特許第6361855号(P6361855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361855
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】水洗大便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 3/00 20060101AFI20180712BHJP
   E03D 1/00 20060101ALI20180712BHJP
   E03D 1/28 20060101ALI20180712BHJP
   E03D 5/01 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   E03D3/00
   E03D1/00 Z
   E03D1/28
   E03D5/01
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-26449(P2014-26449)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-151757(P2015-151757A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】末永 光宏
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 隆
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−327479(JP,A)
【文献】 特開2004−156382(JP,A)
【文献】 特開2012−219509(JP,A)
【文献】 特表2010−531399(JP,A)
【文献】 米国特許第04918763(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 3/00
E03D 1/00
E03D 1/28
E03D 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、このボウル部に洗浄水を導くための導水路とを備えた便器本体と、
この便器本体に供給する洗浄水を貯水する貯水タンクと、
少なくともその一部が上記貯水タンク内で水没した状態で配置されたジェットポンプユニットであって、このジェットポンプユニットは、その一端が上記便器本体の導水路の入口に接続され、その他端には吸引口が形成され、この吸引口が上記貯水タンク内の下部に位置するように配置されたスロート管と、このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、を備えた上記ジェットポンプユニットと、
上記貯水タンク内を上下方向に延びて区画する壁面と、この壁面を貫くように形成された開口部と、を備え、上記貯水タンク内全体に貯水される洗浄水よりも少ない洗浄水が貯水される小空間を形成する区画壁と、
この区画壁の開口部を開閉し、上記ジェットポンプユニットを通じて上記便器本体へ供給する洗浄水量を変更することができる切替弁と、
上記貯水タンク内の上記区画壁が形成する小空間の外側において上下方向に延びるように設けられ、その上端を上回った洗浄水を上記便器本体に供給するオーバーフロー管と、を有し、
上記ジェットポンプユニットは、上記区画壁が形成する小空間の外側に配置され、上記区画壁の上端は、上記貯水タンクに貯水される洗浄水の初期状態における止水水位よりも高い位置に設定されており、
上記オーバーフロー管は、その上端が上記止水位置よりも高く、且つ、上記区画壁よりも低い位置となるように設けられていることを特徴とする水洗大便器装置。
【請求項2】
上記切替弁は、上記開口部を閉止した状態において、上記区画壁内に貯水された洗浄水の水圧により上記開口部に押し付けられるように、その上端が上記止水水位よりも低い位置に設定されている請求項1記載の水洗大便器装置。
【請求項3】
上記切替弁は、上記区画壁の開口部を上記小空間側で開閉可能に上記小空間内に設けられている請求項1又は2に記載の水洗大便器装置。
【請求項4】
上記開口部及び上記切替弁は、上記区画壁において、上記ジェットノズルが配置されている側に偏った状態で配置されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
【請求項5】
上記切替弁は、上記開口部を上記小空間側で開閉する弁部と、この弁部から上記小空間内の斜め下方に延びて上記弁部を支持する支持部と、を備え、上記開口部よりも内側の上記小空間内の下方領域には、上記切替弁の支持部が回動可能に取り付けられる取付部が設けられ、上記切替弁の支持部が上記取付部の所定の回動軸線を中心に回動することにより、上記弁部が上記開口部を開閉するように構成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
【請求項6】
上記区画壁が形成する小空間の底面には、上記切替弁の支持部が上記取付部の所定の回動軸線を中心に回動可能となるように、上記支持部の下端部を揺動可能に受け入れる凹部が形成されている請求項5記載の水洗大便器装置。
【請求項7】
上記貯水タンクは、平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器装置に係り、特に、ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に記載されているように、勢いの強い水を便器のボウル面に継続的に供給することができるジェットポンプ機構が設けられた水洗大便器装置が知られている。
この便器は貯水タンク内に大・小洗浄を切り替えるための区画容器がジェットノズルを取り囲むように設けられている。この区画容器には開口が形成され、この開口には、切替弁が開閉可能に設けられており、使用者の便器洗浄操作により切替弁が区画容器の外側方向に開閉することによって、大洗浄と小洗浄の切り替えを行うことができるようになっている。
また、特許文献2に記載されているように、便器給水とタンク給水をジェットノズルで行うものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−156382号公報
【特許文献2】特開2012−528960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている従来の水洗大便器装置においては、貯水タンク内の止水水位が区画容器の上方に位置するように設定されているため、貯水タンクに貯められる洗浄水の量が変わると、大小洗浄共に使用する水量が変動してしまい、大きな無駄水が発生してしまうという問題がある。
特に、貯水タンクの形状が上下方向の高さ寸法よりも左右方向に長い扁平形状である場合には、給水圧等の影響を受けて、止水水位の高さが少しでも変わると、大きな水量の無駄水が発生することになり、節水化を妨げる顕著な問題となる。
また、特許文献2についても、タンク給水と便器給水とをジェットノズルから行い、勢いの強い水の給水が行われるため、給水圧等の影響を受けてタンク給水の吐水態様が変わりやすく、貯水タンクに貯められる洗浄水の量や止水水位がばらつきやすいという問題がある。
さらに、貯水タンクの止水水位がばらつくと、大小洗浄共に使用する水量もばらつくが、特に、小洗浄の場合には、大洗浄に比べて使用頻度が多いため、節水化を実現するためには、便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅をいかに小さくするかが要請された課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、従来技術の要請された課題を解決するためになされたものであり、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行い、節水化を実現することができる水洗大便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置であって、汚物を受けるボウル部と、このボウル部に洗浄水を導くための導水路とを備えた便器本体と、この便器本体に供給する洗浄水を貯水する貯水タンクと、少なくともその一部が上記貯水タンク内で水没した状態で配置されたジェットポンプユニットであって、このジェットポンプユニットは、その一端が上記便器本体の導水路の入口に接続され、その他端には吸引口が形成され、この吸引口が上記貯水タンク内の下部に位置するように配置されたスロート管と、このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、を備えた上記ジェットポンプユニットと、上記貯水タンク内を上下方向に延びて区画する壁面と、この壁面を貫くように形成された開口部と、を備え、上記貯水タンク内全体に貯水される洗浄水よりも少ない洗浄水が貯水される小空間を形成する区画壁と、この区画壁の開口部を開閉し、上記ジェットポンプユニットを通じて上記便器本体へ供給する洗浄水量を変更することができる切替弁と、上記貯水タンク内の上記区画壁が形成する小空間の外側において上下方向に延びるように設けられ、その上端を上回った洗浄水を上記便器本体に供給するオーバーフロー管と、を有し、上記ジェットポンプユニットは、上記区画壁が形成する小空間の外側に配置され、上記区画壁の上端は、上記貯水タンクに貯水される洗浄水の初期状態における止水水位よりも高い位置に設定されており、上記オーバーフロー管は、その上端が上記止水位置よりも高く、且つ、上記区画壁よりも低い位置となるように設けられていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、区画壁が形成する小空間の外側にジェットポンプユニットが配置されていると共に、区画壁の上端が貯水タンクに貯水される洗浄水の初期状態における止水水位よりも高い位置に設定されているため、貯水給水時の貯水タンク内の水位のばらつきにより、貯水タンク内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位がばらついた場合であっても、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができる。したがって、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記切替弁は、上記開口部を閉止した状態において、上記区画壁内に貯水された洗浄水の水圧により上記開口部に押し付けられるように、その上端が上記止水水位よりも低い位置に設定されている。
このように構成された本発明においては、切替弁が開口部を閉止した状態において、区画壁内に貯水された洗浄水の水圧により開口部に押し付けられるように、切替弁の上端が貯水タンクに貯水される洗浄水の初期状態における止水水位よりも低い位置に設定されているため、小洗浄時に区画壁内の洗浄水が流出することを確実に防ぐことができる。したがって、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記切替弁は、上記区画壁の開口部を上記小空間側で開閉可能に上記小空間内に設けられている。
このように構成された本発明においては、切替弁が区画壁の開口部を小空間側で開閉可能に小空間内に設けられているため、小洗浄時に区画壁内に貯水されている洗浄水の水圧により切替弁を開口部に確実に押し付けることができる。したがって、小洗浄時に区画壁内の洗浄水が流出することを防ぐことができるため、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0009】
本発明は、好ましくは、上記開口部及び上記切替弁は、上記区画壁において、上記ジェットノズルが配置されている側に偏った状態で配置されている。
このように構成された本発明においては、開口部及び切替弁が、区画壁において、ジェットノズルが配置されている側に偏った状態で配置されているため、小洗浄の開始当初では、ジェットノズルから噴射される水の勢いによって、切替弁について開口部を閉鎖する方向に引き寄せることができ、その後、小洗浄時に区画壁内に貯水されている洗浄水の水圧により切替弁を開口部に確実に押し付けることができる。したがって、小洗浄時に区画壁内の洗浄水が流出することを防ぐことができるため、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、上記切替弁は、上記開口部を上記小空間側で開閉する弁部と、この弁部から上記小空間内の斜め下方に延びて上記弁部を支持する支持部と、を備え、上記開口部よりも内側の上記小空間内の下方領域には、上記切替弁の支持部が回動可能に取り付けられる取付部が設けられ、上記切替弁の支持部が上記取付部の所定の回動軸線を中心に回動することにより、上記弁部が上記開口部を開閉するように構成されている。
このように構成された本発明においては、区画壁が形成する小空間内の下方領域の取付部に取り付けられる切替弁の支持部が、弁部から小空間内の斜め下方に延びており、開口部よりも内側の小空間内の下方領域に設けられた取付部に回動可能に取り付けられているため、開口部の位置を小空間の下方に位置させることができる。したがって、大洗浄時に、切替弁が開口部を開放して区画壁内の水をより確実に排出することができる。また、区画壁が形成する小空間自体を小さくすることができるため、貯水タンク全体を小型化することができる。
【0011】
本発明は、好ましくは、上記区画壁が形成する小空間の底面には、上記切替弁の支持部が上記取付部の所定の回動軸線を中心に回動可能となるように、上記支持部の下端部を揺動可能に受け入れる凹部が形成されている。
このように構成された本発明においては、区画壁が形成する小空間の底面に切替弁の支持部の下端部を揺動可能に受け入れる凹部が形成されていることにより、切替弁の支持部の回動領域を小空間内の下方に設定することができるため、開口部の位置を小空間の下方に位置させることができる。したがって、大洗浄時に、切替弁が開口部を開放して区画壁内の水をより確実に排出することができる。また、区画壁が形成する小空間を小さくすることができるため、貯水タンク全体を小型化することができる。
【0012】
本発明は、好ましくは、上記貯水タンクは、平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されている。
このように構成された本発明においては、貯水給水時の貯水タンク内の水位がばらつき、貯水タンク内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位がばらついた場合であっても、貯水タンクが平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されているため、この扁平形状の貯水タンク内全体で水位方向のばらつき幅を小さくすることができる。したがって、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅についても小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水洗大便器装置によれば、小洗浄時に便器本体に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行い、節水化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による水洗大便器装置を示す平面図である。
図2図1のII−II線に沿って見た断面図である。
図3】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造を示す正面図である。
図5図4のV−V線に沿って見た断面図であり、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の洗浄開始前の止水時に大小洗浄切替機構の切替弁が開放している状態を示す。
図6図5と同様な断面図であり、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の小洗浄時に大小洗浄切替機構の切替弁が閉鎖している状態を示す。
図7】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置を示す概念図である。
図8】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の貯水タンク内に設けられて区画壁によって形成された小タンクについて斜め後方から見た斜視図である。
図9】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の貯水タンク内に設けられて区画壁によって形成された小タンクを示す平面図である。
図10】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の切替弁を示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の小タンク内における切替弁の支持部及びこの支持部が取り付けられる取付部を拡大した拡大斜視図である。
図12A】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図12B】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図12C】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図12D】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図12E】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図12F】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による大洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13A】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13B】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13C】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13D】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13E】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
図13F】本発明の一実施形態による水洗大便器装置による小洗浄時の動作を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による水洗大便器装置を説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の基本構造を説明する。
図1は、本発明の実施形態による水洗大便器装置を示す平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿って見た断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器装置1は、便器本体2と、この便器本体2に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置4を備えている。
便器本体2は、その前方側に設けられたボウル部6と、ボウル部6の上縁に形成されたリム部8と、このリム部8の内周に形成された棚部10と、を備えている。
また、便器本体2のボウル部6の底部には、トラップ排水路12の入口12aが開口し、このトラップ排水路12は、上方に延びる上昇管12bと、下方に延びる下降管12cを備えている。このトラップ排水路12の形状から分かるように、本実施形態による水洗大便器装置1は、高さ方向の落差により汚物を排出する洗い落とし式便器である。
なお、本実施形態においては、洗い落とし式便器に適用した形態について説明するが、このような形態に限定されず、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式便器の形態等、他の水洗大便器の形態についても適用可能である。
【0017】
つぎに、便器本体2は、洗浄水タンク装置4の排水口14から排出される洗浄水が流入する導水路16と、棚部10の前方から見て左側中央に形成された第1リム吐水口18と、前方から見て右側後方に形成された第2リム吐水口20とを備えている。
また、導水路16は、下流に向かって第1通水路22と第2通水路24に分岐し、導水路16の洗浄水が第1通水路22を経て第1リム吐水口10に到達する一方、第2通水路24を経て第2リム吐水口20に到達し、洗浄水が、それぞれ、第1リム吐水口18及び第2リム吐水口20から吐水され、ボウル部6を洗浄し、汚物をトラップ排水路12から排出するようになっている。
【0018】
つぎに、図3図7により、洗浄水タンク装置4について詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造を示す平面図であり、図4は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造を示す正面図である。
また、図5は、図4のV−V線に沿って見た断面図であり、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の洗浄開始前の止水時に大小洗浄切替機構の切替弁が開放している状態を示す。一方、図6は、図5と同様な断面図であり、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の小洗浄時に大小洗浄切替機構の切替弁が閉鎖している状態を示す。
さらに、図7は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置を示す概念図である。
なお、図7において、便宜上、図3及び図4に示す洗浄水タンク装置の内部構造の一部を省略すると共に、各構造のいくつかの配置についても、図3及び図4に示されたものと異なる配置に描かれている。
【0019】
図3図7に示すように、洗浄水タンク装置4は、平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されて洗浄水を貯水する貯水タンク26と、この貯水タンク26に洗浄水を供給する給水管路28と、この給水管路28に設けられた給水弁装置30と、この給水管路28の下流端に設けられ便器本体2に洗浄水を供給するためのジェットポンプユニット32と、使用者が手動操作により洗浄水の給水を行うための手動レバー34を備えている。
給水管路28の上流端には、外部の水道管等の給水源(図示せず)から供給される洗浄水を止水するための止水栓36が設けられている。この止水栓36は、水洗大便器装置1の据付時などに給水源(図示せず)からの給水を止水するためのものであり、通常使用時は開状態に保持されている。
【0020】
ジェットポンプユニット32は、下方から斜め上方に延びる上昇管部38aとこの上昇管部38aの上端付近から下方に延びる下降管部38bとを備えた概ね逆V字形状に形成されたスロート管38と、ジェットノズル40とを備えている。
具体的には、上昇管部38aの上流端には吸引口38cが形成され、この吸引口38cが貯水タンク26内の下部に位置するようになっており、スロート管38の下降管部38bの下流端が便器本体2の導水路16に連通する排水口14に接続されている。
また、スロート管38の吸引口38cに対向するように、ジェットノズル40が配置され、スロート管38の吸引口38cとジェットノズル40は、常時、貯水タンク26内で水没した状態となっている。
【0021】
ジェットポンプユニット32は、ジェットノズル40からスロート管38の吸引口38cに向けて高速の洗浄水を噴射し、このとき、ジェットノズル40に近いスロート管38内の吸引口38c近傍の空間が負圧となり、この負圧によりジェットポンプ作用(エジェクタ効果)を誘発させることにより、貯水タンク26内の近傍の洗浄水を吸引し、この洗浄水とジェットノズル40から噴出される洗浄水とが一緒になり、スロート管38内を流れ、排水口14を経て、便器本体2の導水路16に供給されるようになっている。
すなわち、本明細書中に記載されている「ジェットポンプ作用」という用語については、ジェットノズルからスロート管の吸引口に向けて噴射される勢いのある洗浄水の流れ自体が、ポンプ等の他の機械要素に依存することなく、直接的にスロート管の吸引口の近傍等の周囲の洗浄水を引き込むような負圧を形成し、この負圧を利用してスロート管内に吸い込んだ貯水タンク内の洗浄水を便器本体側へ圧送する作用を意味している。
【0022】
給水管路28には、上述した給水弁装置30以外に、給水弁装置30の上流側に定流量弁42が、下流側に真空破壊弁44が設けられている。この定流量弁42は、給水弁装置30に供給される洗浄水を定流量とするためのものであり、真空破壊弁44は、外部から空気を吸入して真空破壊弁44からジェットノズル40までの接続管路46内が負圧にならないようにするためのものである。
【0023】
給水弁装置30は、パイロット式ダイアフラム弁である主弁体48と、この主弁体が着座する主弁座50と、内部の圧力により主弁体48を主弁座50に対して移動させる圧力室52とを備え、主弁体28が、主弁座50に着座して止水する止水状態と主弁座50から離間して給水する給水状態とを切り換えるようになっている。
圧力室52には、この圧力室52の圧力を開放する第一穴54及び第二穴56と、上述した手動レバー34における使用者の手動操作と連動して第一穴54を開閉する第一パイロット弁58と、貯水タンク26内の洗浄水の水位に伴い上下動するフロート60の上下動により第二穴56を開閉する第二パイロット弁62が設けられている。
【0024】
また、主弁体48には、ブリード穴(図示せず)が設けられており、止水状態のとき、ブリード穴(図示せず)により給水管路28の一次側流路Aと圧力室52の内部とが連通するようになっている。ここで、第一穴54は、その開口面積が第二穴56の開口面積よりも大きく形成されている。また、第一穴54は、第二穴56よりも、図7に示すように、上方位置に形成されている。
【0025】
第一パイロット弁58は、駆動軸64により手動レバー34に接続され、使用者の手動レバー34の手動操作により、第一穴54を開閉するようになっている。ここで、手動レバー34は、図4において、手前側(一方向)に回動操作させた場合には後述する大洗浄がなされ、奥側(他方向)に回動操作させた場合には小洗浄がなされるようになっている。
【0026】
この給水弁装置30は、通常は止水状態であり、止水状態では、第一穴54及び第二穴56は共に塞がれており、且つ、給水管路28の一次側流路Aは圧力室52とブリード穴(図示せず)を通じて連通しているため、一次側流路Aと圧力室52の水圧は同じ水圧(一次側流路圧力α)、また二次側流路Bは大気開放となり、主弁体48に水圧が作用する面積の方が一次側流路Aの面積よりも大であるので、主弁体48は主弁座50に押付けられ閉じられている。
【0027】
給水弁装置30において、第一穴54及び/又は第二穴56が、第一パイロット弁58及び/又は第二パイロット弁62により開放されると、圧力室52から洗浄水が流出し、圧力室52内の圧力が低下し、主弁体48が主弁座50から離れるように移動し、開弁し、吐水状態となるようになっている。
【0028】
給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56が第一パイロット弁58及び第二パイロット弁62により閉じられると、再度圧力室52の圧力が一次側流路圧力αとなり、主弁体48が主弁座50に向けて移動し、最終的に閉弁された状態(止水状態)となる。
なお、このとき、一次側流路Aの洗浄水が、圧力室52内へブリード穴から少しずつ注入されるため、第一穴54及び第二穴56を塞いでから、所定時間遅れて、主弁体48が閉弁状態(止水状態)となるようになっている。
【0029】
つぎに、図7に示すように、スロート管38の下端近傍には、ジェット吐水とタンク貯水とを切り替えるための切替弁66と、この切替弁66に取り付けられたフロート68が設けられている。このフロート68は、貯水タンク26内の水位により上下動するため、水位が低くなったときは、フロート68も下降し、それにより、切替弁66がスロート管38内の流路を塞ぐようになっている(後述する図12(C)及び図13(C)参照)。
また、スロート管38内の流路が塞がれた状態では、ジェットノズル40から噴射された洗浄水は、切替弁66に衝突し、スロート管38内を流れることなく、貯水タンク26内に流れ、貯水タンク26内に貯水されるようになっている。さらに、所定水位に達して貯水が完了すると、フロート68も上昇し、それにより、切替弁66がスロート管38内の流路を開放するようになっている(図12(A)及び図13(A)参照)。
一方、スロート管38内の流路を開放された状態では、ジェットノズル40から噴射された洗浄水は、スロート管38内を流れ、便器本体2に供給されるようになっている。
【0030】
さらに、貯水タンク26内には、大洗浄及び小洗浄に必要な洗浄水量を切り換えるための大小洗浄切替機構70が設けられている。この大小洗浄切替機構70は、貯水タンク26内をジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cを取り囲む外側空間領域R1とこの外側空間領域R1よりも空間が小さい小空間領域R2との二つの空間領域R1,R2に区画する区画壁72を備えている。
より具体的に説明すると、この区画壁72は、上下方向に延びる壁面を形成し、その上方が開放されて前後方向及び左右方向の四方から取り囲んだカップ形状の小タンク74を形成している。この小タンク74は、貯水タンク26内の前方且つ左寄りに配置されており、小タンク74の内部には、小空間領域R2が平面視において貯水タンク26の左右方向に長い扁平形状となるように形成されている。
したがって、ジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cは、貯水タンク26を正面側から見て小タンク74及び小空間領域R2の外部右側に形成される外側空間領域R1内の前方且つ右寄りに配置されている(図3図5参照)。
なお、本実施形態では、小タンク7が貯水タンク26内の前方且つ左寄りに配置されると共に、ジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cが、貯水タンク26を正面側から見て小タンク74及び小空間領域R2の外部右側に形成される外側空間領域R1内の前方且つ右寄りに配置されている形態について説明するが、このような形態に限られず、ジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cが小タンク74及び小空間領域R2に対して左右何れか一方に形成される外側空間領域R1内に配置されていればよい。
【0031】
なお、本実施形態においては、四方が区画壁72によってカップ形状に形成された小タンク74を貯水タンク26内に配置することにより、貯水タンク26内に小空間領域R2を形成するような形態について説明するが、このような形態に限られず、区画壁72を貯水タンク26内の一部に一体的に形成することにより、貯水タンク26内に小空間領域R2を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、図5及び図6に示すように、小タンク74の外側底面74aと貯水タンク26の内側底面26aとが互いに接触している形態について説明するが、このような形態に限られず、小タンク74の外側底面74aが貯水タンク26の内側底面26aに対して上方に間隔を置いて位置するような形態であってもよい。
【0032】
また、詳細は後述するが、小タンク74の後方側の区画壁(後側区画壁)72aには、前後方向に貫くようにほぼ左右方向に長い長方形形状の開口部72bが形成されている。この開口部72bには、切替弁76が開閉可能に設けられており、この切替弁76が開口部72bを開閉することにより、ジェットポンプユニット32を通じて便器本体2へ供給する洗浄水量を変更することができ、大洗浄と小洗浄とを切り替えることができるようになっている。
【0033】
大小洗浄切替機構70の切替弁76は、鎖78により駆動軸64に接続されており、大洗浄を行うために、使用者により手動レバー34が一方向に回動操作された場合には、駆動軸64が回転しても、鎖78はたるむだけで、切替弁76は開いた状態のままとなり、大小洗浄切替機構70が大洗浄状態となるようになっている。
一方、小洗浄を行うために、使用者により手動レバー34が他方向に回動操作された場合には、鎖78により切替弁76が引き上げられ、切替弁76が開口部74を閉じた状態となり、大小洗浄切替機構70が小洗浄状態となるようになっている。
【0034】
つぎに、貯水タンク26内には、ジェットポンプユニット32のスロート管38の下降管部38bに隣接してオーバーフロー管80が上下方向に延びるように設けられている。貯水タンク26内の水位が止水水位よりも上昇してオーバーフロー管80の上端開口部(補給水口)80aの位置を上回った洗浄水は、オーバーフロー管80内に流入し、排水口14と連通しているオーバーフロー管80の下端の流出口80bから便器本体2の導水路16に補給水として供給されるようになっている。
【0035】
なお、図5図7に示すように、貯水タンク26内の水位WLは、以下の位置となる。
まず、水位WL1は、図5及び図7に示すように、大洗浄が終了したときの貯水タンク26内の領域R1,R2の双方の最低水位である死水水位DWLを示している。また、この水位WL1は、図6及び図7に示すように、小洗浄が終了したときの貯水タンク26内の領域R1のみの死水水位DWLにもなっており、これらの死水水位DWLである水位WL1は、区画壁72の開口部74の上端よりも下方に位置している。
つぎに、図6及び図7に示すように、水位WL2は、小洗浄が終了したときの貯水タンク26内の領域R2の水位を示している。
また、図5図7に示すように、水位WL3は、貯水タンク26内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位であり、水洗大便器装置1の使用前又は使用後の通常の止水水位を示しており、水位WL2よりもわずかに上方に位置している。
さらに、図5及び図7に示すように、水位WL4は、大洗浄又は小洗浄後に給水弁装置30により貯水タンク26内に洗浄水が給水されその後給水が停止した直後(且つ洗浄水補給前)の止水状態を示す水位である。
【0036】
つぎに、図3図11を参照して、小タンク74及び切替弁76について詳細に説明する。
図8は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の貯水タンク内に設けられて区画壁によって形成された小タンクについて斜め後方から見た斜視図であり、図9は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の貯水タンク内に設けられて区画壁によって形成された小タンクを示す平面図である。
また、図10は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の切替弁を示す斜視図であり、図11は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の小タンク内における切替弁の支持部及びこの支持部が取り付けられる取付部を拡大した拡大斜視図である。
【0037】
まず、図8及び図9に示すように、小タンク74の区画壁72は、小空間領域R2が平面視において貯水タンク26の左右方向に長い扁平形状に形成されるように左右方向に長い後側区画壁72a及び前側区画壁72cと、これら後側区画壁72a及び前側区画壁72cに比べて貯水タンク26の前後方向に短くなるように形成され且つ小タンク74の前方から見て左右方向に位置する左側区画壁部72d及び右側区画壁部72eを備えている。
【0038】
また、区画壁72の上端72fは、貯水タンク26内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3よりも高い位置に設定されている(図4図7参照)。これにより、貯水給水時の貯水タンク26内の水位のばらつきにより、貯水タンク26内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3がばらついた場合であっても、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができるようになっている。
【0039】
つぎに、小タンク74の左右方向に長い後側区画壁72aには、左右方向に長い扁平な形状でほぼ長方形の開口断面形状の開口部72bが前後方向に貫くように形成されている。すなわち、この開口部72bは、小タンク74内の小空間領域R2から貯水タンク26内外側空間領域R1に向かって後方に差し向けられているため、貯水タンク26内の外側空間領域R1の前方且つ右寄りに配置されているジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cの位置の方向とは異なる方向に差し向けられている(図3図5及び図8参照)。これにより、ジェットノズル40がスロート管38の吸引口38cに向けて洗浄水を勢いよく噴射してジェットポンプ作用を誘発させているときであっても、小タンク74の区画壁72の開口部72bを通過する洗浄水や区画壁72が形成する小空間領域R2内の洗浄水の乱れを抑制することができるようになっている。
なお、本実施形態では、小タンク74の後方側区画壁72aに形成される開口部72bが差し向けられる方向については、前後方向に限られず、ジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cの位置に応じて、これらの位置の方向と異なる方向に差し向けられていればよい。
【0040】
さらに、小タンク74の開口部72bは、後側区画壁72aを前方から見て、後側区画壁72aの下方中央部よりも右側寄りに配置され、ジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cが配置されている側に偏った状態で配置されている。これにより、小洗浄の開始当初では、ジェットノズル40から噴射される水の勢いによって、切替弁76について開口部72bを閉鎖する方向に引き寄せることができ、その後、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内に貯水されている洗浄水の水圧により切替弁76を開口部72bに確実に押し付けることができるようになっている。また、大洗浄時には、切替弁76が小タンク74の開口部72bを開放して小タンク74の区画壁72内の水を確実に排出することができ、安定して大洗浄水を便器本体2に供給することができるようになっている。さらに、小タンク74を小型化することができるため、貯水タンク26全体も小型化することができるようになっている。
【0041】
つぎに、切替弁76は、小タンク74の小空間領域R2内に設けられ、この小空間領域R2内で開口部72bの開閉動作可能となっている。
切替弁76の構造についてより具体的に説明すると、切替弁76は、小タンク74の開口部72bを小空間領域R2内で開閉し且つ閉弁時に開口部72bを閉鎖可能に左右方向に長い扁平形状で形成されている弁部76aと、この弁部76aの前面の両側の下端付近から小空間領域R2内に向かって斜め下方に延びて弁部76aを支持する一対の支持部76b,76cとを備えている(図10及び図11参照)。
また、小タンク74の開口部72bよりも内側の小空間領域R2内の下方領域に形成される小タンク74の内側底面74bには、切替弁76の支持部76b,76cのそれぞれが回動可能に取り付けられる取付部74c,74dが上方に突出する突起状にそれぞれ形成されている。これら一対の取付部74c,74dは、互いに左右方向に対向して配置されており、互いに左右方向に対向するように内向きに円柱状に突出する支軸74e,74fをそれぞれ備えている。さらに、各支軸74e,74fには、切替弁76の各支持部76b,76cの下端付近にそれぞれ形成される取付穴76d,76eのそれぞれが挿入されて取り付けられ、切替弁76の各支持部76b,76cが、各取付部74c,74dの各支軸74e,74fの互いに一致する中心軸線に相当する回動軸線C1を中心に回動することにより、弁部76aが開口部72bを小空間領域R2側で開閉するようになっている(図5図6及び図9図11参照)。
【0042】
なお、本実施形態では、小タンク74の内側底面74bの取付部74c,74dと切替弁76の各支持部76b,76cとの互いの取り付けについては、小タンク74の内側底面74bの各取付部74c,74dの支軸74e,74fを雄側部材とし、これらの支軸74e,74fを挿入する取付穴76d,76eを形成する切替弁76の各支持部76b,76cを雌側部材とするような形態について説明するが、雄側と雌側とを互いに入れ換えた形態であってもよい。すなわち、切替弁76の各支持部76b,76cに支軸を設けることにより雄側部材とし、これらの支軸に挿入される取付穴を小タンク74の内側底面74bの各取付部74c,74dに形成することにより雌側部材としてもよい。
【0043】
さらに、小タンク74の内側底面74bには、切替弁76の各支持部76b,76cが各取付部74c,74dの各支軸74e,74fの回動軸線C1を中心に回動可能となるように、各支持部76b,76cの下端部を揺動可能に受け入れる凹部74g,74hがそれぞれ形成されている(図9及び図11参照)。これにより、切替弁76の支持部76b,76cの回動領域を小タンク74の小空間領域R2内の下方に設定することができるため、開口部72bの位置を小空間領域R2の下方に位置させることができるようになっている。したがって、大洗浄時に、切替弁76が開口部72bを開放して小タンク74の区画壁72内の水をより確実に排出することができるようになっている。また、小タンク74の区画壁72が形成する小空間領域R2自体も小さくすることができるため、貯水タンク26全体を小型化することができるようになっている。
【0044】
また、切替弁76は、その弁部76aが開口部72bを閉止した状態で小タンク74の小空間領域R2内に貯水された洗浄水の水圧により開口部72bに押し付けられるように、弁部76aの上端76fが止水水位WL3よりも低い位置に設定されている。これにより、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内の洗浄水が開口部72bから流出することを確実に防ぐことができると共に、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができるようになっている。
【0045】
図12A図12Fにより、本実施形態による水洗大便器装置1による大洗浄時の動作を説明する。
まず、図12Aは、大洗浄開始前の洗浄水タンク装置4を示している。この状態において、貯水タンク26内の水位は通常状態の水位WL3であり、給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56は何れも閉じられており、主弁体48は主弁座50上に着座し、止水状態となっている。
【0046】
つぎに、図12Bは、使用者が手動レバー34を一方向に手動操作し、大洗浄が開始されたときの洗浄水タンク装置4を示している。使用者が手動レバー34を一方向に手動操作すると手動レバー34に接続された駆動軸64が回転し、給水弁装置30の第1パイロット弁58が作動して、第一穴54が開く。このとき、第二穴56は閉じられたままの状態である。駆動軸64が回転しても、鎖78はたるむだけで、切替弁76は小タンク74の開口部72bを開いた状態のままであり、大小洗浄切替機構70が大洗浄状態となる。
【0047】
第一穴54が開くと、上述したように、給水弁装置30の主弁体48が主弁座50から離間して給水する給水状態となる。外部の給水源から供給される洗浄水は、止水栓36、定流量弁42、給水弁装置30を経て、給水管路28の下流端のジェットノズル40に到達し、ジェットノズル40からスロート管38の吸引口38cに向けて洗浄水が噴射される。スロート管38の吸引口38c付近は負圧となるので、貯水タンク26内に貯水された洗浄水もスロート管38内に吸引され、洗浄水タンク装置4により外部から供給される洗浄水と貯水タンク26内の洗浄水が一緒になってスロート管38内を流れ、便器本体1に供給され、ボウル部6の洗浄が開始される。
【0048】
図12Bの状態により大洗浄が継続されると、つぎに、図12Cに示す状態となる。図12Cは、大洗浄の途中の状態を示している。大洗浄が継続されると、貯水タンク26内の水位WLが低下する。これにより、給水弁装置30のフロート60も下降する。フロート60の下降が開始されると直ぐに第二パイロット弁62が作動し、これにより、第二穴56が開く。このとき、第一穴54は閉鎖状態であるが、第二穴56は、後述する図12Eの状態まで、開状態が保持される。
【0049】
第二穴56が開くと、第一穴54の開閉状態に関係なく、給水弁装置30における給水状態が継続することになる。このため、使用者による手動レバー34の操作時間が短い場合には、第一穴54が開いた状態が短時間となり、給水状態が継続せず、大洗浄が行われない、という問題を解決することができる。このように、本実施形態においては、第一穴54の他に第二穴56を設け、貯水タンク26内の水位に連動して動くフロート60により第2パイロット弁64を作動させて、第二穴56を開いて、大洗浄が継続できるようにしたので、手動レバー34の操作時間とは無関係に確実に大洗浄を実行することができる。
【0050】
第二穴56が開くと、給水弁装置30における給水状態が継続し、貯水タンク26内の水位WLが、大小洗浄切替機構70の区画壁72の開口部74の下端の水位WL1まで低下する。このとき、フロート68も水位の低下に連動して水位WL1の位置まで下降し、これにより、切替弁66が動作して、スロート管38の流路を塞ぐ。これにより、大洗浄における洗浄水の便器本体2への給水が終了する。
【0051】
スロート管38の流路が切替弁66に塞がれると、図12Dに示すように、ジェットノズル40から噴射される洗浄水は、切替弁66に衝突し、スロート管38内を流れることなく、貯水タンク26内に流れ、貯水タンク26内に貯水される。このとき、貯水タンク26内の水位は上昇するが、切替弁66が洗浄水の勢いにより移動できないので、フロート68も上昇することなく、その位置に保持される。また、給水弁装置30のフロート60は、水位の上昇に連動して上昇するが、第二穴56は開状態のままであり、それにより給水弁装置30による給水状態が継続されることになる。
【0052】
つぎに、給水状態が継続され、貯水タンク26の水位が上昇し水位WL3に達すると、図12Eに示すように、フロート60も水位WL3まで上昇し、これにより、給水弁装置30において、第二パイロット弁62が作動し、第二穴56が閉じられる。
【0053】
つぎに、給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56が閉じられると、上述したように、圧力室52の圧力が一次側流路圧力αとなり、主弁体48が主弁座50に向けて移動し、最終的に閉弁された状態(止水状態)となる。しかしながら、このとき、一次側流路Aの洗浄水が、圧力室52内へブリード穴(図示せず)から少しずつ注入されるため、第一穴54及び第二穴56を塞いでから、所定時間遅れて、主弁体48が閉弁状態(止水状態)となる。このため、第二穴56が閉じられた後も、図12Fに示すように、貯水タンク26内の水位は上昇し、所定時間経過後、水位は水位WL4となり、この時点で、給水弁装置30が止水状態となり、給水が終了する。
【0054】
図12Eに示す状態から図12Fに示す状態の間、貯水タンク26内の水位は、水位WL3から水位WL4まで上昇する。このとき、貯水タンク26内の水位はオーバーフロー管80の上端開口部80aよりも上の位置にあるので、貯水タンク26内の洗浄水は、オーバーフロー管80の上端開口部80aからオーバーフロー管80内に流入し、補給水として、便器本体1に供給される。
なお、図12Eに示す状態から図12Fに示す状態の間、貯水タンク26内の水位が上昇し続けるのは、給水弁装置30から貯水タンク26へ給水される流量が、貯水タンク26からオーバーフロー管80内へ流入する流量より多いためである。
【0055】
さらに、図12Fに示すように、給水弁装置30により止水状態となり水位がWL4まで上昇した後、水位WL3と水位WL4の間にある洗浄水は、オーバーフロー管80内に流入してオーバーフロー管80の流出口80bから流出し、排水口14から、補給水として、便器本体1に供給される。このように、オーバーフロー管80に流入する補給水の量は、水位がWL3からWL4に上昇中に補給される洗浄水量と止水状態となった後に補給される水位WL3と水位WL4の間にある洗浄水量の和である。
【0056】
便器本体2への洗浄水の補給が完了すると、貯水タンク26内の水位は、WL3の位置となり、図12Aの状態戻り、大洗浄が終了する。
【0057】
図13A図13Fにより、本実施形態による水洗大便器装置1による小洗浄時の動作を説明する。小洗浄時の動作は、上述した大洗浄時の動作と異なる部分を中心に説明する。まず、図13Aは、小洗浄開始前の洗浄水タンク装置4を示している。この状態において、給水弁装置30は、止水状態となっている。
【0058】
つぎに、図13Bは、使用者が手動レバー34を他方向に手動操作し、小洗浄が開始されたときの洗浄水タンク装置4を示している。使用者が手動レバー34を他方向に手動操作すると手動レバー34に接続された駆動軸64が回転し、給水弁装置30の第1パイロット弁58が作動して、第一穴54が開く。このとき、第二穴56は閉じられたままの状態である。なお、小洗浄であるので、駆動軸64が回転することにより、鎖78が巻き上げられ、区画壁72内外の差圧によって切替弁76の弁部76aが小タンク74の開口部72bを閉じた状態となり、大小洗浄切替機構70は小洗浄状態となる。
【0059】
第一穴54が開くと、給水弁装置30の主弁体48が主弁座50から離間して給水する給水状態となる。このとき、貯水タンク26内に貯水された洗浄水もスロート管38内に吸引されるので、洗浄水タンク装置4により外部から供給される洗浄水と貯水タンク26内の洗浄水が一緒になってスロート管38内を流れ、便器本体1に供給され、ボウル部6の洗浄が開始される。
【0060】
図13Bの状態により小洗浄が継続されると、つぎに、図13Cに示す状態となる。
図13Cは、小洗浄の途中の状態を示している。小洗浄が継続されると、貯水タンク26内の外側空間領域R1内の水位WLが低下する。これにより、給水弁装置30のフロート60も下降する。フロート60の下降が開始されると直ぐに第二パイロット弁62が作動し、これにより、第二穴56が開く。このとき、第一穴54は閉鎖状態であるが、第二穴56は、後述する図13Eの状態まで、開状態が保持される。
【0061】
第二穴56が開くと、第一穴54の開閉状態に関係なく、給水弁装置30における給水状態が継続する。このため、手動レバー34の操作時間とは無関係に確実に小洗浄を実行することができる。
【0062】
第二穴56が開くと、給水弁装置30における給水状態が継続し、貯水タンク26内の水位WLが、止水水位WL3から低下する。このとき、切替弁76の弁部が小タンク74の開口部72bを閉じた状態が維持されているため、小タンク74内の水位は、止水水位WL3よりもわずかに低い水位WL2が維持される。
また、図13Cに示すように、貯水タンク26内の外側空間領域R1内の水位は、ジェットノズル40付近の水位WL1(死水水位DWL)まで低下し、フロート68も水位の低下に連動して水位WL1の位置まで下降し、これにより、切替弁66が動作して、スロート管38の流路を塞ぐ。これにより、小洗浄における洗浄水の便器本体2への給水が終了する。
【0063】
また、スロート管38の流路が切替弁66に塞がれると、図13Dに示すように、ジェットノズル40から噴射される洗浄水は、切替弁66に衝突し、スロート管38内を流れることなく、貯水タンク26内に流れ、貯水タンク26内に貯水される。このとき、貯水タンク26内の水位は上昇する。
【0064】
つぎに、給水状態が継続され、貯水タンク26の水位が上昇し水位WL3に達すると、図13Eに示すように、フロート60も水位WL3まで上昇し、これにより、給水弁装置30において、第二パイロット弁62が作動し、第二穴56が閉じられる。
【0065】
つぎに、給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56が閉じられると、止水状態となる。しかしながら、このとき、第一穴54及び第二穴56を塞いでから、所定時間遅れて、主弁体48が閉弁状態(止水状態)となる。このため、第二穴56が閉じられた後も、図13Fに示すように、貯水タンク26内の水位は上昇し、所定時間経過後、水位は水位WL4となり、この時点で、給水弁装置30が止水状態となり、給水が終了する。
【0066】
図13Eに示す状態から図13Fに示す状態の間、貯水タンク26内の水位は、水位WL3から水位WL4まで上昇する。このとき、貯水タンク26内の水位は水位WL3よりも上の位置にあるので、貯水タンク26内の洗浄水は、オーバーフロー管80内に流入し、補給水として、便器本体1に供給される。
【0067】
さらに、図13Fに示すように、給水弁装置30により止水状態となり水位がWL4まで上昇した後、水位WL3と水位WL4の間にある洗浄水は、オーバーフロー管80内に流入し、補給水として、便器本体1に供給される。オーバーフロー管80に流入する補給水の量は、水位がWL3からWL4に上昇中に補給さる洗浄水量と止水状態となった後に補給される水位WL3と水位WL4の間にある洗浄水量の和である。
【0068】
便器本体2への洗浄水の補給が完了すると、貯水タンク26内の水位は、WL3の位置となり、図13Aの状態戻り、小洗浄が終了する。
【0069】
上述した本発明の一実施形態による水洗大便器装置1によれば、貯水タンク26内の外側空間領域R1が、小タンク74の区画壁72が形成する小空間領域R2の外側に形成され、この貯水タンク26内の外側空間領域R1内にジェットポンプユニット32が配置されていると共に、区画壁72の上端72fが貯水タンク26に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3よりも高い位置に設定されているため、貯水給水時の貯水タンク26内の水位のばらつきにより、貯水タンク26内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3がばらついた場合であっても、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができる。したがって、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0070】
また、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、切替弁76の弁部76aの上端76fが貯水タンク26に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3よりも低い位置に設定されており、切替弁76が開口部72bを閉止した状態において、切替弁76を小タンク74の区画壁72内に貯水された洗浄水の水圧により開口部72bに押し付けることができるため、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内の洗浄水が開口部72bから流出することを確実に防ぐことができる。したがって、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0071】
さらに、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、切替弁76が小タンク74の区画壁72の開口部72bを小空間領域R2側で開閉可能に小タンク74の小空間領域R2内に設けられているため、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内に貯水されている洗浄水の水圧により切替弁76を開口部72bに確実に押し付けることができる。したがって、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内の洗浄水が開口部72bから流出することを確実に防ぐことができるため、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、小タンク74の開口部72b及び切替弁76が、後側区画壁72aにおいて、ジェットノズル40が配置されている側に偏った状態で配置されているため、小洗浄の開始当初では、ジェットノズル40から噴射される水の勢いによって、切替弁76について開口部72bを閉鎖する方向に引き寄せることができ、その後、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内に貯水されている洗浄水の水圧により切替弁76を開口部72bに確実に押し付けることができる。したがって、小洗浄時に小タンク74の区画壁72内の洗浄水が開口部72bから流出することを確実に防ぐことができるため、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅を小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【0073】
さらに、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、小タンク74の区画壁72が形成する小空間領域R2内の下方領域の取付部74c,74dに取り付けられる切替弁76の支持部76b,76cが、弁部76aから小タンク74の小空間領域R2内の斜め下方に延びており、開口部72bよりも内側の小空間領域R2内の下方領域に設けられた取付部76b,76cに回動可能に取り付けられているため、開口部72bの位置を小空間領域R2の下方に位置させることができる。したがって、大洗浄時に、切替弁76が開口部72bを開放して小タンク74の区画壁72内の水をより確実に排出することができる。また、小タンク74の区画壁72が形成する小空間領域R2自体を小さくすることができるため、貯水タンク26全体を小型化することができる。
【0074】
また、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、小タンク74の内側底面74bに切替弁76の支持部76b,76cの下端部を揺動可能に受け入れる凹部74g,74hが形成されていることにより、切替弁76の支持部76b,76cの回動領域を小タンク74の小空間領域R2内の下方に設定することができるため、開口部72bの位置を小空間領域R2の下方に位置させることができる。したがって、大洗浄時に、切替弁76が開口部72bを開放して小タンク74の区画壁72内の水をより確実に排出することができる。また、小タンク74の区画壁72が形成する小空間領域R2自体も小さくすることができるため、貯水タンク26全体を小型化することができる。
【0075】
さらに、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、貯水給水時の貯水タンク26内の水位がばらつき、貯水タンク26内に貯水される洗浄水の初期状態における止水水位WL3がばらついた場合であっても、貯水タンク26が平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されているため、この扁平形状の貯水タンク26内全体で水位方向のばらつき幅を小さくすることができる。したがって、小洗浄時に便器本体2に供給される洗浄水量のばらつき幅についても小さくすることができ、安定した小洗浄を行うことができる。また、使用頻度の高い小洗浄を安定化させることができるため、節水化を実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 水洗大便器装置
2 便器本体
4 洗浄水タンク装置
6 ボウル部
8 リム部
10 棚部
12 トラップ排水路
12a トラップ排水路の入口
12b トラップ排水路の上昇管
12c トラップ排水路の下降管
14 排水口
16 導水路
18 第1リム吐水口
20 第2リム吐水口
22 第1通水路
24 第2通水路
26 貯水タンク
26a 貯水タンクの内側底面
28 給水管路
30 給水弁装置
32 ジェットポンプユニット
34 手動レバー
36 止水栓
38 スロート管
38a スロート管の上昇管部
38b スロート管の下降管部
38c スロート管の吸引口
40 ジェットノズル
42 定流量弁
44 真空破壊弁
46 接続管路
48 主弁体
50 主弁座
52 圧力室
54 第一穴
56 第二穴
58 第一パイロット弁
60 フロート
62 第二パイロット弁
64 駆動軸
66 切替弁
68 フロート
70 大小洗浄切替機構
72 区画壁
72a 後側区画壁(第1の区画壁部)
72b 開口部
72c 前側区画壁
72d 左側区画壁(第2の区画壁部)
72e 右側区画壁(第2の区画壁部)
72f 区画壁の上端
74 小タンク
74a 小タンクの外側底面
74b 小タンクの内側底面
74c 切替弁の支持部用の取付部
74d 切替弁の支持部用の取付部
74e 支軸
74f 支軸
74g 凹部
74h 凹部
76 切替弁
76a 切替弁の弁部
76b 切替弁の支持部
76c 切替弁の支持部
76d 切替弁の支持部の取付穴
76e 切替弁の支持部の取付穴
76f 切替弁の弁部の上端
78 鎖
80 オーバーフロー管
80a オーバーフロー管の上端開口部
80b オーバーフロー管の流出口
A 給水管路の一次側流路
B 給水管路の二次側流路
C1 回動軸線
R1 貯水タンク内の外側空間領域
R2 貯水タンク内の小空間領域
図1
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