【実施例】
【0077】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0078】
参考例1
(ハイドロタルサイトの水スラリーの調製)
3.8モル/L濃度の硫酸マグネシウム水溶液2.6Lと0.85モル/L濃度の硫酸アルミニウム水溶液2.6Lとの混合溶液と9.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液2.8Lと2.54モル/L濃度の炭酸ナトリウム水溶液2.6Lとの混合溶液を攪拌下に同時に反応器に加えた後、180℃で2時間水熱反応を行った。反応終了後、得られたスラリーを濾過、水洗した後、乾燥、粉砕して、Mg
0.7 Al
0.3 (OH)
2 (CO
3)
0.15・0.48H
2O なる組成を有するハイドロタルサイトを得た。このハイドロタルサイトを水に懸濁させて、ハイドロタルサイトの水スラリー(123g/L)を得た。
【0079】
参考例2
(水酸化マグネシウムの水スラリーの調製)
水5Lを反応器に仕込み、これに4モル/Lの塩化マグネシウム水溶液16.7Lと14.3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液8.4Lとを撹拌下に同時に加えた後、170℃で0.5時間水熱反応を行った。このようにして得られた水酸化マグネシウムを濾過、水洗し、得られたケーキを水に再び懸濁させて、水酸化マグネシウムの水スラリー(123g/L)を得た。
【0080】
実施例1
(粒子状チタン酸触媒Aの調製)
参考例1で得られたハイドロタルサイトの水スラリー(123g/L)9.0Lを25L容量の反応器に仕込んだ。四塩化チタン水溶液((株)大阪チタニウムテクノロジーズ製、TiO
2 換算で69.2g/L)3.2Lと水酸化ナトリウム水溶液((株)トクヤマ製、NaOH換算で99.6g/L)3.2Lを同時に上記ハイドロタルサイトの水スラリーにそのpHが9.0になるように8時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成して、ハイドロタルサイト粒子の表面にチタン酸被覆層を形成した。
【0081】
このようにして得られた表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子の水スラリーを濾過し、得られたケーキを水洗し、乾燥し、得られた乾燥物を解砕して、表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子からなる粒子状チタン酸触媒Aを得た。この粒子状チタン酸触媒におけるチタン酸被覆の割合はハイドロタルサイト100重量部に対してTiO
2換算で20重量部であった。
【0082】
(ポリエステルa−1の製造)
ビスヒドロキシエチルテレフタレート(ペットリファインテクノロジー(株)製、以下、同じ)500gを1L重縮合反応槽に仕込み、窒素ガス流通下、撹拌しながら、加熱して、上記ビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融させ、更に、240℃まで昇温した。
【0083】
粒子状チタン酸触媒Aの0.019g(得られるポリエステルに対して50ppm、チタン換算で5ppm)と平均粒子径が0.15μmの窒化チタン(和光純薬(株)製、以下、同じ)0.0025g(得られるポリエステルに対して6.5ppm、チタン換算で5ppm)を予めエチレングリコールに分散させてスラリーとし、このスラリーを上記反応槽に加え、その10分後に安定剤として85重量%濃度のリン酸水溶液(和光純薬(株)製、以下、同じ)0.028g(リン酸0.024g、リンとして得られるポリエステルに対して20ppm)を予めエチレングリコールに溶解させた溶液を加えた。
【0084】
この後、反応槽を1時間かけて240℃から280℃まで昇温すると同時に、1時間かけて常圧から130Paに減圧し、この温度と圧力を維持しながら、撹拌機のモーターにかかる負荷が所定値になるまで、溶融重縮合反応を行った。
【0085】
重縮合反応の終了後、反応槽内を窒素ガスで常圧に戻し、得られた溶融状態のポリエステルを反応槽の底部の抜出し口からストランド状に吐出させ、冷却し、切断してポリエステルa−1のペレットを得た。
【0086】
このようなビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合によるポリエステルの製造における溶融重縮合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0087】
(ポリエステルa−1の耐熱試験)
耐熱試験として、上記ポリエステルa−1のペレット50gを磁性皿に入れ、大気中、電気炉を用いて、3時間かけて、205℃まで昇温し、この温度で16時間、加熱した。このような耐熱試験前後のポリエステルのペレットの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0088】
(ポリエステルa−2の製造)
上記原料ポリエステルa−1のペレット20gを固定床流通反応器に仕込んだ後、窒素気流下、160℃で4時間かけて乾燥させ、更に、190℃で1時間かけて結晶化させた。このように処理したポリエステルのペレットを窒素気流下、208℃で18時間加熱し、ポリエステルの固相重縮合を行って、ポリエステルa−2のペレットを得た。
【0089】
原料ポリエステルa−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルa−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差(△IV)、原料ポリエステルa−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルa−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。上記固有粘度差(△IV)とは、固相重縮合によって得られたポリエステルa−2の固有粘度から原料ポリエステルa−1の固有粘度を減じた値である。
【0090】
(ポリエステルa−2の耐熱試験)
上記ポリエステルa−2について、上記ポリエステルa−1の耐熱試験と同じ方法によって耐熱試験を行った。このような耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0091】
実施例2
(ポリエステルb−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0049g(得られるポリエステルに対して13ppm、チタン換算で10ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルb−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0092】
上記ポリエステルb−1について、ポリエステルa−1と同じ方法にて耐熱試験を行って、耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0093】
(ポリエステルb−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルb−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルb−2のペレットを得た。
【0094】
原料ポリエステルb−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルb−2のそれぞれの固有粘度、固相重縮合速度、原料ポリエステルb−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルb−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0095】
上記ポリエステルb−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0096】
実施例3
(ポリエステルc−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0098g(得られるポリエステルに対して26ppm、チタン換算で20ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルc−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0097】
上記ポリエステルc−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0098】
(ポリエステルc−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルc−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルc−2のペレットを得た。
【0099】
原料ポリエステルc−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルc−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルc−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルc−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0100】
上記ポリエステルc−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行って、このような耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0101】
実施例4
(粒子状チタン酸触媒Bの調製)
参考例2で得られた水酸化マグネシウムの水スラリー(123g/L)9.0Lを25L容量の反応器に仕込んだ。四塩化チタン水溶液(TiO
2 換算で69.2g/L)3.2Lと水酸化ナトリウム水溶液(NaOH換算で99.6g/L)3.2Lを同時に上記四塩化チタン水溶液にそのpHが10.0になるように8時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面にチタン酸被覆層を形成した。
【0102】
このようにして得られた表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子の水スラリーを濾過し、得られたケーキを水洗し、乾燥し、得られた乾燥物を解砕して、表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子からなる粒子状チタン酸触媒Bを得た。この粒子状チタン酸触媒におけるチタン酸被覆の割合は水酸化マグネシウム100重量部に対してTiO
2換算で20重量部であった。
【0103】
(ポリエステルd−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Bの0.019g(得られるポリエステルに対して50ppm、チタン換算で5ppm)と窒化チタン0.0025g(得られるポリエステルに対して6.5ppm、チタン換算で5ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルd−1のペレットを得た。
【0104】
このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0105】
上記ポリエステルd−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0106】
(ポリエステルd−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルd−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルd−2のペレットを得た。
【0107】
原料ポリエステルd−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルd−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルd−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルd−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0108】
上記ポリエステルd−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行って、このような耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0109】
実施例5
(ポリエステルe−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0049g(得られるポリエステルに対して13ppm、チタン換算で10ppm)を用いた以外は、実施例4と同様にして、ポリエステルe−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0110】
上記ポリエステルe−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0111】
(ポリエステルe−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルe−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルe−2のペレットを得た。
【0112】
原料ポリエステルe−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルe−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルe−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルe−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0113】
上記ポリエステルe−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb* 値の変化量(△b*)を表4に示す。
【0114】
実施例6
(ポリエステルf−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0098g(得られるポリエステルに対して26ppm、チタン換算で20ppm)を用いた以外は、実施例4と同様にして、ポリエステルf−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0115】
上記ポリエステルf−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0116】
(ポリエステルf−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルf−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルf−2のペレットを得た。
【0117】
原料ポリエステルf−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルf−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルf−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルf−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0118】
上記ポリエステルf−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0119】
実施例7
(ポリエステルk−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0015g(得られるポリエステルに対して3.9ppm、チタン換算で3ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルk−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0120】
上記ポリエステルk−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0121】
(ポリエステルk−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルk−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルk−2のペレットを得た。
【0122】
原料ポリエステルk−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルk−2のそれぞれの固有粘度、固相重縮合速度、原料ポリエステルk−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルk−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0123】
上記ポリエステルk−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0124】
実施例8
(ポリエステルl−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、窒化チタン0.0015g(得られるポリエステルに対して3.9ppm、チタン換算で3ppm)を用いた以外は、実施例4と同様にして、ポリエステルl−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0125】
上記ポリエステルl−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0126】
(ポリエステルl−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルl−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルl−2のペレットを得た。
【0127】
原料ポリエステルl−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルl−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルl−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルl−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0128】
上記ポリエステルl−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0129】
実施例9
(ポリエステルm−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Aの0.008g(得られるポリエステルに対して20ppm、チタン換算で2ppm)、窒化チタン0.0025g(得られるポリエステルに対して6.5ppm、チタン換算で5ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルm−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0130】
上記ポリエステルm−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0131】
(ポリエステルm−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルm−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルm−2のペレットを得た。
【0132】
原料ポリエステルm−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルm−2のそれぞれの固有粘度、固相重縮合速度、原料ポリエステルm−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルm−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0133】
上記ポリエステルm−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0134】
実施例10
(ポリエステルn−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Aの0.189g(得られるポリエステルに対して500ppm、チタン換算で50ppm)、窒化チタン0.0098g(得られるポリエステルに対して26ppm、チタン換算で20ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルn−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0135】
上記ポリエステルn−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0136】
(ポリエステルn−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルn−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルn−2のペレットを得た。
【0137】
原料ポリエステルn−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルn−2のそれぞれの固有粘度、固相重縮合速度、原料ポリエステルn−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルn−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0138】
上記ポリエステルn−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0139】
比較例1
(ポリエステルg−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Aの0.019g(得られるポリエステルに対して50ppm、チタン換算で5ppm)を用いたが、窒化チタンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルg−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0140】
上記ポリエステルg−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後の色調b
*の変化(△b
*)を表2に示す。
【0141】
(ポリエステルg−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルg−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルg−2のペレットを得た。
【0142】
原料ポリエステルg−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルg−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルg−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルg−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0143】
上記ポリエステルg−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0144】
比較例2
(ポリエステルh−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Bの0.019g(得られるポリエステルに対して50ppm、チタン換算で5ppm)を用いたが、窒化チタンを用いなかった以外は、実施例4と同様にして、ポリエステルh−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0145】
上記ポリエステルh−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0146】
(ポリエステルh−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルh−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルh−2のペレットを得た。
【0147】
原料ポリエステルh−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルh−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルh−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルh−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0148】
上記ポリエステルh−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0149】
比較例3
(ポリエステルi−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、触媒として、窒化チタン0.049g(得られるポリエステルに対して130ppm、チタン換算で100ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルi−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度、色調を表1に示す。
【0150】
上記ポリエステルi−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0151】
(ポリエステルi−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルi−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルi−2のペレットを得た。
【0152】
原料ポリエステルi−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルi−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルi−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルi−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0153】
上記ポリエステルi−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0154】
比較例4
(ポリエステルj−1の製造方法)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Aの0.019g(得られるポリエステルに対して50ppm、チタン換算で5ppm)と共に、窒化チタンに代えて、青色色調調整剤であるソルベント・ブルー104の0.0006g(得られるポリエステルに対して1.5ppm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルj−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度、色調を表1に示す。
【0155】
上記ポリエステルj−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表2に示す。
【0156】
(ポリエステルj−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルj−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルj−2のペレットを得た。
【0157】
原料ポリエステルj−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルj−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルj−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルj−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0158】
上記ポリエステルj−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0159】
比較例5
(ポリエステルo−1の製造とその耐熱試験)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの溶融重縮合において、粒子状チタン酸触媒Aの0.189g(得られるポリエステルに対して500ppm、チタン換算で50ppm)を用いたが、窒化チタンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルo−1のペレットを得た。このようなポリエステルの製造における溶融重合時間、得られたポリエステルの固有粘度及び色調を表1に示す。
【0160】
上記ポリエステルo−1について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後の色調b
*の変化(△b
*)を表2に示す。
【0161】
(ポリエステルo−2の製造とその耐熱試験)
上記ポリエステルo−1のペレットを実施例1と同様にして固相重縮合させて、ポリエステルo−2のペレットを得た。
【0162】
原料ポリエステルo−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルo−2のそれぞれの固有粘度、固有粘度差、原料ポリエステルo−1とその固相重縮合によって得られたポリエステルo−2のそれぞれの色調とb
* 値の変化量(△b
*)を表3に示す。
【0163】
上記ポリエステルo−2について、実施例1と同様にして耐熱試験を行った。この耐熱試験前後のポリエステルの色調と耐熱試験前後のb
* 値の変化量(△b
*)を表4に示す。
【0164】
表1において、触媒含量及びTiN含量の欄の数値はそれぞれ、得られるポリエステルに対する触媒及びTiNの量(ppm)であり、触媒含量及びTiN含量の欄の括弧内の数値はそれぞれ、得られるポリエステルに対するチタン換算による触媒及びTiNの量(ppm)である。また、色調調整剤含量の欄の数値は、得られるポリエステルに対する量(ppm)である。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
表1において、実施例1〜3、7、9及び10は、粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子(粒子状チタン酸触媒A)と窒化チタンの存在下にビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得たものであり、実施例4〜6及び8は、粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子(粒子状チタン酸触媒B)と窒化チタンの存在下にビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得たものである。
【0170】
比較例1及び2は、窒化チタンを併用することなしに、それぞれ上記粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子及び粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子を用いて、ビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得たものである。
【0171】
実施例7、1、2及び3を比較例1と比較し、実施例8、4、5及び6を比較例2と比較し、また、実施例10を比較例5と比較すれば明らかなように、粒子状チタン酸触媒と窒化チタンを併用して、ビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合させるとき、得られるポリエステルはいずれも、窒化チタンを併用しないそれぞれの比較例に比べて、b
* 値は低下しており、しかも、窒化チタン量が増えるにつれて、b
* 値はより低下している。従って、粒子状チタン酸触媒を用いるポリエステルの製造において、窒化チタンは、従来から知られているように、得られるポリエステルに黄色味を低減し、又は青色味を強める色相調整剤として機能している。
【0172】
青色色相調整剤として、従来からポリエステルに用いられている染料ソルベント・ブルー104を窒化チタンに代えて用いた場合は、比較例4に示すように、ポリエステルに対して1.5ppmの添加によって、窒化チタンを15ppm程度添加した場合と同じ色相改善効果がみられた。しかし、得られたポリエステルは、耐熱試験後、b
* 値が上昇し、加熱によって耐熱性を向上させる効果はみられなかった。一方、窒化チタンは、単独では、比較例3に示すように、重合活性は低い。
【0173】
一般に、ポリエステルは、加熱されると、一部、熱劣化又は熱分解が起こって、黄色味が強められて、b
* 値は上昇する。ここで、窒化チタンが得られるポリエステルに耐熱性を向上させる作用がなければ、粒子状チタン酸触媒と併用する窒化チタン量が増えても、得られるポリエステルのb
* 値は変わらない。
【0174】
上述した表1に示すポリエステルペレットについて、前述した条件下に耐熱試験を行って、耐熱試験によるb
* 値の変化を調べた。結果を表2に示す。
【0175】
実施例1〜10のいずれについても、耐熱試験後のb
* 値は、耐熱試験前のb
* 値に比較して、大幅に低下し、しかも、粒子状チタン酸触媒と併用する窒化チタン量が増えると共に、得られるポリエステルペレットのb
* 値がより低下している。例えば、実施例7、1、2及び3の順に、得られるポリエステルペレットのb
* 値がより低下している。同様に、実施例8、4、5及び6の順に、得られるポリエステルペレットのb
* 値がより低下している。
【0176】
これに対して、窒化チタンの併用なしに、粒子状チタン酸触媒のみを用いて得られたポリエステルペレットは、比較例1及び2にみられるように、耐熱試験後、そのb
* 値は耐熱試験前に比較して、僅かに上昇したか、僅かに低下したかにすぎず、いずれにしても、大幅に低下することはなかった。従って、本発明によれば、粒子状チタン酸触媒と窒化チタンを併用して、得られたポリエステルペレットは、加熱されるときの耐熱性が向上していることが示される。
【0177】
表1中、それぞれの実施例及び比較例において得られた溶融重縮合物としてのポリエステルペレットを固相重縮合させて、それぞれ固相重縮合物としてのポリエステルペレットを得た。上記溶融重縮合物としてのポリエステルペレットと固相重縮合物としてのポリエステルペレットのそれぞれの色調とb
* 値の変化量((△b
*)を表3に示す。
【0178】
窒化チタンの併用なしに、粒子状チタン酸触媒のみを用いて、固相重縮合によって得られたポリエステルペレットは、比較例1及び2に示すように、原料である溶融重縮合物としてのポリエステルペレットに比較して、いずれも、b
* 値は幾分、低下している。
【0179】
これに対して、本発明に従って、粒子状チタン酸触媒と窒化チタンを併用した固相重縮合によって得られたポリエステルペレットは、実施例1〜10のいずれにおいても、溶融重縮合物としてのポリエステルペレットに比較して、b
* 値は大幅に低下しており、しかも、窒化チタンの量が多い程、b
* 値がより低下しているので、固相重縮合のための加熱によって、耐熱性が向上していることが認められる。例えば、実施例7、1、2及び3の順に、固相重縮合物としてのポリエステルは、溶融重縮合物としてのポリエステルペレットに比較して、b
* 値がより低下しており、同様に、実施例8、4、5及び6の順に、固相重縮合物としてのポリエステルは、溶融重縮合物としてのポリエステルペレットに比較して、b
* 値がより低下している。
【0180】
更に、溶融重縮合によって得られたポリエステルペレットを粒子状チタン酸触媒と窒化チタンの存在下に固相重縮合させるとき、比較例1に対する実施例1〜3及び7にみられるように、粒子状チタン酸触媒として、表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子を用いて、これを窒化チタンと併用した場合、窒化チタンを併用しない場合と比較して、固相重縮合物の固有粘度と溶融重縮合物の固有粘度との差、即ち、固有粘度差(△IV)が大きい。即ち、固有粘度の単位時間当たりの増加率が高い。
【0181】
従って、粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子と窒化チタンを併用して、固相重縮合を行うことによって、窒化チタンを併用しない場合に比べて、より高い重縮合速度にて固相重縮合を行うことができる。
【0182】
固相重縮合によって得られたポリエステルを前述した方法と同様に耐熱試験を行った結果を表4に示す。
【0183】
比較例1及び2は、窒化チタンを併用することなしに、それぞれ粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子及び粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子を用いて、ビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得、これを固相重縮合してポリエステルを得、このポリエステルについて耐熱試験を行ったものである。
【0184】
実施例1〜3及び7は、粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有するハイドロタルサイト粒子と窒化チタンの存在下にビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得、これを固相重縮合してポリエステルを得、このポリエステルについて耐熱試験を行ったものである。
【0185】
実施例4〜6及び8は、粒子状チタン酸触媒として表面にチタン酸被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子と窒化チタンの存在下にビスヒドロキシエチルテレフタレートを溶融重縮合してポリエステルを得、これを固相重縮合してポリエステルを得、このポリエステルについて耐熱試験を行ったものである。
【0186】
表4に示す結果から明らかなように、比較例1〜5においては、固相重縮合物としてポリエステルペレットは、耐熱試験前後のb
* 値の変化量は正の値であり、従って、ポリエステルペレットは黄色味が強められている。
【0187】
これに対して、実施例1〜10においては、固相重縮合物としてポリエステルペレットの耐熱試験前後のb
* 値の変化量は負の値であるので、ポリエステルペレットは黄色味が強められていない。従って、固相重縮合物としてポリエステルペレットは、加熱されるときの耐熱性が向上している。