(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2投影手段は、前記映像位置逸脱推定手段により前記逸脱が推定された場合においても、前記第2の虚像の視認性を保持または前記逸脱の推定前の視認性以上とすることを特徴とする請求項1に記載の車両情報投影システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0012】
図1に本実施の形態に係る車両情報投影システム1のシステム構成を示す。
本実施形態に係る車両情報投影システム1は、第1の虚像V1を表す第1表示光N1と、第2の虚像V2を表す第2表示光N2とを自車両2のフロントガラス2aに投影し、第1の虚像V1及び第2の虚像V2を自車両2の乗員3に視認させるヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置)100と、自車両2に関する車両情報、及び自車両2の周辺の車外状況などを取得する情報取得部200と、情報取得部200から入力される情報に基づき、HUD装置100の表示を制御する表示コントローラ300と、から構成される。
【0013】
HUD装置100は、第1表示光N1を出射する第1投影手段10と、第2表示光N2を出射する第2投影手段20と、を筐体30内に配置したものであり、筐体30に設けられた透過部30aから第1表示光N1と第2表示光N2をフロントガラス2aの遠方表示領域E1と近傍表示領域E2へ出射する。フロントガラス2aの遠方表示領域E1に反射した第1表示光N1は、
図2乃至
図4に示すように、結像距離が比較的長く、乗員3から離れた位置に第1の虚像V1を視認させる。また、フロントガラス2aに反射した第2表示光N2は、第1の虚像V1に比べて結像距離が短く、第1の虚像V1より乗員3側に第2の虚像V2を視認させる。具体的に例えば、第1投影手段10により投影される虚像(第1の虚像V1)は、乗員3から15m以上離れた位置にあるかのように視認され(結像距離15m以上)、第2投影手段20により投影される虚像(第2の虚像V2及び後述する補助虚像V3)は、乗員3から2.5m程度離れた位置にあるかのように視認される。
【0014】
フロントガラス2aの遠方表示領域E1に投影される第1の虚像V1は、目的地までの経路を自車両2の外界の車線(実景)に重畳させて経路誘導する案内経路映像V1a,後述するステレオカメラ201aにより白線を認識し、自車両2が車線を逸脱しそうになった場合、白線近傍に重畳させて白線の存在を認識させて車線逸脱を抑制する、または単に白線近傍に重畳させて白線の存在を認識させる白線認識映像V1b,後述するステレオカメラ201aにより自車両2の車線上にある物体(前方車両や障害物)を認識し、これら認識された車線上の物体の近傍に重畳させて注意を促し、衝突を抑制する衝突警告映像V1c,前方車両に追従するように自車両2の速度を制御するアダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)を使用する際に、前方車両として認識する車両に重畳させ、乗員3に追従する前方車両を認識させる前方車両ロック映像(図示しない),前方車両と自車両2との距離に関する指標を前方車両と自車両2との間の車線に重畳させ、車間距離を乗員に認識させる車間距離映像(図示しない),などであり、自車両2の外界の実景の特定対象(車線、白線、前方車両、障害物など)に合わせて表示されるものである。
【0015】
フロントガラス2aの近傍表示領域E2に投影される第2の虚像V2は、後述する車速センサ206により検出された自車両2の速度情報や回転数情報や燃費情報など自車両2の運行状態に関する運行状態映像V2a,後述するGPSコントローラ203から自車両2の現在位置を認識し、ナビゲーションシステム202から自車両2が現在走行している車線に基づく規制情報(制限速度など)を読み出し、自車両2の現在位置に基づく規制情報に関する規制映像V2b,車両の異常を乗員3に認識させる車両警告映像(図示しない),などであり、自車両2の外界の実景の特定対象に合わせて表示しない映像である。また、近傍表示領域E2に投影される情報映像として、第1の虚像V1に関連する補助虚像V3を具備する。この補助虚像V3の詳細については後に述べる。
【0016】
情報取得部200は、自車両2の前方を撮像し、自車両2の前方の状況を推定する前方情報取得部201と、自車両2の経路案内を行うナビゲーションシステム202と、GPSコントローラ203と、方向指示操作部204と、操舵角センサ(操舵角取得部)205と、車速センサ206と、を備え、それぞれが取得した情報を後述する表示コントローラ300に出力するものである。ちなみに、本願の特許請求の範囲に記載の車外状況推定手段、距離検出手段、車線情報取得部は、本実施形態において前方情報取得部201と、ナビゲーションシステム202と、GPSコントローラ203から構成されるが、自車両2の前方の状況を推定できるものであれば、これらに限定されるものではなく、ミリ波レーダーやソナーまたは道路交通情報通信システムなどの外部通信装置と自車両2との間で通信を行うことによって、自車両2の前方の状況を推定してもよい。
【0017】
前方情報取得部201は、自車両2の前方の情報を取得するものであり、本実施形態では、自車両2前方側を撮像するステレオカメラ201aと、このステレオカメラ201aで取得された撮像データを解析する撮像画像解析部201bと、を有する。
【0018】
ステレオカメラ201aは、自車両2が走行する道路を含む前方領域を撮像するものであり、撮像画像解析部201bがステレオカメラ201aで取得された撮像データをパターンマッチング法により画像解析することで、道路形状に関する情報(車線,白線,停止線,横断歩道,道路の幅員,車線数,交差点,カーブ,分岐路等)や道路上の物体(前方車両や障害物)の有無を解析することができ、さらに撮像された特定対象(白線,停止線,交差点,カーブ,分岐路,前方車両,障害物等)と自車両2との間の距離を算出することができる。
【0019】
すなわち、本実施形態において、前方情報取得部201は、ステレオカメラ201aで撮像した撮像データから解析した、道路形状に関する情報、道路上の物体に関する情報、及び撮像された特定対象と自車両2との距離に関する情報などを表示コントローラ300に出力する。
【0020】
ナビゲーションシステム202は、地図データを記憶する記憶部を有し、GPSコントローラ203からの位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図データを記憶部から読み出し、案内経路を決定し、この案内経路に関する情報を表示コントローラ300に出力し、HUD装置100に案内経路映像V1aなどを表示させることにより、乗員3により設定された目的地までの経路案内を行うものである。
【0021】
また、地図データには、道路に関する情報(道路の幅員,車線数,交差点,カーブ,分岐路等)や制限速度などの道路標識に関する規制情報,車線が複数存在する場合の各車線についての情報(どの車線がどこに向かう車線か)などが、位置データに対応付けられて記憶されており、ナビゲーションシステム202は、GPSコントローラ203からの位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図データを読み出し、表示コントローラ300に出力する。
【0022】
GPS(Global Positioning System)コントローラ203は、人工衛星などからGPS信号を受信し、このGPS信号をもとにして自車両2の位置の計算を行い、計算された自車両位置をナビゲーションシステム202に出力するものである。
【0023】
方向指示操作部204は、乗員3が自車両2の方向指示灯(ウインカー)を制御するものであり、この方向指示灯の操作信号を表示コントローラ300に出力するものである。表示コントローラ300は、方向指示操作部204の操作信号に基づいて、自車両2の進路変更が行われることを事前に推定することができる。
【0024】
操舵角センサ(操舵角取得部)205は、自車両2のハンドル2bの操舵角を検出し、この検出された操舵角情報を表示コントローラ300に出力するものである。表示コントローラ300は、操舵角センサ205の操舵角情報に基づいて、自車両2の進路変更が行われたことを推定することができる。
【0025】
車速センサ206は、自車両2の速度を検出し、この自車両2の速度情報を表示コントローラ300に出力するものである。表示コントローラ300は、車速センサ206から入力される速度情報に基づき、HUD装置100に自車両2の車速を示す運行状態映像V2aを表示させる。また、表示コントローラ300は、車速センサ206から入力される速度情報に基づき、後述する逸脱時調整処理における第1の虚像V1の視認性を漸次低下させる速度を変えるものであり、速度が速い場合は、第1の虚像V1の視認性を急激に低下させ、速度が遅い場合は、第1の虚像V1の視認性を緩やかに低下させるように制御する。
【0026】
表示コントローラ300は、CPU,ROM,RAMからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。表示コントローラ300は、HUD装置100に供給する映像データを記憶する画像メモリ301と、情報取得部200から入力される情報に基づき、画像メモリ301から映像データを読み出して情報映像を生成する情報映像生成手段302と、実景に対応した位置に表示した第1情報映像(第1の虚像V1)が、対応する位置から逸脱することを推定する映像位置逸脱推定手段303と、HUD装置100の第1投影手段10と第2投影手段20の表示制御を行う表示制御手段304と、を有する。
【0027】
情報映像生成手段302は、情報取得部200から入力される情報に基づき、画像メモリから映像データを読み出し、第1投影手段10に表示させる第1情報映像と、第2投影手段20に表示させる第2情報映像とを生成し、表示制御手段304に出力する。
【0028】
第1情報映像の生成において、情報映像生成手段302は、前方情報取得部201から入力される道路形状に関する情報、道路上の物体に関する情報、及び撮像された特定対象との距離に関する情報から、表示形態や表示する位置を決定し、実景の特定対象(経路誘導する分岐路,車線,前方車両や障害物)に対応する位置に第1の虚像Vが視認されるように第1情報映像を生成する。情報映像生成手段302は、具体的に例えば、ナビゲーションシステム202から入力される案内経路に関する情報に基づく自車両2の経路誘導をする案内経路映像V1a,前方情報取得部201から入力される車両前方情報に基づく車線の存在を認識させる白線認識映像V1b,及び前方車両または障害物に対する注意を促す衝突警告映像V1cなどを生成し、これら生成した第1情報映像を表示制御手段304に出力し、速度情報など自車両2の運行状態に関する運行状態映像V2a,制限速度などの規制情報に関する規制映像V2bなどを生成し、これら生成した第2情報映像を表示制御手段304に出力する。
【0029】
映像位置逸脱推定手段303は、実景に対応した位置に表示した第1情報映像(第1の虚像V1)が、対応する位置から逸脱するかを判定するものであり、この逸脱判定結果を表示制御手段304に出力する。
【0030】
映像位置逸脱推定手段303は、前方情報取得部201、ナビゲーションシステム202から入力される情報から前方にカーブや右左折する交差点の有無を判定し、前方にカーブや右左折する交差点がある場合、自車両2が進路変更することによって第1の虚像V1が対応する実景から乗員3の視線左右方向に逸脱することを推定する。また、映像位置逸脱推定手段303は、方向指示操作部204または操舵角センサ205から入力される情報から、自車両2の進路変更を判定し、第1の虚像V1が対応する実景から乗員3の視線左右方向に逸脱することを推定することもできる。
【0031】
また、映像位置逸脱推定手段303は、前方情報取得部201、ナビゲーションシステム202から、第1情報映像が対応する外界の特定対象(交差点,分岐路,前方車両や障害物など)と自車両2との距離情報を入力し、この距離情報と、予め記憶部に記憶しておいた第1の虚像V1の結像距離に関する情報とを比較し、前記外界の特定対象が第1の虚像V1の結像する位置よりも自車両2側であると判定した場合、第1の虚像V1が、対応する実景の特定対象から乗員3の視線奥行き方向に逸脱することを推定する。
【0032】
表示制御手段304は、表示素子や表示素子を照明する光源を駆動するドライバーなどであり、第1投影手段10に第1情報映像を表示させ、第2投影手段20に第2情報映像を表示させるものである。表示制御手段304は、表示素子や光源を制御することにより、第1情報映像(第1の虚像V1)及び第2情報映像(第2の虚像V2)の輝度や明度を調整することができ、これにより第1の虚像V1及び第2の虚像V2の視認性を調整することができる。これら映像の視認性(輝度、明度)は、従来の車両情報投影システムにおいては、図示しない照度センサから入力される乗員3の周辺の照度情報や、図示しない調整スイッチからの操作信号に基づき調整されるのみであるが、本発明の車両情報投影システム1に係る表示制御手段304は、映像位置逸脱推定手段303による前記逸脱判定結果に基づき、第1情報映像及び第2情報映像の輝度や明度を調整することができる逸脱時調整処理を行う。以下に、本発明における逸脱時調整処理について説明する。まず、映像位置逸脱推定手段303により、第1の虚像V1が実景における特定対象から乗員3の視線奥行き方向に逸脱すると推定した場合の第1逸脱時調整処理について説明し、その後に、映像位置逸脱推定手段303により、第1の虚像V1が実景における特定対象から乗員3の視線左右方向に逸脱すると推定した場合の第2逸脱時調整処理について説明する。
【0033】
(第1逸脱時調整処理)
表示制御手段304は、映像位置逸脱推定手段303が、第1情報映像が実景における特定対象から乗員3の視線奥行き方向(Z軸方向)に逸脱すると判定した場合、第1の虚像V1の視認性が時間に応じて漸次低下するように第1投影手段10を制御する第1逸脱時調整処理を行う。第1逸脱時調整処理の具体例を、
図3を用いて説明する。
図3は、乗員3がフロントガラス2aを通して前方を視認したときに視認される景色を示した図であり、自車両2が経路案内において左折する交差点Aに近づいて行く際の表示の切り替わりを説明する図であり、
図3(a)は、左折する交差点A(特定対象)が自車両2から十分離れているときの乗員3が視認する景色を示した図であり、
図3(b)は、左折する交差点A(特定対象)が(a)に比べて近づいたときの乗員3が視認する景色を示した図であり、
図3(c)は、左折する交差点A(特定対象)が十分近づいたときの乗員3が視認する景色を示した図である。
【0034】
表示制御手段304は、外界の特定対象(左折する交差点A)が自車両2から十分離れている際、
図3(a)に示すように、フロントガラス2aの遠方表示領域E1に、案内経路を示す案内経路映像V1aを特定対象(左折する交差点A)に対応させて表示させ、白線認識映像V1bを特定対象(白線S1,S2)に対応させて表示させ、さらにフロントガラス2aの近傍表示領域E2に、車速を示す運行状態映像V2aと規制映像V2bを表示させる。
【0035】
次に、
図3(a)の状態から自車両2が外界の特定対象(左折する交差点A)に近づいた際、映像位置逸脱推定手段303は、第1情報映像が実景における特定対象から逸脱すると判定し、表示制御手段304は、第1逸脱時調整処理を開始する。表示制御手段304は、第1逸脱時調整処理を開始後の時間経過に基づき、第1投影手段10により表示する第1情報映像の視認性を漸次低下させ、第2投影手段20により表示する第2情報映像の視認性はそのままの状態に維持する。このように、第1の虚像V1が外界の特定対象から乗員3の視線奥行き方向に逸脱した場合に第1の虚像V1の視認性を低下させることで、実景とずれた違和感のある表示を認識させづらくすることができ、これにより安全性を向上させることができる。また、第1の虚像V1の視認性を徐々に低下させることで、第1の虚像V1が視認しづらくなるまで(視認ができなくなるまで)猶予を与え、第1の虚像V1が指示する実景の特定対象が近づいたこと、及び特定対象のおおよその位置を把握することができ、前記特定対象に対する乗員3の注意度を高めることができる。第1の虚像V1の視認性が急激に低下した場合、前記特定対象が近づいたことは把握できるが、把握した時には、特定対象を指示する虚像が視認できないため、前記特定対象に対する乗員3の注意度を高めることができない。また、第1逸脱時調整処理時においても第2情報映像の視認性は維持されるため、第2情報映像については常に認識することができる。
【0036】
次に、
図3(b)の状態から自車両2が左折する交差点Aに十分近づいた(第1逸脱時調整処理開始後に十分時間が経過した)際、表示制御手段304は、
図3(c)に示すように、第1の虚像V1を、乗員3が視認できない程度に視認性を低下させ(または非表示にし)、第2投影手段20によりフロントガラス2aの近傍表示領域E2の所定位置に、第1の虚像V1に関連する補助虚像V3を表示させる。本実施形態において、補助虚像V3は、交差点の曲がる方向を矢印で示す図形映像や、交差点までの距離を数値で示すテキスト映像などであるが、アニメーション映像などであってもよく、第1の虚像V1(第1情報映像)に関連するものであれば、表示形態などは限定されない。このように、第1の虚像V1に関連する(外界の特定対象に関連する)情報を、第1の虚像V1に比べて乗員3側に補助虚像V3として視認させることで、第1の虚像V1が視認できなくなっても補助虚像V3により特定対象への情報を常に視認性の高い状態で乗員3に認識させることができ、情報を報知する装置として利便性を損なわない。また、第1の虚像V1を、乗員3が視認できない程度に視認性を低下させることによって、特定対象から奥行方向に逸脱した虚像が視認されることを確実に防止することができる。また、
図3において、補助虚像V3は、第1の虚像V1を、乗員3が視認できない程度に視認性を低下させた際(
図3(c))に、表示を開始していたが、これに限らず、表示制御手段304は、第1の虚像V1が漸次低下していく際(
図3(b))、または低下する前に補助虚像V3を表示してもよい。斯かる構成により、第1の虚像V1が視認しづらくなる前に、乗員3が外界の特定対象に関連する補助虚像V3を視認することができるため、特定対象に対する情報を常に視認性の高い状態で乗員3が認識することができ、利便性を損なわない。
【0037】
(第2逸脱時調整処理)
表示制御手段304は、映像位置逸脱推定手段303が、第1情報映像が実景における特定対象から乗員3の視線左右方向(X軸方向)に逸脱すると判定した場合、第1の虚像V1の視認性が時間に応じて漸次低下するように第1投影手段10を制御する第2逸脱時調整処理を行う。第2逸脱時調整処理の具体例を、
図4を用いて説明する。
図4は、乗員3がフロントガラス2aを通して前方を視認したときに視認される景色を示した図であり、自車両2が道路上の障害物(前方の故障車両T)に近づいて行く際の表示の切り替わりを説明する図であり、
図4(a)は、前方の故障車両T(特定対象)が自車両2から十分離れているときの乗員3が視認する景色を示した図であり、
図4(b)は、自車両2が車線変更を開始した際の乗員3が視認する景色を示した図であり、
図4(c)は、自車両2が車線変更を完了した際の乗員3が視認する景色を示した図である。
【0038】
表示制御手段304は、外界の特定対象(前方の故障車両T)が自車両2から十分離れている際、
図4(a)に示すように、フロントガラス2aの遠方表示領域E1に、前方故障車両を避けるための案内経路を示す案内経路映像V1aを特定対象(車線R1,R2)に対応させて表示させ、白線認識映像V1bを特定対象(白線S1,S2)に対応させて表示させ、衝突警告映像V1cを特定対象(前方故障車両T)に対応させて表示させ、さらにフロントガラス2aの近傍表示領域E2に、車速を示す運行状態映像V2aと規制映像V2bを表示させる。
【0039】
次に、自車両2が車線変更を開始した際、映像位置逸脱推定手段303は、方向指示操作部204からの操作信号や操舵角センサ205からの操舵角情報または前方情報取得部201からの白線S1,S2,S3同士が成す角θ1及び角θ2の変化により、自車両2が車線変更するかを判定し、自車両2が車線変更すると判定された場合、第1の虚像V1(案内経路映像V1a,白線認識映像V1b,衝突警告映像V1c)が実景における特定対象(車線(R1,R2),白線(S1,S2,S3)、前方故障車両T)から逸脱すると判定し、表示制御手段304は、第2逸脱時調整処理を開始する。表示制御手段304は、第2逸脱時調整処理を開始後の時間経過に基づき、第1投影手段10により投影される第1の虚像V1の視認性を漸次低下させ、第2投影手段20により投影される第2の虚像V2の視認性はそのままの状態に維持する。また、第2投影手段20によりフロントガラス2aの近傍表示領域E2の所定位置に、第1の虚像V1に関連する補助虚像V3を表示させる。
【0040】
このように、第1の虚像V1が外界の特定対象から乗員3の視線左右方向に逸脱する場合に第1の虚像V1の視認性を低下させることで、実景とずれた違和感のある表示を乗員3に対して認識させづらくすることができ、これにより安全性を向上させることができる。また、第1の虚像V1の視認性を徐々に低下させることで、第1の虚像V1が視認しづらくなるまで(視認ができなくなるまで)猶予を与え、第1の虚像V1が指示する実景の特定対象が近づいたことと、特定対象のおおよその位置を把握することができ、前記特定対象に対する乗員3の注意度を高めることができる。第1の虚像V1の視認性が急激に低下した場合、前記特定対象が近づいたことは把握できるが、把握した時には、特定対象を指示する虚像が視認できないため、前記特定対象に対する乗員3の注意度を高めることができない。また、第2逸脱時調整処理時においても第2情報映像の視認性は維持されるため、第2情報映像については常に情報を認識することができる。また、このように、第1の虚像V1に関連する(外界の特定対象に関連する)情報を、第1の虚像V1に比べて乗員3側に補助虚像V3として視認させることで、第1の虚像V1が視認できなくなっても補助虚像V3により特定対象への情報を常に視認性の高い状態で乗員3に認識させることができ、情報を報知する装置として利便性を損なわない。
【0041】
次に、自車両2が車線変更を完了した際、映像位置逸脱推定手段303は、第1の虚像V1が実景における特定対象から乗員3の視線左右方向(X軸方向)に逸脱するおそれがないと判定する。表示制御手段304は、その判定に基づき、
図4(c)に示すように、第1の虚像V1を再び表示させる。以下で、本実施形態のHUD装置100の構成の例について説明する。
【0042】
本実施形態におけるHUD装置100は、上述したように、第1の虚像V1をフロントガラス2aの遠方表示領域E1に投影する第1投影手段10と、第2の虚像V2をフロントガラス2aの近傍表示領域E2に投影する第2投影手段20と、制御部(図示しない)を備える。
【0043】
第1投影手段10は、
図5に示すように、制御部から入力される信号に基づき、第1情報映像を表示する第1表示手段11、折り返しミラー12、コリメートレンズ13、平行ミラー14と、出射ミラー15と、を備える。
【0044】
第1表示手段11から出射した画像光Lは、折り返しミラー12によって反射され、コリメートレンズ13に入射する。画像光Lはコリメートレンズ13によって、平行化される(コリメートレンズ13が平行光Mを出射する)。コリメートレンズ13から出射した平行光Mは、平行ミラー14に入射する。平行ミラー14のうち、一方の反射面は、入射した光の一部を反射し一部を第1表示光N1として透過する半透過ミラー14aであり、平行ミラー14に入射した平行光Mは、平行ミラー14内で反射を繰り返しつつ、一部の平行光Mは平行ミラー14から複数の第1表示光N1として出射する(半透過ミラー14aを複数の第1表示光N1が透過する)。第1表示光N1は、コリメートレンズ13により、平行化された光なので、第1表示光N1を乗員3が両眼で視認することにより、第1表示手段11が表示した第1情報映像は、乗員3から遠方にあるように視認される(第1の虚像V1)。本実施形態における第1投影手段10においては、このコリメートレンズ13から出射される平行光Mを平行ミラー14間で複数回反射させることで、第1表示光N1をX軸方向に複製して出射させることができるので、乗員3の両眼がX軸方向に移動しても広範囲で第1の虚像V1を視認することができる。
【0045】
第2投影手段20は、制御部から入力される信号に基づき、第2情報映像を表示する第2表示手段21を有する。この第2表示手段21は、
図6に示すように、第2表示手段21に表示される第2情報映像に関する第2表示光N2が出射ミラー15により反射され、フロントガラス2aの近傍表示領域E2に投影される位置に配設され、フロントガラス2aの近傍表示領域E2に第2の虚像V2を投影するものである。
【0046】
筐体30は、第1表示手段11、 折り返しミラー12、コリメートレンズ13、平行ミラー14、出射ミラー15、第2表示手段21を収納するものであり、それぞれを位置決め固定する。筐体30は、出射ミラー15が反射する第1表示光N1と第2表示光N2とをフロントガラス2aに出射するための透過部30aを有する。
【0047】
制御部(図示しない)は、CPU、ROM、汎用メモリ、ビデオメモリ、外部インターフェース等から構成され、第1表示手段11及び第2表示手段21を構成する光源や液晶表示パネル等を制御する。例えば、制御部は、表示コントローラ300から第1表示手段11に表示させる第1情報映像に関するデータと、第2表示手段21に表示させる第2情報映像に関するデータと、を入力し、これらのデータに基づいて、前記光源や液晶表示パネルを駆動することにより、第1表示手段11及び第2表示手段21に所望の輝度及び明度の映像を表示させることができる。
【0048】
以上が、本実施形態におけるHUD装置100の構成であるが、本発明の車両情報投影システム1に用いられるHUD装置としては、上記の例に限られず、結像距離の異なる複数の虚像を視認させることができればよいので、第1投影手段10は、第2投影手段20が出射する光の光路より長い光路になるように配設して、第1投影手段10が投影する第1の虚像V1が遠方に視認されるようにしてもよい。
【0049】
また、投影対象は、自車両2のフロントガラス2aに限定されず、板状のハーフミラー、ホログラム素子等により構成されているコンバイナであってもよい。
【0050】
また、第1の虚像V1と第2の虚像V2が同一の投影対象上に投影されていなくてもよく、一方はフロントガラス2aに投影され、他方は、上記コンバイナに投影されるように構成してもよい。
【0051】
また、逸脱時表示制御の第1の虚像V1の視認性の変化については、
図7に示すように、逸脱判定(t0)が行われてから所定の時間経過(t1)までに、時間に比例して視認性を低下(G1)させる他に、
図7のG2のように、逸脱判定(t0)が行われてから所定時間遅延させてから視認性の低下を開始させてもよい。また、
図7のG3のように、時間に対して比例させないで視認性を低下(G3)させてもよい。また、
図7のG4のように、完全に非表示にしてもよい。また、
図7のG5のように、逸脱時表示制御を開始する際の車速などの車両情報に基づいて、視認性の低下にかかる時間を変更してもよい。車速が速いときに視認性の低下にかかる時間を短くすることで、第1の虚像V1が特定対象から速く逸脱してしまうのに対応して視認性を速く低下させることができる。
【0052】
また、表示制御手段304は、近傍表示領域E2に補助虚像V3を表示させる際、補助虚像V3の視認性を一定の間だけ高めて強調表示させてもよい。また、表示制御手段304は、近傍表示領域E2に補助虚像V3を表示させる際、補助虚像V3及び第2の虚像V2の視認性を通常の視認性より一定の間だけ高めて強調表示させてもよい。斯かる構成により、補助虚像V3が近傍表示領域E2に表示されたことを乗員3に強く認識させることができる。
【0053】
また、表示制御手段304は、映像位置逸脱推定手段303が第1情報映像が実景における特定対象から逸脱しないと判定した場合、第1の虚像V1の視認性を通常の視認性に制御するものである。