(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2光路変更部の切替機構は、前記参照光の出力方向が、入射する前記参照光と直交する面に対して−45°、0°又は45°となるように3段階に切替可能である請求項3記載のプローブ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本願の光プローブは、(1)入力光を伝送する入力光伝送体と、前記入力光伝送体から出射された前記入力光を測定光と参照光とに分岐する光分岐素子と、前記測定光を入力し、出力光として伝送する出力光伝送体と、前記測定光の光路を変更して、前記出力光伝送体へ向けて出力する第1光路変更部と、前記出力光伝送体よりも上流側の前記測定光の光路上に設けられて、外部と連通する測定部と、前記参照光を入力して伝送する第1参照光伝送体と、前記参照光の光路を変更し、前記第1参照光伝送体へ向けて出力する第2光路変更部と、前記第2光路変更部と第1参照光伝送体との間の前記参照光の光路上に配置され、内部に基準物質を注入可能な第1基準セルと、前記入力光伝送体の一方側の端部、前記光分岐素子、前記第1光路変更部、前記出力光伝送体の一方側の端部、前記第2光路変更部、前記第1参照光伝送体の一方側の端部、及び前記第1基準セルを収容すると共に、外方に前記測定部が形成された筐体部と、を備える。
【0011】
上記の光プローブによれば、光分岐素子により入力光から分岐された参照光を用いて、第1基準セル内の基準物質の測定を同時に行うことができる。したがって、基準物質の測定のためにプローブを洗浄する等の新たな作業を必要とせず、簡便な操作により基準物質の測定が可能となる。また、このように測定対象物の測定に用いられるプローブを用いて基準物質を測定する場合、プローブを洗浄して測定する場合や、プローブを用いずに基準物質を測定する場合と比較して、測定対象物とより近い状況で基準物質の測定を行うことができる。したがって、基準物質の測定結果を用いて、測定対象物の測定結果の補正を行う場合、補正の精度が向上する。
【0012】
(2)また、(1)に記載のプローブについて、前記第2光路変更部は、前記参照光の光路が前記第1光路変更部を経由して前記第1参照光伝送体に向かうよう変更し、前記第1光路変更部は、前記参照光を前記第1参照光伝送体へ向けて出力する構成とすることができる。
【0013】
このように、参照光が第1光路変更部を経由する構成とした場合でも、第1基準セル内の基準物質の測定を同時に行うことができる。
【0014】
(3)また、(1)に記載のプローブについて、前記筐体部に一方側の端部が収容され、前記参照光を入力して伝送する第2参照光伝送体と、前記筐体部に収容され、前記第2光路変更部と第2参照光伝送体との間の前記参照光の光路上に配置され、内部に基準物質を注入可能な第2基準セルと、をさらに備え、前記第2光路変更部は、前記参照光の光路を、前記第1光路変更部を経由せずに前記第1参照光伝送体に向かう第1の方向、又は、前記第1光路変更部を経由して前記第2参照光伝送体へ向かう第2の方向、に変更可能な切替機構を有し、前記第1光路変更部は、前記参照光を前記第2参照光伝送体へ向けて出力する構成とすることができる。
【0015】
このようなプローブでは、第1基準セル及び第2基準セルという2つの基準セルを用いて基準物質の測定を行うことができる。したがって、2つの条件で基準物質の測定を行う場合であっても、簡便な操作により測定を行うことができる。
【0016】
(4)また、(3)に記載のプローブについて、前記第2光路変更部の切替機構は、前記参照光の出力方向が、入射する前記参照光と直交する面に対して−45°、0°又は45°となるように3段階に切替可能である構成とすることができる。
【0017】
切替機構が上記のように3段階に切替可能な構成とした場合、第1参照光伝送体及び第2参照光伝送体を出力方向に対応させて配置することで、細かい角度調整等を行う必要なく、参照光を伝送体に入射させることが可能となる。
【0018】
(5)また、(3)又は(4)に記載のプローブについて、前記第1基準セル及び前記第2基準セルに注入される基準物質は互いに異なる構成とすることができる。
【0019】
互いに異なる基準物質が第1基準セル及び第2基準セルに注入される構成とすることで、洗浄等の作業を行うことなく2種類の基準物質の測定を1つのプローブで実施することが可能となる。
【0020】
(6)また、(1)〜(5)のいずれかに記載のプローブについて、前記筐体部に収容され、前記第1基準セル内の温度を測定する温度モニタ素子をさらに備える構成とすることができる。
【0021】
第1基準セル内の温度を測定する温度モニタ素子を備えている場合、第1基準セル内の温度の変化に応じた補正を行うことができることから、補正の精度が向上する。
【0022】
(7)また、(1)〜(6)のいずれかに記載のプローブについて、前記筐体部に収容され、前記プローブ内の温度を測定する温度モニタ素子をさらに備える構成とすることができる。
【0023】
プローブ内の温度を測定する温度モニタ素子を備えている場合、プローブ内の温度の変化に応じた補正を行うことができることから、補正の精度が向上する。
【0024】
(8)また、(1)〜(7)のいずれかに記載のプローブについて、前記第1基準セルには、純水が注入されている構成とすることができる。
【0025】
このように、純水は液体の測定対象物を測定する際の基準物質として好適に用いられる。
【0026】
(9)また、(8)に記載のプローブについて、前記第1基準セルには、腐食防止用の物質が添加されている構成とすることができる。
【0027】
第1基準セルに腐食防止用の物質を添加することで、第1基準セル内の基準物質の特性劣化等を防止することができる。
【0028】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係るプローブの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定装置の概略構成と主な使用方法を説明する図である。
図1に示すように、測定装置1は、光源10と、プローブ20と、分析器40と、を含んで構成される。測定装置1による測定対象物Oは液体である。
【0030】
光源10は、液体の測定対象物に対して照射する光(入力光)を出射する。入力光については特に限定されず、例えば、赤外光(波長帯域:2500nm〜4000nm)、可視光(波長帯域:360nm〜830nm)を用いることができるが、近赤外光が好適に用いられる。本実施形態に係る測定装置1で用いられる近赤外光とは、900nm〜2500nmの波長帯域の光を指す。光源10は上記の波長の光を出射可能であれば特に限定されず、例えば、近赤外光を入力光として用いる場合には、ハロゲンランプ等を用いることができる。また、光源10は、パルス光を出射するような構成であってもよい。さらに、光源10としてスーパーコンティニューム(Supercontinuum)光源を用いることもできる。
【0031】
プローブ20は、コネクタ等により光源10及び分析器40に対して接続され、光源10からの入力光を導波して測定対象物の液体に対して出射する。また、プローブ20は、光を照射した測定対象物からの透過光又は散乱光を入射して分析器40に導波する機能を有する。
図1に示すように、測定対象物O内にプローブ20の先端を導入することで、測定が行われる。プローブ20では、伝送体によって光が導波されるが、その具体的な構成については後述する。なお、光源10及び分析器40とプローブ20との間は、例えば光ファイバ等によって接続される構成であってもよい。
【0032】
分析器40は、プローブ20からの光を受光して測定を行う機能を有する。分析器40は、プローブ20における伝送体を導波した測定対象物の透過光又は散乱光を受光する受光部と、受光部により受光された光の分析を行う分析部と、を含んで構成される。
【0033】
分析器40においては、受光部における受光センサとして、MCT、InSb、InGaAs、InGaAs/GaAsSbの量子井戸型などを用いることが出来る。受光部として、分析器40に対して入射した光を分光する分光部と、2次元に配列された受光センサと、からなる構成を採用した場合、従来のポイントセンサを用いる場合に比べて、短時間での測定が可能となる。また、受光センサとしてInGaAs/GaAsSbの量子井戸型のセンサを用いることにより、比較的安価で高精度の計測性能を実現することができる。
【0034】
分析器40の分析部において分析を行う際には、基準物質の測定結果がベースライン補正等のために用いられる。基準物質の測定結果とは、測定対象物とは異なる基準物質(例えば、空気、純水、基準溶液)に対して測定光を出射することで基準物質から出射される透過光又は散乱光を分析器40にて受光した結果である。本実施形態に係るプローブ20では、測定対象物に係る測定と同時に基準物質の測定を行うことができる構成を有するため、基準物質の測定をより簡易な手順で実施することができる。この点については後述する。
【0035】
次に、測定装置1のうち、プローブ20について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2(A)は、プローブ20の正面からの概略構成図であり、
図2(B)は、
図2(A)のIIB−IIB矢視図である。また、
図3(A)は、
図2(B)のIIIA−IIIA矢視図であり、
図3(B)は、
図2(B)のIIIB−IIIB矢視図である。なお、以下の実施形態では、XYZ軸を用いながら説明する。
【0036】
図2、
図3に示すように、プローブ20は、光源10に対してその一方の端部21aが接続する入力光伝送体21と、分析器40に対してその一方の端部22aが接続する出力光伝送体22と、分析器40に対してその一方の端部23aが接続する参照光伝送体23と、を含む。入力光伝送体21の光源10側とは逆側の端部21b、出力光伝送体22の分析器40側とは逆側の端部22b、及び参照光伝送体23の分析器40側とは逆側の端部23bは、筐体部25に収容される。入力光伝送体21、出力光伝送体22及び参照光伝送体23は、筐体部25側の端部では、略同一の方向(Y軸方向)に延びる。筐体部25は、3つの伝送体の光軸方向に沿って延びる略円筒形状をなしている。
【0037】
筐体部25は、外装は光の透過を防止する材料によって覆われていることが好ましく、且つ、内部は、3つの伝送体(入力光伝送体21、出力光伝送体22及び参照光伝送体23)から出射された光が導波可能な部材により構成されることが好ましい。また、内部が空洞であってもよい。内部が空洞である場合、筐体部25の内部に配置される伝送体等の光学部品は、それぞれ接着剤等の何らかの固定具により固定される。
【0038】
3つの伝送体(入力光伝送体21、出力光伝送体22及び参照光伝送体23)は、それぞれ光ファイバ又はガラスロッド等によって実現される。また、光ファイバとガラスロッドとを組み合わせた構成とすることもできる。伝送体として光ファイバを用いる場合は、石英ガラスファイバを用いることが望ましい。石英ガラスファイバは、近赤外の長波長側である2.5μmmまでを低損失で伝送することが可能であるため、近赤外光を用いた測定において特に好適に使用できる。また、近赤外光を用いた測定においては、光ファイバとして、OHフリーファイバや低OHファイバを用いることが望ましい。これは、OHフリーファイバ又は低OHファイバを用いる場合、OH由来の波長1.4μm前後及び波長1.9μm前後の吸収を回避することができるため、近赤外の波長帯域の光を広く有効に分析に活用できるためである。
【0039】
図2、
図3に示すように、入力光伝送体21及び出力光伝送体22は、XY平面に沿って平行に配置されている。入力光伝送体21及び参照光伝送体23は、YZ平面に沿って平行に配置されている。
【0040】
入力光伝送体21の端部21b、及び出力光伝送体22の端部22bは、筐体部25の先端に設けられた測定部27と対向している。
【0041】
測定部27は、
図2(A),
図3(A)等に示されるように、円筒状の筐体部25の側面の一部を切り欠いて形成された、X軸方向に沿って延びる開口である。測定部27は開口であるので、プローブ20を測定対象物O内に投入した際には、測定部27に測定対象物Oが導入される。測定部27のうち、XZ平面に沿って延びて対向配置された壁面には、筐体部25内部との間で光の入出射が可能なカバーガラス28が設けられる。
【0042】
測定部27を挟んで入力光伝送体21及び出力光伝送体22が配置される側と逆側には、反射ミラー30(第1光路変更部)が配置される。反射ミラー30は、入力光伝送体21の端部21bから出射されて測定部27を通過した光が、出力光伝送体22の端部22bから出力光伝送体22に入射するように配置される。具体的には、反射ミラー30は、2つの反射面30a,30bがそれぞれX軸に対して45°の角度をなし、且つZ軸に沿って延びるように配置される(
図3(A)参照)。これにより、
図3(A)に示すように、入力光伝送体21の端部21bから出射されて測定部27を通過した光は、反射面30a,30bにおいて反射された後、−Y方向に進み、測定部27を再度通過した後に、集光レンズ29を経て、出力光伝送体22の端部22bから出力光伝送体22に入射する。これにより、測定部27を通過した光が出力光として出力光伝送体22に入射し、分析器40に対して伝送される。
【0043】
入力光伝送体21の端部21bと測定部27との間には、入力光伝送体21から出射される光の光軸方向(Y軸方向)に沿って、集光レンズ31と、光分岐素子32と、がこの順となるように設けられる。
【0044】
集光レンズ31は、入力光伝送体21を導波した入力光をコリメートして出射する。また、光分岐素子32は、集光レンズ31から出射された入力光を、光軸方向(+Y方向)に進む測定光と、下方(−Z方向)に進む参照光と、分岐して出射する機能を有する。
【0045】
下方に分岐された参照光は、参照光用ミラー33(第2光路変更部)によって光軸方向(−Y方向)に進路が変更されて、基準セル34(第1基準セルに相当)、集光レンズ35を経て、参照光伝送体23の端部23bから参照光伝送体23へ入射可能な構成とされている。
【0046】
ここで、基準セル34とは、分析器40で分析される測定対象物の測定結果を補正するための基準物質を導入するセルである。基準セル34は、注入口(図示せず)から内部に、例えば、空気、水(純水)、基準液(測定対象物Oに対してブランクとなる液体)等を導入することができる。内部に導入する基準物質は、プローブ20による測定対象物Oに応じて適宜選択される。基準セル34に水又は基準液を導入する場合、腐食剤又は滅菌剤等の腐食防止のための物質を同時に導入して、基準セル34内の液体の特性劣化を防ぐ構成としてもよい。これにより、不純物、藻類、又は菌類等が基準セル34内に混入した場合でも、繁殖を防ぐことができる。
【0047】
基準セル34は、プローブ20による測定時には外部に対して密封された状態となり、測定対象物Oと接触しない構成とすることが好ましい。
【0048】
上記のようなプローブ20においては、光源10から出射された入力光は、入力光伝送体21を経て、端部21bから筐体部25内に出射される。端部21bから出射された光は、光分岐素子32によってその一部が参照光として下方に分岐される一方、光分岐素子32を直進する測定光は、測定部27を通過することで、測定対象物Oに対して照射される。測定対象物Oに対して照射された測定光のうち測定対象物Oを透過した透過光が、反射ミラー30によって、反射された後、測定部27を経て出力光伝送体22の端部22bから出力光伝送体22に入射する。出力光伝送体22を伝搬した光は分析器40において分析される。
【0049】
一方、光分岐素子32において下方に分岐された参照光は、参照光用ミラー33によって光路が変更された後、基準セル34を通過して参照光伝送体23の端部23bから参照光伝送体23に入射する。その後、参照光伝送体23により伝送された光は分析器40において、出力光伝送体22を伝搬した光の分析を行う際の補正用の光として用いられる。なお、分析器40においては、出力光伝送体22により伝送された光とは異なる受光センサ等により、参照光伝送体23により伝送された光を受光した後に分析を行う構成とすることができる。分析器40の構成は適宜変更することができる。
【0050】
このように、本実施形態に係るプローブ20では、光分岐素子32により入力光から分岐された参照光を用いて基準物質の測定を同時に行うことができる。したがって、基準物質の測定のためにプローブ20を洗浄する等の新たな作業を必要とせず、簡便な操作により基準物質の測定が可能となる。また、このように測定対象物Oの測定に用いられるプローブ20を用いて基準物質を測定する場合、プローブ20を洗浄して測定する場合や、プローブ20を用いずに基準物質を測定する場合と比較して、環境条件(温度等)が測定対象物Oとより近い状況で基準物質の測定を行うことができる。したがって、基準物質の測定結果を用いて、測定対象物Oの測定結果の補正を行う場合、補正の精度が向上する。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るプローブについて、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4(A)は、プローブ20Aの正面からの概略構成図であり、
図4(B)は、
図4(A)のIVB−IVB矢視図である。また、
図5(A)は、
図4(B)のVA−VA矢視図であり、
図5(B)は、
図4(B)のVB−VB矢視図である。
【0052】
第2実施形態に係るプローブ20Aが、第1実施形態に係るプローブ20と異なるのは参照光伝送体23の配置が変更された点である。また、参照光伝送体23の配置の変更に伴い、参照光伝送体23の前段に設けられたミラー等の配置が変更されている。
【0053】
具体的には、プローブ20Aにおいて、参照光伝送体23は、一つのYZ平面内に出力光伝送体22と平行に配置されている。そのため、Y軸方向に沿って延びる参照光伝送体23に対して入射させるために、光分岐素子32により下方に分岐された光を参照光用ミラー33によって反射ミラー30側へ光路変更させている。反射ミラー30は、Z軸に沿って延びている。したがって、参照光用ミラー33によって反射ミラー30側に出射された光は、反射面30a,30bを経て、参照光伝送体23へ入射する構成とされている。上方から見た場合、参照光用ミラー33から出射された光の参照光伝送体23への光路は、光分岐素子32を直進した光の出力光伝送体22への光路と略同一となる。
【0054】
また、第2実施形態に係るプローブ20Aでは、基準セル34の配置が変更されていて、測定部27の下方側(−Z方向側)に基準セル34が設けられている。
【0055】
第2実施形態に係るプローブ20Aでは、光分岐素子32において下方に分岐された光は、参照光用ミラー33によって光路が変更された後、基準セル34を通過して反射ミラー30側により反射され、基準セル34を再度通過した後に、参照光伝送体23の端部23bから参照光伝送体23に入射する。その後、参照光伝送体23を伝搬した光は分析器40において、出力光伝送体22を伝搬した光の分析を行う際の補正用の光として用いられる。
【0056】
このように、第2実施形態に係るプローブ20Aにおいても、光分岐素子32により分岐された参照光を用いて基準物質の測定を同時に行うことができる。したがって、基準物質の測定のためにプローブ20Aを洗浄する等の新たな作業を必要とせず、簡便な操作により基準物質の測定が可能となる。また、プローブ20Aにおいては、分岐された光は、基準セル34を2回通過した後に参照光伝送体23に入射する。これは、出力光伝送体22へ入射する光が測定部27を2回通過する構成と同様の構成である。したがって、測定対象物Oと同様の条件で基準物質の測定を行うことができ、より高い精度の補正が可能となる。
【0057】
なお、基準セル34は、光分岐素子32にて分岐された光が参照光伝送体23に入射するまでの光路上に配置されていればよいので、その位置や形状は特に限定されない。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るプローブについて、
図6を参照しながら説明する。
図6は、プローブ20Bの正面からの概略構成図である。
【0059】
第3実施形態に係るプローブ20Bは、第1実施形態に係るプローブ20に対して温度モニタ素子36A(温度測定部)を配置したものである。
図6に示すように、プローブ20Bでは、温度モニタ素子36Aにより基準セル34内の基準物質の温度が測定される。温度モニタ素子36Aとしては、例えば、熱電対、サーミスタ、白金等を用いることができる。温度モニタ素子36Aは、導線36Bを介して分析器40に接続され、分析器40において、温度情報が取得される。分析器40にて取得された温度情報は、測定対象物Oの測定結果の補正に用いられる。
【0060】
第3実施形態に係るプローブ20Bのように、温度モニタ素子36Aにより基準物質の周辺環境の温度を測定する構成とすることにより、基準物質の温度変化に応じた補正を行うことができる。また、測定部27内の測定対象物Oの温度を測定する構成を備えている場合、測定対象物Oの測定結果についても温度補正を行うことができるため、高い精度での補正を行うことができる。
【0061】
なお、プローブ20Bでは、基準セル34内の基準物質の温度を測定している構成を示しているが、プローブ内の温度を測定する構成としてもよい。プローブ内の温度を直接測定する構成を備えるプローブを
図7に示す。
【0062】
図7に示すプローブ20Cは、基準セル34内の基準物質の温度を測定する温度モニタ素子36Aに加えて、プローブ20Cの内部の温度を測定する温度モニタ素子37Aを有する。温度モニタ素子37Aは導線37Bを介して分析器40に接続される。このような構成を有するプローブ20Cでは、温度モニタ素子37Aを利用してプローブ20C内の温度を測定できるので、この測定結果を利用して温度変化に応じた補正を行うことができる。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態に係るプローブについて、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8(A)は、プローブ20Dの正面からの概略構成図であり、
図8(B)は、
図8(A)のVIIIB−VIIIB矢視図である。また、
図9(A)は、
図8(B)のIXA−IXA矢視図であり、
図9(B)は、
図8(B)のIXB−IXB矢視図である。
【0064】
第4実施形態に係るプローブ20Dが、第1実施形態に係るプローブ20と異なるのは参照光伝送体が2本設けられた点である。また、参照光伝送体が2本設けられたため、参照光用ミラーが角度可変ミラーに変更される。
【0065】
具体的には、プローブ20Dでは、一つのYZ平面内に入力光伝送体21と平行に配置された第1参照光伝送体231と、他の一つのYZ平面内に出力光伝送体22と平行に配置された第2参照光伝送体232と、を備える。また、光分岐素子32の下方に配置される参照光用ミラー33Aは、角度可変となり、参照光の光路を変更可能な切替機構として機能する。参照光用ミラー33Aは、外部の制御装置(図示せず)に接続された導線33Bを介した電圧制御等によってその角度が変更される。参照光用ミラー33Aは、自由に角度を変更できる構成であってもよいが、少なくとも、第1参照光伝送体231へ向けて光を出射する場合(第1の方向:光分岐素子32からの参照光に対して直交する面から−45°)と、第2参照光伝送体232へ向けて光を出射する場合(第2の方向:光分岐素子32からの参照光に対して直交する面から+45°)と、参照光伝送体による測定を行わない場合(光分岐素子32からの参照光に対して直交する面から0°)と、の3段階に角度が変更可能な構成であれば特に限定されない。
【0066】
第1参照光伝送体231と参照光用ミラー33Aとの間には、第1基準セル341が設けられる。また、参照光用ミラー33Aと反射ミラー30との間であって測定部27の下方には、第2基準セル342が設けられる。第1基準セル341は、第1実施形態のプローブ20における基準セル34と同様の配置とされる。また、第2基準セル342は、第2実施形態のプローブ20Aにおける基準セル34と同様の配置とされる。第1基準セル341と第2基準セル342とは独立しているので、互いに異なる基準物質を導入することができる。
【0067】
このようなプローブ20Dにおいては、参照光用ミラー33Aにより光分岐素子32によって分岐された参照光を第1参照光伝送体231側に出射した場合には、第1基準セル341を通過した光が第1参照光伝送体231に入射する。したがって、第1基準セル341内の基準物質の測定を行うことができる。一方、参照光用ミラー33Aにより光分岐素子32によって分岐された参照光を反射ミラー30側に出射した場合には、第2基準セル342を通過して反射ミラー30により反射された光が、第2基準セル342を再度通過して第2参照光伝送体232に入射する。したがって、第2基準セル342内の基準物質の測定を行うことができる。
【0068】
このように、第4実施形態に係るプローブ20Dでは、2つの基準セル341,342において、互いに異なる2種類の基準物質を保持することができ、参照光用ミラー33Aの角度を変更することで、測定対象物Oに応じて測定に利用する基準物質を選択して測定を行うことができる。したがって、測定対象物Oに応じて基準物質を入れ替える等の作業を減らすことができ、より簡便な操作により測定対象物に応じた基準物質の測定が可能となる。
【0069】
以上、本発明の実施形態に係るプローブについて説明したが、本発明に係るプローブは上記実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
【0070】
例えば、本発明に係るプローブにおける測定部は、測定光の光路上に配置されていればよく、その形状は適宜変更することができる。また、基準セルについても参照光の光路上に配置されていればよく、その形状は適宜変更することができる。