特許第6361769号(P6361769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6361769
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】位置予測装置及び位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/14 20060101AFI20180712BHJP
   G01D 5/16 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   G01D5/14 E
   G01D5/16 E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-62065(P2017-62065)
(22)【出願日】2017年3月28日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100181490
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 慎一郎
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−116300(JP,A)
【文献】 特開2016−186475(JP,A)
【文献】 特開2010−173373(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/204205(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02916107(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/14−5/249
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を予測する装置であって、
前記所定時刻よりも過去の第1時刻における前記動作体の推定位置状態を求める推定部と、
前記推定部により推定された前記動作体の推定位置状態に基づき、前記動作体の前記所定時刻における位置を予測する位置予測部と
前記動作体に設けられている磁界発生部の外部磁界を検出することで出力される前記動作体の位置に関する信号に基づき、前記動作体の位置状態を算出する演算処理部と、
前記推定部により推定された、前記第1時刻よりも過去の第2時刻における前記動作体の推定位置状態に基づいて、前記動作体の前記第1時刻におけるシミュレート位置状態を求めるシミュレート部と
を備え
前記推定部は、前記シミュレート部により求められた前記第1時刻における前記動作体の前記シミュレート位置状態と、前記演算処理部により算出された前記第1時刻における前記動作体の前記位置状態とに基づいて、前記動作体の前記第1時刻における前記推定位置状態を求めることを特徴とする位置予測装置。
【請求項2】
前記第1時刻における前記動作体の前記位置状態は、前記演算処理部により算出される前記動作体の前記位置状態のうちの最新時刻における前記位置状態であることを特徴とする請求項に記載の位置予測装置。
【請求項3】
前記動作体が、所定の回転軸を中心として回転する回転動作体であり、
前記推定部は、前記動作体の前記位置推定時刻における回転角度、角速度及び角加速度の推定値を前記推定位置状態として求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置予測装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の位置予測装置と、
前記動作体に設けられてなる前記磁界発生部に対向して配置され、前記動作体の位置を検出可能な検出部と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、磁気抵抗効果素子を含むことを特徴とする請求項に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作体の作動による位置を予測する装置及び当該動作体の作動による位置を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械等における機械可動部に取り付けられるサーボモータ等の動作体の回転動作等による物理量の変化を検出することで、当該動作体の位置を検出する位置検出装置が用いられている。この位置検出装置による出力を通じて動作体の回転動作等を連続的に追尾し、動作体にフィードバックすることで、当該動作体の動作制御が行われる。
【0003】
このような位置検出装置としては、磁界を発生する磁界発生部と磁気検出装置とを備えるものが知られている。かかる磁気検出装置は、一般に、磁界発生部により発生する外部磁界を検知し、磁界発生部が相対的に移動した物理量を示すアナログ信号を出力する磁気検出素子と、上記アナログ信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に基づいて現在時刻における動作体の位置を算出することのできる演算回路とを備え、磁気検出素子と演算回路とが同一の半導体チップ上に集積されて一体化された集積回路として構成される。
【0004】
このような磁気検出装置の演算回路において算出された、現在時刻における動作体の位置情報に基づき、動作体の動作制御が行われる。しかし、磁気検出素子から出力されるアナログ信号についてのフィルタリング処理、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理、当該デジタル信号に含まれるノイズを除去するフィルタリング処理、当該デジタル信号に基づいて現在時刻における動作体の位置を算出する処理等により、遅延が生じ得る。そのため、特に高速に作動する動作体を精確に動作制御するために、上記遅延を取り戻すべく、動作体の位置情報から未来の時刻における動作体の位置を予測し、当該予測値に基づいて動作体を制御する方法が採用されている。
【0005】
このような方法を実施可能な位置検出装置として、従来、回転体に設けられた磁石の磁界強度を計測する磁気センサ素子、磁気センサ素子の計測値から磁石の回転角度を演算する角度計算手段、角度計算手段の出力する回転角度のデータを記憶しておく記憶手段、記憶手段の記憶内容を統計処理することにより回転状態を推定する回転状態推定手段、回転状態推定手段で推定された回転状態から以降の回転角度を予測する外挿処理手段、及び外挿処理手段で予測した回転角度に基づいて回転角度を算出し出力する出力手段を備える回転検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−116292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の回転検出装置において、磁気センサ素子により一定サンプリング周期で現在時刻の角度が出力され、記憶手段に記憶、蓄積される。そして、記憶手段に記憶、蓄積されている現在時刻の角度データに至る過去の角度データに、平均化フィルタ等の処理を行い、予測すべきサンプリング時刻における角度(予測角度)が求められる。
【0008】
磁気センサ素子により一定サンプリング周期で出力される、現在時刻の角度データには所定のノイズが含まれる。このようなノイズを含む角度データを用いて、上記特許文献1のように線形外挿処理により予測角度を求めると、予測角度の精度が低下してしまうという問題がある。図14に示す予測モデルから明らかなように、所定のサンプリング時刻TXの角度θXとそれよりも過去のサンプリング時刻TX-1の角度θX-1とが、それぞれ所定のノイズ(図14中、矢印はノイズ幅を表す。)を含み、それらの角度データを用いて所定の時刻TXよりも未来のサンプリング時刻TX+1における予測角度θX+1を線形外挿予測する場合、予測角度θX+1に含まれるノイズは角度θX,θX-1に含まれるノイズよりも増幅されてしまう。
【0009】
また、上記角度データを用いた平均フィルタ処理等により予測角度を求めようとすると、それによる群遅延が生じてしまい、予測すべきサンプリング時刻をさらに未来に設定する必要がある。予測すべきサンプリング時刻をさらに未来に設定すると、ノイズの増幅を抑制することができず、予測角度の精度が低下してしまうという問題がある。
【0010】
予測角度の精度を高めるために、磁気センサ素子により出力される角度データについてフィルタ回路等による処理を行い、当該角度データに含まれるノイズを低減することが考えられる。フィルタ回路等による処理によって、角度データに含まれるノイズを低減することは可能である。しかし、フィルタ回路等による処理により、さらなる遅延が生じてしまうため、予測すべきサンプリング時刻をさらに未来に設定せざるを得ない。このように予測すべきサンプリング時刻をさらに未来に設定すると、フィルタ回路等により低減されたノイズが再び増幅して予測角度に含まれてしまうため、結果として予測角度の精度が低下してしまうという問題がある。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を極めて高い精度で予測することのできる位置予測装置及び当該位置予測装置を含む位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を予測する装置であって、前記所定時刻よりも過去の第1時刻における前記動作体の推定位置状態を求める推定部と、前記推定部により推定された前記動作体の推定位置状態に基づき、前記動作体の前記所定時刻における位置を予測する位置予測部と、前記動作体に設けられている磁界発生部の外部磁界を検出することで出力される前記動作体の位置に関する信号に基づき、前記動作体の位置状態を算出する演算処理部と、前記推定部により推定された、前記第1時刻よりも過去の第2時刻における前記動作体の推定位置状態に基づいて、前記動作体の前記第1時刻におけるシミュレート位置状態を求めるシミュレート部とを備え、前記推定部は、前記シミュレート部により求められた前記第1時刻における前記動作体の前記シミュレート位置状態と、前記演算処理部により算出された前記第1時刻における前記動作体の前記位置状態とに基づいて、前記動作体の前記第1時刻における前記推定位置状態を求めることを特徴とする位置予測装置を提供する。
【0014】
上記位置予測装置において、前記第1時刻における前記動作体の前記位置状態は、前記演算処理部により算出される前記動作体の前記位置状態のうちの最新時刻における前記位置状態であるのが好ましい。
【0015】
上記予測装置において、前記動作体が、所定の回転軸を中心として回転する回転動作体であり、前記推定部は、前記動作体の前記位置推定時刻における回転角度、角速度及び角加速度の推定値を前記推定位置状態として求めるのが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記位置予測装置と、前記動作体に設けられてなる前記磁界発生部に対向して配置され、前記動作体の位置を検出可能な検出部とを備えることを特徴とする位置検出装置を提供する。かかる位置検出装置において、前記検出部は、磁気抵抗効果素子を含むのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を極めて高い精度で予測することのできる位置予測装置及び当該位置予測装置を含む位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る回転角度検出装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る回転角度検出装置の概略構成を示す側面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態における磁気検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態における検出部の回路構成を概略的に示す回路図である。
図5図5は、本発明の一実施形態における磁気検出素子としてのMR素子の概略構成を示す斜視図である。
図6図6は、実施例1及び比較例1〜2のモデルにおけるノイズを示すグラフである。
図7図7は、実施例1におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図8図8は、比較例1におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図9図9は、比較例2におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図10図10は、実施例2及び比較例3〜4のモデルにおけるノイズを示すグラフである。
図11図11は、実施例2におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図12図12は、比較例3におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図13図13は、比較例4におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図14図14は、ノイズを含む角度データを用いた線形予測モデルにおいて予測値に含まれるノイズが増幅することを説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る回転角度検出装置の概略構成を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る回転角度検出装置の概略構成を示す側面図であり、図3は、本実施形態における磁気検出装置の概略構成を示すブロック図であり、図4は、本実施形態における検出部の回路構成を概略的に示す回路図であり、図5は、本実施形態における磁気検出素子としてのMR素子の概略構成を示す斜視図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る回転角度検出装置1は、磁石2と、磁石2に対向して配置される磁気検出装置3とを備える。磁石2は、回転軸Cを中心として連続的に回転する軸部11(例えばサーボモータ等のモータ軸等)の軸方向の一端部に固定されており、軸部11の回転に連動して、回転軸Cを中心として回転する。
【0021】
磁石2は、回転軸Cに直交する端面21と、回転軸Cを含む仮想平面を中心として対称に配置されたN極22及びS極23とを有し、回転軸Cに直交する方向(S極23からN極22に向かう方向であって、N極22とS極23との境界に直交する方向)に磁化されている。磁石2は、それが有する磁化に基づいて磁界を発生する。
【0022】
磁気検出装置3は、磁石2の端面21に対向するように配置されており、磁石2による磁界を検出する。本実施形態に係る回転角度検出装置1は、磁気検出装置3の出力に基づいて磁石2の回転角度、すなわち回転移動する軸部11の回転角度を検出することができる。
【0023】
図3に示すように、磁気検出装置3は、検出部31、A/D(アナログ−デジタル)変換部32、演算処理部33、シミュレート部34、推定部35及び予測部36を有する。検出部31は、磁石2(図1図2参照)の磁界を検出する。A/D変換部32は、検出部31から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。演算処理部33は、A/D変換部32によりデジタル変換されたデジタル信号を演算処理し、回転角度θを算出する。シミュレート部34は、推定部35により推定された回転角度θE、角速度ωE及び角速度αEに基づいて、所定のサンプリング時刻における回転角度θSをシミュレートする。推定部35は、シミュレート部34によりシミュレートされた回転角度θSと、演算処理部33により算出された回転角度θのうちの最新の回転角度θとに基づいて、所定のサンプリング時刻における回転角度θE、角速度ωE及び角加速度αEを推定する。予測部36は、推定部35による推定結果(回転角度θE、角速度ωE及び角加速度αE)に基づいて、現在サンプリング時刻における回転角度θPを予測する。本実施形態においては、少なくとも演算処理部33、シミュレート部34、推定部35及び予測部36により、連続的に作動する動作体(例えば連続的に回転するサーボモータのモータ軸等)の位置(回転位置)を予測可能な位置予測装置が構成される。
【0024】
図4に示すように、検出部31は、第1の検出部31A及び第2の検出部31Bを含み、第1及び第2の検出部31A,31Bのそれぞれは、少なくとも1つの磁気検出素子を含む。検出部31は、所定のサンプリング周期(1サンプリング周期は、例えば50〜100μsec程度)で、磁石2の磁界の方向が所定の方向に対するなす角度(回転角度)に関する検出信号(アナログ信号)を生成し、出力する。
【0025】
第1及び第2の検出部31A,31Bのそれぞれは、少なくとも1つの磁気検出素子として、直列に接続された一対の磁気検出素子を含んでいてもよい。この場合において、第1及び第2の検出部31A,31Bのそれぞれは、直列に接続された第1の一対の磁気検出素子と、直列に接続された第2の一対の磁気検出素子とを含むホイートストンブリッジ回路を有する。
【0026】
第1の検出部31Aが有するホイートストンブリッジ回路311は、電源ポートV1と、グランドポートG1と、2つの出力ポートE11,E12と、直列に接続された第1の一対の磁気検出素子R11,R12と、直列に接続された第2の一対の磁気検出素子R13,R14とを含む。磁気検出素子R11,R13の各一端は、電源ポートV1に接続されている。磁気検出素子R11の他端は、磁気検出素子R12の一端と出力ポートE11とに接続されている。磁気検出素子R13の他端は、磁気検出素子R14の一端と出力ポートE12とに接続されている。磁気検出素子R12,R14の各他端は、グランドポートG1に接続されている。電源ポートV1には、所定の大きさの電源電圧が印加され、グランドポートG1はグランドに接続される。
【0027】
第2の検出部31Bが有するホイートストンブリッジ回路312は、第1の検出部31Aのホイートストンブリッジ回路311と同様の構成を有し、電源ポートV2と、グランドポートG2と、2つの出力ポートE21,E22と、直列に接続された第1の一対の磁気検出素子R21,R22と、直列に接続された第2の一対の磁気検出素子R23,R24とを含む。磁気検出素子R21,R23の各一端は、電源ポートV2に接続されている。磁気検出素子R21の他端は、磁気検出素子R22の一端と出力ポートE21とに接続されている。磁気検出素子R23の他端は、磁気検出素子R24の一端と出力ポートE22とに接続されている。磁気検出素子R22,R24の各他端は、グランドポートG2に接続されている。電源ポートV2には、所定の大きさの電源電圧が印加され、グランドポートG2はグランドに接続される。
【0028】
本実施形態において、ホイートストンブリッジ回路311,312に含まれるすべての磁気検出素子R11〜R14,R21〜R24として、TMR素子、GMR素子等のMR素子を用いることができ、特にTMR素子を用いるのが好ましい。TMR素子、GMR素子は、磁化方向が固定された磁化固定層と、印加される磁界の方向に応じて磁化方向が変化する自由層と、磁化固定層及び自由層の間に配置される非磁性層とを有する。
【0029】
具体的には、図5に示すように、MR素子は、複数の下部電極41と、複数のMR膜50と、複数の上部電極42とを有する。複数の下部電極41は、基板(図示せず)上に設けられている。各下部電極41は細長い形状を有する。下部電極41の長手方向に隣接する2つの下部電極41の間には、間隙が形成されている。下部電極41の上面における、長手方向の両端近傍にそれぞれMR膜50が設けられている。MR膜50は、下部電極41側から順に積層された自由層51、非磁性層52、磁化固定層53及び反強磁性層54を含む。自由層51は、下部電極41に電気的に接続されている。反強磁性層54は、反強磁性材料により構成され、磁化固定層53との間で交換結合を生じさせることで、磁化固定層53の磁化の方向を固定する役割を果たす。複数の上部電極42は、複数のMR膜50上に設けられている。各上部電極42は細長い形状を有し、下部電極41の長手方向に隣接する2つの下部電極41上に配置され、隣接する2つのMR膜50の反強磁性層54同士を電気的に接続する。なお、MR膜50は、上部電極42側から順に自由層51、非磁性層52、磁化固定層53及び反強磁性層54が積層されてなる構成を有していてもよい。また、磁化固定層53を、強磁性層/非磁性中間層/強磁性層の積層フェリ構造とし、両強磁性層を反強磁性的に結合させてなる、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned層,SFP層)とすることで、反強磁性層54が省略されていてもよい。
【0030】
TMR素子においては、非磁性層52はトンネルバリア層である。GMR素子においては、非磁性層52は非磁性導電層である。TMR素子、GMR素子において、自由層51の磁化の方向が磁化固定層53の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°(互いの磁化方向が平行)のときに抵抗値が最小となり、180°(互いの磁化方向が反平行)のときに抵抗値が最大となる。
【0031】
図4において、磁気検出素子R11〜R14,R21〜R24の磁化固定層の磁化の方向を塗りつぶした矢印で表し、自由層の磁化の方向を白抜きの矢印で表す。第1の検出部31Aにおいて、磁気検出素子R11,R14の磁化固定層の磁化の方向は第1の方向D1に平行な方向であり、磁気検出素子R12,R13の磁化固定層の磁化の方向は、磁気検出素子R11,R14の磁化固定層の磁化の方向と反平行方向である。第1の検出部31Aにおいて、磁石2の磁界の第1の方向D1の成分の強度に応じて、出力ポートE11,E12の電位差が変化し、磁石2の磁界の第1の方向D1の強度を表す信号が出力される。
【0032】
第2の検出部31Bにおいて、磁気検出素子R21,R24の磁化固定層の磁化の方向は第2の方向D2(第1の方向D1に直交する方向)であり、磁気検出素子R22,R23の磁化固定層の磁化の方向は、磁気検出素子R21,R24の磁化固定層の磁化の方向と反平行方向である。第2の検出部31Bにおいて、磁石2の磁界の第2の方向D2の成分の強度に応じて、出力ポートE21,E22の電位差が変化し、磁石2の磁界の第2の方向D2の強度を表す信号が出力される。
【0033】
差分検出器37は、出力ポートE11,E12の電位差に対応する信号を第1の信号S1としてA/D変換部32に出力する。差分検出器38は、出力ポートE21,E22の電位差に対応する信号を第2の信号S2としてA/D変換部32に出力する。
【0034】
図4に示すように、第1の検出部31Aにおける磁気検出素子R11〜R14の磁化固定層の磁化方向と、第2の検出部31Bにおける磁気検出素子R21〜R24の磁化固定層の磁化方向とは、互いに直交する。この場合、第1の信号S1の波形は、回転角度θに依存したコサイン(Cosine)波形になり、第2の信号S2の波形は、回転角度θに依存したサイン(Sine)波形になる。本実施形態において、第2の信号S2の位相は、第1の信号S1の位相に対して信号周期の1/4、すなわちπ/2(90°)異なっている。
【0035】
A/D変換部32は、検出部31から所定のサンプリング周期で出力される、第1及び第2の信号(回転角度θに関するアナログ信号)S1,S2をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号が演算処理部33に入力される。
【0036】
演算処理部33は、A/D変換部32によりアナログ信号から変換されたデジタル信号についての演算処理を行い、磁石2の回転角度θを算出する。この演算処理部33は、例えば、マイクロコンピュータ等により構成される。演算処理部33により算出された磁石2の回転角度θは、演算処理部33に含まれる記憶部(図示せず)に記憶される。
【0037】
磁石2の回転角度θは、例えば下記式で示すアークタンジェント計算によって算出され得る。
θ=atan(S1/S2)
【0038】
なお、360°の範囲内で、上記式における回転角度θの解には、180°異なる2つの値がある。しかし、第1の信号S1及び第2の信号S2の正負の組み合わせにより、回転角度θの真の値が、上記式における2つの解のいずれかであるかを判別することができる。すなわち、第1の信号S1が正の値のときは、回転角度θは0°よりも大きく180°よりも小さい。第1の信号S1が負の値のときは、回転角度θは180°よりも大きく360°よりも小さい。第2の信号S2が正の値のときは、回転角度θは0°以上90°未満及び270°より大きく360°以下の範囲内である。第2の信号S2が負の値のときは、回転角度θは90°よりも大きく270°よりも小さい。演算処理部33は、上記式と、第1の信号S1及び第2の信号S2の正負の組み合わせの判定とにより、360°の範囲内で回転角度θを算出する。
【0039】
シミュレート部34は、推定部35により推定され、記憶部に記憶されている過去のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θE、角速度ωE及び角加速度αEから、所定のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θSをシミュレートする。例えば、シミュレート部34は、推定部35により推定された過去のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θE等について、例えば外挿処理等を行うことで、所定のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θSをシミュレートすることができる。
【0040】
推定部35は、シミュレート部34により求められた磁石2の回転角度θSに所定のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θを反映させることで、当該所定のサンプリング時刻における磁石2の回転角度θEを推定するとともに、角速度ωE及び角加速度αEを推定する。
【0041】
予測部36は、推定部35により推定された磁石2の回転角度θE、角速度ωE及び角加速度αEに基づいて、現在サンプリング時刻における磁石2の回転角度θPを予測する。例えば、予測部36は、推定部35により推定された磁石2の回転角度θE等について、例えば外挿処理等を行うことで、現在サンプリング時刻における磁石2の回転角度θPを算出する。
【0042】
上記構成を有する回転角度検出装置1において、軸部11の回転に伴い磁石2が回転すると、磁石2の磁界が変化する。その磁界の変化に応じ、検出部31の磁気検出素子R11〜R14,R21〜R24の抵抗値が変化し、第1の検出部31A及び第2の検出部31Bのそれぞれの出力ポートE11,E12,E21,E22の電位差に応じ、所定のサンプリング周期で第1の方向D1及び第2の方向D2における磁石2の磁界強度を表す信号S1,S2が差分検出器37,38から出力される。そして、差分検出器37,38から出力された第1の信号S1及び第2の信号S2が出力され、A/D変換部32によりデジタル信号に変換される。その後、演算処理部33により、磁石2の回転角度θが算出される。
【0043】
本実施形態に係る回転角度検出装置1において、検出部31からの出力に基づくアナログ信号についてのフィルタリング処理、A/D変換部32にてデジタル信号に変換する処理、デジタル信号についてのフィルタリング処理、演算処理部33における演算処理等により遅延が生じる。この遅延を取り戻すために、予測部36による回転角度の予測が重要となる。
【0044】
例えば、本実施形態に係る回転角度検出装置1にて、種々の処理により3サンプリング時刻分の遅延が生じるものとする。すると、現在サンプリング時刻Tnにおいて、現在サンプリング時刻Tnよりも3サンプリング時刻前Tn-3における磁石2の回転角度θn-3が、演算処理部33により算出される。一方で、シミュレート部34は、例えば、推定部35により推定された、現在サンプリング時刻Tnよりも4サンプリング時刻前Tn-4における磁石2の回転角度θEn-4、角速度ωEn-4及び角加速度αEn-4に基づいて、現在サンプリング時刻Tnよりも3サンプリング時刻前Tn-3における磁石の回転角度θSn-3をシミュレートして求める。推定部35は、シミュレート部34によりシミュレートされた磁石2の回転角度θSn-3に、演算処理部33により算出された磁石2の回転角度θn-3(現在サンプリング時刻Tnにおける最新の磁石2の回転角度)を反映させて、3サンプリング時刻前Tn-3における磁石2の回転角度θEn-3を推定するとともに、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3を推定する。そして、予測部36は、推定部35により推定された磁石2の回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3に基づき、現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを予測する。
【0045】
ここで、演算処理部33により算出される磁石の回転角度θには、所定のノイズが含まれる。このノイズを含む回転角度θに基づいて現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnを予測しようとすると、予測される回転角度θPnの予測値に含まれるノイズが増幅されてしまい、正確な予測が困難となる。また、本発明者が先に提案した角速度ωや角加速度αを用いた予測方法(特願2015−67498号)においては、予測される回転角度θPnに含まれるノイズの低減が可能であるものの、回転角度θPnの予測値が、演算処理部33にて算出される回転角度θnからずれてしまうおそれがある。当該予測方法においては、高速で回転動作する動作体において、サンプリング周期のうちの極めて短期間(例えば、現在サンプリング時刻Tnから遡って3サンプリング周期以下程度)であれば磁石2の回転運動を等速度回転運動又は等加速度回転運動と仮定し、3サンプリング時刻前Tn-3における角速度ωn-3や角加速度αn-3と、現在サンプリング時刻Tnにおける角速度ωnや角加速度αnとは実質的に同一であると仮定可能であることを前提とし、3サンプリング時刻前Tn-3における磁石2の回転角度θn-3の実測値(演算処理部により算出された回転角度θn-3)から算出された角速度ωn-3や角加速度αn-3に基づいて現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを予測することで、回転角度θPnに含まれるノイズを低減することができる。しかし、現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを予測するために用いられる3サンプリング時刻前Tn-3における回転角度θn-3が実測値(演算処理部33により算出された回転角度θn-3)であることで、予測部36により予測される回転角度θPnが実測値からずれてしまうという問題が生じるものと推察される。
【0046】
この点、本実施形態においては、現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを予測するために用いられる3サンプリング時刻前Tn-3における回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3が推定値であることで、予測部36により予測される回転角度θPnが演算処理部33により算出される回転角度θnからずれてしまうという問題を解消することができ、現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを極めて精確に予測することができる。
【0047】
このように、予測部36により極めて精確に予測される磁石2の回転角度θPnは、軸部11を含む動作体(例えばモータ軸を含むサーボモータ等)の駆動回路等(図示せず)に入力され、当該動作体の動作制御が行われる。したがって、当該動作体の動作制御を高い精度で行うことができる。
【0048】
上述したように、本実施形態に係る回転角度検出装置1によれば、予測部36により現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnを予測するために用いられる回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3が、現在サンプリング時刻Tnのときに演算処理部33により算出される過去のサンプリング時刻における回転角度θn-3を、シミュレート部34によりシミュレートされた回転角度θSn-3に反映させることで求められるため、当該回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3に基づき、現在サンプリング時刻Tnの回転角度θPnを極めて精確に予測することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る回転角度検出装置1によれば、現在サンプリング時刻Tnにおける磁石2の回転角度θPnを予測するために推定部35により推定される回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3が、シミュレート部34がシミュレートした回転角度θSn-3と演算処理部33が算出した最新の回転角度θn-3とを用いるだけで求められるため、当該回転角度θPnの予測のために必要な情報量(サンプル数)を少なくすることができるという効果も奏し得る。
【0050】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0051】
上記実施形態において、予測部36は、現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnを予測する態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、現在サンプリング時刻Tnよりも未来(例えば3サンプリング時刻先Tn+3の回転角度θPn+3を予測してもよい。
【0052】
上記実施形態において、磁界発生部として軸部11に固定された磁石2を用いているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、少なくとも1組のN極及びS極が交互にリング状に配置された磁石を磁界発生部として用い、当該磁石の外周部に磁気検出装置を対向配置させてなるものであってもよいし、直線状スケールを磁界発生部として用いてもよい。
【0053】
上記実施形態において、磁石2が固定された軸部11が回転軸Cを中心に回転することにより磁石2が磁気検出装置3に対して相対的に回転移動するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、磁石2(軸部11)と磁気検出装置3とが、互いに反対方向に回転するものであってもよいし、磁石2(軸部11)が回転せずに磁気検出装置3が回転するものであってもよい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1〕
図3及び図4に示す構成を有する磁気検出装置3における、予測部36による現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnの予測に関し、MATLABを用いてシミュレーションを行い、回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。かかるシミュレーションにおいて、磁石2が10000deg/secで等速回転運動し、検出部31によるサンプリング周期が50μsecであり、演算処理部33により算出される回転角度θに含まれるノイズが±0.1degであり(図6参照)、3サンプリング時刻分(150μsec)の群遅延が生じるものとした。また、シミュレート部34は、4サンプリング時刻前Tn-4における回転角度θEn-4、角速度ωEn-4及び角加速度En-4を用いた外挿処理により3サンプリング時刻前Tn-3の回転角度θSn-3をシミュレートし、推定部35は、3サンプリング時刻前Tn-3の回転角度θn-3を回転角度θSn-3に反映させることで回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3を推定し、それらの推定値θEn-3、ωEn-3、αEn-3を用いた線形外挿処理によって、予測部36が回転角度θPnを予測するものとした。シミュレーション結果を図7に示す。
【0056】
〔比較例1〕
演算処理部33により算出された3サンプリング時刻Tn-3〜Tn-5における回転角度θn-3〜θn-5を用いて線形外挿処理を行うことで現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnの予測をすることとした以外は、実施例1と同様にして回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。シミュレーション結果を図8に示す。
【0057】
〔比較例2〕
4サンプリング時刻Tn-3〜Tn-6における回転角度θn-3〜θn-6をそれぞれ1回微分した角速度ωn-3〜ωn-6を用いた移動平均フィルタ処理を行うことで現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnを予測することとした以外は、実施例1と同様にして回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。シミュレーション結果を図9に示す。
【0058】
実施例1、比較例1及び比較例2の結果(図7〜9参照)から明らかなように、推定部34により推定された回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3を用いた予測により、回転角度θに所定のノイズが含まれていたとしても、そのノイズを増幅させることなく、現在サンプリング時刻Tnの回転角度θPnを極めて精確に予測可能であることが確認された。
【0059】
〔実施例2〕
磁石2が2×108deg/sec2で等加速回転運動しているものとし、演算処理部33により算出される回転角度θに含まれるノイズが、図10に示すように速度が大きくなるに従い増大することとした以外は、実施例1と同様にして回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。結果を図11に示す。
【0060】
〔比較例3〕
演算処理部33により算出された3サンプリング時刻Tn-3〜Tn-5における回転角度θn-3〜θn-5を用いて線形外挿処理を行うことで現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnの予測をすることとした以外は、実施例2と同様にして回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。シミュレーション結果を図12に示す。
【0061】
〔比較例4〕
4サンプリング時刻Tn-3〜Tn-6における回転角度θn-3〜θn-6をそれぞれ2回微分した角加速度αn-3〜αn-6を用いた移動平均フィルタ処理を行うことで現在サンプリング時刻Tnにおける回転角度θPnを予測することとした以外は、実施例2と同様にして回転角度θPnの予測値に含まれるノイズを求めた。シミュレーション結果を図13に示す。
【0062】
実施例2、比較例3及び比較例4の結果(図11〜13参照)から明らかなように、推定部34により推定された回転角度θEn-3、角速度ωEn-3及び角加速度αEn-3を用いた予測により、回転角度θに所定のノイズが含まれていたとしても、そのノイズを低減させ、かつ現在サンプリング時刻Tnの回転角度θPnの予測値が真の値(演算処理部33により算出される回転角度θn)からはずれることなく、極めて精確に予測可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0063】
1…回転角度検出装置(位置検出装置)
2…磁石(磁界発生部)
3…磁気検出装置
31…検出部
33…演算処理部
34…シミュレート部
35…推定部
36…予測部
【要約】
【課題】連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を極めて高い精度で予測することのできる位置予測装置及び当該位置予測装置を含む位置検出装置を提供する。
【解決手段】連続的に作動する動作体の所定時刻における位置を予測する位置予測装置は、所定時刻よりも過去の位置推定時刻における動作体の推定位置状態を求める推定部と、推定部により推定された動作体の推定位置状態に基づき、動作体の所定時刻における位置を予測する位置予測部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
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図5
図6
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図8
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図10
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図14