(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、金属製の第一シールド部材及び第二シールド部材において、表面に酸化物の膜が形成されることがある。第一シールド部材と第二シールド部材との接触部分において、そのような膜が第一シールド部材及び第二シールド部材の少なくとも一方に形成されている場合、接触抵抗が増大し、シールド性能の低下が懸念される。
【0006】
本発明は、第一シールド部材及び第二シールド部材を含む電磁シールド部材において、それらの接続部分における表面の酸化物の膜を除去して、接触抵抗の増大を抑制し、シールド性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る電磁シールド部材は、柔軟な筒状の金属の部材である第一シールド部材と、前記第一シールド部材との接続面に形成された凹部を含む金属の筒体を含み、前記第一シールド部材よりも硬い第二シールド部材と、前記第一シールド部材を前記第二シールド部材の前記接続面に押し付けて、前記第一シールド部材と前記第二シールド部材とを接続する接続部材と、を備え
、前記第二シールド部材は、複数の前記凹部を含み、前記第一シールド部材は、筒状に集合された複数の素線を含み、前記複数の凹部の深さが、前記素線の外径よりも小さい。
【0008】
第2態様に係る電磁シールド部材は、第1態様に係る電磁シールド部材の一態様である。第2態様に係る電磁シールド部材においては、前記第一シールド部材と前記第二シールド部材における前記筒体とが同じ種類の金属の部材である。
【0009】
第3態様に係る電磁シールド部材は、第1態様又は第2態様に係る電磁シールド部材の一態様である。第3態様に係る電磁シールド部材においては、前記凹部の先端の縁部が角張っている。
【0010】
第4態様に係る電磁シールド部材は、第1態様から第3態様のいずれか1つに係る電磁シールド部材の一態様である。第4態様に係る電磁シールド部材においては、前記凹部が、前記接続面の全周に亘って一連に形成されている。
【0011】
第5態様に係る電磁シールド部材は、第1態様から第4態様のいずれか1つに係る電磁シールド部材の一態様である。第5態様に係る電磁シールド部材においては、前記接続部材の前記第一シールド部材側の周面に、前記凹部に嵌り込む突部が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
上記の各態様においては、接続部材によって第一シールド部材が第二シールド部材に押し付けられる際に、第一シールド部材が、第二シールド部材の接続面に形成された凹部の縁部に当たって、表面若しくは全体が引き伸ばされる。これにより、第一シールド部材、第二シールド部材又は両方の表面の酸化物の膜が除去され、良好な接触状態を得ることができる。この場合、接触抵抗の増大を抑制し、シールド性能の低下を抑制することが可能となる。
【0015】
また、第2態様において、第一シールド部材と第二シールド部材における筒体とが同じ種類の金属の部材である。この場合、第一シールド部材と第二シールド部材との接続部分における異種金属接触腐食を抑制できる。
【0016】
また、第3態様においては、凹部は、その先端の縁部が角張っている。この場合、第一シールド部材がより強く凹部の縁部に接触するため、酸化物の膜をより除去できる。
【0017】
また、第4態様においては、凹部が、筒体の全周に亘って接続面に形成されている。この場合、より多くの領域で第一シールド部材と第二シールド部材との良好な接触状態を得ることができる。
【0018】
また、第5態様において接続部材の第一シールド部材側の周面に、凹部に嵌り込む突部が形成されている。この場合、第一シールド部材が、接続部材の周面の突部に沿う形状に引き伸ばされ、より強く第二シールド部材の凹部の縁部に当たる。このため、表面の酸化物の膜をより除去することができる。
【0019】
また、
各態様において、第二シールド部材は、複数の凹部を含む。この場合、表面の酸化物の膜をより除去することができる。
【0020】
また、
各態様において、複数の凹部の深さが、素線の外径よりも小さい。この場合、接続部材が、凹部にはまった素線を第二シールド部材に押し付けられないといった状況の発生を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1〜4を参照しつつ、第1実施形態に係る電磁シールド部材100について説明する。電磁シールド部材100は、柔軟な筒状の金属の部材である第一シールド部材1と、第一シールド部材1よりも硬い第二シールド部材2と、第一シールド部材1と第二シールド部材2とを接続する接続部材3と、を備える。
【0024】
図1は、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続部材3によって接続された状態の電磁シールド部材100の断面図である。
図2は、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが未接続状態の電磁シールド部材100の断面図である。
図3,4は、ともに第一シールド部材1と第二シールド部材2との接続部分を拡大した図である。
図3は、
図2の一部を拡大した図である。
図4は、
図1の一部を拡大した図である。
【0025】
電磁シールド部材100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。電磁シールド部材100は、電線9の周囲を囲み電磁ノイズを遮蔽する。電線9は、例えば、銅又はアルミニウム等の金属を主成分とする芯線とこの芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを備えた絶縁電線あることが考えられる。絶縁被覆は、樹脂製の絶縁部材である。なお、
図1において、電線9が仮想線(二点鎖線)で示されている。
【0026】
はじめに、電磁シールド部材100における第一シールド部材1について説明する。第一シールド部材1は、柔軟な筒状の金属の部材である。ここでは、第一シールド部材1が、アルミニウムの部材である場合を説明する。この場合、アルミニウムは比較的酸化し易い金属なため、その表面に酸化物の膜が生じやすい。
【0027】
なお、第一シールド部材1が、アルミニウム以外の金属、例えば、銅の部材である場合等も考えられる。
【0028】
本実施形態では、第一シールド部材1は、筒状に集合された複数の素線10を含む。例えば、第一シールド部材1は、複数の素線10が編まれることで筒状に形成されている場合が考えられる。なお、第一シールド部材1が、複数の素線10が互いに平列した状態で筒状に形成されている場合等も考えられる。
【0029】
次に、電磁シールド部材100における第二シールド部材2について説明する。第二シールド部材2は、金属の筒体を含み、第一シールド部材1よりも硬い部材である。ここでは、第二シールド部材2が、金属の筒体、即ち、金属パイプである場合を説明する。なお、第二シールド部材2が、金属の筒体の他に、外周面に形成された樹脂層(絶縁層)を含む場合も考えられる。また、例えば、樹脂層が橙色である場合、高電圧及び大電流であることを作業者に示すことも可能である。
【0030】
また、本実施形態では、第一シールド部材1と第二シールド部材2における筒体とが同じ種類の金属の部材である。即ち、ここでは、第二シールド部材2は、アルミニウムのパイプである。第一シールド部材1と第二シールド部材2とが同じ種類の金属の部材である場合、異種金属接触腐食を抑制できる。
【0031】
そして、第二シールド部材2においては、第一シールド部材1との接続面に凹部21が形成されている。ここでは、
図1,2に示されるように、第二シールド部材2の外周面側で第一シールド部材1が接続される。即ち、第一シールド部材1との接続面は、第二シールド部材2の端部における外周面である。しかしながら、第二シールド部材2の内周面側で第一シールド部材1が接続される場合も考えられる。この場合、第一シールド部材1との接続面は、第二シールド部材2の端部における内周面である。なお、凹部21については、後述する。
【0032】
次に、接続部材3について説明する。接続部材3は、第一シールド部材1を第二シールド部材2の接続面に押し付けて接続する部材である。ここでは、
図1,2に示されるように、接続部材3は、第一シールド部材1を囲む環状の部材である。
【0033】
本実施形態では、第一シールド部材1の内周側の面が第二シールド部材2の接続面に接触した状態で、第一シールド部材1の周囲を囲むように配設された環状の接続部材3がかしめられる。これにより、第一シールド部材1が第二シールド部材2の接続面に強く押し付けられ、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続する。
【0034】
接続部材3は、例えば、かしめられた状態を維持する塑性変形可能な部材である。例えば、接続部材3は、比較的剛性の高い金属の部材であることが考えられる。例えば、接続部材3は、鉄を主成分とする部材(ステンレス)であることが考えられる。また、この場合、接続部材3が、錫等の金属でメッキされていることも考えられる。
【0035】
また、例えば、接続部材3の第一シールド部材1側の周面の第一層を構成する金属と第一シールド部材を構成する金属との標準電極電位差が、第一層以外の部分である第二層を構成する金属と第一シールド部材を構成する金属との標準電極電位差よりも小さいことも考えられる。この場合、第一シールド部材1と
接続部材3との間の腐食を抑制できる。なお、第一層を、メッキ層と称してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、接続部材3の内周面は、滑らかな湾曲面に形成されている。即ち、内周面に凸状の突出部等が形成されていない。しかしながら、接続部材3の内周面に突出部が形成されている場合も考えられる。詳細については、後述する。
【0037】
次に、凹部21について説明する。本実施形態では、凹部21は、第二シールド部材2の外周面側で凹状を成す部分である。なお、第一シールド部材1が第二シールド部材2の内周面側で接続される場合、凹部21は、第二シールド部材2の内周面側で凹状を成す部分であることが考えられる。
【0038】
本実施形態において、凹部21は、接続部材3によってかしめられる際に、第一シールド部材1の素線10に接触し、素線10の表面の酸化物の膜を除去することが可能な部分である。電磁シールド部材100においては、凹部21の縁部に素線10が接触した状態で、接続部材3によってかしめられることで、素線10の表面が引き伸ばされ、酸化物の膜が除去される。これにより、新生面が露出する。そして、その新生面と第二シールド部材2とを接触させることで良好な接続状態を得ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、凹部21の先端の縁部が角張って形成されている。この場合、素線10の表面が凹部21の先端の角張った縁部によって削られることで、より確実に酸化物の膜を除去することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態では、
図3,4に示されるように、第二シールド部材2の延在方向に沿う切断線で切断された断面図において、凹部21間の部分(凸部22)は矩形状に形成されている。この場合、接続部材3がかしめられる前においては、素線10が凸部22の先端の平面に接した状態で配設される。そして、凸部22の先端の平面に素線10が配設された状態から接続部材3にかしめられることで、素線10が引き伸ばされ、凹部21の先端の縁部に強く押し当てられる。これにより、素線10の表面の酸化物の膜が除去される。なお、本実施形態において、凸部22は、接続面に形成され、第二シールド部材2の周方向に沿って全周に亘る一連の凸状の部分である。また、後述するように、ここでは、接続面には複数の凸部22が形成されている。
【0041】
なお、別の態様として、凹部21間の部分である凸部22が、第二シールド部材2の延在方向に沿う切断線で切断された断面図において、台形状に形成されている場合も考えられる。また、凸部22が、第二シールド部材2の延在方向に沿う切断線で切断された断面において、三角形状又は五角形状等、他の多角形状に形成されている場合も考えられる。
【0042】
また、本実施形態において、凹部21は、接続面の全周に亘って一連に形成されている。即ち、凹部21は、第二シールド部材2の周方向に沿って一連に形成され、接続面の全周に亘って形成されている。この場合、接続面の全周に亘って第一シールド部材1の素線10の表面の酸化物の膜を除去できる。
【0043】
なお、接続面に形成された凹部21が、第二シールド部材2の周方向における一部に形成されていることも考えられる。詳しくは後述する。
【0044】
また、本実施形態において、第二シールド部材2は、複数の凹部21を含む。これにより、接続面には、複数の凸部22も形成される。複数の凹部21は、第二シールド部材2の延在方向に沿って並んで形成されている。この場合、第二シールド部材2の延在方向における比較的広い領域で第一シールド部材1と接続させることができる。
【0045】
なお、別の態様として、一の凹部21が、第二シールド部材2の延在方向に沿って螺旋状に形成されている場合も考えられる。また、第二シールド部材2の周方向における一部の領域に形成された凹部21が、第二シールド部材2の周方向において複数点在して形成される場合も考えられる。
【0046】
また、本実施形態において、接続面に形成された凹部21は、例えば、滑らかな湾曲面の接続面にプレス加工が行われることで形成されることが考えられる。
【0047】
また、本実施形態において、凹部21は、その深さが、第一シールド部材1の素線10の外径よりも小さい溝である。換言すれば、凸部22の深さが、第一シールド部材1の素線10の外径よりも
小さい。この場合、接続部材3でかしめられる際に、凹部21に素線10全体がはまり、接続部材3で素線10が第二シールド部材2に押し付けられないといった状況を回避できる。
【0048】
また、本実施形態では、
図3,4に示されるように、凹部21は、第二シールド部材2の延在方向において素線10の外径よりも広い幅を有している。しかしながら、凹部21が、素線10の外径よりも狭い幅の溝である場合も考えられる。例えば、凹部21が筋状の溝である場合も考えられる。
【0049】
また、本実施形態では、
図3,4に示されるように、凹部21は、3つの平面がそれぞれ直角を成して連なる溝である。しかしながら、凹部21が、第二シールド部材2の延在方向に沿う切断線で切断された断面において、U字状の溝である場合又はV字状の溝である場合等も考えられる。
【0050】
次に
図3,4を参照しつつ、第一シールド部材1と第二シールド部材2が接続部材3によって接続された電磁シールド部材100について説明する。本実施形態において、電磁シールド部材100を得るためには、まず、第二シールド部材2における凹部21が形成された接続面に、第一シールド部材1の内周側の部分が接触するように、第一シールド部材1が被せられる。そして、第二シールド部材2の接続面に被せられた第一シールド部材1の周囲にかしめられる前の状態の接続部材3が設けられる。
【0051】
本実施形態では、接続部材3がかしめられる前において、
図3に示されるように、第一シールド部材1は、接続面の凸部22の先端の平面に接触している。即ち、接続部材3がかしめられる前においては、第一シールド部材1の素線10は、凹部21側に入り込まず、凸部22の先端と接続部材3の内周面との間に介在している。なお、
図3において、素線10は仮想線(二点鎖線)で示されている。
【0052】
そして、接続部材3がかしめられることで第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続される。ここでは、図
4に示されるように、接続部材3がかしめられることで、接続部材3の内周面によって押された素線10は、引き伸ばされ、凸部22間の凹部21側に押し込まれる。
【0053】
このとき、凹部21の先端の縁部に、素線10が強く接触する。ここでは、凹部21の先端の縁部が角張って形成されているため、素線10は、比較的強く接触する。これにより、素線10の表面の酸化物の膜がより削られ、除去される。
【0054】
そして、接続部材3のかしめ作業が完了した状態では、接続部材3の内周面が、第一シールド部材1を第二シールド部材2の接続面に強く押し付けた状態で、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続される。なお、ここでは、
図4に示されるように、第一シールド部材1を凹部21に押し込んで第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続される場合が示されている。
【0055】
<効果>
本実施形態では、接続部材3によって第一シールド部材1が第二シールド部材2に押し付けられる際に、第一シールド部材1が、第二シールド部材2の接続面に形成された凹部21の縁部に当たって引き伸ばされる。これにより、第一シールド部材1、第二シールド部材2又は両方の表面の酸化物の膜が除去され、良好な接触状態を得ることができる。この場合、接触抵抗の増大を抑制し、シールド性能の低下を抑制することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態において、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが同じ種類の金属の部材である。この場合、第一シールド部材1と第二シールド部材2との接続部分における異種金属接触腐食を抑制できる。このため、第一シールド部材1と第二シールド部材2との接続部分を覆うグロメット又はゴムブーツ等の防水構造を不要とすることもできる。この場合、部品点数の増大及び接続部分の大型化を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、凹部21は、その先端の縁部が角張っている。この場合、接続部材3がかしめられる際に、第一シールド部材1がより強く凹部21の縁部に接触するため、酸化物の膜をより除去できる。即ち、第一シールド部材1と第二シールド部材2との接触状態をより良好なものにすることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、凹部21が、筒体(第二シールド部材2)の全周に亘って接続面に形成されている。この場合、表面の酸化物の膜をより除去することができ、より多くの領域で第一シールド部材1と第二シールド部材2との良好な接触状態を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態において、第二シールド部材2は、複数の凹部21を含む。この場合、表面の酸化物の膜をより除去することができ、より多くの領域で第一シールド部材1と第二シールド部材2との良好な接触状態を得ることができる。
【0060】
また、本実施形態において、複数の凹部21の深さが、素線10の外径よりも小さい。この場合、素線10の全体が、凹部21にはまる状況を回避できる。即ち、接続部材3が、凹部21にはまった素線10を第二シールド部材2に押し付けられないといった状況を抑制できる。この場合、第一シールド部材1を第二シールド部材2の接続面により強く押し付けることができるため、より確実に良好な接触状態を得ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、第一シールド部材1は、アルミニウムの部材である。この場合、第一シールド部材1の表面には、酸化物の膜が生じやすい。従って、本実施形態の電磁シールド部材100がより有効である。
【0062】
<第2実施形態>
次に、
図5を参照しつつ、第2実施形態に係る電磁シールド部材200について説明する。電磁シールド部材200は、接続部材3と異なる構造の接続部材3Aを備える点で第1実施形態と異なる。
図5は、電磁シールド部材200における第一シールド部材1と第二シールド部材2との接続部分を拡大した断面図である。なお、
図5において、
図1〜4に示される構成要素と同じ構成要素には、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
【0063】
電磁シールド部材200は、第一シールド部材1と第二シールド部材2と接続部材3Aとを備える。第一シールド部材1及び第二シールド部材2については第1実施形態と同様の構造であるため説明を省略する。
【0064】
本実施形態においては、接続部材3Aの第一シールド部材1側の周面(ここでは内周面)に、凹部21に嵌り込む突部31が形成されている。即ち、本実施形態において、突部31は、接続部材3Aの内周面側で凸状を成す。なお、ここでは、第二シールド部材2には、複数の凹部21が形成されている。このため、接続部材3Aの内周面には、複数の突部31が形成されている。
【0065】
ここでは、接続部材3Aが第一シールド部材1及び第二シールド部材2にかしめられたときに、接続部材3Aに形成された突部31が、第二シールド部材2に形成された凹部21に一致するように形成されている。即ち、突部31は、接続部材3Aの周方向に沿って全周に亘って一連に形成されている。
【0066】
また、本実施形態において、接続部材3Aには、突部31によって分けられた溝部32が形成されている。溝部32は、接続部材3Aの内周面側において凹状に形成されている。ここでは、接続部材3Aが第一シールド部材1及び第二シールド部材2にかしめられた状態で、凸部22が溝部32に収容される。
【0067】
電磁シールド部材200においては、接続部材3Aがかしめられる際に、接続部材3Aの内周面に形成された突部31によって素線10が、接続部材3の内周面の突部31に沿う形状に引き伸ばされ、より強く凹部21の縁部に接触する。これにより、第一シールド部材1の素線10を、より効率的に凹部21側に押し込むことが可能となる。このため、表面の酸化物の膜をより除去することができる。
【0068】
本実施形態においても、第一シールド部材1及び第二シールド部材2の少なくとも一方の表面の酸化物の膜が除去された状態で、第一シールド部材1と第二シールド部材2とを接続することができ、良好な接触状態を得ることができる。この場合、接触抵抗の増大を抑制し、シールド性能の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
<第3実施形態>
次に、
図6,7を参照しつつ、第3実施形態に係る電磁シールド部材300について説明する。電磁シールド部材300は、第二シールド部材2と異なる構造の第二シールド部材2Bを備える点で第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
図6は、第二シールド部材2Bの側方斜視図である。
図7は、電磁シールド部材300における第一シールド部材1と第二シールド部材2Bとの接続部分を拡大した断面図である。
図7は、第二シールド部材2の延在方向に直交する方向に沿う切断線に沿って切断した断面図である。なお、
図6,7において、
図1〜5に示される構成要素と同じ構成要素には、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明する。
【0070】
電磁シールド部材300は、第一シールド部材1と第二シールド部材2Bと接続部材3とを備える。第一シールド部材1及び接続部材3については第1実施形態と同様の構造であるため説明を省略する。
【0071】
本実施形態においても、第二シールド部材2Bの外周面側で第一シールド部材1が接続される。即ち、第一シールド部材1との接続面は、第二シールド部材2Bの端部の外周面である。そして、本実施形態では、第二シールド部材2Bの接続面には、凹部21と異なる構造の凹部21Bが形成されている。
【0072】
図6に示されるように、本実施形態において、凹部21Bは、第二シールド部材2Bの外周面側から内周面側へ凹む窪みである。そして、凹部21Bは、接続面に複数形成されている。ここでは、
図6,7に示されるように、第二シールド部材2Bの周方向に沿って複数の凹部21Bが並んで形成されている。
【0073】
ここで、第二シールド部材2Bの周方向に沿う複数の凹部21Bを、一組の凹部21B群と称する。このとき、本実施形態では、
図6,7に示されるように、一組の凹部21B群が、第二シールド部材2Bの延在方向に沿って複数並んで形成されている。
【0074】
なお、一組の凹部21B群において、複数の凹部21Bが、等間隔に並んで形成されている場合又は不規則に並んで形成されている場合が考えられる。
【0075】
また、複数の凹部21Bが、第二シールド部材2Bの接続面に不規則に点在して形成されていることも考えられる。
【0076】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、凹部21Bは、矩形状に形成された窪みである。しかしながら、凹部21Bが、丸形状又は角丸四角形状の窪みである場合も考えられる。また、凹部21Bが、矩形状以外の多角形状の窪みである場合も考えられる。
【0077】
また、凹部21Bは、例えば、プレス加工によって形成されることが考えられる。
【0078】
本実施形態においても、第一シールド部材1の内周側の面が第二シールド部材2の接続面に接触した状態で、第一シールド部材1の周囲を囲むように配設された環状の接続部材3がかしめられる。このとき、第一シールド部材1の素線10は、凹部21Bの縁部に接触した状態で、接続部材3によってかしめられる。これにより、素線10の表面が引き伸ばされて、酸化物の膜が除去され、新生面が露出する。そして、その新生面と第二シールド部材2Bとを接触させることで良好な接続状態を得ることができる。
【0079】
以上のように、本実施形態でも、接続部材3によって第一シールド部材1が第二シールド部材2Bに押し付けられる際に、第一シールド部材1が、第二シールド部材2Bの接続面に形成された凹部21Bの縁部に当たって引き伸ばされる。これにより、第一シールド部材1、第二シールド部材2B又は両方の表面の酸化物の膜が除去され、良好な接触状態を得ることができる。この場合、接触抵抗の増大を抑制し、シールド性能の低下を抑制することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態において、複数の凹部21Bが、第二シールド部材2Bの周方向において並んで形成されているため、第一シールド部材1の素線10に接触可能な凹部21Bの縁部の数を増やすことができる。
【0081】
なお、第3実施形態における接続部材3の代わりに、第2実施形態における接続部材3Aが採用されてもよい。この場合、接続部材3Aの突部31は、第二シールド部材2Bの周方向において点在する凹部21Bに収容可能な位置及び形状に形成されていることが考えられる。
【0082】
<応用例>
サンドブラストによって、第二シールド部材2の接続面に凹部21が形成される場合も考えられる。この場合、研磨剤が吹き付けられることで接続面に凹凸が形成される。即ち、接続面がざらざらとなる。ここでは、接続面を拡大して見たときに、凹形状を成す部分が凹部21を成し、凹部21の周りの凸形状の部分が凸部22を成す。
【0083】
また、接続部材3が、第一シールド部材1よりも柔らかい部材、例えば、樹脂製の部材等である場合も考えられる。この場合、接続部材3自身が変形しつつ、第一シールド部材1が第二シールド部材2に押し付けられて、第一シールド部材1と第二シールド部材2とが接続する。
【0084】
なお、本発明に係る電磁シールド部材は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態および応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態および応用例を適宜、変形するまたは一部を省略することによって構成されることも可能である。