(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6361926
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】スートブロワ運転方法及びスートブロワ制御装置
(51)【国際特許分類】
F23J 3/00 20060101AFI20180712BHJP
F22B 37/48 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
F23J3/00 101A
F22B37/48 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-349(P2015-349)
(22)【出願日】2015年1月5日
(65)【公開番号】特開2016-125768(P2016-125768A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将太
(72)【発明者】
【氏名】坂内 章裕
(72)【発明者】
【氏名】菅野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】武山 陽平
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−282419(JP,A)
【文献】
特開2000−028128(JP,A)
【文献】
特開昭63−091416(JP,A)
【文献】
特開昭61−062710(JP,A)
【文献】
特開平11−094233(JP,A)
【文献】
特開2001−173935(JP,A)
【文献】
特開2014−159910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F22B 37/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二基の廃棄物焼却炉のそれぞれに併設され廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数段の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの運転方法において、
上記スートブロワが、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの段の伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの段の伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機期間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行い、
第一及び第二廃棄物焼却炉のそれぞれに併設されるボイラに設けられた第一及び第二スートブロワが、それぞれのボイラ内で第一段の伝熱管群から最終段である第n段の伝熱管群に対応して設けられた第一段から第n段のスートブロワの順に蒸気を噴射し、
1〜nの範囲で整数値をとる変数をaとしたときに、変数aを1からnまで1ずつ増加させながら、制御装置により次の(1)〜(6)の手順を繰り返すことにより、スートブロワの蒸気噴射のタイミングを制御することを特徴とするスートブロワ運転方法。
(1):第一スートブロワの第a段スートブロワの送気管に設けられた開閉弁を半開状態として、蒸気を上記送気管内に送り該送気管を予熱する暖管運転を行う。
(2):上記(1)の暖管運転終了時、第一スートブロワの第a段スートブロワの開閉弁を全開状態として、該第a段スートブロワの送気管内に送る蒸気の量を増大させ、該第a段スートブロワのノズルから第a段の伝熱管群へ向けて蒸気を噴射する。
(3):上記(2)の噴射終了時、開閉弁を閉状態として、第一スートブロワの第a段スートブロワからの蒸気の噴射を停止して第一スートブロワを噴射待機状態とするとともに、第二スートブロワを運転状態に切り換える。
(4):第二スートブロワの第a段スートブロワの送気管に設けられた開閉弁を半開状態として、蒸気を上記送気管内に送り該送気管を予熱する暖管運転を行う。
(5):上記(4)の暖管運転終了時、第二スートブロワの第a段スートブロワの開閉弁を全開状態として、該第a段スートブロワの送気管内に送る蒸気の量を増大させ、該第a段スートブロワのノズルから第a段の伝熱管群へ向けて蒸気を噴射する。
(6):上記(5)の噴射終了時、開閉弁を閉状態として、第二スートブロワの第a段スートブロワからの蒸気の噴射を停止して第二スートブロワを噴射待機状態とするとともに、第一スートブロワを運転状態に切り換える。
【請求項2】
二基の廃棄物焼却炉のそれぞれに併設され廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数段の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの制御装置において、
上記スートブロワが、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの段の伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの段の伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機期間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行い、
第一及び第二廃棄物焼却炉のそれぞれに併設されるボイラに設けられた第一及び第二スートブロワが、それぞれのボイラ内で第一段の伝熱管群から最終段である第n段の伝熱管群に対応して設けられた第一段から第n段のスートブロワの順に蒸気を噴射し、
1〜nの範囲で整数値をとる変数をaとしたときに、該変数aを1からnまで1ずつ増加させながら、次の(1)〜(6)の手順を繰り返すように、スートブロワの蒸気噴射のタイミングを制御することを特徴とするスートブロワ制御装置。
(1):第一スートブロワの第a段スートブロワの送気管に設けられた開閉弁を半開状態として、蒸気を上記送気管内に送り該送気管を予熱する暖管運転を行う。
(2):上記(1)の暖管運転終了時、第一スートブロワの第a段スートブロワの開閉弁を全開状態として、該第a段スートブロワの送気管内に送る蒸気の量を増大させ、該第a段スートブロワのノズルから第a段の伝熱管群へ向けて蒸気を噴射する。
(3):上記(2)の噴射終了時、開閉弁を閉状態として、第一スートブロワの第a段スートブロワからの蒸気の噴射を停止して第一スートブロワを噴射待機状態とするとともに、第二スートブロワを運転状態に切り換える。
(4):第二スートブロワの第a段スートブロワの送気管に設けられた開閉弁を半開状態として、蒸気を上記送気管内に送り該送気管を予熱する暖管運転を行う。
(5):上記(4)の暖管運転終了時、第二スートブロワの第a段スートブロワの開閉弁を全開状態として、該第a段スートブロワの送気管内に送る蒸気の量を増大させ、該第a段スートブロワのノズルから第a段の伝熱管群へ向けて蒸気を噴射する。
(6):上記(5)の噴射終了時、開閉弁を閉状態として、第二スートブロワの第a段スートブロワからの蒸気の噴射を停止して第二スートブロワを噴射待機状態とするとともに、第一スートブロワを運転状態に切り換える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物焼却炉のボイラ内に設けられた伝熱管群を洗浄するスートブロワ運転方法及びスートブロワ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を燃焼するための燃焼室と、該燃焼室からの排ガスを受け該排ガスとの熱交換を行う伝熱管群を有するボイラとを備える廃棄物焼却炉では、上記伝熱管群の表面に排ガス中に含まれる煤やダスト等(以下、単に「ダスト等」ともいう)が付着し、これらの付着物が熱交換の伝熱効率を低下させる原因となる。そこで、このような廃棄物焼却炉には、上記伝熱管群に付着した付着物を蒸気の噴射により除去するためのスートブロワが設けられることが多い。上記蒸気により伝熱管群から除去されたダスト等の付着物は、ボイラの下方に設けられたホッパから搬送コンベア上に落下排出され、該搬送コンベアにより搬送されて貯留装置に一旦貯留された後、適切に廃棄処理される。また、スートブロワに用いられる蒸気はボイラで発生した蒸気を用いている。
【0003】
特許文献1には、ボイラ内の伝熱管群に向けて蒸気を噴射して伝熱管群の表面から付着物を除去するスートブロワが開示されている。該スートブロワは、ボイラ内にて各伝熱管群に対応する位置に設けられており、各スートブロワの噴射ノズルから上記伝熱管群へ向けて蒸気を噴射する。蒸気の噴射による付着物の除去処理は定期的に行われる。スートブロワは、除去処理を実行する度に起動し、蒸気を所定時間連続して噴射した後、停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−183069
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、全ての伝熱管群の除去処理を一度に実行すると、伝熱管群から多量の付着物(ダスト等)が一度に除去されて、ボイラの下に配設されダスト等を搬送する搬送コンベアへ落下排出されることとなる。したがって、搬送コンベアの特定箇所(ボイラの直下付近の箇所)へ集中的に多量のダスト等が堆積し、その局部的な重量によって搬送コンベアが一時的に走行しにくくなる、いわゆるトリップが生じるおそれがある。
【0006】
また、ボイラから排出されたダスト類は他の集塵装置等から排出されたダスト類とともにダスト処理装置にて無害化処理されるが、スートブロワによる除去処理により一度に多量のダスト等が排出されダスト処理装置に送られると、ダスト処理装置の負荷が大きくなり問題が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、複数の伝熱管群へ向けて一度に蒸気を噴射するようなダスト除去を行わず、伝熱管群ごとに順次蒸気を噴射し、次の伝熱管群への蒸気噴射まで待機時間を設け、その間に搬送コンベアによるダスト排出を行う運転方法が、上記の問題を解決するスートブロワの運転方法として考えられる。しかし、廃棄物焼却炉を複数設ける施設では、上記のようなスートブロワの運転方法を複数の焼却炉ボイラに対して同時に行うと、蒸気消費量が急激に増加し蒸気を用いる発電量の変動が大きくなり問題が生じる。そのため、一つの焼却炉ボイラに対して伝熱管群ごとの蒸気噴射を待機時間をはさんで一巡して行った後に、他の焼却炉ボイラに対して同様に行うこととすると、全ての焼却炉ボイラのスートブロワの運転を行うのに多大な時間がかかり問題となる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、伝熱管群からの付着物の除去処理時に、ボイラからのダスト等の排出量の急激な増加を防止できるとともに、複数の焼却炉ボイラのダスト除去に多大な時間を要しないスートブロワ運転方法及びスートブロワ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上述の課題は、次の第一及び第二発明に係るスートブロワ運転方法並びに第三及び第四発明に係るスートブロワ制御装置により解決される。
【0010】
<第一発明>
第一発明に係るスートブロワ運転方法は、廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの運転方法において、一つの伝熱管群に設けられたスートブロワが蒸気噴射を終了した後、次の伝熱管群に設けられたスートブロワの蒸気噴射まで蒸気噴射待機期間を設けることを特徴としている。
【0011】
第一発明では、廃棄物焼却炉のスートブロワによる伝熱管群の付着物の除去処理時において、蒸気噴射待機期間を設け伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射して、付着したダスト等を除去するため、一度に伝熱管群から除去されるダスト等の付着物の量が少なくなるので、一度に多量の付着物がボイラから落下排出されて搬送コンベア上に堆積することがなく、該搬送コンベアのトリップの発生を防止でき、さらに、ダスト処理装置の負荷が一度に大きくなることがなく、負荷を平準化できる。
【0012】
<第二発明>
第二発明に係るスートブロワ運転方法は、廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの運転方法において、複数基の廃棄物焼却炉のそれぞれに併設されるボイラ内のスートブロワが、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機期間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行うことを特徴としている。
【0013】
第二発明では、複数基の廃棄物焼却炉のそれぞれに設けられたスートブロワが、一つのボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機期間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行うので、該噴射待機時間を有効利用でき、複数の焼却炉ボイラのスートブロワの運転を行う時間を短縮することができる。
【0014】
第一及び第二発明において、スートブロワが他のスートブロワの噴射待機期間中に、蒸気の噴射に先立って、蒸気を送るための配管を該蒸気で予熱することが好ましい。このように、上記配管を予熱しておくことにより、噴射すべき蒸気を配管内に流通させる際に、該配管内に流れる蒸気が冷却そして凝縮されて水になることが防止される。この結果、スートブロワから伝熱管群へ向けて水が噴射されることがなく、該伝熱管群の損傷を防止できる。
【0015】
<第三発明>
第三発明に係るスートブロワ制御装置は、廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの制御装置において、一つの伝熱管群に設けられたスートブロワが蒸気噴射を終了した後、次の伝熱管群に設けられたスートブロワの蒸気噴射まで蒸気噴射待機期間を設けるように噴射のタイミングを制御することを特徴としている。
【0016】
<第四発明>
第四発明に係るスートブロワ制御装置は、廃棄物焼却炉から排出される排ガスとの熱交換を行う複数の伝熱管群を有するボイラ内で伝熱管群ごとに設けられるスートブロワの制御装置において、複数基の廃棄物焼却炉のそれぞれに併設されるボイラ内のスートブロワが、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機期間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行うように噴射のタイミングを制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、以上のように、廃棄物焼却炉のスートブロワが、複数の伝熱管群の付着物の除去処理時において、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射して、付着したダスト等を除去するため、一度に伝熱管群から除去されるダスト等の付着物の量が少なくなるので、一度に多量のダスト等がボイラから落下排出されて搬送コンベア上に堆積することがなく、該搬送コンベアのトリップの発生を防止でき、さらに、ダスト処理装置の負荷が一度に大きくなることがなく、負荷を平準化できる。
【0018】
さらに、廃棄物焼却炉が複数基ある場合には、複数基の廃棄物焼却炉のそれぞれに設けられたスートブロワが、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの蒸気噴射待機時間中に他のボイラのスートブロワの蒸気噴射を行ってダスト除去運転を行うので、該噴射待機時間を有効利用できる。これにより、一つの伝熱管群のスートブロワから蒸気を噴射し待機時間後に次の伝熱管群のスートブロワから蒸気を噴射して順次付着物の除去を行う運転を、一方の焼却炉ボイラで一巡して行い、その後、他の焼却炉ボイラに対して同様に行うような運転では、全ての焼却炉ボイラのスートブロワの運転を行うのに多大な時間を要していたことを改善し、複数基の廃棄物焼却炉に対しても、効率的にスートブロワの付着物除去運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る第一廃棄物焼却炉の概要構成図である。
【
図2】二つの廃棄物焼却炉と蒸気噴射制御装置との接続の概要を示すブロック図である。
【
図3】二つの廃棄物焼却炉のスートブロワによる蒸気の噴射の経時的な動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面の
図1ないし
図3にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
<第一実施形態>
本実施形態では、二つの廃棄物焼却炉のそれぞれに設けられたスートブロワからの蒸気の噴射のタイミングが一つの制御装置により制御されるようになっている(
図2参照)。本実施形態では、上記二つの廃棄物焼却炉を「第一焼却炉」及び「第二焼却炉」と称するが、これらの焼却炉は全く同じ構成であり、特に区別する必要がない場合には、説明の便宜上、「廃棄物焼却炉」と総称するものとする。
【0022】
以下、
図1に基いて第一焼却炉1の具体的な構成を説明する。第二焼却炉1’(
図2参照)については、第一焼却炉1と同じ構成であるので説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る二つの廃棄物焼却炉のうち第一焼却炉1の構成の概要を制御装置41とともに示した図である。第一焼却炉1は、廃棄物を燃焼するための主燃焼室11の出口側に二次燃焼室12が連設されている。二次燃焼室12は廃熱回収のための廃熱ボイラ17の一部でもあり入口近傍部分である。
図1に示す廃棄物焼却炉は、火格子式焼却炉であるが、本発明における廃棄物焼却炉としてはこれに限らず、廃熱ボイラを連設する焼却炉であって形式を限定されない。
【0023】
主燃焼室11の下部には、廃棄物の移動方向(図では右方向)で、上流側から乾燥火格子11a、燃焼火格子11b、そして後燃焼火格子11cが順に設けられている。
【0024】
本実施形態では、第一焼却炉1は、燃焼用空気となる一次空気と二次空気の2系統の空気供給系を備えている。
【0025】
第一焼却炉1では、主燃焼室11よりも上流の位置に廃棄物投入口13が設けられており、廃棄物投入口13から投入された廃棄物14が上記乾燥火格子11aに供給されるようになっている。該乾燥火格子11a上に供給された廃棄物は、各火格子11a〜11cの動作によって、火格子上に廃棄物の層を形成しつつ燃焼火格子11bそして後燃焼火格子11cへと移動し一次空気を受け燃焼する。また、後燃焼火格子11cの下流側に、灰落下口15が設けられている。
【0026】
主燃焼室11内で発生した未燃ガスは、上記後燃焼火格子11cの上方に位置する二次燃焼室12に流入してここで二次空気の供給を受け二次燃焼する。
【0027】
二次燃焼室12は、主燃焼室11の出口部(下流側)の上方位置で該主燃焼室11に連設されている。廃熱ボイラ17はその入口近傍部分が二次燃焼室12であり、該二次燃焼室12に続いて屈曲流路空間が形成され、内壁面の水冷壁や後述の伝熱管群18により廃熱を回収し蒸気を発生させ、上方の排出口17aから排ガスを排出するようになっている。また、廃熱ボイラ17の下部には、ホッパ16が設けられており、後述するスートブロワ19からの蒸気の噴射により伝熱管群18の表面から除去されたダスト等の付着物がホッパ16から落下排出されるようになっている。ホッパ16から排出されたダスト等は、該ホッパ16の下方に設けられた搬送コンベア(図示せず)上に堆積し、貯留装置(図示せず)に一旦貯留された後、適切に廃棄処理される。
【0028】
廃熱ボイラ17の下流側部分(排ガスが排出口17aへ向けて上昇するようになっている部分)の内部には、排ガスと熱交換を行って蒸気を発生する伝熱管群18が設けられている。該伝熱管群18は、上下方向に複数(
図1の例では上段、中段、下段の合計三つ)配置されている(伝熱管群18a、18b、18c)。また、本実施形態では、スートブロワ19が、上段、中段、下段の各伝熱管群18にそれぞれ対応して該伝熱管群18の上方に設けられている(スートブロワ19a、19b、19c)。該スートブロワ19は、伝熱管群18へ向けて、噴射方向を回転させながら蒸気をノズルから噴射して該伝熱管群18に付着している付着物を除去するようになっている。また、
図2に示される第二焼却炉1’にも、第一スートブロワ19と全く同じ構成のスートブロワ19’が設けられている。
【0029】
本実施形態では、スートブロワ19,19’は、排ガスとの熱交換により伝熱管群18で発生した蒸気を噴射するようになっている。このように伝熱管群18で発生した蒸気を利用することにより、別途、蒸気を発生させるための装置を用意する必要がなくなる。
【0030】
また、本実施形態では、廃棄物焼却炉1外に、スートブロワ19からの蒸気の噴射のタイミングを制御するための制御装置41が設けられている。
図2に見られるように、制御装置41は、第一焼却炉1の第一スートブロワ19及び第二焼却炉1’の第二スートブロワ19’の両方に対して電気的に接続されており、例えば、各スートブロワ19(19a、19b、19c),19’の配管に設けられた開閉弁(図示せず)を所定のタイミングでの開閉することにより、両スートブロワ19,19’からの蒸気の噴射のタイミングを制御する。
【0031】
以下、
図3に基いて、制御装置41の動作を説明する。
図3の例では、制御装置41は、第一焼却炉1の第一スートブロワ19及び第二焼却炉1’の第二スートブロワ19’のそれぞれが蒸気を複数回(
図3の例では3回)に分けて間欠的に噴射し、かつ、スートブロワ19,19’のうち一方のスートブロワが他のスートブロワの噴射待機時間中に蒸気を噴射するように噴射のタイミングを制御する。また、
図3に示される例では、スートブロワ19,19’は、それぞれ上段、中段、下段のスートブロワから順次蒸気を噴射するようになっている。
【0032】
図3は、廃棄物焼却炉1,1’のスートブロワ19,19’による蒸気の噴射の経時的な動作を示す図である。まず、制御装置41は、時刻T0にて、第一焼却炉1の第一スートブロワ19の上段スートブロワ19aから蒸気を噴射するのに先立ち、スートブロワ19aの送気管(蒸気を送るための配管)に設けられた開閉弁を半開状態として、少量蒸気を上記送気管内に送る(時刻T0〜T1)。この結果、スートブロワ19aは上記蒸気により予熱される(以下、この予熱のための動作を「暖管」という)。このように暖管を行うことにより、噴射に際して送気管中に流れる蒸気が冷却そして凝縮されて水になることが防止される。この結果、上段スートブロワ19aから上段伝熱管群18aへ向けて水が噴射されることがなくなり、該上段伝熱管群18aの損傷を防止できる。
【0033】
スートブロワ19aが暖管された後、制御装置41は、時刻T1にて、上記開閉弁を全開状態として、上記送気管内に送る蒸気の量を増大させる。この結果、蒸気が、上段スートブロワ19aのノズルから、対応する上段伝熱管群18aへ向けて噴射され、上段伝熱管群18aの表面に付着しているダスト等の付着物の一部が除去される。この蒸気は時刻T1〜T2の期間にわたり連続して噴射される(上段スートブロワ19aでの1回目の噴射)。
【0034】
制御装置41は、時刻T2にて、上記開閉弁を閉状態として、上段スートブロワ19aからの蒸気の噴射を一時中断し、第一スートブロワ19を時刻T4まで噴射待機状態とする。本実施形態では、第一スートブロワ19の噴射待機時間を計時するためのタイマ(図示せず)が時刻T2に作動し、時刻T4に達するまでの時間が該タイマによって計時される。
【0035】
また、制御装置41は、時刻T2にて、第一スートブロワ19を噴射待機状態とすると同時に、第二焼却炉1’の第二スートブロワ19’を運転状態に切り換えて、既述したスートブロワ19aの場合と同じ要領で、時刻T3までの間、第二スートブロワ19’ の上段スートブロワの1回目の暖管を行う。次に、時刻T3〜T4までの間、既述したスートブロワ19aの場合と同じ要領で、上段スートブロワから第二焼却炉1’の上段伝熱管群へ向けて蒸気が噴射され(上段スートブロワでの1回目の噴射)、該上段伝熱管群の表面からダスト等の付着物の一部が除去される。つまり、第一スートブロワ19の噴射待機時間中(時刻T2〜T4)に、第二スートブロワ19’で暖管及び蒸気の噴射が行われる。
【0036】
時刻T4に達すると、制御装置41は、第二スートブロワ19’を噴射待機状態とすると同時に、第一焼却炉1の第一スートブロワ19を運転状態に切り換えて、1回目と同じ要領で、中段スートブロワ19bの暖管(時刻T4〜T5)そして蒸気の噴射(時刻T5〜T6)を行う。また、タイマは、時刻T4にて、リセットされるとともに、第二スートブロワ19’の噴射待機時間(時刻T4〜T6)の計時を開始する。
【0037】
以下、制御装置41は、既述した要領で、一方のスートブロワの噴射待機時間中に他方のスートブロワが暖管及び蒸気の噴射を行うように、両スートブロワ19,19’の動作を制御する。このようにして、第一スートブロワ19の下段スートブロワ19cにて暖管(時刻T8〜T9)そして蒸気の噴射(時刻T9〜T10)が行われた後、第二スートブロワ19’の下段スートブロワにおいても暖管(時刻T10〜T11)そして蒸気の噴射(時刻T11〜T12)が行われることにより、制御装置41によるスートブロワ19,19’の制御動作が完了する。
【0038】
本実施形態では、伝熱管群18の付着物の除去処理時において、伝熱管群ごとにスートブロワが、蒸気を順次間欠的に噴射して、付着したダスト等を除去するため、一度に伝熱管群から除去されるダスト等の付着物の量が少なくなるので、一度に多量のダスト等がボイラから落下排出されて搬送コンベア上に堆積することがなく、該搬送コンベアのトリップの発生を防止でき、さらに、ダスト処理装置の負荷が一度に大きくなることがなく、負荷を平準化できる。
【0039】
さらに、本実施形態では、二つの廃棄物焼却炉1,1’のスートブロワ19,19’は、伝熱管群ごとに蒸気を順次間欠的に噴射し、一つのボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を終了した後、他のボイラの一つの伝熱管群への蒸気噴射を開始し、一つのボイラのスートブロワの噴射待機時間中に他のボイラのスートブロワの蒸気を噴射するようになっているので、該噴射待機時間を有効利用でき、二基の廃棄物焼却炉に対しても、効率的にスートブロワの付着物除去運転ができる。
【0040】
本実施形態では、二基の廃棄物焼却炉にそれぞれ設けられたスートブロワによる蒸気の噴射を制御する例について説明したが、廃棄物焼却炉の数はこれに限られず、三基以上であってもよい。廃棄物焼却炉が三基以上であっても、制御装置は、既述の実施形態と同様に、各廃棄物焼却炉のスートブロワが、蒸気を間欠的に噴射し、かつ、他の廃棄物焼却炉のスートブロワの噴射待機時間中に蒸気を噴射するように噴射のタイミングを制御する。
【符号の説明】
【0041】
1 第一焼却炉(廃棄物焼却炉)
1’ 第二焼却炉(廃棄物焼却炉)
11 主燃焼室(燃焼室)
17 廃熱ボイラ
18 伝熱管群
19 第一スートブロワ
19’第二スートブロワ
41 制御装置