特許第6361880号(P6361880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361880
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/50 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   G01P3/50 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-532908(P2014-532908)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2013071515
(87)【国際公開番号】WO2014034404
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-193255(P2012-193255)
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-193256(P2012-193256)
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】高倉 昭
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋
(72)【発明者】
【氏名】井橋 朋寛
(72)【発明者】
【氏名】津端 佳介
(72)【発明者】
【氏名】田川 武弘
(72)【発明者】
【氏名】品山 亮太
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−118909(JP,A)
【文献】 特開2010−085285(JP,A)
【文献】 特開平06−273546(JP,A)
【文献】 特開2005−049202(JP,A)
【文献】 特開2008−292294(JP,A)
【文献】 特開2010−017525(JP,A)
【文献】 特開2009−276282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/50
G01C 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定時間あたりの歩数である走行ピッチと走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す関係データである関係式を、ユーザの種別と、走行または歩行の状態との関係に基づいてそれぞれ記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記関係データに基づいて、計測された前記ユーザの走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出する速度算出部と、
加速度を検出する加速度センサと、
前記加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部と、
を備え
前記記憶部は、前記関係データを複数記憶し、各走行状態それぞれに対応する前記関係データを記憶し、
前記速度算出部は、前記ユーザの走行状態である所定条件に応じて、前記走行速度を算出するための前記関係データを切り替え、任意の前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出し、算出した走行速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定し、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
身長または身長に関する情報の入力を受け付ける入力部
を備え、
前記速度算出部は、前記走行状態を判定する際に、前記入力部が入力を受け付けた前記身長または身長に関する情報を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記所定条件は、性別であり、
性別を入力する入力部を備え、
前記記憶部は、各性別それぞれに対応する前記関係データを記憶し、
前記速度算出部は、前記入力部により入力された性別に対応する前記関係データに基づいて計測された走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記速度算出部が算出した走行速度に基づいて、前記ユーザが走行した距離または歩行した距離である走行距離を算出する走行距離算出部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記速度算出部が算出した走行速度に基づいて、前記ユーザの歩行するペースまたは走行するペースである走行ペースを算出するペース算出部
を備えることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記記憶部は、走行ピッチと走行速度との関係を示すテーブルデータを記憶する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記速度算出部は、前記ユーザの走行速度に代えて、前記ユーザの歩行するペースまたは走行するペースである走行ペースを算出する
ことを特徴とする請求項1からから請求項のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
身長または身長に関する情報の入力を受け付ける入力部
を備え、
前記記憶部は、身長または身長に関する情報と、所定時間あたりの歩数である走行ピッチと、走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す前記関係データを記憶し、
前記速度算出部は、前記記憶部に記憶された前記関係データに基づいて、前記入力部が入力を受け付けた前記身長または身長に関する情報と、計測されたユーザの走行ピッチとに基づいて前記ユーザの走行速度を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
コンピュータに、
所定時間あたりの歩数である走行ピッチと走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す関係データである関係式を、ユーザの種別と、走行または歩行の状態との関係に基づいてそれぞれ記憶し、前記関係データを複数記憶し、各走行状態それぞれに対応する前記関係データを記憶する記憶部であって、前記ユーザの走行状態である所定条件に応じて、前記走行速度を算出するための前記記憶部が記憶する前記関係データを切り替えるステップと、
任意の前記関係データに基づいて、加速度を検出する加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出するステップと、
算出した走行速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定するステップと、
判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびプログラムに関する。
本願は、2012年9月3日に、日本に出願された特願2012−193255号、および2012年9月3日に、日本に出願された特願2012−193256号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯型電子機器に加速度センサ等を搭載し、ユーザの走行又は歩行による速度を算出する機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような機器では、時間計測手段と、歩数計測手段とを備え、設定された歩幅と、計測された時間および歩数とに基づいてユーザの平均速度を算出して報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−59419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、予めユーザの固有の歩幅値を入力する必要がある。ユーザは、自身の歩幅値を認識していない場合は入力することが出来ないため、何らかの方法で自身の歩幅値を認識する作業を強いられる。また、歩幅値は、歩行状況(歩行か走行か、およびその速度)に応じて変化する場合があり、一点の歩幅データのみで算出される速度は、誤差が生じやすい。
【0005】
そこで、本発明の幾つかの態様は、より正確に、ユーザの走行速度を算出することができる電子機器およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発発明の幾つかの態様によれば、所定時間あたりの歩数である走行ピッチと走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す関係データである関係式を、ユーザの種別と、走行または歩行の状態との関係に基づいてそれぞれ記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記関係データに基づいて、計測された前記ユーザの走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出する速度算出部と、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部と、を備え、前記記憶部は、前記関係データを複数記憶し、各走行状態それぞれに対応する前記関係データを記憶し、前記速度算出部は、前記ユーザの走行状態である所定条件に応じて、前記走行速度を算出するための前記関係データを切り替え、任意の前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出し、算出した走行速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定し、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする電子機器である。
【0007】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記記憶部は、前記関係データを複数記憶し、前記速度算出部は、所定条件に応じて、前記走行速度を算出するための前記関係データを切り替える。
【0008】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記所定条件は、前記ユーザの走行状態であり、前記記憶部は、各走行状態それぞれに対応する前記関係データを記憶することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の態様の電子機器において、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部と、を備え、前記速度算出部は、前記走行検出部が計測した走行ピッチに基づいて前記ユーザの走行状態を判定し、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様の電子機器において、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部と、を備え、前記速度算出部は、前記加速度センサが検出する加速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定し、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様の電子機器において、加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部と、を備え、前記速度算出部は、任意の前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出し、算出した走行速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定し、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様は、身長または身長に関する情報の入力を受け付ける入力部を備え、前記速度算出部は、前記走行状態を判定する際に、前記入力部が入力を受け付けた前記身長または身長に関する情報を用いることを特徴とする電子機器である。
【0013】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記ユーザの走行状態を入力する入力部を備え、前記速度算出部は、前記入力部により入力された走行状態に対応する前記関係データに基づいて計測された走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記所定条件は、性別であり、性別を入力する入力部を備え、前記記憶部は、各性別それぞれに対応する前記関係データを記憶し、前記速度算出部は、前記入力部により入力された性別に対応する前記関係データに基づいて計測された走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記速度算出部が算出した走行速度に基づいて、前記ユーザが走行した距離または歩行した距離である走行距離を算出する走行距離算出部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記速度算出部が算出した走行速度に基づいて、前記ユーザの歩行するペースまたは走行するペースである走行ペースを算出するペース算出部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他の態様の電子機器において、走行ピッチと走行速度との関係を示すテーブルデータを記憶することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の態様の電子機器において、前記速度算出部は、前記ユーザの走行速度に代えて、前記ユーザの歩行するペースまたは走行するペースである走行ペースを算出することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の他の態様は、身長または身長に関する情報の入力を受け付ける入力部を備え、前記記憶部は、身長または身長に関する情報と、所定時間あたりの歩数である走行ピッチと、走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す前記関係データを記憶し、前記速度算出部は、前記記憶部に記憶された前記関係データに基づいて、前記入力部が入力を受け付けた前記身長または身長に関する情報と、計測されたユーザの走行ピッチとに基づいて前記ユーザの走行速度を算出することを特徴とする電子機器である。
【0020】
また、本発明の他の態様は、コンピュータに、所定時間あたりの歩数である走行ピッチと走行する速度または歩行する速度である走行速度との関係を示す関係データである関係式を、ユーザの種別と、走行または歩行の状態との関係に基づいてそれぞれ記憶し、前記関係データを複数記憶し、各走行状態それぞれに対応する前記関係データを記憶する記憶部であって、前記ユーザの走行状態である所定条件に応じて、前記走行速度を算出するための前記記憶部が記憶する前記関係データを切り替えるステップと、任意の前記関係データに基づいて、加速度を検出する加速度センサが検出する加速度に基づいて、前記ユーザの走行ピッチを計測する走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出するステップと、算出した走行速度に基づいて前記ユーザの走行状態を判定するステップと、判定した走行状態に対応する前記関係データに基づいて、前記走行検出部が計測した走行ピッチから前記ユーザの走行速度を算出するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の幾つかの態様によれば、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データを予め記憶し、関係データに基づいて、計測されたユーザの走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。これにより、走行ピッチの変動による歩幅の変化を吸収し、より正確な走行速度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態における腕時計の構成を示したブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における走行ピッチと走行速度との関係を示すプロットデータである。
図3】本発明の第1の実施形態における記憶部が記憶する、関係データテーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図4】本発明の第1の実施形態における走行ピッチから走行速度を算出する方法を説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態における走行ピッチから走行速度を算出する方法を説明するための図である。
図6】本発明の第1の実施形態における腕時計が実行する速度算出処理の処理手順を示したフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態における記憶部が記憶する、関係データテーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図8】本発明の第2の実施形態における腕時計が実行する速度算出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、腕時計の例を用いて説明する。図1は、本実施形態における腕時計100の構成を示したブロック図である。腕時計100は、ユーザの走行ピッチを計測し、計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出して表示する電子時計である。走行ピッチとは、所定時間(例えば、1分)あたりの歩数である。走行速度とは、歩行する速度または走行する速度である。図示する例では、腕時計100は、処理部101(速度算出部、走行距離算出部、ペース算出部)と、表示部102と、記憶部103と、電源104と、走行検出部105と、加速度センサ106と、入力スイッチ107(入力部)と、分周部108と、水晶発振部109とを備える。
【0024】
処理部101は、腕時計100が備える各部の制御を行う中央処理装置である。例えば、処理部101は、記憶部103が記憶する関係データに基づいて、走行検出部105が計測したユーザの走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。関係データとは、走行ピッチと走行速度との関係を示すデータである。また、処理部101は、算出した走行速度に基づいて、ユーザの走行距離を算出する。走行距離とは、歩行した距離または走行した距離である。また、処理部101は、算出した走行速度に基づいて、走行ペースを算出する。走行ペースは、走行するペースまたは歩行するペースであり、走行速度の逆数である。また、処理部101は、走行に関する情報を表示部102に表示させる。走行に関する情報は、例えば、走行時間、歩数、走行ピッチ、走行速度、走行距離、または走行ペース等である。走行時間は、歩行した時間または走行した時間である。
【0025】
更に、処理部101は、走行速度の算出を行うプログラムを実行して、腕時計100の一機能として速度算出機能を実現してもよい。具体的には、走行速度の算出を行うプログラムを記憶部103或いは図示せぬメモリに記憶させ、処理部101がプログラムを読み出し、実行することで速度算出機能を実現してもよい。この場合、腕時計100は、速度算出を行う速度算出部を含むとみなすことができる。
【0026】
更に、処理部101は、走行ピッチを計測して走行を検出するプログラムを実行して、腕時計100の一機能として走行検出機能を実現してもよい。具体的には、走行ピッチを計測して走行を検出するプログラムを記憶部103或いは図示せぬメモリに記憶させ、処理部101がプログラムを読み出し、実行することで走行検出機能を実現してもよい。この場合、腕時計100は、走行ピッチを計測して走行を検出する走行検出部を含むとみなすことができる。
【0027】
更に、処理部101は、走行速度に基づいて走行距離を算出するプログラムを実行して、腕時計100の一機能として走行距離算出機能を実現してもよい。具体的には、走行速度に基づいて走行距離を算出するプログラムを記憶部103或いは図示せぬメモリに記憶させ、処理部101がプログラムを読み出し、実行することで走行距離算出機能を実現してもよい。この場合、腕時計100は、走行速度に基づいて走行距離を算出する走行距離算出部を含むとみなすことができる。
【0028】
更に、処理部101は、走行速度に基づいて走行ペースや歩行ペースを算出するプログラムを実行して、腕時計100の一機能としてペース算出機能を実現してもよい。具体的には、走行速度に基づいて走行ペースや歩行ペースを算出するプログラムを記憶部103或いは図示せぬメモリに記憶させ、処理部101がプログラムを読み出し、実行することでペース算出機能を実現してもよい。この場合、腕時計100は、走行速度に基づいて走行ペースや歩行ペースを算出するペース算出部を含むとみなすことができる。
【0029】
表示部102は、例えば液晶ディスプレイであり、時刻や、走行に関する情報等を表示する。記憶部103は、ROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)やRAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)から構成され、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データを記憶する。電源104は、腕時計100が備える各部に電力を供給する。
【0030】
加速度センサ106は、加速度を検出する。走行検出部105は、加速度センサ106が検出する加速度に基づいて、ユーザの走行ピッチを計測する。例えば、走行検出部105は、走行または歩行に関する体動に基づく加速度(着地に関する情報など)に基づいて、ユーザの走行ピッチを計測する。具体的には、走行検出部105は、加速度センサ106が検出する加速度から走行時または歩行時における体の振動を検出して歩数を計測する。そして、走行検出部105は、計測された走行時間と計測した歩数とに基づいて走行ピッチを計測する。
【0031】
入力スイッチ107は、外部から操作可能なスイッチにより構成されており、入力を受け付ける入力部である。例えば、入力スイッチ107は、ユーザの走行状態(歩行であるか走行であるか)の入力を受け付ける。また、入力スイッチ107は、ユーザの性別の入力を受け付ける。水晶発振部109は、所定周波数の信号を出力する。分周部108は、水晶発振部109の出力信号を所定分周比で分周して処理部101用の規準クロック信号や計時用の時計信号を出力する。処理部101、分周部108および水晶発振部109が時間を計測する計時部である。計時部は、ユーザの走行時間を計測するストップウォッチ機能や、現在の時刻を計時する時計機能を実現する。
【0032】
図2は、走行ピッチと走行速度との関係を示すプロットデータである。本図に示す走行ピッチと走行速度とのプロットデータ201により、走行ピッチと走行速度との間には相関が見られることがわかった。例えば、一般的に、人が歩行または走行する場合において、速く走る(または歩く)動作の時は、走行ピッチが高くなり、遅く走る(または歩く)動作の時は、走行ピッチが低くなる、といった傾向がある。このため、所定の関係式を予め用意することで、走行ピッチから走行速度を導き出すことができる。よって、本実施形態による記憶部103は、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データを予め記憶している。
【0033】
次に、記憶部103が記憶する、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データについて説明する。図3は、本実施形態における記憶部103が記憶する、関係データテーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。
図示するように、関係データテーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、性別と、走行状態と、関係式との各項目の列を有している。このテーブルの各行は性別と走行状態との組毎に存在する。性別は、ユーザの性別であり、女性または男性である。走行状態は、ユーザの走行状態であり、歩行または走行である。関係式は、走行ピッチから走行速度を換算するための一次式「走行速度V=(傾き)×走行ピッチP−(オフセット)」である。例えば、性別「男性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがam1でありオフセットがbm1である。また、性別「男性」と走行状態「走行」とに対応する関係式は、傾きがam2でありオフセットがbm2である。また、性別「女性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがaf1でありオフセットがbf1である。また、性別「女性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがaf2でありオフセットがbf2である。
【0034】
次に、本実施形態における処理部101が、計測された走行ピッチから走行速度を算出する方法について説明する。図4は、本実施形態における走行ピッチから走行速度を算出する方法を説明するための図である。本図に示すグラフの横軸は走行ピッチであり、縦軸は走行速度である。本図に示す直線301は、歩行に対応する関係式である。また、本図に示す直線302は、走行に対応する関係式である。処理部101は、走行検出部105が検出した走行ピッチに基づいて、ユーザの走行状態(歩行であるか走行であるか)を判定し、判定した走行状態に対応する関係式に基づいて走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、計測された走行ピッチが閾値αより小さい場合は、ユーザが歩行していると判定し、歩行に対応する関係式に基づいて、計測された走行ピッチから走行速度を算出する。また、処理部101は、計測された走行ピッチが閾値α以上閾値β以下である場合は、歩行に対応する関係式の走行ピッチにαを代入して走行速度を算出する。すなわち、処理部101は、計測された走行ピッチが閾値αから閾値βまでの間は一定値を維持する。また、処理部101は、計測された走行ピッチが閾値βより大きい場合は、ユーザが走行していると判定し、走行に対応する関係式に基づいて、計測された走行ピッチから走行速度を算出する。
【0035】
なお、例えば、閾値αは予め記憶部103に記憶されていてもよく、ユーザの入力や、通信手段(図示せず)を用いて腕時計100の外部から得るようにしてもよい。また、例えば、閾値βは以下の手順1〜手順4を実行することにより算出することができる。
(手順1)走行状態が「歩行」であるときの関係式「走行速度(m/min)V=am1×走行ピッチP−bm1)」を用いて、閾値αのspm値における走行速度Aを算出する。
(手順2)走行状態が「走行」であるときの関係式「走行速度(m/min)V=am2×走行ピッチP−bm2)」を用いて、閾値αのspm値における走行速度Bを算出する。
(手順3)速度Bが速度A未満の場合、走行状態が「走行」であるときの関係式「走行速度(m/min)V=am2×走行ピッチP−bm2)」を用いて、閾値αの走行速度時におけるspm値を算出し、これを閾値βのspm値として記憶する。
(手順4)速度Bが速度A以上の場合、閾値αのspm値をそのまま閾値βのspm値として記憶する。この場合、閾値αと閾値βとは同じ値(閾値γ)となる。
【0036】
図5は、本実施形態において、閾値αと閾値βとが同じ値(閾値γ)のときの走行ピッチから走行速度を算出する方法を説明するための図である。本図に示すグラフの横軸は走行ピッチであり、縦軸は走行速度である。本図における直線501は、歩行に対応する関係式である。また、本図における直線502は、走行に対応する関係式である。処理部101は、計測された走行ピッチが閾値γ以下である場合は、ユーザが歩行していると判定し、歩行に対応する関係式501に基づいて、計測された走行ピッチから走行速度を算出する。また、処理部101は、計測された走行ピッチが閾値γより大きい場合は、ユーザが走行していると判定し、走行に対応する関係式502に基づいて、測定された走行ピッチから走行速度を算出する。
【0037】
次に、本実施形態における腕時計100が、走行ピッチから走行速度を算出する速度算出処理について説明する。図6は、本実施形態における腕時計100が実行する速度算出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0038】
(ステップS101)処理部101は、性別(男性または女性)を選択可能に表示部102に表示し、性別の選択入力を受け付ける。ユーザは、入力スイッチ107により性別を選択する。その後、ステップS102の処理に進む。
(ステップS102)処理部101は、入力スイッチ107から計測を開始する指示が入力されたか否かを判定する。計測を開始する指示が入力された場合はステップS103の処理に進み、計測を開始する指示が入力されていない場合はステップS102の処理へ戻る。
(ステップS103)処理部101は、ストップウォッチ機能により走行時間の計測を開始する。その後、ステップS104の処理に進む。
(ステップS104)処理部101は、走行検出部105による歩数の計測を開始する。その後、ステップS105の処理に進む。
(ステップS105)処理部101は、算出タイミングになったか否かを判定する。算出タイミングは、予め設定された、走行に関する情報を算出するタイミングであり、例えば、毎秒である。処理部101は、算出タイミングになった場合は、ステップS106の処理に進む。一方、処理部101は、算出タイミングになっていない場合は、ステップS114の処理に進む。
【0039】
(ステップS106)走行検出部105は、計測した歩数を計測した走行時間で除算することにより、走行ピッチを算出する。その後、ステップS107の処理に進む。
(ステップS107)処理部101は、ステップS106において算出した走行ピッチを所定の閾値と比較する。処理部101は、走行ピッチが閾値αより小さい場合は、ステップS108の処理に進む。また、処理部101は、走行ピッチが閾値α以上閾値β以下である場合、ステップS109の処理に進む。また、処理部101は、走行ピッチが閾値βより大きい場合は、ステップS110の処理に進む。
【0040】
(ステップS108)処理部101は、歩行に対応する関係式を用いて、ステップS106において算出した走行ピッチから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS101において入力された性別と、走行状態「歩行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出し、読み出した関係式に算出した走行ピッチを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS111の処理に進む。
(ステップS109)処理部101は、歩行に対応する関係式を用いて、閾値αから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS101において入力された性別と、走行状態「歩行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出し、読み出した関係式に閾値αを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS111の処理に進む。
(ステップS110)処理部101は、走行に対応する関係式を用いて、ステップS106において算出した走行ピッチから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS101において入力された性別と走行状態「走行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出し、読み出した関係式に算出した走行ピッチを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS111の処理に進む。
【0041】
(ステップS111)処理部101は、算出した走行速度に、計測した時間を乗算することにより走行距離を算出する。その後、ステップS112の処理に進む。
(ステップS112)処理部101は、算出した走行速度の逆数を取ることにより、走行ペースを算出する。その後、ステップS113の処理に進む。
(ステップS113)処理部101は、走行に関する情報を表示部102に表示する。走行に関する情報とは、計測した歩数、計測した走行時間、走行ピッチ、走行速度、走行距離および走行ペースである。その後、ステップS114の処理に進む。
(ステップS114)処理部101は、入力スイッチ107から計測を終了する指示が入力されたか否かを判定する。処理部101は、計測を終了する指示が入力された場合は、速度算出処理を終了する。一方、処理部101は、計測を終了する指示が入力されていない場合は、ステップS105の処理へ戻る。
【0042】
上述したとおり、本実施形態では、記憶部103が、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データを予め記憶している。そして、処理部101は、記憶部103が記憶している関係データに基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチから走行速度を算出する。これにより、固定値である歩幅を用いず、計測した走行ピッチをもとに走行速度を直接算出可能であるため、走行状況(または歩行状況)に高度に応じた処理ができ、誤差の少ない走行速度を算出することができる。
また、本実施形態では、処理部101は、所定条件(ユーザの性別およびユーザの走行状態)に応じて、走行速度を算出するための関係式を切り替えている。これにより、ユーザの性別や走行状態に合った関係式を用いることができるため、より正確な走行速度を算出することが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態における腕時計100は、第1の実施形態における腕時計100と同様の構成である。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は以下の点である。本実施形態では、走行ピッチと、身長または身長に関する情報と、走行速度との関係を用いて走行速度を算出する。また、本実施形態では、閾値αを決定する際に、身長または身長に関する情報を用いる。
【0044】
図7は、本実施形態における記憶部103が記憶する、関係データテーブルのデータ構造及びデータ例を示す概略図である。図示するように、関係データテーブルは、行と列からなる2次元の表形式のデータであり、性別と、走行状態と、関係式との各項目の列を有している。このテーブルの各行は性別と走行状態との組毎に存在する。性別は、ユーザの性別であり、女性または男性である。走行状態は、ユーザの走行状態であり、歩行または走行である。関係式は、身長と走行ピッチとから走行速度を換算するための一次式「走行速度y=(傾き)×身長×走行ピッチP−(オフセット)」である。例えば、性別「男性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがam3でありオフセットがbm3である。また、性別「男性」と走行状態「走行」とに対応する関係式は、傾きがam4でありオフセットがbm4である。また、性別「女性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがaf3でありオフセットがbf3である。また、性別「女性」と走行状態「歩行」とに対応する関係式は、傾きがaf4でありオフセットがbf4である。なお、関係式で用いる値は、身長ではなく身長に関する情報を用いてもよい。身長に関する情報としては、例えば、股下長さや、体格(S,M,L)等である。
【0045】
次に、本実施形態における処理部101が、計測された走行ピッチから走行速度を算出する方法について説明する。計測された走行ピッチから走行速度を算出する方法は、第1の実施形態と同様である。但し、本実施形態では閾値αを決定する際に、身長または身長に関する情報を用いる。例えば、身長が高いほど閾値αを大きくし、身長が低いほど閾値αを小さくする。また、例えば、計測ピッチと身長または身長に関する情報に応じて、閾値αを決定するようにしてもよい。また、例えば、計測加速度と身長または身長に関する情報に応じて、閾値αを決定するようにしてもよい。また、例えば、計測走行速度と身長または身長に関する情報に応じて、閾値αを決定する。身長が高くなるほど閾値αを大きくするようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態における腕時計100が、走行ピッチから走行速度を算出する速度算出処理について説明する。図8は、本実施形態における腕時計100が実行する速度算出処理の処理手順を示したフローチャートである。
【0047】
(ステップS201)処理部101は、身長を入力する画面を表示部102に表示し、身長の入力を受け付ける。ユーザは、入力スイッチ107により身長を入力する。その後、ステップS202の処理に進む。
ステップS202〜ステップS208の処理は、第1の実施形態におけるステップS101〜ステップS107の処理と同様である。
【0048】
(ステップS209)処理部101は、歩行に対応する関係式を用いて、ステップS201の処理で入力を受け付けた身長と、ステップS207において算出した走行ピッチから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS202において入力された性別と、走行状態「歩行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出す。次に、処理部101は、読み出した関係式に、ステップS201の処理で入力された身長とステップS207の処理で算出した走行ピッチとを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS212の処理に進む。
【0049】
(ステップS210)処理部101は、歩行に対応する関係式を用いて、ステップS201の処理で入力を受け付けた身長と、閾値αから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS202において入力された性別と、走行状態「歩行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出す。次に、処理部101は、読み出した関係式に、ステップS201の処理で入力を受け付けた身長と閾値αとを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS212の処理に進む。
【0050】
(ステップS212)処理部101は、走行に対応する関係式を用いて、ステップS201の処理で入力を受け付けた身長と、ステップS207において算出した走行ピッチから走行速度を算出する。具体的には、処理部101は、ステップS202において入力された性別と、走行状態「走行」とに対応する関係式を記憶部103から読み出す。次に、処理部101は、読み出した関係式に、ステップS201の処理で入力を受け付けた身長とステップS207の処理で算出した走行ピッチとを代入して走行速度を算出する。その後、ステップS212の処理に進む。
【0051】
ステップS212〜ステップS215の処理は、第1の実施形態におけるステップS111〜ステップS114の処理と同様である。なお、ステップS208の処理において、身長または身長に関する情報に基づいて閾値αを決定するようにしてもよい。また、決定した閾値αに基づいて、閾値βを決定するようにしてもよい。
【0052】
上述したとおり、本実施形態では、記憶部103が、身長または身長に関する情報と、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係データを予め記憶している。そして、処理部101は、記憶部103が記憶している関係データに基づいて、入力された身長または身長に関する情報と走行検出部105が計測した走行ピッチとから走行速度を算出する。これにより、固定値である歩幅を用いず、計測した走行ピッチをもとに走行速度を直接算出可能であるため、走行状況(または歩行状況)に高度に応じた処理ができ、誤差の少ない走行速度を算出することができる。
【0053】
また、本実施形態では、処理部101は、所定条件(ユーザの性別およびユーザの走行状態)に応じて、走行速度を算出するための関係式を切り替えている。また、処理部101は、身長または身長に関する情報に基づいて、関係式を切り替える閾値αを決定する。これにより、ユーザの性別や、身長や、走行状態に合った関係式を用いることができるため、より正確な走行速度を算出することが可能となる。
【0054】
なお、上述した第1の実施形態および第2の実施形態における腕時計100が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0055】
また、典型的には「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部を含むが、必ずしもこれらに限定されるものではない。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」に代え、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0056】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記複数の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、処理部101は、計測された走行ピッチに基づいてユーザの走行状態(歩行であるか走行であるか)を判定しているが、これに限らない。例えば、処理部101は、加速度センサ106の検出する加速度の大きさに基づいて、ユーザの走行状態を判定してもよい。具体的には、処理部101は、加速度センサ106が検出する加速度が閾値gより小さい場合は、ユーザが歩行していると判定し、歩行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。また、処理部101は、加速度センサ106が検出する加速度が閾値g以上の閾値gより大きい場合は、ユーザが歩行していると判定し、走行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。また、閾値gを決定する際に、身長または身長に関する情報を用いるようにしてもよい。
【0058】
或いは、処理部101は、任意の関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出し、算出した走行速度に基づいてユーザの走行状態を判定してもよい。具体的には、まず、処理部101は、歩行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。そして、処理部101は、算出した走行速度が所定の値より大きい場合は、ユーザが走行していると判定し、走行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を再度算出する。なお、処理部101は、算出した走行速度が所定の値以下である場合は、ユーザが歩行していると判定する。或いは、まず、処理部101は、走行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。そして、処理部101は、算出した走行速度が所定の値より小さい場合は、ユーザが歩行していると判定し、歩行に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を再度算出する。なお、この場合、処理部101は、算出した走行速度が所定の値以上である場合は、ユーザが走行していると判定する。また、ユーザが走行しているか歩行しているかの判定に用いる所定の値を決定する際に、身長または身長に関する情報を用いるようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、走行状態(歩行であるか走行であるか)を処理部101が自動的に判定しているが、ユーザが手動で入力できるようにしてもよい。この場合、入力スイッチ107は、ユーザの走行状態(歩行であるか走行であるか)の入力を受け付ける。そして、処理部101は、入力スイッチ107により入力された走行状態に対応する関係式に基づいて、走行検出部105が計測した走行ピッチからユーザの走行速度を算出する。
【0060】
また、上述した実施形態では、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係式を一次式としたが、これに限らない。例えば、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係式は、二次式や三次式等であってもよい。
また、上述した実施形態では、記憶部103は、走行ピッチと走行速度との関係を示す関係式を記憶しているが、これに限らず。例えば、関係データとして、走行ピッチと走行速度との関係を示すテーブルデータを記憶してもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、走行検出部105は、走行時間と計測した歩数とに基づいて走行ピッチを算出しているが、これに限らず、加速度センサ106が検出する走行(または歩行)信号に関する情報を用いて走行ピッチを算出すればよい。例えば、走行検出部105は、一歩一歩のインターバル(時間間隔)を測ることにより、走行ピッチを算出してもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、処理部101は、計測した走行ピッチから走行速度を算出しているが、これに限らず、走行速度に代えて走行ペースを走行ピッチから算出してもよい。
また、上述した実施形態では、電子機器として腕時計100を例に説明したが、例えば、歩数計や携帯電話機、スマートフォン等、ユーザが携帯できるものであれば他の電子機器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の電子機器は、携帯型電子機器に加速度センサ等を搭載し、ユーザの走行又は歩行による速度を算出する機器に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
100・・・腕時計、101・・・処理部、102・・・表示部、103・・・記憶部、104・・・電源、105・・・走行検出部、106・・・加速度センサ、107・・・入力スイッチ、108・・・分周部、109・・・水晶発振部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8