(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例1は、ネットワークに接続された複数の基地局装置と、各基地局装置に接続された複数の端末装置と、ネットワークに接続された監視装置を含む業務用無線システムに関する。業務用無線システムでは、複数の端末装置によってグループが形成される。基地局装置は、グループに対して、上りチャネルと下りチャネルを割り当てる。このような状況下において、グループ中のひとつの端末装置(以下、「送信装置」という)が、上りチャネルにて信号を送信し、グループ中の他の端末装置(以下、「受信装置」という)が、下りチャネルにて信号を受信する。なお、送信装置が接続された基地局装置とは異なった基地局装置も、当該グループに対して下りチャネルを割り当てるので、当該基地局装置に接続された受信装置も信号を受信できる。さらに、別のグループに対しても同様の処理がなされるが、基本的には異なったグループ間での通信はなされない。
【0012】
業務用無線システムでは、チャネルの割当がグループ単位になされているので、前述のごとく、1通話あたりの基地局装置のチャネルの使用や基地局装置間の通信量が、端末装置数だけでは評価できず、複雑になる。グループ内の通話がなされている場合の通信の状況を把握するために、本実施例に係る業務用無線システムに含まれた監視装置は、次の処理を実行する。監視装置は、グループ単位に、各基地局装置に登録された端末装置の数を取得する。監視装置は、選択したグループに対して、各基地局装置に登録された端末装置の数を地図上に表示する。このように、地図上に各基地局装置でのグループ登録の状況を一括で表示するので、システムリソースの不足、充足が判断されやすくなる。
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る業務用無線システム100の構成を示す。業務用無線システム100は、基地局装置10と総称される第1基地局装置10a、第2基地局装置10b、第3基地局装置10c、第4基地局装置10d、端末装置12と総称される第1端末装置12a、第2端末装置12b、第3端末装置12c、第4端末装置12d、ネットワーク14、監視装置20を含む。第1基地局装置10aは、第1エリア16aを形成し、第2基地局装置10bは、第2エリア16bを形成し、第3基地局装置10cは、第3エリア16cを形成し、第4基地局装置10dは、第4エリア16dを形成する。ここで、第1エリア16a、第2エリア16b、第3エリア16c、第4エリア16dは、エリア16と総称される。なお、基地局装置10の数、端末装置12の数は、「4」に限定されない。
【0014】
第1基地局装置10aから第4基地局装置10dは、ネットワーク14を介して接続される。基地局装置10は、複数のチャネルを設定可能であり、各チャネルをグループに割り当てる。チャネルには、公知の技術が使用されればよい。ここでは、一例として、FDMA(Frequency Division Multiple Access)/FDD(Frequency Division Duplex)によって複数のチャネルが多重化されている。例えば、第1基地局装置10aは、下りチャネルとして、Ch1、Ch3からCh6を設定し、上りチャネルとして、Ch2、Ch7からCh10を設定する。ここで、Ch1は、下り制御チャネルに使用され、Ch2は、上り制御チャネルに使用される。また、Ch3とCh7とが、ひとつの組合せとして同一のグループに割り当てられる。Ch4からCh6、Ch8からCh10も同様である。他の基地局装置10も、同様にチャネルを設定するが、設定可能なチャネル数は、基地局装置10ごとに異なっていてもよい。さらに、Ch1とCh2は、すべての基地局装置10にわたって共通に、下り制御チャネルと上り制御チャネルに使用されるものとする。
【0015】
端末装置12は、基地局装置10を介して他の端末装置12と通信可能な無線端末である。ここでは、通信として通話がなされるものとする。なお、データ通信がなされてもよい。端末装置12は、エリア16に進入すると、当該エリア16を形成している基地局装置10に対して、位置登録を要求する。その際、使用するグループの登録も要求される。これらの要求は、Ch2の上り制御チャネルに含まれて送信される。上り制御チャネルは、ランダムアクセスによって送信される。基地局装置10は、要求に応じて、グループ単位に端末装置12を登録する。
【0016】
ひとつの端末装置12において発呼が発生した場合、端末装置12は、Ch2において、発信要求が含まれた上り制御チャネルを送信する。上り制御チャネルを受信した基地局装置10は、当該端末装置12を前述の送信装置とし、送信装置が含まれたグループにチャネルを割り当てる。ここでのチャネルは、下りチャネルと上りチャネルとの総称である。基地局装置10は、他の基地局装置10に対して、当該グループに対してチャネルを割り当てることをネットワーク14経由で要求する。他の基地局装置10は、要求に応じて、当該グループが登録されているかを確認する。登録されている場合、他の基地局装置10は、当該グループにチャネルを割り当てる。
【0017】
基地局装置10および他の基地局装置10は、割り当てたチャネルの情報が含まれた下り制御チャネルを端末装置12に送信する。当該グループに含まれた残りの端末装置12である受信装置と、送信装置とは、下り制御チャネルを受信することによって、割り当てられたチャネルを認識する。送信装置は、割り当てられた上りチャネルにて信号を基地局装置10へ送信する。当該信号には、デジタル化された音声信号が含まれている。基地局装置10は、送信装置が含まれたグループ内に受信装置が含まれている場合、割り当てた下りチャネルにて信号を受信装置へ送信する。また、基地局装置10は、受信した信号を他の基地局装置10へ送信する。他の基地局装置10は、割り当てた下りチャネルにて信号を受信装置へ送信する。受信装置は、受信した信号をもとに音声信号を再生して、スピーカから音声を出力する。
【0018】
このように、複数の端末装置12が含まれたグループが複数形成されている。また、複数の基地局装置10のそれぞれがグループ単位にチャネルを割り当てる。その結果、チャネルを割り当てたグループに含まれたひとつの端末装置12から、当該グループに含まれた残りの端末装置12への通信がなされる。
【0019】
なお、グループに含まれた複数の端末装置12の間で、送信装置と受信装置とが入れ替わってもよい。受信装置として動作した端末装置12において、送信すべき信号が発生した場合、当該端末装置12は、前述のごとく、発信要求が含まれた上り制御チャネルを送信することによって、送信装置に切り替わる。また、送信装置として動作した端末装置12は、信号の送信を終了すると、受信装置に切り替わる。このようなグループ通話は、ひとつの通話が発生した場合に、各基地局装置10のチャネルをひとつ使用する。そのため、同1グループに含まれた端末装置12が、広範囲の基地局装置10に登録されている場合、1通話で基地局装置10の数分のチャネルが使用される。以上の処理は、グループごとになされる。
【0020】
図1では、グループ1の通話がなされている状況を示す。第2端末装置12bが送信装置に相当する。第2端末装置12bは、第2基地局装置10bのCh8を使用して信号を送信する。第1基地局装置10a、第3基地局装置10cには、グループ1が登録されている。そのため、第1端末装置12aは、第1基地局装置10aのCh3を使用して信号を受信し、第3端末装置12cは、第3基地局装置10cのCh3を使用して信号を受信する。一方、第4基地局装置10dには、グループ1が登録されていないので、第4基地局装置10dへは、第2端末装置12bからの信号が出力されない。
【0021】
例えば、グループ1が第2基地局装置10bだけに登録されている場合、グループ1の通話が発生すると、第2基地局装置10bのCh8にて送信装置が信号を送信し、第2基地局装置10bのCh3にて受信装置が信号を受信する。そのため、ひとつの基地局装置10だけの1組のチャネルが使用される。また、グループ1がふたつの基地局装置10に登録されている場合、グループ1の通話が発生すると、ふたつの基地局装置10のそれぞれにおいて1組のチャネルが使用される。そのため、2組のチャネルが使用される。これは、携帯電話システムのような1対1通話と同じだけのチャネルの消費に相当する。さらに、グループ1が3つ以上の基地局装置10に登録されている場合、3組以上のチャネルが消費される。第3基地局装置10cのすべてのチャネルが他のグループに使用されている場合、第3基地局装置10cにおいてグループ1の通話がなされない。これは、ミスコールあるいはビジー状態に相当する。
【0022】
図2は、業務用無線システム100による通信手順を示すシーケンス図である。第2端末装置12bは、上り制御チャネルにて発信要求を送信する(S10)。第2基地局装置10bは、発信要求を第1基地局装置10aに通知する(S12)。第2基地局装置10bおよび第1基地局装置10aは、グループ1にチャネルを割り当てる(S14、S16)。第2基地局装置10bは、下り制御チャネルにて割当結果を送信する(S18)。第2端末装置12bは、上りデータを第2基地局装置10bへ送信する(S20)。第2基地局装置10bは、第1基地局装置10aへデータを送信する(S22)。第1基地局装置10aは、下り制御チャネルにて割当結果を送信する(S24)。第1基地局装置10aは、下りデータを第1端末装置12aへ送信する(S26)。
【0023】
図3は、監視装置20の構成を示す。監視装置20は、受付部30、処理部32、記憶部34、選択部36、表示部38を含む。受付部30は、
図1のネットワーク14に接続されている。受付部30は、ネットワーク14を介して、複数の基地局装置10のそれぞれからの情報を受けつける。情報は、各基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の数に相当する。
図4(a)−(d)は、受付部30において受けつける情報のデータ構造を示す。
図4(a)は、第1基地局装置10aからの情報を示す。各グループに含まれた端末装置12の数、すべての端末装置12の総数が示される。
図4(b)−(d)も同様である。なお、これらの情報が各基地局装置10から受信されるのではなく、図示しないデータベースに一旦記憶されて、受付部30は、当該データベースから情報を受けつけてもよい。
図3に戻る。
【0024】
処理部32は、受付部30において受けつけた情報を記憶部34に出力する。記憶部34は、処理部32からの情報をデータベースとして記憶する。
図5は、記憶部34において記憶されるデータベースのデータ構造を示す。記憶部34は、各基地局装置10に登録されているグループ、端末装置12の数を時系列で記憶する。取得時刻は、情報を取得した時刻を示す。なお、時刻の単位は任意であり、時、分、秒、ミリ秒、マイクロ秒等を用いることができるが、本実施例では、簡略化のため、時、分を用いて、「12:30」(12時30分)等の表記を行う。また、この取得時刻は、年、月、日、曜日等の情報を含む、いわゆる「取得日時」であってもよく、以下では取得日時である場合も含めて、取得時刻と表記する。Group登録要素は、登録されたグループの番号を示し、Group登録端末台数は、各グループに含まれた端末装置12の数を示す。
図3に戻る。
【0025】
選択部36は、監視対象とするひとつのグループをユーザに選択させるためのインターフェイスである。処理部32は、グループを選択させるための表示データ(画面データ)を作成し、表示部38に表示させる。
図6は、表示部38において表示されるグループ選択用の画面を示す。処理部32が、記憶部34からグループの一覧を取得し、一覧を「Group List」に表示するデータを作成する。ユーザは、キーボード、マウス等の操作部を使用して、「Selected Group」にグループを移動させることによって、グループを選択する。なお、グループを選択させるための画面は、ラジオボタン、プルダウンメニューによって構成されてもよい。
図3に戻る。このように、選択部36は、複数のグループのうちのひとつを選択し、選択した結果を処理部32へ出力する。
【0026】
処理部32は、選択部36からの選択結果を受けつける。処理部32は、記憶部34から、選択部36において選択したグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10ごとに抽出する。処理部32は、抽出した端末装置12の数に応じた半径の円グラフを基地局装置10ごとに作成する。例えば、端末装置12の数が多くなるほど、円グラフの半径が大きくなる。処理部32は、各基地局装置10の位置が対応づけられた地図画像を保持しており、基地局装置10の位置に、当該基地局装置10に対応した円グラフを重畳する。各基地局装置10に対してこのような処理がなされる。処理部32は、円グラフが重畳された地図画像である表示データ(以下、これもまた「地図画像」という)を表示部38に表示させる。すなわち、処理部32が表示データを作成し、それを表示部38に表示させる。
【0027】
なお、基地局装置10に接続された端末装置12の数を示すために、ここでは、円グラフを使用しているが、円グラフに限定されるものではない。例えば、棒グラフ等の別のグラフであってもよい。その際、端末装置12の数が多くなるほど、棒が長くされることによって、端末装置12の数をユーザが認識可能なように表示される。また、円が別の形状であってもよく、例えば、四角等であってもよい。この場合も、端末装置12の数をユーザが認識可能なように表示される。さらに、地図画像が省略され、グラフだけが生成されてもよく、あるいは端末装置12の数(数字)だけが示されてもよいが、ここでは、地図画像が省略されないものとして説明する。
【0028】
表示部38は、処理部32からの地図画像を表示する。つまり、表示部38は、選択部36において選択したグループに含まれた端末装置12の数を円グラフとして基地局装置10ごとに表示する。
図7は、表示部38において表示される画面を示す。ここでは、グループ1が選択されている。図示のごとく、各基地局装置10の位置に、グループ1に含まれた端末装置12の数を半径とした円グラフが表示されている。このように、表示部38は、受付部30において受けつけた情報をもとに、少なくともひとつのグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10ごとに表示する。なお、表示部38を監視装置20に含めずに、監視装置20に表示装置(図示せず)を接続し、外部の表示装置に情報を表示させるように構成することも可能である。
【0029】
監視装置20の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0030】
本実施例によれば、各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報をもとに、少なくともひとつのグループに含まれた端末装置の数を基地局装置ごとに表示するので、グループ内の通話がなされている場合の通信の状況を把握できる。また、複数のグループのうちのひとつを選択し、選択したグループに含まれた端末装置の数を基地局装置ごとに表示するので、ひとつのグループにおける通信の状況を容易に把握できる。また、グラフと地図画像によって、選択したグループに含まれた端末装置の数を基地局装置ごとに表示するので、特定のグループにおける端末装置分布状況、基地局装置間通信の発生エリアを容易に把握できる。また、円グラフの半径が大きいほど、端末装置からの発呼が発生しやすくなるので、基地局装置のチャネルリソースの不足度合いを推測できる。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。実施例1における監視装置は、選択したグループに対して、各基地局装置に登録された端末装置の数をグラフによって表示する。このような表示によって、ある特定の時刻における通信状況の把握が可能になる。一般的に通信状況は、時刻の経過とともに変化する。実施例2は、通信状況の変動をユーザに知らしめることを目的とする。実施例2に係る監視装置は、実施例1の表示を時系列で変化させながら表示する。その際の表示は、例えば、アニメーション表示のようになされる。実施例2に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、3と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0031】
受付部30は、ネットワーク14を介して、複数の基地局装置10のそれぞれからの情報を順次受けつける。例えば、受付部30は情報を周期的に受けつける。順次受けつけた情報のそれぞれは、各基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の数であって、かつ所定の時刻での数に相当する。処理部32は、選択部36からの選択結果を受けつける。処理部32は、選択部36において選択したグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10ごとに記憶部34から抽出する。処理部32は、前述のごとく、円グラフが重畳された地図画像(以下、これもまた「地図画像」という)を生成する。処理部32は、生成した円グラフを表示部38に表示させる。また、処理部32は、
図5における取得時刻を変えながら、前述の処理を繰り返し実行する。その結果、処理部32は、時刻の経過とともに地図画像を更新する。地図画像は、現在日時の情報をリアルタイムに表示更新してもよいし、過去の情報をアニメーション的に短時間で表示してもよい。
【0032】
表示部38は、受付部30において順次受けつけた情報に応じて、地図画像の表示を更新する。
図8(a)−(b)は、本発明の実施例2に係る表示部38において表示される画面を示す。
図8(a)は、所定の時刻(2013/11/27 12:00)における地図画像を示し、
図7に相当する。
図8(b)は、
図8(a)の時刻よりも後の時刻(2013/11/27 13:00)における地図画像を示す。なお、ユーザが時刻や時刻の範囲を指定した場合に、表示部38は、指定された時刻の地図画像だけを表示してもよい。
【0033】
また、
図8に例示したように、表示部38で表示される画面上に「再生」ボタンを配置し、ユーザが「再生」ボタンを押すことにより、過去の取得時刻における端末装置12の数の変化を示すアニメーションが再生されるようにしてもよい。またアニメーションを構成する各コマ(各グラフ)上に、各々のデータの取得時刻(取得日時)を重畳表示してもよい。このような再生機能により、実時間に比べて非常に短い時間で、各基地局装置に登録された端末装置の数の変化を把握できるため、ユーザの利便性が向上する。
【0034】
また、処理部32は、取得時刻(取得日時)が異なる複数のデータを用いて、統計的な処理により新たなデータを算出し、これを表示部38に表示させてもよい。例えば、30分ごとの時刻(「12:00」、「12:30」など)に取得した30日分のデータを記憶部34のデータベースに格納しておく。そして、ある時刻(例えば、「12:00」)に該当する30個のデータの平均値を算出する。このように、1日(24時間)内の所定時刻ごとに算出した、基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の数の平均値を、時刻情報と合わせて表示してもよい。このような平均値を算出すると、突発的な事象の影響を軽減することができるので、時刻の推移に伴う端末装置の数の時間変化の傾向をより高い精度で表示することができる。また、平均値以外に、中央値、最頻値、四分位値、最大値、最小値などの統計値(代表値など)を算出し、それらに基づくグラフを作成してもよい。
【0035】
さらに、同一の曜日、かつ同一の時刻のデータを用いて平均値などの統計値を算出してもよい。例えば、記憶部34のデータベースから「金曜日の17:30」に該当する複数のデータを読み出し、それらの統計値を算出して表示してもよい。また、毎月の月初(1日の0時0分)からの経過時間ごとに統計値を算出して用いてもよい。例えば、データベースに12カ月分のデータを格納し、「2日 12:00」に該当する12個のデータから統計値を算出してもよい。なお、取得時刻が多少異なるデータを同一の時刻とみなして、演算処理を行ってもよい。また、このような統計値を算出して表示する場合、必ずしもアニメーション表示を行わなくてもよい。例えば、複数のデータからひとつの時刻(例えば、「12:00」)に対応する統計値を算出するだけでもよい。この場合、表示する画像がひとつしか生成されないので、アニメーションではなく、静止画として表示することになる。
【0036】
本実施例によれば、表示を更新するので、端末装置の数の時間変化を容易に把握できる。また、時間経過に応じたグループの分布の遷移が示されるので、チャネルリソースの必要なサイトが一時的なものなのか、定常的に不足しているのかを容易に判断できる。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。これまでは、選択したグループに対して、各基地局装置に登録された端末装置の数をグラフによって表示する。一方、実施例3は、複数のグループを含めた場合の通信状況をユーザに知らしめることを目的とする。実施例3に係る監視装置は、選択したグループの代わりに、すべてのグループに含まれた端末装置12の総数をグラフによって表示する。また、監視装置は、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合も表示する。実施例3に係る業務用無線システム100は、
図1と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0037】
図9は、本発明の実施例3に係る監視装置20の構成を示す。監視装置20は、受付部30、処理部32、記憶部34、表示部38を含む。処理部32は、ひとつの基地局装置10に登録されたすべてのグループに含まれた端末装置12の総数を計算する。
図5を例にすると、取得時刻「12:00」の第1基地局装置10aに対して、「Group登録端末台数」に示された「20」、「10」、「10」、「60」、「40」の総数が計算される。処理部32は、総数に応じた半径の円グラフを作成する。例えば、総数が多くなるほど、円グラフの半径が大きくされる。
【0038】
その際、グループごとの端末装置12の数の割合に応じて、円グラフが分割される。例えば、端末装置12の数の割合が大きいグループに対しては、中心角の大きい扇形を形成するように、円グラフが分割される。処理部32は、これまでと同様に、各基地局装置10の位置を対応づけられた地図画像を保持しており、基地局装置10の位置に、当該基地局装置10に対応した円グラフを重畳する。各基地局装置10に対してこのような処理がなされる。処理部32は、円グラフが重畳された地図画像(以下、これもまた「地図画像」という)を表示部38に表示させる。
【0039】
表示部38は、処理部32からの地図画像を表示する。つまり、表示部38は、基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の総数と、基地局装置10に設定されたグループごとの端末装置12数の割合とを基地局装置10ごとに表示する。
図10は、表示部38において表示される画面を示す。前述のごとく、各基地局装置10に登録されているグループに含まれた端末装置12の総数が円グラフの半径の大きさで表現されている。総数のうち、各グループの占める割合が扇形の角度として表現される。さらに、各グループを表す扇形は、グループごとに色分けされてもよい。
【0040】
ここでは、
図11、
図12をもとに、実施例3をさらに説明する。
図11は、本発明の実施例3に係る業務用無線システム100でのチャネル構成の一例を示す。
図11は、
図1と同様であるが、表示を簡略化するために、下り制御チャネル、上り制御チャネル、上りチャネルを省略し、下りチャネルのみを示す。そのため、ここでは、下りチャネルと上りチャネルの組合せを1チャネルとして説明する。
図12は、
図11での一例に対応した画面を示す。
【0041】
この場合、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとの間で通話が発生するが、グループ通話は、1グループあたりに1チャネルしか使用しないので、端末装置12の総数が多くてもチャネルリソースは十分である。その結果、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bに対するチャネルリソースの増強は必要ないといえる。また、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとのそれぞれにおけるグループ数が少ないので、第1基地局装置10aと第2基地局装置10b間の通信量も少なくて済む。その結果、第1基地局装置10aと第2基地局装置10b間のリソースの増強も必要ないといえる。
【0042】
一方、第3基地局装置10cと第4基地局装置10dでは、チャネルリソースが少ないにもかかわらず、登録されたグループの数が多い。第3基地局装置10cと第4基地局装置10dでは、端末装置12の総数は少ないが、すべてのグループに対するチャネルリソースが確保されていない。仮にチャネルリソースが増強されたとしても、すべてのグループが通話した場合、第3基地局装置10cと第4基地局装置10d間の通信量は、第1基地局装置10aと第2基地局装置10b間の通信量よりも倍近く増えることが予想される。このように
図12の表示が提供されることによって、ユーザは、基地局装置10間の通信量、基地局装置10のチャネルリソースの増強の必要性を判断しやすくなる。
【0043】
なお、
図12に示す画面において、各基地局の円グラフに対応させて、それぞれの基地局の持つチャネルリソース(例えば、チャネル数)に関する情報を表示してもよい。例えば、
図12における「第1基地局装置」の表示の代わりに「第1基地局装置(チャネル数=4)」といった表示をしてもよい。あるいは、円グラフの中心部分に、基地局の持つチャネルリソースに関する情報を表示してもよい。このような表示をすると、ユーザはシステムリソースの不足、充足をさらに容易に判断することができる。
【0044】
また、実施例2と同様に、
図12に示す表示を時系列で変化させて表示してもよい。この際に、実時間(リアルタイム)で表示してもよいし、過去の取得時刻のデータを実時間とは異なる速さでアニメーション的に再生してもよい。
【0045】
本実施例によれば、基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の総数を表示するので、発呼の発生されやすさを容易に把握できる。また、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合を表示するので、グループ通話のトラヒック量を容易に把握できる。また、各基地局装置におけるすべてのグループに含まれた端末装置の分布が示されるので、基地局装置単位でのチャネルリソースの不足度合いを推測できる。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。実施例4は、着目する基地局装置において登録されているグループが、他の基地局装置においてどのように登録されているかをユーザに知らしめることを目的とする。前述のごとく、グループ通話では、同一のグループが登録されている基地局装置間の通信がなされる。そのため、着目する基地局装置において登録されているグループが、他の基地局装置においてどのように登録されているかを認識することによって、基地局装置間の通信が発生する経路が認識される。実施例4に係る監視装置は、選択した基地局装置に登録されたグループが、他の基地局装置において登録されているかを表示する。実施例4に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、3と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0046】
選択部36は、ユーザからの指示にしたがって、ひとつの基地局装置10を選択する。これに先立って、ユーザは、キーボード、マウス等の操作部を使用して、複数の基地局装置10の中から、ひとつの基地局装置10を選択する。選択部36は、選択した結果を処理部32へ出力する。
【0047】
処理部32は、選択部36からの選択結果を受けつける。処理部32は、選択部36において選択した基地局装置10において登録されたグループを記憶部34から特定する。例えば、第4基地局装置10dにグループ3、グループ4、グループ5が登録されている場合、第4基地局装置10dが選択されれば、処理部32は、グループ3、グループ4、グループ5を特定する。処理部32は、実施例3と同様に、選択した基地局装置10に登録されたすべてのグループに含まれた端末装置12の総数を計算し、総数に応じた半径の円グラフを作成する。また、処理部32は、グループごとの端末装置12の数の割合に応じて、円グラフを分割する。その結果、選択した基地局装置10に対して、実施例3と同様のグラフが生成される。
【0048】
また、処理部32は、記憶部34に記憶されたデータベースを参照することによって、特定したグループが登録されている他の基地局装置10を検出する。検出される基地局装置10は、ひとつ以上であってもよい。処理部32は、検出された基地局装置10のそれぞれにおいて、特定したグループに含まれた端末装置12の総数を計算し、総数に応じた半径の円グラフを作成する。前述の例では、グループ3、グループ4、グループ5に含まれた端末装置12の総数が、検出された基地局装置10ごとに計算される。さらに、処理部32は、グループごとの端末装置12の数の割合に応じて、円グラフを分割する。
【0049】
処理部32は、これまでと同様に、各基地局装置10の位置を対応づけられた地図画像を保持しており、基地局装置10の位置に、当該基地局装置10に対応した円グラフを重畳する。各基地局装置10に対してこのような処理がなされる。また、処理部32は、このような処理を他の基地局装置10に対しても実行する。処理部32は、円グラフが重畳された地図画像である表示データ(以下、これもまた「地図画像」という)を表示部38に表示させる。
【0050】
表示部38は、処理部32からの地図画像を表示する。つまり、表示部38は、選択部36において選択した基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の総数と、当該グループごとの端末装置12数の割合とを基地局装置10ごとに表示する。
図13は、本発明の実施例4に係る表示部38において表示される画面を示す。ユーザによって第4基地局装置10dが選択され、選択した第4基地局装置10dに登録されている各グループに含まれた端末装置12の総数が円グラフの大きさで示される。また、周辺の他の基地局装置10に登録されているグループの中で、第4基地局装置10dに登録されているグループに含まれた端末装置12の総数も円グラフの大きさで示される。その際、第4基地局装置10dに登録されていないグループは、周辺の他の基地局装置10に対する円グラフに表示されない。例えば、
図13に示す例では、第1基地局装置10aには、第4基地局装置10dと共通するグループが登録されていないため、図中の「第1基地局装置」に対応する円グラフが表示されていない。さらに、各グループを表す扇形は、グループごとに色分けされてもよい。
【0051】
本実施例によれば、選択した基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の総数と、当該グループごとの端末装置数の割合とを基地局装置ごとに表示するので、選択した基地局装置がどの基地局装置と通信するか、あるいは通話エリアを一目で把握できる。また、表示される他の基地局装置が多ければ多いほど、基地局装置間の通信量は大きくなることを推測できる。
(実施例5)
次に、実施例5を説明する。実施例5は、実施例1の変形例に相当し、実施例1と同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。実施例1における監視装置は、選択したグループに対して、各基地局装置に登録された端末装置の数をグラフによって表示する。具体的には、端末装置の数に応じて円グラフの半径が調節されている。実施例5は、端末装置の数以外の情報をグラフによってユーザに知らしめることを目的とする。実施例5に係る監視装置は、基地局装置の混雑度を示す指標を導出して、混雑度の値に応じてグラフを生成する。実施例5に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、3と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0052】
処理部32は、選択部36からの選択結果を受けつける。処理部32は、選択部36において選択したグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10ごとに記憶部34から抽出する。処理部32は、抽出した端末装置12の数と、基地局装置10に設定可能なチャネルの数との比率を基地局装置10ごとに導出する。ここでは、比率として、選択されたグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10のチャネル数で除算した値(以下、「指標1」という)が導出される。この指標1が円グラフの半径とされており、指標1が大きくなるほど、半径が大きくされる。
【0053】
例えば、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとのそれぞれにおいて、所定のグループに含まれた端末装置12の数が同一であるとする。また、第1基地局装置10aで設定可能なチャネル数が「10」であり、第2基地局装置10bで設定可能なチャネル数が「20」であるとする。このような状況下では、第2基地局装置10bよりも第1基地局装置10aの方がビジー発生確率が高いといえる。指標1は、基地局装置10の混雑度を示す指標ともいえるので、処理部32は、受付部30において受けつけた情報をもとに、各基地局装置10の混雑度を示す指標を導出している。
【0054】
さらに、処理部32は、これまでと同様に、各基地局装置10の位置を対応づけられた地図画像を保持しており、基地局装置10の位置に、当該基地局装置10に対応した円グラフを重畳する。各基地局装置10に対してこのような処理がなされる。処理部32は、円グラフが重畳された地図画像である表示データ(以下、これもまた「地図画像」という)を表示部38に表示させる。
【0055】
表示部38は、処理部32からの地図画像を表示する。つまり、表示部38は、選択部36において選択したグループに対して、処理部32において導出した指標1、つまり混雑度を示す指標を円グラフとして基地局装置10ごとに表示する。表示は、
図7と同様である。なお、これまでと同様に、指標1を表示するために、円グラフに限らず、棒グラフなど他の形式のグラフが使用されてもよい。またグラフではなく、指標1の数値がそのまま表示されてもよい。
図14は、本発明の実施例5に係る表示部38において表示される別の画面を示す。図示のごとく、各基地局装置10に対する指標1が棒グラフとして示されている。
図14のように、グラフを地図画像に重畳せずに表示してもよい。
【0056】
本実施例によれば、各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報をもとに、各基地局装置の混雑度を示す指標を導出し、導出した指標を少なくともひとつのグループに対して基地局装置ごとに表示するので、通信量が大きくなる基地局装置を把握できる。また、選択したグループに含まれた端末装置の数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を基地局装置ごとに導出して表示するので、チャネルがビジーになりやすい基地局装置を特定できる。また、指標1を表示することにより、ビジー発生確率や基地局装置の設備増強の必要性を容易に把握できる。
(実施例6)
次に、実施例6を説明する。実施例6は、実施例5と実施例2との組合せに相当し、これまでと同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。実施例5における監視装置は、選択したグループに対して、基地局装置の混雑度を示す指標1をグラフによって表示している。実施例6に係る監視装置は、実施例5の表示を時系列で変化させながら表示する。その際の表示は、例えば、アニメーション表示のようになされる。実施例6に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、3と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0057】
処理部32は、選択部36からの選択結果を受けつける。処理部32は、選択部36において選択したグループに含まれた端末装置12の数を基地局装置10ごとに記憶部34から抽出する。処理部32は、前述のごとく、指標1を導出することによって、円グラフが重畳された地図画像(以下、これもまた「地図画像」という)を生成する。処理部32は、生成した円グラフを表示部38に表示させる。また、処理部32は、
図5における取得時刻を変えながら、前述の処理を繰り返し実行する。その結果、処理部32は、受付部30において順次受けつけた情報に応じて、指標1を順次導出する。表示部38は、処理部32において順次導出した指標1によって地図画像の表示を更新する。ここでの表示は、
図8(a)−(b)と同様である。実施例2と同様に、地図画像は、現在日時の情報をリアルタイムに表示更新してもよいし、過去の情報をアニメーション的に短時間で表示してもよい。また、処理部32が取得時刻と導出した指標1とを関連付けて、記憶部34のデータベースに記憶させ、地図画像等の表示の際に、記憶部34のデータベースから所定の取得時刻の指標1を読み出すようにしてもよい。また、実施例2で説明したのと同様に、取得時刻(取得日時)が異なる複数のデータを用いて統計値を算出し、その統計値をもとに指標1を算出してもよい。
【0058】
本実施例によれば、指標1の時間変化を容易に把握できる。
(実施例7)
次に、実施例7を説明する。実施例7は、実施例3の変形例に相当し、これまでと同様に、監視装置を含む業務用無線システムに関する。実施例3における監視装置は、すべてのグループに含まれた端末装置12の総数をグラフによって表示するとともに、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合も表示する。実施例7は、端末装置の総数以外の情報をグラフによってユーザに知らしめることを目的とする。実施例7に係る監視装置は、基地局装置の混雑度を示す指標を導出して、混雑度の値に応じてグラフを生成する。実施例7に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、9と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0059】
処理部32は、ひとつの基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の総数と基地局装置10に設定可能なチャネルの数との比率を導出する。ここでは、比率として、各基地局装置10において、グループに含まれた端末装置12の総和を基地局装置10のチャネル数で除算した値(以下、「指標2」という)が導出される。この指標2が円グラフの半径とされており、指標2が大きくなるほど、半径が大きくされる。また、グループごとの端末装置12の数の割合に応じて、円グラフが分割される。さらに、処理部32は、これまでと同様に、各基地局装置10の位置を対応づけられた地図画像を保持しており、基地局装置10の位置に、当該基地局装置10に対応した円グラフを重畳する。各基地局装置10に対してこのような処理がなされる。処理部32は、円グラフが重畳された地図画像である表示データ(以下、これもまた「地図画像」という)を表示部38に表示させる。
【0060】
表示部38は、処理部32からの地図画像を表示する。つまり、表示部38は、処理部32において導出した指標2を基地局装置10ごとに表示するとともに、基地局装置10に設定されたグループごとの端末装置12の数の割合を基地局装置10ごとに表示する。表示は、
図10と同様である。指標2の値が大きく、かつ登録されたグループ数が多い基地局装置10ほど、ビジーが発生する確率が高く、基地局装置10の設備増強の必要性が高いといえる。この指標2も、基地局装置10の混雑度を示す指標ともいえる。また、円グラフではなく、棒グラフなど他の形式のグラフを表示してもよい。例えば、指標2を棒グラフの高さとし、グループごとの端末装置12の数に応じて、棒グラフを分割した表示がなされてもよい。さらに、基地局装置10に設定されたグループごとの端末装置12の数の割合が表示されなくてもよい。
【0061】
本実施例によれば、基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の総数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を基地局装置ごとに導出して表示するので、ビジー発生確率や基地局装置の設備増強の必要性を容易に把握できる。また、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合を基地局装置ごとに表示するので、通話が発生しやすい基地局装置を特定できる。
(実施例8)
次に、実施例8を説明する。実施例8は、実施例7の変形例に相当する。実施例8の指標は、指標2と異なる。実施例8に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、9と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0062】
処理部32は、ひとつの基地局装置10に登録されたグループの数と基地局装置10に設定可能なチャネルの数との比率を導出する。ここでは、比率として、各基地局装置10において登録されたグループ数を基地局装置10のチャネル数で除算した値(以下、「指標3」という)が導出される。この指標3が円グラフの半径あるいは棒グラフの高さとされている。なお、グループごとのグラフの分割はなされない。
【0063】
指標3の値が大きい基地局装置10ほど、ビジーが発生する確率が高く、基地局装置10の設備増強の必要性が高いといえる。例えば、第1基地局装置10aのチャネル数が「10」であり、登録されたグループ数が「5」であり、第2基地局装置10bのチャネル数が「20」であり、登録されたグループ数が「2」であるとする。その場合、第1基地局装置10aの指標3は「0.5」であり、第2基地局装置10bの指標3は「0.1」である。第2基地局装置10bに比べて、第1基地局装置10aはビジーになる確率が高く、設備増強の必要性も高いと判断される。このような指標3も、基地局装置10の混雑度を示す指標ともいえる。
【0064】
本実施例によれば、基地局装置に登録されたグループの数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を基地局装置ごとに導出して表示するので、基地局装置の設備増強の必要性を容易に把握できる。また、グループに含まれた端末装置の数の代わりに、指標3を使用するので、処理を簡易にできる。
(実施例9)
次に、実施例9を説明する。実施例9は、実施例7、8の変形例に相当する。実施例8の指標は、指標2、指標3と異なる。実施例8に係る業務用無線システム100、監視装置20は、
図1、9と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0065】
処理部32は、基地局装置10に登録されたグループに含まれた端末装置12の総数と基地局装置10に設定可能なチャネルの数との比率と、基地局装置10に登録されたグループの数と基地局装置10に設定可能なチャネルの数との比率とをもとに指標を導出する。ここでは、式(1)または式(2)にしたがった「指標4」が導出される。式(1)および式(2)において、所定の基地局装置10のチャネル数が「C」とされ、基地局装置10に登録されたグループ数が「G」とされ、グループjに含まれた端末装置12の数がD[j]とされ、指標4がZ[4]とされている。式(1)は、次のように示される。
【0066】
【数1】
式(1)において、α1、α2は、α1>0、α2>0を満たす定数であり、λ1、λ2は、λ1>0、λ2>0を満たす定数である。また、Nはすべてのグループの数を示す。式(1)は、α1、α2を重み係数として、ふたつの項を加重平均しているといえる。α1に比べてα2が大きいほど、指標4におけるグループ数Gの影響力が大きくなる。また、λ1=λ2=1として、べき乗演算を行わないようにしてもよい。
【0068】
【数2】
式(2)において、βは、β>0を満たす定数であり、μ1、μ2は、μ1>0、μ2>0を満たす定数である。また、μ1=μ2=1としてべき乗の演算を行わないようにしてもよい。式(1)または式(2)にしたがって算出される指標4は、基地局装置10のチャネル数Cが小さいほど、かつグループ数Gが大きいほど、かつ端末装置12の総和が大きいほど、大きな値になる。指標4が大きくなるほど、基地局装置10でビジーが発生する確率が高く、基地局装置10の設備増強の必要性が高いといえる。このような指標4も、基地局装置10の混雑度を示す指標ともいえる。
【0069】
本実施例によれば、指標4を基地局装置ごとに表示するので、ビジー発生確率や基地局装置の設備増強の必要性を正確に把握できる。また、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合を基地局装置ごとに表示するので、通話が発生しやすい基地局装置を特定できる。
【0070】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0071】
本発明の実施例3に実施例2を組み合わせてもよい。この場合、実施例3の表示が、時間経過とともに更新される。本変形例によれば、基地局装置全体のチャネルリソースの不足度合いが一時的なものかであるか、定常的なものであるかを判断できる。
【0072】
本発明の実施例4に実施例2を組み合わせてもよい。この場合、実施例4の表示が、時間経過とともに更新される。本変形例によれば、通話エリアの変化が時間と共に遷移していくかどうかを把握できる。また、基地局装置間の通話量が大きい時間帯と小さい時間帯
を推測できる。
【0073】
本発明の実施例7乃至9のいずれかに実施例6を組み合わせてもよい。この場合、実施例7乃至9の表示が、時間経過とともに更新される。本変形例によれば、指標2乃至4のいずれかの時間変化を容易に把握できる。
【0074】
本発明の実施例5乃至9における指標1乃至4(指標Z[i](i=1〜4))において、定数a、bを用いて、a×Z[i]+bを算出し、それを新たな指標としてもよい。また、対数関数を用いてlog(Z[i])とした値や、平方根を用いてsqrt(Z[i])とした値を算出し、それらを新たな指標としてもよい。本変形例によれば、指標の数値を扱いやすい範囲(レンジ)に収めることができる。
【0075】
本発明の実施例1乃至9において、監視装置20は、ネットワーク14に接続されている。しかしながらこれに限らず例えば、監視装置20は、いずれかの基地局装置10に内蔵されていてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0076】
本発明の実施例は、次の項目によって特徴付けられてもよい。
(項目1)
複数の端末装置が含まれたグループが複数形成されるとともに、複数の基地局装置のそれぞれがグループ単位にチャネルを割り当てることによって、チャネルを割り当てたグループに含まれたひとつの端末装置から、当該グループに含まれた残りの端末装置への通信がなされる通信システムを監視する監視装置であって、
各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報を受けつける受付部と、
前記受付部において受けつけた情報をもとに、各基地局装置の混雑度を示す指標を導出し、導出した指標を基地局装置ごとに表示するための表示データを作成する処理部と、
を備えることを特徴とする監視装置。
(項目2)
複数のグループのうちのひとつを選択する選択部をさらに備え、
前記処理部は、前記選択部において選択したグループに含まれた端末装置の数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を前記指標として基地局装置ごとに導出し、前記選択部において選択されたグループに対して、導出した指標を基地局装置ごとに表示するための表示データを作成することを特徴とする項目1に記載の監視装置。
(項目3)
前記処理部は、前記受付部において受けつけた情報をもとに、基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の総数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を前記指標として基地局装置ごとに導出することを特徴とする項目1に記載の監視装置。
(項目4)
前記処理部は、前記受付部において受けつけた情報をもとに、基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の総数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率と、基地局装置に登録されたグループの数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率とを算出し、前記算出されたふたつの比率に基づき前記指標を基地局装置ごとに導出することを特徴とする項目1に記載の監視装置。
(項目5)
前記処理部は、前記受付部において受けつけた情報をもとに、基地局装置に登録されたグループの数と基地局装置に設定可能なチャネルの数との比率を前記指標として基地局装置ごとに導出することを特徴とする項目1に記載の監視装置。
(項目6)
前記処理部は、前記導出した指標に加えて、基地局装置に設定されたグループごとの端末装置数の割合を基地局装置ごとに表示するための表示データを作成することを特徴とする項目3または4に記載の監視装置。
(項目7)
前記受付部は、各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報を順次受けつけ、
前記処理部は、前記受付部において順次受けつけた情報に応じて、前記指標を順次導出し、順次導出した指標によって表示データを更新することを特徴とする項目1から6のいずれかに記載の監視装置。
(項目8)
前記受付部は、各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報を順次受けつけ、
前記処理部は、前記受付部において順次受けつけた複数の情報を用いて、端末装置の数に係る統計値を算出し、前記統計値をもとに前記指標を導出することを特徴とする項目1から7のいずれかに記載の監視装置。
(項目9)
複数の端末装置が含まれたグループが複数形成されるとともに、複数の基地局装置のそれぞれがグループ単位にチャネルを割り当てることによって、チャネルを割り当てたグループに含まれたひとつの端末装置から、当該グループに含まれた残りの端末装置への通信がなされている通信システムを監視する監視方法であって、
各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報を受けつけるステップと、
受けつけた情報をもとに、各基地局装置の混雑度を示す指標を導出するステップと、
導出した指標を基地局装置ごとに表示するための表示データを作成するステップと、
を備えることを特徴とする監視方法。
(項目10)
複数の端末装置が含まれたグループが複数形成されるとともに、複数の基地局装置のそれぞれがグループ単位にチャネルを割り当てることによって、チャネルを割り当てたグループに含まれたひとつの端末装置から、当該グループに含まれた残りの端末装置への通信がなされている通信システムを監視するプログラムであって、
各基地局装置に登録されたグループに含まれた端末装置の数の情報を受けつけるステップと、
受けつけた情報をもとに、各基地局装置の混雑度を示す指標を導出するステップと、
導出した指標を基地局装置ごとに表示するための表示データを作成するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。