特許第6361923号(P6361923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000002
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000003
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000004
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000005
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000006
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000007
  • 特許6361923-ノイズフィルタ及びフィルタケース 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361923
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ及びフィルタケース
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20180712BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   H03H7/01 Z
   H01F17/06 K
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-211663(P2014-211663)
(22)【出願日】2014年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-82380(P2016-82380A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 武史
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−110398(JP,U)
【文献】 特開平11−097875(JP,A)
【文献】 特開2000−286129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 1/00−7/13
H01F 27/00−27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電路を包囲するフェライトコアと、
第1ケース構成体と第2ケース構成体を合体して構成され、前記フェライトコアを収容するフィルタケースと、
前記第1ケース構成体の内周面から突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、導電路の外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片と、
前記第2ケース構成体の内周面から前記第1弾性保持片と対称に突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、前記導電路の外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片とを備え、
前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片は、互いに相手側に向かって拡がるようなV字状をなす保持部を備え、
前記第1弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第1ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備え、
前記第2弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第2ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備えていることを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
前記保持部の屈曲部と、前記第1ケース構成体の内周面又は前記第2ケース構成体の内周面との間を連結する補強部を備えていることを特徴とする請求項1記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片が、前記導電路の軸線方向に間隔を空けて一対ずつ設けられており、
前記フェライトコアが、対をなす前記第1弾性保持片の間で挟まれるとともに対をなす前記第2弾性保持片の間で挟まれることで、軸線方向に位置決めされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
第1ケース構成体と第2ケース構成体を合体して構成され、導電路を包囲するフェライトコアを収容するフィルタケースであって、
前記第1ケース構成体の内周面から突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、導電路の外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片と、
前記第2ケース構成体の内周面から前記第1弾性保持片と対称に突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、前記導電路の外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片とを備え、
前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片は、互いに相手側に向かって拡がるようなV字状をなす保持部を備え、
前記第1弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第1ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備え、
前記第2弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第2ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備えていることを特徴とするフィルタケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ及びフィルタケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線を包囲するフェライトコアと、フェライトコアを包囲するフィルタケースとを備えたノイズフィルタが開示されている。フェライトコアの中心には、電線を挿通させるための挿通孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−151474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のノイズフィルタでは、フェライトコアの挿通孔の大きさと形状は、挿通孔に挿通される電線の太さに合わせて設定されている。そのため、太さが異なる電線には、適用できない。その対策としては、挿通孔の大きさを、想定される電線の最大径に合わせて設定することが考えられる。しかし、そうすると、小径の電線を使用する場合には、挿通孔内において電線の径方向の位置が定まらないため、フェライトコアのフィルタ機能が不安定となる。フィルタ機能の安定化を図るためには、電線の外周にテープを巻き付けて、挿通孔の内周との隙間を埋め、挿通孔内における電線の位置を安定させる必要がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外径寸法の異なる複数種類の導電路を安定した位置に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のノイズフィルタは、
導電路を包囲するフェライトコアと、
第1ケース構成体と第2ケース構成体を合体して構成され、前記フェライトコアを収容するフィルタケースと、
前記第1ケース構成体の内周面から突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、導電路の外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片と、
前記第2ケース構成体の内周面から前記第1弾性保持片と対称に突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、前記導電路の外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片とを備え、
前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片は、互いに相手側に向かって拡がるようなV字状をなす保持部を備え、
前記第1弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第1ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備え、
前記第2弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第2ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備えているところに特徴を有する。
【0007】
第2の発明のフィルタケースは、
第1ケース構成体と第2ケース構成体を合体して構成され、導電路を包囲するフェライトコアを収容するフィルタケースであって、
前記第1ケース構成体の内面から突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、導電路の外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片と、
前記第2ケース構成体の内面から前記第1弾性保持片と対称に突出し、細長くM字状に屈曲した形状をなしていて、前記導電路の外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片とを備え、
前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片は、互いに相手側に向かって拡がるようなV字状をなす保持部を備え、
前記第1弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第1ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備え、
前記第2弾性保持片は、前記保持部の両端と前記第2ケース構成体の内周面とを連結する一対の脚部を備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
導電路は、対称をなす第1弾性保持片と第2弾性保持片によって弾性的に挟まれることにより、所定の位置に保持される。導電路の外径が異なると、それに応じて第1弾性保持片と第2弾性保持片の弾性撓み量が変化する。したがって、外径が異なる複数種類の導電路を、フェライトコアに対して安定した位置に保持することができる。また、第1弾性保持片と第2弾性保持片は、フィルタケースの内部に収容されているので、他部材の干渉から保護されている。
また、第1弾性保持片と第2弾性保持片は、細長く屈曲した形状をなしていて弾性撓みし易いので、外径寸法の異なる複数種類の導電路に対し、幅広く対応できる。また、第1弾性保持片と第2弾性保持片は、その両端部が第1ケース構成体の内周面又は第2ケース構成体の内周面に連なっているので、導電路を安定して保持可能な弾性保持力を有する。
また、V字状の保持部により、両弾性保持片の対向方向と直交する方向においても、導電路の位置を安定させることができる。さらに、一対の脚部により保持部の位置を安定させることができるので、導電路の位置も安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のノイズフィルタの一部切欠正面図
図2図1のX−X線断面図
図3図1,2に示す導電路よりも外径の大きい導電路に取り付けた状態をあらわすX−X線相当断面図
図4】実施例2のノイズフィルタにおいて、外径寸法の小さい導電路に取り付けた状態をあらわすX−X線相当断面図
図5】実施例2のノイズフィルタにおいて、外径寸法の大きい導電路に取り付けた状態をあらわすX−X線相当断面図
図6参考例1のノイズフィルタにおいて、外径寸法の小さい導電路に取り付けた状態をあらわすX−X線相当断面図
図7参考例1のノイズフィルタにおいて、外径寸法の大きい導電路に取り付けた状態をあらわすX−X線相当断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)第1発明及び第2の発明は、前記保持部の屈曲部と、前記第1ケース構成体の内周面又は前記第2ケース構成体の内周面との間を連結する補強部を備えていてもよい。この構成によれば、保持部の位置が安定するので、導電路の位置をより安定させることができる。
【0014】
(2)第1の発明及び第2の発明は、前記第1弾性保持片と前記第2弾性保持片が、前記導電路の軸線方向に間隔を空けて一対ずつ設けられており、前記フェライトコアが、対をなす前記第1弾性保持片の間で挟まれるとともに対をなす前記第2弾性保持片との間で挟まれることで、軸線方向に位置決めされていてもよい。この構成によれば、弾性保持片がフェライトコアを位置決めする機能を兼ね備えているので、弾性保持片とは別にフェライトコアを位置決めする手段をケース構成体に形成する場合に比べると、ケース構成体の形状を簡素化できる。
【0015】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図3を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向に関しては、図2,3における右側を前側と定義する。また、上下の方向に関しては、図1〜3にあらわれる向きを、そのまま上側、下側と定義する。
【0016】
本実施例1のノイズフィルタAは、フィルタケース10にフェライトコアFを取り付けて構成されてする。フェライトコアFは円環形をなしており、フェライトコアFの中心孔は導電路WL,WSを挿通させるための挿通孔Hとなっている。ノイズフィルタAは、外径寸法の異なる2種類の導電路WL,WSに選択的に取り付けることができる。ノイズフィルタAは、導電路WL,WSのうち軸線を左右方向に向けた部分を包囲し、導電路WL,WSのノイズを除去する。
【0017】
導電路WL,WSは、断面が円形をなしていて、1本の電線、複数本の電線を束ねたワイヤーハーネス、あるいは1本の電線をコルゲートチューブで包囲したもの、ワイヤーハーネスをコルゲートチューブで包囲したもの、1本の電線にソフトテープを巻き付けたもの、ワイヤーハーネスにソフトテープを巻き付けたもの等である。
【0018】
フィルタケース10は、合成樹脂製の単一部品として成形されたものであり、第1ケース構成体11と第2ケース構成体12をヒンジ13で相対変位可能に連結した形態である。第1ケース構成体11は全体として略半円弧状をなし、第2ケース構成体12も全体として略半円弧状をなしている。ヒンジ13を支点として両ケース構成体11,12を合体させると、軸線を左右方向(導電路WL,WSと平行)に向けた略円筒形のフィルタケース10が構成される。フィルタケース10の内部には、フェライトコアFを収容するための収容空間14となっている。
【0019】
第1ケース構成体11は、第1周壁部15と、左右一対の第1保護壁部16とを一体に形成して構成されている。第1周壁部15は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第1保護壁部16は、第1周壁部15の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。第2ケース構成体12は、第2周壁部17と、左右一対の第2保護壁部18とを一体に形成して構成されている。第2周壁部17は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第2保護壁部18は、第2周壁部17の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。
【0020】
第1ケース構成体11には、左右一対の第1弾性保持片19が一体に形成されている。この一対の第1弾性保持片19は、収容空間14内に収容され、左右方向において第1保護壁部16に近い位置に配置されている。第1弾性保持片19は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、略M字形をなすように屈曲した形状をなしている。即ち、第1弾性保持片19は、第1保持部20(請求項に記載の保持部)と前後一対の第1脚部21(請求項に記載の脚部)とから構成されている。第1保持部20は、収容空間14の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。一対の第1脚部21は、第1保持部20の両端から延出して第1周壁部15の内周面に連なっている。第1保持部20と第1脚部21は、いずれも、弾性的に変形し得るようになっている。
【0021】
第2ケース構成体12には、左右一対の第2弾性保持片22が一体に形成されている。この一対の第2弾性保持片22は、収容空間14内に収容され、左右方向において第2保護壁部18に近い位置に配置されている。第2弾性保持片22は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、略M字形をなすように屈曲した形状をなしている。即ち、第2弾性保持片22は、第2保持部23(請求項に記載の保持部)と前後一対の第2脚部24(請求項に記載の脚部)とから構成されている。第2保持部23は、収容空間14の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。一対の第2脚部24は、第2保持部23の両端から延出して第2周壁部17の内周面に連なっている。第2保持部23と第2脚部24は、いずれも、弾性的に変形し得るようになっている。
【0022】
両ケース構成体11,12が合体した状態では、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22が、収容空間14内で導電路WL,WSを挟むように対向している。そして、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、両ケース構成体11,12の合体方向において対称な形状となっている。また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22が弾性撓みしていない自由状態においては、導電路WL,WSの軸線方向に見たときに、第1保持部20と第2保持部23が、フェライトコアFの挿通孔Hと重なるように位置している。
【0023】
本実施例1のノイズフィルタAの使用形態を説明する。図1,2は、比較的外径寸法の小さい導電路WSにノイズフィルタAを取り付けた場合を示す。導電路WSは、略V字形をなす第1保持部20と第2保持部23との間で挟まれることにより、上下方向(両ケース構成体11,12の合体方向)及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WSは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。また、導電路WSの外径寸法が小さいので、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22の弾性変形量は、僅かである。
【0024】
また、図3は、比較的外径寸法の大きい導電路WLにノイズフィルタAを取り付けた場合を示す。この導電路WLも、上記導電路WSと同様、略V字形をなす第1保持部20と第2保持部23との間で挟まれることにより、上下方向及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WLは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。
【0025】
また、この導電路WLは外径寸法が大きいので、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、比較的大きく弾性変形する。即ち、略V字形をなす第1保持部20と第2保持部23は、その屈曲角度を大きくするように拡開変形する。また、両保持部20,23が拡開変形するのに伴い、各保持部20,23の両端が周壁部15,17の内周面に接近するので、第1脚部21と第2脚部24は、湾曲変形する。
【0026】
上述のように本実施例1のノイズフィルタAは、導電路WL,WSを包囲するフェライトコアFと、第1ケース構成体11と第2ケース構成体12を合体して構成され、フェライトコアFを収容するフィルタケース10とを備える。フィルタケース10は、第1ケース構成体11の内周面から突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片19と、第2ケース構成体12の内周面から第1弾性保持片19と対称に突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片22とを備えている。
【0027】
この構成によれば、導電路WL,WSは、対称をなす第1弾性保持片19と第2弾性保持片22によって弾性的に挟まれることにより、所定の位置に保持される。導電路WL,WSの外径が異なると、それに応じて第1弾性保持片19と第2弾性保持片22の弾性撓み量が変化する。したがって、外径が異なる複数種類の導電路WL,WSを、フェライトコアFに対して安定した位置に保持することができる。また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、フィルタケース10の内部(収容空間14内)に収容されているので、他部材の干渉から保護されている。
【0028】
また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、細長く屈曲した形状をなしていて弾性撓みし易いので、外径寸法の異なる2種類の導電路WL,WSに対し、幅広く対応できる。また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、その両端部が第1ケース構成体11の内周面又は第2ケース構成体12の内周面に連なっているので、導電路WL,WSを安定して保持可能な弾性保持力を有する。
【0029】
また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22は、互いに相手側に向かって拡がるような略V字形をなす保持部20,23を備えている。この構成によれば、略V字形の保持部20,23により、両弾性保持片19,22の対向方向(上下方向)と直交する前後方向においても、導電路WL,WSの位置を安定させることができる。しかも、第1弾性保持片19は、第1保持部20の両端と第1ケース構成体11の内周面とを連結する一対の第1脚部21を備えており、第2弾性保持片22は、第2保持部23の両端と第2ケース構成体12の内周面とを連結する一対の第2脚部24とを備えている。この構成によれば、一対の脚部21,24により保持部20,23の位置を安定させることができるので、導電路WL,WSの位置も安定させることができる。
【0030】
また、第1弾性保持片19と第2弾性保持片22が、導電路WL,WSの軸線方向に間隔を空けて一対ずつ設けられており、フェライトコアFが、対をなす第1弾性保持片19との間で挟まれるとともに、対をなす第2弾性保持片22との間で挟まれることにより、軸線方向に位置決めされている。この構成によれば、弾性保持片19,22がフェライトコアFを位置決めする機能を兼ね備えているので、弾性保持片とは別にフェライトコアFを位置決めする手段をケース構成体11,12に形成する場合に比べると、ケース構成体11,12の形状を簡素化できる。
【0031】
<実施例2>
以下、本発明を具体化した実施例2を図4図5を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向に関しては、図4,5における右側を前側と定義する。上下の方向に関しては、図4,5にあらわれる向きを、そのまま上側、下側と定義する。
【0032】
本実施例2のノイズフィルタBは、フィルタケース30にフェライトコアFを取り付けて構成されている。ノイズフィルタBは、外径寸法の異なる2種類の導電路WL,WSに選択的に取り付けることができる。尚、フェライトコアFと2種類の導電路WL,WSは、実施例1と同じものであるから、同一符号を付し、説明は省略する。
【0033】
フィルタケース30は、合成樹脂製の単一部品として成形されたものであり、第1ケース構成体31と第2ケース構成体32をヒンジ33で相対変位可能に連結した形態である。第1ケース構成体31は全体として略半円弧状をなし、第2ケース構成体32も全体として略半円弧状をなしている。ヒンジ33を支点として両ケース構成体31,32を合体させると、軸線を左右方向(導電路WL,WSと平行)に向けた略円筒形のフィルタケース30が構成される。フィルタケース30の内部には、フェライトコアFを収容するための収容空間34となっている。
【0034】
第1ケース構成体31は、第1周壁部35と、左右一対の第1保護壁部(図示省略)とを一体に形成して構成されている。第1周壁部35は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第1保護壁部は、第1周壁部35の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。第2ケース構成体32は、第2周壁部36と、左右一対の第2保護壁部(図示省略)とを一体に形成して構成されている。第2周壁部36は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第2保護壁部は、第2周壁部36の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。
【0035】
第1ケース構成体31には、左右一対の第1弾性保持片37が一体に形成されている。この一対の第1弾性保持片37は、収容空間34内に収容され、左右方向において第1保護壁部に近い位置に配置されている。第1弾性保持片37は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、屈曲した形状をなしている。即ち、第1弾性保持片37は、第1保持部38(請求項に記載の保持部)と、前後一対の第1脚部39(請求項に記載の脚部)と、第1補強部40(請求項に記載の補強部)とから構成されている。
【0036】
第1保持部38は、収容空間34の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。一対の第1脚部39は、第1保持部38の両端から延出して第1周壁部35の内周面に連なっている。第1保持部38と一対の脚部は、略M字形をなすように構成されている。第1保持部38と第1脚部39は、いずれも、弾性的に変形し得るようになっている。
【0037】
第1補強部40は、第1保持部38の第1屈曲部41(請求項に記載の屈曲部)と、第1周壁部35の内周面とを連結する形態である。第1補強部40は、第1脚部39と平行をなし、フェライトコアFの中心から径方向に真っ直ぐ延びている。また、第1補強部40は、第1保持部38及び第1脚部39よりも太く形成されている。したがって、第1保持部38と第1脚部39が弾性変形しても、剛性の高い第1補強部40は、殆ど弾性変形しない。
【0038】
第2ケース構成体32には、左右一対の第2弾性保持片42が一体に形成されている。この一対の第2弾性保持片42は、収容空間34内に収容され、左右方向において第2保護壁部に近い位置に配置されている。第2弾性保持片42は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、屈曲した形状をなしている。即ち、第2弾性保持片42は、第2保持部43(請求項に記載の保持部)と、前後一対の第2脚部44(請求項に記載の脚部)と、第2補強部45(請求項に記載の補強部)から構成されている。
【0039】
第2保持部43は、収容空間34の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。一対の第2脚部44は、第2保持部43の両端から延出して第2周壁部36の内周面に連なっている。第2保持部43と一対の脚部は、略M字形をなすように構成されている。第2保持部43と第2脚部44は、いずれも、弾性的に変形し得るようになっている。
【0040】
第2補強部45は、第2保持部43の第2屈曲部46(請求項に記載の屈曲部)と、第2周壁部36の内周面とを連結する形態である。第2補強部45は、第2脚部44と平行をなし、フェライトコアFの中心から径方向に真っ直ぐ延びている。また、第2補強部45は、第2保持部43及び第2脚部44よりも太く形成されている。したがって、第2保持部43と第2脚部44が弾性変形しても、剛性の高い第2補強部45は、殆ど弾性変形しない。
【0041】
両ケース構成体31,32が合体した状態では、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42が、収容空間34内で導電路WL,WSを挟むように対向している。そして、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、両ケース構成体31,32の合体方向において対称な形状となっている。また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42が弾性撓みしていない自由状態においては、導電路WL,WSの軸線方向に見たときに、第1保持部38と第2保持部43が、フェライトコアFの挿通孔Hと重なるように位置している。
【0042】
本実施例2のノイズフィルタBの使用形態を説明する。図4は、比較的外径寸法の小さい導電路WSにノイズフィルタBを取り付けた場合を示す。導電路WSは、略V字形をなす第1保持部38と第2保持部43との間で挟まれることにより、上下方向(両ケース構成体31,32の合体方向)及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WSは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。また、導電路WSの外径寸法が小さいので、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42の弾性変形量は、僅かである。
【0043】
また、図5は、比較的外径寸法の大きい導電路WLにノイズフィルタBを取り付けた場合を示す。この導電路WLも、上記導電路WSと同様、略V字形をなす第1保持部38と第2保持部43との間で挟まれることにより、上下方向及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WLは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。
【0044】
また、この導電路WLは外径寸法が大きいので、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、比較的大きく弾性変形する。即ち、略V字形をなす第1保持部38と第2保持部43は、その屈曲角度を大きくするように拡開変形する。また、両保持部38,43が拡開変形するのに伴い、各保持部38,43の両端が周壁部35,36の内周面に接近するので、第1脚部39と第2脚部44は、湾曲変形する。
【0045】
上述のように本実施例2のノイズフィルタBは、導電路WL,WSを包囲するフェライトコアFと、第1ケース構成体31と第2ケース構成体32を合体して構成され、フェライトコアFを収容するフィルタケース30とを備える。フィルタケース30は、第1ケース構成体31の内周面から突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片37と、第2ケース構成体32の内周面から第1弾性保持片37と対称に突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片42とを備えている。
【0046】
この構成によれば、導電路WL,WSは、対称をなす第1弾性保持片37と第2弾性保持片42によって弾性的に挟まれることにより、所定の位置に保持される。導電路WL,WSの外径が異なると、それに応じて第1弾性保持片37と第2弾性保持片42の弾性撓み量が変化する。したがって、外径が異なる複数種類の導電路WL,WSを、フェライトコアFに対して安定した位置に保持することができる。また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、フィルタケース30の内部(収容空間34内)に収容されているので、他部材の干渉から保護されている。
【0047】
また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、細長く屈曲した形状をなしていて弾性撓みし易いので、外径寸法の異なる複数種類の導電路WL,WSに対し、幅広く対応できる。また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、その両端部が第1ケース構成体31の内周面又は第2ケース構成体32の内周面に連なっているので、導電路WL,WSを安定して保持可能な弾性保持力を有する。
【0048】
また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42は、互いに相手側に向かって拡がるような略V字形をなす保持部38,43を備えている。この構成によれば、略V字形の保持部38,43により、両弾性保持片37,42の対向方向(上下方向)と直交する前後方向においても、導電路WL,WSの位置を安定させることができる。しかも、第1弾性保持片37は、第1保持部38の両端と第1ケース構成体31の内周面とを連結する一対の第1脚部39を備えており、第2弾性保持片42は、第2保持部43の両端と第2ケース構成体32の内周面とを連結する一対の第2脚部44とを備えている。この構成によれば、一対の脚部39,44により保持部38,43の位置を安定させることができるので、導電路WL,WSの位置も安定させることができる。
【0049】
また、第1弾性保持片37は、第1保持部38の第1屈曲部41と、第1ケース構成体31の内面面との間を連結する第1補強部40を備えている。第2弾性保持片42は、第2保持部43の第2屈曲部46と、第2ケース構成体32の内周面との間を連結する第2補強部45を備えている。この構成によれば、第1保持部38と第2保持部43の位置が安定するので、導電路WL,WSの位置をより安定させることができる。
【0050】
また、第1弾性保持片37と第2弾性保持片42が、導電路WL,WSの軸線方向に間隔を空けて一対ずつ設けられており、フェライトコアFが、対をなす第1弾性保持片37との間で挟まれるとともに、対をなす第2弾性保持片42との間で挟まれることにより、軸線方向に位置決めされている。この構成によれば、弾性保持片37,42がフェライトコアFを位置決めする機能を兼ね備えているので、弾性保持片37,42とは別にフェライトコアFを位置決めする手段をケース構成体31,32に形成する場合に比べると、ケース構成体31,32の形状を簡素化できる。
【0051】
<参考例1>
以下、本発明の参考例1図6図7を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向に関しては、図6,7における右側を前側と定義する。また、上下の方向に関しては、図6,7にあらわれる向きを、そのまま上側、下側と定義する。
【0052】
本参考例1のノイズフィルタCは、フィルタケース50にフェライトコアFを取り付けて構成されている。ノイズフィルタCは、外径寸法の異なる2種類の導電路WL,WSに選択的に取り付けることができる。尚、フェライトコアFと2種類の導電路WL,WSは、実施例1,2と同じものであるから、同一符号を付し、説明は省略する。
【0053】
フィルタケース50は、合成樹脂製の単一部品として成形されたものであり、第1ケース構成体51と第2ケース構成体52をヒンジ54で相対変位可能に連結した形態である。第1ケース構成体51は全体として略半円弧状をなし、第2ケース構成体52も全体として略半円弧状をなしている。ヒンジ54を支点として両ケース構成体51,52を合体させると、軸線を左右方向(導電路WL,WSと平行)に向けた略円筒形のフィルタケース50が構成される。フィルタケース50の内部には、フェライトコアFを収容するための収容空間54となっている。
【0054】
第1ケース構成体51は、第1周壁部55と、左右一対の第1保護壁部(図示省略)とを一体に形成して構成されている。第1周壁部55は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第1保護壁部は、第1周壁部55の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。第2ケース構成体52は、第2周壁部56と、左右一対の第2保護壁部(図示省略)とを一体に形成して構成されている。第2周壁部56は、略半円弧形をなし、フェライトコアFの外周面に当接するようになっている。第2保護壁部は、第2周壁部56の左右両端縁から径方向内側へ延出した形態である。
【0055】
第1ケース構成体51には、左右一対の第1弾性保持片57が一体に形成されている。この一対の第1弾性保持片57は、収容空間54内に収容され、左右方向において第1保護壁部に近い位置に配置されている。第1弾性保持片57は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、屈曲した形状をなしている。即ち、第1弾性保持片57は、第1保持部58(請求項に記載の保持部)と第1補強部59(請求項に記載の補強部)とから構成されている。第1保持部58は、収容空間54の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。第1保持部58の前後両端部は、第1周壁部55に繋がっていない。
【0056】
第1補強部59は、第1保持部58の第1屈曲部60(請求項に記載の屈曲部)と、第1周壁部55の内周面とを連結する形態である。第1補強部59は、フェライトコアFの中心から径方向に真っ直ぐ延びている。また、第1補強部59は、第1保持部58よりも太く形成されている。したがって、第1保持部58が、弾性的に変形し得るようになっているのに対し、剛性の高い第1補強部59は、殆ど弾性変形しない。
【0057】
第2ケース構成体52には、左右一対の第2弾性保持片61が一体に形成されている。この一対の第2弾性保持片61は、収容空間54内に収容され、左右方向において第2保護壁部に近い位置に配置されている。第2弾性保持片61は、細長く延びていて、導電路WL,WSの軸線と平行に見たときに、屈曲した形状をなしている。即ち、第2弾性保持片61は、第2保持部62(請求項に記載の保持部)と第2補強部63(請求項に記載の補強部)とから構成されている。第2保持部62は、収容空間54の中心(導電路WL,WSの軸心)に向かって拡開するように略V字形をなしている。第2保持部62の前後両端部は、第2周壁部56に繋がっていない。
【0058】
第2補強部63は、第2保持部62の第2屈曲部64(請求項に記載の屈曲部)と、第2周壁部56の内周面とを連結する形態である。第2補強部63は、フェライトコアFの中心から径方向に真っ直ぐ延びている。また、第2補強部63は、第1保持部58よりも太く形成されている。したがって、第2保持部62が、弾性的に変形し得るようになっているのに対し、剛性の高い第2補強部63は、殆ど弾性変形しない。
【0059】
両ケース構成体51,52が合体した状態では、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61が、収容空間54内で導電路WL,WSを挟むように対向している。そして、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61は、両ケース構成体51,52の合体方向において対称な形状となっている。また、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61が弾性撓みしていない自由状態においては、導電路WL,WSの軸線方向に見たときに、第1保持部58と第2保持部62が、フェライトコアFの挿通孔Hと重なるように位置している。
【0060】
本参考例1のノイズフィルタCの使用形態を説明する。図6は、比較的外径寸法の小さい導電路WSにノイズフィルタCを取り付けた場合を示す。導電路WSは、略V字形をなす第1保持部58と第2保持部62との間で挟まれることにより、上下方向(両ケース構成体51,52の合体方向)及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WSは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。また、導電路WSの外径寸法が小さいので、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61の弾性変形量は、僅かである。
【0061】
また、図7は、比較的外径寸法の大きい導電路WLにノイズフィルタCを取り付けた場合を示す。この導電路WLも、上記導電路WSと同様、略V字形をなす第1保持部58と第2保持部62との間で挟まれることにより、上下方向及び前後方向の両方向において移動を規制された状態に保持される。導電路WLは、外径寸法が挿通孔Hの内径寸法より小さいのであるが、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61との間で挟まれることにより、フェライトコアF(挿通孔H)と同心状に位置決めされる。
【0062】
また、この導電路WLは外径寸法が大きいので、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61は、比較的大きく弾性変形する。即ち、略V字形をなす第1保持部58と第2保持部62は、その屈曲角度を大きくするように拡開変形する。このとき、第1補強部59と第2補強部63は殆ど変形しないので、第1保持部58と第2保持部62の拡開角度は大きくなる。
【0063】
上述のように本参考例1のノイズフィルタCは、導電路WL,WSを包囲するフェライトコアFと、第1ケース構成体51と第2ケース構成体52を合体して構成され、フェライトコアFを収容するフィルタケース50とを備える。フィルタケース50は、第1ケース構成体51の内周面から突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第1弾性保持片57と、第2ケース構成体52の内周面から第1弾性保持片57と対称に突出し、導電路WL,WSの外周に弾性的に当接可能な第2弾性保持片61とを備えている。
【0064】
この構成によれば、導電路WL,WSは、対称をなす第1弾性保持片57と第2弾性保持片61によって弾性的に挟まれることにより、所定の位置に保持される。導電路WL,WSの外径が異なると、それに応じて第1弾性保持片57と第2弾性保持片61の弾性撓み量が変化する。したがって、外径が異なる複数種類の導電路WL,WSを、フェライトコアFに対して安定した位置に保持することができる。また、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61は、フィルタケース50の内部(収容空間54内)に収容されているので、他部材の干渉から保護されている。
【0065】
また、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61は、互いに相手側に向かって拡がるような略V字形(即ち、細長く屈曲した形状)をなす保持部58,62を備えている。この保持部58,62は弾性撓みし易いので、外径寸法の異なる複数種類の導電路WL,WSに対し、幅広く対応できる。また、略V字形の保持部58,62により、両弾性保持片57,61の対向方向(上下方向)と直交する前後方向においても、導電路WL,WSの位置を安定させることができる。
【0066】
また、第1弾性保持片57は、第1保持部58の第1屈曲部60と、第1ケース構成体51の内面面との間を連結する第1補強部59を備えている。第2弾性保持片61は、第2保持部62の第2屈曲部64と、第2ケース構成体52の内周面との間を連結する第2補強部63を備えている。この構成によれば、第1保持部58と第2保持部62の位置が安定するので、導電路WL,WSの位置をより安定させることができる。
【0067】
また、第1弾性保持片57と第2弾性保持片61が、導電路WL,WSの軸線方向に間隔を空けて一対ずつ設けられており、フェライトコアFが、対をなす第1弾性保持片57との間で挟まれるとともに、対をなす第2弾性保持片61との間で挟まれることにより、軸線方向に位置決めされている。この構成によれば、弾性保持片57,61がフェライトコアFを位置決めする機能を兼ね備えているので、弾性保持片57,61とは別にフェライトコアFを位置決めする手段をケース構成体51,52に形成する場合に比べると、ケース構成体51,52の形状を簡素化できる。
【0068】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1,2では、フェライトコアが円環形をなしていて、1つの挿通孔が形成されているが、本発明は、フェライトコアが長円形や方形をなし、フェライトコアに複数の挿通孔が形成されている場合にも適用できる。この場合は、複数の挿通孔と個別に対応するように、複数の第1弾性保持片と複数の第2弾性保持片を設ければよい。
(2)上記実施例1,2では、フェライトコアが単一部品であるが、フェライトコアは、一対のコア構成体を合体させたものであってもよい。
(3)上記実施例1,2では、ノイズフィルタが2種類の導電路に取り付けられるようにしたが、ノイズフィルタは、外径寸法の異なる3種類以上の導電路に取り付ける事が可能である。
(4)上記実施例1,2では、フィルタケースが第1ケース構成体と第2ケース構成体をヒンジで連結した単一部品であったが、第1ケース構成体と第2ケース構成体は別体部品であってもよい。
<参考例>
(1)上記参考例1において、保持部の先端部を周壁部の内周面に連結した形態とすることも考えられる。
【符号の説明】
【0069】
A,B,C…ノイズフィルタ
F…フェライトコア
WL,WS…導電路
10,30,50…フィルタケース
11,31,51…第1ケース構成体
12,32,52…第2ケース構成体
19,37,57…第1弾性保持片
20,38,58…第1保持部(保持部)
21,39…第1脚部(脚部)
22,42,61…第2弾性保持片
23,43,62…第2保持部(保持部)
24,44…第2脚部(脚部)
40,59…第1補強部(補強部)
41,60…第1屈曲部(屈曲部)
45,63…第2補強部(補強部)
46,64…第2屈曲部(屈曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7