特許第6361877号(P6361877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361877
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】高速船の船型
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/40 20060101AFI20180712BHJP
   B63B 1/06 20060101ALI20180712BHJP
   B63B 1/08 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B63B1/40 Z
   B63B1/06 Z
   B63B1/08 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-245370(P2014-245370)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-94178(P2016-94178A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514309239
【氏名又は名称】熊本ドック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504281514
【氏名又は名称】池田 勉
(72)【発明者】
【氏名】池田 勉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−249187(JP,A)
【文献】 特開平6−179390(JP,A)
【文献】 特開2012−25364(JP,A)
【文献】 特開2006−8091(JP,A)
【文献】 特開2005−22630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0304908(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/06 − 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船速を表す速度関数のフルード数が0.32以上の航海速力を有する高速船の船型で、満載喫水線の長手方向形状を前端の船首垂線から後方に向けて徐々に曲線状で幅を広げ、船首垂線から垂線間長の4割後方のSS6位置で最大幅に形成し、更にSS6位置と船首垂線から垂線間長の7割後方のSS3位置の間は最大幅のままで直線的に形成し、更にSS3位置から後方に向けて徐々に曲線状で幅を狭めて後端の船尾材に連結形成し、且つSS6位置とSS3位置間に亘る夫々の位置で満載喫水線より下方域の幅が最大幅より広がらない横断面形状の船型において、満載喫水線の長手方向形状を船首垂線から垂線間長の4割後方のSS6位置から後方に向けて徐々に曲線状で幅を狭めて船首垂線から垂線間長の5割5分後方のSS4 1/2位置で最も狭くして最大幅の9割幅に形成し、それより後方に向けて徐々に曲線状で幅を広げて船首垂線から垂線間長の7割後方のSS3位置で最大幅に形成し、且つSS6位置とSS3位置間の夫々の位置で満載喫水線より下方の幅が満載喫水線での幅より広がらない横断面形状の船型を特徴とする高速船の船型
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高速船の船型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船速を表す速度関数のフルード数が0.32以上の航海速力を有する高速船の従来の船型について図1に示している通り、船体1の前端は船首材2と船首バルブ3により構成され、後端は船尾材4で構成されていて、前端と後端の間の底部は船底5で構成されているが、船体1の前半部においては船底5は基線BL上で構成され、後半部においては基線BLから略直線状で後上りに切上げられて構成され後端は船尾材4に連結されている。更に船体1の後半部においては船底5と基線BLの間にスケグ6が設けられている。また船体1の満載喫水線LWLの平面図を図2図3に示しているが、船体1の満載喫水線LWLの長手方向形状は前端の船首垂線FPから後方に向けて徐々に曲線状で幅が広げられて、船首垂線FPから垂線間長Lppの4割後方のSS6位置で最大幅B1に形成され、更にSS6位置と船首垂線FPから垂線間長Lppの7割後方のSS3位置の間は最大幅B1のままで直線的に形成され、更にSS3位置から後方に向けて徐々に曲線状で幅を狭めて後端の船尾材4に連結するように形成されている。更に図8から図10に示している通りSS6位置からSS3位置間に亘って夫々の位置では満載喫水線より下方域の幅が最大幅B1より広がらない横断面形状に形成されている。尚、図4から図13には船首垂線FPから船尾垂線AP間に亘る船体1の夫々の位置での満載喫水線LWL近傍から船底5間の横断面形状を示している。また図2から図13については船体中心線CLに対して船体1は左右対称であることから左舷側のみ表示して右舷側は省略している。
【0003】
上述の従来の高速船の船体1が航走しているとき船体周りから波が発生されるが、特に船速を表す関数のフルード数が0.32以上になると、SS6からSS3間の所謂船体中央域で圧力低下が著しくなって所謂波の谷が大きくなることで船体周りの造波現象が大きくなり、その為に造波抵抗が急増して、それに伴って船体の推進に必要な主機馬力も増大される。尚、船速を表す関数のフルード数Fnは以下の式で表される。
Fn=V/(g*L)0.5 但し、Vは船速、gは重力の加速度、Lは船長を表す
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した通り従来の高速船において船体が航走しているときに船体周りに発生される波の現象による造波抵抗が、特にフルード数が0.32以上の高速域になるとSS6からSS3間の所謂船体中央域で圧力低下が著しくなって所謂波の谷が大きくなることで船体周りの造波現象が大きくなり、その為に造波抵抗が急増して、それに伴って船体の推進に必要な主機馬力も増大されると言った問題点がある。
【発明が解決するための手段】
【0005】
その為に本願は上記問題に鑑みて発明されたものであり、船速を表す速度関数のフルード数が0.32以上の航海速力を有する高速船の船型で、満載喫水線の長手方向形状を前端の船首垂線から後方に向けて徐々に曲線状で幅を広げ、船首垂線から垂線間長の4割後方のSS6位置で最大幅に形成し、更にSS6位置と船首垂線から垂線間長の7割後方のSS3位置の間は最大幅のままで直線的に形成し、更にSS3位置から後方に向けて徐々に曲線状で幅を狭めて後端の船尾材に連結形成し、且つSS6位置とSS3位置間に亘る夫々の位置で満載喫水線より下方域の幅が最大幅より広がらない横断面形状の船型において、満載喫水線の長手方向形状を船首垂線から垂線間長の4割後方のSS6位置から後方に向けて徐々に曲線状で幅を狭めて船首垂線から垂線間長の5割5分後方のSS4 1/2位置で最も狭くして最大幅の9割幅に形成し、それより後方に向けて徐々に曲線状で幅を広げて船首垂線から垂線間長の7割後方のSS3位置で最大幅に形成し、且つSS6位置とSS3位置間の夫々の位置で満載喫水線より下方の幅が満載喫水線での幅より広がらない横断面形状の船型を特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上述したような船型形状とすることで船体が航走しているとき特にフルード数が0.32以上の高速域でSS6位置からSS3位置間の船体中央域において、従来船型で見られた圧力低下現象が緩和されて所謂波の谷が小さくなることで船体周りに発生される造波現象も緩和され、その為に造波抵抗が低減し、それに伴い船体の推進に要する主機馬力も従来船型より低減される効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願の実施例について説明する。図14は船体の側面図を示し、図15図14におけるXV−XV断面矢視図を示し、図16図14図におけるXVI−XVI断面矢視図を示している。図中、従来のものと同一番号および同一符号は従来のものと同一構成部材を表すことから説明は省略する。船体7は図14に示している通り、前端は船首材2と船首バルブ3により構成され、後端は船尾材4で構成され、前端と後端間の船底は船底材5で構成されている。その際、船底材5は船体7の前半部においては基線BL上で構成され、後半部においては船底材5は基線BLから徐々に後上りに切上げて構成され後端は船尾材4に連結されている。更に船体7の後半部の船底材5と基線BLの間においては船尾垂線APより前方からスケグ6が設けられている。一方、船体7の満載喫水線LWLの長手方向形状について図15および図16に示しているが、船体7の満載喫水線LWLの幅は船首垂線FPから後方になるにつれて徐々に曲線状で広がりSS6位置で最大幅B1となるように形成され、更にSS6位置から後方になるにつれて徐々に曲線状で狭まり、SS5とSS4の中間のSS41/2位置で最も狭められて最大幅B1の9割の幅B2に形成され、その位置より後方になるにつれて徐々に曲線状で広がりSS3位置で最大幅B1となるように形成され、更にSS3位置より後方になるにつれて徐々に曲線状で狭まり後端は船尾材4に連結構成されている。次に船体7のSS6からSS3の間について、図17にはSS6とSS5の中間位置のSS51/2での横断面図を、図18にはSS5での横断面図を、図19にはSS5とSS4の中間位置のSS41/2での横断面図を、図20にはSS4とSS3の中間位置のSS31/2での断面図を夫々示しているが、船体7の横断面形状は夫々の位置における満載喫水線LWLから下方の幅が満載喫水線LWLでの幅より広がらないように形成されている。尚、図15から図20については船体7は左右対称であることから船体中心線CLに対して左舷側のみを表示し右舷側は省略している。
【0008】
上記本願の実施例に示す高速船の船体7が航走しているとき、船体7の周りには波の発生現象が見られるが、特にフルード数が0.32以上の高速域においてはSS3からSS6の間の船体中央域においては従来の船体1が航走しているときより圧力低下が緩和されて水面の低下量が減少し、所謂波の谷が小さくなって、それにより造波抵抗が低減されて、船体7が推進する為の主機馬力が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 従来のものの船型を示す側面図である。
図2図1におけるII−II断面矢視図である。
図3図1におけるIII−III矢視図である。
図4図2におけるIV−IV矢視図である。
図5図2におけるV−V断面矢視図である。
図6図2におけるVI−VI断面矢視図である。
図7図2におけるVII−VII断面矢視図である。
図8図2におけるVIII−VIII断面矢視図である。
図9図2におけるIX−IX断面矢視図である。
図10図3におけるX−X断面矢視図である。
図11図3におけるXI−XI断面矢視図である。
図12図3におけるXII−XII断面矢視図である。
図13図3におけるXIII−XIII断面矢視図である。
図14】 本願のものの船型を示す側面図である。
図15図14におけるXV−XV断面矢視図である。
図16図14におけるXVI−XVI断面矢視図である
図17図15におけるXVII−XVII断面矢視図である
図18図15におけるXVIII−XVIII断面矢視図である
図19図16におけるXIX−XIX断面矢視図である
図20図16におけるXX−XX断面矢視図である
【符号の説明】
【0012】
1 船体
2 船首材
3 船首バルブ
4 船尾材
5 船底
6 スケグ
LWL 満載喫水線
BL 基線
CL 船体中心線
AP 船尾垂線
FP 船首垂線
Lpp 垂線間長で船尾垂線APと船首垂線FP間の水平長さ
SS1 FPからLppの9割長の後方位置
SS2 FPからLppの8割長の後方位置
SS3 FPからLppの7割長の後方位置
SS3 1/2 FPからLppの6割5分長の後方位置
SS4 FPからLppの6割長の後方位置
SS4 1/2 FPからLppの5割5分長の後方位置
SS5 FPからLppの5割長の後方位置
SS5 1/2 FPからLppの4割5分長の後方位置
SS6 FPからLppの4割長の後方位置
SS7 FPからLppの3割長の後方位置
SS8 FPからLppの2割長の後方位置
SS9 FPからLppの1割長の後方位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20