(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部はさらに、同一の検出コイルの2つの端子を前記第1端子及び前記第2端子として前記切換部に選択させて、前記第1端子及び前記第2端子の間の接続が短絡状態であるか開放状態であるかに応じて故障の有無を判定する、請求項1に記載の送電システム。
前記制御部は、故障が存在していると判定した場合に、非接触給電のための電力供給を禁止するように前記送電装置を制御する、請求項2又は請求項3に記載の送電システム。
前記制御部は、導電性の異物が存在していると判定した場合に、非接触給電のための電力供給を禁止するように、または、非接触給電時よりも低い電力を供給するように、前記送電装置を制御する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の送電システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、一実施形態に係る送電システム及び異物検出装置の適用例を示す図である。
図1に示されるように、非接触給電システム1は、送電装置2と受電装置3とを備えており、送電装置2から受電装置3に電力を供給するためのシステムである。非接触給電システム1は、駐車場等に到着した電気自動車EVに対し、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式等のコイル間の磁気結合を利用して、電力を供給するように構成されている。
【0022】
送電装置2は、非接触給電のための電力を供給する装置である。送電装置2は、直流電源又は交流電源から所望の交流電力を生成し、受電装置3に送る。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rに設置される。送電装置2は、例えば駐車場等の路面Rから上方に突出するように設けられた送電コイル装置4を備えている。送電コイル装置4は、例えば扁平な錘台状又は直方体状をなしている。送電装置2は、制御部16(
図2参照)及びインバータ等(図示せず)をさらに備えており、直流電源又は交流電源から所望の交流電力を生成する。生成された交流電力が送電コイル装置4に送られることによって、送電コイル装置4は磁束を発生させる。
【0023】
送電コイル装置4は、磁束を発生させる平板状の送電コイル部(図示せず)と、送電コイル部を収容するハウジング6(筐体)と、を備えている。ハウジング6は、扁平な錘台状又は直方体状をなし、例えば、路面Rに固定されたベース61と、ベース61に固定されてベース61との間に収容空間Vを規定する保護カバー62(カバー)と、を含む(
図3参照)。ベース61及び保護カバー62は、例えば、樹脂製である。ベース61は、非磁性且つ導電性の材料(例えば、アルミニウム)で実現されてもよい。
【0024】
受電装置3は、送電装置2から電力を受け取り、負荷(例えば、バッテリ)に電力を供給する装置である。受電装置3は、例えば電気自動車EVに搭載される。受電装置3は、例えば電気自動車EVの車体(シャーシ等)の底面に取り付けられた受電コイル装置5を備えている。受電コイル装置5は、電力供給時において送電コイル装置4と上下方向に離間して対向する。受電コイル装置5は、例えば扁平な錘台状又は直方体状をなしている。受電装置3は、制御器及び整流器等(いずれも図示せず)をさらに備えている。送電コイル装置4で発生した磁束が受電コイル装置5に鎖交することによって、受電コイル装置5は誘導電流を発生させる。これにより、受電コイル装置5は、非接触で送電コイル装置4からの電力を受け取る。受電コイル装置5が受け取った電力は、負荷(例えば、バッテリ)に供給される。
【0025】
非接触給電システム1は、異物検出装置10をさらに備えている。異物検出装置10は、送電装置2からの非接触給電に用いられるコイル装置用の異物検出装置であって、送電コイル装置4と受電コイル装置5との間に入り込んだ異物を検出する装置である。検出対象の異物は、導電性の異物であり、例えば硬貨及び鉄釘等である。異物検出装置10は、例えば送電装置2に設けられている。なお、送電装置2と異物検出装置10とによって、送電システム7が構成されている。
【0026】
図2〜
図12を参照して、送電システム7及び異物検出装置10を詳細に説明する。
図2は、送電システム7の機能構成を示す図である。
図3は、異物検出装置10の各構成要素の配置例を示す図である。
図4は、検出コイルの配置例を示す図である。
図5は、検出コイルの配線例を示す図である。
図6は、切換部の配置例を示す図である。
図7は、切換部の構成を模式的に示す図である。
図8の(a)は
図1の送電コイル装置のハウジングのベースと保護カバーとを示す図、
図8の(b)は保護カバーをベースに正しく取り付けた状態を示す図である。
図9の(a)は正常状態の検出コイルを説明するための図、
図9の(b)は断線状態の検出コイルを説明するための図である。
図10の(a)は保護カバーが正常に閉まっている状態を示す図、
図10の(b)は保護カバーが正常に閉まっていない状態を示す図である。
図11の(a)は異物が存在しない場合の第1異物検出処理を説明するための図、
図11の(b)は異物が存在する場合の第1異物検出処理を説明するための図である。
図12の(a)は異物が存在しない場合の第2異物検出処理を説明するための図、
図12の(b)は異物が存在する場合の第2異物検出処理を説明するための図である。なお、
図3及び
図8では、説明の便宜上、1つの検出コイル11だけが図示されている。
【0027】
図2及び
図3に示されるように、異物検出装置10は、複数の検出コイル11と、切換部12と、測定部13と、制御部14と、記憶部15と、を備えている。
【0028】
複数の検出コイル11は、異物を検出するためのコイルであり、少なくとも2つの検出コイル(第1検出コイル、第2検出コイル)を含む。検出コイル11は、ハウジング6上に配置されている。検出コイル11は、導電性材料によって構成された一本の導線によって形成されており、導線の端子A及び端子Bの間にコイル部Cが設けられる。コイル部Cは、コイル部Cを鎖交する磁束の変化を検出可能な形状であればよく、例えば一回巻き(1ターン)の矩形状のコイルまたは8の字状のコイルである。コイル部Cは、保護カバー62の表面62aに露出した状態で配置されている。検出コイル11は、他の検出コイル11と物理的に接触しないように配置されている。
【0029】
図4に示されるように、複数の検出コイル11のコイル部Cの各々は、当該コイル部Cによって囲まれる領域が他の検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域と重ならないように、表面62a上に配置されている。複数の検出コイル11のコイル部Cの各々は、互いに隣り合う検出コイル11のコイル部Cと離間している。コイル部Cによって囲まれる領域の面積は、検出対象の異物の大きさに応じて定められる。隣り合うコイル部Cの距離は、検出対象の異物の大きさに応じて定められる。
【0030】
図4に示される例では、表面62a上に10個のコイル部C1〜C10が配置されている。検出コイル11の端子A及び端子Bは、第1切換部21及び第2切換部22に電気的に接続されている。
図5の(a)に示されるように、検出コイル11のコイル部Cから端子Aまでの引出部D及びコイル部Cから端子Bまでの引出部Eは、保護カバー62の側面62cに沿って配置されている。また、
図5の(b)に示されるように、検出コイル11の引出部D,Eは、保護カバー62の表面62aから裏面62bに向かって保護カバー62を貫通していてもよい。この場合、保護カバー62には貫通孔62pが設けられ、貫通孔62pには導電性のメッキが施されている。
【0031】
切換部12は、例えばセレクタである。
図6に示されるように、切換部12は、ベース61の表面61a上に設けられる。つまり、切換部12は、ハウジング6の収容空間Vに収容される。切換部12から導線12a〜12tが表面61aの周縁部まで延びており、各導線12a〜12tの先端に導電パッドPが設けられている。導電パッドPは、導電性の金属からなり、例えば矩形状を呈している。切換部12は、第1切換部21と第2切換部22とを備えている。
【0032】
図7に示されるように、第1切換部21は、複数の入力端子21a〜21jと、複数の入力端子21k〜21tと、出力端子21uと、出力端子21vと、を備えている。入力端子21a〜21tは、それぞれ導線12a〜12tに接続されている。つまり、入力端子21a〜21jのそれぞれは、複数の検出コイル11の端子A1〜A10に対応しており、入力端子21a〜21jには端子A1〜A10がそれぞれ接続される。入力端子21k〜21tのそれぞれは、複数の検出コイル11の端子B1〜B10に対応しており、入力端子21k〜21tには端子B1〜B10がそれぞれ接続される。なお、
図7の入力端子21a〜21tの配置は、物理的な配置を示すものではなく、第1切換部21の機能を説明するために便宜上、
図6の導線12a〜12tの配置から変更されている。
【0033】
第1切換部21は、制御部14からの第1切換指示に応じて、入力端子21a〜21jのうちのいずれか1つを選択して出力端子21uに電気的に接続し、入力端子21k〜21tのうちのいずれか1つを選択して出力端子21vに電気的に接続する。言い換えると、第1切換部21は、複数の検出コイル11の端子A1〜A10のうちのいずれか1つを第1端子として選択して出力端子21uに電気的に接続し、複数の検出コイル11の端子B1〜B10のうちのいずれか1つを第2端子として選択して出力端子21vに電気的に接続する。なお、第1切換部21において選択されていない入力端子は、開放状態である。
【0034】
第2切換部22は、複数の入力端子22a〜22jと、複数の入力端子22k〜22tと、出力端子22uと、出力端子22vと、を備えている。入力端子22a〜22tは、それぞれ導線12a〜12tに接続されている。つまり、入力端子22a〜22jのそれぞれは、複数の検出コイル11の端子A1〜A10に対応しており、入力端子22a〜22jには端子A1〜A10がそれぞれ接続される。入力端子22k〜22tのそれぞれは、複数の検出コイル11の端子B1〜B10に対応しており、入力端子22k〜22tには端子B1〜B10がそれぞれ接続される。なお、
図7の入力端子22a〜22tの配置は、物理的な配置を示すものではなく、第2切換部22の機能を説明するために便宜上、
図6の導線12a〜12tの配置から変更されている。
【0035】
第2切換部22は、制御部14からの第2切換指示に応じて、入力端子22a〜22jのうちのいずれか1つを選択して出力端子22uに電気的に接続し、入力端子22k〜22tのうちのいずれか1つを選択して出力端子22vに電気的に接続する。言い換えると、第2切換部22は、複数の検出コイル11の端子A1〜A10のうちのいずれか1つを第1端子として選択して出力端子22uに電気的に接続し、複数の検出コイル11の端子B1〜B10のうちのいずれか1つを第2端子として選択して出力端子22vに電気的に接続する。なお、第2切換部22において選択されていない入力端子は、開放状態である。
【0036】
第1切換部21の入力端子21a〜21tと、第2切換部22の入力端子22a〜22tとのうち、同じ検出コイル11の同じ端子に接続される入力端子の組は、導線12a〜12tのうち、同じ導線に接続される。例えば、入力端子21aと入力端子22aは、導線12aを介して第1の検出コイル11の端子A1に接続される。
図8に示されるように、各検出コイル11の端子A及び端子Bと、対応する導線12a〜12tとの接続は導電パッドPを介して行われる。つまり、保護カバー62がベース61に正しい位置で取り付けられることによって、端子A及び端子Bは、それぞれ対応する導線の先端に設けられた導電パッドPと接触をなし、対応する入力端子21a〜21t及び入力端子22a〜22tと電気的に接続される。
【0037】
測定部13は、例えば抵抗計、電流計、電圧計等の計測器である。測定部13は、例えば路面Rの下に設けられている。測定部13は、第1測定部31と第2測定部32とを備えている。
【0038】
第1測定部31は、第1切換部21の出力端子21u及び出力端子21vの間の抵抗値、出力端子21u及び出力端子21vの間に流れる電流値、又は、出力端子21u及び出力端子21vの間の電圧値を測定する。第1測定部31は、制御部14からの第1測定指示に応じて、出力端子21u及び出力端子21vの間に電流を供給し、測定を行う。第1測定部31は、第1測定値を制御部14に出力する。
【0039】
第2測定部32は、第2切換部22の出力端子22u及び出力端子22vの間の抵抗値、出力端子22u及び出力端子22vの間に流れる電流値、又は、出力端子22u及び出力端子22vの間の電圧値(端子間の電位差)を測定する。第2測定部32は、制御部14からの第2測定指示に応じて測定を行う。第2測定部32は、第2測定値を制御部14に出力する。
【0040】
制御部14は、故障診断処理、第1異物検出処理及び第2異物検出処理を行う。制御部14は、例えばプロセッサ及びメモリを備えるコンピュータである。制御部14は、例えば路面Rの下に設けられている。制御部14は、切換制御部41と、故障判定部42と、異物検出部43と、を備えている。
【0041】
切換制御部41は、切換部12の出力端子に接続される切換部12の入力端子の切り換えを制御する。切換制御部41は、第1切換部21に第1切換指示を出力するとともに、第2切換部22に第2切換指示を出力する。切換制御部41は、第1切換指示を出力した後に第1測定部31に第1測定指示を出力する。切換制御部41は、第2切換指示を出力した後に第2測定部32に第2測定指示を出力する。
【0042】
故障判定部42は、同一の検出コイル11の2つの端子A,Bを第1端子及び第2端子として第1切換部21に選択させて、第1端子及び第2端子の間の接続が短絡状態であるか開放状態であるかに応じて故障の有無を判定する故障判定手段として機能する。具体的には、故障判定部42は、故障診断処理を行う。故障診断処理は、異物検出装置10が故障しているか否かの判定処理である。故障判定部42は、同一の検出コイル11の端子Aと端子Bとが第1切換部21の出力端子21u及び出力端子21vにそれぞれ接続されるように、切換制御部41に第1切換指示を出力させる。故障判定部42は、第1測定部31から受信した第1測定値に基づいて、当該検出コイル11の端子A及び端子Bが電気的に切断された状態である開放状態(断線状態)であるか、電気的に接続された状態である短絡状態(導通状態)であるかの開放短絡判定を行う。故障判定部42は、全ての検出コイル11に対して開放短絡判定を行う。開放短絡判定が行われる検出コイル11の順番は任意である。
【0043】
開放短絡判定は、第1測定値と記憶部15に記憶されている第1閾値とを比較することによって行われる。この第1閾値は、検出コイル11の端子Aと端子Bとが短絡状態であるか開放状態であるかの判定基準となる電流値、電圧値及び抵抗値である。第1測定値が抵抗値である場合、第1測定値が第1抵抗閾値以上であれば、開放状態であると判定され、第1測定値が第1抵抗閾値未満であれば、短絡状態であると判定される。端子間が開放状態であれば、電流が流れないため、極めて高い抵抗値が計測され、端子間が短絡状態であれば、コイルを構成する導線の抵抗値が計測され、この値は一般的に低い。第1測定値が電流値である場合、第1測定値が第1電流閾値以上であれば、短絡状態であると判定され、第1測定値が第1電流閾値未満であれば、開放状態であると判定される。端子間が開放状態であれば、電流が流れないため、0に近い電流値が計測され、端子間が短絡状態であれば、電流が流れるため、流れた量に応じた電流値が計測される。第1測定値が電圧値である場合、第1測定値が第1電圧閾値以上であれば、開放状態であると判定され、第1測定値が第1電圧閾値未満であれば、短絡状態であると判定される。端子間が開放状態であれば、端子に印加した電圧に応じた電圧値が計測され、端子間が短絡状態であれば、コイル導線の抵抗値が低いため、0に近い電圧値が計測される。
【0044】
図9の(a)に示されるように、検出コイル11の導線に断線が無い場合、例えば第1の検出コイル11の端子A1に供給された電流は端子B1から出力される。このとき、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値以上となり、端子A1及び端子B1の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値よりも小さくなる。このため、故障判定部42は、検出コイル11の端子A1と端子B1とが短絡状態となっていると判定する。故障判定部42は、他の検出コイル11についても同様に端子Aと端子Bとが短絡状態となっていると判定する。
【0045】
図9の(b)に示されるように、例えば第1の検出コイル11の導線に断線がある場合、第1の検出コイル11の端子A1に供給された電流は端子B1から出力されないか、小さい電流値の電流が出力される。このとき、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値よりも小さくなり、端子A1及び端子B1の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値以上となる。このため、故障判定部42は、第1の検出コイル11の端子A1と端子B1とが開放状態となっていると判定する。
【0046】
図10の(a)に示されるように、保護カバー62がベース61の正しい位置に取り付けられている場合(保護カバー62が正しく閉まっている場合)には、検出コイル11の端子A及び端子Bが、それぞれ対応する導電パッドPと接触をなす。この状態で、例えば第1の検出コイル11の端子A1が接続される第1切換部21の入力端子に供給された電流は、当該検出コイル11を介して、当該第1の検出コイル11の端子B1が接続される第1切換部21の入力端子に入力される。このとき、
図9の(a)と同様に、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値以上となり、端子A1及び端子B1の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値よりも小さくなる。このため、故障判定部42は、検出コイル11の端子A1と端子B1とが短絡状態となっていると判定する。故障判定部42は、他の検出コイル11についても同様に端子Aと端子Bとが短絡状態となっていると判定する。
【0047】
図10の(b)に示されるように、保護カバー62がベース61の正しい位置からずれて取り付けられている場合(保護カバー62が正しく閉まっていない場合)には、検出コイル11の端子A及び端子Bが、それぞれ対応する導電パッドPと接触をなさない。この状態で、例えば第1の検出コイル11の端子A1が接続される第1切換部21の入力端子に供給された電流は、当該第1の検出コイル11の端子B1が接続される第1切換部21の入力端子に入力されないか、小さい電流値の電流が入力される。このとき、
図9の(b)と同様に、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値よりも小さくなり、端子A1及び端子B1の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値以上となる。このため、故障判定部42は、検出コイル11の端子A1と端子B1とが開放状態となっていると判定する。故障判定部42は、他の検出コイル11についても同様に端子Aと端子Bとが開放状態となっていると判定する。
【0048】
つまり、故障判定部42は、保護カバー62がベース61の正しい位置に取り付けられており、検出コイル11の導線に断線が無い場合に、当該検出コイル11の端子Aと端子Bとが短絡状態となっていると判定する。故障判定部42は、保護カバー62がベース61の正しい位置からずれて取り付けられているか、検出コイル11の導線に断線がある場合に、当該検出コイル11の端子Aと端子Bとが開放状態となっていると判定する。故障判定部42は、全ての検出コイル11の端子A及び端子Bが短絡状態であると判定した場合、異物検出装置10が故障していないと判定する。故障判定部42は、少なくともいずれかの検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態であると判定した場合、当該検出コイル11が断線しているか、保護カバー62がベース61の正しい位置に取り付けられていないと考えられるので、異物検出装置10が故障していると判定する。故障判定部42は、異物検出装置10が故障していると判定した場合、電力供給を禁止するように送電装置2を制御する。この送電装置2の制御は、異物検出装置10が送電装置2に給電禁止指示を出力することにより実現される。
【0049】
異物検出部43は、第1異物検出処理及び第2異物検出処理を行う。第1異物検出処理は、開放短絡判定を利用した異物検出処理である。異物検出部43は、互いに異なる2つの検出コイル11の組み合わせについて、一方の検出コイル11の端子Aと他方の検出コイル11の端子Bとが第1切換部21の出力端子21u及び出力端子21vにそれぞれ接続されるように、切換制御部41に第1切換指示を出力させる。異物検出部43は、第1測定部31から受信した第1測定値に基づいて、一方の検出コイル11の端子A及び他方の検出コイル11の端子Bが開放状態であるか短絡状態であるかの開放短絡判定を行う。異物検出部43は、全ての検出コイル11のうちの互いに異なる2つの検出コイル11の全ての組み合わせに対して開放短絡判定を行う。開放短絡判定が行われる検出コイル11の組み合わせの順番は任意である。
【0050】
図11の(a)に示されるように、保護カバー62の表面62a上に異物Mが存在しない場合、例えば第1の検出コイル11と第2の検出コイル11との組み合わせでは、第1の検出コイル11の端子A1に供給された電流は、第2の検出コイル11の端子B2から出力されない。このとき、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値よりも小さくなり、端子A1及び端子B2の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値以上となる。このため、異物検出部43は、第1の検出コイル11の端子A1と第2の検出コイル11の端子B2とが開放状態となっていると判定する。故障判定部42は、他の2つの検出コイル11の組み合わせについても同様に、一方の検出コイル11の端子Aと他方の検出コイル11の端子Bとが開放状態となっていると判定する。
【0051】
図11の(b)に示されるように、第1の検出コイル11のコイル部C1、第2の検出コイル11のコイル部C2、第6の検出コイル11のコイル部C6及び第7の検出コイル11のコイル部C7に接触をなす異物Mが存在している場合、例えば第1の検出コイル11と第2の検出コイル11との組み合わせでは、第1の検出コイル11の端子A1に供給された電流は、コイル部C1、異物M及びコイル部C2を順に介して第2の検出コイル11の端子B2から出力される。このとき、第1測定部31によって測定された電流値は第1電流閾値以上となり、端子A1及び端子B2の間の電圧値及び抵抗値はそれぞれ第1電圧閾値及び第1抵抗閾値よりも小さくなる。このため、異物検出部43は、第1の検出コイル11の端子A1と第2の検出コイル11の端子B2とが短絡状態となっていると判定する。なお、異物Mは、電流を流す上で抵抗となる。そのため、異物Mが存在することによる短絡状態は、異物Mが存在しない同一コイルの端子間の短絡状態に比べ、抵抗値の増加、電流の減少及び電圧(電位差)の増加が生じ得る。したがって、想定される異物Mの抵抗値に基づいて、第1電流閾値、第1電圧閾値及び第1抵抗閾値は定められる。
【0052】
少なくともいずれかの組み合わせにおいて、端子A及び端子Bが短絡状態であると判定された場合、当該組み合わせの検出コイル11間が異物によって短絡していると考えられるので、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していると判定する。全ての検出コイル11の組み合わせについて、端子A及び端子Bが開放状態であると判定された場合、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に、第1異物検出処理によって検出可能な異物が存在していないと判定する。
【0053】
第2異物検出処理は、検出コイル11のコイル部Cを鎖交する磁束量の変化を利用した異物検出処理である。送電コイル装置4から受電コイル装置5への給電中において、送電コイル装置4から磁束が発生する。この磁束の一部が検出コイル11のコイル部Cを鎖交することによって、検出コイル11の端子A及び端子B間に誘導電圧(誘導起電力)及び誘導電流が生じる。誘導電圧及び誘導電流は、コイル部Cを鎖交する磁束量に応じて変化する。コイル部Cによって囲まれる領域に導電性の異物が存在する場合には、異物の材質によって、送電コイル装置4と受電コイル装置5との間の磁束量の変化、及び、磁束経路の変化を引き起こす。例えば、異物が磁性材料(例えば、鉄)である場合、異物の自発磁化により磁束が発生したり、異物への磁束集中により磁束経路が変化したりする。これにより、コイル部Cを鎖交する磁束量が増減することがある。また、異物が非磁性材料(例えば、アルミニウム、銅)である場合、異物を迂回するように磁束経路が変わるため、コイル部Cを鎖交する磁束量が増減することがある。
【0054】
異物検出部43は、第2異物検出処理のために送電コイル装置4に給電するように送電装置2に給電指示を行う。第2異物検出処理のために送電コイル装置4に給電される電力は、検出対象の異物の大きさに応じて、適宜調整され得る。この電力は、非接触給電時(異物が存在しないときの通常の給電時)の電力(例えば3.3kW程度)であってもよく、それよりも小さい電力(例えば100W程度)であってもよい。異物検出部43は、同じ検出コイル11の端子Aと端子Bとが第2切換部22の出力端子22u及び出力端子22vにそれぞれ接続されるように、切換制御部41に第2切換指示を出力させる。異物検出部43は、第2測定部32から受信した第2測定値に基づいて、当該検出コイル11の磁束量が変化したか否かの磁束量変化判定を行う。異物検出部43は、全ての検出コイル11に対して磁束量変化判定を行う。磁束量変化判定が行われる検出コイル11の順番は任意である。
【0055】
磁束量変化判定は、第2測定値と異物が存在しないときの第2測定値(基準測定値)との差分(絶対値)を、記憶部15に記憶されている第2閾値と比較することによって行われる。この第2閾値は、コイル部Cによって囲まれた領域内に異物が存在する状態であるか異物が存在しない状態であるかの判定基準となる電流値及び電圧値である。第2測定値が電流値である場合、第2測定値と基準測定値との差分が第2電流閾値以上であれば、磁束量が変化したと判定され、上記差分が第2電流閾値未満であれば、磁束量が変化していないと判定される。第2測定値が電圧値である場合、第2測定値と基準測定値との差分が第2電圧閾値以上であれば、磁束量が変化したと判定され、第2測定値が第2電圧閾値未満であれば、磁束量が変化していないと判定される。
【0056】
図12の(a)に示されるように、保護カバー62の表面62a上に異物Mが存在しない場合、例えば送電コイル装置4からの給電に応じた磁束量が第2の検出コイル11のコイル部Cを鎖交する。このとき、第2の検出コイル11の端子A2及び端子B2に流れる誘導電流の電流値、つまり第2測定部32によって測定された電流値と基準測定値との差分は、第2電流閾値よりも小さくなり、第2の検出コイル11の端子A2及び端子B2に生じる誘導電圧の電圧値、つまり第2測定部32によって測定された電圧値と基準測定値との差分は、第2電圧閾値よりも小さくなる。このため、異物検出部43は、第2の検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域に異物Mが存在していないと判定する。異物検出部43は、他の検出コイル11についても同様に、当該検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域に異物Mが存在していないと判定する。
【0057】
図12の(b)に示されるように、第2の検出コイル11のコイル部C2によって囲まれる領域に異物Mが存在している場合、送電コイル装置4からの給電に応じた磁束量とは異なる磁束量が第2の検出コイル11のコイル部Cを鎖交する。このとき、第2の検出コイル11の端子A2及び端子B2に流れる誘導電流の電流値、つまり第2測定部32によって測定された電流値と基準測定値との差分は、第2電流閾値以上となり、第2の検出コイル11の端子A2及び端子B2に生じる誘導電圧の電圧値、つまり第2測定部32によって測定された電圧値と基準測定値との差分は、第2電圧閾値以上となる。このため、異物検出部43は、第2の検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域に異物Mが存在していると判定する。
【0058】
少なくともいずれかの検出コイル11の磁束量が変化したと判定された場合、当該検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域内に異物が存在していると考えられるので、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していると判定する。全ての検出コイル11の磁束量が変化していないと判定された場合、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に、第2異物検出処理によって検出可能な異物が存在していないと判定する。
【0059】
異物検出部43は、第1異物検出処理又は第2異物検出処理によって、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していると判定した場合、給電を調整するように送電装置2を制御する。この送電装置2の制御は、異物検出部43が送電装置2に給電調整指示を出力することにより実現される。給電調整指示は、例えば、非接触給電の電力供給を禁止する指示、または、通常の非接触給電時よりも低い電力を供給する指示である。異物検出部43は、第1異物検出処理及び第2異物検出処理のいずれにおいても、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していないと判定した場合、非接触給電のために送電コイル装置4に給電するように送電装置2に給電指示を行う。
【0060】
送電装置2の制御部16は、異物検出部43からの給電指示に応じて、送電コイル装置4を介して受電装置3に給電を行う。制御部16は、故障判定部42及び異物検出部43からの給電禁止指示または給電調整指示に応じて受電装置3への給電を禁止したり、低電力を供給したりする。
【0061】
次に、
図13〜
図16を参照して、異物検出装置10が行う一連の処理を説明する。
図13は、異物検出装置10が行う一連の処理を示すフローチャートである。
図14は、
図13の故障診断処理を詳細に示すフローチャートである。
図15は、
図13の第1異物検出処理を詳細に示すフローチャートである。
図16は、
図13の第2異物検出処理を詳細に示すフローチャートである。
図13に示される処理は、例えば送電コイル装置4への給電開始指示に応じて開始される。
【0062】
まず、異物検出装置10は、故障診断処理を行う(ステップS01)。ステップS01の故障診断処理では、
図14に示されるように、まず、第1切換部21において、同じ検出コイル11の端子Aに接続される入力端子と端子Bに接続される入力端子とが、出力端子21u及び出力端子21vにそれぞれ接続されるように、故障判定部42が切換制御部41に第1切換指示を出力させる。そして、第1切換部21は、切換制御部41からの第1切換指示に応じて、入力端子21a〜21jのうちのいずれか1つを選択して出力端子21uに電気的に接続し、入力端子21k〜21tのうちのいずれか1つを選択して出力端子21vに電気的に接続する(ステップS11)。
【0063】
そして、切換制御部41は、第1切換指示を出力した後に第1測定部31に第1測定指示を出力する。そして、第1測定部31は、切換制御部41からの第1測定指示に応じて、出力端子21u及び出力端子21vの間に電流を供給し(ステップS12)、出力端子21u及び出力端子21v間に流れる電流値、出力端子21u及び出力端子21v間の電圧値、又は、出力端子21u及び出力端子21v間の抵抗値の測定を行う(ステップS13)。そして、第1測定部31は、第1測定値を制御部14に出力する。そして、故障判定部42は、第1測定部31から受信した第1測定値に基づいて、当該検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態であるか短絡状態であるかの開放短絡判定を行う(ステップS14)。以上のステップS11〜ステップS14の処理が、全ての検出コイル11について順に繰り返される。
【0064】
そして、故障判定部42は、ステップS14における開放短絡判定の判定結果に基づいて、異物検出装置10が故障しているか故障していないかを判定する(ステップS15)。ステップS15において、少なくともいずれかの検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態であると判定された場合、当該検出コイル11が断線しているか、保護カバー62がベース61の正しい位置に取り付けられていないと考えられるので、故障判定部42は、異物検出装置10が故障していると判定する(ステップS15;故障有)。
【0065】
そして、故障判定部42は、送電装置2(制御部16)に給電禁止指示を出力する(ステップS16)。そして、送電装置2は、故障判定部42からの給電禁止指示に応じて受電装置3への給電を禁止し、異物検出装置10が行う一連の処理が終了する。一方、ステップS15において、全ての検出コイル11の端子A及び端子Bが短絡状態であると判定された場合、故障判定部42は、異物検出装置10が故障していないと判定し(ステップS15;故障無)、ステップS02に進む。
【0066】
続いて、異物検出装置10は、第1異物検出処理(ステップS02)を行う。ステップS02の第1異物検出処理では、
図15に示されるように、まず、第1切換部21において、互いに異なる2つの検出コイル11の組み合わせについて、一方の検出コイル11の端子Aに接続される入力端子と他方の検出コイル11の端子Bに接続される入力端子とが、出力端子21u及び出力端子21vにそれぞれ接続されるように、異物検出部43が切換制御部41に第1切換指示を出力させる。そして、第1切換部21は、切換制御部41からの第1切換指示に応じて、入力端子21a〜21jのうちのいずれか1つを選択して出力端子21uに電気的に接続し、入力端子21k〜21tのうちのいずれか1つを選択して出力端子21vに電気的に接続する(ステップS21)。
【0067】
そして、切換制御部41は、第1切換指示を出力した後に第1測定部31に第1測定指示を出力する。そして、第1測定部31は、切換制御部41からの第1測定指示に応じて、出力端子21u及び出力端子21vの間に電流を供給し(ステップS22)、出力端子21u及び出力端子21v間に流れる電流の電流値、出力端子21u及び出力端子21v間の電圧値、又は、出力端子21u及び出力端子21v間の抵抗値の測定を行う(ステップS23)。そして、第1測定部31は、第1測定値を制御部14に出力する。そして、異物検出部43は、第1測定部31から受信した第1測定値に基づいて、一方の検出コイル11の端子A及び他方の検出コイル11の端子Bが開放状態であるか短絡状態であるかの開放短絡判定を行う(ステップS24)。以上のステップS21〜ステップS24の処理が、全ての検出コイル11のうちの互いに異なる2つの検出コイル11の全ての組み合わせについて順に繰り返される。
【0068】
そして、異物検出部43は、ステップS24における開放短絡判定の判定結果に基づいて、保護カバー62の表面62a上に異物が存在しているか存在していないかを判定する(ステップS25)。ステップS25において、少なくともいずれかの組み合わせにおいて、端子A及び端子Bが短絡状態であると判定された場合、当該組み合わせの検出コイル11間が異物によって短絡していると考えられるので、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していると判定する(ステップS25;異物有)。
【0069】
そして、異物検出部43は、送電装置2(制御部16)に給電調整指示を出力する(ステップS26)。そして、送電装置2は、異物検出部43からの給電調整指示に応じて受電装置3への給電を禁止するか、受電装置3への給電電力を非接触給電時の電力よりも低下して、異物検出装置10が行う一連の処理が終了する。一方、ステップS25において、全ての検出コイル11の組み合わせについて、端子A及び端子Bが開放状態であると判定された場合、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に、第1異物検出処理によって検出可能な異物が存在していないと判定し(ステップS25;異物無)、ステップS03に進む。
【0070】
続いて、異物検出装置10は、第2異物検出処理(ステップS03)を行う。ステップS03の第2異物検出処理では、
図16に示されるように、まず、異物検出部43は、第2異物検出処理のために送電コイル装置4に給電するように送電装置2(制御部16)に給電指示を行う(ステップS31)。そして、送電装置2は、異物検出部43からの給電指示に応じて受電装置3に給電を行う。このとき、送電コイル装置4に給電される電力は、非接触給電時の電力であってもよいし、それよりも小さい電力であってもよい。
【0071】
そして、異物検出部43は、第2切換部22において、同じ検出コイル11の端子Aに接続される入力端子と端子Bに接続される入力端子とが、出力端子22u及び出力端子22vにそれぞれ接続されるように、切換制御部41に第2切換指示を出力させる。そして、第2切換部22は、異物検出部43からの第2切換指示に応じて、入力端子22a〜22jのうちのいずれか1つを選択して出力端子22uに電気的に接続し、入力端子22k〜22tのうちのいずれか1つを選択して出力端子22vに電気的に接続する(ステップS32)。
【0072】
そして、切換制御部41は、第2切換指示を出力した後に第2測定部32に第2測定指示を出力する。そして、第2測定部32は、切換制御部41からの第2測定指示に応じて出力端子22u及び出力端子22v間に流れる電流の電流値、又は、出力端子22u及び出力端子22v間の電圧値の測定を行う(ステップS33)。そして、第2測定部32は、第2測定値を制御部14に出力する。そして、異物検出部43は、第2測定部32から受信した第2測定値に基づいて、異物が存在しないときの磁束量と比べて当該検出コイル11の磁束量が変化したか否かの磁束量変化判定を行う(ステップS34)。以上のステップS32〜ステップS34の処理が、全ての検出コイル11について順に繰り返される。
【0073】
そして、異物検出部43は、ステップS34における磁束量変化判定の判定結果に基づいて、保護カバー62の表面62a上に異物が存在しているか存在していないかを判定する(ステップS35)。ステップS35において、少なくともいずれかの検出コイル11の磁束量が変化したと判定された場合、当該検出コイル11のコイル部Cによって囲まれる領域内に異物が存在していると考えられるので、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に異物が存在していると判定する(ステップS35;異物有)。
【0074】
そして、異物検出部43は、送電装置2(制御部16)に給電調整指示を出力する(ステップS36)。そして、送電装置2は、異物検出部43からの給電調整指示に応じて受電装置3への給電を禁止するか、受電装置3への給電電力を非接触給電時の電力よりも低下して、異物検出装置10が行う一連の処理が終了する。一方、ステップS35において、全ての検出コイル11の磁束量が変化していないと判定された場合、異物検出部43は、保護カバー62の表面62a上に、第2異物検出処理によって検出可能な異物が存在していないと判定し(ステップS35;異物無)、ステップS04に進む。
【0075】
続いて、異物検出装置10は、非接触給電のために受電装置3に給電を開始するように送電装置2(制御部16)に給電指示を出力する(ステップS04)。そして、送電装置2は、異物検出部43からの給電指示に応じて受電装置3に給電を開始する。このとき、送電装置2は、ステップS03において、非接触給電時の給電を行っている場合には、受電装置3への給電を継続する。このようにして、異物検出装置10が行う一連の処理が終了する。なお、異物検出装置10が行う一連の処理は、非接触給電中に行われてもよい。また、ステップS03は、ステップS02の前に行われてもよく、ステップS02及びステップS03は、同時に同じ検出コイル11を選択しなければ、並行して行われてもよい。
【0076】
以上のように、異物検出装置10では、複数の検出コイル11のうちの互いに異なる2つの検出コイル11の組み合わせについて、一方の検出コイル11の端子A及び他方の検出コイル11の端子Bが短絡状態であるか開放状態であるかに応じて導電性の異物の有無が判定される第1異物判定処理が行われるとともに、同一の検出コイル11を鎖交する磁束量の変化に応じて導電性の異物の有無が判定される第2異物判定処理が行われる。互いに異なる2つの検出コイル11のうちのいずれかの検出コイル11によって囲まれる領域内に導電性の異物が存在する場合には、この2つの検出コイル11は短絡状態にはならない。このため、第1異物判定処理ではこのような異物を検出することはできない。しかしながら、異物を囲む検出コイル11を鎖交する磁束量が、異物が存在しない場合に当該検出コイル11を鎖交する磁束量から変化するので、2つ以上の検出コイル11に接触していない異物であっても、第2異物判定処理によって異物を検出することができる。また、不感帯に異物が存在する場合には、検出コイル11のそれぞれを鎖交する磁束量は、異物が存在しない場合に検出コイル11のそれぞれを鎖交する磁束量と略同じである。このため、第2異物判定処理ではこのような異物を検出することはできない。しかしながら、異物が2つ以上の検出コイル11に接触している場合には、これらの検出コイル11のうちの一方の検出コイル11の端子Aと他方の検出コイル11の端子Bとは短絡状態となるので、第1異物判定処理によって異物を検出することができる。その結果、異物の検出精度を向上することが可能となる。
【0077】
同一の検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態である場合には、その検出コイル11が物理的に断線していると考えられるので、故障が存在すると判定することができる。検出コイル11が断線している場合、断線している検出コイル11と他の検出コイル11とに接触している異物が存在していたとしても、2つの検出コイル11間は開放状態であると判定される可能性がある。このため、第1異物判定処理では異物の検出漏れが生じるおそれがある。また、検出コイル11が断線している場合、その検出コイル11には誘導電流が流れないので、第2異物判定処理では異物を誤検出するおそれがある。例えば、異物検出装置10が故障していると判定された場合に、異物検出処理を行わないようにすることによって、検出コイル11が断線したことによる異物の誤検出及び検出漏れを防止することが可能となる。
【0078】
保護カバー62がベース61に正しく取り付けられている場合には、検出コイル11の各端子は、導電パッドPと接触をなし、導電パッドPを介して導線12a〜12tのいずれかと電気的に接続される。一方、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられていない場合には、検出コイル11の各端子は、導電パッドPと接触をなさず、導線12a〜12tと電気的に接続されない。このため、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられており、且つ、検出コイル11が物理的に断線していない場合に、その検出コイル11の端子A及び端子Bが短絡状態となる。保護カバー62がベース61に正しく取り付けられていない場合、又は、検出コイル11が物理的に断線している場合に、その検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態となる。したがって、同一の検出コイル11の端子A及び端子Bが開放状態である場合には、その検出コイル11が物理的に断線しているか、又は、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられていないと考えられるので、異物検出装置10が故障していると判定することができる。これにより、例えば、異物検出装置10が故障していると判定された場合に、保護カバー62が正しく取り付けられていないことをユーザに通知等することによって、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられるように促すことができる。そして、保護カバー62が正しい位置に取り付けられる(閉められる)ことによって、ハウジング6の収容空間Vに塵及び水が入り込むことを防ぐことができ、保護カバー62のズレによる送電コイル装置4の故障を抑制することが可能となる。
【0079】
また、検出コイル11が物理的に断線しているか、又は、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられていない場合、異物検出装置が正確に異物を検出できないおそれがある。このため、故障が存在すると判定された場合に、非接触給電のための電力供給を禁止することにより、異物検出が正常に行えない状態での非接触給電を抑制することができる。また、保護カバー62がベース61に正しく取り付けられていないことにより、外部から送電コイル装置4内に塵及び水等が入ると、送電コイル装置4内の回路が故障するおそれがある。このため、故障が存在すると判定された場合に、非接触給電のための電力供給を禁止することにより、回路が正常に機能しない状態での非接触給電を抑制することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、検出コイル11の数及び形状は、
図4に示される数及び形状に限られない。検出コイル11の数は、少なくとも2つであればよい。検出コイル11のコイル部Cの形状は、矩形状に限られず、磁束を捉えることが可能な形状であればよい。例えば、検出コイル11のコイル部Cの形状は、円環状、三角形及び五角形等の多角形状等であってもよい。複数の検出コイル11のコイル部Cは、互いに大きさ及び形状が異なっていてもよい。
【0081】
例えば
図17に示されるように、保護カバー62の表面62aの中央付近にコイル部C1が配置され、コイル部C1を囲むようにコイル部C2が配置されてもよい。さらにコイル部C3〜C9の順に、各コイル部C3〜C9は、そのコイル部の前のコイル部を囲むように配置されてもよい。つまり、保護カバー62の表面62aの外周に沿ってコイル部C9が設けられ、そのコイル部C9によって囲まれる領域に、一回り小さいコイル部C8が配置され、さらにそのコイル部C8によって囲まれる領域に、さらに一回り小さいコイル部C7が配置され、以降、コイル部C6〜C1の順に、そのコイル部の前のコイル部によって囲まれる領域に配置されてもよい。また、
図4の配置と
図17の配置とを組み合わせた配置が採用されてもよい。また、検出コイル11は、保護カバー62の側面62cに配置されてもよい。なお、コイル部Cが大きくなると、第2異物検出処理による異物の検出感度が低下する。このため、コイル部Cの大きさは、検出対象となる異物に応じて定められる。
【0082】
また、切換部12は、第1切換部21及び第2切換部22を備えているが、第1切換部21及び第2切換部22の機能を有する1つの切換部を備えてもよい。また、切換部12は、ハウジング6の収容空間Vに収容されているが、ハウジング6の外部に設けられてもよい。また、測定部13は、第1測定部31及び第2測定部32を備えているが、第1測定部31及び第2測定部32の機能を有する1つの測定部を備えてもよい。
【0083】
また、導電パッドPの形状は円形状であってもよい。また、検出コイル11の端子A及び端子Bと切換部12の入力端子との電気的な接続は、
図7に示される構成に限られない。例えば、
図18に示されるように、検出コイル11の端子A及び端子Bを導電性の凸部とし、切換部12の導線12a〜12tの先端に設けられた導電パッドPを凹部としてもよい。ベース61の正しい位置に保護カバー62が取り付けられた場合、凸部と凹部とは互いに嵌め合わされる。これにより、検出コイル11の各端子は、切換部12の導線12a〜12tに電気的に接続される。さらに、凸部及び凹部にはネジ溝が設けられていてもよい。この場合、ベース61の正しい位置に保護カバー62が取り付けられる際に凸部が凹部に螺合されることによって、検出コイル11の各端子は、切換部12の導線12a〜12tに電気的に接続されてもよい。
【0084】
また、検出コイル11と切換部12とは、導電パッドPを介して接続されているが、これに加えて、
図19に示されるように、検出コイル11の引出部D及び引出部Eからそれぞれ分岐された導線部23によって接続されてもよい。切換部12は、各導線部23を第1切換部21及び第2切換部22とは異なる第3切換部に接続してもよく、故障判定部42は、第3切換部を用いて開放短絡判定を行ってもよい。この構成によれば、故障判定部42は、保護カバー62がベース61の正しい位置に取り付けられているか否かと、検出コイル11の導線に断線があるか否かと、を区別して判定することができる。そして、故障判定部42は、検出コイル11が断線している場合にのみ、異物検出装置10が故障していると判定することができる。
【0085】
また、異物検出装置10は、故障判定部42を備えていなくてもよい。つまり、
図13に示される一連の処理において、ステップS01の故障診断処理は省略され得る。
【0086】
また、異物検出装置10が制御部14を備えるとして説明したが、本発明はこの態様に限定されない。例えば、送電装置2の制御部16が上記制御部14と同じ機能を有し、送電装置2の制御部16が異物検出装置10の切換部12を制御してもよい。そして、制御部16は、故障判定及び異物検出を行い、判定及び検出の結果に基づき、送電装置2の給電を制御することになる。この場合、上述の
図13に示される各処理は、異物検出装置10と送電装置2とを備える送電システム7により実現される。さらに、送電装置2ではなく、受電装置3の制御部が上記制御部14と同じ機能を有し、受電装置3の制御部が異物検出装置10の切換部12を制御してもよい。受電装置3と異物検出装置10との制御信号のやり取りは、双方の装置を信号線で接続するか、双方の装置に無線通信装置を設けることにより実現される。