流れる多数の小さな内部流路63bを有する扁平多穴管である。多数の伝熱管63は、鉛直方向に沿って間隔をあけて複数段配置されており、両端が出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90に接続されている。伝熱フィン64は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、出入口ヘッダ80と中間ヘッダ90との間に配置された多数の伝熱管63に差し込めるように、水平に細長く延びる多数の切り欠き64aが形成されている。伝熱フィン64の切り欠き64aの形状は、伝熱管63の断面の外形にほぼ一致している。多数の伝熱管63は、上記のメイン熱交換部61A〜61L及びサブ熱交換部62A〜62Lに区分されている。ここでは、多数の伝熱管63は、室外熱交換器23の最上段から鉛直方向下向きに沿って、所定数(3〜8本程度)の伝熱管63毎にメイン熱交換部61A〜61Lを構成する伝熱管群をなしている。また、室外熱交換器23の最下段から鉛直方向上向きに沿って、所定数(1〜3本程度)の伝熱管63毎にサブ熱交換部62A〜62Lを構成する伝熱管群をなしている。
【0070】
尚、室外熱交換器23は、上記のような伝熱フィン64として差込フィン(
図5参照)を採用した差込フィン式の熱交換器に限定されるものではなく、伝熱フィン64として多数の波形フィン(
図6参照)を採用した波形フィン式の熱交換器であってもよい。
【0071】
(5)中間ヘッダの構成
次に、
図1〜
図7を用いて、中間ヘッダ90の構成について説明する。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。
【0072】
中間ヘッダ90は、上記のように、熱交換部60の他端側に設けられており、伝熱管63の他端が接続されている。中間ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる筒状の部材であり、主として、縦長中空の中間ヘッダケース91を有している。
【0073】
中間ヘッダケース91は、その内部空間が、複数(ここでは、11個)のメイン側中間バッフル92、複数(ここでは、11個)のサブ側中間バッフル93及び境界側中間バッフル94によって、鉛直方向に沿って仕切られている。メイン側中間バッフル92は、中間ヘッダケース91の上部の内部空間をメイン熱交換部61A〜61Kの他端に連通するメイン側中間空間95A〜95Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。サブ側中間バッフル93は、中間ヘッダケース91の下部の内部空間をサブ熱交換部62A〜62Kの他端に連通するサブ側中間空間96A〜96Kに仕切るように、鉛直方向に沿って順に設けられている。境界側中間バッフル94は、中間ヘッダケース91の最下段側のメイン側中間バッフル92と最上段側のサブ側中間バッフル93との鉛直方向間の内部空間をメイン熱交換部61Lの他端に連通するメイン側中間空間95Lとサブ熱交換部62Lの他端に連通するサブ側中間空間96Lに仕切るように設けられている。
【0074】
中間ヘッダケース91には、複数(ここでは、11本)の中間連絡管97A〜97Kが接続されている。中間連絡管97A〜97Kは、メイン側中間空間95A〜95Kとサブ側中間空間96A〜96Kとを連通する冷媒管である。これにより、メイン熱交換部61A〜61Kとサブ熱交換部62A〜62Kとが中間ヘッダ90及び中間連絡管97A〜97Kを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65A〜65Kが形成されている。また、境界側中間バッフル94には、メイン側中間空間95Lとサブ側中間空間96Lとを連通させる中間バッフル連通孔94aが形成されている。これにより、メイン熱交換部61Lとサブ熱交換部62Lとが中間ヘッダ90及び中間バッフル連通孔94aを介して連通することになり、室外熱交換器23の冷媒パス65Lが形成されている。このように、室外熱交換器23は、多パス(ここでは、12パス)の冷媒パス65A〜65Lに区分された構成を有している。
【0075】
尚、中間ヘッダ90は、上記のような中間ヘッダケース91の内部空間が中間バッフル92、93によって鉛直方向に沿って仕切られただけの構成に限定されるものではなく、中間ヘッダ90内における冷媒の流れ状態を良好に維持するための工夫がなされた構成であってもよい。
【0076】
(6)出入口ヘッダ及び冷媒分流器の構成
次に、
図1〜
図18を用いて、出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の構成について説明する。ここで、
図8は、
図4の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大図である。
図9は、
図7の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の拡大断面図である。
図10は、
図9の出入口ヘッダ80及び冷媒分流器70の下部の拡大断面図である。
図11は、棒部材74の斜視図である。
図12は、棒部材74の平面図である。
図13は、冷媒分流器70の分解図である。
図14は、棒貫通バッフル77を分流器ケース71に差し込む様子を示す斜視図である。
図15は、ノズル部材79及び上下端側分流バッフル73を分流器ケース71に差し込む様子を示す斜視図である。
図16は、ノズル部材79を分流器ケース71に差し込む様子を示す断面図である。
図17は、ノズル部材79を分流器ケース71に嵌合させる様子を示す断面図である。
図18は、ノズル部材79を分流器ケース71に嵌合させた後の隙間を棒貫通バッフル77で埋める様子を示す断面図である。尚、以下の説明においては、方向や面を表す文言は、特にことわりのない限り、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80を含む室外熱交換器23が室外ユニット2に載置された状態を基準とした方向や面を意味する。また、冷媒分流器70、出入口ヘッダ80及び中間ヘッダ90を含む室外熱交換器23における冷媒の流れについては、特にことわりのない限り、室外熱交換器23が冷媒蒸発器として機能する場合を基準にした冷媒の流れを意味する。
【0077】
<出入口ヘッダ>
出入口ヘッダ80は、上記のように、熱交換部60の一端側に設けられており、伝熱管63の一端が接続されている。出入口ヘッダ90は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の出入口ヘッダケース81を有している。出入口ヘッダケース81は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の出入口ヘッダ筒状体82を有しており、2つの上下端側出入口バッフル83によって上端及び下端の開口が閉じられている。出入口ヘッダケース81は、その内部空間が、境界側出入口バッフル84によって、上部の出入口空間85と下部の供給空間86A〜86Lとに鉛直方向に沿って仕切られている。出入口空間85は、メイン熱交換部61A〜61Lの一端に連通する空間であり、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる空間として機能している。このように、出入口空間85を有する出入口ヘッダ80の上部が、冷媒パス65A〜65Lを通過した冷媒を出口で合流させる冷媒出口部として機能している。出入口ヘッダ80には、第1ガス冷媒管33が接続されており、出入口空間85に連通している。供給空間86A〜86Lは、複数(ここでは、11個)の供給側出入口バッフル87によって仕切られたサブ熱交換部62A〜62Lの一端に連通する複数(ここでは、12個)の空間であり、冷媒パス65A〜65Lに冷媒を流出させる空間として機能している。
【0078】
このように、複数の供給空間86A〜86Lを有する出入口ヘッダ80の下部が、複数の冷媒パス65A〜65Lに区分して冷媒を流出させる冷媒供給部86として機能している。
【0079】
<冷媒分流器>
冷媒分流器70は、上記のように、液冷媒管35を通じて流入する冷媒を分流して下流側(ここでは、複数の伝熱管63)に流出させる冷媒通過部品であり、熱交換部60の一端側に設けられており、出入口ヘッダ80の冷媒供給部86を介して伝熱管63の一端が接続されている。冷媒分流器70は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された鉛直方向に延びる部材であり、主として、縦長中空の分流器ケース71を有している。分流器ケース71は、主として、上端及び下端が開口した円筒形状の分流器ヘッダ筒状体72を有しており、2つの上下端側分流バッフル73によって上端及び下端の開口が閉じられている。ここで、上下端側分流バッフル73は、半円弧状の縁部73aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の上端及び下端に形成された差込スリット72aに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。
【0080】
分流器ケース71内には、円周方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lと、複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75と、複数の分流路74A〜74Lによって分流空間75と連通しており鉛直方向に沿って配置される複数(ここでは、12個)の排出空間76A〜76Lとが形成されている。
【0081】
複数(ここでは、12個)の分流路74A〜74Lは、分流器ケース71内に配置された棒部材74によって形成されている。棒部材74は、円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが形成された鉛直方向に延びる棒状の部材である。棒部材74は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形によって製造されており、複数の分流路74A〜74Lは、棒部材74の長手方向に延びており棒部材74に一体成形された複数(ここでは、12個)の孔によって構成されている。棒部材74の径方向の中央部分は、複数の分流路74A〜74Lによって囲まれている。棒部材74の長手方向の他端である上端は、分流器ケース71の上端に設けられた上下端側分流バッフル73の下面に接しており、複数の分流路74A〜74Lの上端が閉じられている。これに対して、棒部材74の長手方向の一端である下端は、分流器ケース71の下部まで延びているが、分流器ケース71の下端に設けられた上下端側分流バッフル73の上面までは達しておらず、複数の分流路74A〜74Lの下端は閉じられていない。これにより、分流器ケース71内には、分流空間75を含む棒部材74の下端に対向する空間が形成されている。
【0082】
棒部材74の外径は、分流器ケース71の内径よりも小さく、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間に空間が形成されており、この空間が複数の排出空間76A〜76Lを形成している。ここでは、分流器ケース71に、棒部材74が貫通する棒貫通孔77bが形成された複数(ここでは、11個)の棒貫通バッフル77が、分流器ケース71の側面から差し込まれており、複数の棒貫通バッフル77によって複数の排出空間76A〜76Lが形成されている。ここで、棒貫通バッフル77は、半円弧状の縁部77aが形成された円形状の板部材であり、分流器ヘッダ筒状体72の側面に鉛直方向に沿って形成された差込スリット72bに分流器ケース71の側面から差し込まれた状態で、ロウ付け接合されている。これにより、棒部材74は、棒貫通バッフル77の棒貫通孔77bを鉛直方向に沿って複数貫通した状態で分流器ケース71内に配置されている。このように、分流器ケース71は、棒部材74の側面と分流器ケース71との径方向間の空間が、複数の棒貫通バッフル77によって、鉛直方向に沿う複数の排出空間76A〜76Lに仕切られている。
【0083】
棒部材74の側面には、複数(ここでは、12個)の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。ここでは、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが、互いに1対1で対応している。例えば、排出空間76Aに連通する棒側面孔74aが分流路74Aだけに対応するように形成され、排出空間76Bに連通する棒側面孔74aが分流路74Bだけに対応するように形成されるといったように、ある排出空間に連通する分流路が他の排出空間には連通しないように棒側面孔74aが形成されている。また、複数の棒側面孔74aは、棒部材74の長手方向(ここでは、鉛直方向)に沿って螺旋状に配置されている。
【0084】
分流器ケース71には、棒部材74の下端に対向する空間を、流入する冷媒を導入する導入空間78と複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75とに仕切るように、ノズル孔79bが形成されたノズル部材79が設けられている。
【0085】
ノズル部材79は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されており、半円弧状の縁部79aが形成された円形状の板部材である。ノズル部材79には、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)側の端面である棒部材側端面79cにノズル孔79bよりも大径の凹み部分であるノズル凹部79dが形成されており、分流空間75が、棒部材74の下端とノズル凹部79dとで囲まれる空間によって構成されている。ここでは、分流空間75が棒部材74の下端を棒部材側端面79cに当接させることによって形成されている。ノズル凹部79dは、棒部材74の下端に向かって段階的に径が大きくなるように形成されている。また、棒部材74の下端には、複数の分流路74A〜74Lに囲まれるとともにノズル孔79bに対向する被入口部74bが形成されており、被入口部74bの面積が、ノズル孔79bの開口面積よりも大きくなっている。尚、導入空間78は、ノズル部材79の下側において、液冷媒管35を通じて分流器ケース71の下端側面から流入する冷媒を導入する空間となっている。
【0086】
冷媒が通過する孔であるノズル孔79bが形成された板状の孔付き板部材としてのノズル部材79は、分流器ケース71の側面から分流器ケース71に差し込まれている。ここで、ノズル部材79は、分流器ケース71の側面に形成された差込スリット72cを介して分流器ケース71に差し込まれた状態で分流器ケース71の縦方向(ここでは、下方向)に移動させられることによって、分流器ケース71に対して側方に移動不能な状態で分流器ケース71に嵌合されている。具体的には、ノズル部材79の分流器ケース71の縦方向の面(ここでは、下面)に、分流器ケース71の下方向に向かって突出する段差部79eが形成されている。そして、ノズル部材79は、分流器ケース71の下方向に移動させられる際に段差部79eの側面79fが分流器ケース71の内面に接触することによって、分流器ケース71に対して側方に移動不能な状態で分流器ケース71に嵌合されている。さらに、ノズル部材79が分流器ケース71の下方向に移動させられた後(すなわち、ノズル部材79を分流器ケース71に嵌合させた後)には、差込スリット72cに隙間が形成されるが、ここでは、この隙間に棒貫通バッフル77を差し込むようにしている。すなわち、ここでは、棒貫通バッフル77を、ノズル部材79が分流器ケース71の下方向に移動させられた後に差込スリット72cに形成される隙間を埋めるための隙間埋め部材として機能させるようにしている。ノズル部材79と棒貫通バッフル77とは、ロウ付けされている。これにより、この差込スリット72cに差し込まれた棒貫通バッフル77は、棒部材74の下端が棒貫通孔77bを貫通した状態でノズル部材79の棒部材側端面79cに重ねて配置されることになる。
【0087】
このように、冷媒分流器70は、下端側面から流入する冷媒を導入する導入空間78が形成された冷媒導入部70aと、冷媒を分流する分流空間75が形成された冷媒分流部70bと、を有する鉛直方向に延びる冷媒導入分流部として機能している。そして、冷媒導入分流部としての冷媒分流器70は、複数(ここでは、12個)の連絡路88A〜88Lを形成する複数(ここでは、12本)の連絡管88を介して、冷媒供給部86としての出入口ヘッダ80の下部に接続されている。すなわち、複数の連絡路88A〜88Lは、冷媒分流部70bを構成する複数の排出空間76A〜76Lから冷媒供給部86の複数の供給空間供給空間86A〜86Lに冷媒を導く部分になっている。こうして、冷媒供給部86としての出入口ヘッダ80の下部、冷媒導入分流部としての冷媒分流器70、及び、複数の連絡路88A〜88Lを形成する複数の連絡管88は、流入する冷媒を下流側の扁平管からなる複数の伝熱管63に流出させる冷媒分流供給部89として機能しているのである。
【0088】
そして、複数の供給空間86A〜86Lのうち最も下側に位置する供給空間86Aを最下段供給空間とし、複数の連絡路88A〜88Lのうち最下段供給空間86Aに冷媒を導く連絡路88Aを最下段連絡路とし、最下段供給空間86Aに連通する伝熱管63のうち最も下側に位置する伝熱管を第1扁平管としての第1伝熱管63A1とすると、第1伝熱管63A1が導入空間78の高さ範囲H1に含まれる高さ位置H2に配置され、かつ、最下段連絡路88Aが導入空間78よりも高い位置H3に配置されている。また、ここでは、最下段供給空間86Aに連通する所定数(ここでは、2本)の伝熱管63のうち最も上側に位置する伝熱管を第2扁平管としての第2伝熱管63A2とすると、最下段連絡路88Aが第2伝熱管63A2の高さ位置H4以上の高さ位置H3に配置されている。
【0089】
(7)冷媒分流器及び室外熱交換器の特徴
本実施形態の冷媒分流器70及び室外熱交換器23には、以下のような特徴がある。
【0090】
<A>
本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、分流器ケース71内に、鉛直方向に延びる棒状の棒部材74が配置されており、複数の分流路74A〜74Lが、棒部材74の長手方向に延びており棒部材74に一体成形された複数の孔によって構成されている。
【0091】
このような棒部材74を分流器ケース71内に配置することによって、少ない部品点数で複数の分流路74A〜74Lを形成できる構造を得ることができ、これにより、冷媒分流器70の生産性を向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、棒部材74の側面に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。
【0093】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、複数の棒側面孔74aが、棒部材74の長手方向に沿って螺旋状に配置されている。
【0094】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、分流器ケース71に、棒部材74が貫通する棒貫通孔77bが形成された複数の棒貫通バッフル77が、分流器ケース71の側面から差し込まれており、複数の棒貫通バッフル77によって複数の排出空間76A〜76Lが形成されている。
【0095】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが、互いに1対1で対応している。
【0096】
<B>
本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、分流器ケース71に、棒部材74の長手方向の一端に対向する分流器ケース71内の空間を、流入する冷媒を導入する導入空間78と複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75とに仕切るように、ノズル孔79bが形成されたノズル部材79が設けられている。そして、ノズル部材79には、棒部材74の長手方向の一端側の端面である棒部材側端面79cにノズル孔79bよりも大径の凹み部分であるノズル凹部79dが形成されており、分流空間75が、棒部材74の長手方向の一端とノズル凹部79dとで囲まれる空間によって構成されている。
【0097】
ここでは、ディストリビュータとしてのノズル部材79、導入空間78及び分流空間75を分流器ケース71内に形成し、しかも、分流空間75を棒部材74の長手方向の一端とノズル凹部79dとで囲まれる空間によって形成することができる。これにより、ここでは、分流器ケース71とディストリビュータが別体で設けられる構成に比べて、鉛直方向のサイズを小さくすることができ、コンパクト化を可能にできる。
【0098】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、棒部材74の長手方向の一端に、複数の分流路74A〜74Lに囲まれるとともにノズル孔79bに対向する被入口部74bが形成されており、被入口部74bの面積が、ノズル孔79bの開口面積よりも大きい。
【0099】
ここでは、ノズル孔79bを通じて導入空間78から分流空間75に導かれる冷媒を被入口部74bに衝突させる流れを得やすくして、冷媒の気液混合状態を均一に維持することができる。これにより、ここでは、分流空間75から複数の分流路74A〜74Lに冷媒を均等に導きやすくすることができる。
【0100】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、ノズル凹部79dが、棒部材74の長手方向の一端に向かって段階的に径が大きくなるように形成されている。
【0101】
ここでは、ノズル凹部79dの径をノズル孔79bから急に大きくする場合に比べて、ノズル孔79bを通じて導入空間78から分流空間75に導かれる冷媒を被入口部74bに衝突させる流れを得やすくして、冷媒の気液混合状態を均一に維持することができる。これにより、ここでは、分流空間75から複数の分流路74A〜74Lに冷媒を均等に導きやすくすることができる。
【0102】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、分流器ケース71内に、鉛直方向に沿って配置される複数の排出空間76A〜76Lが形成されている。そして、棒部材74には、棒部材74の長手方向に延びており棒部材74に形成された複数の孔によって複数の分流路74A〜74Lが形成されている。棒部材74の側面には、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。
【0103】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、ノズル部材79の棒部材側端面79cに、棒部材74が貫通する棒貫通孔77bが形成された棒貫通バッフル77が重ねて配置されている。
【0104】
ここでは、棒部材74とノズル部材79との側方への位置ずれを防止することができ、これにより、分流空間75から複数の分流路74A〜74Lに冷媒を均等に導きやすくすることができる。
【0105】
<C>
本実施形態の冷媒分流器70は、上記のように、分流器ケース71(縦長中空のケース)に対して、ノズル孔79b(冷媒が通過する孔)が形成されたノズル部材79(板状の孔付き板部材)を分流器ケース71の側面から分流器ケース71に差し込むことによって構成される冷媒通過部品である。ここで、ノズル部材79は、分流器ケース71内の空間を、流入する冷媒を導入する導入空間78と複数の分流路74A〜74Lに冷媒を導く分流空間75とに仕切るように設けられている。そして、ノズル部材79は、分流器ケース71の側面に形成された差込スリット72cを介して分流器ケース71に差し込まれた状態で分流器ケース71の縦方向に移動させられることによって、分流器ケース71に対して側方に移動不能な状態で分流器ケース71に嵌合される。
【0106】
ここでは、ノズル部材79に形成されたノズル孔79bが適正な位置からずれることを防止することができ、これにより、冷媒分流器70において、要求通りの冷媒の流れ、すなわち、要求通りの分流性能を得ることができる。
【0107】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、ノズル部材79の分流器ケース71の縦方向の面に、分流器ケース71の縦方向に向かって突出する段差部79eが形成されている。そして、ノズル部材79は、分流器ケース71の縦方向に移動させられる際に段差部79eの側面79fが分流器ケース71の内面に接触することによって、分流器ケース71に対して側方に移動不能な状態で分流器ケース71に嵌合される。
【0108】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、差込スリット72cに、ノズル部材79が分流器ケース71の縦方向に移動させられた後に形成される隙間を埋める隙間埋め部材としての棒貫通バッフル77が差し込まれている。
【0109】
また、本実施形態の冷媒分流器70では、上記のように、ノズル部材79と隙間埋め部材としての棒貫通バッフル77とが、ロウ付けされている。
【0110】
<D>
本実施形態の冷媒蒸発器としての室外熱交換器23は、上記のように、鉛直方向に沿って配置される扁平管からなる複数の伝熱管63と、流入する冷媒を下流側の複数の伝熱管63に流出させる冷媒分流供給部89と、を有している。ここで、冷媒分流供給部89は、冷媒供給部86としての出入口ヘッダ81の下部と、冷媒導入分流部としての冷媒分流器70と、複数の連絡路88A〜88Lとを含んでいる。冷媒供給部86は、複数の伝熱管63を鉛直方向に沿って所定数の伝熱管63を含んだ複数の冷媒パス65A〜65Lに区分して冷媒を流出させる複数の供給空間86A〜86Lが形成された鉛直方向に延びる部分である。冷媒導入分流部70は、下端側面から流入する冷媒を導入する導入空間78が形成された冷媒導入部70aと、冷媒を分流する分流空間75が形成された冷媒分流部70bと、を有する鉛直方向に延びる部分である。複数の連絡路88A〜88Lは、冷媒分流部70bから冷媒供給部86の複数の供給空間86A〜86Lに冷媒を導く部分である。そして、複数の供給空間86A〜86Lのうち最も下側に位置する供給空間86Aを最下段供給空間とし、複数の連絡路88A〜88Lのうち最下段供給空間86Aに冷媒を導く連絡路88Aを最下段連絡路とし、最下段供給空間86Aに連通する伝熱管63のうち最も下側に位置する伝熱管63A1を第1扁平管としての第1伝熱管とすると、第1伝熱管63A1が導入空間78の高さ範囲H1に含まれる高さ位置H2に配置され、かつ、最下段連絡路88Aが導入空間78よりも高い位置H3に配置されている。
【0111】
ここでは、下端側面から冷媒導入分流部70に流入する気液混合状態の冷媒を、冷媒導入分流部70bで均等に分流した後に、最下段連絡路88Aを通じて冷媒供給部86の最下段供給空間86Aに導くことができる。これにより、ここでは、最下段供給空間86Aの第1扁平管63A1を含む複数の扁平管63への冷媒の分流性能を確保しつつ、空気調和装置1の室外ユニット2等のケーシング51の底板52上の設置に適したものにすることができる。
【0112】
また、本実施形態の冷媒蒸発器としての室外熱交換器23では、上記のように、導入空間78と分流空間75とが、ノズル孔79bが形成されたノズル部材79によって仕切られている。
【0113】
ここでは、導入空間78及び分流空間75の高さ寸法を小さくすることができ、また、最下段連絡路88Aの高さ位置も低くすることができる。
【0114】
また、本実施形態の冷媒蒸発器としての室外熱交換器23では、上記のように、ノズル部材79の上面に、ノズル孔79bよりも大径の凹み部分であるノズル凹部79dが形成されており、ノズル凹部79dが形成する空間によって分流空間75が構成されている。
【0115】
ここでは、ノズル部材79に形成されたノズル凹部79dによって分流空間75の高さ寸法を小さくすることができ、また、最下段連絡路88Aの高さ位置も低くすることができる。
【0116】
また、本実施形態の冷媒蒸発器としての室外熱交換器23では、上記のように、最下段供給空間88Aに連通する所定数の伝熱管63のうち最も上側に位置する伝熱管63A2を第2扁平管としての第2伝熱管とすると、最下段連絡路88Aが第2扁平管63A2以上の高さ位置(すなわち、H3≧H4)に配置されている。
【0117】
ここでは、冷媒供給部86の最下段供給空間86Aに連通する扁平管のうち第2扁平管63A2に冷媒が導入されやすくなることを抑えて、最下段供給空間86Aに連通する扁平管63A1、63A2に流れる気液混合状態の冷媒を均等にすることができる。
【0118】
(8)変形例
<A>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとを連通させる棒貫通孔74aが各1個であったが、これに限定されるものではない。例えば、
図19に示すように、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとを連通させる棒貫通孔74aが複数個(ここでは、各2個)であってもよい。
【0119】
<B>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが、互いに1対1で対応しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図20に示すように、ある1つの排出空間に対して複数(ここでは、2つ)の分流路に連通する棒側面孔74aを形成したり、ある1つの分流路に対して複数(ここでは、2つ)の排出空間に連通する棒側面孔74aを形成するようにする等のように、複数の分流路74A〜74Lと複数の排出空間76A〜76Lとが互いに1対1で対応していない構成であってもよい。
【0120】
<C>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、複数の分流路74A〜74Lの開口サイズをすべて同じにし、また、複数の棒側面孔74aの径もすべて同じにしているが、これに限定されるものではない。例えば、
図21に示すように、分流路74A〜74Lのいくつかの開口サイズを他の分流路と異なるものとしてもよい(ここでは、分流路74B、74D、74Fの開口サイズを他の分流路74A、74C、74E、74G〜74Lよりも小さくしている)。
【0121】
<D>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、
図22や
図23に示すように、複数の分流路74A〜74Lを形成する複数(ここでは、12本)の細管部材741A〜741Lを円周方向に沿って束ねることによって棒部材74を構成してもよい。複数の細管部材741A〜741Lの側面には、ここでは図示しないが、上記の実施形態の棒部材74と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、複数の細管部材741A〜741Lに囲まれる部分には、
図22に示すように、中心棒742を設けるようにして、この中心棒742の下端を被入口部74bにしてもよい。また、中心棒体742ではなく、
図23に示すように、複数の細管部材741A〜741Lの下端に複数の細管部材741A〜741Lが貫通可能な仕切体743を設けるようにして、この仕切体743の中央部分を被入口部74bにしてもよい。
【0122】
<E>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、棒部材74が円周方向に沿って配置される複数の分流路74A〜74Lが一体成形された鉛直方向に延びる棒状の部材であるが、これに限定されるものではない。例えば、
図24や
図25に示すように、筒状の外棒部材744と外棒部材744の内周側に配置される内棒部材745とによって棒部材74を構成してもよい。ここでは、外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面の少なくとも一方に、棒部材74の長手方向に延びる複数(ここでは、12個)の溝744a、745aを形成して、複数の溝744a、745aと外棒部材744の内周面又は内棒部材745の外周面とで囲まれる空間によって複数の分流路74A〜74Lを形成するようにしている。外棒部材744の側面には、ここでは図示しないが、上記の実施形態の棒部材74と同様に、複数の棒側面孔74aが形成されており、複数の棒側面孔74aによって複数の排出空間76A〜76Lと複数の分流路74A〜74Lとが連通している。尚、ここでは、内棒部材745の下端の中央部分が被入口部74bになる。
【0123】
<F>
上記の実施形態にかかる冷媒蒸発器としての室外熱交換器23では、冷媒供給部86が、鉛直方向に延びる出入口ヘッダケース81に形成されており、冷媒導入分流部(ここでは、冷媒分流器70)が、鉛直方向に延びる分流器ケース71に形成されており、そして、出入口ヘッダケース81と分流器ケース71とが、複数の連絡路88A〜88Lを形成する複数の連絡管88を介して接続されているが、これに限定されるものではない。例えば、ここでは図示しないが、冷媒供給部86、冷媒導入分流部70及び複数の連絡路88A〜88Lが、鉛直方向に延びる単一のヘッダ−分流器兼用ケース(例えば、出入口ヘッダケース81の下部)に形成されていてもよい。また、出入口ヘッダケース81の下部に冷媒導入分流部70を形成する場合には、冷媒供給部86及び複数の連絡路88A〜88Lを省略して、伝熱管63を複数の排出空間76A〜76Lに直接連通させるようにしてもよい。
【0124】
<G>
上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、分流器ケース71内において、その上部に棒部材74を配置し、かつ、その下部にノズル部材79を配置するとともに、冷媒を分流器ケース71の下端から導入するように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ここでは図示しないが、分流器ケース71内において、その下部に棒部材74を配置し、かつ、その上部にノズル部材79を配置するとともに、冷媒を分流器ケース71の上端から導入するように構成されていてもよい。
【0125】
<H>
上記の実施形態にかかる室外熱交換器23では、扁平管からなる伝熱管63が平面視1列だけ鉛直方向に沿って複数段配置された構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、
図26に示すように、平面視2列の伝熱管63が鉛直方向に沿って複数段配置された構成であってもよい。この場合には、伝熱管63の長手方向の他端(左端)が長手方向の一端(右端)に向かって折り返すことになるため、冷媒分流器70及び出入口ヘッダ80だけでなく、中間ヘッダ90も伝熱管63の他端(右端)側に設けられることになる。
【0126】
<I>
上記の実施形態にかかる冷媒導入分流部としての冷媒分流器70では、
図10に示すように、液冷媒管35の先端部が分流器ケース71の下端側面から導入空間78内に少しだけ突出するように設けられているが、これに限定されるものではない。
【0127】
例えば、
図27に示すように、液冷媒管35の先端部を分流器ケース71の下端側面から導入空間78内の中央部まで突出するように設けるようにしてもよい。このとき、液冷媒管35の先端部の末端開口35aを閉じるとともに、液冷媒管35の先端部におけるノズル部材79のノズル孔79bに対向する位置に導入孔35bを形成するようにしている。この場合には、液冷媒管35から導入空間78に導入される冷媒を導入空間78から分流空間75に速やかに導くことができるようになり、冷媒を導入する際の導入空間78内における液冷媒の溜まり込みを抑えて、異音の発生を低減することができる。ここでは、液冷媒管35の先端部の末端開口35aが導入孔35bの近傍位置まで達するリベット35cによって閉じられているため、液冷媒管35の先端部内における液冷媒の溜まり込みも抑えることができる。尚、末端開口35aを閉じる手法は、リベット35cによるものに限定されるものではなく、スパン加工やピンチ加工によって末端開口35aを閉じるようにしてもよい。また、
図28に示すように、ノズル部材79を下方に延ばして液冷媒管35の先端部をノズル部材79に直接接続してノズル孔79bに連通させて、ノズル部材79の下端側面から冷媒を導入するようにしてもよい。この場合には、実質的にノズル部材79が導入空間78を形成することになるため、さらに液冷媒の溜まり込みを抑えることができる。
【0128】
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上記の実施形態にかかる冷媒分流器70では、
図10に示すように、棒部材74の長手方向の一端がノズル部材79の棒部材側端面79cに当接し、棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)が棒貫通バッフル77の棒貫通孔77bに嵌め込まれているが、これに限定されるものではない。
【0129】
例えば、
図27及び
図28に示すように、ノズル部材79の棒部材側端面79cに棒部材74の長手方向の一端(ここでは、下端)を嵌め込むための棒嵌め込み部79gを形成して、棒部材74とノズル部材79との側方への位置ずれを防止するようにしてもよい。