特許第6361526号(P6361526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361526
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】梱包資材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20180712BHJP
   B65D 85/68 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B65D85/00 P
   B65D85/68 W
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-36151(P2015-36151)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-155585(P2016-155585A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 丈寛
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−072050(JP,A)
【文献】 特開2001−072154(JP,A)
【文献】 特開2008−037465(JP,A)
【文献】 特開2012−182899(JP,A)
【文献】 特開2010−259297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
B65D 85/68
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線が結束されたワイヤハーネス本体がブラケットに固定されたワイヤハーネスを収容する梱包資材であって、
前記ワイヤハーネスを囲む枠体と、
前記枠体と前記ブラケットとに一体に繋がって形成され、前記ブラケットを支持することで前記ワイヤハーネスを前記枠体内に保持する保持部とを備え
前記枠体と前記ブラケットとは、複数の前記保持部によって繋がれている梱包資材。
【請求項2】
前記ブラケットは合成樹脂によって形成されており、
前記ブラケットと前記保持部と前記枠体とは、成形樹脂によって一体に成形されている請求項1に記載の梱包資材。
【請求項3】
前記保持部は、前記ブラケットにおける幅広な部分に連結されている請求項2記載の梱包資材。
【請求項4】
前記保持部において前記ブラケットと隣接する位置には、くびれた形状の易破断部が設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の梱包資材。
【請求項5】
前記枠体は上下に開口しており、
前記枠体は、前記ワイヤハーネスの上下方向の厚み寸法よりも上下に大きく形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の梱包資材。
【請求項6】
前記ブラケットの外面には、前記ワイヤハーネス本体を締付部材によって締め付けて固定する装着溝が凹んで形成されており、
前記保持部は、前記ブラケットにおいて前記装着溝とは異なる前記ブラケットの外面に連結されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梱包資材。
【請求項7】
前記枠体は、上下方向に複数段に積層可能とされており、
前記枠体には、上下方向と交差する方向に係合することで上下方向に隣り合う枠体同士の位置ずれを防ぐ位置ずれ防止部が設けられている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の梱包資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、梱包資材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に用いられるグロメットを梱包する梱包箱として、特開2001−72154号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。
この梱包箱は、上面が開口した箱形の箱本体内に収容される仕切り枠を備えており、仕切り枠は、一対の対向する仕切り板を有している。各仕切り板には、上縁から下方に切り欠かれた導出部用切欠きおよび本体用切り欠きが設けられており、これらの切欠きにグロメットを載置することで、グロメットのシール部が箱本体の底壁部に接触することを防ぎつつ、グロメットを箱本体内に梱包することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−72154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の電線を束ねてなるワイヤハーネス本体がブラケットに固定されたワイヤハーネスなどを、上記のような梱包箱にて搬送する場合、搬送中にブラケットと仕切り板とが摺動したり、ブラケットが箱本体の内面に当接したりすることで、ブラケットによって仕切り板や箱本体が削り取られる虞がある。このような場合、削り屑がワイヤハーネス本体の端末に設けられたコネクタに付着することでコネクタに不具合が生じたり、ワイヤハーネスに付着した削り屑が他の機器に付着することで不具合が生じたりしてしまう。
【0005】
本明細書では、仕切り板や箱本体などの梱包資材から削り屑が生じることを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、複数の電線が結束されたワイヤハーネス本体がブラケットに固定されたワイヤハーネスを収容する梱包資材であって、前記ワイヤハーネスを囲む枠体と、前記枠体と前記ブラケットとに一体に繋がって形成され、前記ブラケットを支持することで前記ワイヤハーネスを前記枠体内に保持する保持部とを備えている構成とした。
【0007】
このような構成によると、ワイヤハーネス本体が固定されたブラケットが梱包資材の保持部や枠体と一体となっているから、ブラケットが保持部や枠体と干渉したり、摺動したりすることを防ぐことができ、梱包資材から削り屑が生じることを防ぐことができる。これにより、梱包部材からの削り屑に起因して、ワイヤハーネスのコネクタにおいて接触不良が生じたり、削り屑が他の機器に付着することで不具合が生じたりすることを防ぐことができる。
また、このような構成によると、ブラケットは、枠体および保持部と一体となって固定されているから、ブラケットにワイヤハーネス本体を固定するだけで、梱包資材に覆われたワイヤハーネスを構成することができる。つまり、例えば、ブラケットを作業台にセットした後、ブラケットにワイヤハーネスを固定してワイヤハーネスを構成し、完成したワイヤハーネスを梱包資材に収容するといった作業が発生しないから、ワイヤハーネス40の組み立て作業の作業効率を向上させることができる。
【0008】
本明細書によって開示される梱包資材は、以下の構成としてもよい。
前記ブラケットは合成樹脂によって形成されており、前記ブラケットと前記保持部と前記枠体とは、成形樹脂によって一体に成形されている構成としてもよい。
このような構成によると、ブラケットと一体に繋がる枠体および保持部を樹脂成形によって容易に形成することができる。また、ブラケットが合成樹脂によって形成されているから、例えば、金属製のブラケットに比べて、軽量化できると共に、製造コストを低減することができる。
【0009】
前記保持部は、前記ブラケットにおける幅広な部分に連結されている構成としてもよい。
一般に、成形金型内においてブラケットと保持部と枠体とを樹脂成形によって一体に成形する場合、外側に配された枠体の位置から保持部の位置を通してブラケットの位置に成形樹脂を流し込んでブラケットを成形する。つまり、本実施形態によると、保持部の位置を通してブラケットにおける幅広の部分に成形樹脂を流し込んでブラケットを成形することができるから、例えば、保持部の位置を通してブラケットにおける幅狭な部分に成形樹脂を流し込んでブラケットを成形する場合に比べて、成形金型内における隅々にまで成形樹脂をしっかりと流し込むことができる。
【0010】
前記保持部において前記ブラケットと隣接する位置には、くびれた形状の易破断部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、易破断部を切断などして破断させることで保持部からブラケットを容易に取り外すことができる。
【0011】
前記枠体は上下に開口しており、前記枠体は、前記ワイヤハーネスの上下方向の厚み寸法よりも上下に大きく形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、枠体に底面が形成されていないから、例えば、枠体の下端部に底面が設けられているものに比べて、梱包資材の厚みを小さくすることができる。つまり、例えば、複数の梱包資材を梱包箱などに収容する際に、枠体に底面が設けられているものに比べて、複数の梱包資材を収容することができる。ひいては、1箱あたりのワイヤハーネスの収容量を増やすことができる。
また、このような構成によると、枠体内においてワイヤハーネスが保持部のみによって支持されることになるから、ワイヤハーネスが底面などと干渉して、削り屑が生じることを防ぐことができる。
【0012】
前記ブラケットの外面には、前記ワイヤハーネス本体を締付部材によって締め付けて固定する装着溝が凹んで形成されており、前記保持部は、前記ブラケットにおいて前記装着溝とは異なる前記ブラケットの外面に連結されている構成としてもよい。
例えば、保持部が装着溝の内面に繋がっている場合、装着溝内に工具を挿入して、ブラケットと保持部とを分離することになるから、工具などによって装着溝を損傷させてしまう虞がある。ところが、このような構成によると、保持部がブラケットの外面に設けられているから、ブラケットを損傷させることなく、工具などを用いて保持部からブラケットを容易に取り外すことができる。
【0013】
前記枠体は、上下方向に複数段に積層可能とされており、前記枠体には、上下方向と交差する方向に係合することで上下方向に隣り合う枠体同士の位置ずれを防ぐ位置ずれ防止部が設けられている。
このような構成によると、梱包資材を積層して保管したり、梱包資材を積層下状態で梱包箱に詰めたりする場合に、上下方向に隣り合う枠体同士の上下方向と交差する方向への位置ずれを防ぐことができ、梱包資材が崩れることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書によって開示される技術によれば、梱包資材から削り屑が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1におけるワイヤハーネスが保持された梱包資材の斜視図
図2】梱包資材に保持された複数のブラケットの1つにワイヤハーネス本体が固定された状態を示す斜視図
図3】同平面図
図4図3の要部拡大図
図5】梱包資材に保持された複数のワイヤハーネスの1つが取り外された状態を示す斜視図
図6】ワイヤハーネスが保持された梱包資材が積み重ねられた状態を示す斜視図
図7】実施形態2に係るワイヤハーネスが保持された梱包資材が積み重ねられた状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1について図1から図6を参照しつつ説明する。
本実施形態は、車両の機器に搭載されるワイヤハーネス40を複数保持する梱包資材10を例示している。
まず、ワイヤハーネス40について説明する。
各ワイヤハーネス40は、図1から図6に示すように、平板状のブラケット50と、ブラケット50に固定されるワイヤハーネス本体60とを備えて構成されている。
各ワイヤハーネス本体60は、複数の電線61を束ねて形成されており、束ねられた電線61の端末には、コネクタ62がそれぞれ設けられている。また、各ワイヤハーネス本体60は、電線61の延び方向の略中央部において二又に分かれた形態とされている。
【0017】
ブラケット50は、合成樹脂製であって、車両に搭載される機器にワイヤハーネス本体60を固定するためのブラケットとされている。また、ブラケット50は、細長いプレート本体51の一端に二又に分岐する一対の分岐プレート52が設けられた形態とされており、ブラケット50の板面上にワイヤハーネス本体60を沿わせて配置することができるようになっている。
プレート本体51において一対の分岐プレート52が設けられた端部には、分岐プレート52側に向かうほど幅広となる略三角形状の幅広部53が形成されており、この幅広部53の両側端部に分岐プレート52がそれぞれ設けられている。
【0018】
一対の分岐プレート52は、プレート本体51の幅広部53から離れるほど互いに離れるように斜め方向に延出する細長い形態をなしている。
また、プレート本体51における長辺方向の両側端部と、分岐プレート52の延出方向略中央部との合計4箇所には、帯状の締付バンド(「締付部材」の一例)55が装着される装着溝54が設けられている。
【0019】
装着溝54は、プレート本体51および分岐プレート52の両側縁において内側に向けて略矩形状に凹んで形成されており、装着溝54が設けられた部分の形状は、プレート本体51および分岐プレート52における他の部分よりも幅狭にくびれた形態とされている。締付バンド55は、ブラケット50とワイヤハーネス本体60とを一括して結束できる長さのバンドとされており、締付バンド55を装着溝54内に嵌め込みつつ、締付バンド55によってブラケット50とワイヤハーネス本体60とを一括して締め付けることで、ワイヤハーネス本体60がブラケット50に固定されている。
また、締付バンド55は、ブラケット50とワイヤハーネス本体60とを結束した状態では、装着溝54の内周縁に係合することで、ワイヤハーネス本体60の延び方向へのずれが防止されている。
【0020】
さて、梱包資材10は、合成樹脂製であって、図1および図6に示すように、複数(本実施形態では4つ)のワイヤハーネス40を一括して囲む枠体11と、ワイヤハーネス40のブラケット50と枠体11とを繋ぐ複数の保持部12とを備えて構成されている。
枠体11は、図1および図2に示すように、ワイヤハーネス40の上下方向の厚み寸法よりも上下方向に大きい横長な略矩形の枠状をなしている。枠体11内には、図3に示すように、ワイヤハーネス40のブラケット50におけるプレート本体51の延び方向と枠体11の短辺側の内面とが平行となるようにして4つのワイヤハーネス40が横並びに配置されている。
【0021】
各保持部12は、図1から図6に示すように、ワイヤハーネス40のブラケット50とほぼ同じ板厚の細長い角柱状に形成されており、枠体11およびブラケット50と一体に形成されている。つまり、ワイヤハーネス40のブラケット50は、樹脂成形によって、梱包資材10の枠体11および保持部12と一体に成形されている。
また、保持部12は、枠体11の長辺側の内面における上下方向略中央部から枠体11の短辺側の内面と平行となるように延びて、その先端からワイヤハーネス40に向けて交差する方向に延びる形態とされており、保持部12の先端がブラケット50の外面に連結している。
【0022】
詳細には、保持部12は、各ワイヤハーネス40に対して複数(本実施形態では3本)設けられている。各ワイヤハーネス40に対して設けられた複数の保持部12のうち、2本の保持部12は、枠体11の長辺側の内面うち一方の内面から延出されてブラケット50のプレート本体51の両側に配されており、残りの1本の保持部12は、枠体11の長辺側の内面における他方の内面から延びて一方の分岐プレート52の側方に配されている。
【0023】
プレート本体51の両側に配された保持部12のうちの一方の保持部12と、分岐プレート52の側方に配された保持部12とは、プレート本体51の幅広部53を挟むようにして幅広部53の両側の外側縁にそれぞれ連結されており、プレート本体51の両側に配された保持部12のうちの残りの保持部12は、プレート本体51の長辺方向における外側縁の略中央部に連結されている。
【0024】
つまり、ワイヤハーネス40は、図1および図6に示すように、プレート本体51とプレート本体51の幅広部53に繋がった3本の保持部12によってのみ支持されることで、枠体11の上下方向略中央部の位置において浮いた状態で保持されている。また、ワイヤハーネス40が枠体11内において保持された状態では、枠体11がワイヤハーネス40の厚み寸法よりも上下方向に大きく形成されているから、枠体11の上下の開口からワイヤハーネス40が上下に突出しないようにワイヤハーネス40が枠体11に覆われた状態となっている。
【0025】
また、各保持部12には、図4に示すように、プレート本体51または幅広部53と隣接した位置に、幅狭な形状をなす易破断部13が設けられている。
易破断部13は、保持部12の先端部における両側の外側縁を内側に向けて凹ませることで他の部分よりも幅方向にくびれた形状をなしており、ブラケット50と同じ板厚寸法でブラケット50に繋がっている。
易破断部13は、例えば、工具などによって容易に切断または破断可能とされており、全ての易破断部13を切断または破断させることで、図5に示すように、梱包資材10からワイヤハーネス40を取り外すことができるようになっている。
【0026】
ところで、ブラケット50を樹脂成形するにあたり、梱包資材10の保持部12は、成形金型内において枠体11の位置からブラケット50の位置まで樹脂を流し込むための樹脂注入路となっている。ここで、本実施形態は、保持部12がプレート本体51の幅広部53やプレート本体51の長辺方向における略中央部の位置に繋がっているから、成形樹脂を、枠体11の位置から保持部12の位置を通してプレート本体51の幅広部53やプレート本体51の長辺方向における略中央部の位置に成形樹脂を流し込むことができる。つまり、成形樹脂をブラケット50における幅広な位置に流し込むことができるから、例えば、保持部がプレート本体の端部や分割プレートの端部に繋がっているものに比べて、成形金型内の隅々にまで成形樹脂を流し込めるようになっている。
【0027】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、ワイヤハーネス40を保持した梱包資材10の組み立て作業について説明すると共に、梱包資材10の作用および効果について説明する。
【0028】
まず、ワイヤハーネス40を組み立てる際には、ブラケット50と、ワイヤハーネス本体60とを用意する。ここで、本実施形態のブラケット50は、樹脂成形によって、梱包資材10の枠体11および保持部12と一体に形成されており、保持部12は、ブラケット50を樹脂成形するにあたり、枠体11の位置からプレート本体51における長辺方向の略中央部やプレート本体51の幅広部53に樹脂を流し込むための樹脂注入路とされている。つまり、本実施形態によると、保持部12によって、ブラケット50のプレート本体51における長辺方向の略中央部やプレート本体51の幅広部53などブラケット50において幅広な部分に成形樹脂を流し込めるから、例えば、保持部がプレート本体の端部や分割プレートの端部に繋がっているものに比べて、成形金型内の隅々にまで成形樹脂を流し込んでブラケット50を成形することができるようになっている。
【0029】
ブラケット50とワイヤハーネス本体60とが用意できたところで、ブラケット50におけるプレート本体51および一対の分岐プレート52の形状に合わせてワイヤハーネス本体60をブラケット50の板面上に配置し、図1から図4に示すように、締付バンド55によってブラケット50とワイヤハーネス本体60とを結束することでワイヤハーネス40を構成する。
【0030】
ここで、本実施形態によると、ブラケット50は、梱包資材10の枠体11および保持部12と一体に樹脂成形され、樹脂成形された時点から梱包資材10の枠体11内に保持固定された状態となっているから、作業台にブラケット50を固定することなく、ワイヤハーネス40の組み立て作業を実施することができる。
つまり、既にブラケット50が枠体11と保持部12とによって支持されており、ブラケット50に対してワイヤハーネス本体60の組み付け作業を直ぐに実施できるから、例えば、梱包資材とは別途成形されたブラケットを作業台に固定し、作業台に固定されたブラケットにワイヤハーネス本体を載置して締付バンドによって固定する場合に比べて、ワイヤハーネス40の組み立て作業の作業効率を向上させることができる。
そして、全てのブラケット50に対してワイヤハーネス本体60を固定することにより、梱包資材10によって覆われて保持されたワイヤハーネス40が完成する。
【0031】
以上の作業を繰り返すことで、ワイヤハーネス40を覆って保持する梱包資材10を複数完成させ、図6に示すように、梱包資材10を複数段に重ねた状態で、梱包箱に詰めて搬送する。
ところで、一般に、ワイヤハーネスが収容された梱包資材を梱包箱に複数段に詰めて搬送する場合、搬送中に梱包資材内においてワイヤハーネスが移動して梱包資材とブラケットとが当接し、当接することで生じた削り屑に起因してワイヤハーネスに不具合が生じることが懸念される。
【0032】
しかしながら、本実施形態によると、ワイヤハーネス40のブラケット50が梱包資材10の保持部12および枠体11と一体となっており、枠体11内においてブラケット50が移動しないから、ブラケット50が梱包資材10に当接することに起因して削り屑が生じることを防止することができる。
これにより、ワイヤハーネス40に不具合が生じたり、ワイヤハーネス40に付着した削り屑に起因して他の機器に不具合が生じたりすることを防ぐことができる。
【0033】
また、本実施形態によると、梱包資材10の枠体11が上下に開口しており、底板などがないから、底板がない分だけ、梱包資材10の上下方向の厚さ寸法を小さくすることができる。すなわち、梱包資材10を小型化できるから、例えば、ワイヤハーネスをトレーに入れて梱包箱に詰める場合に比べて、梱包箱の1箱あたりに収容できるワイヤハーネス40の収容量を多くすることができる。
【0034】
そして、梱包資材10の搬送後に、ワイヤハーネス40を取り外す場合は、保持部12の易破断部13を工具などによって切断したり、易破断部13を折り曲げて破断させたりするだけで、梱包資材10から容易にワイヤハーネス40を取り外すことができる。
ここで、仮に、装着溝の内面に保持部が繋がっている場合、装着溝内に工具を挿入して易破断部を破断させることになるため、工具などによって装着溝を損傷させてしまう嫌いがあるところ、本実施形態によると、図4に示すように、保持部12が、装着溝54とは異なるプレート本体51および分岐プレート52の外側縁に繋がっているから、ブラケット50を損傷させることなく、保持部12からブラケット50を容易に取り外すことができる。
【0035】
さらに、本実施形態によると、梱包資材10から必要な分だけのワイヤハーネス40を切り離して利用することができるから、残ったワイヤハーネス40を梱包箱に片付ける場合においても、例えば、ワイヤハーネスをトレーなどに戻して梱包箱に詰める場合に比べて、保管作業を簡便に行うことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態の梱包資材10によると、ワイヤハーネス40のブラケット50を梱包資材10と一体となるように構成しているから、搬送中に、ワイヤハーネス40のブラケット50と梱包資材10とが当たりあって削り屑が生じることを防ぐことができる。
また、本実施形態によると、ブラケット50を枠体11および保持部12と共に、樹脂成形によって一度に形成しているから、ブラケット50と梱包資材10とを容易に一体に構成することができる。
【0037】
さらに、本実施形態によると、ブラケット50を成形した時から梱包資材10の枠体11内に複数のブラケット50が保持固定されているから、作業台にブラケット50をセットする必要がなく、ブラケット50に対してワイヤハーネス本体60を直ぐに組み付けることができ、ワイヤハーネス40を組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0038】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図7を参照して説明する。
実施形態2の梱包資材110は、実施形態1における枠体11の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0039】
実施形態2の枠体111には、梱包資材10を上下方向に複数段に積層させる際に、上下方向と交差する水平方向に係合することで上下方向に隣り合う枠体111同士の位置ずれを防ぐ位置ずれ防止部114が設けられている。
位置ずれ防止部114は、枠体111の上端部に設けられた係合凸部115と、枠体111の下端部に設けられた係合凹部116とを備えている。
【0040】
係合凸部115は、枠体111の上端部における径方向外側部分を径方向内側部分に比べて一段下がった形態とすることで、枠体111の上端部における径方向内側において全周に亘って上方に突出した形態とされている。一方、係合凹部116は、枠体111の下端部における径方向内側部分を径方向外側部分に比べて一段上がった形態とすることで、枠体111の下端部における径方向内側において全周に亘って凹んだ形態とされており、その凹んだ上下方向の高さ寸法は、係合凸部115の突出寸法とほぼ同じに設定されている。
【0041】
そして、梱包資材110同士を上下方向に積層する際には、下側の梱包資材110の枠体111における係合凸部115を、上側の梱包資材110の枠体111における係合凹部116内に嵌合させる。
係合凸部115と係合凹部116とが全周に亘って嵌合し、梱包資材110同士が上下方向に積層した状態になると、係合凸部115における径方向外側の外周面が係合凹部116の径方向内側の内周面と径方向に係合することで、上下方向に積層された梱包資材110同士が水平方向に位置ずれしないようになる。
【0042】
すなわち、本実施形態によると、梱包資材110を上下方向に複数段に積層しても、上下方向に重なり合った枠体111同士が水平方向に位置ずれすることがないから、複数の梱包資材110を積層して保管したり、複数の梱包資材110を積層して梱包箱に詰めたりする際に、梱包資材110が崩れてしまうことを防ぐことができる。
【0043】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0044】
(1)上記実施形態では、ブラケット50全体を合成樹脂によって構成した。しかしながら、これに限らず、ブラケットの中央部分を金属のプレートによって構成し、プレートの外周縁を樹脂によって覆うことで、ブラケットと保持部とを一体に構成してもよい。
(2)上記実施形態では、3本の保持部12よってワイヤハーネス40を支持する構成とした。しかしながら、これに限らず、2本の保持部や4本以上の保持部でワイヤハーネスを支持する構成にしてもよい。
(3)上記実施形態では、保持部12の外側縁を内側に凹ませて幅方向にくびれた易破断部13を構成した。しかしながら、これに限らず、易破断部は、上下方向にくびれた形状でもよく、全ての方向にくびれた形状に構成してもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、枠体11内に4つのワイヤハーネス40を横並びに保持した構成とした。しかしながら、これに限らず、枠体内にワイヤハーネスを縦横に複数段に並べた構成にしてもよく、枠体内にワイヤハーネスを1つや3つ保持する構成にしてもよい。
(5)上記実施形態では、ブラケット50におけるプレート本体51の外側縁や幅広部53の外側縁に保持部12を連結した構成とした。しかしながら、これに限らず、装着溝の幅寸法を大きくするなどして工具による破損を回避しつつ、保持部を装着溝内に連結する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10,110:梱包資材
11,111:枠体
12:保持部
13:易破断部
40:ワイヤハーネス
50:ブラケット
54:装着溝
55:締付バンド(締付部材)
60:ワイヤハーネス本体
61:電線
114:位置ずれ防止部
115:係合凸部(位置ずれ防止部)
116:係合凹部(位置ずれ防止部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7