特許第6361494号(P6361494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6361494接着剤組成物、積層体、および積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361494
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】接着剤組成物、積層体、および積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20180712BHJP
   C09J 167/00 20060101ALI20180712BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20180712BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180712BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   C09J175/06
   C09J167/00
   C09J175/08
   B32B27/00 D
   B32B27/40
【請求項の数】7
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-257126(P2014-257126)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-117801(P2016-117801A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】396009595
【氏名又は名称】東洋モートン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】門田 昌久
(72)【発明者】
【氏名】武本 昇
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−274061(JP,A)
【文献】 特開2010−043238(JP,A)
【文献】 特表2014−516321(JP,A)
【文献】 特開平10−017844(JP,A)
【文献】 特開2004−107410(JP,A)
【文献】 特開2014−159548(JP,A)
【文献】 特開昭49−047492(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/095665(WO,A1)
【文献】 特開2012−188626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート成分(A)と水酸基成分(B)とを含有する接着剤組成物であって、
前記イソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の含有量が0.3〜5.5[mmol/g]であり、
前記イソシアネート成分(A)が、数平均分子量100〜2000のポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)とをNCO/OHのモル比が1.2〜6の条件下で反応させてなる、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)とを含み、
前記イソシアネート成分(A)を75質量%含有する酢酸エチル溶液の25℃における粘度が100〜6000[mPa・s]であり、
前記水酸基成分(B)が、重量平均分子量が5000〜50000のポリエステルポリオールもしくは重量平均分子量が5000〜50000のポリエステルポリウレタンポリオールである、
接着剤組成物。
【請求項2】
水酸基成分(a1)が、側鎖にアルキル基を有するC3〜C7のアルカンジオール(a1−2)およびC3〜C7のアルカントリオール(a1−3)の少なくともいずれか一方をさらに含む、請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
ポリエーテルジオール(a1−1)とアルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)との合計100質量%中に、ポリエーテルジオール(a1−1)を99〜40質量%、アルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)とを合計で1〜60質量%含む、請求項2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
イソシアネート成分(A)が、数平均分子量が400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)をさらに含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)との合計100質量部に対して、
数平均分子量が400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)を1〜65質量部 含む、請求項4記載の接着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて少なくとも2つのシート状基材を積層してなる積層体。
【請求項7】
請求項1〜5いずれか1項に記載の接着剤組成物を第1のシート状基材に塗布し、接着剤層を形成し、該接着剤層に第2のシート状基材を重ね合わせ、両シート状基材の間に位置する接着剤層を硬化することを特徴とする、積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、積層体、および積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装用、医療品包装用、化粧品包装用の材料として、各種プラスチックフィルム同士を接着剤で貼り合わせた積層体や、各種プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムもしくは金属箔とを接着剤で貼り合わせた積層体が知られている。用いられる接着剤として種々のものが提案されており、熱水レトルト処理が求められる。
例えば、特許文献1には分子末端にカルボキシル基を含有するポリエステルポリウレタンポリオールと有機イソシアネート化合物を組み合わせた接着剤組成物が開示されている。特許文献2には末端水酸基含有プレポリマー鎖を3本有する化合物を主剤とすることを特徴とする硬化性接着剤が開示されている。特許文献3にはダイマー酸を用いたポリエステルポリオールを用いた接着剤組成物が記載されている。特許文献4にはリンの酸素酸又はその誘導体、エポキシ樹脂、及びシランカップリング剤を配合した接着剤が記載されている。特許文献5には有機ポリイソシアネート、有機ポリマーポリオールに、リンの酸素酸若しくはその誘導体、カルボン酸化合物若しくはその無水物及びエポキシ樹脂を配合した接着剤が記載されている。特許文献6には分子末端にカルボキシル基を有する有機ポリオール、オルトリン酸又はそのエステル化合物及びシランカップリング剤を配合した接着剤が記載されている。特許文献7にはガラス転移温度が40°C以上の有機ポリオールを用いた接着剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−51574号公報
【特許文献2】特開平8−283690号公報
【特許文献3】特開2003−13032号公報
【特許文献4】特公昭61−4864号公報
【特許文献5】特開平2−84482号公報
【特許文献6】特開平5−51574号公報
【特許文献7】特開2003−171644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、食品包装用の分野では、食生活の向上という時代の流れに沿って食品の殺菌効率改善の動きが高まっており、従来の熱水貯湯式レトルト処理に代わって熱水スプレー式レトルト処理への関心が高まっている。熱水スプレー式レトルト処理は、高温高圧の熱水スプレーを積層体に直に当てるため、接着剤には耐熱性、耐水性に加え、耐衝撃性が求められる。
特許文献1〜6には熱水スプレー式レトルト処理は開示されていない。特許文献7は熱水スプレー式レトルト処理について一言言及するものの、具体的な評価は従来通り熱水貯湯式レトルト処理で行なわれている。これら特許文献1〜7に記載される接着剤は、衝撃・熱・水が複合的に関係する熱水スプレー式レトルト処理耐性を満足できなかった。
【0005】
ところで、積層体を形成するには、各種プラスチックフィルム同士や、各種プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムもしくは金属箔とを、接着剤層を介して重ね合わせた状態で前記接着剤層の硬化を十分進行させるためのエージング工程を要する。前記エージング工程には従来40℃程度の温度で4〜5日間を要する。生産効率の観点から、エージング工程の短縮が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、40℃程度の温度において2〜3日間の短時間のエージング工程で使用でき、熱水スプレー式レトルト耐性を十分に発現できる接着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑み、成されたものであって、イソシアネート成分(A)として、ポリエーテルジオールと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導される成分を含み、水酸基成分(B)として特定の分子量のポリエステルポリオールもしくは特定の分子量のポリエステルポリウレタンポリオールとを含有する。
即ち、本発明は、イソシアネート成分(A)と水酸基成分(B)とを含有する接着剤組成物であって、前記イソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の含有量が0.3〜5.5[mmol/g]であり、
前記イソシアネート成分(A)が、数平均分子量100〜2000のポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)とをNCO/OHのモル比が1.2〜6の条件下で反応させてなる、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)とを含み、
前記イソシアネート成分(A)を75質量%含有する酢酸エチル溶液の25℃における粘度が100〜6000[mPa・s]であり、
前記水酸基成分(B)が、重量平均分子量が5000〜50000のポリエステルポリオールもしくは重量平均分子量が5000〜50000のポリエステルポリウレタンポリオールである、接着剤組成物に関する。
【0008】
本発明において、水酸基成分(a1)は、側鎖にアルキル基を有する、C3〜C7のアルカンジオール(a1−2)およびC3〜C7のアルカントリオール(a1−3)の少なくともいずれか一方をさらに含むことが好ましい。
また、ポリエーテルジオール(a1−1)とアルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)との合計100質量%中に、ポリエーテルジオール(a1−1)を99〜40質量%、アルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)とを合計で1〜60質量%含むことが更に好ましい。
また、イソシアネート成分(A)は、数平均分子量が400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)を含むことが好ましい。イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)との合計100質量部に対して、前記ポリイソシアネート(A2)を1〜65質量部含むことが更に好ましい。
【0009】
さらに本発明は、前記本発明の接着剤組成物を用いて少なくとも2つのシート状基材を積層してなる積層体に関する。
【0010】
さらにまた本発明は、前記本発明の接着剤組成物を第1のシート状基材に塗布し、接着剤層を形成し、該接着剤層に第2のシート状基材を重ね合わせ、両シート状基材の間に位置する接着剤層を硬化することを特徴とする、積層体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接着剤組成物により、従来よりも短時間エージングで熱水スプレー式レトルト耐性を十分に発現できる積層体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の接着剤組成物を構成するイソシアネート成分(A)について説明する。
イソシアネート成分(A)は、ポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート(a2)とを、NCO/OH=1.2〜6の条件下に反応させてなる反応性生成物である。4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート(a2)を4,4’−MDI(a2)と略すこともある。
【0013】
ポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−MDI(a2)との反応モル比率は以下のようにして求める。
水酸基成分(a1)中の水酸基のmol数は、水酸基成分(a1)中に含まれるポリエーテルジオール(a1−1)、および後述するアルカンジール(a1−2)やアルカントリオール(a1−3)等、各水酸基成分のmol数の総和である。
以下に示すように、各水酸基成分のmol数は、反応に供した各水酸基成分の質量を数平均分子量もしくは理論分子量で除し、その結果に官能基数を乗ずることにより、それぞれ求めることができる。
水酸基(mol)=[水酸基成分量(質量)/数平均分子量もしくは理論分子量]×官能基数
次いで、各水酸基成分のmol数を合計し、水酸基の合計のmol数を求める。
【0014】
なお、数平均分子量は以下のようにして求める。
<数平均分子量>
数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求めた。
分子量測定は下記の条件で測定を行った。機種:TOSOH HLC−8220GPC
カラム:TSKGEL SuperHM-M 溶媒:THF 溶液流出速度:0.6ml毎分
温度:40℃検出器:示差屈折計 分子量標準:ポリスチレン
【0015】
4,4’−MDI(a2)中のイソシアネート基のmol数は、反応に供した4,4’−MDI(a2)の質量をその分子量(=250)で除し、その結果に官能基数(=2)を乗ずることにより、求めることができる。
イソシアネート基のmol数=[4,4’−MDI量(質量)/250]×2
【0016】
上記のようにして求めた、4,4’−MDI(a2)のイソシアネート基のmol数を、水酸基成分(a1)の水酸基のmol数で除せば、ポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−MDI(a2)との反応モル比率を求めることができる。
反応モル比(NCO/OH)=イソシアネート基のmol数/水酸基のmol数
【0017】
ポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−MDI(a2)との反応モル比率が1.2〜6であることによって、熱水スプレー式レトルト耐性を向上することができる。
詳細には、反応モル比率を1.2以上とすることにより溶液粘度が低下し塗工適正が向上し、熱水スプレー式レトルト耐性が向上する。また反応モル比率を6以下とすることにより、イソシアネート成分(A)中に含まれる結晶性の高い4,4’−MDIの量が減少する。その結果、イソシアネート成分(A)と後述する水酸基成分(B)との相溶性が向上し、反応性が向上すると共に均一な接着剤層を形成できるので、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。
【0018】
前述の通り、イソシアネート成分(A)は、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)の他、未反応の4,4’−MDI(a2)を含み得る。そして、両者の比率は熱水スプレー式レトルト耐性に影響する。しかし、イソシアネート成分(A)における前記ポリエーテルポリウレタン(A1)と未反応の4,4’−MDI(a2)との含有比率を直接求めることは困難である。そこで、イソシアネート成分(A):1g中のイソシアネート基の数(mmol)によって、両者の比を間接的に特定することとする。
ポリエーテルジオール(a1−1)を必須とする水酸基成分(a1)と4,4’−MDI(a2)とを上記の条件で反応させてなるイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基含有量は0.3〜5.5[mmol/g]であり、2〜5[mmol/g]であることが好ましい。イソシアネート基含有量が上記範囲にあることによって、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。
即ち、イソシアネート基含有量が0.3[mmol/g]以上であると耐熱性が向上し熱水スプレー式レトルト耐性が向上する。また、イソシアネート基含有量が5.5[mmol/g]以下であると塗膜が適度に柔軟になり、耐衝撃性が向上し熱水スプレー式レトルト耐性が向上できる。
【0019】
イソシアネート成分(A):1g中に含まれるイソシアネート基の含有量(=mmol数)は以下のようにして求める。
<NCO含有率(質量%)>
まず、NCO含有率(質量%)はJIS K7301に準じて求める。
NCO含有率は、試料中に存在するイソシアネート基量を質量分率で表わす。NCO含有率は試料に過剰のジブチルアミンのトルエン溶液を加えて反応させ、相当する尿素を生成させた後、塩酸標準溶液を用いて、指示薬滴定法によって逆滴定を行い、測定を行う。試料が溶液の場合は、溶液100質量%中のNCO含有率(質量%)を求めることとなる。
次いで、測定値を溶液中に含まれるイソシアネート成分(A)の割合(=固形分)で除すことにより、イソシアネート成分(A)100質量%中のNCO含有率(質量%)を求めることができる。
<イソシアネート基含有量[mmol/g]>
そして、次式に従いイソシアネート成分(A):1g中に含まれるイソシアネート基の含有量(=mmol数)を求める。
イソシアネート基の含有量[mmol/g]=[NCO含有率(質量%)×10]/42
【0020】
また、前記イソシアネート成分(A)を75質量%含有する酢酸エチル溶液の25℃における粘度は100〜6000[mPa・s]であり、100〜3000[mPa・s]であることが好ましい。即ち、固形分75質量%の酢酸エチル溶液の粘度が25℃で上記範囲となるイソシアネート成分(A)を用いることにより、塗工性が良好となり、均一な塗工膜を作成できるため熱水スプレー式レトルト耐性が向上できる。なお、上記粘度はイソシアネート成分(A)の性状を示すものであり、本発明の接着剤組成物が、イソシアネート成分(A)を75質量%含有する酢酸エチル溶液を含むことを意味するものではない。
25℃において固形分75質量%の酢酸エチル溶液が100[mPa・s]以上の粘度を呈するイソシアネート成分(A)を用いることにより、接着剤の粘度を下げすぎないので、接着対象であるプラスチックフィルム等へ均一に塗工でき、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。25℃において固形分75質量%の酢酸エチル溶液が6000[mPa・s]以下の粘度を呈するイソシアネート成分(A)を用いることにより、接着剤が高粘度になり過ぎないので、接着対象であるプラスチックフィルム等へ均一に塗工でき、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。
【0021】
イソシアネート成分(A)を形成するポリエーテルジオール(a1−1)について説明する。
ポリエーテルジオール(a1−1)は、数平均分子量が100〜2000であり、100〜500のものが好ましく、範囲内の分子量のポリエーテルジオールであれば各種併用することが可能である。
数平均分子量100以上のポリエーテルジオール(a1−1)を用いることにより、後述する水酸基成分(B)との反応により形成される接着剤層中のウレタン結合密度を過剰に高くせず、耐衝撃性を向上でき、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。
数平均分子量2000以下のポリエーテルジオール(a1−1)を用いることにより、後述する水酸基成分(B)との反応により形成される接着剤層中のウレタン結合密度を低くしすぎないので、耐熱性が向上でき、熱水スプレー式レトルト耐性を向上できる。
なお、異なる分子量のものを複数組み合わせて用いることもできる。
【0022】
ポリエーテルジオール(a1−1)としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0023】
本発明では、水酸基成分(a1)として側鎖にアルキル基を有するC3〜C7のアルカンジオール(a1−2)及びC3〜C7のアルカントリオール(a1−3)の少なくともいずれか一方をさらに含有するものを用いてなるイソシアネート成分(A)を用い、接着剤組成物を得ることができる。
前述のポリエーテルジオール(a1−1)の他に、側鎖にアルキル基を有するC3〜C7のアルカンジオール(a1−2)及びC3〜C7のアルカントリオール(a1−3)の少なくともいずれか一方をさらに含有する水酸基成分(a1)を、4,4’−MDI(a2)と反応させてなるイソシアネート成分(A)は、水酸基成分(B)との相溶性が向上し、両者を含む接着剤組成物の透明性が向上する。
接着剤組成物の透明性が向上の点から、アルカンジオール(a1−2)及びアルカントリオール(a1−3)は、ポリエーテルジオール(a1−1)との合計100質量%中に、ポリエーテルジオール(a1−1)を99〜40質量%、アルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)とを合計で1〜60質量%含むことが好ましく、(a1−1)は80〜50質量%、(a1−2)と(a1−3)との合計は20〜50質量%であることがより好ましい。
【0024】
側鎖にアルキル基を有するC3〜C7のアルカンジオール(a1−2)としては、例えば、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、C3〜C7のアルカントリオール(a1−3)としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
【0025】
前記イソシアネート成分(A)には数平均分子量が400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)をさらに含むことができる。
400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)として、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等の有機トリイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタン−2,2′−5,5′−テトライソシアネート等の有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体、上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオールとの付加体等が挙げられる。
【0026】
前記ポリイソシアネート(A2)は、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン(A1)と4,4’−ジフェニルメタンイソシアネート(a2)との合計100質量部に対して、1〜65質量部含むことが、接着剤層の耐衝撃性向上の点から好ましい。
【0027】
水酸基成分(B)であるポリエステルポリオールおよび、またはポリエステルポリウレタンポリオールついて説明する。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の多価カルボン酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のグリコール類若しくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルジオール等が挙げられる。
【0028】
ポリエステルポリウレタンポリオールとしては、1分子中にウレタン結合を有するポリエステルポリオールであり、例えば、数平均分子量200〜20,000のポリエステルポリオールと有機ポリイソシアネートとをNCO/OH比が1当量未満、好ましくは0.9当量以下で反応させて得られるものが挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等の有機トリイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタン−2,2′−5,5′−テトライソシアネート等の有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体、上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネートとの付加体等が挙げられる。
【0029】
水酸基成分(B)として用いるポリエステルポリオールおよび/またはポリエステルポリウレタンポリオールは、重量平均分子量が5000〜50000であり、重量平均分子量が20000〜40000あることが好ましい。イソシアネート成分(A)との反応より形成される接着剤層の耐熱性の点から水酸基成分(B)の重量平均分子量は5000以上であることが重要である。一方、イソシアネート成分(A)との相溶性の点から水酸基成分(B)の重量平均分子量は50000以下であることが重要である。
なお、異なる分子量、組成のポリエステルポリオール同士、異なる分子量、組成のポリウレタンポリエステルポリオール同士、異なる分子量、組成のポリエステルポリオールとポリウレタンポリエステルポリオールとを複数組み合わせて用いることもできる。
【0030】
水酸基成分(B)として用いるポリエステルポリオールおよび/またはポリエステルポリウレタンポリオールの水酸基価は40〜5(mgKOH/g)であることが好ましく、20〜5(mgKOH/g)であることがより好ましい。
なお、水酸基成分(B)として用いるポリエステルポリオールおよび/またはポリエステルポリウレタンポリオール中に含まれる水酸基の含有量、水酸基(eq.)は以下のようにして求める。
水酸基(eq.)=56110/水酸基価
【0031】
本発明の溶剤型接着剤組成物は、更に、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防徽剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、顔料、充填剤等の添加剤を必要に応じて使用することができる。また、接着性能を更に高めるために、シランカップリング剤、リン酸、リン酸誘導体、酸無水物、粘着性樹脂等の接着助剤を使用することができる。また、硬化反応を調節するため公知の触媒、添加剤等を使用することができる。
【0032】
本発明の接着剤組成物の使用方法は、ポリイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)を混合し接着剤組成物を得、シート状基材の表面に塗布し、含有されている有機溶剤を揮発し、乾燥する。ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とは、NCO/OHが2.0〜5.0の範囲となるによう混合することが好ましく、3.0〜4.0の範囲となるよう混合することがより好ましい。
接着剤組成物の塗布量は、基材の種類や塗工条件等に応じて適宜選択されるが、通常、1.0〜5.0g/m2であり、好ましくは1.5〜4.5g/m2である。
その後、シート状基材の接着面と別のシート状基材を貼り合せ、常温又は加温下にエージングして硬化させる。本発明の接着剤組成物の場合、エージングに要する時間は40℃で2日〜3日程度である。
【0033】
本発明の接着剤組成物を用いてシート状基材を積層することにより積層体を得ることができる。
シート状基材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミ等を蒸着した金属蒸着フィルム、ステンレス、鉄、銅、鉛等の金属箔などが用いられる。かかる基材の組合せは、プラスチックフィルム同士であっても、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムまたは金属箔でもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例および比較例中の%および部は、断りのない限りは全て質量基準である。
【0035】
<数平均分子量、重量平均分子量>
ポリエーテルポリオール、ポリエステルジオール等の数平均分子量、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求めた。
機種:TOSOH HLC−8220GPC
カラム:TSKGEL SuperHM-M
溶媒:THF
溶液流出速度:0.6ml毎分
温度:40℃
検出器:示差屈折計
分子量標準:ポリスチレン
【0036】
酸価、水酸基価は、1gの試料当りのKOHのmgで表わす。
酸価はKOHによる中和滴定で測定した。
水酸基価はJIS K1557−1に準じて求める。具体的には水酸基価はピリジンと無水酢酸を用いるアセチル化により測定した。
また、水酸基価から以下のようにして1g当たりに含まれる水酸基の量を求める。
水酸基の量(mmol/g.)=(OHV×1000/56100)
【0037】
また、粘度は株式会社東京計器製のB型粘度計、25℃の測定温度にて行った。
粘度500mPa・s未満のポリエーテルポリウレタンにはローターNo.2を用いて、回転速度60r.p.m.にて測定を行った。
粘度1000mPa・s未満のポリエーテルポリウレタンにはローターNo.2を用いて、回転速度30r.p.m.にて測定を行った。
粘度2000mPa・s未満のポリエーテルポリウレタンにはローターNo.3を用いて、回転速度60r.p.m.にて測定を行った。
粘度4000mPa・s未満のポリエーテルポリウレタンにはローターNo.3を用いて、回転速度30r.p.m.にて測定を行った。
粘度10000mPa・s未満のポリエーテルポリウレタンにはローターNo.3を用いて、回転速度12 r.p.m.にて測定を行った。
【0038】
(合成例1)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール17.4部、ジプロピレングリコール4.5部、トリプロピレングリコール6.4部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート43.6部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比1.6の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約5100mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(1)と記す。
この固形分72%の溶液、イソシアネート(1)中のNCO含有率(質量%)を、JIS K7301に準じて求めた。具体的には、試料に過剰のジブチルアミンのトルエン溶液を加えて反応させ、相当する尿素を生成させた後、塩酸標準溶液を用いて、指示薬滴定法によって逆滴定を行い、測定を行ったところ、5.56%質量であった。即ち、イソシアネート(1)の固形分100質量%中に含まれるイソシネート基は7.76質量%である。従って、イソシアネート(1)の固形分:1gに含まれるイソシネート基は1.85mmolとなる。
【0039】
(合成例2)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール14.7部、ジプロピレングリコール3.8部、トリプロピレングリコール5.4部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート48.2部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリ溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約2600mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(2)と記す。イソシアネート(2)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は2.81mmol/gであった。
【0040】
(合成例3)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール10.9部、ジプロピレングリコール2.8部、トリプロピレングリコール4.0部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート54.3部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比3.2の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約500mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(3)と記す。イソシアネート(3)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は4.10mmol/gであった。
【0041】
(合成例4)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール7.9部、ジプロピレングリコール2.0部、トリプロピレングリコール2.9部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート59.2部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比4.8の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約100mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(4)と記す。イソシアネート(4)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は5.19mmol/gであった。
【0042】
(合成例5)
数平均分子量約1000のポリプロピレングリコール15.5部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール14.0部、ジプロピレングリコール1.3部、トリプロピレングリコール1.8部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート39.3部、、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約900mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(5)と記す。イソシアネート(5)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は1.64mmol/gであった。
【0043】
(合成例6)
数平均分子量約2000のポリプロピレングリコール24.4部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール11.9部、ジプロピレングリコール1.1部、トリプロピレングリコール1.5部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート33.2部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約600mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(6)と記す。イソシアネート(6)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は1.40mmol/gであった。
【0044】
(合成例7)
エチレングリコール3.8部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール7.7部、ジプロピレングリコール2.0部、トリプロピレングリコール2.9部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート55.6部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約1000mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(7)と記す。イソシアネート(7)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.19mmol/gであった。
【0045】
(合成例8)
ネオペンチルグリコール8.5部、ジプロピレングリコール2.1部、トリプロピレングリコール2.9部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート58.5部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約3100mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(8)と記す。イソシアネート(8)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.38mmol/gであった。
【0046】
(合成例9)
ネオペンチルグリコール5.8部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール7.5部、ジプロピレングリコール1.9部、トリプロピレングリコール2.8部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート54.0部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約1200mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(9)と記す。イソシアネート(9)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.13mmol/gであった。
【0047】
(合成例10)
トリメチロールプロパン6.0部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール6.0部、ジプロピレングリコール1.5部、トリプロピレングリコール2.2部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート56.3部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行った。イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約2500mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(10)と記す。イソシアネート(10)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.34mmol/gであった
【0048】
(合成例11)
ネオペンチルグリコール2.2部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール17.8部、ジプロピレングリコール1.7部、トリプロピレングリコール2.5部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート47.7部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約850mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(11)と記す。イソシアネート(11)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は2.75mmol/gであった。
【0049】
(合成例12)
ネオペンチルグリコール4.5部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール11.2部、ジプロピレングリコール1.9部、トリプロピレングリコール2.7部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート51.7部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行し、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約1100mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(12)と記す。イソシアネート(12)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.02mmol/gであった。
【0050】
(合成例13)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール21.5部、ジプロピレングリコール5.5部、トリプロピレングリコール7.9部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート37部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比1.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約8200mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(13)と記す。イソシアネート(13)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は0.264mmol/gであった。
なお、イソシアネート(13)は一部ゲル化していた。
【0051】
(合成例14)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール6.4部、ジプロピレングリコール1.6部、トリプロピレングリコール2.3部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート61.7部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比6.2の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行った。イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約50mPa・s以下であった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(14)と記す。イソシアネート(14)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は5.76mmol/gであった。
【0052】
(合成例15)
数平均分子量約3000のポリプロピレングリコール31.7部、数平均分子量約400のポリプロピレングリコール10部、ジプロピレングリコール0.9部、トリプロピレングリコール1.3部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート28.1部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約1000mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(15)と記す。イソシアネート(15)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は1.17mmol/gであった。
【0053】
(合成例16)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール30.3部、ジプロピレングリコール1.9部、トリプロピレングリコール2.7部、トリレンジイソシアネート37.1部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行った。イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約900mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(16)と記す。イソシアネート(16)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基含有量は2.23mmol/gであった。
【0054】
(合成例17)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール26.6部、ジプロピレングリコール1.7部、トリプロピレングリコール2.4部、イソホロンジイソシアネート41.3部、および溶剤として酢酸エチル20部を反応容器に仕込み、NCО/ОHモル比2.1の条件において窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で8時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタン溶液を得た。
得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約700mPa・sであった。
また、得られたポリエーテルポリウレタン溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(17)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.62mmol/gであった。
【0055】
(調整例1)
イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンを100部含む、イソシアネート(9)138.9部、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体34.5部、およびヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体13.5部を、窒素ガス気流下で30分間混合し、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンを含むイソシアネート溶液を得た。
得られたイソシアネート溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定したところ、約200mPa・sであった。
また、得られたイソシアネート溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。以下、この固形分72%の溶液をイソシアネート(18)と記す。イソシアネート(18)の固形分1g当たりに含まれるイソシアネート基の量は3.75mmol/gであった。
【0056】
(調整例2〜5)
調整例1と同様にして、表2にしたがって調整例2〜5を調整しイソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンを含むイソシアネート溶液を得た。
得られたイソシアネート溶液を酢酸エチルで希釈し、固形分75%とし、25℃にて粘度を測定し、その結果を表1に示す。
また、得られたイソシアネート溶液を酢酸エチルで固形分72%に希釈した。イソシアネート基含有量を表2に示す。この固形分72%の溶液をそれぞれイソシアネート(19)、イソシアネート(20)、イソシアネート(21)、イソシアネート(22)と記す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
(合成例101)
イソフタル酸27部、アジピン酸31部、エチレングリコール10部、ネオペンチルグリコール32部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価37(mgKOH/g)、重量平均分子量約6000、数平均分子量約3200の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリオール(1)と記す。ポリエステルポリオール(1)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.66[mmol/g]であった。
【0060】
(合成例102)
イソフタル酸11.6部、アジピン酸24.2部、エチレングリコール4.3部、ネオペンチルグリコール13.7部、ジエチレングリコール8.2部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価11(mgKOH/g)、重量平均分子量約20000、数平均分子量約9000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリオール(2)と記す。ポリエステルポリオール(2)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.20[mmol/g]であった。
【0061】
(合成例103)
イソフタル酸15.1部、アジピン酸17.4部、エチレングリコール5.6部、ネオペンチルグリコール17.9部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価10(mgKOH/g)、重量平均分子量約22000、数平均分子量約10000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(3)と記す。ポリエステルポリオール(3)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.18[mmol/g]であった。
【0062】
(合成例104)
アジピン酸29.1部、ジエチレングリコール26.9部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価14(mgKOH/g)、重量平均分子量約16000、数平均分子量約7000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオールをポリエステルポリウレタンポリオール(4)と記す。ポリエステルポリオール(4)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.25[mmol/g]であった。
【0063】
(合成例105)
イソフタル酸10.8部、アジピン酸20.7部、エチレングリコール4部、ネオペンチルグリコール12.8部、ジエチレングリコール7.7部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価11(mgKOH/g)、重量平均分子量約20000、数平均分子量約9000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(5)と記す。ポリエステルポリオール(5)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.20[mmol/g]であった。
【0064】
(合成例106)
イソフタル酸11.1部、アジピン酸21.3部、エチレングリコール4.4部、ネオペンチルグリコール13.3部、ジエチレングリコール8部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート4部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価22(mgKOH/g)、重量平均分子量約10000、数平均分子量約5000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(6)と記す。ポリエステルポリオール(6)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.39[mmol/g]であった。
【0065】
(合成例107)
イソフタル酸10.6部、アジピン酸20.3部、エチレングリコール3.9部、ネオペンチルグリコール12.5部、ジエチレングリコール7.5部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート7.2部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.3(mgKOH/g)、水酸基価5.5(mgKOH/g)、重量平均分子量約40000、数平均分子量約20000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(7)と記す。ポリエステルポリオール(7)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.10[mmol/g]であった。
【0066】
(合成例108)
イソフタル酸18.2部、セバシン酸18.2部、エチレングリコール3.6部、ネオペンチルグリコール18部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価9(mgKOH/g)、重量平均分子量約25000、数平均分子量約12000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分64%に希釈した。
以下、この固形分64%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(8)と記す。ポリエステルポリオール(8)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.16[mmol/g]であった。
(合成例109)
アジピン酸52部、ジエチレングリコール48部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価56(mgKOH/g)、重量平均分子量約4000、数平均分子量約2000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリオールを得た。
以下、この固形分100%のポリオールをポリエステルポリオール(9)と記す。ポリエステルポリオール(9)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、1.00[mmol/g]であった。
【0067】
(合成例110)
イソフタル酸10.2部、アジピン酸19.6部、エチレングリコール3.8部、ネオペンチルグリコール12.1部、ジエチレングリコール7.3部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させた後、トリレンジイソシアネート9部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.3(mgKOH/g)、水酸基価3.7(mgKOH/g)、重量平均分子量約60000、数平均分子量約30000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオール樹脂を得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(10)と記す。ポリエステルポリオール(10)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.07[mmol/g]であった。
【0068】
(合成例111)
固形分62%のポリエステルポリオール(1)40部、固形分62%のポリエステルポリオール(9)16部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながらトリレンジイソシアネート6部を滴下し、80℃で12時間過熱してウレタン化反応を行った。酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価11(mgKOH/g)、重量平均分子量約20000、数平均分子量約9000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを得た。得られたポリエステルポリウレタンポリオールを酢酸エチルで固形分62%に希釈した。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(11)と記す。ポリエステルポリオール(11)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.20[mmol/g]であった。
【0069】
(合成例112)
固形分62%のポリエステルポリウレタンポリオール(3)71.4部、固形分62%のポリエステルポリウレタンポリオール(4)28.6部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で30分攪拌を行った。酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価11(mgKOH/g)、重量平均分子量約20000、数平均分子量約9000の両末端に水酸基を有するポリエステルポリウレタンポリオールを含有する、固形分62%の溶液を得た。
以下、この固形分62%のポリオール溶液をポリエステルポリウレタンポリオール(12)と記す。ポリエステルポリオール(12)の固形分1g当たりに含まれる水酸基の量は、0.20[mmol/g]であった。
【0070】
【表3】
【0071】
(実施例1)
合成例1で得たイソシアネート(1):6.1部(固形分約4.39部を含み、NCO:8.12[mmol]を含む)、合成例105で得られたポリエステルポリウレタンポリオール(5):18部(固形分約11.16部を含み、水酸基:2.23[mmol]を含む)を容器に仕込み、酢酸エチルにて固形分30%に調整し、接着剤溶液を得た。なお、NCO/OH=3.64であった。
後述する方法に従い、接着剤溶液の概観、接着剤を塗布乾燥した塗膜の透明性を評価した。さらに、得られた接着剤溶液を用いて、下記の方法に従い積層体を得、積層体の熱水スプレー式レトルト耐性(以下スプレーレトルト耐性と表記する。)を評価した。結果を表4に示す。
【0072】
(実施例2〜33、比較例1〜8)
表4〜表7に示す組成に従って、実施例1と同様にして接着剤溶液を得た。
なお、比較例8はポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の固形分75%溶液をイソシアネート成分として用いた
【0073】
<溶液外観>
25℃に調整した接着剤溶液を目視により外観評価を行った。
A:透明
B:微濁
C:白濁
【0074】
<塗膜の透明性>
接着剤溶液を、ポリエステルフィルム(12μm)に乾燥後塗布量が3.5g/m2となるように塗布し、溶剤を揮散した後、ポリエステルフィルムをブランク(0)としてヘイズをHAZE METERで測定し、透明性の評価を行った。ヘイズは小さいほど透明であることを示し、各成分の相溶性が良好であることを示す。
A:ヘイズ値 5以下
B:ヘイズ値 6以上15以下
C:ヘイズ値 16以上
【0075】
[積層体の作製]
(4層複合積層体の作成)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ12μm)/ナイロン(NY)フィルム(厚さ15μm)/アルミニウム(AL)箔(厚さ9μm)/未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ70μm、表面コロナ放電処理)の4層複合積層体を接着剤の固形分塗布量を3.5g/m2として、以下に記載の方法で作成した。
すなわち、接着剤溶液を常温にてラミネーターにより、まずポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面をナイロンフィルムと貼り合せた。さらに、その積層体のナイロンフィルム面に同様に接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面をアルミニウム箔表面と貼り合せた。ついで、その積層体のアルミニウム箔面に同様に接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、塗布面を未延伸ポリプロピレンフィルムと貼り合せ、40℃で2日間保温し、4層複合積層体(I)を作成した。
また、同様にして作成した積層体を40℃で7日間保温し、4層複合積層体(II)を作成した。
【0076】
(熱水スプレー式レトルト耐性評価用のテストピースの作成)
4層複合積層体(I)から縦40mm、横40mmの試料1を切り出した。未延伸ポリプロピレンフィルムが内側を向くように前記試料1を半分に折り畳み、縦20mm、横40mmの試料2を作成した。試料2の折り山から開放端に向かって18mmまでの全面(=18mm×40mm)を株式会社テスター産業製のTP−701−A ヒートシールテスターにより、190℃、20N/cm2、1秒の条件でヒートシール処理し、試料3を作成した。
次いで試料3の折り山から開放端に向かって1mmの位置を折り山に平行に切り落とし、縦19mm、横40mmの試料4を作成した。横40mmのヒートシール端部の任意の箇所に、底辺1mm、高さ1.5mmの三角形の切り込み(ノッチ)を設け、テストピースとした。なお、1mmの底辺は横40mmのヒートシール端部(辺)に重なるようにし、高さ1.5mmの頂点は横40mmの開放端に向かうようにするものとする。
4層複合積層体(II)についても同様とする。
【0077】
(熱水スプレー式レトルト耐性)
各実施例、各比較例の接着剤を用いて形成した4層複合積層体(I)および(II)からそれぞれ300個のテストピースを作成し、ノッチを設けた端部が同じ方向に位置するようにテストピースを束ねた。
株式会社日坂製作所製RCS−60SPXTG熱水スプレー式レトルト処理装置を用いて、熱水スプレーノズルから5mmの距離に、束ねたテストピースのノッチを設けた端部が位置するように設置し、レトルト条件135℃、30分、3.0kg/cm2G、水圧0.75MPaGの条件でレトルト処理を行った。
レトルト後のテストピースの状態を目視観察し、テストピースを構成する各フィルム層のどこかが剥がれたり、ゆず肌状の模様等の外観不良が観察されたりする不良品の発生率で評価した。
A:不良品発生率が5%未満。
B:不良品発生率が5%以上25%未満。
C:不良品発生率が25%以上。
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
表4に示すように実施例1〜6は、良好な溶液外観と塗工後の塗膜透明性を有しており、40℃、2日の短いエージングにより多少未硬化状態であっても、40℃、7日エージングして十分硬化した場合でも、良好なスプレーレトルト耐性を示す。
これに対し、イソシアネート成分としてトリレンジイソシアネート由来のイソシアネート(16)を用いる比較例1、イソホロンジイソシアネート由来のイソシアネート(17)を用いる比較例2は、40℃、7日エージングして十分硬化した場合には良好なスプレーレトルト耐性を有しているが、40℃、2日の短いエージング条件では硬化が不十分すぎるのでスプレーレトルト耐性が不良である。
また、水酸基成分(a1)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a2)とをNCO/OH=1.1で反応させてなるイソシアネート(13)を用いた比較例3と、NCO/OH=6.2で反応させてなるイソシアネート(14)を用いた比較例4は、スプレーレトルト耐性が劣っているだけでなく、溶液外観に関しても劣る。イソシアネート(13)は、原料のポリエーテルジオールの数平均分子量が大きいうえ、NCO/OH=1.1であったためイソシアネート成分としても分子量が大きくなり、水酸基成分(B)との相溶性が悪化し、溶液外観が白濁し塗工後のヘイズも高い値となる。また、イソシアネート(14)は、NCO/OH=6.1で反応させた結果、イソシアネート成分中に含まれる未反応の結晶性の高い4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが閉める割合が増加するため溶液が白濁し、塗工後のヘイズも高い値となる。
また、数平均分子量3000のポリプロピレングリコールを反応させてなるイソシアネート(15)を用いた比較例5はスプレーレトルト耐性が劣っているだけでなく、溶液外観に関しても劣る。これは原料のポリエーテルジオールの数平均分子量が大きいため、水酸基成分(B)との相溶性が悪化し、溶液外観が白濁し塗工後のヘイズも高い値となるためである。また、塗工後のヘイズが高いため硬化反応が均一に進行せず、十分な耐熱性、耐衝撃性、耐水性を有することができないためスプレーレトルト耐性も低下してしまう。
【0083】
表5に示すように実施例9〜19は、良好な溶液外観と塗工後の塗膜透明性を有しており、40℃、2日の短いエージングにより多少未硬化状態であっても、40℃、7日エージングして十分硬化した場合でも、優れたスプレーレトルト耐性を示す。
これに対し、水酸基成分として重量平均分子量4000のポリエステルポリオール(9)を用いた比較例6はスプレーレトルト耐性が著しく低下する。また、重量平均分子量60000のポリエステルポリオール(10)を用いた比較例6はスプレーレトルト耐性が著しく低下するだけでなく、溶液外観と塗膜ヘイズ値も著しく低下する。
【0084】
表6に示すように、水酸基成分(a1)として側鎖にアルキル基を有する、C3〜C7のアルカンジオール(a1−2)やC3〜C7のアルカントリオール(a1−3)をポリエーテルジオール(a1−1)と併用してなるイソシアネート(9)〜(11)を用いた実施例20〜23は、側鎖にアルキル基を有する、C3〜C7のアルカンジオールおよびC3〜C7を使用していないイソシアネート(2)〜(7)を用いた実施例24、25と比較して更に良好な溶液外観と塗工後の塗膜透明性を有している。
また、ポリエーテルジオール(a1−1)とアルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)との合計100質量%中に含まれるアルカンジオール(a1−2)とアルカントリオール(a1−3)との合計の含有率が好適な範囲のイソシアネート(9)〜(11)を用いた実施例20〜23は、前記含有率の大きいイソシアネート(8)を用いた実施例26よりも、溶液外観と塗工後の塗膜の透明性が優れる。
また、実施例20〜26は、40℃2日エージングと40℃7日エージングでのスプレーレトルト耐性も同等程度に優れていることがわかる。これは側鎖にアルキル基を有するアルカンジオール及びアルカントリオール由来のポリエステルポリウレタンポリオールとポリエーテルポリウレタンポリイソシアネートとの相溶性向上効果に由来する。
【0085】
表7に示すように、更にイソシアネート成分(A)として数平均分子量が400〜1000の3官能以上のポリイソシアネート(A2)を併用したイソシアネート(18)〜(22)を用いた実施例27〜31は、ポリエーテルジオール(a1−1)を含むイソシアネート(2)を用いた実施例32および、ポリエーテルジオール(a1−1)とアルカンジオール(a1−2)を含むイソシアネート(9)を用いた実施例33、実施例1〜6および20〜26と比較して更に良好なスプレーレトルト耐性を有する。
対して、イソシアネート成分(A)としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンアダクト体のみを用いた比較例8は著しくスプレーレトルト耐性が低下する。