(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361925
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20180712BHJP
A61K 31/166 20060101ALI20180712BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20180712BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20180712BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20180712BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20180712BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20180712BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
A61K31/192
A61K31/166
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/46
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/48
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-526952(P2014-526952)
(86)(22)【出願日】2013年7月24日
(86)【国際出願番号】JP2013069979
(87)【国際公開番号】WO2014017507
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2012-166693(P2012-166693)
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】特許業務法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲央
(72)【発明者】
【氏名】石井 和寛
【審査官】
金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−269874(JP,A)
【文献】
特開2009−007295(JP,A)
【文献】
特開2002−316928(JP,A)
【文献】
特開昭61−134315(JP,A)
【文献】
特開2004−231546(JP,A)
【文献】
特開平06−329556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/192
A61K 31/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブプロフェン及びエテンザミドを含有する固形製剤であって、イブプロフェンとエテンザミドが異なる製剤粒子中に配合され、イブプロフェンを含有する製剤粒子が、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体と、酸化チタン及び/又はタルクとを含有するフィルム層で被覆されており、かつ剤型が散剤、顆粒剤、微粒剤又はカプセル剤である、固形製剤。
【請求項2】
イブプロフェン及びエテンザミドを含有する固形製剤であって、イブプロフェンとエテンザミドが異なる製剤粒子中に配合され、イブプロフェンを含有する製剤粒子が、ポリビニルアルコール、酸化チタン、カルナウバロウ及びパラフィンを含有するフィルム層で被覆されており、かつ剤型が散剤、顆粒剤、微粒剤又はカプセル剤である、固形製剤。
【請求項3】
イブプロフェン及びエテンザミドを含有する固形製剤であって、イブプロフェンとエテンザミドが異なる製剤粒子中に配合され、イブプロフェンを含有する製剤粒子が、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、酸化チタン及びタルクを含有するフィルム層で被覆されており、かつ剤型が散剤、顆粒剤、微粒剤又はカプセル剤である、固形製剤。
【請求項4】
フィルム層中のポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体の含有量が、イブプロフェンの1質量部に対して0.04〜0.4質量部である、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形製剤の分野に関し、詳しくは、有効成分としてイブプロフェン及びエテンザミドを含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
頭痛薬や総合感冒薬の有効成分として汎用されているイブプロフェンは融点75〜77℃の低融点薬物であるが、同じく頭痛薬や総合感冒薬の有効成分として知られるエテンザミドと混在すると融点降下を引き起こすことが知られていた(非特許文献1参照)。有効成分の中でも含有量が多いイブプロフェンの融点降下は、粉体のハンドリングを著しく困難にし、付着や凝集を引き起こす他、製品化後に変色等の問題を招来することがあった。
【0003】
そのため、有効成分としてイブプロフェンとエテンザミドを配合した固形製剤では、これらを異なる顆粒等に配合し、二重錠や多層錠として提供すれば、イブプロフェンとエテンザミドが同一の製剤中に配合されていても、直接の接触を回避してイブプロフェンの融点降下を防止することが可能であった(非特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、イブプロフェンとエテンザミドを配合した散剤、顆粒剤等を提供する場合には、単にこれらの成分を異なる顆粒等に配合しただけでは充分に接触を回避できず、イブプロフェンの融点降下を充分に抑制することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−277962号公報
【特許文献2】特許第4853818号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Aoki S.ら、Drug Development and Industrial Pharmacy、1997年、23巻、6号、561〜565ページ
【非特許文献2】粉体工学会、製剤と粒子設計部会編、「すぐに役立つ粒子設計・加工技術」、じほう発行、2003年9月30日、288〜291ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、常套手段としてはイブプロフェンとエテンザミドを異なる顆粒等に配合した後、少なくともその何れかをフィルムコーティングすることが考えられるが(特許文献1及び2参照)、フィルム基剤として最もポピュラーなヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を主基剤とするフィルム層でイブプロフェン含有顆粒を被覆し、エテンザミド含有顆粒と混合したところ、イブプロフェンの融点降下を充分に抑制することはできなかった(後述の比較例1参照)。
【0008】
本発明の課題は、有効成分であるイブプロフェンとエテンザミドを別々の顆粒等に配合し、イブプロフェン含有顆粒等を被覆するにあたって、その融点降下を抑制するのに最も有効なフィルム基剤を選定し、保存安定性や服用性に優れた散剤、顆粒剤等のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フィルム基剤としてポリビニルアルコール(以下、適宜に「PVA」と略記する。)若しくはポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(以下、適宜に「PVAコポリマー」と略記する。)を採択した場合にのみエテンザミド含有顆粒との混在によるイブプロフェンの融点降下を効果的に抑制しうることを見出した。
【0010】
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(1)イブプロフェンとエテンザミドが異なる製剤粒子中に配合され、イブプロフェンを含有する製剤粒子がポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含有するフィルム層で被覆されていることを特徴とするイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤。
(2)フィルム層中のポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体の含有量が、イブプロフェンの1質量部に対して0.04〜0.4質量部である前記(1)に記載のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤。
(3)固形製剤が散剤、顆粒剤、微粒剤又はカプセル剤である前記(1)又は(2)に記載のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、有効成分としてイブプロフェンとエテンザミドを配合した散剤、顆粒剤等の固形製剤を提供することが可能となった。また、イブプロフェン含有顆粒等をPVA又はPVAコポリマーで被覆することによりイブプロフェンの昇華や苦味も抑制され、保存安定性及び服用性に優れた固形製剤として提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤は、イブプロフェンとエテンザミドが異なる製剤粒子中に配合され、イブプロフェンを含有する製剤粒子がポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含有するフィルム層で被覆されていることを特徴とするものである。
【0013】
有効成分であるイブプロフェン及びエテンザミドは混在すると融点降下を引き起こすため、本発明では、これら有効成分を別々の製剤粒子中に配合する。
【0014】
「製剤粒子」とは、有効成分の他に後述の添加剤を配合した粉体を混合等した後、乾式造粒、噴霧乾燥造粒、又は、練合造粒、押し出し造粒、撹拌造粒、流動層造粒、撹拌流動層造粒、転動流動層造粒、転動造粒等の湿式造粒を経て調製された幾何平均粒子径80〜400μmの固形の粒子である。
【0015】
本発明にかかる、イブプロフェンを含有する製剤粒子及びエテンザミドを含有する製剤粒子(以下、「イブプロフェン含有製剤粒子」及び「エテンザミド含有製剤粒子」とも各々称する。)に配合する添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、他の薬効成分が挙げられる。
【0016】
賦形剤としては、固形製剤において一定のかさを与える成分であればよく、例えば、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、アメ粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、白糖、D−マンニトール、バレイショデンプン、コーンスターチが挙げられる。
【0017】
結合剤としては、固形製剤において粒子間に結合力を与える成分であればよく、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0018】
崩壊剤としては、固形製剤の崩壊や分散を促進する成分であればよく、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、バレイショデンプン、コーンスターチが挙げられる。
【0019】
他の薬効成分としては特に制限はなく、例えば、ビタミン類(リボフラビン等)や、イブプロフェン及びエテンザミドカフェインによる鎮痛効果を補助する無水カフェイン等が挙げられる。
【0020】
また、本発明にかかるイブプロフェン含有製剤粒子におけるイブプロフェンの好適な含有(配合)量は、30〜60質量%であり、本発明にかかるエテンザミド含有製剤粒子におけるエテンザミドの好適な含有(配合)量は、エテンザミド含有製剤粒子中10〜35質量%である。
【0021】
イブプロフェン含有製剤粒子については必ずフィルムコーティングを施すので、通常下記の摩損度試験で摩損度7質量%以下の粒子強度を有する硬い粒子であることが好ましい。
【0022】
なお、摩損度は、850μm以下の粒子5gと直径20mm、質量28gの金属球2個を直径32mm、高さ88mmの円柱状の金属製の容器(例えば、ボールミル粉砕機)に充填し、振幅15mm、振動数1500回/分で1分間振動させたときに発生する75μm以下の微粉の割合(%)の増加量である。具体的には、サンプルを850μmの篩で分級し、篩残を除去し、850μmの篩を通過したサンプルを混合して、75μmの微粉の割合(%)を測定しておく。次に850μmの篩を通過したサンプルの5gを直径20mm、質量28gのステンレス球2個と共に直径32mm、高さ88mmの円筒状のステンレス製容器(ベータミル(商品名):三菱化学エンジニアリング製)に充填する。容器を振幅15mm、振動数1500回/分で1分間振動させた後、75μm以下の微粉の割合(%)を測定する。「摩損度」は、測定前後の75μm以下の微粉の割合(%)の増加量として求められる。
【0023】
本発明においてエテンザミド含有製剤粒子には必ずしもフィルムコーティングを施す必要はないが、フィルムコーティングを施すならイブプロフェン含有製剤粒子と同程度の粒子強度があった方がよい。
【0024】
本発明では、イブプロフェン含有製剤粒子はPVA又はPVAコポリマーを含有するフィルム層で被覆される必要があるが、エテンザミド含有製剤粒子の方は必ずしも被覆されている必要はない。これは、低融点のイブプロフェンを含有する製剤粒子の方を被覆した方が融点降下の抑制効果が大きいからである。また、イブプロフェンは含有(配合)量も多い上、昇華し易く、特有の刺激のある苦味を有するため、昇華防止や苦味のマスキングという点からも、イブプロフェン含有製剤粒子の方を被覆するメリットが大きいからである。
【0025】
「ポリビニルアルコール(PVA)」とは、ポリ酢酸ビニルをけん化して得た重合物で、白色若しくは微黄白色の粉末である。ここで本発明において使用するPVAは、その種類が特に制限されるものではないが、付着力と溶解性を考慮すれば部分けん化物を使用することが好ましく、好ましいけん化度は85〜90モル%品である。
【0026】
本発明のPVAの好適な市販品の例としては、ゴーセノール(登録商標)EG−05P(日本合成化学社製、けん化度:86.5〜89.0mol%、粘度:4.8〜5.8mPa・s(20℃における4%水溶液についてのヘプラー粘度計による測定値))が挙げられる。
【0027】
「ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(PVAコポリマー)」とは、部分けん化ポリビニルアルコールにアクリル酸とメタクリル酸メチルを共重合した高分子であり,白色〜帯黄白色の塊又は粉末である。
【0028】
本発明にかかる「PVAコポリマー」における好適な平均重合度は、450〜550である。本発明にかかる「PVAコポリマー」の好適な重量平均分子量は、約40,000である。
【0029】
本発明にかかるPVAコポリマーの好適な市販品の例としては、POVACOAT(登録商標)Type:F(大同化成工業製、重量平均分子量:約40,000、平均重合度:450〜550、重合割合:部分けん化ポリビニルアルコールが80質量%、アクリル酸が17.5質量%、及びメタクリル酸メチルが2.5質量%)が挙げられる。
【0030】
PVA又はPVAコポリマーの含有(配合)量は、イブプロフェン含有製剤粒子の比表面積等を勘案し、イブプロフェンの融点降下を充分に抑制するという観点から、イブプロフェンの1質量部に対して、0.04質量部以上が好ましく、必要以上のコーティングは経済性等の観点から好ましくないので、0.4質量部が上限となる。
【0031】
PVA又はPVAコポリマーを含有するフィルム層による、イブプロフェン含有製剤粒子の被覆は、固形製剤の分野で一般的に用いられている手法により行うことができる。手法としては、例えば、流動層造粒乾燥機(流動層コーティング機)に製剤粒子を仕込んで、PVA又はPVAコポリマーを含有するフィルムコーティング液をスプレーしながら乾燥させる方法が挙げられる。
【0032】
フィルムコーティング液には、PVA又はPVAコポリマー以外に、他のコーティング剤、可塑剤、懸濁剤、流動化剤、着色剤等が精製水等に溶解・懸濁され含有されていてもよい。
【0033】
他のコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカリウム、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS等の高分子物質、カルナウバロウ、ゼラチン、コハク化ゼラチン、アラビアゴム、セラック等の天然系高分子物質、プルラン、キトサン等の多糖類が挙げられる。
【0034】
可塑剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、パラフィン、アジピン酸ジオクチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコールが挙げられる。
【0035】
懸濁剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート(ポリソルベート−80等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物が挙げられる。
【0036】
流動化剤として、例えば、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
【0037】
着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、ウコン抽出液、カラメル、カロチン液、β−カロテン、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、カーボンブラック、薬用炭、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色102号、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号アルミニウムレーキ等のタール系色素が挙げられる。
【0038】
本発明の固形製剤は、イブプロフェン含有製剤粒子及びエテンザミド含有製剤粒子の他、必要に応じて、イブプロフェンやエテンザミドと配合禁忌の有効成分を含有する製剤粒子、イブプロフェンやエテンザミドの鎮痛効果を補助する薬効成分(例えば、ブロモバレリル尿素)を含有する製剤粒子、流動化剤等を添加・混合し、散剤、顆粒剤、微粒剤、カプセル剤等として提供することもできる。なお、イブプロフェン含有製剤粒子及びエテンザミド含有製剤粒子等に添加・混合する流動化剤としては、製剤粒子の流動性を向上させる成分であればよく、例えば、前述のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0039】
本発明のイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤の製造は、例えば、以下の方法にて行うことができる。先ずイブプロフェンとエテンザミドが接触しないようにそれらを別々の粉体に配合する。すなわち、イブプロフェンを前述の添加剤とともに混合し、転動流動層造粒後乾燥し、イブプロフェン含有製剤粒子を得る。得られた粒子をワースターコラム型の流動層コーティング機に仕込み、PVA又はPVAコポリマーや前述の可塑剤、懸濁剤、着色剤等を精製水に溶解・懸濁させた固形分濃度約15%のコーティング液をイブプロフェン含有製剤粒子の1質量部に対して0.75〜3.7質量部でスプレーし、PVA又はPVAコポリマー含有のフィルム層で被覆されたイブプロフェン含有製剤粒子を得る。次いで、エテンザミドを前述の添加剤とともに混合し、転動流動層造粒後乾燥し、エテンザミド含有製剤粒子を得る。フィルム層で被覆されたイブプロフェン含有製剤粒子とエテンザミド含有製剤粒子を前記流動化剤等とともに混合し、目的とするイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤が得られる。
【0040】
また、このようにして得られた固形製剤は、粒子の大きさ等に応じ包装容器や分包に充填されて、散剤、顆粒剤等として提供される他、ゼラチン製のカプセルに充填してカプセル剤としても提供されうる。
【実施例】
【0041】
以下に、製造例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本説明をさらに詳細に説明する。
【0042】
製造例1 イブプロフェン含有製剤粒子の調製
イブプロフェン27,000g、リボフラビン240g、軽質無水ケイ酸3,000g、結晶セルロース12,000g、アメ粉21,000gを秤量、混合した粉体を、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)5,400gを精製水54,600gに溶解した溶液を結合液として、転動流動層造粒機(マルチプレックス(商品名):パウレック社製)を用いて造粒し、平均粒子径222μmのイブプロフェン含有製剤粒子を製造した。
【0043】
製造例2 エテンザミド含有製剤粒子の調製
エテンザミド126g、無水カフェイン75g、結晶セルロース60g、D−マンニトール300g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L微粉)30g、軽質無水ケイ酸6gを秤量、混合した粉体を精製水を造粒溶媒とし、攪拌造粒機(バーチカルグラニュレータ(商品名):パウレック社製)を用いて造粒した。得られた造粒物を流動層乾燥機(フロイント社製)を用いて乾燥し、乾燥後30M(500μm)の篩で分級し、篩残は粗砕して平均粒子径164μmのエテンザミド含有製剤粒子を得た。
【0044】
製造例3 その他の製剤粒子
ブロモバレリル尿素300g、結晶セルロース60g、D−マンニトール204g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L微粉)30g、軽質無水ケイ酸6gを製造例2と同様の手法により造粒し平均粒子径127μmの製剤粒子を得た。
【0045】
(実施例1)
製造例1で得られた製剤粒子570gをドラフトチューブ付き流動層造粒乾燥機(GPCG(商品名):パウレック社製)に仕込み、ヒプロメロース36g、PVA(ゴーセノールEG−05P(商品名):日本合成化学社製)36g、パラフィン9.6g、カルナウバロウ9.6g、ショ糖脂肪酸エステル2.4g、ポリソルベート−80 2.4g及び酸化チタン24gを精製水720gに溶解・分散させたコーティング液を用いてスプレー法によりフィルム層で被覆された製剤粒子630g(被覆量:対製剤粒子10%)を製造した。得られたフィルム層で被覆された製剤粒子0.42gに製造例2で得られた製剤粒子0.397g、製造例3で得られた製剤粒子0.399g,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.012g,甘味料及び香料を加え混合した粉体を包材に充填し、目的とするイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を得た。
【0046】
(実施例2)
製造例1で得られた製剤粒子570gをPVAコポリマー(POVACOATタイプF(商品名):大同化成工業製)96g、タルク9.6g及び酸化チタン14.4gを精製水586gに溶解・分散させたコーティング液を用いて実施例1と同様の手法によりフィルム層で被覆された製剤粒子630g(被覆量:対製剤粒子10%)を製造した。得られたフィルム層で被覆された製剤粒子0.42gに製造例2で得られた製剤粒子0.397g、製造例3で得られた製剤粒子0.399g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.012g、甘味料及び香料を加え混合した粉体を包材に充填し、目的とするイブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を得た。
【0047】
(比較例1)
製造例1で得られた製剤粒子570gをヒプロメロース68g及びタルク46gを精製水1150gに溶解・分散させたコーティング液を用いて実施例1と同様の手法によりフィルム層で被覆された製剤粒子630g(被覆量:対製剤粒子10%)を製造した。得られた製剤粒子0.42gに製造例2で得られた顆粒0.397g、製造例3で得られた製剤粒子0.399g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.012g、甘味料及び香料を加え混合した粉体を包材に充填し、イブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を得た。
【0048】
(比較例2)
製造例1で得られた製剤粒子0.38g、製造例2で得られた製剤粒子0.397g、製造例3で得られた製剤粒子0.399g、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.036g,甘味料及び香料を混合した粉体を包材に充填し、イブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を得た。
【0049】
(比較例3)
製造例1で得られた製剤粒子0.38g、製造例2で得られた製剤粒子0.397g、製造例3で得られた製剤粒子0.399g、軽質無水ケイ酸0.036g、甘味料及び香料を混合した粉体を包材に充填し、イブプロフェン及びエテンザミド含有固形製剤を得た。
【0050】
(試験例1)
[評価方法]
被験製剤を40℃75%RHの条件下に3カ月間保存した後、日本薬局方一般試験法粒度試験法に基づき篩分けし、製剤粒子の固結・凝集の状態を観察した。
【0051】
[結果]
結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかな通り、フィルムコーティングを行わなかった製剤粒子からなる固形製剤(比較例2及び3)では製剤粒子の凝集による粗大粒子が多量に発生したのに対し、フィルムコーティングを行い、フィルム層で被覆されたイブプロフェン含有製剤粒子を含む固形製剤(実施例1、2及び比較例1)では粗大粒子の発生が抑制され、中でもPVA(実施例1)及びPVAコポリマー(実施例2)を含むフィルム層で被覆されたイブプロフェン含有製剤粒子を含む固形製剤では凝集の発生がほとんど認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明により、イブプロフェン及びエテンザミドを配合した固形製剤を散剤や顆粒剤等としても提供することが可能となったので、従来の二重錠や多層錠に加えてバリエーションが広がり、消費者(患者)のニーズにより的確に対応できるようになった。